(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
縦軸及びそれに直交する横軸を有し、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域に延びる吸収構造体とを含む使い捨て着用物品において、
前記クロッチ域は、前記横軸から前記前ウエスト域側へ延びる第1区域と、前記横軸から前記後ウエスト域側へ延びる第2区域とを有し、
前記前ウエスト域と前記第1区域の前記前ウエスト域側の部分とには、前記横軸の方向へ延びるウエスト弾性体が配設されており、
前記前ウエスト域には外面から視認可能な装飾部が配置され、前記第1区域には、外面から体液排泄の識別を可能にする、前記縦軸の方向において互いに間隔を空けて、かつ、前記横軸の方向へ延びる複数のライン状のインジケータ手段が配置されており、
前記インジケータ手段は、前記横軸側に位置する内側部と、前記前ウエスト域側に位置する外側部とを有し、
前記インジケータ手段の前記横軸の方向における両側には前記装飾部が配置されておらず、
前記インジケータ手段のうちの前記外側部のみが前記ウエスト弾性体の一部と重なっており、
前記前ウエスト域の内端近傍から前記横軸に向かって凸曲状に延び、かつ、前記第2区域を横断する中央部を有する前クロッチ弾性体と、前記後ウエスト域の内端近傍から前記横軸に向かって凸曲状に延びて前記前クロッチ弾性体と交差し、かつ、前記第1区域を横断する中央部を有する後クロッチ弾性体とをさらに含み、
前記前クロッチ弾性体と前記後クロッチ弾性体とは、前記第1区域において互いに交差し、
前記インジケータ手段の前記内側部は前記後クロッチ弾性体よりも前記前ウエスト域側に位置し、
前記インジケータ手段は、前記横軸の方向において、前記前クロッチ弾性体と前記後クロッチ弾性体とが互いに交差する部分間に位置し、前記インジケータ手段の配置領域が外側へ膨らんだ形状を有することを特徴とする着用物品。
前記装飾部は、前記前ウエスト域に位置する第1装飾部と、前記クロッチ域の前記第2区域から前記後ウエスト域に延びる第2装飾部とを有し、前記インジケータ手段は前記縦軸の方向において前記第1装飾部と前記第2装飾部との間に位置する請求項1〜4のいずれかに記載の着用物品。
前記インジケータ手段は、体液排泄前後において色彩が変化するものであって、前記装飾部の色彩が前記インジケータ手段の体液排泄前後のいずれの色彩とも類似しない請求項1〜6のいずれかに記載の着用物品。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1〜5を参照すると、本発明の第1実施形態に係る使い捨て着用物品の一例である使い捨ておむつ10は、縦軸Y及びそれに直交する横軸Xを有し、肌対向面及びそれに対向する非肌対向面と、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前ウエスト域11および後ウエスト域12の間に位置するクロッチ域13とを含む。おむつ10が展開された各図において、後述する各弾性体は、その収縮力に抗して伸長された状態にある。
【0012】
クロッチ域13は、説明の便宜上、横軸Xから前ウエスト域11側へ延びる第1区域21と、前記横軸Xから前記後ウエスト域12側へ延びる第2区域22とに区分される。
【0013】
おむつ10は、横軸Xと並行に延びる前後端部23,24と、縦軸Yに関して対称であって、互いに横軸Xの方向において対向する両側縁部25,26とを有する。両側縁部25,26は、着用者の大腿部に沿ってフィットするようにクロッチ域において凹曲状に形成されており、クロッチ域13の、中央部の前ウエスト域11側の部位が最も幅狭になっている。前ウエスト域11の前側縁部11a,11bと後ウエスト域12の後側縁部12a,12bとは、おむつ10の前後方向において互いに対向する各側縁部どうしが縦軸Yの方向へ断続的に延びるサイドシーム28によって連結されることによってウエスト開口30及び一対のレッグ開口31が画定される。サイドシーム28は、熱又は超音波によるエンボス/デボス加工によって互いに重なり合うシートが融着される。
【0014】
おむつ10は、非肌対抗面に位置し、前後ウエスト域11,12及びクロッチ域13に一連に延びる外層シート32と、肌対抗面に位置し、外層シート32と同形であって、中央に開口33aが形成された内層シート33とを有する。外層シート32と内層シート33との間には、前後ウエスト域11,12の前後側縁部11a,11b,12a,12b間において前後端部23,24に沿って横軸Xの方向へ延びる複数条の第1ウエスト弾性域34と、第1ウエスト弾性域34の縦軸Yの方向の内方において、前後側縁部11a,11b,12a,12b及びクロッチ域13の第1及び第2区域21,22の一部において横軸Xの方向へ延びる複数条の第2ウエスト弾性体35とが伸長状態で収縮可能に配設される。
【0015】
内外層シート32,33としては、例えば、不透液性であって好ましくは通気性を有する、質量が約10〜40g/m
2、繊維密度が約0.03〜0.1g/cm
3のスパンボンド繊維不織布、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、多孔質プラスチックフィルム、またはそれらのラミネートシートなどを用いることができる。外層シート32は、後記の第1及び第2装飾部41A,41B及びインジケータ手段43が外面から視認される程度の全光線透過率を有する。
【0016】
第1及び第2ウエスト弾性体34,35としては、例えば、繊度が約470〜1240dtexのストリング状又はストランド状の弾性材料から形成され、収縮又は弛緩状態の長さの約1.5〜3.5倍に伸長された状態で配設することができる。第1及び第2ウエスト弾性体34,35の太さ、伸長倍率、各弾性体間の離間寸法(ピッチ)等の条件は適宜変更することが可能であるが、着用者の身体に安定的に着用されるために、第1ウエスト弾性域34による弾性域の収縮力が第2ウエスト弾性体35による弾性域のそれよりも大きくなるように各弾性体の条件を設定することが好ましい。また、第1及び第2ウエスト弾性体34,35としてストリング状又はストランド状の弾性材料のほかに、内外層シート32,33に固定された所要幅を有する弾性シートを用いることもできる。
【0017】
外層シート32と第2ウエスト弾性体35との間には、その外面に複数の適宜の表示要素40が印刷された矩形の防漏シート(イラストシート)42が配置される。表示要素40は、排泄物の液分等の水分に触れても視覚的に変化しないインク等の着色材料等から形成される。表示要素40は、前後ウエスト域11,12とクロッチ域13の第2区域22とに配置されており、外部から視認可能な表複数の表示要素40から構成されてなる、前ウエスト域11に位置する第1装飾部41Aと後ウエスト域12及び第2区域22に位置する第2装飾部41Bとが形成される。
【0018】
本実施形態においては、表示要素40の一例として、星の図柄が示されているが、各種公知の図形、装飾模様、絵柄、商品の商標、製造者の表記等であってもよい。特に、表示要素40としてキャラクター等のデザイン性を有する絵柄を付した場合には、意匠的な効果を発揮し、おむつ10の外観が向上する。また、防漏シート42は複数のシート部材を組み合わせて形成されていてもよい。防漏シート42は、不透液性の繊維不織布、不透液性かつ通気性のプラスチックフィルム又はそれらのラミネートシートから形成され、少なくとも吸収構造体の下面の全体を覆う外形寸法を有し、吸収構造体の底面から排泄物が漏れるのを防止している。
【0019】
防漏シート42の内面における、クロッチ域13の第1区域21に位置する部分には、排泄の有無を母親や着用者自らに知らせるためのインジケータ手段43が設けられる。インジケータ手段43は、縦軸Yの方向において互いに離間して横軸Xの方向へ延びる複数のライン状を有し、尿等の排泄物の液分に濡れると呈色又は変色して外部から視認可能となるインク層44と、オプションとしての、好ましくは所要量の界面活性剤を含有したカバーシート45とから形成されている。インジケータ手段43を形成するインク層は、この種の分野において用いられる公知の材料、例えば、YH指示薬を含有したインク等の着色材料を用いることができ、好ましくは第1及び第2装飾部41A,41Bとの表示要素40とは異なる各種公知の図形、装飾模様、絵柄、文字等であってもよい。本実施形態において、インジケータ手段43は複数条のラインからなるインジケータ要素から構成されており、その内側部43aはインジケータ要素のうちで最も内側に位置する要素を表し、外側部43bは最も外側に位置する要素を表しているが、それらが一体となった外形状を有するものであってもよい。
【0020】
図3を参照すると、おむつ10は、内層シート33と外層シート32の間に複数の構成部材が介在されて構成されており、肌対向面側から順に、内層シート33、一対のバリアシート46、透液性を有する繊維不織布製の身体側ライナ47、パッド状の吸収性を有する吸収構造体48、第1及び第2ウエスト弾性体34,35、防漏シート42、外層シート32が積層されている。
【0021】
吸収構造体48は、木材フラッフパルプと、超吸収性ポリマー粒子等との混合物から形成された吸液性の芯材49と、芯材全体を包被するティシュペーパ等の液拡散性のコアラップシート50とを有する。一対のバリアシート46は、互いに横軸Yの方向において離間して配置されており、身体側ライナ47の両側にホットメルト接着剤を介して固定された近位縁部と、身体側ライナの前後端部にホットメルト接着剤を介して固定された前後固定端部と、前後固定端部間において縦軸Yの方向へ延びる、バリアシート46の側部を折曲して固定することによって形成されたスリーブ状又はループ状の遠位縁部51とを有する。遠位縁部51の内部には、弾性体52が伸長状態で収縮可能に取り付けられる。おむつ10の着用状態において、弾性体52が収縮することによって遠位縁部51が身体側ライナ47から着用者の身体側へ離間し、着用者の大腿部にフィットして排泄物の漏れを防止する防漏壁が形成される。
【0022】
図2を参照すると、身体側ライナ47及びバリアシート46の遠位縁部51は、内層シート33に被覆されており、それらの中央部が開口33aから外部に露出している。開口33aから露出した吸収構造体48の部分において排泄された体液が吸収構造体に吸収、保持され、また、バリアシート46のうちの内層シート33に被覆された部分は内層シート33の内面にホットメルト接着剤を介して固定されており、開口33aから露出したバリアシート46の遠位縁部51のみが防漏壁として機能する。
【0023】
図4及び5を参照すると、インジケータ手段43は、クロッチ域13の第1区域21に配設された第2ウエスト弾性体35の一部と重なって位置している。おむつ10の着用状態において、第2ウエスト弾性体35の配置されてない、それよりも内方に位置する吸収構造体48の位置する第1区域21の中央部は、第2ウエスト弾性体35に締め付けられることなく、圧縮復元弾性を有するパッド状の吸収構造体48の形状が維持されるので、外方へ膨らんだ形態となる。
図5の拡大図に示すとおり、膨出部分60は、第2ウエスト弾性体35の内側部35a近傍を起点として凸曲するので、着用者が視線を下したときに、その(上方)基端60a近傍を容易に視認することができる。インジケータ手段43の外側部43bは、第2ウエスト弾性体35の内側部35aと重なって位置するので、外側部43bは基端60a近傍から凸曲する部分に延び、着用者は内側部43aを容易に視認することができる。
【0024】
また、前ウエスト域11及びクロッチ域13の第1区域21において、意匠的効果を有する第1装飾部41Aは、インジケータ手段43から所与寸法離間して位置し、かつ、インジケータ手段43の横軸Xの方向における両側には、配置されていない。このように、前ウエスト域11に第1装飾部41Aが配置されていることによって、おむつ10全体の意匠効果が向上する一方、インジケータ手段43の直上及び両側には第1装飾部41Aが配置されていないので、排尿を確認するときに視線が誘導されて誤って第1装飾部41Aをインジケータ手段43と誤認するおそれはない。特に、着用者自らが下着やズボン等の衣類のウエスト部の開口を前方に拡げた状態で視線を下して排尿を確認する際に、インジケータ手段43の周辺に第1装飾部41Aが配置されている場合には、第1装飾部41Aとインジケータ手段43との判別が困難であるところ、かかる不利益を生じるおそれはない。また、着用者がトイレット・トレーニング中の幼児である場合には、母親等がインジケータ手段を特定するための形や色彩等の構成要素を口頭で説明したとしても、視線を下した先にインジケータ手段とともに装飾部が配置されていることによって瞬時にそれらを区別し難く、キャラクター等の装飾要素が配置された装飾部に無意識のうちに視線が誘導され易くなる。かかる場合において、このようにインジケータ手段43の周辺に第1装飾部41Aを配置しないことによって、母親等が着用者に対してインジケータ手段43の構成要素とともにその配置位置を示すことによって、インジケータ手段43を峻別することができる。
【0025】
着用者が自ら視線を下したときにインジケータ手段43を容易に確認するためには、おむつ10の前端縁(ウエスト開口縁)からインジケータ手段43の外側部43bまでの縦軸Yの方向における寸法L1は約100〜150mmであることが好ましい。また、インジケータ手段43は、縦軸Yの方向における横軸Xと第2ウエスト弾性体35の内側部35aとの離間寸法R1の中央部よりも前ウエスト域11側に位置していることが好ましい。横軸X近傍は着用者の大腿部間に挟まれ、かつ、第2ウエスト弾性体35の配設された領域はその収縮力によって着用者の身体にフィットされることから、横軸Xと内側部35aとの間が膨出部60として外方へ突出した態様となり、
図5に示すとおり、離間寸法R1の中央部近傍が膨出部60のうちで最も外方へ突出した部位(最突出部位)62bとなる。通常のおむつにおけるインジケータ手段は、最突出部位62bよりも後方に位置することによって、着用者が自ら視認しづらくなっているところ、本実施形態におけるインジケータ手段43は、最突出部位62bよりも前ウエスト域11に位置するので、着用者が視線を下したときに瞬時に視認することができる。かかる効果を奏するために、インジケータ手段43は少なくとも横軸Xと内側部35aとの間に位置していることが好ましいが、該領域にのみ配置して他の領域に配置しないことによって、効率よく着用者自らに排尿を知らせることができ、インジケータ手段43を比較的広範囲に配置することによる外観の低下を防ぐとともに、材料コストを抑えることができる。
【0026】
インジケータ手段43と第1装飾部41Aとを容易に峻別することができるためには、第1装飾部41Aの内端縁64とインジケータ手段43の外側部43bとの縦軸Yの方向における離間寸法R2が約5.0mm以上であることが好ましい。離間寸法R2が約5.0mm以下の場合には、第1装飾部41Aとインジケータ手段43が近接して、着用者及び着用補助者がそれらを容易に峻別することができないおそれがあるからである。
【0027】
インジケータ手段43の内側部43aと第2装飾部41Bの内側部66との縦軸Yの方向における離間寸法R3は約5.0mm以上であることが好ましい。かかる場合には、インジケータ手段43の外側部43bと第2装飾部41Bとが近接することはなく、着用者等が視線を奪われたりするおそれはないからである。また、第1及び第2装飾部41A,41Bの横軸Xの方向における寸法が、インジケータ手段43の横軸Xにおける寸法よりも大きくなっている。具体的には、前者が約180mm、後者が約60mmである。このように、第1及び第2装飾部41A,41Bの横軸Xの方向における寸法がインジケータ手段43の横軸Xの方向における寸法よりも大きいことによって、インジケータ手段43の両側には第1及び第2装飾部41A,41Bに囲まれた表示要素40の配置されていない非装飾部が形成されるので、インジケータ手段43を相対的に目立たせることができる。
【0028】
尿に接触する前のインジケータ手段43の色彩及び尿に接触後においてインジケータ手段43の呈色又は変色した色彩は、好ましくは、第1及び第2装飾部41A,41Bの色彩と非類似である。これらの色彩が類似する場合には、着用者が排尿を確認するときに、第1及び第2装飾部41A,41Bとインジケータ手段43とを峻別することができず、排尿の有無を誤認するおそれがあるからである。ここで、色彩が非類似であるとは、通常の注意力を有する観察者(着用者又は着用補助者)が見て類似してないと認識しうる程度のものであって、例えば、オスワルド(Ostwald)色相環に分類された24色の式票で異なる色票であって、反対色の場合等をいう。このように、インジケータ手段43の排尿前の色彩及び排尿後における呈色又は変色した色彩が第1及び第2装飾部41A,41Bの反対色である場合には、排尿の前後においてインジケータ手段43と第1及び第2装飾部41A,41Bのコントラストが明瞭となり、両者をより区別し易くになる。
【0029】
<変更例>
図6は、インジケータ手段43の形状の変更例の一例を示すものであって、インジケータ手段43は、縦軸Yの方向において互いに所与寸法離間する、横軸Xの方向へ延びる複数のライン状を有し、かつ、外側部43bから内側部43aに向かって次第に横軸Xの方向における寸法が大きくなっている。おむつ10の着用状態において、第2ウエスト弾性体35の内側部35aの内方(下方)に位置する膨出部60のうちの下方部位は外側部43b側の部位に比して視認し難くなるところ、インジケータ手段43がかかる態様を有することによって、内側部43a側についても視認し易くなるとともに、その意匠的な効果によって、着用者及び着用補助者の視線が無意識にインジケータ手段43に誘導され易くなる。
【0030】
<第2実施形態>
図7を参照すると、本実施形態におけるおむつ10においては、第2ウエスト弾性体35が防漏シート42の両側縁まで延びており、少なくとも吸収構造体48の存在域には実質的に配置されておらず、第2ウエスト弾性体35の配設された領域には、横軸Xの方向において離間対向して位置する弾性域68A,68B,それらの間には非弾性域69が画成される。該非弾性域69は、第2ウエスト弾性体35において、中央部をシート部材に固定せず、かつ、伸長状態においてそれを切断することにより、スナップバックさせることで画成することができる。本実施形態において、インジケータ手段43の外側部43bは、第2ウエスト弾性体35の内側部35aと横軸Xの方向において並んで位置しており、かかる場合においてもインジケータ手段43は膨出部60の基端60a近傍に位置するので、既述の効果を奏し得る。したがって、このように、非弾性域69が画成され、インジケータ手段43が第2ウエスト弾性体35と実際に重なっておらず、少なくともその外側部43bが非弾性域69に位置する態様についても、本発明において排除されるものではない。また、このように吸液構造体48の存在域に第2ウエスト弾性体35が配置されていないことによって、第2ウエスト弾性体35の収縮力によって吸液構造体48に皺が形成される等して、その吸液性能が阻害されることはない。
【0031】
<第3実施形態>
図8及び9を参照すると、本実施形態におけるおむつ10は、内層シート33と外層シート32との間において、両シート32,33のうちの少なくとも一方の内面に塗布されたホットメルト接着剤を介して伸長状態で収縮可能に固定されたクロッチ弾性体70とを有する。クロッチ弾性体70は、前ウエスト域11の両側縁部11a,11bの内端近傍から横軸Xに向かって凸曲状に延びる形状を有し、第1区域21のレッグ開口縁部に沿って延びる両側部71と、第2区域22においてクロッチ域13を横断する中央部72とを有する。インジケータ手段43は、クロッチ弾性体70の中央部72よりも縦軸Yの方向の外側に位置する。クロッチ弾性体70が配設されることによって、クロッチ域13の前ウエスト域11側が着用者の身体によりフィットし、排泄物の横漏れを確実に防ぐことができる。
【0032】
このように、クロッチ域13の第1区域21において、インジケータ手段43を囲むようにクロッチ弾性体70が配設されることによって、インジケータ手段43が配置された膨出部60の中央部位は、クロッチ弾性体70がその外周を締めつけているので、より外方へ凸曲し、着用者が視線を下したときにインジケータ手段43をさらに容易に確認することができるようになる。
【0033】
<第4実施形態>
図10を参照すると、本実施形態におけるおむつ10は、外層シート32と内層シート33との間において、両シート32,33のうちの少なくとも一方に塗布されたホットメルト接着剤を介して伸長状態で収縮可能に固定された前後クロッチ弾性体74,75とを有する。前クロッチ弾性体74は、前ウエスト域11の両側縁部11a,11bの内端近傍から横軸Xに向かって凸曲状に延びる形状であって、第1区域21のレッグ開口縁部に沿って延びる両側部76と、第2区域22においてクロッチ域13を横断する中央部77とを有する。後クロッチ弾性体75は、後ウエスト域12の両側縁部12a,12bの内端近傍から横軸Xに向かって凸曲状に延びる形状であって、第2区域22のレッグ開口縁部に沿って延びる両側部78と、第2区域22においてクロッチ域13を横断する中央部79を有する。前クロッチ弾性体74の中央部77と後クロッチ弾性体75の中央部79とは、それらの両側部位どうしが第1区域21の横軸X近傍において互いに交差している。
【0034】
インジケータ手段43は、後クロッチ弾性体75の中央部よりも縦軸Yの方向の外方に位置し、前クロッチ弾性体74の両側部76と後クロッチ弾性体75の中央部79とに囲まれた領域に位置する。該領域は、第2ウエスト弾性体35が配設されておらず、かつ、前クロッチ弾性体74の両側部76と後クロッチ弾性体75の中央部79とに囲まれてその外周がそれらによって締めつけられているので、前後クロッチ弾性体74,75が配設されていない場合に比してより膨出部60が外方へ膨らんだような凸曲した形態を有する。また、第1区域21の横軸X近傍において前クロッチ弾性体74の中央部77と後クロッチ弾性体75の中央部79とが交差することによって膨出部60の下端が前クロッチ弾性体74のみが配設されている場合に比してさらに強く締め付けられ、下端が外方へ凸曲して着用者が視線を下したときにインジケータ手段43の内側部43aをより視認し易くなる。
【0035】
使い捨ておむつ10を構成する各構成部材には、特に明記されていない限りにおいて、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種公知の材料を制限なく用いることができる。また、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている「第1」及び「第2」の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いている。
【0036】
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
縦軸及びそれに直交する横軸を有し、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域に延びる吸収構造体とを含む使い捨て着用物品において、
前記クロッチ域は、前記横軸から前記前ウエスト域側へ延びる第1区域と、前記横軸から前記後ウエスト域側へ延びる第2区域とを有し、
前記前ウエスト域と前記第1区域の前記前ウエスト域側の部分とには、前記横軸の方向へ延びるウエスト弾性体が配設されており、
前記前ウエスト域には外面から視認可能な装飾部が配置され、前記第1区域には、外面から体液排泄の識別を可能にする
、前記縦軸の方向において互いに間隔を空けて、かつ、前記横軸の方向へ延びる複数のライン状のインジケータ手段が配置されており、
前記インジケータ手段は、前記横軸側に位置する内側部と、前記前ウエスト域側に位置する外側部とを有し、
前記インジケータ手段の前記横軸の方向における両側には前記装飾部が配置されておらず、
前記インジケータ手段
のうちの前記外側部
のみが前記ウエスト弾性体の一部と重
なっており、
前記前ウエスト域の内端近傍から前記横軸に向かって凸曲状に延び、かつ、前記第2区域を横断する中央部を有する前クロッチ弾性体と、前記後ウエスト域の内端近傍から前記横軸に向かって凸曲状に延びて前記前クロッチ弾性体と交差し、かつ、前記第1区域を横断する中央部を有する後クロッチ弾性体とをさらに含み、
前記前クロッチ弾性体と前記後クロッチ弾性体とは、前記第1区域において互いに交差し、
前記インジケータ手段の前記内側部は前記後クロッチ弾性体よりも前記前ウエスト域側に位置し、
前記インジケータ手段は、前記横軸の方向において、前記前クロッチ弾性体と前記後クロッチ弾性体とが互いに交差する部分間に位置し、前記インジケータ手段の配置領域が外側へ膨らんだ形状を有することを特徴とする。
【0037】
上記段落
0036に開示した本発明に係る使い捨て着用物品は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)前記装飾部の前記横軸の方向における寸法は、前記インジケータ手段の前記横軸の方向における寸法よりも大きい。
(2)前記インジケータ手段は、前記外側部から前記内側部にむかって次第に前記横軸の方向の寸法が大きくなっている。
(3)前記装飾部のうちの前記インジケータ手段と対向する内側部と、前記インジケータ手段の前記外側部との前記縦軸の方向における離間寸法は少なくと
も5.0mmである。
(4)前記装飾部は、前記前ウエスト域に位置する第1装飾部と、前記クロッチ域の前記第2区域から前記後ウエスト域に延びる第2装飾部とを有し、前記インジケータ手段は前記縦軸の方向において前記第1装飾部と前記第2装飾部との間に位置する。
(5)前記第2装飾部のうちの前記インジケータ手段と対向する内側部と、前記インジケータ手段の前記内側部との前記縦軸の方向における離間寸法は少なくと
も5.0mmである。
(
6)前記インジケータ手段は、体液排泄前後において色彩が変化するものであって、前記装飾部の色彩が前記インジケータ手段の体液排泄前後のいずれの色彩とも類似しない。