特許第6162394号(P6162394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162394
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】チーズ類、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 19/082 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   A23C19/082
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-271282(P2012-271282)
(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公開番号】特開2014-113125(P2014-113125A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
【住所又は居所】北海道札幌市東区苗穂町六丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辰ノ 哲也
【住所又は居所】北海道札幌市東区苗穂町6丁目1番1号 雪印メグミルク株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】矢ヶ部 篤史
【住所又は居所】北海道札幌市東区苗穂町6丁目1番1号 雪印メグミルク株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大熊 明子
【住所又は居所】北海道札幌市東区苗穂町6丁目1番1号 雪印メグミルク株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小泉 詔一
【住所又は居所】北海道札幌市東区苗穂町6丁目1番1号 雪印メグミルク株式会社内
【審査官】 野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−254742(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/122113(WO,A1)
【文献】 特開2000−210016(JP,A)
【文献】 特開平11−169072(JP,A)
【文献】 特開昭61−166345(JP,A)
【文献】 特開2001−218557(JP,A)
【文献】 特開平10−210931(JP,A)
【文献】 「6.チーズの成分組成」,現代チーズ学,2008年10月10日,P.69-70
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 1/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タピオカ加工澱粉を2.0〜10.0重量%、原料チーズを16〜24重量%含有し、pHが4.0以上、水分が53〜63%であり、乳脂肪/乳タンパク質の比率が2.0以下であり、10℃で糸引き試験を行った場合の糸引き性が10cm以上であることを特徴とするチーズ類。
糸引き試験:チーズ類を40gカップに採取し、毎秒2.5cmの速度でチーズを引き上げ、チーズ類の糸が切れるまでの長さを測定する。
【請求項2】
原料チーズ、タピオカ加工澱粉を配合する工程と、
前記配合した原材料を混合し、製品であるチーズ類のpHが4.0以上、水分が53〜63%、および、乳脂肪/乳タンパク質の比率が2.0以下となるように調整する工程と、
前記pHおよび水分を調整した原材料を加熱乳化する工程と、
前記加熱乳化した原材料を冷却する工程を有することを特徴とする請求項1に記載のチーズ類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温度域でも良好な糸引き性を有するチーズ類、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生乳を原料に乳酸菌やレンネットを使用して凝固した乳からホエーを排除して、固めた物がナチュラルチーズである。このナチュラルチーズを原料にして、溶融塩を加え、加熱、撹拌して溶融した後、冷却して固めた物がプロセスチーズである。プロセスチーズを作る工程において、製品中のチーズ分が50%以下の食品は乳等を主要原料とする食品(以下、「乳主原」という。)と当業界において一般的に規定されている。
【0003】
これまで、プロセスチーズの糸引き性を付与させるためには、熟度指標値の低い原料チーズを使用し、低速撹拌で加熱乳化させることが知られている。また、プロセスチーズや乳主原で澱粉を使用して、物性等を調整する方法として、卵白類や澱粉類を使用してプロセスチーズ様の硬さを有する食品の製造法(特許文献1)、オクテニルコハク酸澱粉を使用して溶融性と曳糸性に優れたチーズフードを製造する方法(特許文献2)、ナチュラルチーズに溶融塩と酸化澱粉等を使用して耐冷凍性および耐油ちょう性を有するチーズ類の製造方法(特許文献3)、生タピオカ澱粉等を使用したチーズ菓子の製造法(特許文献4)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3391283号公報
【特許文献2】特許第3887922号公報
【特許文献3】特許第3108968号公報
【特許文献4】特許第3373696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のプロセスチーズ様の硬さを有する食品は、チーズ含有量が80重量%と多く、特許文献2のチーズフードはチーズ含有量が83重量%以上、特許文献3の耐冷凍性および耐油ちょう性を有するチーズは、ナチュラルチーズの含有量が85重量%以上含有しており、かなり硬い食品やチーズとなっているため、冷却時には曳糸性を全く有さない。特許文献4はチーズ菓子の食感がよく、保存性を向上させる目的で使用している。特許文献1〜3の方法は、いずれも加熱時の食品、チーズフード、チーズに糸引き性を持たせることができるものの、冷却とともにチーズが硬くなるため、冷却時には曳糸性が消失する。澱粉を使用した場合においても、優れた曳糸性は加熱時のみであり、冷却後には元の硬い物性に戻ってしまう。また、油脂分や水分が多い乳主原はチーズのような糸引き性を持つことができず、組織、風味ともにプロセスチーズと異なる。
【0006】
本発明は、従来技術では提供することができなかった、加熱時のみではなく低温時においても良好な糸引き性を有するチーズ類、およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決することを目的に鋭意研究を重ねた結果、タピオカ加工澱粉を2.0〜10.0重量%、原料チーズを16〜24重量%含有し、チーズ類のpHを4.0以上、水分が53〜63%であり、乳脂肪/乳タンパク質の比率が2.0以下であるチーズ類とすることにより、従来技術では成し得なかった広範な温度域でプロセスチーズ様の糸引き性と風味を持たせ、加熱冷却後も優れた曳糸性を有するチーズ類が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)タピオカ加工澱粉を2.0〜10.0重量%、原料チーズを16〜24重量%含有し、pHが4.0以上、水分が53〜63%であり、乳脂肪/乳タンパク質の比率が2.0以下であることを特徴とするチーズ類。
(2)10℃で糸引き試験を行った場合の糸引き性が10cm以上である上記(1)に記載のチーズ類。
糸引き試験:チーズ類を40gカップに採取し、毎秒2.5cmの速度でチーズを引き上げ、 チーズ類の糸が切れるまでの長さを測定する。
(3)原料チーズ、タピオカ加工澱粉を配合する工程と、前記配合した原材料を混合し、
製品であるチーズ類のpHが4.0以上、水分が53〜63%、および、乳脂肪/乳タンパク質の比率が2.0以下となるように調整する工程と、前記pHおよび水分を調整した原材料を加熱乳化する工程と、前記加熱乳化した原材料を冷却する工程を有することを特徴とするチーズ類の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低温度域でも糸引き性が良好でチーズ様の風味を有するチーズ類、およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明により製造されたチーズ類は、油脂分や水分が多いが、加熱時、冷却時の広範な温度域でチーズ様の糸引き性と風味を有するものである。本発明におけるチーズ類とは、チーズフード等、乳等省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)、公正競争規約の成分規格において規定されたものの他、乳主原等の当該技術分野における通常の意味を有する範囲のものを全て包含するものとする。
【0011】
本発明における原料チーズは特に限定されないが、ゴーダチーズ、モザレラチーズおよび、チェダーチーズ等のナチュラルチーズの他、プロセスチーズやチーズフード等を挙げることができる。これらを単独又は複数種組み合わせて使用することができるし、最終的に得られるチーズ類に必要な風味に合わせて、配合比を決定することができる。本発明では、これらの原料チーズを最終製品であるチーズ類に対して、16〜24重量%含有する。好ましくは18〜22重量%含有させることができる。原料チーズが16重量%未満、もしくは、24重量%を超える場合には十分な糸引き性を有しなくなる。
【0012】
本発明におけるタピオカ加工澱粉としては、加工処理を施したタピオカ加工澱粉を用いることができる。エーテル化処理、エステル化処理、酸化処理、架橋処理等の加工処理を施したタピオカ加工澱粉を用いることができる。好ましくは、ヒドロキシプロピル澱粉・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉・澱粉グルコース酸ナトリウム・カルボキシメチル澱粉・カチオン澱粉等のエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉・酢酸澱粉・リン酸澱粉・リン酸架橋澱粉等のエステル化澱粉が好ましい。特に、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、酸化澱粉がより好ましい。本発明では、これらタピオカ加工澱粉を最終製品であるチーズ類に対して、2.0〜10.0重量%含有する。好ましくは4.0〜7.5重量%含有させることができる。タピオカ加工澱粉が2.0重量%未満、もしくは、10.0重量%を超える場合には、十分な糸引き性を有しなくなる。
【0013】
本発明では、最終製品のチーズ類のpHは4.0以上である。好ましくはpH5.0〜6.0に調整することができる。pHが4.0未満の場合には、十分な糸引き性を有しなくなる。
【0014】
さらに、本発明では、最終製品のチーズ類の水分は53〜63%である。好ましくは55〜59%に調整することができる。水分が53%未満、もしくは、63%を超える場合には、十分な糸引き性を有しなくなる。
【0015】
本発明の最終製品のチーズ類は、油脂分を多く含むため、乳脂肪と乳タンパク質の比率が2.0以下である。乳脂肪と乳タンパク質の比率を2.0以下にすることにより、本発明の特徴を有するチーズ類を得ることができる。乳脂肪と乳タンパク質の比率は、原料チーズの種類や添加量、副原料として用いる油脂の量等により調整することができる。なお、乳脂肪と乳タンパク質の測定は、通常の方法で行えばよく、例えば、乳脂肪は、レーゼゴットリーブ法、タンパク質は、ケルダール法で測定することができる。
【0016】
本発明において糸引き性を有するとは、10℃で以下の糸引き試験を行った場合の糸引き性が10cm以上であることをいう。なお、糸引き性試験は以下の方法で行った。
(糸引き性の評価)
糸引き性試験:チーズ類を40gカップに採取し、毎秒2.5cmの速度でチーズを引き上げ、チーズ類の糸が切れるまでの長さを測定する。得られた値をチーズの糸引き性とした。
【0017】
本発明品に使用できるその他の副原料は、特に限定されず、チーズ類の製造に使用するものであればいずれの原料を配合することができる。その他の副原料としては、例えば、溶融塩、チーズ類に使用できる溶融塩以外の乳化剤、安定剤(増粘多糖類、セルロース等)、香料等の食品添加物のほか、乳タンパク質源としての乳素材、デンプン、ゼラチン、寒天等の食品、脂肪調整のためのバター、その他の動物油脂、植物油脂、風味付け等に使用するシーズニング等を例示することができる。
【0018】
本発明のチーズ類の製造方法について以下に説明する。本発明のチーズ類の製造方法は、原料チーズ、タピオカ加工澱粉を配合する工程と、前記配合した原材料を混合し、製品であるチーズ類のpHが4.0以上、水分が53〜63%、および、乳脂肪/乳タンパク質の比率が2.0以下となるように調整する工程と、前記pHおよび水分を調整した原材料を加熱乳化する工程と、前記加熱乳化した原材料を冷却する工程を有する。
【0019】
本発明の原材料を配合する工程、調整する工程では、原料チーズとタピオカ加工澱粉を配合し、その後前記配合した原材料を混合し、原材料のpHを4.0以上、および、水分を53〜63%に調整する。タピオカ加工澱粉の添加は単独でも他の副原料と混合後に添加しても良い。その後、前記pHおよび水分を調整した原材料を加熱乳化、冷却してチーズ類を製造する。チーズ類のpH調整方法であるが、例えば、クエン酸、乳酸、重炭酸ナトリウム等のチーズ類のpH調整に用いる一般的なpH調整剤を用いて、pHを4.0以上に調整することができる。チーズ類の水分調整方法であるが、製品であるチーズ類の水分を53〜63%となるように調整する必要がある。各原材料に含まれる水分量や加熱乳化時に増える水分量から原材料に添加する加水量を算出して加水することにより、製品であるチーズ類の水分を53〜63%に調整することができる。乳脂肪と乳タンパク質の比率は、原料チーズの種類や添加量、副原料として用いる油脂の量等により調整することができる。
【0020】
本発明の加熱乳化する工程において、加熱乳化に用いる乳化機としては、特に限定はなく、クッカー型乳化機、ケトル型乳化機、縦型高速せん断式乳化機、かきとり式熱交換機等、チーズ類の製造に使用される乳化機を用いることができる。乳化温度や撹拌速度等は一般的なチーズを製造する条件の範囲で製造することができるため特に限定されるものではないが、撹拌速度は1,000〜2,000rpmが好ましく、1,200〜1,800rpmがより好ましい。次の冷却する工程においては、このように加熱乳化された乳化物を目的に応じた型に充填し、冷却する。冷却温度やスピードについては特に限定はないが、通常のチーズと同様に、速やかに10℃以下まで冷却保存することが望ましい。
【0021】
本発明により製造されたチーズ類は、油脂分や水分が多いが、加熱時、冷却時の広範な温度域でチーズ様の糸引き性と風味を持たせ、低温域でも優れた曳糸性を有する。
【0022】
本発明により製造されたチーズ類は、家庭用、業務用を問わず製品化できる。幅広い温度範囲で優れた曳糸性を有するので、ピザ用、ハンバーグ用、温野菜やたこ焼き等のトッピング用、肉まん用チーズとしての用途が例示できる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
【0024】
[実施例1]
(原料チーズ量の違いによる比較)
国産または輸入ゴーダチーズを原料にして、油脂の量を調整して原料チーズ量を変更した試験を行なった。ゴーダチーズ(雪印メグミルク製)2,100〜3,900g(14〜26重量%)を原料チーズとして用い粉砕した。次に、タピオカ加工澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉(エーテル化)(松谷化学製ファリネックスTG600))900g(6.0重量%)を添加した。また、pH調整剤として重曹を15g添加して原材料のpHを6.0になるように調整し、最終水分含量が57%となるように水を添加した。乳化は溶融塩(リン酸Na製剤)90gを添加した後、高せん断タイプのステファン型式乳化釜を用い、1,500rpmで85℃まで加熱溶融した。85℃に到達後、そのままの回転数で30秒間撹拌保持した。加熱乳化したチーズ類を充填し、5℃で24時間冷却して本発明のチーズ類を製造し(本発明品)、糸引き性の評価を実施した。比較として、タピオカ加工澱粉の替わりにトウモロコシ加工澱粉(松谷化学製ファリネックスVA70C)を同量添加した以外は上記と同様の方法でチーズ類を製造した(比較品)。
【0025】
(糸引き性の評価)
(方法)
10℃に冷却したチーズ類40gをカップに採取する。毎秒2.5cmの速度でチーズを引き上げ、チーズ類の糸が切れるまでの長さを測定し、得られた値をチーズの糸引き性(冷却時)とした。同じく85℃の値を(加熱時)とした。
(評価基準)
◎:15cm以上伸びる。
○:10cm以上15cm未満伸びる。
△:5cm以上10cm未満伸びる。
×:5cm未満でありほとんど伸びない。
【0026】
【表1】
【0027】
結果を表1に示した。その結果、原料チーズは16〜24重量%で良好な糸引きおよび良好なチーズ風味を有した。特に18〜22重量%で優れた糸引き性を有した。この特性は加熱時および冷却後も維持されており、チーズ様の糸引き性と風味を有していた。
【0028】
[実施例2]
(pHの違いによる比較)
ゴーダチーズ(雪印メグミルク製)3,000gを原料チーズとして用い粉砕した。次に、油脂を乳主原規格まで添加し、タピオカ加工澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉(エーテル化)(松谷化学製ファリネックスTG600))900g(6.0重量%)を添加した。また、pH調整剤としてクエン酸と重曹を添加して原材料のpHを3.5〜7.0になるように調整し、最終水分含量が57%となるように水(6568g)を添加した。乳化は溶融塩(リン酸Na製剤)90gを添加した後、高せん断タイプのステファン型式乳化釜を用い、1,500rpmで85℃まで加熱溶融した。85℃に到達後、そのままの回転数で30秒間撹拌保持した。加熱乳化したチーズ類を充填し、5℃で24時間冷却して本発明のチーズ類を製造し(本発明品)、糸引き性の評価を実施した。比較として、タピオカ加工澱粉の替わりにトウモロコシ加工澱粉(松谷化学製ファリネックスVA70C)を同量添加した以外は上記と同様の方法でチーズ類を製造した(比較品)。
【0029】
【表2】
【0030】
結果を表2に示した。その結果、pH4.0以上で優れた糸引き性および良好なチーズ風味を有した。特に5.0〜6.0で優れた糸引き性を有した。この特性は加熱時および冷却後も維持されており、チーズ様の糸引き性と風味を有していた。なお、本発明のチーズ類の乳脂肪/乳タンパク質の比率は1.25であった。
【0031】
[実施例3]
(タピオカ加工澱粉量の違いによる比較)
ゴーダチーズ(雪印メグミルク製)3,000gを原料チーズとして用い粉砕した。次に、油脂を乳主原規格まで添加し、タピオカ加工澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉(エーテル化)(松谷化学製ファリネックスTG600))150〜1,800g(1.0〜12.0重量%)を混合した。pH調整剤として重曹を15g添加して原材料のpHを6.0になるように調整し、最終水分含量が57%となるように水を添加した。乳化は溶融塩(リン酸Na製剤)90gを添加した後、高せん断タイプのステファン型式乳化釜を用い、1,500rpmで85℃まで加熱溶融した。85℃に到達後、そのままの回転数で30秒間撹拌保持した。加熱乳化したチーズ類を充填し、5℃で24時間冷却して本発明のチーズ類を製造し(本発明品)、糸引き性の評価を実施した。比較として、タピオカ加工澱粉の替わりにトウモロコシ加工澱粉(松谷化学製ファリネックスVA70C)を同量添加した以外は上記と同様の方法でチーズ類を製造した(比較品)。
【0032】
【表3】
【0033】
結果を表3に示した。その結果、タピオカ加工澱粉が2.0〜10.0重量%で良好な糸引き性および良好なチーズ風味を有した。特に、4.0〜7.5重量%で優れた糸引き性を有した。この特性は加熱時および冷却後も維持されており、チーズ様の糸引き性と風味を有していた。なお、本発明のチーズ類の乳脂肪/乳タンパク質の比率は1.25であった。
【0034】
[実施例4]
(水分量の違いによる比較)
ゴーダチーズ(雪印メグミルク製)3,000gを原料チーズとして用い粉砕した。次に、油脂を乳主原規格まで添加し、タピオカ加工澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉(エーテル化)(松谷化学製ファリネックスTG600))900g(6.0重量%)を混合した。pH調整剤として重曹を15g添加して原材料のpHを6.0になるように調整し、最終水分含量が48〜65%となるように水を添加した。乳化は溶融塩(リン酸Na製剤)90gを添加した後、高せん断タイプのステファン型式乳化釜を用い、1,500rpmで85℃まで加熱溶融した。85℃に到達後、そのままの回転数で30秒間撹拌保持した。加熱乳化したチーズ類を充填し、5℃で24時間冷却して本発明のチーズ類を製造し(本発明品)、糸引き性の評価を実施した。比較として、タピオカ加工澱粉の替わりにトウモロコシ加工澱粉(松谷化学製ファリネックスVA70C)を同量添加した以外は上記と同様の方法でチーズ類を製造した(比較品)。
【0035】
【表4】
【0036】
結果を表4に示した。その結果、水分が53.0〜63.0%で良好な糸引き性および良好なチーズ風味を有した。特に、55.0〜59.0%で優れた糸引き性を有した。この特性は加熱時および冷却後も維持されており、チーズ様の糸引き性と風味を有していた。なお、本発明のチーズ類の乳脂肪/乳タンパク質の比率は1.25であった。
【0037】
[実施例5]
(原料チーズの違いによる比較)
ゴーダチーズ、モザレラチーズ、チェダーチーズ各3,000gをそれぞれチーズ原料として、タピオカ加工澱粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(エステル化)(松谷化学製 ファリネックスVA70TJ))を用いた以外は実施例1と同様の方法でチーズ類を製造し、評価を行なった。結果を表5に示した。どの原料チーズを使用しても、優れた糸引き性および良好なチーズ風味を有した。この特性は加熱時および冷却後も維持されており、チーズ様の糸引き性と風味を有していた。
【0038】
【表5】
【0039】
[実施例6]
ゴーダチーズ(雪印メグミルク製)3,000gを原料チーズとして用い粉砕した。次に、油脂を乳主原規格まで添加し、タピオカ加工澱粉(酸化澱粉(松谷化学製 スタビローズTA-8))900g(6.0重量%)を添加した。また、pH調整剤としてクエン酸と重曹を添加して原材料のpHを5.5になるように調整し、最終水分含量が57%となるように水を添加した。乳化は溶融塩(リン酸Na製剤)90gを添加した後、高せん断タイプのステファン型式乳化釜を用い、1,800rpmで85℃まで加熱溶融した。85℃に到達後、そのままの回転数で30秒間撹拌保持した。加熱乳化したチーズ類を充填し、5℃で24時間冷却して本発明のチーズ類を製造した。
得られたチーズ類(本発明品)の糸引き性試験を行ったところ、加熱時および冷却時とも15cm以上のチーズ類の伸びが認められ、優れた糸引き性および良好なチーズ風味を有した。この特性は加熱時および冷却後も維持されており、チーズ様の糸引き性と風味を有していた。なお、本発明のチーズ類の乳脂肪/乳タンパク質の比率は1.25であった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明により製造されたチーズ類は、従来提供することができなかった、加熱時のみではなく低温時においても良好なプロセスチーズ様の糸引き性と風味を有するチーズ類、およびその製造方法を提供することができるので、家庭用、業務用を問わず様々な用途のチーズ類の製品とすることができる。