特許第6162018号(P6162018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162018
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170703BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H01L21/78 Q
   H01L21/78 B
   H01L21/78 F
   B24B27/06 M
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-214761(P2013-214761)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2015-79790(P2015-79790A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】相川 力
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦充
(72)【発明者】
【氏名】北原 信康
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠司
(72)【発明者】
【氏名】淀 良彰
(72)【発明者】
【氏名】九鬼 潤一
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−35302(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0124771(US,A1)
【文献】 特開2007−305646(JP,A)
【文献】 特開2006−312185(JP,A)
【文献】 特開平10−173318(JP,A)
【文献】 特開平11−277273(JP,A)
【文献】 特表2010−508149(JP,A)
【文献】 特開2006−346716(JP,A)
【文献】 特開2011−143434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に積層された機能層によってデバイスが形成されるウエーハを、デバイスを区画する複数の分割予定ラインに沿って分割するウエーハの加工方法であって、
分割予定ラインの幅と対応する幅を有するCOレーザー光線のスポットを分割予定ラインの上面に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、分割予定ラインに積層された機能層を除去する機能層除去工程と、
該機能層除去工程を実施することにより機能層が除去された溝に沿って紫外線領域の波長からなるレーザー光線を溝に沿って照射し、溝に付着しているデブリを除去するとともに溝の側壁を成形する溝成形兼デブリ除去工程と、
該溝成形兼デブリ除去工程が実施されたウエーハを機能層が除去された溝に沿って切断し、個々のデバイスに分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
該機能層除去工程を実施する前にウエーハを構成する基板の裏面にダイシングテープを貼着し該ダイシングテープの外周部を環状のフレームによって支持するウエーハ支持工程を実施する、請求項1記載のウエーハの加工方法。
【請求項3】
該機能層除去工程を実施する前にウエーハを構成する機能層の表面に保護膜を被覆する保護膜被覆工程を実施する、請求項1又は2記載のウエーハの加工方法。
【請求項4】
該機能層除去工程を実施するCOレーザー光線の波長は9.4μmまたは10.6μmであり、該溝成形兼デブリ除去工程を実施するレーザー光線の波長は266nmまたは355nmである、請求項1から3のいずれかに記載のウエーハの加工方法。
【請求項5】
該分割工程は、外周に切れ刃を有する切削ブレードによって実施される、請求項1から4のいずれかに記載のウエーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン等の基板の表面に積層された機能層によってデバイスが形成されたウエーハを、デバイスを区画する複数の分割予定ラインに沿って分割するウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、シリコン等の基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された機能層によって複数のIC、LSI等のデバイスをマトリックス状に形成した半導体ウエーハが形成される。このように形成された半導体ウエーハは上記デバイスが分割予定ラインによって区画されており、この分割予定ラインに沿って分割することによって個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
近時においては、IC、LSI等の半導体チップの処理能力を向上するために、シリコン等の基板の表面にSiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)が積層された機能層によって半導体デバイスを形成せしめた形態の半導体ウエーハが実用化されている。
【0004】
このような半導体ウエーハのストリートに沿った分割は、通常、ダイサーと呼ばれている切削装置によって行われている。この切削装置は、被加工物である半導体ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された半導体ウエーハを切削するための切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的に移動せしめる移動手段とを具備している。切削手段は、高速回転せしめられる回転スピンドルと該スピンドルに装着された切削ブレードを含んでいる。切削ブレードは円盤状の基台と該基台の側面外周部に装着された環状の切れ刃からなっており、切れ刃は例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって固定して形成されている。
【0005】
しかるに、上述したLow−k膜は、切削ブレードによってに切削することが困難である。即ち、Low−k膜は雲母のように非常に脆いことから、切削ブレードにより分割予定ラインに沿って切削すると、Low−k膜が剥離し、この剥離がデバイスにまで達しデバイスに致命的な損傷を与えるという問題がある。
【0006】
上記問題を解消するために、半導体ウエーハに形成された分割予定ラインの幅方向における両側に分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射し、分割予定ラインに沿って2条のレーザー加工溝を形成して積層体を分断し、この2条のレーザー加工溝の外側間に切削ブレードを位置付けて切削ブレードと半導体ウエーハを相対移動することにより、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断するウエーハの分割方法が下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−21476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
而して、2条のレーザー加工溝間の中央位置に切削ブレードを位置付けてウエーハを切削すると、轍にタイヤがとられるように切削ブレードが2条のレーザー加工溝にとられて蛇行するため、機能層が剥離してデバイスの品質を十分確保することができないという新たな問題が生じた。
また、本発明者らは、分割予定ラインに積層されている全ての機能層を除去するよう試みたが複数回レーザー光線を照射しなければならず、生産性が悪いとともに分割予定ラインに露出した半導体基板の上面がアブレーション加工されて荒され切削ブレードの直進性を損ねるという問題が生じる。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、基板の表面に積層された機能層を分割予定ラインに沿って効率よく除去することができるとともに、機能層が除去されて露出した基板の上面を平滑に形成することができるウエーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、基板の表面に積層された機能層によってデバイスが形成されるウエーハを、デバイスを区画する複数の分割予定ラインに沿って分割するウエーハの加工方法であって、
分割予定ラインの幅と対応する幅を有するCOレーザー光線のスポットを分割予定ラインの上面に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、分割予定ラインに積層された機能層を除去する機能層除去工程と、
該機能層除去工程を実施することにより機能層が除去された溝に沿って紫外線領域の波長からなるレーザー光線を溝に沿って照射し、溝に付着しているデブリを除去するとともに溝の側壁を成形する溝成形兼デブリ除去工程と、
該溝成形兼デブリ除去工程が実施されたウエーハを機能層が除去された溝に沿って切断し、個々のデバイスに分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの加工方法が提供される。
【0011】
上記機能層除去工程を実施する前にウエーハを構成する基板の裏面にダイシングテープを貼着し該ダイシングテープの外周部を環状のフレームによって支持するウエーハ支持工程を実施する。
上記機能層除去工程を実施する前にウエーハを構成する機能層の表面に保護膜を被覆する保護膜被覆工程を実施することが望ましい。
上記機能層除去工程を実施するCOレーザー光線の波長は9.4μmまたは10.6μmであり、上記溝成形兼デブリ除去工程を実施するレーザー光線の波長は266nmまたは355nmである。
また、上記分割工程は、外周に切れ刃を有する切削ブレードによって実施される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるウエーハの加工方法は、機能層除去工程において分割予定ラインの幅と対応する幅を有するCOレーザー光線のスポットを分割予定ラインの上面に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、分割予定ラインに積層された機能層を除去するので、高出力のCOレーザー光線による1回の照射によって分割予定ラインに積層された機能層を除去することができ生産性が向上する。
また、本発明によるウエーハの加工方法は、機能層除去工程によって分割予定ラインに積層された機能層を除去し溝を形成することによって露出された基板の上面に付着したデブリが、溝成形兼デブリ除去工程を実施することにより除去され、基板の上面が平滑に形成されるので、分割工程においてウエーハを溝が形成された分割予定ラインに沿って切断する際に、切削ブレードの直進性が向上し、ウエーハを溝が形成された分割予定ラインに沿って正確に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるウエーハの加工方法によって分割される半導体ウエーハを示す斜視図および要部拡大断面図。
図2】本発明によるウエーハの加工方法におけるウエーハ支持工程が実施された半導体ウエーハの裏面が環状のフレームに装着されたダイシングテープの表面に貼着された状態を示す斜視図。
図3】本発明によるウエーハの加工方法における保護膜被覆工程の説明図。
図4】本発明によるウエーハの加工方法における機能層除去工程を実施するためのレーザー加工装置の要部斜視図。
図5図4に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段の構成図。
図6】本発明によるウエーハの加工方法における機能層除去工程の説明図。
図7】本発明によるウエーハの加工方法における溝成形兼デブリ除去工程を実施するためのレーザー加工装置の要部斜視図。
図8図7に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段の構成図。
図9】本発明によるウエーハの加工方法における溝成形兼デブリ除去工程の説明図。
図10】本発明によるウエーハの加工方法における溝成形兼デブリ除去工程の説明図。
図11】本発明によるウエーハの加工方法における分割工程を実施するための切削装置の要部斜視図。
図12】本発明によるウエーハの加工方法における分割工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によるウエーハの加工方法について添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0015】
図1の(a)および(b)には、本発明によるウエーハの加工方法によって個々のデバイスに分割される半導体ウエーハの斜視図および要部拡大断面図が示されている。図1の(a)および(b)に示す半導体ウエーハ2は、厚みが150μmのシリコン等の基板20の表面20aに絶縁膜と回路とによって形成される機能膜が積層された機能層21によって複数のIC、LSI等のデバイス22がマトリックス状に形成されている。そして、各デバイス22は、格子状に形成された分割予定ライン23(図示の実施形態においては幅が100μmに設定されている)によって区画されている。なお、図示の実施形態においては、機能層21を形成する絶縁膜は、SiO2 膜または、SiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)からなっており、厚みが10μmに設定されている。
【0016】
上述した半導体ウエーハ2を分割予定ライン23に沿って分割するウエーハの加工方法について説明する。
先ず、半導体ウエーハ2を構成する基板20の裏面にダイシングテープを貼着し該ダイシングテープの外周部を環状のフレームによって支持するウエーハ支持工程を実施する。即ち、図2に示すように、環状のフレーム3の内側開口部を覆うように外周部が装着されたダイシングテープ30の表面に半導体ウエーハ2を構成する基板20の裏面20bを貼着する。従って、ダイシングテープ30の表面に貼着された半導体ウエーハ2は、機能層21の表面21aが上側となる。
【0017】
上述したウエーハ支持工程を実施したならば、半導体ウエーハ2を構成する機能層21の表面に保護膜を被覆する保護膜被覆工程を実施する。この保護膜被覆工程の一例について図3の(a)乃至(c)を参照して説明する。
図3の(a)および(b)に示す保護膜被覆工程においては、先ず保護膜被覆装置4のスピンナーテーブル41上に上記ウエーハ支持工程が実施された半導体ウエーハ2が貼着されたダイシングテープ30を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、スピンナーテーブル41上にダイシングテープ30を介して半導体ウエーハ2を吸引保持する。従って、スピンナーテーブル41上に保持された半導体ウエーハ2は、図3の(a)に示すように半導体ウエーハ2を構成する機能層21の表面21aが上側となる。このようにしてスピンナーテーブル41上に半導体ウエーハ2を吸引保持したならば、図3の(a)に示すように液状樹脂供給ノズル42の噴出口421をスピンナーテーブル41上に保持された半導体ウエーハ2の中心部に位置付け、図示しない液状樹脂供給手段を作動して、液状樹脂供給ノズル42の噴出口421から液状樹脂400を所定量滴下する。なお、液状樹脂400は、例えばPVA(Poly Vinyl Alcohol)、PEG(Poly Ethylene Glycol)、PEO(Poly Ethylene Oxide)等の水溶性が望ましい。そして、液状樹脂400の供給量は、例えば直径が200mmのウエーハの場合、10〜20ミリリットル(ml)程度でよい。
【0018】
このようにして、半導体ウエーハ2を構成する機能層21の表面21aの中央領域へ所定量の液状樹脂400を滴下したならば、図3の(b)に示すようにスピンナーテーブル41を矢印で示す方向に例えば100rpmで5秒間程度回転する。この結果、半導体ウエーハ2を構成する機能層21の表面21aの中央領域に滴下された液状樹脂400は、遠心力の作用で外周に向けて流動し半導体ウエーハ2を構成する機能層21の表面21aの全面に拡散せしめられ、半導体ウエーハ2を構成する機能層21の表面21aには、図3の(b)および(c)に示すように厚さが0.2〜10μmの保護膜410が形成される(保護膜被覆工程)。この保護膜410の厚みは、液状樹脂400の供給量、スピンナーテーブル41の回転速度および回転時間によって調整することができる。
【0019】
上述した保護膜被覆工程を実施したならば、分割予定ライン23の幅と対応する幅を有するCOレーザー光線のスポットを分割予定ライン23の上面に位置付けて分割予定ライン23に沿って照射し、分割予定ライン23に積層された機能層を除去する機能層除去工程を実施する。この機能層除去工程は、図4に示すレーザー加工装置5を用いて実施する。図4に示すレーザー加工装置5は、被加工物を保持するチャックテーブル51と、該チャックテーブル51上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52と、チャックテーブル51上に保持された被加工物を撮像する撮像手段53を具備している。チャックテーブル51は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない加工送り手段によって図4において矢印Xで示す加工送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない割り出し送り手段によって図4において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0020】
上記レーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図5に示すようにCOレーザー光線発振手段522と、該COレーザー光線発振手段522から発振されたCOレーザー光線を断面正方形状に形成するマスク部材523と、該マスク部材523によって断面正方形状に形成されたCOレーザー光線を伝送する伝送光学系524が配設されている。COレーザー光線発振手段522は、COレーザー光線発振器522aと、これに付設された繰り返し周波数設定手段522bとから構成されている。なお、COレーザー光線発振器522aは、図示の実施形態においては波長が9.4μmまたは10.6μmのCOレーザー光線を発振する。上記マスク部材523は、図示の実施形態にいては3mm×3mmの正方形の開口523aが形成されている。上記伝送光学系524は、断面正方形状に形成されたCOレーザー光線をケーシング521の先端に装着された集光器525に導く。
【0021】
集光器525は、図5に示すように方向変換ミラー525aと、結像レンズ525bを備えている。方向変換ミラー525aは、上記COレーザー光線発振手段522によって発振されマスク部材523および伝送光学系524を介して導かれたCOレーザー光線を結像レンズ525bに向けて直角に方向変換する。結像レンズ525bは、方向変換ミラー525aによって方向変換されたCOレーザー光線をチャックテーブル51に保持された被加工物Wの上面に結像する。被加工物Wの上面に結像されるCOレーザー光線の結像スポットS1は、図示の実施形態においてはA1×B1が100μm×100μmの正方形となるように構成されている。なお、COレーザー光線のスポットS1におけるY軸方向の長さA1は、上記分割予定ライン23の幅と対応する値(図示に実施形態においては100μm)に設定されている。
【0022】
上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部に装着された撮像手段53は、被加工物を照明する照明手段と、該照明手段によって照明された領域を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた像を撮像する撮像素子(CCD)等を備え、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0023】
上述したレーザー加工装置5を用いて、分割予定ライン23の幅と対応する幅を有するCOレーザー光線のスポットを分割予定ライン23の上面に位置付けて分割予定ライン23に沿って照射し、分割予定ライン23に積層された機能層を除去する機能層除去工程について、図4および図6を参照して説明する。
【0024】
先ず、上述した図4に示すレーザー加工装置5のチャックテーブル51上に上記保護膜被覆工程が実施された半導体ウエーハ2が貼着されたダイシングテープ30側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、ダイシングテープ30を介して半導体ウエーハ2をチャックテーブル51上に保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル51に保持された半導体ウエーハ2は、機能層21の表面に被覆された保護膜410が上側となる。なお、図4においてはダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル51に配設された適宜のフレーム保持手段に保持される。このようにして、半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル51は、図示しない加工送り手段によって撮像手段53の直下に位置付けられる。
【0025】
チャックテーブル51が撮像手段53の直下に位置付けられると、撮像手段53および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段53および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されている分割予定ライン23と、該分割予定ライン23に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器525との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する(アライメント工程)。また、半導体ウエーハ2に上記所定方向と直交する方向に形成された分割予定ライン23に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。
【0026】
上述したアライメント工程を実施したならば、図6の(a)で示すようにチャックテーブル51をCOレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器525が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の分割予定ライン23を集光器525の直下に位置付ける。このとき、図6の(a)で示すように半導体ウエーハ2は、分割予定ライン23の一端(図6の(a)において左端)が集光器525の直下に位置するように位置付けられる。そして、図6の(a)および(c)で示すように集光器525から照射されるCOレーザー光線の結像スポットS1を分割予定ライン23における機能層21の上面付近に位置付ける。次に、レーザー光線照射手段52の集光器525から半導体ウエーハ2を構成する機能層21に対しては吸収性を有し基板20に対しては透過性を有する波長のCOレーザー光線を照射しつつチャックテーブル51を図6の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図6の(b)で示すように半導体ウエーハ2に形成された分割予定ライン23の他端(図6の(b)において右端)が集光器525の直下位置に達したら、COレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル51の移動を停止する。
【0027】
なお、上記機能層除去工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
COレーザー光線の波長:9.4μmまたは10.6μm
繰り返し周波数 :10〜100kHz
平均出力 :50〜100W
結像スポットS1 :A1:100μm×B1:100μm
加工送り速度 :500〜5000mm/秒
【0028】
上述した機能層除去工程においてはCOレーザー光線の波長が中赤外線の領域である9.4μmまたは10.6μmを有していて、SiO2等からなる機能層21に対しては吸収性を有しシリコン等からなる基板20に対して透過性を有しているため、機能層21はアブレーション加工されるが基板20の上面ではアブレーションが起き難い。この結果、半導体ウエーハ2の分割予定ライン23には図6の(d)に示すように機能層21が除去された溝24が形成されるとともに、溝24の底面である基板20の表面20a(上面)の平滑性が維持される。また、上述した機能層除去工程においてはCOレーザー光線の出力は50〜100Wと高出力であるため、1回の照射によって分割予定ライン23に積層された機能層を除去することができ、生産性が向上する。なお、分割予定ライン23に沿って形成される溝24は、図示の実施形態においては結像スポットS1のY軸方向の長さA1が上述したように100μmに設定されているので、幅が100μmとなる。
この機能層除去工程を半導体ウエーハ2に形成された全ての分割予定ライン23に沿って実施する。
【0029】
上記機能層除去工程を実施する際には、図6の(d)に示すようにCOレーザー光線の照射によってデブリ25が発生するが、半導体ウエーハ2を構成する機能層21の表面21aに保護膜410が形成されているので、デブリ25は保護膜410によって遮断され機能層21の表面21aに形成されたデバイス22に付着することはない。しかるに、機能層21が除去された溝24の底面である基板20の表面20a(上面)にはデブリ25が付着する。また、溝24の両側壁241、242の下部には機能層のアブレーションの加工残り26が残存する。
【0030】
上述した機能層除去工程を実施したならば、機能層21が除去された溝24に沿って紫外線領域の波長からなるレーザー光線を溝24に沿って照射し、溝24に付着しているデブリ25を除去するとともにアブレーションの加工残り26を除去して溝24の側壁を成形する溝成形兼デブリ除去工程を実施する。この溝成形兼デブリ除去工程は、図7に示すレーザー加工装置6を用いて実施する。図7に示すレーザー加工装置6は、被加工物を保持するチャックテーブル61と、該チャックテーブル61上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段62と、チャックテーブル61上に保持された被加工物を撮像する撮像手段63を具備している。チャックテーブル61は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない加工送り手段によって図7において矢印Xで示す加工送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない割り出し送り手段によって図7において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0031】
上記レーザー光線照射手段62は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング621を含んでいる。ケーシング621内には図8に示すようにパルスレーザー光線発振手段622と、該パルスレーザー光線発振手段622から発振されたパルスレーザー光線を断面長方形状に形成するマスク部材623と、該マスク部材623によって断面長方形状に形成されたパルスレーザー光線を伝送する伝送光学系624が配設されている。パルスレーザー光線発振手段622は、パルスレーザー光線発振器622aと、これに付設された繰り返し周波数設定手段622bとから構成されている。なお、パルスレーザー光線発振器622aは、図示の実施形態においては波長が266μmまたは355μmのパルスレーザー光線を発振する。上記マスク部材623は、図示の実施形態にいては3mm×0.6mmの長方形の開口623aが形成されている。上記伝送光学系624は、断面長方形状に形成されたパルスレーザー光線をケーシング621の先端に装着された集光器625に導く。
【0032】
集光器625は、図8に示すように方向変換ミラー625aと、結像レンズ625bを備えている。方向変換ミラー625aは、上記パルスレーザー光線発振手段622によって発振されマスク部材623および伝送光学系624を介して導かれたパルスレーザー光線を結像レンズ625bに向けて直角に方向変換する。結像レンズ625bは、方向変換ミラー625aによって方向変換されたパルスレーザー光線をチャックテーブル61に保持された被加工物Wの上面に結像する。被加工物Wの上面に結像されるパルスレーザー光線の結像スポットS2は、図示の実施形態においてはA2×B2が50μm×10μmの長方形となるように構成されている。なお、パルスレーザー光線のスポットS2におけるY軸方向の長さA2は、上記分割予定ライン23の幅(溝24の幅100μm)の1/2の値(図示の実施形態においては50μm)に設定されている。
【0033】
上記レーザー光線照射手段62を構成するケーシング621の先端部に装着された撮像手段63は、被加工物を照明する照明手段と、該照明手段によって照明された領域を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた像を撮像する撮像素子(CCD)等を備え、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0034】
上述したレーザー加工装置6を用いて、機能層21が除去された溝24に沿って紫外線領域の波長からなるレーザー光線を溝24に沿って照射し、溝24に付着しているデブリ25を除去するとともに溝24の側壁を成形する溝成形兼デブリ除去工程について、図7図9および図10を参照して説明する。
先ず、上述した図7に示すレーザー加工装置6のチャックテーブル61上に上記機能層除去工程が実施された半導体ウエーハ2が貼着されたダイシングテープ30側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、ダイシングテープ30を介して半導体ウエーハ2をチャックテーブル61上に保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル61に保持された半導体ウエーハ2は、分割予定ライン23に沿って機能層21が除去されて形成された溝24が上側となる。なお、図7においてはダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル61に配設された適宜のフレーム保持手段に保持される。このようにして、半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル61は、図示しない加工送り手段によって撮像手段63の直下に位置付けられる。
【0035】
チャックテーブル61が撮像手段63の直下に位置付けられると、撮像手段63および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段63および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されている溝24と、該溝24に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段62の集光器625との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する(アライメント工程)。また、半導体ウエーハ2に上記所定方向と直交する方向に形成された溝24に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。
【0036】
上述したアライメント工程を実施したならば、図9の(a)で示すようにチャックテーブル61をパルスレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段62の集光器625が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の分割予定ライン23に沿って形成された溝24を集光器625の直下に位置付ける。このとき、図9の(a)で示すように半導体ウエーハ2は、溝24の一端(図9の(a)において左端)が集光器625の直下に位置するように位置付けられる。そして、図9の(a)および(c)で示すように集光器625から照射されるパルスレーザー光線の結像スポットS2を溝24の底面である基板20の表面20a(上面)付近に位置付ける。このとき、図9の(c)で示すように結像スポットS2は、溝24の一方の側壁241と溝24の幅方向中間位置の間に位置付ける。即ち、図示の実施形態においては結像スポットS2のY軸方向の長さA2は上述したように50μmに設定されているので、結像スポットS2は幅が100μmに形成されている溝24の幅方向一方の1/2の領域に位置付けられることになる。次に、レーザー光線照射手段62の集光器625から半導体ウエーハ2を紫外線領域の波長からなるパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル61を図9の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図9の(b)で示すように溝24の他端(図9の(b)において右端)が集光器625の直下位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル61の移動を停止する。
【0037】
なお、上記溝成形兼デブリ除去工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
レーザー光線の波長 :266nmまたは355nm
繰り返し周波数 :200kHz
平均出力 :1〜2W
結像スポットS2 :A2:50μm×B2:10μm
加工送り速度 :200〜6000mm/秒
【0038】
上述した溝成形兼デブリ除去工程を実施することにより、図9の(d)に示すように溝24の左半分の領域においては、上述した機能層除去工程において溝24の底面である基板20の表面20a(上面)に付着したデブリ25および溝24の側壁241の下部に残存したアブレーションの加工残り26がアブレーション加工されて除去される。
【0039】
次に、図示しない割り出し送り手段を作動してチャックテーブル61をY軸方向(紙面に垂直な方向に)図示の実施形態においては50μmだけ割り出し送りする。この状態が図10の(a)に示すような状態であり、図10の(c)で示すように結像スポットS2は、溝24の他方の側壁242と溝24の幅方向中間位置の間に位置付けられる。従って、結像スポットS2は溝24の幅方向他方の1/2の領域に位置付けられることになる。次に、レーザー光線照射手段62の集光器625から半導体ウエーハ2を紫外線領域の波長からなるパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル61を図10の(a)において矢印X2で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図10の(b)で示すように溝24の一端(図10の(b)において左端)が集光器625の直下位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル61の移動を停止する。
【0040】
上述した溝成形兼デブリ除去工程を実施することにより、図10の(d)に示すように溝24の右半分の領域においては、上述した機能層除去工程において溝24の底面である基板20の表面20a(上面)に付着したデブリ25および溝24の側壁242の下部に残存したアブレーションの加工残り26がアブレーション加工されて除去される。
【0041】
上述した溝成形兼デブリ除去工程を実施したならば、半導体ウエーハ2を機能層21が除去された溝24に沿って切断し、個々のデバイスに分割する分割工程を実施する。この分割工程は、図示の実施形態においては図11に示す切削装置7を用いて実施する。図11に示す切削装置7は、被加工物を保持するチャックテーブル71と、該チャックテーブル71に保持された被加工物を切削する切削手段72と、該チャックテーブル71に保持された被加工物を撮像する撮像手段73を具備している。チャックテーブル71は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない加工送り手段によって図11において矢印Xで示す加工送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない割り出し送り手段によって矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0042】
上記切削手段72は、実質上水平に配置されたスピンドルハウジング721と、該スピンドルハウジング721に回転自在に支持された回転スピンドル722と、該回転スピンドル722の先端部に装着された切削ブレード723を含んでおり、回転スピンドル722がスピンドルハウジング721内に配設された図示しないサーボモータによって矢印723aで示す方向に回転せしめられるようになっている。切削ブレード723は、アルミニウム等の金属材によって形成された円盤状の基台724と、該基台724の側面外周部に装着された環状の切れ刃725とからなっている。環状の切れ刃725は、基台724の側面外周部に粒径が3〜4μmのダイヤモンド砥粒をニッケルメッキで固めた電鋳ブレードからなっており、図示の実施形態においては厚みが30μmで外径が50mmに形成されている。
【0043】
上記撮像手段73は、スピンドルハウジング721の先端部に装着されており、被加工物を照明する照明手段と、該照明手段によって照明された領域を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた像を撮像する撮像素子(CCD)等を備え、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0044】
上述した切削装置7を用いて分割工程を実施するには、図12に示すようにチャックテーブル71上に上記溝成形兼デブリ除去工程が実施された半導体ウエーハ2が貼着されたダイシングテープ30側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、ダイシングテープ30を介して半導体ウエーハ2をチャックテーブル71上に保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル71に保持された半導体ウエーハ2は、分割予定ライン23に沿って形成された溝24が上側となる。なお、図12においてはダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル71に配設された適宜のフレーム保持手段に保持される。このようにして、半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル71は、図示しない加工送り手段によって撮像手段73の直下に位置付けられる。
【0045】
チャックテーブル71が撮像手段73の直下に位置付けられると、撮像手段73および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2の切削すべき領域を検出するアライメント工程を実行する。このアライメント工程においては、上記機能層除去工程および溝成形兼デブリ除去工程によって半導体ウエーハ2の分割予定ライン23に沿って形成された溝24を撮像手段73によって撮像して実行する。即ち、撮像手段73および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されている分割予定ライン23に沿って形成された溝24と、切削ブレード723との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、切削ブレード723によって切削する切削領域のアライメントを遂行する(アライメント工程)。また、半導体ウエーハ2に上記所定方向と直交する方向に形成された溝24に対しても、同様に切削ブレード723によって切削する切削領域のアライメントが遂行される。
【0046】
以上のようにしてチャックテーブル71上に保持されている半導体ウエーハ2の分割予定ライン23に沿って形成された溝24を検出し、切削領域のアライメントが行われたならば、半導体ウエーハ2を保持したチャックテーブル71を切削領域の切削開始位置に移動する。このとき、図12の(a)で示すように半導体ウエーハ2は切削すべき溝24の一端(図12の(a)において左端)が切削ブレード723の直下より所定量右側に位置するように位置付けられる。このとき、図示の実施形態においては、上述したアライメント工程において分割予定ライン23に形成されている溝24を直接撮像して切削領域を検出しているので、分割予定ライン23に形成されている溝24の中心位置が切削ブレード723と対向する位置に確実に位置付けられる。
【0047】
このようにして切削装置7のチャックテーブル71上に保持された半導体ウエーハ2が切削加工領域の切削開始位置に位置付けられたならば、切削ブレード723を図12(a)において2点鎖線で示す待機位置から矢印Z1で示すように下方に切り込み送りし、図12の(a)において実線で示すように所定の切り込み送り位置に位置付ける。この切り込み送り位置は、図12の(a)および図12の(c)に示すように切削ブレード723の下端が半導体ウエーハ2の裏面に貼着されたダイシングテープ30に達する位置に設定されている。
【0048】
次に、切削ブレード723を図12の(a)において矢印723aで示す方向に所定の回転速度で回転せしめ、チャックテーブル71を図12の(a)において矢印X1で示す方向に所定の切削送り速度で移動せしめる。そして、チャックテーブル71が図12の(b)で示すように溝24の他端(図12の(b)において右端)が切削ブレード723の直下より所定量左側に位置するまで達したら、チャックテーブル71の移動を停止する。このようにチャックテーブル71を切削送りすることにより、図12の(d)で示すように半導体ウエーハ2の基板20は分割予定ライン23に形成された溝24内に裏面に達する切削溝27が形成され切断される(分割工程)。
【0049】
次に、切削ブレード723を図12の(b)において矢印Z2で示すように上昇させて2点鎖線で示す待機位置に位置付け、チャックテーブル71を図12の(b)において矢印X2で示す方向に移動して、図12の(a)に示す位置に戻す。そして、チャックテーブル71を紙面に垂直な方向(割り出し送り方向)に溝24の間隔に相当する量だけ割り出し送りし、次に切削すべき溝24を切削ブレード723と対応する位置に位置付ける。このようにして、次に切削すべき溝24を切削ブレード723と対応する位置に位置付けたならば、上述した切断工程を実施する。
【0050】
なお、上記分割工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
切削ブレード :外径50mm、厚み30μm
切削ブレードの回転速度:20000rpm
切削送り速度 :50mm/秒
【0051】
上述した分割工程を半導体ウエーハ2に形成された全ての分割予定ライン23にそって形成された溝24に実施する。この結果、半導体ウエーハ2は溝24が形成された分割予定ライン23に沿って切断され、個々のデバイス22に分割される。この分割工程においては、上記機能層除去工程によって分割予定ライン23に積層された機能層21を除去し溝24を形成することによって露出された基板20の表面20a(上面)に付着したデブリ25および溝24の側壁242の下部に残存したアブレーションの加工残り26が、溝成形兼デブリ除去工程を実施することにより除去され、基板20の表面20a(上面)が平滑に形成されるので、切削ブレードの直進性が向上し、半導体ウエーハ2を溝24が形成された分割予定ライン23に沿って正確に切断することができる。
【0052】
上述した分割工程を実施したならば、個々のデバイス22に分割された半導体ウエーハ2は切削装置7に装備された図示しない洗浄手段に搬送され、上記切削によって生成され半導体ウエーハ2に付着したコンタミを除去するための洗浄工程を実施する。この洗浄工程においては、半導体ウエーハ2を構成する機能層21の表面21aに被覆された保護膜410が上述したように水溶性の樹脂によって形成されているので、保護膜410を容易に洗い流すことができるとともに、上記機能層除去工程を実施することによって発生し保護膜410の表面に付着したデブリ25も除去される。
【符号の説明】
【0053】
2:半導体ウエーハ
20:基板
21:機能層
22:デバイス
23:分割予定ライン
24:溝
3:環状のフレーム
30:ダイシングテープ
4:保護膜被覆装置
41:スピンナーテーブル
42:液状樹脂供給ノズル
5:機能層除去工程を実施するレーザー加工装置
51:チャックテーブル
52:レーザー光線照射手段
525:集光器
6:溝成形兼デブリ除去工程を実施するレーザー加工装置
61:チャックテーブル
62:レーザー光線照射手段
625:集光器
7:切削装置
71:チャックテーブル
72:切削手段
723:切削ブレード
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図11
図12