(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪硬化性組成物≫
硬化性組成物は、特定の構造の(A)エポキシ化合物と、(B)シリカ又はシロキサン化合物と、(C)酸発生剤とを含む。また、硬化性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、(A)〜(B)の成分の他の成分を含んでいてもよい。以下、硬化性組成物に含まれる成分について説明する。
【0013】
〔(A)エポキシ化合物〕
硬化性組成物は、(A)エポキシ化合物として、下記式(1)で表されるエポキシ化合物を含む。硬化性組成物は、下記式(1)で表されるエポキシ化合物を含むため、透明性に優れ、反射率及び屈折率が低い硬化物を与える。
【0014】
【化2】
(式(1)中、Xは単結合、−O−、−O−CO−、−S−、−SO−、−SO
2−、−CH
2−、−C(CH
3)
2−、−CBr
2−、−C(CBr
3)
2−、−C(CF
3)
2−、及び−R
19−O−CO−からなる群より選択される2価の基であり、R
19は炭素数1〜8のアルキレン基であり、R
1〜R
18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
【0015】
式(1)中、R
19は、炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基又はエチレン基であるのが好ましい。
【0016】
R
1〜R
18が有機基である場合、有機基は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともにハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。
【0017】
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。有機基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が特に好ましい。
【0018】
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0019】
ハロゲン化炭化水素基の具体例は、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基である。
【0020】
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例は、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロピルオキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロピルオキシ−n−プチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロピルオキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロピルオキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロピルオキシ基、3−エトキシ−n−プロピルオキシ基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピルオキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロピルオキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基である。
【0021】
R
1〜R
18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、及び炭素数1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される基が好ましく、特に硬化性組成物を用いて得られる硬化物の硬度の観点からR
1〜R
18が全て水素原子であるのがより好ましい。
【0022】
式(1)で表されるエポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては以下の化合物1及び2が挙げられる。
【化3】
【0023】
硬化性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、式(1)で表されるエポキシ化合物とともに、式(1)で表されるエポキシ化合物以外のエポキシ化合物を含んでいてもよい。式(1)で表されるエポキシ化合物ともに使用できるエポキシ化合物の例は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、及びビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート、リモネンジエポキシド、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステル、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステルのε−カプロラクトン付加物、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステル、及びエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステルのε−カプロラクトン付加物等の脂環式エポキシ樹脂である。
【0024】
硬化性組成物が式(1)で表されるエポキシ化合物の他のエポキシ化合物を含む場合、硬化性組成物中のエポキシ化合物中の総質量に対する式(1)で表されるエポキシ化合物の量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
【0025】
〔(B)シリカ又はシロキサン化合物〕
シリカ又はシロキサン化合物は、特に限定されず種々使用することができる。本出願の明細書及び特許請求の範囲では、Si−O−Si結合を有するシロキサン化合物であってシリカ(二酸化ケイ素)以外の化合物を「シロキサン化合物」と称する。
【0026】
シリカ又はシロキサン化合物の中では、内部に空間を有するものが好ましい。内部に空間を有するシリカ又はシロキサン化合物を用いることで、透過率に優れ、反射率が低く、硬度の高い硬化物を与える硬化性組成物を得やすい。内部に空間を有するシリカ又はシロキサン化合物の好適な例としては、中空シリカ、多孔質シリカ、及びかご型シルセスキオキサン等が挙げられる。
【0027】
中空シリカは、市販されているものを用いても、合成したものを用いてもよい。中空シリカは、例えば以下に説明するような方法で合成することができる。
【0028】
まず、無機酸化物の存在下に、ケイ酸塩水溶液中のケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩を反応させて無機酸化物とシリカとからなる核粒子を調製する。無機酸化物としては、Al
2O
3、B
2O
3、TiO
2、ZrO
2、SnO
2、Ce
2O
3、P
2O
5、Sb
2O
3、MoO
3、ZnO
2、WO
3等が挙げられる。核粒子の分散液中で、水ガラスのようなケイ酸塩水溶液や、メチルシリケートやエチルシリケートのような加水分解性基を有するケイ素化合物を縮合させて、シリカ被覆層により被覆された核粒子を調製する。シリカ被覆層により被覆された核粒子を酸により処理し、核粒子中の無機酸化物成分を除去することにより、1又は複数の空洞を内部に有する中空シリカ粒子が得られる。表面にシリカ被覆層を備える中空のシリカ粒子を、さらにケイ酸塩水溶液や加水分解性基を有するケイ素化合物で、所望する回数処理することで、多層構造のシリカ被覆層を表面に備える中空シリカ粒子を調製することもできる。
【0029】
多孔質シリカは、市販されているものを用いても、合成したものを用いてもよい。多孔質シリカは、例えば、メチルシリケートやエチルシリケートのような加水分解性基を有するケイ素化合物を、アンモニアのような塩基の存在下に加水分解重縮合させる方法や、ポリビニルアルコールやセルロースのような高分子の存在下に加水分解重縮合させる方法により合成することができる。
【0030】
かご型シルセスキオキサンは、下記式(2)で表される化合物であって、中空構造のかご型の分子構造を有する。例えば、オクタヘドラル構造を有するかご型シルセスキオキサンは下記式(3)で表される。
(RSiO
3/2)
p・・・(2)
〔式(2)中、Rは、水酸基、水素原子、及び有機基からなる群より選択される基であり、pは6以上の偶数である。〕
【0031】
かご型シルセスキオキサンがRとして水酸基(シラノール基)を有する場合、かご型シルセスキオキサンは、その一部又は全部が、シラノール基の脱水縮合により生成する、例えば2〜5量体、好ましくは2〜3量体であるオリゴマーであってもよい。
【0032】
【化4】
〔式(3)中、R
19〜R
26はそれぞれ独立に、水酸基、水素原子、及び有機基からなる群より選択される基である。〕
【0033】
かご型シルセスキオキサンに含まれるケイ素原子数は、6、8、10、又は12が好ましい。ケイ素原子数が12より多いかご型シルセスキオキサンは、合成が困難であり入手が容易でない。ケイ素原子数が8であるかご型シルセスキオキサンについて、様々な置換基を有するものが合成されており、その合成方法は、Chem.Rev.,Vol.96,2205−2236(1996)に開示されており、工業的に入手することも可能である。
【0034】
かご型シルセスキオキサンが有機基を有する場合、有機基は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともにハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。有機基としては炭化水素基が好ましく、フェニル基、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましい。
【0035】
以上説明したかご型シルセスキオキサンの中では、透過率、屈折率、及び硬度等に優れる硬化物を与える硬化性組成物を得やすいことから、R
19〜R
26が全て水酸基である式(3)で表されるかご型シルセスキオキサンが好ましい。また、R
19〜R
26が全て水酸基である式(3)で表されるかご型シルセスキオキサンは、その一部又は全部が、シラノール基の脱水縮合により生成する、例えば2〜5量体、好ましくは2〜3量体であるオリゴマーであってもよい。
【0036】
硬化性組成物中のシリカ又はシロキサン化合物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、硬化性組成物中のシリカ又はシロキサン化合物の含有量は、式(1)で表されるエポキシ化合物100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、20〜50質量部が特に好ましい。
【0037】
〔(C)酸発生剤〕
酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤、又は加熱により酸を発生する熱酸発生剤が好適に使用される。
【0038】
光酸発生剤としては、以下に説明する、第一〜第五の態様の酸発生剤が好ましい。以下、光酸発生剤のうち好適なものについて、第一から第五の態様として説明する。
【0039】
光酸発生剤における第一の態様としては、下記一般式(c1)で表される化合物が挙げられる。
【0041】
上記一般式(c1)中、X
1cは、原子価gの硫黄原子又はヨウ素原子を表し、gは1又は2である。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。R
1cは、X
1cに結合している有機基であり、炭素数6〜30のアリール基、炭素数4〜30の複素環基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、又は炭素数2〜30のアルキニル基を表し、R
1cは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アシロキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリール、複素環、アリールオキシ、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキレンオキシ、アミノ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。R
1cの個数はg+h(g−1)+1であり、R
1cはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。また、2個以上のR
1cが互いに直接、又は−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−NH−、−NR
2c−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、若しくはフェニレン基を介して結合し、X
1cを含む環構造を形成してもよい。R
2cは炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。
【0042】
X
2cは下記一般式(c2)で表される構造である。
【化6】
【0043】
上記一般式(c2)中、X
4cは炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数8〜20の複素環化合物の2価の基を表し、X
4cは炭素数1〜8のアルキル、炭素数1〜8のアルコキシ、炭素数6〜10のアリール、ヒドロキシ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。X
5cは−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−NH−、−NR
2c−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。h+1個のX
4c及びh個のX
5cはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R
2cは前述の定義と同じである。
【0044】
X
3c−はオニウムの対イオンであり、下記式(c17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン又は下記式(c18)で表されるボレートアニオンが挙げられる。
【0046】
上記式(c17)中、R
3cは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。jはその個数を示し、1〜5の整数である。j個のR
3cはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0048】
上記式(c18)中、R
4c〜R
7cは、それぞれ独立にフッ素原子又はフェニル基を表し、該フェニル基の水素原子の一部又は全部は、フッ素原子及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
【0049】
上記一般式(c1)で表される化合物中のオニウムイオンとしては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、又は4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、等が挙げられる。
【0050】
上記一般式(c1)で表される化合物中のオニウムイオンのうち、好ましいオニウムイオンとしては下記一般式(c19)で表されるスルホニウムイオンが挙げられる。
【0052】
上記式(c19)中、R
8cはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアリール、アリールカルボニル、からなる群より選ばれる基を表す。X
2cは、上記一般式(c1)中のX
2cと同じ意味を表す。
【0053】
上記式(c19)で表されるスルホニウムイオンの具体例としては、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウムが挙げられる。
【0054】
上記一般式(c17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンにおいて、R
3cはフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、好ましい炭素数は1〜8、さらに好ましい炭素数は1〜4である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐アルキル基;さらにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクヘキシル等のシクロアルキル基等が挙げられ、アルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された割合は、通常、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%である。フッ素原子の置換率が80%未満である場合には、上記一般式(c1)で表されるオニウムフッ素化アルキルフルオロリン酸塩の酸強度が低下する。
【0055】
特に好ましいR
3cは、炭素数が1〜4、且つフッ素原子の置換率が100%の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基であり、具体例としては、CF
3、CF
3CF
2、(CF
3)
2CF、CF
3CF
2CF
2、CF
3CF
2CF
2CF
2、(CF
3)
2CFCF
2、CF
3CF
2(CF
3)CF、(CF
3)
3Cが挙げられる。R
3cの個数jは、1〜5の整数であり、好ましくは2〜4、特に好ましくは2又は3である。
【0056】
好ましいフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンの具体例としては、[(CF
3CF
2)
2PF
4]
−、[(CF
3CF
2)
3PF
3]
−、[((CF
3)
2CF)
2PF
4]
−、[((CF
3)
2CF)
3PF
3]
−、[(CF
3CF
2CF
2)
2PF
4]
−、[(CF
3CF
2CF
2)
3PF
3]
−、[((CF
3)
2CFCF
2)
2PF
4]
−、[((CF
3)
2CFCF
2)
3PF
3]
−、[(CF
3CF
2CF
2CF
2)
2PF
4]
−、又は[(CF
3CF
2CF
2)
3PF
3]
−が挙げられ、これらのうち、[(CF
3CF
2)
3PF
3]
−、[(CF
3CF
2CF
2)
3PF
3]
−、[((CF
3)
2CF)
3PF
3]
−、[((CF
3)
2CF)
2PF
4]
−、[((CF
3)
2CFCF
2)
3PF
3]
−、又は[((CF
3)
2CFCF
2)
2PF
4]
−が特に好ましい。
【0057】
上記一般式(c18)で表されるボレートアニオンの好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C
6F
5)
4]
−)、テトラキス[(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(C
6H
4CF
3)
4]
−)、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C
6F
5)
2BF
2]
−)、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C
6F
5)BF
3]
−)、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート([B(C
6H
3F
2)
4]
−)等が挙げられる。これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C
6F
5)
4]
−)が特に好ましい。
【0058】
光酸発生剤における第二の態様としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の下記一般式(c3)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
【0060】
上記一般式(c3)中、R
9c、R
10c、R
11cは、それぞれ独立にハロゲン化アルキル基を表す。
【0061】
また、光酸発生剤における第三の態様としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、並びにオキシムスルホネート基を含有する下記一般式(c4)で表される化合物が挙げられる。
【0063】
上記一般式(c4)中、R
12cは、1価、2価、又は3価の有機基を表し、R
13cは、置換若しくは未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
【0064】
上記一般式(c4)中、芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基や、フリル基、チエニル基等のヘテロアリール基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、R
13cは、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。特に、R
12cが芳香族性化合物基であり、R
13cが炭素数1〜4のアルキル基である化合物が好ましい。
【0065】
上記一般式(c4)で表される酸発生剤としては、n=1のとき、R
12cがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基のいずれかであって、R
13cがメチル基の化合物、具体的にはα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリル、〔2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロキシチオフェン−3−イリデン〕(o−トリル)アセトニトリル等が挙げられる。n=2のとき、上記一般式(c4)で表される光酸発生剤としては、具体的には下記式で表される光酸発生剤が挙げられる。
【0067】
また、光酸発生剤における第四の態様としては、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩が挙げられる。この「ナフタレン環を有する」とは、ナフタレンに由来する構造を有することを意味し、少なくとも2つの環の構造と、それらの芳香族性が維持されていることを意味する。このナフタレン環は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。ナフタレン環に由来する構造は、1価基(遊離原子価が1つ)であっても、2価基(遊離原子価が2つ)以上であってもよいが、1価基であることが望ましい(ただし、このとき、上記置換基と結合する部分を除いて遊離原子価を数えるものとする)。ナフタレン環の数は1〜3が好ましい。
【0068】
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のカチオン部としては、下記一般式(c5)で表される構造が好ましい。
【化13】
【0069】
上記一般式(c5)中、R
14c、R
15c、R
16cのうち少なくとも1つは下記一般式(c6)で表される基を表し、残りは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、水酸基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表す。あるいは、R
14c、R
15c、R
16cのうちの1つが下記一般式(c6)で表される基であり、残りの2つはそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。
【0071】
上記一般式(c6)中、R
17c、R
18cは、それぞれ独立に水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、R
19cは、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。l及びmは、それぞれ独立に0〜2の整数を表し、l+mは3以下である。ただし、R
17cが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。また、R
18cが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0072】
上記R
14c、R
15c、R
16cのうち上記式(c6)で表される基の数は、化合物の安定性の点から好ましくは1つであり、残りは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。この場合、上記2つのアルキレン基は、硫黄原子を含めて3〜9員環を構成する。環を構成する原子(硫黄原子を含む)の数は、好ましくは5〜6である。
【0073】
また、上記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、酸素原子(この場合、アルキレン基を構成する炭素原子とともにカルボニル基を形成する)、水酸基等が挙げられる。
【0074】
また、フェニル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
【0075】
これらのカチオン部として好適なものとしては、下記式(c7)、(c8)で表されるもの等を挙げることができ、特に下記式(c8)で表される構造が好ましい。
【化15】
【0076】
このようなカチオン部としては、ヨードニウム塩であってもスルホニウム塩であってもよいが、酸発生効率等の点からスルホニウム塩が望ましい。
【0077】
従って、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のアニオン部として好適なものとしては、スルホニウム塩を形成可能なアニオンが望ましい。
【0078】
このような酸発生剤のアニオン部としては、水素原子の一部又は全部がフッ素化されたフルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンである。
【0079】
フルオロアルキルスルホン酸イオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、発生する酸の嵩高さとその拡散距離から、炭素数1〜10であることが好ましい。特に、分岐状や環状のものは拡散距離が短いため好ましい。また、安価に合成可能なことから、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等を好ましいものとして挙げることができる。
【0080】
アリールスルホン酸イオンにおけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。特に、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。好ましいものの具体例として、フェニル基、トルエンスルホニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等を挙げることができる。
【0081】
上記フルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンにおいて、水素原子の一部又は全部がフッ素化されている場合のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。このようなものとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート等が挙げられる。
【0082】
これらの中でも、好ましいアニオン部として、下記一般式(c9)で表されるものが挙げられる。
【化16】
【0083】
上記式(c9)において、R
20cは、下記式(c10)、(c11)で表される基や、下記式(c12)で表される基である。
【化17】
【0084】
上記式(c10)中、xは1〜4の整数を表す。また、上記式(c11)中、R
21cは、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表し、yは1〜3の整数を表す。これらの中でも、安全性の観点からトリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートが好ましい。
【0085】
また、アニオン部としては、下記式(c13)、(c14)で表される窒素を含有するものを用いることもできる。
【0087】
上記式(c13)、(c14)中、X
cは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは3〜5、最も好ましくは炭素数3である。また、Y
c、Z
cは、それぞれ独立に少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
【0088】
X
cのアルキレン基の炭素数、又はY
c、Z
cのアルキル基の炭素数が小さいほど有機溶剤への溶解性も良好であるため好ましい。
【0089】
また、X
cのアルキレン基又はY
c、Z
cのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、より好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
【0090】
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩として好ましいものとしては、下記式(c15)、(c16)で表される化合物が挙げられる。
【0092】
また、光酸発生剤における第五の態様としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシラート、ニトロベンジルスルホナート、ニトロベンジルカルボナート、ジニトロベンジルカルボナート等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールトリメシラート、ピロガロールトリトシラート、ベンジルトシラート、ベンジルスルホナート、N−メチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−トリクロロメチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−フェニルスルホニルオキシマレイミド、N−メチルスルホニルオキシフタルイミド等のスルホン酸エステル類;N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシナフタルイミド等のトリフルオロメタンスルホン酸エステル類;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のオニウム塩類;ベンゾイントシラート、α−メチルベンゾイントシラート等のベンゾイントシレート類;その他のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、フェニルジアゾニウム塩、ベンジルカルボナート等が挙げられる。
【0093】
熱酸発生剤の好適な例としては、有機スルホン酸のオキシムエステル化合物、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、その他の有機スルホン酸のアルキルエステル等が挙げられる。また、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩等も熱酸発生剤として適宜使用することが可能である。これらの中では、加熱されない状態での安定性に優れることから、有機スルホン酸のオキシムエステル化合物が好ましい。
【0094】
硬化性組成物中の酸発生剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化性組成部中の酸発生剤の含有量は、硬化性組成物中のエポキシ化合物の総量100質量に対して、0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜30質量部がより好ましく、1〜20質量部が特に好ましい。
【0095】
〔その他の成分〕
硬化性組成物には、必要に応じて各種の添加剤を加えてもよい。具体的には、溶剤、増感剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、密着増強剤、及び界面活性剤等が例示される。これらの添加剤の使用量は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、添加剤の種類に応じて適宜決定される。
【0096】
≪硬化性組成物の製造方法≫
硬化性組成物の製造方法は特に限定されない。硬化性組成物は、以上説明した、(A)エポキシ化合物、(B)シリカ又はシロキサン化合物、及び(C)酸発生剤と、必要に応じてその他の成分とを、公知の混合装置により均一に混合することにより製造できる。
【0097】
≪硬化物の製造方法≫
以上説明した硬化性組成物は周知の方法に従って、硬化させることができる。具体的には、種々の基板表面や各種部品中の硬化物の形成箇所に、硬化性組成物を塗布又は充填した後に、硬化性組成物を硬化させればよい。硬化性組成物を硬化させる際には、酸発生剤より酸を発生させる。酸を発生させる方法は、酸発生剤の種類に応じて、硬化性組成物への紫外線又は電子線等の活性エネルギー線のような光の照射と、硬化性組成物の加熱とから選択される。光の照射により、硬化性組成物を硬化させる際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が用いられる。
【0098】
また、酸発生剤が光酸発生剤である場合、所望するパターンのマスクを介して硬化性組成物を露光することによって、硬化物のパターンを形成することもできる。硬化物のパターンを形成する場合には、露光後に、適当な有機溶剤を用いて非露光部を除去することで、パターンを現像することができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0100】
[調製例1]
(中空シリカの調製)
平均粒子径5nm、SiO
2濃度20質量%のシリカゾル100gと、純水1900gとの混合物を80℃に加熱し反応母液を得た。反応母液のpHは10.5であった。反応母液の温度を80℃に保持しながら、SiO
2として濃度0.76質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gと、Al
2O
3として濃度1.25質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを、反応母液に同時に添加した。反応母液のpHは、ケイ酸ナトリウム水溶液及びアルミン酸ナトリウム水溶液の添加直後に12.5まで上昇したが、その後、殆ど変化しなかった。ケイ酸ナトリウム水溶液及びアルミン酸ナトリウム水溶液の添加後、反応母液を室温まで冷却し、限外ろ過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO
2・Al
2O
3核粒子分散液を調製した。
【0101】
得られた核粒子分散液500gに純水1700gを加えた後、希釈された核粒子分散液を98℃に加温した。同温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO
2濃度3.5質量%)3000gを核粒子分散液に添加して、核粒子の表面に第1シリカ被覆層が形成された被覆粒子の分散液を得た。
【0102】
次いで、限外ろ過膜を用いて洗浄された後に固形分濃度13質量%に調製された被覆粒子の分散液500gに純水1125gを加えた。希釈された被覆粒子の分散液のpHを、濃度35.5質量%の塩酸水溶液を用いて1.0に調製して、被覆粒子からアルミニウム成分を除いた。次いで、脱アルミニウム処理された被覆粒子を含む分散液に、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lとを加えて、限外濾過膜を用いて水に溶解したアルミニウム塩を分離して、第1シリカ被覆層を備える中空シリカ微粒子を形成した。
【0103】
得られた第1シリカ被覆層を備える中空シリカ微粒子を含む分散液1500gと、純水500gと、エタノール1750gと、濃度28質量%のアンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO
2濃度28質量%)104gを混合液に添加した。混合液を撹拌して、第1シリカ被覆層の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成することで、第1シリカ被覆層と第2シリカ被覆層とを備える中空シリカの分散液を得た。得られた中空シリカの分散液中の分散媒を、限外ろ過膜を用いてエタノールに置換して、固形分濃度20質量%の中空シリカ微粒子の分散液を得た。得られた中空シリカの分散液を真空乾燥して中空シリカの粉末を得た。中空シリカ粉末の平均粒子径は53nmであった。
【0104】
[調製例2]
(多孔質シリカの調製)
テトラメトキシシラン100gとメタノール530gとを混合して混合液を得た。混合液に室温で23.5gのアンモニア水を添加した後、混合液を24時間撹拌した。その後、混合液を24時間還流してアンモニアを除去してさらに濃縮し、平均粒子径が10nmの多孔質シリカを含むシリカゾル(固形分20質量%)を得た。得られたシリカゾルを真空乾燥して多孔質シリカの粉末を得た。
【0105】
実施例1〜5、比較例3、及び比較例4ではエポキシ化合物として以下の化合物1、化合物2、及び化合物3を用いた。
【化20】
【0106】
実施例1〜5及び比較例4ではシリカ又はシロキサン化合物として以下のA〜Cを用いた。
A:調製例1で得られた中空シリカ粉末
B:調製例2で得られた多孔質シリカ粉末
C:前述の式(3)で表される構造であり、R
19〜R
26が全て水酸基であるかご型シルセスキオキサン(一部2量体及び3量体を含む。)
D:シリカゲル粉末
【0107】
実施例1〜5、比較例3、及び比較例4では酸発生剤として、光酸発生剤である下記式の化合物を用いた。
【化21】
【0108】
[実施例1〜5、及び比較例4]
酸発生剤0.1gと表1に記載のエポキシ化合物10gとを均一に混合した。得られた混合物と、表1に記載のシリカ又はシロキサン化合物5gとを室温で30分間撹拌して、実施例1〜5、及び比較例4の硬化性組成物を得た。
【0109】
[比較例1]
メチルトリメトキシシラン60g、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン41.2g、2−プロパノール300g、及び2−プロパノール分散型中空シリカゾル(屈折率1.30、固形分20.5質量%)188gを反応容器に入れ、反応容器の内容物を均一に混合した。反応液の内容物を撹拌しながら、反応容器の内温が40℃を超えないように1Nギ酸水溶液34.84gを反応容器内に滴下した。滴下終了後、反応容器の内容物を1時間撹拌した。その後、70℃に設定されたオイルバスを用いて反応容器を加熱しながら、反応容器の内容物を2時間撹拌した。反応容器の内容物を室温まで冷却して、ポリマー溶液B1を得た。得られたポリマー溶液B1、メタノール356g、アルミニウムトリスアセチルアセトネート5g、2−プロパノール1890g、メチルイソブチルケトン720g、及び含フッ素シロキサン系表面改質剤10gを混合して、シロキサン系低屈折率樹脂組成物の溶液である比較例1の硬化性組成物を得た。
【0110】
[比較例2]
メチルトリメトキシシラン60g、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン41.2g、2−プロパノール300g、及び2−プロパノール分散型中空シリカゾル(屈折率1.30、固形分20.5質量%)212gを反応容器に入れ、反応溶液の内容物を均一に混合した。反応液の内容物を撹拌しながら、反応容器の内温が40℃を超えないように1Nギ酸水溶液34.84gを反応容器内に滴下した。滴下終了後、反応容器の内容物を1時間撹拌した。その後、70℃に設定されたオイルバスを用いて反応容器を加熱しながら、反応容器の内容物を2時間撹拌した。反応容器の内容物を室温まで冷却して、ポリマー溶液B2を得た。得られたポリマー溶液B2、メタノール356g、アルミニウムトリスアセチルアセトネート5g、2−プロパノール1890g、メチルイソブチルケトン720g、及び含フッ素シロキサン系表面改質剤10gを混合して、シロキサン系低屈折率樹脂組成物の溶液である比較例2の硬化性組成物を得た。
【0111】
[比較例3]
シリカ又はシロキサン化合物を用いないことの他は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
【0112】
以下の方法に従って、実施例及び比較例で得た硬化性組成物を用いて形成した硬化膜の、透過率、反射率、屈折率、及び鉛筆硬度を評価した。これらの評価結果を表1に記す。
【0113】
<透過率及び反射率>
各実施例及び比較例の硬化性組成物をガラス基板上にスピンコートした。次いで、ガラス基板上の硬化性組成物の塗布膜をホットプレート上で80℃120秒加熱乾燥させた後、ブロードバンド光で塗布膜を露光して硬化膜を形成させた。
分光測定器(MCPD−3000、大塚電子株式会社製)を用いて、測定波長範囲350〜800nmで、得られた硬化膜の透過率と、反射率との測定を行った。
透過率について、96%以上を◎と判定し、95%以上96%未満を○と判定し、95%未満を×と判定した
反射率について、0.5%未満を○と判定し、0.5%以上を×と判定した。
【0114】
<屈折率>
各実施例及び比較例の硬化性組成物を6インチシリコンウエハ上にスピンコートして塗布膜を形成し、透過率及び反射率の測定と同様にして塗布膜を硬化させて硬化膜を形成した。
MOSS多層膜分光エリプソ(J.A.WOOLLAM.社製)を用いて、得られた硬化膜の、23℃での633nmの屈折率を測定した。
屈折率1.32以下を◎と判定し、1.32超1.35以下を○と判定し、1.35超を×と判定した。
【0115】
<鉛筆硬度>
透過率及び反射率の測定と同様にして形成された硬化膜について、鉛筆を用いて、荷重1kg±50g、5回の硬度試験を行い、荷重印加後の傷の有無を観察した。5回の試験で硬化膜に傷が付かなかった鉛筆硬度のうち、最も固い鉛筆硬度を試験結果とした。
鉛筆硬度9H以上を◎と判定し、5H以上9H未満を○と判定し、5H未満を×と判定した。
【0116】
【表1】
【0117】
実施例1〜5によれば、式(1)で表されるエポキシ化合物と、シリカ又はシロキサン化合物と、酸発生剤とを含む硬化性組成物を用いて形成された硬化膜は、透明性に優れ、反射率及び屈折率が低いことが分かる。また、実施例1〜4によれば、シリカ又はシロキサン化合物が、中空シリカ、多孔質シリカ、及びかご型シルセスキオキサン化合物のような内部に空間を有するものである場合、硬化膜は、透過率及び屈折率が特に優れ、硬度も優れることが分かる。
【0118】
他方、比較例1及び2の硬化性組成物のような、従来、光学物品用の透明膜の形成に使用されているシロキサン系低屈折率樹脂組成物を用いる場合、透明性、反射率、屈折率、及び硬度の全ての評価結果が良好な膜を形成できなかった。また、比較例3によれば、式(1)で表されるエポキシ化合物を含んでいても、シリカ又はシロキサン化合物を含まない硬化性組成物を用いて形成された硬化膜は、反射率及び屈折率の評価結果が劣ることがわかる。さらに、比較例4によれば、シリカ又はシロキサン化合物と、式(1)で表されるエポキシ化合物以外のエポキシ化合物とを組み合わせて含む硬化性組成物を用いて形成された硬化膜は、透過率及び硬度の評価結果が劣ることがわかる。