(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物または、その立体異性体もしくは互変異性体、または前記それぞれの薬学的に許容し得る塩、または全ての比率でのそれらの混合物を活性成分として薬学的に許容し得る担体とともに含む、医薬組成物。
a)請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物または、その立体異性体もしくは互変異性体、または前記のそれぞれの薬学的に許容し得る塩、または全ての比率でのそれらの混合物の有効量、および
b)さらなる医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなるセット(キット)。
【発明の概要】
【0006】
発明の説明
本願発明の目的は、増殖性または炎症性疾患、特に、LPAの亢進に関連する疾患、例えば、哺乳動物における、がん、線維症または関節炎などの処置において有用な、新規なLPA受容体アンタゴニストを提供することであり、それらの可溶性だけでなく、それらの活性の両方に関して優れた薬理学的特性、代謝クリアランスおよび生物学的利用能特性を有する、新規なLPA受容体アンタゴニストを提供することである。
結果として、本発明は、LPAアンタゴニストであり、医薬として有用であり、特に上述の疾患の処置において有用である、新規な置換ベンジルピペリジン化合物または、それらの立体異性体もしくは互変異性体、または薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0007】
化合物は式(I):
【化1】
式中、
R
1’、R
1’’、R
2、R
3、R
4、R
5’、R
5’’は、独立して、H、Hal、OH、CN、NO
2、NH
2、A、NH(LA)、N(LA)
2、COOH、COO(LA)、SO
2(LA)、O(LA)、SO
2NH
2、SO
2NH(LA)、SO
2N(LA)
2であり、
X、Y、Zは、独立してCH、C(LA)、C(Hal)またはNであり、
Qは、NR
2、OまたはSであり、
LAは、1、2、3または4個の炭素原子を有する、非分枝または分枝アルキルであり、ここで、1つ、2つまたは3つのH原子はHalにより置き換えられてもよく、
R
3は、HまたはLAであり、
Arは、0、1、2、3または4個のN、Oおよび/またはS原子および、5、6、7、8、9または10個の骨格原子を有する単環式または二環式の芳香族同素環または芳香族複素環であり、それらは非置換であるか、または互いに独立して、R
5’、R
5’’により単置換または二置換されてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIである、
により定義される。
【0008】
一般に、複数回出現する全ての残基は、同一であっても、または異なっていてもよく、すなわち、互いに独立している。本明細書中において他に明示的に記載しない限り、残基およびパラメータは、式(I)について示される意味を有する。したがって、本発明は、特に、式(I)で表される化合物に関し、ここで、少なくとも一つの前記残基が、以下に示す好ましい意味の1つを有する。
【0009】
Halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味し、特に、フッ素または塩素を意味する。
「LA」は、1、2、3または4個のC原子を有する非分枝または分枝状の直鎖アルキルを意味し、1、2または3個のH原子は、Halにより置き換えられてよく、例えば、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルにより置き換えられてよい。
【0010】
「Ar」は、例えば、非置換フェニル、またはナフチルを意味し、さらに好ましくは、例えば、フェニルまたはナフチルを意味し、それら各々は、メチル、エチル、イソプロピル、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロメチル、メタンスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチル-アミノ、ジエチルアミノ、カルボキシル、メトキシカルボニルにより単置換または二置換されている。
【0011】
「Ar」は、さらに、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−アセトアミドフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニルを意味し、さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,4−または2,5−ジニトロフェニル、2,5−または3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−または2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−または3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、p−ヨードフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニルを意味する。
【0012】
「Ar」は、さらに好ましくは、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、 1−、2−または3−ピロリル、1−、2,4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、3−または4−ピリジルメチル、2−、3−または4−ピリジルエチル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、2−、3−、5−、または6−ピラジン−1−または4−イルを意味し、さらに好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、2−、3−、4−または5−イソインドリル、2−、6−、または8−プリニル、1−、2−、4−または5−ベンゾイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2‐、4‐、5‐、6‐または7‐ベンゾイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンゾ−2,1,3−オキサジアゾリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリニル、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、キノキサリン−2−、3−、4−または5−イル、4−、5−、または6−フタラジニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニルを意味し、それら各々は、非置換であるか、メチル、エチル、イソプロピル、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロメチル、メタンスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシル、メトキシカルボニルにより単置換または二置換される。
【0013】
化合物3−エチル−2−1[−(フェニルメチル)−2−ピペリジニル]−1H−インドールは、特許文献FR70999(CAS登録番号106545−83−9)から知られており、したがって、本願の特許請求の範囲から除外される。
【0014】
式(I)の好ましい態様において、ピペリジン環のキラル炭素原子における立体化学は、式(I’):
【化2】
式中、すべての残基は、式(I)について示された意味を有する、
に示される通りである。
【0015】
さらに好ましいものは、式(I)および(I’)の副次式1〜19で表される化合物であり、ここで、
副次式1において、
R
1’、R
1’’は、独立してH、メチル、F、Cl、BrまたはSO
2NH
2であり、
副次式2において、
R
4は、Hまたはメチルであり、
副次式3において、
R
3は、Hまたはメチルであり、
副次式4において、
Arは、フェニル、フリル、ピリジル、チアゾリルまたはインダゾリルであり、
副次式5において、
R
5’、R
5’’は、独立してH、F、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、 ヒドロキシまたはニトロであり、
副次式6において、
R
1’、R
1’’は、独立してH、メチル、F、Cl、BrまたはSO
2NH
2であり、
R
3は、Hまたはメチルであり、
R
4は、Hまたはメチルであり、
Arは、フェニル、フリル、ピリジル、チアゾリルまたはインダゾリルであり、
R
5’、R
5’’は、独立してH、F、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、 ヒドロキシまたはニトロであり、
副次式7において、
R
3は、Hであり、
副次式8において、
R
4は、Hであり、
副次式9において、
Arは、フェニルであり、
副次式10において、
Qは、NR
2であり、
R
2は、H、メチルまたはイソプロピルであり、
Zは、Nであり、
【0016】
副次式11において、
Qは、NR
2であり、
R
2は、H、メチルまたはイソプロピルであり、
Zは、CHであり、
副次式12において、
Yは、CH、C(LA)またはC(Hal)であり、
Xは、Nであり、
副次式13において、
Yは、CH、C(LA)またはC(Hal)であり、
Xは、CHであり、
副次式14において、
Yは、CH、C−CH
3またはC−Fであり、
Xは、Nであり、
副次式15において、
Yは、CH、C−CH
3またはC−Fであり、
Xは、CHであり、
【0017】
副次式16において、
Qは、NHであり、
Zは、CHであり、
R
1’は、Hであり、
R
1’’は、Fであり、
副次式17において、
Qは、NHであり、
Yは、CHであり、
副次式18において、
Arは、フェニルであり、
R
5’、R
5’’は、独立してH、Fまたはメチルであり、
副次式19において、
R
3は、Hであり、
R
4は、Hであり、
Arは、フェニルであり、
R
5’、R
5’’は、独立してH、Fまたはメチルであり、
Qは、NHであり、
Yは、CHであり、
残りの残基は、式(I)について示された意味を有する。
【0018】
式(I)で表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を有してもよい。したがって、それらは様々なエナンチオマー形態において生じ、ラセミ体または光学活性体の形態であってもよい。本発明は、したがってまた、これらの化合物の光学活性体、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、まとめて:立体異性体に関する。本発明の化合物のラセミ体または立体異性体の薬学的活性が異なり得るため、エナンチオマーを使用することが望ましい場合がある。これらの場合において、最終生成物または中間体までもを、当業者に公知の化学的もしくは物理的手段によってエナンチオマー化合物に分けることができ、または、合成においてそのように採用することもできる。
【0019】
ラセミ体アミンの場合において、ジアステレオマーが混合物から光学活性な分割剤との反応によって形成される。好適な分割剤の例は、光学的に活性な酸、例えば酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸などのRおよびS形態、好適にはN保護アミノ酸(例えばN−ベンゾイルプロリンもしくはN−ベンゼンスルホニルプロリン)、または様々な光学活性なカンファースルホン酸である。また有利なのは、光学的に活性な分割剤(例えばシリカゲル上に固定化されたジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースまたは炭水化物もしくはキラルに誘導体化されたメタクリレートポリマーの他の誘導体)の補助によるクロマトグラフィーを用いたエナンチオマー分割である。この目的のための好適な溶離剤は例えば、例えば比率82:15:3におけるヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルなどの、水性またはアルコール性溶媒混合物である。
エステル基(例えばアセチルエステル)を含有するラセミ体の分割のためのエレガントな方法は、酵素、特にエステラーゼの使用である。
【0020】
本発明の化合物は、プロドラッグ化合物の形態であることができる。「プロドラッグ化合物」は、本発明の生物学的に活性な化合物に、生体における生理学的条件下で、例えば各々が酵素的に、または酵素の関与を伴わずに行われる酸化、還元、加水分解などによって変換される誘導体を意味する。
【0021】
プロドラッグの例は、本発明の化合物中のアミノ基がアシル化、アルキル化もしくはリン酸化される化合物、例えばエイコサノイルアミノ、アラニルアミノ、ピバロイルオキシメチルアミノであり、または水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化されるかもしくはホウ酸塩に変換される化合物、例えばアセチルオキシ、パルミトイルオキシ、ピバロイルオキシ、スクシニルオキシ、フマリルオキシ、アラニルオキシであり、またはカルボキシル基がエステル化もしくはアミド化される化合物、またはスルフヒドリル基が担体分子と共にジスルフィド架橋を形成する化合物、例えばペプチドであり、それは薬剤を標的に、および/または細胞のサイトゾルに選択的に送達する。
これらの化合物を、本発明の化合物から周知の方法に従って製造することができる。プロドラッグの他の例は、本発明の化合物中のカルボキシレートが例えばアルキル−、アリール−、コリン−、アミノ、アシルオキシメチルエステル、リノレノイル−エステルに変換される化合物である。本発明の化合物またはそれらのプロドラッグの互変異性、例えばケト−エノール互変異性が生じ得る場合には、個々の形態、例えばケトまたはエノール形態を、個別に、およびあらゆる比率における混合物として共にクレームする。同一のことが、立体異性体、例えばエナンチオマー、シス/トランス異性体、配座異性体などに当てはまる。
【0022】
所望により、異性体を、当該分野において周知の方法によって、例えば液体クロマトグラフィーによって分離することができる。同一のことが、例えばキラル固定相を使用することによるエナンチオマーに当てはまる。さらに、エナンチオマーを、それらをジアステレオマーに変換することにより、すなわち、エナンチオマー的に純粋な補助化合物とカップリングさせ、得られたジアステレオマーをその後分離し、補助の残留物を切断することにより、単離してもよい。あるいはまた、本発明の化合物のあらゆるエナンチオマーを、光学的に純粋な出発物質を使用した立体選択的合成から得てもよい。
【0023】
本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩、薬学的に許容し得る溶媒和物、または薬学的に許容し得る塩の薬学的に許容し得る溶媒和物の形態であることができる。
用語「薬学的に許容し得る塩」は、無機塩基または無機酸および有機塩基または有機酸を含む薬学的に許容し得る塩基または酸から調製した塩を指す。本発明の化合物が1つまたは2つ以上の酸性基または塩基性基を含有する場合において、本発明はまた、それらの対応する薬学的に許容し得る塩を含む。したがって、酸性基を含有する本発明の化合物は塩形態において存在することができ、本発明において例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩として、またはアンモニウム塩として使用することができる。
【0024】
かかる塩のより正確な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩あるいはアンモニアまたは有機アミン、例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンもしくはアミノ酸との塩が挙げられる。1つまたは2つ以上の塩基性基、すなわちプロトン化することができる基を含有する本発明の化合物は、塩形態において存在することができ、本発明において無機または有機酸とのそれらの付加塩の形態において使用することができる。好適な酸の例としては、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバリン酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、および当業者に知られている他の酸が挙げられる。
【0025】
本発明の化合物が酸性および塩基性基を分子中に同時に含有する場合には、本発明はまた、記載された塩形態に加えて、内塩またはベタイン(両性イオン)を含む。それぞれの塩を、当業者に知られている慣習的な方法によって、例えばこれらを有機もしくは無機酸もしくは塩基と、溶媒または分散剤中で接触させることにより、または他の塩とのアニオン交換もしくはカチオン交換によって得ることができる。本発明はまた、低い生理学的適合性のために調剤において使用するには直接適していないが、例えば化学反応のための、または薬学的に許容し得る塩の調製のための中間体として使用することができる本発明の化合物のすべての塩を含む。
【0026】
用語「薬学的に許容し得る溶媒和物」は、当量または非当量のいずれかの溶媒を含有する薬学的に許容し得る溶媒との付加形態を意味する。いくつかの化合物は、結晶性固体状態において固定されたモル比の溶媒分子を捕獲する傾向を有し、したがって溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合には、生成した溶媒和物は水和物、例えば一または二水和物である。溶媒がアルコールである場合には、生成した溶媒和物はアルコラート、例えばメタノラートまたはエタノラートである。溶媒がエーテルである場合には、生成した溶媒和物はエーテラート、例えばジエチルエーテラートである。
【0027】
したがって、以下の項目がまた、本発明に従う:
a) 化合物のすべての立体異性体または互変異性体、およびすべての比率でのこれらの混合物
b) 化合物のプロドラッグ、またはこれらのプロドラッグの立体異性体もしくは互変異性体、
c) 化合物の、ならびに(a)および(b)で述べた項目の、薬学的に許容し得る塩、
d) 化合物の、ならびに(a)、(b)および(c)で述べた項目の、薬学的に許容し得る溶媒和物。
【0028】
本明細書中での化合物へのすべての言及は、これらの項目、特に化合物の薬学的に許容し得る溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容し得る塩の薬学的に許容し得る溶媒和物を含むことを意味することを理解するべきである。
【0029】
さらに、本発明は、薬学的に許容し得る担体と一緒の活性成分としての、本発明の化合物、またはその立体異性体もしくは互変異性体、または前記の各々の薬学的に許容し得る塩、およびすべての比率でのそれらの混合物を含む、医薬組成物に関する。
【0030】
「医薬組成物」は、1種または2種以上の活性成分および、担体を構成する1種または2種以上の不活性成分、ならびに成分の任意の2種または3種以上の組み合わせ、錯化または凝集から、または成分の1種もしくは2種以上の解離から、または成分の1種もしくは2種以上の他のタイプの反応もしくは相互作用から、直接もしくは間接的に生じるあらゆる生成物を意味する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容し得る担体を混合することにより作製されたあらゆる組成物を包含する。
【0031】
本発明の医薬組成物は、さらに活性成分として1種または2種以上の他の化合物、例えば本発明の1種または2種以上の追加の化合物または他のLPAアンタゴニストを含んでもよい。
【0032】
医薬組成物は、経口、直腸内、局所的、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、目の(眼の)、肺(鼻もしくは頬側吸入)、または経鼻投与に適している組成物を含むが、任意の所定の場合における最も好適な経路は、処置される状態の性質および重篤度、ならびに活性成分の性質に依存する。それらは、単位投薬形態において好都合に提示され、薬学の分野において周知の方法のいずれによっても調製され得る。
【0033】
1つの態様において、前記化合物および医薬組成物は、がん、例えば脳、肺、結腸、類表皮、扁平細胞、膀胱、胃、膵臓、乳房、頭部、頸部、腎臓部(renal)、腎臓(kidney)、肝臓、卵巣、前立腺、結腸直腸、子宮、直腸、食道、睾丸、婦人科学的、甲状腺癌、黒色腫、血液系腫瘍、例えば急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、骨髄細胞白血病、神経膠腫、カポジ肉腫など、またはあらゆる他のタイプの固形もしくは液性腫瘍の処置のためである。好ましくは、処置するべきがんは、神経膠芽腫、黒色腫、卵巣、前立腺、乳房、頭頸部、腸および甲状腺癌から選択される。
【0034】
本発明はまた、本発明の化合物の、哺乳動物におけるLPAの活動亢進と関係する増殖性または炎症性疾患およびLPAによって調節される疾患、または異常な増殖によって媒介される障害、例えば癌などの処置のための医薬の調製のための使用に関する。
本発明はまた、哺乳動物における異常な細胞成長を抑制するための化合物または医薬組成物に関し、ある量の本発明の化合物をある量の別の抗癌療法と組み合わせて含み、ここで当該量の化合物および別の抗癌療法は、ともに異常な細胞成長を阻害するにあたって有効である。多くの抗癌療法が、現在当該分野において知られている。
1つの態様において、抗癌療法は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答変更因子、抗ホルモン薬、血管新生抑制剤、インテグリンアンタゴニスト、例えばシレンジタイドなど、および抗アンドロゲン薬からなる群から選択された化学療法である。
【0035】
別の態様において、抗癌療法は、ベバシズマブ、CD40特異的抗体、chTNT−1/B、デノスマブ、ザノリムマブ、IGF1R特異的抗体、リンツズマブ、エドレコロマブ、WX G250、リツキシマブ、チシリムマブ、トラスツズマブおよびセツキシマブからなる群から選択された抗体である。尚別の態様において、抗癌療法は、プロテインキナーゼの阻害剤、例えばAkt、Axl、オーロラA、オーロラB、dyrk2、epha2、fgfr3、igf1r、IKK2、JNK3、Vegfr1、Vegfr2、Vegfr3(またFlt−4として知られている)、KDR、MEK、MET、Plk1、RSK1、Src、TrkA、Zap70、cKit、bRaf、EGFR、Jak2、PI3K、NPM−Alk、c−Abl、BTK、FAK、PDGFR、TAK1、LimK、Flt−3、PDK1およびErkなどである。
本発明はさらに、哺乳動物における異常な細胞成長を阻害するかまたは増殖性疾患を処置するための方法に関し、当該哺乳動物に、ある量の本発明の化合物あるいは医薬組成物を放射線療法と組み合わせて投与することを含み、ここで当該量の化合物または医薬組成物を、哺乳動物において異常な細胞成長を阻害するかまたは増殖性疾患を処置するにあたって有効な放射線療法と組み合わせる。
【0036】
放射線療法を施すための手法は当該分野において知られており、これらの手法を本明細書中に記載した併用療法において使用することができる。本発明の化合物または医薬組成物のこの併用療法における投与を、本明細書中に記載したように決定することができる。本発明の化合物は、異常な細胞を、かかる細胞を死滅させ、かつ/またはその成長を阻害する目的のための放射線での処置に対してより感受性にすることができると考えられる。
【0037】
したがって、本発明はさらに、哺乳動物における異常な細胞を放射線での処置に対して感作するための方法に関し、当該哺乳動物に、ある量の本発明の化合物あるいは医薬組成物を投与することを含み、当該量が異常な細胞を放射線での処置に対して感作するにあたって有効である。この方法における化合物の量は、本明細書中に記載される化合物の有効量を確認するための手段に従って決定することができる。
実際の使用において、本発明の化合物は、従来の医薬配合技術に従い、医薬担体との密な混合物中の活性成分として組み合わせることができる。担体は、投与のために所望される製剤の形態に依存して多種多様な形態、例えば経口または非経口(静脈内を含む)を採ってもよい。経口投薬形態のための組成物を調製するにあたって、通常の医薬媒体のいずれも、例えば水、グリコール、油、アルコール、調味剤、防腐剤、着色剤などを、採用してもよい。
【0038】
経口液体製剤の場合において、いずれの通常の医薬媒体、例えば懸濁液、エリキシル剤および溶液など、またはいずれの担体、例えばデンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを採用してもよい。経口固体製剤の場合において、組成物は例えば散剤、硬質および軟質カプセルならびに錠剤の形態を採ってもよく、固体経口製剤が液体製剤にまさって好ましい。
【0039】
それらの投与の容易さのために、錠剤およびカプセルは最も有利な経口投薬単位形態を表し、この場合において固体の医薬担体が明らかに採用される。所望により、錠剤を標準的な水性の、または非水性の手法によって被覆してもよい。かかる組成物および製剤は、少なくとも0.1パーセントの活性化合物を含有すべきである。活性化合物のこれらの組成物中の百分率を当然変化させてもよく、好都合には当該単位の重量の約2パーセント〜約60パーセントであってもよい。かかる治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、有効な投与量が得られる程度の量である。活性化合物をまた、鼻腔内に例えば液体ドロップまたはスプレーとして投与することができる。
【0040】
錠剤、丸剤、カプセルなどはまた、結合剤、例えばトラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなど;賦形剤、例えば第二リン酸カルシウムなど;崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムなど;および甘味剤、例えばスクロース、ラクトースまたはサッカリンなどを含有してもよい。投薬単位形態がカプセルである場合には、それは、上記のタイプの材料に加えて、液体の担体、例えば脂肪油などを含有してもよい。
【0041】
様々な他の材料は、コーティングとして、または投薬単位の物理的な形態を変更するために存在し得る。例えば、錠剤をセラック、糖または両方で被覆してもよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてのスクロース、防腐剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素および風味剤、例えばサクランボまたはオレンジフレーバーを含有してもよい。
【0042】
本発明の化合物をまた、非経口的に投与してもよい。これらの活性化合物の溶液または懸濁液を、界面活性剤、例えばヒドロキシ−プロピルセルロースなどと好適に混合した水中で調製することができる。分散液をまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物において、油中で調製することができる。保管および使用の通常の条件の下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するための防腐剤を含有する。
【0043】
注射可能な使用に適している医薬形態は、滅菌水溶液または滅菌分散液および、注射可能な滅菌溶液または滅菌分散液の即座の調製のための滅菌粉末を含む。すべての場合において、当該形態は無菌でなければならなず、容易なシリンジ通過性(syringability)が存在する程度に流動性を有しなければならない。それは製造および保存の条件の下で安定でなければならず、微生物、例えば細菌および菌類の混入作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、その好適な混合物、ならびに植物油を含有する溶媒または分散媒体であり得る。
【0044】
あらゆる好適な投与の経路を、哺乳動物、特にヒトに、有効な用量の本発明の化合物を供給するために採用してもよい。例えば、経口、直腸内、局所的、非経口、眼内、肺内、鼻腔内などを、採用してもよい。投薬形態は、錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアゾールなどを含む。好ましくは、本発明の化合物を経口的に投与する。
【0045】
用いられる活性成分の有効な投与量は、用いる特定の化合物、投与の方式、処置される状態および処置される状態の重篤度に依存して変化し得る。かかる投与量は、当業者によって容易に確認され得る。
【0046】
本発明の化合物が適応されるがん、炎症または他の増殖疾患を処置するかまたは予防する場合には、一般的に満足な結果は、本発明の化合物を、体重1キログラムあたり約0.01ミリグラム〜約100ミリグラムの1日投与量で投与する場合に得られ、好ましくは1日一回の用量として与えられる。ほとんどの大型の哺乳動物について、合計の1日投与量は、約0.1ミリグラム〜約1000ミリグラム、好ましくは約0.2ミリグラム〜約50ミリグラムである。70kgの成人のヒトの場合において、合計の1日用量は、一般的に約0.2ミリグラム〜約200ミリグラムであろう。この投薬計画を、最適な治療的応答を提供するために調整してもよい。
本発明はまた、
a) 本発明の化合物またはその立体異性体もしくは互変異性体、または前記の各々の薬学的に許容し得る塩、あるいはすべての比率でのそれらの混合物の有効量、および
b) さらなる医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなるセット(キット)に関する。
【0047】
当該セットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。
例によって、当該セットは、各々が本発明の化合物の有効量を含有する個別のアンプル、および溶解したかまたは凍結乾燥した形態におけるさらなる医薬活性成分の有効量を含んでもよい。
【0048】
実験の章
本出願中に出現し得るいくつかの略語は、以下のとおりである:
略語
【表1】
【0049】
本発明の化合物を、以下のスキームおよび例の手順に従って、好適な材料を使用して調製することができ、以下の特定の例によってさらに例示する。
【0050】
さらに、本明細書中に記載した手順を当該分野における通常の技術と組み合わせて利用することによって、ここでクレームした本発明の追加の化合物を容易に調製することができる。しかしながら、例において例示する化合物を本発明として考慮される唯一の種類を形成するものとして解釈するべきではない。例は、さらに本発明の化合物の調製についての詳細を例示する。当業者は、以下の調製的手順の条件およびプロセスの既知の変形形態を、これらの化合物を調製するために使用できることを容易に理解するであろう。
【0051】
本化合物を、一般的にそれらの薬学的に許容し得る塩、例えば上述したものなどの形態において単離する。単離した塩に対応するアミン非含有塩基を、好適な塩基、例えば炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムでの中和、ならびに遊離アミン非含有塩基の有機溶媒中への抽出、続いて蒸発によって生成させることができる。このようにして単離したアミン非含有塩基を、有機溶媒への溶解、続いて適切な酸の添加およびその後の蒸発、沈殿または結晶化によって、別の薬学的に許容し得る塩にさらに変換することができる。
【0052】
本発明を、以下の例に記載した特定の態様への言及によって例示するが、それらには限定されない。スキームにおいて他に示さない限り、変数は上に記載したのと同一の意味を有する。
他に特定しない限り、すべての出発物質を商業的な供給者から得、さらに精製せずに使用する。他に特定しない限り、すべての温度を℃において表し、すべての反応を室温で行う。化合物をシリカクロマトグラフィーまたは分取HPLCのいずれかによって精製した。
【0053】
本発明はまた、式(I)で表される化合物の製造方法であって、
ここで、式(III)
【化3】
で表される化合物を、式(II)
【化4】
で表される化合物とアミノ化により反応し、
ここで、R
6’は脱離基であってR
6’’はHであるか、または、R
6’およびR
6’’は、式(I)で表される化合物を得るために、共に脱離基を形成する、
前記製造方法に関する。
アミノ化反応が求核置換である場合、好ましくは、R
6’はHalであり、例えばClまたはBrなどである。アミノ化反応が還元的アミノ化である場合、R
6’およびR
6’’はともに脱離基を形成し、好ましくはカルボニル酸素である。
【0054】
例
以下に提示する実施例は、本発明の特定の態様を例示することを意図し、いかなる方法においても明細書または特許請求の範囲を限定することを意図しない。
化学合成
この章において、多数の式(I)による代表的な化合物例およびその合成中間体のための実験的詳細を提供する。
【0055】
2−[1−(3−メチル−ベンジル)−ピペリジン−2−イル]−1H−インドール(化合物例2)の合成
【化5】
【0056】
a. 2−アセチルピリジン1(5.99g、40.9mmol)を無水エタノール(50mL)に溶解し、フェニルヒドラジン(8.85g、81.8mmol)を添加し、溶液を30分間還流した。室温まで冷却した後、得られた沈殿物を濾過により回収し、冷エタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させた。オフホワイトの固体を92.4%(8.67g、37.8mmol)の収率で化合物2として同定し、さらに精製することなく使用した。
【0057】
b. ヒドラゾン2(7.74g、36.6mmol)を、肉厚ビーカー内で、ポリリン酸(43.5g)と混合し、110℃で1.5時間加熱した。冷却後、混合液を10%NaOHで塩基性化し、ジクロロメタンで抽出した。一体化した有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残渣を、溶出系(eluent system)としてヘキサン:ジクロロメタン1:1を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、化合物3(5.31g、27.3mmol、75%)と同定する無色固体を産出した。
【0058】
c. 化合物3(5.16g、26.6mmol)を無水メタノール(100mL) に溶解し、0.2ml酢酸および10%Pd/Cを添加した。混合液を、50℃のH
2(80気圧)条件下におけるオートクレーブ中で水素化した。12時間撹拌した後、1gのPd/Cおよび0.2mlの酢酸をさらに添加し、混合液を50°のH
2(80気圧)条件下で12時間水素化した。冷却後、反応混合物を珪藻土を通して濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル(ヘキサン:ジクロロメタン1:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、続いてエチルエーテルから結晶化させた。化合物4を無色固体(5.14g、25.7mmol、96%)として得た。
【0059】
d. ジクロロメタン(5mL)中の化合物4(200mg、1.00mmol)の溶液に、3−メチルベンズアルデヒド(120mg、1.00mmol)を室温で添加し、撹拌を15分間継続した。この溶液にトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(300mg、1.42mmol)を室温で添加し、撹拌を12時間継続した。反応液に水を添加し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。純粋な生成物を、溶出系として0%〜0.5%のメタノール勾配でジクロロメタン:メタノールを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより単離した。最終化合物5を無色固体(228mg、0.75mmol、75%)として得た。
代替手順:アセトニトリル(5mL)中の化合物4(100mg、0.50mmol)の溶液に、炭酸カリウム(69.1mg、0.50mmol)および3−メチルベンジルブロミド(92.5mg、0.50mmol)を室温で添加し、撹拌を15時間80℃で継続した。水および酢酸エチルを反応液に添加し、水層を2回、酢酸エチルで分離および抽出した。一体化した有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。純粋な生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール)により単離した。最終化合物5を無色固体(82.6mg、0.24mmol、48%)として得た。
【0060】
表1に示すように、この手順に従って、以下の化合物例:1−10、13−25、42−44、54−60、63、65−71、73、82、84−86、107−112、124、125、132、136−139および143を合成した。
例72化合物は、手順dと同様に、対応するピペリジン誘導体と1−(4−フルオロフェニル)−エタノンを反応させることによって調製した。
【0061】
化合物例75を合成するために、2−アセチルピリジンの代わりに1−ピリジン−2−イル−プロパン−1−オンを手順aにおいて使用した。以下の手順は手順b〜dに従って行った。
【0062】
5−フルオロ−2−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−6−メチル−ピペリジン−2−イル]−1H−インドール(化合物例36)の合成
【化6】
【0063】
e. 2−アセチル−6−メチルピリジン6(10.0g、99%、73.2mmol) を無水エタノール(100mL)に溶解し、4−フルオロ−フェニルヒドラジン(25.1g、95%、147mmol)を添加し、溶液を30分間還流した。室温まで冷却した後、得られた沈殿物を濾過により回収し、冷エタノールで洗浄した。残渣を飽和炭酸ナトリウム溶液に再溶解し、ジクロロメタンで2回抽出した。一体化した有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発乾固した。オフホワイトの固体を92.5%(16.5g、67.8mmol)の収率で化合物7として同定し、さらに精製することなく使用した。
【0064】
f. ヒドラゾン7(16.5g、67.5mmol)を、肉厚ビーカー内で、ポリリン酸(42.0g、99%、424mmol)と混合し、110℃で1.5時間加熱した。冷却後、混合液を10%NaOHで塩基性化し、ジクロロメタンで抽出した。一体化した有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残渣を、化合物8(5.62g、95%、24.8mmol、37%)として同定する無色固体で得るために、溶出系としてヘキサン:ジクロロメタン3:2を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0065】
g. 化合物8(1.59g、95%、6.68mmol)を無水メタノール(25mL)に溶解し、0.2ml酢酸および10%Pd/Cを添加した。混合液を、50°のH
2(76気圧)条件下において12時間オートクレーブ中で水素化した。冷却後、反応混合物を珪藻土を通して濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン1:1)により精製し、続いてエチルエーテルから結晶化させた。化合物9を無色固体(0.77g、3.31mmol、50%)として得た。
【0066】
h. ジクロロメタン(4mL)中の化合物9(105mg、0.45mmol)の溶液に、4−フルオロベンズアルデヒド(71mg、95%、0.54mmol)を室温で添加し、撹拌を15分間継続した。この溶液にトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(300mg、1.42mmol)を室温で添加し、撹拌を50℃で12時間継続した。さらに、1.2当量(eq)のアルデヒドおよび2当量のNaBH(OAc)
3を添加し、反応混合液を室温で3時間撹拌し、その後50℃で3日間撹拌した。反応液に水を添加し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。純粋な生成物を、溶出系として0%〜0.5%のメタノール勾配でジクロロメタン:メタノールを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより単離した。最終化合物10を無色固体(72mg、0.21mmol、47%)として得た。
【0067】
表1に示すように、この手順に従って、2−アセチル−5−メチルピリジン、2−アセチル−4−メチルピリジンおよび2−アセチル−3−メチルピリジンから出発する、以下の化合物例:例26−41、45、46、61、62、64、68、74、 76、79−81、83、87を合成した。
【0068】
6−クロロ−2−[1−(3,4−ジメチル−ベンジル)−ピペリジン−2−イル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(化合物例128)
【化7】
i. 5−クロロ−2,3−ジアミノピリジン(300mg、98%、2.05mmol)および1−tert
ブトキシカルボニルピペリジン−2−カルボン酸(540mg、2.36mmol)をポリリン酸(1.5mL)に溶解し、160℃で18時間撹拌した。混合物を氷上に注ぎ、酢酸エチル/ブタノールで2回抽出した。一体化した有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残渣を、化合物11として同定し、さらに精製することなく使用した(462mg、1.95mmol、95%)。
【0069】
j. N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の化合物11(100mg、0.42mmol)の溶液に、炭酸カリウム(70mg、0.51mmol)および3,4−ジメチルベンジル酸クロリド(95mg、70%純度、0.43mmol)を室温で添加し、撹拌を室温で15時間継続した。反応液に水および酢酸エチルを添加し、水層を2回、酢酸エチルで分離および抽出した。一体化した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。純粋な生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール)により単離した。最終化合物12を無色固体(85.0mg、0.24mmol、57%)として得た。
【0070】
k. 化合物12(50mg)を、エタノール(5mL)中に溶解し、5x50cmキラルパックADカラムと、20μmの材料と、溶媒n−ヘプタン/エタノール70/30を120mL/minの流速で使用するキラルHPLCにより、エナンチオマーへと分離した(表1中例140、141を参照)。18.1mgの13aおよび19,3mgの13bを得た。
【0071】
表1に示すように、この手順に従い、以下の化合物例:例128、130、133、134、144もまた、2,3−ジアミノピラジンを使用して、合成した。
【0072】
6−クロロ−5−メチル−2−[1−(3−メチル−ベンジル)−ピペリジン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール(化合物例106)の合成
【化8】
l. 4−クロロ−5−メチルベンゼン−1,2−ジアミン(2.00g、95%、 12.1mmol)および1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−2−カルボン酸(2.78g、12.1mmol)を、ポリリン酸(11.9g、121mmol)に溶解し、170℃で12時間撹拌した。混合物を氷上に注ぎ、酢酸エチル/ブタノールで2回抽出した。一体化した有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残渣を、化合物14として同定し、さらに精製することなく使用した(2.00g、8.01mmol、66%)。
【0073】
m. N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)中の化合物14(350mg、1.40mmol)の溶液に、炭酸カリウム(193mg、1.40mmol)および3−メチルベンジル酸クロリド(197mg、1.40mmol)を室温で添加し、撹拌を室温で15時間継続した。反応液に水および酢酸エチルを添加し、水層を2回、酢酸エチルで分離および抽出した。一体化した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。純粋な生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール)により単離した。最終化合物15を無色固体(208mg、0.59mmol、42%)として得た。
【0074】
手順kに従って、ラセミ混合物はエンチオマーに分離することができる。
表1に示すように、この手順に従い、以下の化合物例:例47、49、51、88−106、113−123、126−131、135、142を合成した。
【0075】
2−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−2−イル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(化合物例144)の合成
【化9】
n. 3−ヨード2−アミノピリジン(1.00g、99%、4.54mmol)、塩化リチウム(289mg、6.81mmol)および炭酸ナトリウム(1.93g、 18.2mmol)は、100℃の真空オーブンで1時間乾燥させた。反応容器をアルゴンで溢流させ、室温に冷却した。この混合物に、乾燥した脱気N,N−ジメチルホルムアミド(25mL)、2−エチニルピリジン(563mg、5.45mmol)および触媒Pd(dppf)Cl2*CH2Cl2(371mg、0.54mmol)を添加し、撹拌を100℃で18時間継続した。室温まで冷却後、水を添加し、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。一体化した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で乾燥するまで蒸発させた。残渣を、化合物16(555mg、2.85mmol、63%)として同定する無色固体を得るために、溶出系としてシクロヘキサン:酢酸エチル1:1〜酢酸エチル100%までの勾配を用いてシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0076】
o.化合物16(545mg、2.79mmol)を乾燥THF(25mL)中に溶解し、水素化ナトリウム(鉱油中60%、366mg、9.20mmol、乾燥ヘキサンで2回洗浄)を少量で添加し、5分間にわたって、この混合物を密閉容器中で80°C)で2日間(2d)撹拌した。混合物を氷上に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。一体化した有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残渣を、化合物17(311mg、1.59mmol、57%)として同定する無色固体を得るために、溶出系としてシクロヘキサン:酢酸エチル1:1〜100%酢酸エチルまでの勾配を使用してシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0077】
p.化合物17(311mg、1.59mmol)を無水メタノール/酢酸(10mL、1:1)に溶解し、10%Pd/C(0.30g)を添加した。混合物を室温でH
2(1気圧)条件下のオートクレーブ中で水素化した。18時間の撹拌の後、1gPd/Cをさらに添加し、混合物を室温でさらに40時間、水素化した。冷却後、反応混合物を珪藻土を通して濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール)により精製した。化合物18を無色固体(92.1mg、0.46mmol、29%)として得た。
【0078】
q.アセトニトリル(2.5mL)中の化合物18(46.0mg、0.23mmol)の溶液に、炭酸カリウム(31.6mg、0.23mmol)および臭化4−フルオロベンジル(43.5mg、0.23mmol)を室温で添加し、撹拌を80℃で15時間継続した。反応液に水および酢酸エチルを添加し、水層を2回、酢酸エチルで分離および抽出した。一体化した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。純粋な生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール)により単離した。最終化合物19を無色固体(21.8mg、0.07mmol、31%)として得た。
【0079】
2−[1−(3,4−ジメチル−ベンジル)−4−イソプロピル−ピペラジン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール(化合物例53)の合成
【化10】
【0080】
r. 市販されているアセトニトリル(2.5mL)中の2−(4−イソプロピル−ピペラジン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール(14.7mg、0.06mmol)に、炭酸カリウム(9mg、0.06mmol)および塩化3,4−ジメチルベンジル(13.9mg、70%、0.06mmol)を室温で添加し、撹拌を室温で15時間継続した。反応液に水および酢酸エチルを添加し、水層を2回、酢酸エチルで分離および抽出した。一体化した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。純粋な生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール)により単離した。最終化合物20を無色固体(7.8mg、0.02mmol、36%)として得た。
【0081】
この手順に従い、また市販されている2−ベンゾフラン−2−イル−ピペリジンは、化合物例48および50に、そして2−ピペリジン−2−イル−ベンゾチアゾールは、化合物例52に反応させることができる。
【0082】
生物学的活性
1. LPA活性についての生化学的酵素アッセイ
アッセイは、LPA2受容体のそのリガンドLPAによる活性化の際に細胞で発生した細胞内カルシウムを検出する。この一時的なカルシウム流動を、商業的なカルシウム検出キット(例えばMolecular Devicesから)を使用してモニタリングすることができる。かかるキットの主な構成品は染料であり、それはカルシウムが存在する場合には蛍光性になり、−リガンドの試験ウェルへの添加の後の一時的な蛍光シグナルが、結果である。例えばFLIPR(Molecular Devices)などの読取装置を使用して、かかる一時的な「Ca−フラックス」シグナルをモニタリングすることができる。
シグナルを、基線を引いたピーク最大値に従って計算する。
LPAのアンタゴニストである化合物によって、細胞内カルシウムの低下した流動およびしたがってより低いシグナルがもたらされる。アッセイを、マイクロプレート(プレートあたり384ウェル)中で行う。
【0083】
試薬
細胞培養
培養細胞株 U2OS、組換え発現LPA2R
マッコイ培地 Invitrogen # 26600-021
DMEM Gibco #41965
ペニシリン/ストレプトマイシン Gibco #15140
FCS PAA # A15-043
ジェネティシン Invitrogen #10131-027
PBS Gibco
HEPES Gibco #15630-056
HyQ−Tase HyClone #SV30030.01
【0084】
アッセイ
10×HBSS Gibco #14065
1MのHEPES Merck #1.10110
NaCl Merck #1.06404
KCl Merck #1.04936
MgSO
4×7H
2O Merck #1.05886
CaCl
2×2H
2O Merck #1.02382
D(+)−グルコース×1H
2O Merck #1.04074
BSA、脂肪酸非含有 Roche #10 77 58 35 001
リガンド(LPA)、1−オレオイル−2−ヒドロキシ−sn−グリセロ−3−ホスフェート、 Avanti #857130P
プロベネシド、水溶性 Invitrogen #P36400
検出溶液(カルシウム色素) Bulk Kit (Molecular Devices #R8141)
マイクロプレート384blck、cl底 Falcon # 353692
【0085】
細胞培養/増殖
培地 マッコイ培地、10%FCS、1mg/mlジェネティシン
培養条件 37℃、T75フラスコ中5%のCO
2
採取 PBSで洗浄
フラスコあたり1mLHyQ−Taseで剥離
インキュベーション5min
10mLの培地の添加
遠心分離
10mLの培養培地との再懸濁
【0086】
LPA2R−カルシウムフラックスアッセイプロトコル
アッセイを以下の手順に従って行う:
50uLの播種細胞(10000細胞/ウェル、DMEM緩衝液中)
37℃、10%CO
2で24hインキュベートする
培地を吸引する
50uL、カルシウム色素1×HBSS/HEPES緩衝液を加える。
37℃で1hインキュベートする(「ローディング」)
RTで10min平衡化する。
5uL、HEPES緩衝液中の化合物を加える。
1000rpmで10秒振盪する
RTで15minインキュベートする
20uL、クレブス緩衝液/BSA中のLPA(FLIPR Tetra中)を加え、測定。
細胞を、DMEM緩衝液(DMEM、10%FCS、10mMHEPES、1%のPen/Strep)中に播種する。
色素ローディングを、HBSS/HEPES緩衝液(100mLの10×HBSS+20mLの1M HEPES+880mLの水、pH7.4)中で行う。
LPAを、クレブス/BSA緩衝液(120mMのNaCl、5mMのKCl、0.62mMのMgSO
4、1.8mMのCaCl
2、10mMのHEPES、6mMのD(+)−グルコース、0.2%のBSA、pH7.4)中に加える。
【0087】
化合物を、HEPES緩衝液(20mM、pH7.4)であらかじめ希釈し、それによってアッセイにおける最終的なDMSO含量を1%に維持する。化合物を、マイクロプレート上に用量反応系列を発生させるためにあらかじめ希釈する。用量反応系列は、各化合物につき最終30uMから最終1nMまでの10の濃度からなる。すべての化合物ウェルから、得られたシグナルを対照ウェル(各プレート上の化合物ウェルの横に配置された)に対して、%活性の点において参照する。
【数1】
【0088】
これらの%活性値から−対応する化合物濃度の変化に従い−IC50値を、各化合物について、例えばGraphpad Prismなどの標準的なフィッティングプログラムを使用して当てはめる。ここで、手法「log(インヒビター)vs 反応−−変数傾斜」を使用する。
【0089】
読取装置設定(FLIPR Tetra)
Exc波長: 470_495
Em.波長: 515_575
増幅率: 50
Exp時間: 0.4
Exc強度: 80
【0090】
TFでの読取
第1の読取間隔:1.00s
第1の読取の数:240
分注前の読取: 10
第2の読取間隔:1.00s
第2の読取の数:0
保存画像:なし
化合物のLPA2Rに対する阻害能を評価するために、IC
50値を以下の表1に示すように決定し、それによって以下の区分を使用する:
IC
50<0.5μM 「++++」
0.5μM≦IC
50≦5μM 「+++」
5μM<IC
50≦15μM 「++」
IC
50>15μM 「+」
【0091】
表1
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【0092】
(1)HPLC手法(非極性)
溶媒A:水+0.1%TFA
溶媒B:アセトニトリル+0.08%TFA
流量:1.5ml/min
勾配: 0.0 min 20%B
5.0 min 100%B
5.5 min 100%B
6.0 min 20%B
6.5 min 20%B
カラム:Chromolith Performance RP18e 100-3
(2)HPLC手法(極性)
溶媒A:水+0.05%ギ酸
溶媒B:アセトニトリル+0.04%ギ酸
流量:2.4ml/min 波長:220nm
勾配: 0.0 min 4%B
2.8 min 100%B
3.3 min 100%B
3.4 min 4%B
カラム:Chromolith Speed ROD RP18e 50-4.6 mm
(3)HPLC/MS
溶媒A:水+0.1%TFA
溶媒B:アセトニトリル+0.1%TFA
流量:2ml/min 波長:254nm
勾配: 0 min 5%B
8 min 100%B
8.1 min 10%B
カラム:Chromolith Speed ROD RP18e 50-4.6 mm
(4)例番号11、12、43、53、77、78および80は意図的に省略した。