(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを省略している。
【0010】
図1に示すように、半導体装置10は、配線基板20と、その配線基板20に実装された半導体チップ21とを有している。
配線基板20は、厚さ方向の中間部にコア基板30を有している。コア基板30は、例えば補強材であるガラスクロス(ガラス織布)にエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させ硬化させた、いわゆるガラスエポキシ基板を用いることができる。補強材としてはガラスクロスに限らず、例えばガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布、液晶ポリマ(Liquid Crystal Polymer:LCP)織布やLCP不織布を用いることができる。また、熱硬化性の絶縁性樹脂としてはエポキシ樹脂に限らず、例えばポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの樹脂材を用いることができる。コア基板30の厚さは、例えば80〜400μm程度とすることができる。
【0011】
コア基板30には、所要の箇所(
図1(a)では7箇所)に貫通孔30Xが設けられている。貫通孔30Xは、コア基板30の上面30Aから下面30Bまでを貫通するように形成されている。この貫通孔30X内には、コア基板30を厚さ方向に貫通する貫通電極31が形成されている。貫通電極31は、貫通孔30X内に充填されている。この貫通電極31は、図示は省略するが、例えば平面視略円形状に形成されている。その貫通電極31の直径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。また、貫通電極31の材料としては、例えば銅(Cu)や銅合金を用いることができる。
【0012】
コア基板30の上面30Aには配線層32が形成され、コア基板30の下面30Bには配線層33が形成されている。これら配線層32,33は上記貫通電極31を介して相互に電気的に接続されている。なお、配線層32,33の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。配線層32,33の厚さは、例えば20〜35μm程度とすることができる。
【0013】
コア基板30の下面30Bには、上記配線層33を被覆する絶縁層41と、絶縁層41の下面に形成された配線層51と、配線層51を被覆する絶縁層42と、絶縁層42の下面に形成された配線層52と、絶縁層42及び配線層52の下に形成されたソルダレジスト層43とが順に積層されている。
【0014】
絶縁層41には、所要の箇所に、当該絶縁層41を厚さ方向に貫通する貫通孔VH1が形成されている。この貫通孔VH1内には、配線層33と配線層51とを電気的に接続するビアV1が形成されている。このビアV1は、絶縁層41を厚さ方向に貫通するように形成されている。また、絶縁層42には、所要の箇所に、当該絶縁層42を厚さ方向に貫通する貫通孔VH2が形成されている。この貫通孔VH2内には、配線層51と配線層52とを電気的に接続するビアV2が形成されている。このビアV2は、絶縁層42を厚さ方向に貫通するように形成されている。これら貫通孔VH1,VH2及びビアV1,V2は、
図1(a)において上側(コア基板30側)から下側(配線層52側)に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されている。例えば、貫通孔VH1,VH2は、上側の開口端の開口径が下側の開口端の開口径よりも小径となる円錐台形状に形成され、ビアV1,V2は、上面が下面よりも小径となる円錐台形状に形成されている。
【0015】
ここで、配線層51,52の厚さは例えば20〜35μm程度とすることができ、配線層33の下面から絶縁層41の下面までの厚さは例えば15〜35μm程度とすることができ、配線層51の下面から絶縁層42の下面までの厚さは例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、配線層51,52及びビアV1,V2の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。絶縁層41,42の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。また、絶縁層41,42の材料としては、例えば感光性を有する絶縁性樹脂や熱硬化性を有する絶縁性樹脂を用いることができる。
【0016】
ソルダレジスト層43には、最下層の配線層52の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための開口部43Xが形成されている。この外部接続用パッドP1には、配線基板20をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子が接続されるようになっている。なお、必要に応じて、上記開口部43Xから露出する配線層52上にOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜に上記外部接続端子を接続するようにしてもよい。また、上記開口部43Xから露出する配線層52上に金属層を形成し、その金属層に上記外部接続端子を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらNi層、Au層、Pd層としては、例えば無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、上記Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、上記Au層はAu又はAu合金からなる金属層、上記Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。なお、上記開口部43Xから露出する配線層52(あるいは、配線層52上にOSP膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0017】
上記開口部43X及び外部接続用パッドP1の平面形状は例えば円形状であり、その直径は例えば200〜300μm程度とすることができる。配線層52の下面からソルダレジスト層43の下面までの厚さは、例えば20〜40μm程度とすることができる。なお、ソルダレジスト層43の材料としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0018】
一方、コア基板30の上面30Aには、上記配線層32を被覆する絶縁層61と、絶縁層61の上面に形成された配線層71と、配線層71を被覆する絶縁層62と、絶縁層62の上面に形成された配線層72と、配線層72を被覆する絶縁層63とが順に積層されている。
【0019】
絶縁層61には、所要の箇所に、当該絶縁層61を厚さ方向に貫通する貫通孔VH3が形成されている。この貫通孔VH3内には、配線層32と配線層71とを電気的に接続するビアV3が形成されている。このビアV3は、絶縁層61を厚さ方向に貫通するように形成されている。また、絶縁層62には、所要の箇所に、当該絶縁層62を厚さ方向に貫通する貫通孔VH4が形成されている。この貫通孔VH4内には、配線層71と配線層72とを電気的に接続するビアV4が形成されている。このビアV4は、絶縁層62を厚さ方向に貫通するように形成されている。これら貫通孔VH3,VH4及びビアV3,V4は、
図1(a)において上側(配線層72側)から下側(コア基板30側)に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。例えば、貫通孔VH3,VH4は、上側の開口端の開口径が下側の開口端の開口径よりも大径となる逆円錐台形状に形成され、ビアV3,V4は、上面が下面よりも台形となる逆円錐台形状に形成されている。
【0020】
ここで、配線層71,72の厚さは例えば20〜35μm程度とすることができ、配線層32の上面から絶縁層61の上面までの厚さは例えば15〜35μm程度とすることができ、配線層71の上面から絶縁層62の上面までの厚さは例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、配線層71,72及びビアV3,V4の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。絶縁層61,62の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。また、絶縁層61,62の材料としては、例えば感光性を有する絶縁性樹脂や熱硬化性を有する絶縁性樹脂を用いることができる。
【0021】
図1(b)に示すように、絶縁層63は、絶縁層64と絶縁層65とを有している。絶縁層64は、絶縁層62上に、配線層72の上面及び側面を被覆するように形成されている。この絶縁層64は、フィラーを含有する絶縁層である。絶縁層64の材料としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの絶縁性樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。絶縁層64の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0022】
絶縁層65は、絶縁層64上に、その絶縁層64の上面を被覆するように形成されている。絶縁層65は、フィラーを含有していない絶縁層である。すなわち、絶縁層65は、フィラーを含有していない樹脂材からなる絶縁層である。絶縁層65の材料としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの絶縁性樹脂であって、且つ、フィラーを含有していない絶縁性樹脂を用いることができる。また、絶縁層65は、絶縁層64よりも薄い絶縁層である。絶縁層65の厚さは、その絶縁層65の上面65A上に形成される配線層81よりも薄く形成することができる。すなわち、絶縁層65は、下層の配線層72を被覆する上記絶縁層64上に形成され、その絶縁層64やその他の絶縁層62のように、配線層を被覆して、積層された配線層同士の絶縁を確保する必要がないため、絶縁層65を配線層81よりも薄く形成することができる。このため、絶縁層65の厚さは、配線基板20の薄型化の観点から、配線層81及び絶縁層64よりも薄く設定することが好ましい。
【0023】
絶縁層63(絶縁層64,65)には、所要の箇所に、当該絶縁層63を厚さ方向に貫通する貫通孔VH5が形成されている。この貫通孔VH5は、絶縁層64を厚さ方向に貫通する貫通孔64Xと、その貫通孔64Xと連通し、絶縁層65を厚さ方向に貫通する貫通孔65Xとを有している。この貫通孔VH5(貫通孔64X,65X)は、例えば断面視略矩形状(ストレート形状)又は断面視逆台形状に形成されている。
【0024】
貫通孔VH5内には、配線層72と上記絶縁層65の上面65Aに形成される配線層81とを電気的に接続するビアV5が形成されている。このビアV5は、絶縁層63(絶縁層64,65)を厚さ方向に貫通するように形成されている。ビアV5は、上記貫通孔VH5と同様に、例えば断面視略矩形状又は断面視逆台形状に形成されている。
【0025】
さらに、絶縁層65は、上面が平滑な絶縁層である。すなわち、絶縁層65の上面は、凹凸が少ない平滑面(低粗度面)である。例えば、絶縁層65の上面は、貫通孔65Xの内面よりも表面粗度が低くなっている。具体的には、絶縁層65の上面の粗度は、表面粗さRa値で例えば10〜200nm程度となるように設定されている。ここで、表面粗さRa値とは、表面粗さを表わす数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。
【0026】
図1(a)に示すように、絶縁層63(絶縁層65)の上面65Aには、微細配線構造80が積層されている。微細配線構造80は、絶縁層65上に形成された配線層81と、配線層81を被覆する絶縁層91と、絶縁層91の上面に形成された配線層82と、配線層82を被覆する絶縁層92と、絶縁層92の上面に形成された配線層83と、配線層83を被覆する絶縁層93と、絶縁層93の上面に形成された配線層84とが順に積層された構造を有している。
【0027】
配線層81〜84は、微細配線構造80よりも下方に形成された配線層71,72等よりも微細に形成された配線層である。例えば、配線層81〜84は、ライン/スペース(L/S)=5μm/5μm未満の微細配線である。また、配線層81〜84は、微細配線構造80よりも下方に形成された配線層71,72等よりも薄い配線層である。例えば、配線層81〜84の厚さは1〜10μm程度とすることができる。
【0028】
絶縁層91には、所要の箇所に、当該絶縁層91を厚さ方向に貫通する貫通孔VH6が形成されている。この貫通孔VH6内には、配線層81と配線層82とを電気的に接続するビアV6が形成されている。このビアV6は、絶縁層91を厚さ方向に貫通するように形成されている。また、絶縁層92には、所要の箇所に、当該絶縁層92を厚さ方向に貫通する貫通孔VH7が形成されている。この貫通孔VH7内には、配線層82と配線層83とを電気的に接続するビアV7が形成されている。このビアV7は、絶縁層92を厚さ方向に貫通するように形成されている。絶縁層93には、所要の箇所に、当該絶縁層93を厚さ方向に貫通する貫通孔VH8が形成されている。この貫通孔VH8内には、配線層83と配線層84とを電気的に接続するビアV8が形成されている。このビアV8は、絶縁層93を厚さ方向に貫通するように形成されている。これら貫通孔VH6〜VH8及びビアV6〜V8は、
図1(a)において上側(配線層84側)から下側(コア基板65側)に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されている。例えば、貫通孔VH6〜VH8は、上側の開口端の開口径が下側の開口端の開口径よりも大径となる逆円錐台形状に形成され、ビアV6〜V8は、上面が下面よりも大径となる逆円錐台形状に形成されている。
【0029】
ここで、絶縁層91〜93は、微細配線構造80よりも下方に形成された絶縁層61,62等よりも薄く形成されている。例えば、配線層81の上面から絶縁層91の上面までの厚さは例えば1〜20μm程度とすることができ、配線層82の上面から絶縁層92の上面までの厚さは例えば1〜20μm程度とすることができ、配線層83の上面から絶縁層93の上面までの厚さは例えば1〜20μm程度とすることができる。なお、配線層81〜83及びビアV6〜V8の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。絶縁層91〜93の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。また、絶縁層91〜93の材料としては、例えば感光性を有する絶縁性樹脂を用いることができる。
【0030】
最上層の配線層84上には金属層85が形成されている。金属層85の例としては、配線層84の上面から、Ni層/Au層を順に積層した金属層、Ni層/Pd層/Au層を順に積層した金属層、Ni層/Pd層/銀(Ag)層を順に積層した金属層、Ni層/Pd層/Ag層/Au層を順に積層した金属層を挙げることができる。これらNi層、Au層、Pd層、Ag層としては、例えば無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。金属層85がNi層/Au層である場合には、Ni層の厚さを例えば0.1〜3μm程度とすることができ、Au層の厚さを例えば0.01〜1μm程度とすることができる。
【0031】
半導体チップ21は、以上説明した構造を有する配線基板20にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体チップ21の回路形成面(
図1(a)では、下面)に配設されたバンプ22を配線基板20の金属層85(パッド)に接合することにより、半導体チップ21は配線基板20にフェイスダウンで接合される。この半導体チップ21は、バンプ22を介して、配線基板20の金属層85と電気的に接続されている。
【0032】
半導体チップ21としては、例えばCPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体チップ21としては、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることもできる。この半導体チップ21の大きさは、例えば平面視で3mm×3mm〜12mm×12mm程度とすることができる。また、半導体チップ21の厚さは、例えば50〜100μm程度とすることができる。
【0033】
また、上記バンプ22としては、例えば金バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)とAuの合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0034】
次に、上記半導体装置10の作用について説明する。
配線基板20では、フィラーを含有していない樹脂材からなる絶縁層65の上面65A上に微細配線構造80を形成するようにした。絶縁層65にはフィラーが含有されていないため、その絶縁層65をストッパ層としてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により金属(例えば、銅)を研磨した場合であっても、そのCMPの際に絶縁層65の上面65Aにおいてフィラーが脱粒(脱落)することがない。このため、CMP用のスラリーに含まれる研磨砥粒よりも粒径の大きいフィラーが研磨砥粒となることを未然に防止できる。これにより、絶縁層65の上面65Aにスクラッチ傷が形成されることが抑制され、絶縁層65の上面65Aに微細な凹凸が形成されることが抑制される。すなわち、CMP処理後においても絶縁層65の上面65Aを平滑面に維持することができる。したがって、その絶縁層65の上面65A上に微細な配線層81を好適に形成することができる。
【0035】
次に、上記半導体装置10の製造方法について説明する。
まず、
図2(a)に示す工程では、例えば銅張積層板(Copper Clad Laminate:CCL)に貫通孔30Xを形成し、電解めっきやペースト充填等の方法により貫通孔30X内に貫通電極31を形成した後、サブトラクティブ法によりコア基板30の上面30A及び下面30Bにそれぞれ配線層32,33を形成する。
【0036】
次に、
図2(b)に示す工程では、コア基板30の下面30B及び配線層33を被覆する絶縁層41を形成するとともに、コア基板30の上面30A及び配線層32を被覆する絶縁層61を形成する。これら絶縁層41,61は、例えばコア基板30に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜200℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。
【0037】
続いて、
図2(c)に示す工程では、配線層33の下面の一部が露出されるように絶縁層41の所定箇所に貫通孔VH1を形成するとともに、配線層32の上面の一部が露出されるように絶縁層61の所定箇所に貫通孔VH3を形成する。これら貫通孔VH1,VH3は、例えばCO
2レーザやUV−YAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、絶縁層41,61が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要の貫通孔VH1,VH3を形成するようにしてもよい。
【0038】
次いで、貫通孔VH1,VH3をレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、貫通孔VH1,VH3の底部に露出する配線層32,33の露出面に付着した樹脂スミアを除去する。
【0039】
続いて、
図3(a)に示す工程では、絶縁層41の貫通孔VH1内にビアV1を形成するとともに、そのビアV1を介して配線層33と電気的に接続される配線層51を絶縁層41の下面に積層する。また、絶縁層61の貫通孔VH3内にビアV3を形成するとともに、そのビアV3を介して配線層32と電気的に接続される配線層71を絶縁層61の上面に積層する。これらビアV1,V3及び配線層51,71は、例えばセミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
【0040】
次に、
図2(b)〜
図3(a)に示した工程と同様の工程を再度実行することにより、
図3(b)に示すように、コア基板30の下面30B側に絶縁層42と配線層52を積層するとともに、コア基板30の上面30A側に絶縁層62と配線層72を積層する。
【0041】
続いて、
図4(a)に示す工程では、絶縁層62の上面に、配線層72の表面(側面及び上面)全面を被覆する絶縁層64と、その絶縁層64の上面全面を被覆する絶縁層65と、その絶縁層65の上面全面を被覆する金属箔100とが順に積層された構造体を積層する。例えば、絶縁層62の上面に、B−ステージ状態(半硬化状態)の絶縁層64及び絶縁層65と、金属箔100とを熱圧着によりラミネートする。次いで、絶縁層64,65を150℃程度の温度雰囲気でキュア(熱硬化処理)を行うことにより硬化させる。このとき、上記金属箔100の下面は平滑面になっている。このため、本工程により、金属箔100の下面(平滑面)に接する絶縁層65の上面65Aを好適に平滑面に形成することができる。ここで、金属箔100の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。また、金属箔100の厚さは、例えば0.1〜20μm程度とすることができる。
【0042】
次に、
図4(b)に示す工程では、金属箔100に、貫通孔VH5(
図1参照)に対応する開口部100Xを形成する。すなわち、貫通孔VH5(貫通孔64X,65X)の形成予定領域の絶縁層65を露出する開口部100Xを金属箔100に形成する。この開口部100Xは、例えばサブトラクティブ法により形成することができる。
【0043】
続いて、
図5(a)に示す工程では、開口部100Xを有する金属箔100をコンフォーマルマスクとして利用し、その開口部100Xを通して絶縁層65,64をレーザ加工することにより、下側の配線層72の上面を露出する貫通孔VH5を形成する。すなわち、レーザ加工により、開口部100Xから露出された絶縁層65に貫通孔65Xを形成するとともに、開口部100Xから露出された絶縁層64に貫通孔64Xを形成する。このように、本例ではコンフォーマルマスク方式によって、絶縁層64,65からなる絶縁層63に貫通孔VH5を形成するようにした。これに限らず、例えば、金属箔100に開口部100Xを形成せずに、金属箔100、絶縁層65,64の所要部分を直接レーザ加工(ダイレクトレーザ加工)することにより、配線層72の上面を露出する貫通孔VH5を形成するようにしてもよい。また、絶縁層64,65が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要の貫通孔VH5(貫通孔64X,65X)を形成するようにしてもよい。
【0044】
次いで、貫通孔VH5をレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、貫通孔VH5の底部に露出する配線層72の露出面に付着した樹脂スミアを除去する。このとき、絶縁層65の上面65A全面を被覆するように金属箔100が形成されているため、その金属箔100によって絶縁層65の上面65Aを上記デスミア処理から保護することができる。すなわち、絶縁層65の上面65A全面を被覆するように金属箔100が形成されているため、上記デスミア処理によって絶縁層65の上面65Aがエッチングされることを防止することができる。これにより、上記デスミア処理により、絶縁層65の上面65Aが粗面化されることを抑制することができ、絶縁層65の上面65Aを平滑面に維持することができる。また、上記デスミア処理では、貫通孔65Xの内面は金属箔100から露出されているため、貫通孔65Xの内面は粗面化されることになる。このため、本工程後の貫通孔65Xの内面は、絶縁層65の上面65Aよりも表面粗度が高くなる。
【0045】
次に、
図5(b)に示す工程では、開口部100Xの内面を含む金属箔100の表面全面、貫通孔VH5の内面にシード層(図示略)を形成し、そのシード層を給電層とする電解銅めっき(パネルめっき)により、貫通孔VH5及び開口部100Xを充填するとともに、金属箔100の上面全面を被覆する電解銅めっき層101(導電層)を形成する。
【0046】
続いて、CMP法により、絶縁層65の上面65Aから突出する電解銅めっき層101、及び金属箔100を研磨し、
図6(a)に示すように、絶縁層65の上面65Aと面一となるビアV5を形成する。本例のCMPでは、絶縁層65をストッパ層として電解銅めっき層101及び金属箔100(つまり、銅)の研磨が行われる。すなわち、本例のCMPでは、絶縁層65の研磨量が、電解銅めっき層101及び金属箔100の研磨量に比べて十分に小さくなるようにスラリーの材質や研磨パッドの硬度等が調整されている。
【0047】
本工程において、金属箔100の直下に形成されている絶縁層65はフィラーを含んでいないため、CMP研磨時にフィラーが脱粒することを防止することができる。これにより、絶縁層65の上面65Aにスクラッチ傷が生じることを抑制することができ、絶縁層65の上面65Aに微細な凹凸が形成されることを抑制することができる。すなわち、絶縁層65の上面65Aを平滑な面に維持することができる。
【0048】
続いて、
図6(b)に示す工程では、例えばスパッタリングにより、絶縁層65の上面65A及びビアV5の上面を被覆するようにシード層81Aを形成する。このとき、シード層81Aは絶縁層65の上面65Aの形状に沿って形成される。このため、絶縁層65の上面65Aと同様に、シード層81Aの上面は平滑面に形成される。なお、シード層81Aの材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0049】
次いで、
図7(a)に示す工程では、シード層81A上に、所定の箇所に開口パターン102Xを有するレジスト層102を形成する。開口パターン102Xは、配線層81(
図1参照)の形成領域に対応する部分のシード層81Aを露出するように形成される。レジスト層102の材料としては、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。具体的には、レジスト層102の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、シード層81Aの上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして上記開口パターン102Xを有するレジスト層102を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層102を形成することができる。本工程において、レジスト層102が形成されるシード層81Aの上面が平滑面になっているため、レジスト層102にパターニング欠陥が生じることを抑制することができる。すなわち、レジスト層102に開口パターン102Xを高精度に形成することができる。
【0050】
次に、
図7(b)に示す工程では、レジスト層102をめっきマスクとして、シード層81Aの上面に、そのシード層81Aをめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。具体的には、レジスト層102の開口パターン102Xから露出されたシード層81Aの上面に電解めっき法(ここでは、電解銅めっき法)を施すことにより、そのシード層81Aの上面に電解銅めっき層81Bを形成する。続いて、
図8(a)に示す工程では、レジスト層102を除去するとともに、不要なシード層81Aをエッチングにより除去する。これにより、シード層81Aと電解銅めっき層81Bとからなる配線層81が絶縁層65上に形成される。このように、下層の配線層71,72等よりも微細な配線層81はセミアディティブ法によって形成される。
【0051】
次いで、
図8(b)に示す工程では、絶縁層65の上面65A上に、配線層81の表面全面を被覆する絶縁層91を形成する。例えば絶縁層65の上面65Aに樹脂フィルムを熱圧着によりラミネートすることにより上記絶縁層91を形成する。続いて、
図9(a)に示す工程では、例えばフォトリソグラフィ法により、絶縁層91の所要箇所に、配線層81の上面の一部を露出する貫通孔VH6を形成する。
【0052】
次に、
図9(b)に示す工程では、
図6(b)〜
図8(a)に示した工程と同様に、例えばセミアディティブ法により、貫通孔VH6を充填するビアV6を形成するとともに、絶縁層91上に配線層82を形成する。続いて、
図10に示す工程では、
図8(b)及び
図9(a)に示した工程と同様に、絶縁層91上に、配線層82の上面の一部を露出する貫通孔VH7を有する絶縁層92を形成する。次いで、
図11に示す工程では、
図6(b)〜
図8(a)に示した工程と同様に、例えばセミアディティブ法により、貫通孔VH7を充填するビアV7を形成するとともに、絶縁層92上に配線層83を形成する。その後、
図8(b)及び
図9(a)に示した工程と同様に、絶縁層92上に、配線層83の上面の一部を露出する貫通孔VH8を有する絶縁層93を形成する。
【0053】
次に、
図12に示す工程では、
図6(b)〜
図8(a)に示した工程と同様に、例えばセミアディティブ法により、貫通孔VH8を充填するビアV8を形成するとともに、絶縁層93上に最上層の配線層84を形成する。
【0054】
続いて、
図13に示す工程では、最下層の配線層52の所要の箇所に画定される外部接続用パッドP1を露出させるための開口部43Xを有するソルダレジスト層43を絶縁層42の下面に積層する。このソルダレジスト層43は、例えば感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。これにより、ソルダレジスト層43の開口部43Xから配線層52の一部が外部接続用パッドP1として露出される。
【0055】
次いで、例えば無電解めっき法により、配線層84上に金属層85を形成する。例えば金属層85がNi層/Au層である場合には、無電解めっき法により、配線層84上にNi層とAu層を順に積層する。なお、必要に応じて、ソルダレジスト層43の開口部43Xから露出された配線層52(つまり、外部接続用パッドP1)上に、例えばNi層とAu層を順に積層するようにしてもよい。
【0056】
以上の製造工程により、
図1に示した配線基板20を製造することができる。
そして、上述のように製造された配線基板20に
図1(a)に示した半導体チップ21を実装する。具体的には、配線基板20の金属層85上に、半導体チップ21のバンプ22をフリップチップ接合する。以上の製造工程により、
図1に示した半導体装置10を製造することができる。
【0057】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)絶縁層62上に、フィラーを含有する絶縁層64と、フィラーを含有していない絶縁層65とを順に積層し、それら絶縁層64,65を厚さ方向に貫通する電解銅めっき層101を形成した後に、CMPにより、絶縁層65の上面65Aから突出する電解銅めっき層101を研磨するようにした。CMP処理のストッパ層となる絶縁層65がフィラーを含んでいないため、CMP研磨時にフィラーが脱粒することを防止することができる。これにより、絶縁層65の上面65Aにスクラッチ傷が生じることを抑制することができ、絶縁層65の上面65Aに微細な凹凸が形成されることを抑制することができる。すなわち、CMP処理後においても絶縁層65の上面65Aを平滑な面に維持することができる。このため、絶縁層65の上面65Aにシード層81Aを形成した場合に、シード層81Aの上面を平滑に形成することができる。したがって、このような平滑面であるシード層81Aの上面に開口パターン102Xを有するレジスト層102が形成されるため、レジスト層102にパターニング欠陥が生じることを好適に抑制することができる。ひいては、歩留まりの低下を抑制することができる。
【0058】
(2)絶縁層65の上面65Aを被覆する金属箔100を形成し、金属箔100に開口部100Xを形成するとともに絶縁層64,65に貫通孔VH5を形成した後に、金属箔100をマスクにして貫通孔VH5内をデスミア処理するようにした。このデスミア処理において、絶縁層65の上面65Aが金属箔100によって保護されているため、上記デスミア処理によって絶縁層65の上面65Aがエッチングされることを抑制することができる。これにより、デスミア処理後においても絶縁層65の上面65Aを平滑な面に維持することができる。このため、絶縁層65の上面65Aにシード層81Aを形成した場合に、シード層81Aの上面を平滑に形成することができる。したがって、このような平滑面であるシード層81Aの上面に開口パターン102Xを有するレジスト層102が形成されるため、レジスト層102にパターニング欠陥が生じることを好適に抑制することができる。ひいては、歩留まりの低下を抑制することができる。
【0059】
(3)絶縁層65の上面65A上に、下面が平滑面になっている金属箔100を積層するようにした。このため、平滑面である金属箔100の下面に接する絶縁層65の上面65Aを好適に平滑面に形成することができる。
【0060】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態の
図4(a)に示した工程において、金属箔100の積層を省略してもよい。この場合には、絶縁層62上に、配線層72を被覆する絶縁層64と、その絶縁層64の上面全面を被覆する絶縁層65とが積層される。
【0061】
・上記実施形態では、最上層の配線層84上に金属層85を形成するようにした。これに限らず、例えば配線層84上にOSP膜を形成するようにしてもよい。
・上記実施形態における配線基板20における配線層51,52,71,72及び絶縁層41,42,61,62の層数や配線の取り回しなどは様々に変形・変更することが可能である。
【0062】
・上記実施形態における微細配線構造80における配線層81〜84及び絶縁層91〜93の層数や配線の取り回しなどは様々に変形・変更することが可能である。
・上記実施形態では、コア基板30を有するコア付きビルドアップ基板上に微細配線構造80を形成するようにしたが、微細配線構造80の下層の構造は特に限定されない。例えば、コア基板を含まないコアレス基板上に微細配線構造80を形成するようにしてもよい。