特許第6160540号(P6160540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越化学工業株式会社の特許一覧

特許6160540硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物及びその硬化物を用いたゲル製品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160540
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物及びその硬化物を用いたゲル製品
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/00 20060101AFI20170703BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20170703BHJP
   C08G 65/336 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   C08L71/00 A
   C08K5/5415
   C08G65/336
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-74342(P2014-74342)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-196736(P2015-196736A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 健一
(72)【発明者】
【氏名】武藤 光夫
(72)【発明者】
【氏名】塩野 巳喜男
【審査官】 中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−021074(JP,A)
【文献】 特開2012−102187(JP,A)
【文献】 特開2006−022319(JP,A)
【文献】 特開2009−088115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/16
C08G 65/00−65/48
C08K 5/54−5/549
REGISTRY/CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、下記式(1)
【化1】
(式(1)中、R1は互いに独立に、ビニル基又は炭素数1〜4のアルキル基、R2は独立に炭素数1〜6のアルキレン基、R3は互いに独立に、水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、Rf1はパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基である。)
で表される直鎖状の含フッ素ポリマー、
(B)1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロモノアルケニル化合物、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子と少なくとも1個のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル構造含有基とを有する、下記式(2´
【化2】
(式(2´)中、Rf2はパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロポリエーテル構造含有基、R4は互いに独立に、炭素数1〜20の1価炭化水素基、R5は炭素数2〜20の2価炭化水素基であり、エーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、シリル基又はエステル結合を含んでもよい。)
で表される環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(D)ヒドロシリル化反応触媒
を含有する硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
【請求項2】
(C)成分が下記式で示されるハイドロジェンポリシロキサンである請求項1記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
【化3】
(式中、Lは1〜200の整数である。)
【請求項3】
更に(E)成分として、下記一般式(3)〜(5)
【化4】
[式(3)中、Aは式:Ce2e+1−(eは1〜3の整数である)で表される基であり、dは1〜500の整数である。]
【化5】
(式(4)中、Aは上記と同じであり、f及びhはそれぞれ1〜300の整数である。)
【化6】
(式(5)中、Aは上記と同じであり、i及びjはそれぞれ1〜300の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のパーフルオロポリエーテル化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
【請求項4】
硬化後のJIS K2220又はASTM D−1403に基づく針入度が1〜200である請求項1,2又は3記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
【請求項5】
硬化後の40℃、1,000時間の条件下で濃硫酸(98%)に浸漬した場合の固形物残存率が90%以上であり、かつ、40℃、2,000時間の条件下で濃硝酸(60%)に浸漬した場合の針入度変化が25以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物の硬化物を含むことを特徴とするゲル製品。
【請求項7】
自動車用、化学プラント用、インクジェットプリンタ用、半導体製造ライン用、分析・理化学機器用、医療機器用、航空機用又は燃料電池用材料である請求項6記載のゲル製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性を有するゲル硬化物、特には耐酸性が改良されたゲル硬化物を与えるパーフルオロポリエーテル系ゲル組成物、及び該組成物の硬化物を用いたゲル製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物、1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物及びヒドロシリル化反応触媒を含有する組成物を硬化させることで、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、耐候性等の性質がバランスよく優れたゲル硬化物を得ることができることが提案されている(特許文献1:特開平11−116685号公報)。
【0003】
しかしながら、このようなパーフルオロポリエーテル系ゲル組成物は、殆どの用途においては、これで十分な性能を有しているものの、耐薬品性を要求される半導体製造装置用シール剤等の材料、エンジンオイル用に使用されるシール剤、ポッティング材等、エンジンの排気系部品に使用されるシール剤、ポッティング材等の用途には、更に耐酸性が必要とされる場合があった。
【0004】
特開平08−199070号公報(特許文献2)等に記載された、ポリマー末端構造が[芳香環−Si原子−ビニル基]構造であるポリマーは、[Si原子−ビニル基]構造を有するため速硬化性に優れているが、芳香環とSi原子との結合部位は耐酸性に劣ることが知られている。一方、ポリマー末端に[芳香環−Si原子−ビニル基]構造がないポリマー(例えば、ポリマー末端構造が[芳香環−アルキレン基−ビニル基]構造であるポリマーや、ポリマー末端構造が[側鎖に芳香環置換基を有するアミド基−アルキレン基−ビニル基]構造であるポリマー等)は、耐酸性に優れるものの、速硬化性に劣るという欠点があった(特許文献3及び4:特開2012−102187号公報、特開2012−021074号公報)。また、ポリマー末端に[芳香環−Si原子−ビニル基]構造がないポリマーは、耐酸性として耐硫酸性には優れているものの、耐硝酸性は劣っていた。前述のエンジンの排気系部品は、排気ガスに由来するSOxだけでなくNOxにも曝されるため、高い耐硝酸性も要求される。それ故、耐油性、耐薬品性、特に耐酸性(耐硫酸性及び耐硝酸性)に優れるパーフルオロポリエーテル系ゲル組成物の出現が強く望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−116685号公報
【特許文献2】特開平08−199070号公報
【特許文献3】特開2012−102187号公報
【特許文献4】特開2012−021074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記要望に応えるためになされたもので、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性、離型性、撥水性、撥油性等に優れている上、更に耐酸性、特には耐硝酸性にも優れた硬化物を与えるパーフルオロポリエーテル系ゲル組成物及びその硬化物を用いたゲル製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、従来のパーフルオロポリエーテル系ゲル組成物における上記欠点を除去するため鋭意検討した結果、
(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、下記式(1)
【化1】
(式(1)中、R1は互いに独立に、ビニル基又は炭素数1〜4のアルキル基、R2は独立に炭素数1〜6のアルキレン基、R3は互いに独立に、水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、Rf1はパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基である。)
で表される直鎖状の含フッ素ポリマー、
(B)1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロモノアルケニル化合物、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子と少なくとも1個のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル構造含有基とを有する、下記式(2)
【化2】
(式(2)中、Rf2はパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロポリエーテル構造含有基、R4は互いに独立に、炭素数1〜20の1価炭化水素基、R5は炭素数2〜20の2価炭化水素基であり、エーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、シリル基又はエステル結合を含んでもよい。kは2〜4の整数、lは1〜3の整数であり、かつk+l=5である。)
で表される環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(D)ヒドロシリル化反応触媒
を含有する硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物が所期の目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
従って、本発明は、下記硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物及びその硬化物を用いたゲル製品を提供する。
〔1〕
(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、下記式(1)
【化3】
(式(1)中、R1は互いに独立に、ビニル基又は炭素数1〜4のアルキル基、R2は独立に炭素数1〜6のアルキレン基、R3は互いに独立に、水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、Rf1はパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基である。)
で表される直鎖状の含フッ素ポリマー、
(B)1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロモノアルケニル化合物、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子と少なくとも1個のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル構造含有基とを有する、下記式(2´
【化4】
(式(2´)中、Rf2はパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロポリエーテル構造含有基、R4は互いに独立に、炭素数1〜20の1価炭化水素基、R5は炭素数2〜20の2価炭化水素基であり、エーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、シリル基又はエステル結合を含んでもよい。)
で表される環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(D)ヒドロシリル化反応触媒
を含有する硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
〔2〕
(C)成分が下記式で示されるハイドロジェンポリシロキサンである〔1〕記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
【化5】
(式中、Lは1〜200の整数である。)
〔3〕
更に(E)成分として、下記一般式(3)〜(5)
【化6】
[式(3)中、Aは式:Ce2e+1−(eは1〜3の整数である)で表される基であり、dは1〜500の整数である。]
【化7】
(式(4)中、Aは上記と同じであり、f及びhはそれぞれ1〜300の整数である。)
【化8】
(式(5)中、Aは上記と同じであり、i及びjはそれぞれ1〜300の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のパーフルオロポリエーテル化合物を含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
〔4〕
硬化後のJIS K2220又はASTM D−1403に基づく針入度が1〜200である〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
〔5〕
硬化後の40℃、1,000時間の条件下で濃硫酸(98%)に浸漬した場合の固形物残存率が90%以上であり、かつ、40℃、2,000時間の条件下で濃硝酸(60%)に浸漬した場合の針入度変化が25以下である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物の硬化物を含むことを特徴とするゲル製品。
〔7〕
自動車用、化学プラント用、インクジェットプリンタ用、半導体製造ライン用、分析・理化学機器用、医療機器用、航空機用又は燃料電池用材料である〔6〕記載のゲル製品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性、離型性、撥水性、撥油性等に優れ、更に耐酸性にも優れた硬化物を与えるパーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を得ることができる。また、上記組成物の硬化物を用いたゲル製品は、自動車用、化学プラント用、インクジェットプリンタ用、半導体製造ライン用、分析・理化学機器用、医療機器用、航空機用、燃料電池用材料等として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物は、
(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、式(1)で表される直鎖状の含フッ素ポリマー、
(B)1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロモノアルケニル化合物、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子と少なくとも1個のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル構造含有基とを有する、式(2)で表される環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(D)ヒドロシリル化反応触媒
を含有するものである。
【0011】
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、下記式(1)
【化9】
(式(1)中、R1は互いに独立に、ビニル基又は炭素数1〜4のアルキル基、R2は独立に炭素数1〜6のアルキレン基、R3は互いに独立に、水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、Rf1はパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基である。)
で表される、ポリマー末端構造に、ケイ素原子に結合したビニル基[Si原子−ビニル基]を有すると共に、なおかつ、芳香環とケイ素原子が結合した部位[芳香環−Si原子]を有さない、特定のポリマー末端構造を有する、直鎖状の含フッ素ポリマーである。
【0012】
上記式(1)中、R1は互いに独立に、ビニル基又は炭素数1〜4のアルキル基である。上記炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。R1としては、特にビニル基又はメチル基が好ましい。R2は炭素数1〜6、好ましくは炭素数3〜6のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基等が挙げられ、特にエチレン基、トリメチレン基が好ましい。R3は互いに独立に、水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基としては、上記R1で例示したものと同様の基が挙げられる。Rf1はパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基である。
【0013】
ここで、上記2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基としては、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜6程度の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキレン基が挙げられる。また、上記2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基は、
−Cg2gO−
(式中、gは1〜6の整数である。)
の多数の繰り返し単位を含むもので、例えば下記式(6)で表されるもの等が挙げられる。
−(Cg2gO)x− (6)
(式(6)中、gは1〜6の整数であり、xは20〜600、好ましくは30〜400、より好ましくは30〜200の整数である。)
【0014】
上記式−Cg2gO−で表される繰り返し単位としては、例えば下記式で表される単位等が挙げられる。
−CF2O−
−CF2CF2O−
−CF2CF2CF2O−
−CF(CF3)CF2O−
−CF2CF2CF2CF2O−
−CF2CF2CF2CF2CF2CF2O−
−C(CF32O−
【0015】
これらの中では、特に下記式で表される単位が好適である。
−CF2O−
−CF2CF2O−
−CF2CF2CF2O−
−CF(CF3)CF2O−
【0016】
なお、上記2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基は、これらの繰り返し単位の1種単独で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。
【0017】
また、上記2価のパーフルオロポリエーテル構造含有基は、下記式(7)〜(9)で表される構造からなる群から選ばれる構造を含有することが好ましい。
【化10】
(式(7)中、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、p,q及びrは、それぞれp≧0、q≧0、0≦p+q≦200、特に2≦p+q≦150、及び0≦r≦6を満たす整数である。但し、p=q=r=0を除く。)
【化11】
(式(8)中、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、v及びwは、それぞれ1≦v≦20及び1≦w≦20を満たす整数である。)
【化12】
(式(9)中、zは1≦z≦100の整数である。)
【0018】
上記式(1)において、Rf1の具体例としては、下記式で表されるものが例示される。
【化13】
(式中、s,t及びuは、それぞれs≧0、t≧0、0≦s+t≦200、特に2≦s+t≦150、及び0≦u≦6を満たす整数である。)
【0019】
【化14】

(式中、m、n、m+nはそれぞれ上記範囲の整数である。以下同様。)
【0020】
上記式(1)で表される直鎖状の含フッ素ポリマーとしては、特に、下記式で表されるものが好適である。
【化15】
(m=1〜100,n=1〜100,m+n=2〜200)
【0021】
上記式(1)の直鎖状の含フッ素ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜100,000であることが好ましく、特に10,000〜50,000であることが好ましい。分子量が10,000未満の場合は、ガソリンや各種溶剤に対する膨潤が大きくなることがある。特に、ガソリンに対する膨潤が6%以上となると、耐ガソリン性が要求される部材としては特性を満足することができなくなるおそれがある。また、分子量が100,000を超える場合は、粘度が高く、作業性に劣ることがある。
【0022】
更に本発明では、上記式(1)の直鎖状の含フッ素ポリマーを目的に応じた所望の重量平均分子量に調節するため、予め上記したような直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物を分子内にヒドロシリル基(SiH基)を2個含有する有機ケイ素化合物と通常の方法及び条件でヒドロシリル化反応させ、鎖長延長した生成物を(A)成分として使用することも可能である。
【0023】
(A)成分の直鎖状の含フッ素ポリマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0024】
[(B)成分]
(B)成分は、1分子中に1個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリフルオロモノアルケニル化合物である。特に、下記式(10)で表されるポリフルオロモノアルケニル化合物が好ましい。
Rf3−(X’)C−CH=CH2 (10)
[式(10)中、X’は−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−、又は−CO−NR6−Y’−(但し、Y’は−CH2−、下記構造式(Z’)
【化16】
(o−,m−又はp−ジメチルシリルフェニレン基)
で表される基、又は下記構造式(Z’’)
【化17】
で表される基であり、R6は水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。)で表される基である。Rf3は1価のパーフルオロポリエーテル構造含有基であり、下記式
(Ca2aO)y
(式中、aは1〜6の整数であり、yは20〜600、好ましくは30〜400、より好ましくは30〜200の整数である。)
で表される構造を有するものが好ましい。cは0又は1である。]
【0025】
上記式(10)において、Rf3としては、以下の基が例示される。
【化18】

(式中、a1は1〜8の整数であり、y1、y2及びy3は、それぞれ0≦y1≦100、1≦y2≦100、0≦y3≦100、かつ0≦y1+y3≦100を満たす整数である。)
【0026】
上記式(10)で表されるポリフルオロモノアルケニル化合物の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【化19】
(上記式中、y2=1〜100である。)
【0027】
上記式(10)のポリフルオロモノアルケニル化合物の配合量は、本発明の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物において、上記(A)成分の直鎖状の含フッ素ポリマー100質量部に対して1〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜150質量部である。1質量部未満だと、硬化後の架橋密度が高くなり、ゲル硬化物となり難くゴム状硬化物となることがあり、300質量部を超えると、硬化後の架橋密度が低くなり、液状物となってゲル硬化物となり難くなることがある。
【0028】
[(C)成分]
(C)成分は、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子と少なくとも1個のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル構造含有基とを有する、下記式(2)で表される環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、(A)成分の架橋剤、鎖長延長剤として作用するものである。但し、(A)成分又は(B)成分との相溶性、分散性、硬化後の均一性等の観点から、1分子中に1個以上の1価の含フッ素有機基である、パーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロポリエーテル構造含有基を含有しているものを使用する。
【化20】
(式(2)中、Rf2はパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロポリエーテル構造含有基、R4は互いに独立に、炭素数1〜20の1価炭化水素基、R5は炭素数2〜20の2価炭化水素基であり、エーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、シリル基又はエステル結合を含んでもよい。kは2〜4の整数、特に3又は4、lは1〜3の整数、特に1又は2であり、かつk+l=5である。)
【0029】
上記式(2)中、Rf2のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロポリエーテル構造含有基としては、下記一般式で表される基を例示することができる。
【0030】
パーフルオロアルキル基:
b2b+1
(但し、bは1〜20、好ましくは2〜10の整数である。)
1価のパーフルオロポリエーテル構造含有基:
【化21】
(式中、Lは1〜200、好ましくは2〜100の整数である。)
【0031】
上記式(2)中、R4は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、あるいはこれらの基の水素原子の一部が塩素原子、シアノ基等で置換された例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等の非置換又は置換1価炭化水素基等が挙げられるが、脂肪族不飽和結合を有さないものが好ましい。
【0032】
また、R5は炭素数2〜20の2価炭化水素基であり、エーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、シリル基又はエステル結合を含んでもよい2価の連結基である。かかる連結基としては、アルキレン基、アリーレン基やこれらの組み合わせでも、あるいはこれらにエーテル結合酸素原子(−O−)、アミド結合(−NRCO−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)の1種又は2種以上を介在するものであってもよく、炭素数2〜12のものが好ましい。なお、−NRCO−基におけるRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はフェニル基である。R5の具体例としては、下記式で表される基等が挙げられる。なお、下記式中、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基を表す。
【0033】
−CH2CH2
−CH2CH2CH2
−CH2CH2CH2−O−CH2
−CH2CH2CH2−NH−CO−
−CH2CH2CH2−N(Ph)−CO−
−CH2CH2−Si(CH32−CH2CH2CH2−N(Ph)−CO−
−CH2CH2−Si(CH32−Ph’−N(CH3)−CO−
−CH2CH2CH2−N(CH3)−CO−
−CH2CH2CH2−N(CH2CH3)−CO−
−CH2CH2CH2−N(CH(CH32)−CO−
−CH2CH2CH2−N(C(CH33)−CO−
−CH2CH2CH2−O−CO−
これらの中でも、下記式で表される基が好ましい。
−CH2CH2−Si(CH32−Ph’−N(CH3)−CO−
【0034】
(C)成分の有機ケイ素化合物は、環状であることが必須であり、更に環状構造を形成するポリシロキサンのケイ素原子数が5であることを必須とする。この構造が耐酸(濃硫酸、濃硝酸)性に有効であり、特に耐硝酸性に優れるものとなり得る。
【0035】
このような有機ケイ素化合物としては、例えば下記式で表される環状シロキサン構造を有する有機ケイ素化合物が挙げられ、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0036】
【化22】
【0037】
【化23】
【0038】
【化24】
【0039】
(C)成分としては、下記式で示される化合物が特に好ましい。
【化25】
(式中、Lは上記と同じである。)
【0040】
上記(C)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分を硬化する有効量であり、特に本組成物中の上記(A)成分及び(B)成分中に含まれるアルケニル基の合計1モルに対する(C)成分中のヒドロシリル基(SiH基)の合計のモル比が、好ましくは0.2〜2、より好ましくは0.5〜1.5となる量である。ヒドロシリル基(SiH基)が少なすぎると、架橋度合が不十分となる結果、硬化物が得られない場合があり、また、多すぎると硬化時に発泡してしまう場合がある。
【0041】
[(D)成分]
本発明の(D)成分は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒は、(A)成分及び(B)成分中のアルケニル基と、(C)成分中のヒドロシリル基との付加反応を促進する触媒である。このヒドロシリル化反応触媒は、一般に貴金属の化合物であり高価格であることから、比較的入手しやすい白金又は白金化合物が好適に用いられる。
【0042】
白金化合物としては、例えば、塩化白金酸又は塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコールやビニルシロキサンとの錯体、シリカ、アルミナ、カーボン等を担持した金属白金等を挙げることができる。白金化合物以外の白金族金属化合物としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム系化合物等が知られており、例えばRhCl(PPh33、RhCl(CO)(PPh32、Ru3(CO)12、IrCl(CO)(PPh32、Pd(PPh34等を例示することができる(なお、Phはフェニル基を示す)。
【0043】
ヒドロシリル化反応触媒の配合量は、特に制限されるものではなく、いわゆる触媒量とすることができるが、通常(A)、(B)、(C)及び(E)成分の合計量に対して白金族金属換算質量で0.1〜100ppmの割合で配合することが好ましい。
【0044】
[(E)成分]
本発明の(E)成分は、下記一般式(3)〜(5)
【化26】
[式(3)中、Aは式:Ce2e+1−(eは1〜3の整数である)で表される基であり、dは1〜500の整数である。]
【化27】
(式(4)中、Aは上記と同じであり、f及びhはそれぞれ1〜300の整数である。)
【化28】
(式(5)中、Aは上記と同じであり、i及びjはそれぞれ1〜300の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のパーフルオロポリエーテル化合物である。
【0045】
(E)成分であるパーフルオロポリエーテル化合物を配合することは任意であるが、該成分を配合することにより、物性等を損なうことなく、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性に優れた組成物を与えることができる。特に、パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物に配合した場合には、ガラス転移温度を下げる等低温特性に優れた特性を付与することができる。
【0046】
(E)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して0〜300質量部であることが好ましく、10〜270質量部がより好ましく、50〜250質量部が特に好ましい。300質量部を超えると、硬化したゲル状物からの経時でのブリードが生じることがある。なお、(E)成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0047】
[その他の成分]
本組成物においては、上記した(A)〜(E)成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の各種の添加剤を配合することができる。添加剤として、例えば、ヒドロシリル化反応触媒の制御剤を挙げることができ、具体的には1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、フェニルブチノール等のアセチレンアルコールや、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等、あるいはポリメチルビニルシロキサン環式化合物、有機リン化合物等が挙げられる。これらを添加することにより、硬化反応性と保存安定性を適度に保つことができる。
【0048】
また、上記添加剤として、無機質充填剤を挙げることができ、例えば酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ等の各種金属酸化物粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、粉砕シリカ、珪藻土等が挙げられ、その添加により本組成物から得られる硬化物の硬さ・機械的強度を調整することができる。ほかに、ハイドロタルサイト等のイオン交換樹脂や中空無機質充填剤又はゴム質の球状充填剤も添加できる。
【0049】
なお、これらの任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で任意とすることができる。
【0050】
[硬化物]
本発明のパーフルオロポリエーテル系ゲル組成物は、該組成物を硬化させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、撥水性、撥油性、耐候性等に優れている上、更に耐酸性も良好なゲル状の硬化物(いわゆるパーフルオロポリエーテルゲル)を形成することができ、各種の用途に使用することができる。
【0051】
本発明の硬化性パーフルオロポリエーテル系ゲル組成物の硬化物は、(A)成分を100質量部、(B)成分を(A)成分100質量部に対して1〜300質量部、(C)成分を(A)成分及び(B)成分中に含まれるアルケニル基の合計1モルに対して(C)成分中のヒドロシリル基(SiH基)が0.2〜2モルとなる量、(D)成分を(A)、(B)、(C)、(E)成分の合計量に対して白金換算で0.1〜100ppm含有する組成物を硬化させることにより形成させることができる。更には、ガラス転移温度低下等の目的で、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して(E)成分を0〜300質量部を添加することは任意である。
【0052】
ゲル硬化物は、適当な型内に上記した組成物を注入して硬化を行う、組成物を適当な基板上にコーティングした後に硬化を行う、あるいは貼り合わせ等、従来公知の方法により形成させることができる。硬化は、通常60〜150℃の温度で30〜180分程度の加熱処理によって容易に行うことができる。
【0053】
このようにして得られたゲル硬化物は、JIS K2220(又はASTM D−1403)による稠度試験法(1/4コーン使用)で規定される針入度が1〜200であり、ガラス転移温度が−50℃以下のゲル材料とすることができる。
【0054】
本発明のゲル硬化物を用いたゲル製品は、自動車用、化学プラント用、インクジェットプリンタ用、半導体製造ライン用、分析・理化学機器用、医療機器用、航空機用、燃料電池用材料等として好適に使用することができる。
【0055】
更に詳述すると、本発明の組成物の硬化物を含むゲル製品は、自動車用部品、化学プラント用部品、インクジェットプリンタ用部品、半導体用製造ライン用部品、分析・理化学機器用部品、医療機器用部品、電気電子用防湿コーティング材、センサー用ポッティング剤、燃料電池用シール材等として好適に使用することができる。
【0056】
特に、電気電子用防湿コーティング材、センサー用ポッティング剤として使用する場合は、ガス圧センサー、液圧センサー、温度センサー、湿度センサー、回転センサー、Gセンサー、タイミングセンサー、エアフローメーター、電子回路、半導体モジュール、各種コントロールユニット等に対して好適に使用することができる。
【0057】
また、本発明の組成物の硬化物をポッティング剤、コーティング材等として使用する場合には、基材との密着性又は接着性を向上させるために公知のプライマーを併用することが有用である。プライマーにより、基材界面からの薬品及び溶剤の浸入を防止することができ、部品全体の耐酸性、耐薬品性及び耐溶剤性を向上させることができる。
【0058】
プライマーとしては、シランカップリング剤を主体とするシラン系プライマー、オルガノハイドロジェンポリシロキサンを主体とするプライマー、合成ゴムを主成分とするプライマーや、アクリル樹脂を主成分とするプライマー、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー、エポキシ樹脂を主成分とするプライマー等が好適に使用できる。
【0059】
更に、本発明の組成物の硬化物は、40℃、1,000時間の条件下で濃硫酸(98%)に浸漬した場合の固形物残存率が90%以上であり、かつ、40℃、2,000時間の条件下で濃硝酸(60%)に浸漬した場合の針入度変化が25以下であることを特徴とする。固形物残存率が90%未満の場合は、シール部からの漏れや、保護された基材や電気電子部品の腐食等の長期の信頼性が得られないことがある。また、針入度変化が25を超える場合は、基材からの剥離によるシール部からの漏れや、保護された電気電子部品の誤作動等を引き起こし信頼性が得られない。
なお、このような上記濃硫酸浸漬による固形物残存率が90%以上であり、かつ、濃硝酸浸漬による針入度変化が25以下であるような耐酸性効果は、ゲル組成物のベースポリマーとして上記式(1)で示される特定分子構造の含フッ素ポリマー(A)を、(B)〜(D)成分及び必要に応じて更に(E)成分と組み合わせて使用することにより、通常達成することができる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、%は質量%を示す。
【0061】
[実施例1,2、比較例1〜3]
下記原料を使用し、表1に示すパーフルオロポリエーテル系ゲル組成物を調製した。
【0062】
ポリマーA:
【化29】
(m+nの平均値=95)
【0063】
ポリマーB:
【化30】
(yの平均値=24)
【0064】
ポリマーC:
【化31】
(m+nの平均値=97)
【0065】
ポリマーD:
【化32】
(d=27)
【0066】
ハイドロジェンシロキサンA:
【化33】
ハイドロジェンシロキサンB:
【化34】
ハイドロジェンシロキサンC:
【化35】
【0067】
硬化触媒:
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液(白金含有量0.5%)
【0068】
硬化反応制御剤:
エチニルシクロヘキサノール/50%トルエン溶液
【0069】
調製した各ゲル組成物を150℃、1時間の硬化条件にて硬化させ、その硬さ(針入度)をJIS K2220に従って測定すると共に、下記方法によって耐酸試験を行った。結果を表1に併記する。
【0070】
耐酸試験/濃硫酸(重量変化)
32mmφ×15mmのガラス容器内に実施例及び比較例の組成物を20g充填した後、150℃、1時間の条件にて硬化させてサンプルを作製し、98%の濃硫酸に40℃にて1,000時間浸漬し、浸漬前と後の重量変化率を測定した。
【0071】
耐酸試験/濃硫酸(外観)
32mmφ×15mmのガラス容器内に実施例及び比較例の組成物を20g充填した後、150℃、1時間の条件にて硬化させてサンプルを作製し、98%の濃硫酸に40℃にて1,000時間浸漬した後のサンプル外観を下記の基準で評価した。
○ 変化無し
△ 変化小(部分溶解)
× 変化大(全溶解)
【0072】
耐酸試験/濃硝酸(物性変化)
32mmφ×15mmのガラス容器内に実施例及び比較例の組成物を20g充填した後、150℃、1時間の条件にて硬化させてサンプルを作製し、60%の濃硝酸に40℃にて2,000時間浸漬し、浸漬前と後の針入度を測定した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】