(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
有機半導体材料は、有機光起電素子(OPVs)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、及び有機エレクトロクロミック素子(ECD)などの電子機器に使用され得る。
【0002】
効率的且つ長期的なパフォーマンスのために、有機半導体材料系のデバイスは、特に空気による酸化に対して、高い電荷キャリア移動度と高安定性を示すことが望ましい。
【0003】
更に、有機半導体材料が、スピンコーティング、インクジェット印刷、及びグラビア印刷などの液体処理技術と適合性があることが望ましい。これらの液体処理技術は、加工性の観点から好都合であり、従って、低コストの有機半導体材料をベースとする電子デバイスの製造を可能にする。更に、液体処理技術は、プラスチック基板との適合性もあり、従って、軽量で機械的に柔軟な有機半導体材料をベースとする電子デバイスの製造を可能にする。
【0004】
有機半導体材料は、p型又はn型のいずれかの有機半導体材料であってよい。両方のタイプの有機半導体材料が、電子デバイスの製造に利用可能であることが望ましい。
【0005】
ナフタレンジイミド(NDI)系ポリマーを半導体材料として電子デバイスに用いる使用が当該技術分野で知られている。
【0006】
Durban, M. M.; Kazarinoff, P. D.; Segawa, Y.; Luscombe. C. K. Macromolecules 2011, 44, 4721〜4727は、高溶解性のナフタレンジイミド(NDI)系ポリマーを記載している。0.0026cm
2V
−1s
−1の高さの平均電子移動度は、以下の構造:
【化1】
を有するナフタレンジイミド(NDI)ポリマーPNDI−2BocLについて報告されている。
【0007】
Sajoto, T.; Tiwari, S. P.; Li, H.; Risko, C; Barlowa, S.; Zhang , Q.; Cho, J.-Y.; Bredas, J.-L.; Kip- pelen, B.; Marder, S. R. Polymer, 2012, 53, 5, 1072〜1078は、以下の構造:
【化2】
を有するコポリマーを記載している。
【0008】
これらのコポリマーは、1.4×10
−4〜3.7×10
−3cm
2V
−1s
−1の範囲の平均電子移動度値を示す。
【0009】
Zhou, W.; Wen, Y.; Ma, L; Liu, Y.; Zhan, X. Macromolecules 2012, 45, 4115〜4121は、以下の構造:
【化3】
を有するナフタレンジイミド(NDI)及びフェノチアジン(PTZ)系コポリマーを記載している。
【0010】
これらのコポリマーは、窒素雰囲気下で0.05cm
2V
−1s
−1の高さの電子移動度と10
5の高さのオン/オフ比を示す。
【0011】
Yan, H.; Chen, Z.; Zheng, Y., Newman, C; Quinn, J. R.; Doetz, F. Kastler, M.; Facchetti, A. Nature, 2009, 457, 679〜687及びChen, Z.; Zheng, Y.; Yan, H .; Facchetti, A. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 8〜9は、ナフタレンジイミド(NDI)及び以下の構造:
【化4】
を有するビチオフェン系コポリマーを記載している。
【0012】
これらのコポリマーは0.45〜0.85cm
2V
−1s
−1の優れた移動性値を示す。
【0013】
WO2009/098253号は、一般式−(M
1−M
2)
n−のポリマーを記載しており、その際、M
1は以下の式
【化5】
から選択される任意に置換されるナフタレンイミドであり、且つM
2は−Z−(−Ar−)
m’’−Z−を含む残基のリストから選択される。
【0014】
Guo, X.; Kim, F. S.; Seger, M. J.; Jenekhe, S. A.; Watson, M. D. Chem. Mater. 2012, 24, 1434〜1442は、ナフタレンジイミド(NDI)アクセプター及び以下の構造:
【化6】
を有する7つの異なるチオフェン部分に基づく一連の交互のドナーアクセプターコポリマー半導体を記載している。
【0015】
これらのコポリマーは、0.07cm
2V
−1s
−1の高さのnチャネル又は両極性移動度を示す。
【0016】
本発明の課題は、改善された新規な有機ポリマー半導体材料を提供することであった。
【0017】
この課題は、請求項1に記載のポリマー、請求項11に記載の方法及び請求項12に記載のデバイスによって解決される。
【0018】
本発明の有機ポリマー半導体材料は、以下の式
【化7】
(式中、
R
1及びR
2は互いに独立してC
1〜C
30−アルキル、C
2〜C
30−アルケニル、C
2〜C
30−アルキニル、フェニル又は5〜8員の複素環系であり、その際、
C
1〜C
30−アルキル、C
2〜C
30−アルケニル又はC
2〜C
30−アルキニル基はそれぞれ、ハロゲン、−CN、−NO
2、−OH、−NH
2、−NH(C
1〜20−アルキル)、−N(C
1〜20−アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜20−アルキル)、−S(O)
2OH、−CHO、−C(O)−C
1〜20−アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC
1〜20−アルキル、−C(O)NH
2、−CO(O)NH−C
1〜20−アルキル、−C(O)N(C
1〜20アルキル)
2、−O−C
1〜20−アルキル、−O−C(O)−C
1〜20−アルキル、−SiH
3、SiH
2(C
1〜20−アルキル)、SiH(C
1〜20−アルキル)
2、Si(C
1〜20−アルキル)
3、C
4〜8−シクロアルキル、フェニル、及び5〜8員の複素環系、及びフェニルからなる群から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されてよく、且つ
フェニル及び5〜8員の複素環系は1〜5個のC
1〜16−アルキル基で置換されてよく、
oは1、2又は3であり且つ
nは2〜10000の整数である)
の単位を含むポリマーである。
【0019】
ハロゲンの例は−F、−Cl、−Br及び−Iである。
【0020】
C
1〜6−アルキル、C
1〜10−アルキル、C
1〜16−アルキル、C
1〜20−アルキル、C
1〜30−アルキル、C
6〜30−アルキル及びC
10〜30−アルキルは分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよい。C
1〜6−アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−(1−エチル)プロピル及びn−ヘキシルである。C
1〜10−アルキルの例は、C
1〜6−アルキル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−(2−エチル)ヘキシル、n−ノニル及びn−デシルである。C
1〜16−アルキルの例は、C
1〜10−アルキル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル及びn−ヘキサデシルである。C
1〜20−アルキルの例は、C
1〜10−アルキル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−イコシル(C
20)及びn−(2−オクチル)ドデシルである。C
1〜30−アルキルの例は、C
1〜20−アルキル、及びn−ドコシル(C
22)、n−テトラコシル(C
24)、n−(2−デシル)テトラデシル、n−ヘキサコシル(C
26)、n−オクタコシル(C
28)及びn−トリアコンチル(C
30)である。C
6〜30−アルキルの例は、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−(2−エチル)ヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル及びn−イコシル(C
20)、n−(2−オクチル)ドデシル、n−ドコシル(C
22)、n−テトラコシル(C
24)、n−(2−デシル)テトラデシル、n−ヘキサコシル(C
26)、n−オクタコシル(C
28)及びn−トリアコンチル(C
30)である。C
10〜30−アルキルの例は、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル及びn−イコシル(C
20)、n−(2−オクチル)ドデシル、n−ドコシル(C
22)、n−テトラコシル(C
24)、n−(2−デシル)テトラデシル、n−ヘキサコシル(C
26)、n−オクタコシル(C
28)及びn−トリアコンチルである。
【0021】
C
2〜C
30−アルケニル及びC
6〜C
30−アルケニルは分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよい。C
2〜C
30−アルケニルの例は、ビニル、プロペニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル、3−ブテニル、シス−2−ペンテニル、トランス−2−ペンテニル、シス−3−ペンテニル、トランス−3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−メチル−3−ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル及びドセニル、リノレイル(C
18)、リノレニル(C
18)、オレイル(C
18)、アラキドニル(C
20)、及びエルシル(C
22)である。C
6〜C
30−アルケニルの例は、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル及びドセニル、リノレイル(C
18)、リノレニル(C
18)、オレイル(C
18)、アラキドニル(C
20)、及びエルシル(C
22)である。
【0022】
C
2〜30−アルキニル及びC
6〜30−アルキニルは分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよい。C
2〜30−アルキニルの例は、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル及びイコシニル(C
20)である。C
6〜30−アルキニルの例は、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル及びイコシニル(C
20)である。
【0023】
C
4〜8−シクロアルキルの例は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルである。
【0024】
5〜8員の複素環系の例は、ピロリジニル、1−ピロリニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、テトラヒドロフリル、2,3−ジヒドロフリル、テトラヒドロチオフェニル、2,3−ジヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、チアゾリジニル、チアゾリニル、イソチアゾリジニル及びイソチアゾリニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,4,2−ジチアゾリル、ピペリジル、ピペリジノ、テトラヒドロピラニル、ピラニル、チアニル、チオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、モルホリノ、チアジニル、アゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、チエパニル、チアパニル、チエピニル、1,2−ジアゼピニル、1,3−チアゼピニル、ピロリル、フリル、チオフェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、アゼピニル及び1,2−ジアゼピニルである。
【0025】
アルカリ金属の例は、ナトリウム、カリウム及びリチウムである。
【0026】
アルカリ土類金属の例は、カルシウム及びマグネシウムである。
【0027】
好ましくは、本発明の有機ポリマー半導体材料は、好ましくは、ポリマーの質量を基準として、少なくとも80質量%、更に好ましくは少なくとも90質量%の式(1)の単位を含むポリマーである。
【0028】
更に好ましくは、本発明の有機ポリマー半導体材料は、本質的に式(1)の単位からなるポリマーである。
【0029】
好ましくは、R
1及びR
2は互いに独立してC
6〜30−アルキル、C
6〜30−アルケニル、C
6〜30−アルキニル、又はフェニルであり、
その際、C
6〜30−アルキル、C
6〜30−アルケニル又はC
6〜30−アルキニル基は、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO
2、−OH、−NH
2、−NH(C
1〜20−アルキル)、−N(C
1〜20アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜20−アルキル)、−S(O)
2OH、−CHO、−C(O)−C
1〜20−アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC
1〜20−アルキル、−C(O)NH
2、−CO(O)NH−C
1〜20−アルキル、−C(O)N(C
1〜20アルキル)
2、−O−C
1〜20−アルキル、及びN−O−C(O)−C
1〜20−アルキルからなる群から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されてよく、且つ
フェニルは1個又は2個のC
1〜16−アルキル基で置換されてよい。
【0030】
更に好ましくは、R
1及びR
2は、互いに独立してC
6〜30−アルキル、C
6〜30−アルケニル又はC
6〜30−アルキニルであり、
その際、C
6〜30−アルキル、C
6〜30−アルケニル又はC
6〜30−アルキニル基は、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO
2、−NH(C
1〜20−アルキル)、−N(C
1〜20−アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜20−アルキル)、−C(O)−C
1〜20−アルキル、−C(O)−OC
1〜20−アルキル、−C(O)NH
2、−CO(O)NH−C
1〜20−アルキル、−C(O)N(C
1〜20−アルキル)
2、−O−C
1〜20−アルキル、及びN−O−C(O)−C
1〜20−アルキルからなる群から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されてよい。
【0031】
更に一層好ましくは、R
1及びR
2は、互いに独立してC
6〜30−アルキルであり、その際、C
6〜30−アルキルは、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO
2、−NH(C
1〜20−アルキル)、−N(C
1〜20−アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜20−アルキル)、−C(O)−C
1〜20−アルキル、−C(O)−OC
1〜20−アルキル、−C(O)NH
2、−CO(O)NH−C
1〜20−アルキル、−C(O)N(C
1〜20−アルキル)
2、−O−C
1〜20−アルキル、及びN−O−C(O)−C
1〜20−アルキルからなる群から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されてよい。
【0032】
最も好ましくは、R
1及びR
2は、互いに独立してC
10〜30−アルキル、特に2−オクチルドデシルである。
【0033】
好ましくは、oは1又は2である。
【0034】
nは好ましくは5〜1000の整数、更に好ましくは5〜500の整数、最も好ましくは10〜100の整数である。
【0035】
式(I)の単位を含む好ましいポリマーは、
R
1及びR
2が、互いに独立してC
6〜30−アルキル、C
6〜30−アルケニル、C
6〜30−アルキニル、又はフェニルであり、
その際、C
6〜30−アルキル、C
6〜30−アルケニル又はC
6〜30−アルキニル基が、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO
2、−OH、−NH
2、−NH(C
1〜20−アルキル)、−N(C
1〜20−アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜20−アルキル)、−S(O)
2OH、−CHO、−C(O)−C
1〜20−アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC
1〜20−アルキル、−C(O)NH
2、−CO(O)NH−C
1〜20−アルキル、−C(O)N(C
1〜20−アルキル)
2、−O−C
1〜20−アルキル、及びN−O−C(O)−C
1〜20−アルキルからなる群から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されてよく、且つフェニルが1個又は2個のC
1〜C
16−アルキル基で置換されてよく、
oが1、2又は3であり、且つ
nが5〜1000の整数である、ポリマーである。
【0036】
式(I)の単位を含む更に好ましいポリマーは、
R
1及びR
2が、互いに独立してC
6〜30−アルキル、C
6〜30−アルケニル又はC
6〜30−アルキニルであり、
その際、C
6〜30−アルキル、C
6〜30−アルケニル又はC
6〜30−アルキニル基が、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO
2、−NH(C
1〜20−アルキル)、−N(C
1〜20アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜20−アルキル)、−C(O)−C
1〜20−アルキル、−C(O)−OC
1〜20−アルキル、−C(O)NH
2、−CO(O)NH−C
1〜20−アルキル、−C(O)N(C
1〜20−アルキル)
2、−O−C
1〜20−アルキル、及びN−O−C(O)−C
1〜20−アルキルからなる群から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されてよく、
oが1、2又は3であり且つ
nが5〜500の整数である、ポリマーである。
【0037】
式(I)の単位を含む最も好ましいポリマーは、
R
1及びR
2が、互いに独立してC
6〜30−アルキルであり、
その際、C
6〜30−アルキルが、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO
2、−NH(C
1〜20−アルキル)、−N(C
1〜20アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜20−アルキル)、−C(O)−C
1〜20−アルキル、−C(O)−OC
1〜20−アルキル、−C(O)NH
2、−CO(O)NH−C
1〜20−アルキル、−C(O)N(C
1〜20−アルキル)
2、−O−C
1〜20−アルキル、及びN−O−C(O)−C
1〜20−アルキルからなる群から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されてよく、
oが1又は2であり且つ
nが10〜100の整数である、ポリマーである。
【0038】
式(I)の単位を含む特に好ましいポリマーは、以下の式
【化8】
(式中、nは20〜100の整数、好ましくは、約60の整数である)
の単位を含むポリマーである。
【0039】
また、本発明の一部は、以下の式
【化9】
(式中、
R
1及びR
2は互いに独立してC
1〜C
30−アルキル、C
2〜C
30−アルケニル又はC
2〜C
30−アルキニル、フェニル又は5〜8員の複素環系であり、
その際、C
1〜C
30−アルキル、C
2〜C
30−アルケニル又はC
2〜C
30−アルキニル基は、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO
2、−OH、−NH
2、−NH(C
1〜20−アルキル)、−N(C
1〜20−アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜20−アルキル)、−S(O)
2OH、−CHO、−C(O)−C
1〜20−アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC
1〜20−アルキル、−C(O)NH
2、−CO(O)NH−C
1〜20−アルキル、−C(O)N(C
1〜20−アルキル)
2、−O−C
1〜20−アルキル、−O−C(O)−C
1〜20−アルキル、−SiH
3、SiH
2(C
1〜20−アルキル)、SiH(C
1〜20−アルキル)
2、Si(C
1〜20−アルキル)
3、C
4〜8−シクロアルキル、フェニル及び5〜8員の複素環系からなる群から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されてよく、且つ
フェニル又は5〜8員の複素環系は1〜5個のC
1〜16−アルキル基で置換されてよく、且つ
oは1、2又は3であり、
nは2〜10000の整数である)
の単位を含むポリマーの製造方法であって、
以下の式
【化10】
(式中、
R
1及びR
2は互いに独立してC
1〜C
30−アルキル、C
2〜C
30−アルケニル、C
2〜C
30−アルキニル、フェニル又は5〜8員の複素環系であり、
その際、C
1〜C
30−アルキル、C
2〜C
30−アルケニル又はC
2〜C
30−アルキニル基は、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO
2、−OH、−NH
2、−NH(C
1〜20−アルキル)、−N(C
1〜20−アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜20−アルキル)、−S(O)
2OH、−CHO、−C(O)−C
1〜20−アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC
1〜20−アルキル、−C(O)NH
2、−CO(O)NH−C
1〜20−アルキル、−C(O)N(C
1〜20アルキル)
2、−O−C
1〜20−アルキル、−O−C(O)−C
1〜20−アルキル、−SiH
3、SiH
2(C
1〜20−アルキル)、SiH(C
1〜20−アルキル)
2、Si(C
1〜20−アルキル)
3、C
4〜8−シクロアルキル、フェニル、及び5〜8員の複素環系からなる群から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されてよく、且つ
フェニル又は5〜8員の複素環系は1〜5個のC
1〜16−アルキル基で置換されてよく、且つ
Xはトリフラート又はハロゲン、好ましくは、Br−である)
の化合物と、
以下の式
【化11】
(式中、
R
3及びR
4は互いに独立してH又はC
1〜C
10−アルキルであるか、又はR
3及びR
4は、それらに結合する−O−B−O−単位と一緒に環、好ましくは、1個又は2個のC
1〜C
6−アルキル、好ましくは、メチルで置換され得る5員環を形成し、
Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はAlであり、
mは1、2又は3であり、
oは1、2又は3である)
の化合物とを反応させる工程を含む前記方法である。
【0040】
式(2)の化合物は、好ましくは、遷移金属触媒I、好ましくは、パラジウム触媒及び塩基の存在下で式(3)又は(5)の化合物と反応される。
【0041】
パラジウム触媒の例は、テトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウム(0)、塩化パラジウム(II)及び酢酸パラジウム(II)である。好ましくは、パラジウム触媒は、酢酸パラジウム(II)である。
【0042】
塩基は、アミン、金属又はアルカリ土類金属炭酸塩、金属又はアルカリ土類金属酢酸塩、又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物であってよい。アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムである。好ましくは、塩基はアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物である。更に好ましくは、塩基は水酸化リチウムである。
【0043】
好ましくは、ホスフィンも、金属触媒及び塩基に加えて存在する。ホスフィンの例は、トリフェニルホスフィン、好ましくは、N−フェニルピロール−P(tert−ブチル)
2である。
【0044】
反応は、テトラヒドロフランなどの有機溶媒の存在下で実施され得る。
【0045】
反応は、好ましくは、50〜200℃の範囲、更に好ましくは50〜120℃の範囲、最も好ましくは60〜90℃の範囲の高められた温度で実施され得る。
【0046】
好ましくは、化合物(2)は化合物(3)と反応する。
【0047】
式(3)の好ましい化合物は、以下の式
【化12】
(式中、oは1、2又は3である)
の化合物である。
【0048】
式(2)の化合物は、Chen, Z.; Zheng, Y.; Yan, H.; Facchetti, A. J. Am. Chem. Soc. 2009, 31, 8-9によって又はSakai, N.; Sisson, A. L; Buergi, T.; Matile, S. J. Am. Chem. Soc. 2007, 29, 15758-15759によって記載されるように製造され得る。
【0049】
式(3)の化合物は、以下の式
【化13】
(式中、oは1、2又は3である)
の化合物と、
(R
3O)−B−(OR
4)(6)(式中、
R
3及びR
4は互いに独立してH又はC
1〜C
10−アルキルであるか、又はR
3及びR
4は、それらを連結する−O−B−O−単位と一緒に環、好ましくは、1個又は2個のC
1〜C
6−アルキル、好ましくは、メチルで置換され得る5員環を形成する)
とを反応させることによって製造され得る。
【0050】
式(3)の化合物は、好ましくは、遷移金属触媒II、好ましくは、ジルコニウム触媒、更に好ましくは、シュワルツ試薬とも呼ばれるZrCp
2HClの存在下で式(6)の化合物と反応する。
【0051】
式(6)の好ましい化合物は
【化14】
である。
【0052】
反応は、好ましくは40〜200℃の範囲、更に好ましくは40〜100℃の範囲、最も好ましくは50〜80℃の範囲の高められた温度で実施され得る。
【0053】
式(4)の化合物は当該技術分野で公知の方法によって製造され得る。
【0054】
例えば、以下の式
【化15】
の化合物の製造方法はHuang, E. Chem. Commun. 2011, 47, 11990-11992に記載されている。
【0055】
例えば、以下の式
【化16】
の化合物の製造方法は、Neenan, Thomas X.; Whitesides, George M. J. Org. Chem., 1988, 53, 2489-2496によって記載されている。
【0056】
また、本発明の一部は、半導体材料として式(1)の単位を含むポリマーを含む電子デバイスである。
【0057】
電子デバイスは、任意の電子デバイス、例えば、有機光電池(OPV)、有機電界効果トランジスタ(OFET)又は有機発光ダイオード(OLED)であってよい。好ましくは、電子デバイスは有機電界効果トランジスタである。
【0058】
通常、有機電界効果トランジスタは、誘電体層、半導体層及び基板を含む。更に、有機電界効果トランジスタは、通常、ゲート電極及びソース/ドレイン電極を含む。
【0059】
有機電界効果トランジスタは、様々な設計、例えば、ボトムゲート型の設計又はトップゲート型の設計を有し得る。
【0060】
半導体層は本発明のポリマーを含む。半導体層は、5〜500nm、好ましくは10〜100nm、更に好ましくは20〜50nmの厚さを有し得る。
【0061】
誘電体層は、誘電材料を含む。誘電材料は、二酸化ケイ素、又は有機ポリマー、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(4−ビニルフェノール)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ベンゾシクロブテン(BCB)、又はポリイミド(PI)であってよい。誘電体層は、10〜2000nm、好ましくは、50〜1000nm、更に好ましくは100〜800nmの厚さを有し得る。
【0062】
ソース/ドレイン電極は、任意の好適なソース/ドレイン材料、例えば、銀(Ag)、金(Au)又はタンタル(Ta)から作られ得る。ソース/ドレイン電極は、1〜100nm、好ましくは、5〜50nmの厚さを有し得る。
【0063】
ゲート電極は、任意の好適なゲート材料、例えば、高度にドープされたシリコン、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、インジウムスズ酸化物、金(Au)及び/又はタンタル(Ta)から作られ得る。ゲート電極は、1〜200nm、好ましくは、5〜100nmの厚さを有し得る。
【0064】
基板は、任意の好適な基板、例えば、ガラス、又はプラスチック基板、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)であってよい。有機電界効果トランジスタの設計に応じて、ゲート電極と誘電体層の組み合わせも基板の役割を果たし得る。
【0065】
有機電界効果トランジスタは当該技術分野で公知の方法によって製造され得る。
【0066】
例えば、トップゲート有機電界効果トランジスタは、次のように製造され得る:
ソース電極及びドレイン電極は、適切なソース/ドレイン材料、例えば、Agを適した基板、例えば、PET上にリソグラフィでパターン形成することにより形成され得る。ソース/ドレイン電極は、次いで、溶媒処理によって、例えば、本発明の半導体材料の、好適な溶媒、例えば、テトラリン又はトルエンの溶液をスピンコーティングすることによって、半導体層で被覆され得る。半導体層は、誘電材料、例えば、ポリスチレンを、半導体層上にスピンコーティングすることによって誘電体層で被覆され得る。ゲート電極は、例えば、好適なソース/ドレイン材料、例えば、金(Au)の蒸着によって誘電体層上に堆積され得る。
【0067】
また、本発明の一部は、式(1)の単位を含むポリマーの半導体材料としての使用である。
【0068】
本発明のポリマーは、特に、周囲条件下での酸化に対して高い安定性を示す。本発明のポリマーは、液体処理技術に適合性であり、従って、低コスト、軽量及び可撓性の電子デバイスの製造を可能にする。有機デバイス、特に、半導体材料として本発明のポリマーを含む、有機電界効果トランジスタは、高い電荷キャリア移動度とオン/オフ比を示す。
【0069】
実施例
実施例1
ポリマー1aの製法
【化17】
【0070】
化合物3aの製法
5,5’−ジエチニル−2,2’−ビチオフェン(4a)(2.2g、10ミリモル)、ピナコールボラン(6a)(2.7g、21ミリモル)及びZrCp
2HCl(シュワルツ試薬)(260mg、1ミリモル)の混合物を管内に密封し、65℃で48時間撹拌する。その後、混合物をシリカゲルパッドに通し、溶離液としてヘキサンと酢酸エチル(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)を用いて逆相カラムで更に精製すると、白色固体(2.1g、49%)として化合物3aが得られる。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.39(d,2H,J=18Hz),7.07(d,2H,J=3.6Hz),7.97(d,2H,J=3.6Hz),5.97(d,2H,J=18Hz),1.50(s,24H).
【0071】
ポリマー1aの製造
化合物2a(300mg、0.31ミリモル)、化合物3a(180mg、0.38ミリモル)、N−フェニルピロール−P(tert−ブチル)
2(18mg、0.06ミリモル)、Pd(OAc)
2(3mg、0.02ミリモル)及びLiOH(96mg、2.29ミリモル)をシュレンク管に加える。反応容器を排気し、N
2で3回再充填する。次に、無水THF(13ml)を添加し、N
2下にて70℃で加熱する。20分後、1滴の2−ブロモチオフェンを添加し、1時間撹拌する。1滴の2−チオフェンボロン酸を添加し、反応混合物を更に1時間70℃で撹拌する。反応混合物を、1時間にわたりMeOH(900ml)を撹拌する大きなビーカー内に沈殿させた後に濾過し、残留物を、抽出物が無色になるまで一晩アセトン(250ml)によるソックスレー抽出にかける。残留物を、真空下で乾燥させ、最少量の熱いクロロベンゼン中に溶解し、1時間にわたりMeOH(900ml)を撹拌するビーカー内に沈殿させた後に濾過し、残留物を真空下で一晩乾燥させると、ポリマー1a(310mg、97%)が得られる。
1H NMR(400MHz,DCE,r.t.)δ9.06(brs,2H),8.74(d,2H,15.6Hz),7.64(d,2H,15.6Hz),7.27〜7.03(m,4H),4.25(br,4H),2.40(br,2H),1.49〜1.17(m,64H),1.01〜0.90(brs,12H).
Mn:3.44×10
4,PDI:2.06.
【0072】
実施例2
ポリマー1bの製法
【化18】
【0073】
化合物3bの製法
2,5−ジエチニルチオフェン(4b)(1.4g、10ミリモル)、ピナコールボラン(6a)(2.8g、21ミリモル)及びZrCp
2HCl(シュワルツ試薬)(260mg、1ミリモル)の混合物を管内に密閉し、65℃で70時間撹拌する。その後、混合物をシリカゲルパッドに通し、溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=15:1)としてヘキサンと酢酸エチルを用いる逆相カラムで更に精製すると、白色固体(1.55g、40%)として化合物3bが得られる。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.38(d,2H,J=18Hz),6.95(s,2H),5.91(d,2H,J=18Hz),1.50(s,24H)。
【0074】
ポリマー1bの製法
化合物2a(450mg、0.46ミリモル)、化合物3b(177mg、0.46ミリモル)、N−フェニルピロール−P(t−ブチル)
2(21mg、0.07ミリモル)、Pd(OAc)
2(4mg、0.02ミリモル)及び水酸化リチウム(115mg、2.74ミリモル)をシュレンク管に加える。反応容器を排気し、N
2で3回再充填する。次に、無水THF(11ml)を添加し、N
2下にて70℃で加熱する。22時間後、1滴の2−ブロモチオフェンを添加し、1時間撹拌する。1滴の2−チオフェンボロン酸を添加し、反応混合物を更に4時間70℃で撹拌する。反応混合物を、1時間にわたりMeOH(900ml)を撹拌する大きなビーカー内に沈殿させた後に濾過し、残留物を、抽出物が無色になるまで一晩アセトン(250ml)によるソックスレー抽出にかける。残留物を、真空下で乾燥させ、最少量の熱いクロロベンゼン中に溶解し、1時間にわたりMeOH(900ml)を撹拌するビーカー内に沈殿させた後に濾過し、残留物を真空下で一晩乾燥させると、ポリマー1b(330mg、73%)が得られる。
1H NMR(400MHz,DCE,r.t),δ9.06(brs,2H),8.70(d,2H,15.6Hz),7.58(d,2H,15.6Hz),7.52〜7.40(m,2H),4.29(br,4H),2.14(br,2H),1.50〜1.34(m,64H),1.01〜0.90(brs,12H).Mn:2.85×10
4,PDI:2.25.
【0075】
実施例3
半導体材料としてポリマー1a、1bをそれぞれ含むトップゲートボトムコンタクト型の電界効果トランジスタの製法
ポリマー1aをトルエン(5mg/ml)に溶解し、リソグラフィでパターン形成された銀(Ag)コンタクト(W/L=1000、L=10μm)を有するPET基板上に1500rpmで1分間スピンコートした後に、110℃のホットプレート上で2分間乾燥させる。
【0076】
ポリマー1bを、テトラリン(5mg/ml)中に溶解し、リソグラフィでパターン形成された銀(Ag)コンタクト(W/L=1000、L=10μm)を有するPET基板上に1000rpmで2分間スピンコート(110℃で加熱した溶液及び基板)した後に、110℃のホットプレート上で2分間乾燥させる。
【0077】
両方の場合において、ポリスチレンを、ゲート誘電体(イソプロピルアセテート中4質量%)として使用し、3600rpmで30秒間スピンコートすることによって堆積した後、90℃のホットプレート上で30秒間乾燥させる。全ての堆積を、周囲雰囲気下で行う。最後に、金(Au)を、ゲート電極として使用するために熱蒸着によって堆積させる。半導体層の厚さは30nmであり、誘電体層の厚さは420nmである。
【0078】
ポリマー1aを含むトランジスタの平均電荷キャリア移動度は、10
5のオン/オフ比で0.03cm
2/Vsであるが、式1bのポリマーを含むトランジスタの電荷キャリア移動度は、約10
4のオン/オフ比で0.04cm
2/Vsである。