(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記エポキシシクロアルキル型化合物(a1)及びグリシジルエーテル型化合物(a2)が、それぞれ、2つ以上のエポキシ基を有する化合物を主成分とすることを特徴とする請求項1記載のエネルギー線感受性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のエネルギー線感受性組成物及び該エネルギー線感受性組成物からなる接着剤について詳細に説明する。
【0010】
本発明に使用する上記カチオン重合性モノマー混合物(A)において、該混合物を構成するカチオン重合性モノマーは、光照射により活性化したエネルギー線感受性カチオン重合開始剤により高分子化又は、架橋反応を起こす化合物であり、エポキシ化合物が用いられる。該エポキシ化合物は、エポキシシクロアルキル型化合物(a1)及びグリシジルエーテル型化合物(a2)を必須成分とする。
【0011】
上記エポキシシクロアルキル型化合物(a1)の具体例としては、少なくとも1個の脂環を有し、脂環に直接ヒドロキシル基が結合した多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物又はシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル 3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、α−ピネンオキシド、ε―カプロラクトン変性 3’,4’−エポキシシクロへキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられ、中でも2つ以上のエポキシ基を有するものが、密着性の点から好ましく、そのうち2つ以上のエポキシシクロヘキサン構造を分子内に持つものがより好ましく、3,4−エポキシシクロへキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートがさらに好ましい。
【0012】
上記エポキシシクロアルキル型化合物(a1)としては、市販品を用いることができ、例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000(ダイセル社製)等が挙げられる。
【0013】
上記エポキシシクロアルキル型化合物(a1)を複数種混合して用いるときは、2つ以上10以下のエポキシ基を有する化合物群が主成分となるように用いるのが好ましく、上記エポキシシクロアルキル型化合物(a1)中、80〜100質量%となるように用いるのがより好ましい。
ここで、主成分とは、一番含有量の多いものを言う。
【0014】
上記グリシジルエーテル型化合物(a2)の具体例としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、代表的な化合物として、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C 1 2〜13混合アルキルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテルが挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやエポキシ化ポリブタジエン等が挙げられ、中でも2つ以上のエポキシ基を有するものが、密着性の点から好ましく、分子量が500以下であるものがより好ましく、分子量が300以下であるものがさらに好ましい。尚、ここでいう分子量は、主成分となる化合物の化学式量を示す。
【0015】
上記グリシジルエーテル型化合物(a2)としては、市販品を用いることができ、例えば、デナコールEX−121、デナコールEX−141、デナコールEX−171、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−214L、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931、DY−022(ナガセケムテックス社製);エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(共栄社化学社製)、アデカグリシロールED−503G(ADEKA社製)等が挙げられる。
【0016】
上記グリシジルエーテル型化合物(a2)を複数種混合して用いるときは、2つ以上10以下のエポキシ基を有する化合物群が主成分となるように用いるのが好ましく、上記グリシジルエーテル型化合物(a2)中、80〜100質量%となるように用いるのがより好ましい。
ここで、主成分とは、一番含有量の多いものを言う。
【0017】
上記カチオン重合性モノマー混合物(A)において、上記エポキシシクロアルキル型化合物(a1)及び上記グリシジルエーテル型化合物(a2)の混合割合は、上記エポキシシクロアルキル型化合物(a1)100質量部に対して、上記グリシジルエーテル型化合物(a2)が、10〜100質量部、特に20〜90質量部であることが好ましい。
【0018】
上記カチオン重合性モノマー混合物(A)において、カチオン重合性モノマーとして、さらに、上記エポキシシクロアルキル型化合物(a1)及び上記グリシジルエーテル型化合物(a2)以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物を加えることもできる。
この場合、これらの化合物は、上記カチオン重合性モノマー混合物(A)中、好ましくは、合計で、
30質量%以下とする。
【0019】
本発明に使用する上記エネルギー線感受性酸発生剤(B)とは、エネルギー線照射により酸を発生することが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、エネルギー線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、又はその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、下記一般式、
[A]
r+[B]
r-(但し、Aは陽イオン種、Bは陰イオン種、rはイオンの価数を表す)
で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
【0020】
ここで陽イオン[A]
r+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[(R
1)
aQ]
r+
で表すことができる。
【0021】
更にここで、R
1は炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のR
1は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。Qは、S、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F及びN=Nからなる群から選ばれる原子或いは原子団である。また、陽イオン[A]
r+中のQの原子価をqとしたとき、r=a−qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
【0022】
また、陰イオン[B]
r-は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[LX
b]
r-
で表すことができる。
【0023】
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[B]
r-中のLの原子価をpとしたとき、r=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
【0024】
上記一般式の陰イオン[LX
b]
r-の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート(BF
4)
-、ヘキサフルオロフォスフェート(PF
6)
-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF
6)
-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF
6)
-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl
6)
-等を挙げることができる。
【0025】
また、陰イオン[B]
r-は、下記一般式、
[LX
b-1(OH)]
r-
で表される構造のものも好ましく用いることができる。L,X,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO
4)
-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF
3SO
3)
-、フルオロスルホン酸イオン(FSO
3)
-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
【0026】
本発明では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
(イ) フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
【0028】
(ロ) ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
【0029】
(ハ)下記群I又は群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
【0032】
また、その他好ましいものとしては、(η
5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げることができる。
【0033】
これらの中でも、実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましい。
【0034】
上記カチオン重合性モノマー混合物(A)に対する(2)エネルギー線感受性酸発生剤(B)の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよいが、例えば、カチオン重合性モノマー混合物(A)100質量部に対して、エネルギー線感受性酸発生剤0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部とすることができる。少なすぎると硬化が不十分となりやすく、多すぎると硬化物の吸水率や硬化物強度等の諸物性に悪影響を与える場合がある。
【0035】
本発明のエネルギー線感受性組成物において、塩素含有量は、2000ppm以下、好ましくは50〜1000ppm、さらに好ましくは100〜300ppmである。塩素含有量が2000ppm以上であると、エネルギー線感受性組成物の硬化性の点で好ましくない。
本発明のエネルギー線感受性組成物において、塩素含有量を2000ppm以下とするためには、カチオン重合性モノマーとして、塩素含有量の少ないものを用いることができる。塩素含有量は少ないほど好ましいが、10ppm未満とするのは工業的に困難である。
【0036】
本発明のエネルギー線感受性組成物には、必要に応じてシランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル官能性アルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアルケニル官能性アルコキシシラン、3−メタクリロキシブロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシブロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド等のチタンアルコキシド類、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタンキレート類、ジルコウニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート等のジルコニウムキレート類、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等のジルコニウムアシレート類、メチルトリイソシアネートシラン等のイソシアネートシラン類等を用いることができる。
【0037】
上記シランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、通常、エネルギー線感受性組成物中の固形物の全量100質量部に対して、1〜20質量部の範囲である。
【0038】
本発明のエネルギー線感受性組成物には、必要に応じて熱重合開始剤を用いることができる。
熱重合開始剤とは、加熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する化合物であって、スルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩等の塩;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキルポリアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類;上記ポリアミン類と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類又はカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ樹脂とを常法によって反応させることによって製造されるポリエポキシ付加変性物;上記有機ポリアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸等のカルボン酸類とを常法によって反応させることによって製造されるアミド化変性物;上記ポリアミン類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類及びフェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の核に少なくとも一個のアルデヒド化反応性場所を有するフェノール類とを常法によって反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物;多価カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;トリメリト酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸類等)の酸無水物;ジシアンジアミド、イミダゾール類、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミド等を挙げることができる。
【0039】
上記熱重合開始剤としては、市販品を用いることもでき、例えば、アデカオプトン CP77、アデカオプトンCP66(ADEKA社製)、CI−2639、CI−2624(日本曹達社製)、サンエイド SI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイド SI−100L(三新化学工業社製)等が挙げられる。
【0040】
上記熱重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、通常、エネルギー線感受性組成物中の固形物の全量100質量部に対して、0.001〜10質量部の範囲であり、該熱重合開始剤を用いる場合には、本発明のエネルギー線感受性組成物を硬化させる際に130〜180℃で20分〜1時間加熱するのが好ましい。
【0041】
本発明のエネルギー線感受性組成物には、必要に応じて熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
【0042】
本発明のエネルギー線感受性組成物には、特に制限されず通常用いられる上記(A)及び(B)の各成分を溶解又は分散しえる溶媒を用いることができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;プロピレンカーボネート、カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
【0043】
本発明のエネルギー線感受性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0044】
上記支持基体の材料としては、特に制限されず通常用いられるものを使用することができ、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジ
カルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。
尚、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
【0045】
また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他のモノマー、他のエネルギー線感受性重合開始剤、無機フィラー、有機フィラー、顔料、染料等の着色剤、光増感剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、レべリング剤、難燃剤、チクソ剤、希釈剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤、接着促進剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
【0046】
本発明のエネルギー線感受性組成物は活性エネルギー線の照射により硬化するが、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等を挙げることができ、紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザ、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0047】
本発明のエネルギー線感受性組成物の具体的な用途としては、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、ライニング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、接着剤、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、又はこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等を挙げることができ、例えばコーティング剤として適用できる基材としては金属、木材、ゴム、プラスチック、ガラス、セラミック製品等を挙げることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
以下、本発明のエネルギー線感受性組成物及び該エネルギー線感受性組成物を硬化して得られる硬化物に関し、実施例、評価例及び比較例により具体的に説明する。なお、実施例及び比較例では部は質量部を意味する。
【0050】
[実施例1〜12及び比較例1〜5]
下記の[表1]〜[表3]に示す配合で各成分を十分に混合して、各々実施組成物1〜12及び比較組成物1〜5を得た。これらのエポキシ当量を、[表1]〜[表3]に合わせて示す。
【0051】
カチオン重合性モノマーとしては下記の化合物(a−1)〜(a−2)及び(b−1)〜(b−5)並びに(b’−1)〜(b’−3)を用いた。
化合物a−1:セロキサイド2021P
(ダイセル社製/3,4−エポキシシクロへキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)
化合物a−2: セロキサイド2081
(ダイセル社製/ε―カプロラクトン変性 3‘,4’−エポキシシクロへキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)
化合物b−1:アデカグリシロールED−503G
(ADEKA社製/1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)
化合物b−2:デナコールEX−214L
(ナガセケムテックス社製/1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)
化合物b−3:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(純度99%以上)
化合物b−4:デナコールEX−121
(ナガセケムテックス社製/2−エチルへキシルグリシジルエーテル)
化合物b−5:デナコールEX−141
(ナガセケムテックス社製/フェニルグリシジルエーテル)
化合物b’−1:アデカグリシロールED−503
(ADEKA社製/1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)
化合物b’−2:DY−022
(ナガセケムテックス社製/1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)
化合物b’−3:アデカグリシロールED−523T
(ADEKA社製/ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)
【0052】
エネルギー線感受性酸発生剤(B)としては下記の化合物(B−1)〜(B−2)を用いた。
化合物B−1:[化3]で表される化合物
化合物B−2:[化4]で表される化合物
【0053】
【化3】
【0054】
【化4】
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
[評価例1〜12及び比較評価例1〜5]
上記実施例1〜12で得られた実施組成物及び比較例1〜5で得られた比較組成物について、下記評価を行った。結果を上記[表1]〜[表3]に示す。
(塩素含有量)
得られた実施組成物1〜12及び比較組成物の1〜5を燃焼装置TOX−100(ダイアインスツルメンツ社製)で分解しガスを吸収液に捕集した後、イオンクロマトグラフ装置ICS−2000(ダイオネクス社製)で塩素含有量を求めた。
(硬化性)
得られた実施組成物1〜12及び比較組成物の1〜5のそれぞれをPETフィルム上にバーコーターで3〜6μmの厚さに塗布し、無電極紫外光ランプを用いて800mJ/cm
2のエネルギーを照射した。照射3分後に塗布面がタックフリーになっているものを○、タックが残っているものを×として評価した。
(接着性)
得られた実施組成物1〜12及び比較組成物の1〜5のそれぞれを、一枚のコロナ放電処理を施したTAC(トリアセチルセルロース)フィルムに塗布した後、該フィルムを、ラミネーターを用いてコロナ放電処理を施したもう一枚のCOP(シクロオレフィンポリマー)フィルムと貼り合わせ、無電極紫外光ランプを用いて1000mJ/cm
2のエネルギーを照射して接着して試験片を得た。得られた試験片の90度ピール試験を行い、0.5N/cm以上であるものを〇、0.5N/cm以下であるものを×として評価した。
【0059】
[表1]〜[表3]より、本発明のエネルギー線感受性組成物は、塩素含有量が少なく、硬化性及び接着性に優れることが明らかである。