(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、バウンドアプリケーションは、単一の編成チャンネルのみに関連付けられていた。また、バウンドアプリケーションがどの編成チャンネルに関連付けられているかを示す制御情報は存在せず、現在の編成チャンネル(サービス)に暗黙に関連付けられているのみであった。つまり、現在のサービスから他サービスへの切り替えが実行された時には、必ずそのバウンドアプリケーションの終了処理が行なわれるようになっていた。つまり、編成チャンネルとバウンドアプリケーションとの間の関連をきめ細かく制御することが出来ないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような事情を考慮して為されたものであり、バウンドアプリケーションのサービスへの関連付けに関して、多様な形態を実現することの出来る、受信機、アプリケーション情報送信装置、およびプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による受信機は、選局操作の信号に基づき受信する放送のサービスを選択する選局部と、前記選局部が選択したサービスの放送信号を受信する受信部と、アプリケーションを実行するアプリケーション実行部と、前記アプリケーションが所定範囲のサービスに関連付けられるバウンドアプリケーションである場合に前記サービスの範囲を表わすサービス範囲情報を含むアプリケーション情報を取得するアプリケーション情報取得部と、前記選局部による前記サービスの選択の際に、稼働中の前記バウンドアプリケーションに関する前記アプリケーション情報に含まれる前記サービス範囲情報を参照し、選局の結果として選択されたサービスが前記サービス範囲情報が示す範囲内の場合には当該バウンドアプリケーションの稼動状態を維持し、選局の結果として選択されたサービスが前記サービス範囲情報が示す範囲外の場合には当該バウンドアプリケーションを終了させる、制御を行なう起動制御部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
これによれば、サービス範囲情報により、バウンドアプリケーションが関連付けられるサービスの範囲が明示される。また、サービス範囲情報により、現在選局されているサービス以外のサービスを、指定することが出来る。つまり、バウンドアプリケーションは、現在選局されているサービス以外のサービスにも関連付けられる。そして、起動制御部は、サービス選択の度に無条件にアプリケーションを終了させるのではなく、選局の結果として選択されたサービスがその範囲に含まれているか否かにより、アプリケーションの稼動状態を維持するか否かの制御をする。
【0008】
[2]また、本発明の一態様は、上記の受信機において、前記サービス範囲情報は、複数の前記サービスからなる範囲を表わす、ことを特徴とする。
【0009】
これにより、この複数のサービスを束ねてサービス範囲として指定出来る。起動制御部は、選局の結果として選択されたサービスがその複数のサービスの範囲に含まれているか否かにより、アプリケーションの稼動状態を維持するか否かの制御をする。
【0010】
[3]また、本発明の一態様は、上記の受信機において、前記アプリケーション情報取得部が取得する前記アプリケーション情報は、前記アプリケーションが、現在選択されているサービスのみに関連付けられたバウンドアプリケーションであるか、前記サービス範囲情報で表わされるサービスの範囲に関連付けられたバウンドアプリケーションであるか、特定のサービスに関連付けられないアンバウンドサービスであるかの種別を表わすバウンドタイプ識別情報をさらに含み、前記起動制御部は、前記選局部による前記サービスの選択の際に、稼働中の前記バウンドアプリケーションに関する前記アプリケーション情報に含まれる前記バウンドタイプ識別情報を参照し、当該バウンドアプリケーションが前記サービス範囲情報で表わされるサービスの範囲に関連付けられたバウンドアプリケーションである場合にのみ、前記サービス範囲情報を参照し、選局の結果として選択されたサービスが前記サービス範囲情報が示す範囲内の場合には当該バウンドアプリケーションの稼動状態を維持し、選局の結果として選択されたサービスが前記サービス範囲情報が示す範囲外の場合には当該バウンドアプリケーションを終了させる、制御を行なう、ことを特徴とする。
【0011】
これにより、単純なバウンドアプリケーションと、明示的なサービス範囲情報に関連付けられたバウンドアプリケーションと、アンバウンドアプリケーションとを識別出来る。
【0012】
[4]また、本発明の一態様は、上記の受信機において、前記アプリケーション情報取得部は、放送信号で伝送された前記アプリケーション情報を取得する、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、放送信号にサービス範囲情報を含めることが出来る。
【0014】
[5]また、本発明の一態様は、上記の受信機において、前記アプリケーション情報取得部は、インターネットプロトコルで伝送された前記アプリケーション情報を取得する、ことを特徴とする。
【0015】
これにより、放送信号経由ではなくネットワーク経由で、バウンドアプリケーションの制御情報を送ることが出来る。
【0016】
[6]また、本発明の一態様によるアプリケーション情報送信装置は、所定範囲のサービスに関連付けられるバウンドアプリケーションに関して、前記サービスの範囲を表わすサービス範囲情報を記憶するアプリケーション情報記憶管理部と、前記アプリケーション情報記憶管理部に記憶されている前記サービス範囲情報を読み出し、前記サービス範囲情報を含むアプリケーション情報を送出する送出部と、を具備することを特徴とする
【0017】
これにより、アプリケーション情報送信装置から送出するアプリケーション情報で、サービス範囲情報に従って、受信機側でのバウンドアプリケーションのライフサイクルを制御できる。
【0018】
[7]また、本発明の一態様は、選局操作の信号に基づき受信する放送のサービスを選択する選局部と、前記選局部が選択したサービスの放送信号を受信する受信部と、アプリケーションを実行するアプリケーション実行部と、を具備する受信機に設けられたコンピューターに、前記アプリケーションが所定範囲のサービスに関連付けられるバウンドアプリケーションである場合に前記サービスの範囲を表わすサービス範囲情報を含むアプリケーション情報を取得するアプリケーション情報取得過程と、前記選局部による前記サービスの選択の際に、稼働中の前記バウンドアプリケーションに関する前記アプリケーション情報に含まれる前記サービス範囲情報を参照し、選局の結果として選択されたサービスが前記サービス範囲情報が示す範囲内の場合には当該バウンドアプリケーションの稼動状態を維持し、選局の結果として選択されたサービスが前記サービス範囲情報が示す範囲外の場合には当該バウンドアプリケーションを終了させる、制御を行なう起動制御過程と、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、現在選局されていないサービスをも、バウンドアプリケーションのバウンド範囲に含めることができる。また、複数のサービスを、バウンドアプリケーションのバウンド範囲に含めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下において、アプリケーションプログラム(アプリ)のことを単に「アプリケーション」と呼ぶ。また、バウンドアプリケーション(bound application)は、特定の、単数または複数の放送チャンネル(「サービス」とも呼ぶ)に束縛されながら、その稼働環境におけるライフサイクル制御が行なわれる。
【0022】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態による受信機の機能構成を示すブロック図である。図示するように、受信機4は、放送受信部401(受信部)と、分離部402と、通信入出力部411と、アプリケーション実行制御部412と、操作入力部414と、選局部415と、限定編成チャンネルテーブル記憶部491とを含んで構成される。
また、アプリケーション実行制御部412は、アプリケーション記憶部431と、アプリケーション制御部434と、アプリケーション実行部435とを含んで構成される。このうち、アプリケーション制御部434は、アプリケーション情報取得部472と、起動制御部473とを含んで構成される。また、操作入力部414は、起動要求信号取得部471を含む。
【0023】
受信機4は、テレビ等の放送信号を受信し、放送の音声や映像を出力するとともに、アプリケーションを実行するための実行環境(中央処理装置(CPU)やメモリなど)を備えている。
【0024】
放送受信部401は、外部からの放送信号を受信する。放送信号は、例えば、電波として伝送されてアンテナ経由で放送受信部401に入力されたり、ケーブルで伝送されたりする。なお、放送受信部401は、選局部415が選択したサービスの放送信号を受信する。
分離部402は、放送受信部401が受信した放送信号から、音声および映像信号と、データとを抽出し、それらを分離する。このうち、音声および映像の信号は、デコードされ、それぞれ音声および映像として再現されるが、同図においては音声および映像の信号のデコーディング以後の処理の記載を省略している。分離部402は、分離されたデータの一部分を、アプリケーション実行制御部412に渡す。分離部402がアプリケーション実行制御部412に渡すデータの代表的なものは、アプリケーション情報である。
【0025】
通信入出力部411は、インターネットプロトコル(IP)等の標準的な通信手順を用いて、外部との間での通信パケットの入出力を行なう。通信入出力部411は、受信機4内の上位の通信階層からの命令により、例えば、アプリケーション要求信号を出力したり、アプリケーションのコードやアプリケーション情報を入力したりする。
【0026】
上記のアプリケーション情報とは、アプリケーションを識別するためのアプリケーションIDや、アプリケーションに関する属性情報や、アプリケーションを制御するための制御コードの情報を含んだデータである。ここで、アプリケーションを制御するための制御コードとは、少なくとも次の3種類を含む。第1の種類は、アプリケーションの自動実行や終了等を指示するコード(例えば、AUTOEXEC,PRESENT,KILL,DESTROYなど)である。第2の種類は、アプリケーションのバウンドタイプを識別するためのコードである。第3の種類については、アプリケーションのバウンド範囲を示すためのコードである。アプリケーション情報の詳細については、後述する。
【0027】
操作入力部414は、外部の操作受付部474(例えば、ユーザーがテレビを操作するための赤外線リモコン装置など)からの操作信号を受け付け、操作信号に応じて、受信機4内の各部に必要な信号を供給する。例えば、操作入力部414は、選局のための信号(選択されたチャンネルの番号に対応した信号)を選局部415に供給する。また例えば、操作入力部414は、アプリケーション実行制御部412で稼動する個々のアプリケーションを起動させたり終了させたりするための信号を起動制御部473に供給する。
操作入力部414に含まれている起動要求信号取得部471は、アプリケーションの起動要求等の信号を、起動制御部473に供給する。
【0028】
選局部415は、操作入力部414からの操作信号に従って、放送受信部401が受信する放送信号のチャンネルを選択する。具体的には、選局部415は、受信する放送信号の周波数のチューニングを制御する。また、選局部415は、選局情報を起動制御部473に供給する。なお、選局情報は、選局操作が行なわれたタイミングを表わす信号と、選局されたチャンネルを識別する情報とを含んでいる。つまり、選局部は、選局操作の信号に基づき受信する放送のサービスを選択するものである。
【0029】
限定編成チャンネルテーブル記憶部491は、チャンネルの集合で構成されるグループと、そのグループを識別する情報との対応関係をテーブルとして記憶する記憶手段である。このグループのことを、チャンネルの「範囲」とも呼ぶ。1つのグループには、原則としては複数のチャンネルが含まれるが、例外として1つのチャンネルのみが含まれていても良い。なお、限定編成チャンネルテーブル記憶部491は、半導体メモリ等を用いて実現される。
【0030】
アプリケーション実行制御部412は、アプリケーションを実行するとともにアプリケーションを制御するものであり、中央処理装置やメモリなどを含み、コンピューターの技術を利用して構成されている。
アプリケーション記憶部431は、アプリケーションのコードおよびその関連データを記憶する。アプリケーション記憶部431は、例えばSSD(Solid State Drive,フラッシュメモリドライブ)など、不揮発性の記憶手段を用いて実現される。
アプリケーション実行部435は、起動制御部473からの起動および停止等の制御に基づき、アプリケーション記憶部431から読み出したアプリケーションを実行する。
【0031】
アプリケーション制御部434は、アプリケーションを制御する。アプリケーション制御部434が行なう主要な制御の一つは、アプリケーションのライフサイクル制御(つまり、起動や停止などに関する制御)である。
アプリケーション情報取得部472は、放送受信部401によって受信された信号に含まれていたアプリケーション情報や、通信入出力部411経由でIP通信によって取得されたアプケーション情報を取得する。なお、アプリケーション情報取得部472は、アプリケーションが所定範囲のサービスに関連付けられるバウンドアプリケーションである場合にサービスの範囲を表わすサービス範囲情報を含むアプリケーション情報を取得する。
【0032】
起動制御部473は、アプリケーションの起動や停止等を制御する。起動制御部473がアプリケーションを起動したり停止させたりするトリガーとなり得るのは、操作入力部414(およびその中の起動要求信号取得部471)からの起動/停止の操作の信号や、アプリケーション情報取得部472によって取得されたアプリケーション情報の中に含まれる制御情報の通知や、選局部415からの選局情報などである。起動制御部473は、選局部415からの選局情報によって、選局操作が行なわれたことを検知したり、その選局操作の結果として選局されたチャンネルを識別する情報を把握したりする。また、起動制御部473は、選局部415から受信した選局情報を必要に応じて記憶しておく。これにより前回の選局操作によって選局されたチャンネルの情報を、読み出して利用できる。
【0033】
図2は、本実施形態によるアプリケーション情報送信装置の機能構成を示すブロック図である。図示するように、アプリケーション情報送信装置3は、アプリケーション情報記憶管理部301と、設定部302と、送出部303とを含んで構成される。
【0034】
アプリケーション情報記憶管理部301は、アプリケーション毎の属性情報を記憶する。また、アプリケーション情報記憶管理部301は、外部からの入力データ等によって、記憶しているアプリケーション情報を、管理・更新する。アプリケーション情報記憶管理部301が管理する情報の中には、アプリケーション毎のバウンドタイプ識別フラグ(バウンドタイプ識別情報)が含まれる。そのアプリケーションが「限定編成チャンネル内bound」型である場合には、そのアプリケーションが関連付けられるチャンネル範囲の情報が含まれる。
【0035】
設定部302は、アプリケーションIDなどをキーとして、アプリケーション情報記憶管理部301から、バウンドタイプ識別フラグの情報や、チャンネル範囲の情報などを読み出し、それらの情報を、伝送用のデータフォーマットに設定する。伝送用のフォーマットとは、例えば、ARIB等の標準規格で定められているAIT(アプリケーション情報テーブル)の形式である。
送出部303は、設定部302によって設定されたデータを外部に創出する。
【0036】
図3は、アプリケーション情報送信装置3および受信機4を含むシステムであって、アプリケーション情報を伝達するためのシステム全体の構成を示す構成図である。図示するように、本システムは、放送送信装置(または放送送信装置群。以下では単に「放送送信装置」と呼ぶ)1と、アプリケーション情報配信サーバー装置2と、アプリケーション情報送信装置3と、受信機4を含んで構成される。なお、通常の場合には多数の受信機4が存在するが、同図では代表して1台のみの受信機4を示している。
【0037】
アプリケーション情報送信装置3は、前述の通り、特定のアプリケーションに関してバウンドタイプ識別フラグの情報やチャンネル範囲の情報などを含んだアプリケーション情報のデータを創出する。
放送送信装置1は、放送信号を有線または無線で送出するための装置であり、単数または複数の装置によって構成される。放送送信装置1は、予め設定された番組放送スケジュールのデータに従って、放送コンテンツの映像および音声を含んだデジタル放送信号を送出する。また、この放送信号には映像や音声以外のデータを伝搬するための領域が設けられており、放送送信装置1は、アプリケーション情報送信装置3から供給されたアプリケーション情報を放送信号に載せて一緒に送出する。
アプリケーション情報配信サーバー装置2は、インターネット等のオープンなIP網に接続されたコンピューター・サーバーである。アプリケーション情報配信サーバー装置2は、アプリケーション情報送信装置3から供給されたアプリケーション情報を、受信機4からのリクエストに応じて、あるいはブロードキャストパケットとして、送信する。
受信機4は、放送送信装置1から放送信号の一部として送信されたアプリケーション情報を受信する。または、受信機4は、アプリケーション情報配信サーバー装置2からIP網経由で送信されたアプリケーション情報を受信する。
【0038】
図3に示したシステム全体としては、放送送信装置1とアプリケーション情報配信サーバー装置2との、いずれか一方のみからアプリケーション情報を送信するようにしても良いし、両方からアプリケーション情報を送信するようにしても良い。いずれの場合も、特定の放送番組に関連付けられるアプリケーション情報については、その番組が放送されている時間内に送信するようにする。そのため、アプリケーション情報配信サーバー装置2は、必要に応じて、番組放送スケジュールのデータを予め取得しておくか、あるいは放送送信装置1との間で適宜、アプリケーション情報を送信するタイミングについての情報を交換する。
【0039】
図4は、限定編成チャンネルテーブル記憶部491が記憶するデータの構成とデータ例を示す概略図である。図示するように、限定編成チャンネルテーブル記憶部491は、表形式のデータを記憶するものであり、チャンネル範囲識別子(bound_range_id)およびチャネル識別情報のリストの各桁を有している。このデータの主キーは、チャンネル範囲識別子である。テーブル内において、各々のチャンネル範囲識別子に対して、チャンネル識別情報のリストが関連付けられている。各々のチャンネル識別情報のリストは、通常は複数のチャンネル識別情報を含む。個々のチャンネル識別情報は、一例としてはテレビ放送におけるチャンネルを表わす数値で表わされ、他の例としては各チャンネルに対応するラベルで表わされる。図示するデータ例では、チャンネル範囲識別子が「0x00」(16進数表記で「00」)の場合に、対応するチャンネル識別情報のリストは「NHK-G, NHK-E, NHK-BS1, NHK-BS hi」である。このリストは、ラベル「NHK-G」が表わすチャンネルと、ラベル「NHK-E」が表わすチャンネルと、ラベル「NHK-BS1」が表わすチャンネルと、ラベル「NHK-BS hi」が表わすチャンネルの4つのチャンネルに対応する。また、チャンネル範囲識別子が「0x01」(16進数表記で「01」)の場合に、対応するチャンネル識別情報のリストは「Fuji, BS-Fuji」である。ここに示したデータ例は、放送事業者毎にチャンネル範囲識別子を付与した場合にあたる。
なお、チャンネル範囲識別子は、サービスの範囲を示す情報であり、「サービス範囲情報」と呼ぶ。また、チャンネル範囲識別子と、それに関連付けられたチャネル識別情報のリストの情報とをあわせて、「サービス範囲情報」と呼んでも良い。
【0040】
なお、チャンネル範囲識別子の具体的な値とチャンネルのリストへの対応付けを新たに規定しても良いし、既存の定義値を用いるようにしても良い。既存の値としては、例えば、ブーケ識別情報(bouquet ID)や、放送事業者識別情報(broadcaster ID)などを用いることができる。また、例えば、複数の民間放送事業者からなるいわゆる「系列」(「ネットワーク」とも呼ばれる)ごとに識別情報を付与するようにしても良い。なお、「ブーケ」(bouquet)とは、複数の異なるトランスポートストリームからなる集合を一括りにした単位である。
【0041】
図5は、アプリケーション情報送信装置3から送出され、受信機4が受信する、アプリケーション情報のデータ構成の一例を示す概略図である。図示する例では、AIT内のディスクリプターの一種として、アプリケーション・バウンド・タイプ記述子(Application bound type descriptor)を定義している。そして、その記述子の構造体の中に、バウンドタイプ識別フラグ(bound_type_flag)と、バウンド範囲を表わすチャンネル範囲識別子(bound_range_id)とを含むようにしている。同図において、アプリケーション・バウンド・タイプ記述子は、記述子タグ(descriptor_tag)と、記述子長(descriptor_length)と、バウンドタイプ識別フラグと、チャンネル範囲識別子を含む。記述子タグは、記述子の種別を表わすタグであり、長さは8ビットである。記述子長は、当該アプリケーション・バウンド・タイプ記述子自身の長さ(ビット数)を表わす数値であり、長さは8ビットである。
【0042】
バウンドタイプ識別フラグは、アプリケーションの編成チャンネルに対する関連付けの型を表わすデータであり、長さは2ビットである。
バウンドタイプ識別フラグの値が「0x0」(ビット表記で「00」)のとき、型は(単純な)「bound」である。言い換えれば、この場合には、このアプリケーション・バウンド・タイプ記述子によって表わされるアプリケーションは、単純に1チャンネルのみのサービスに関連付けられる。つまり、そのアプリケーションは、現在選択されているサービスのみに関連付けられたバウンドアプリケーションである。
バウンドタイプ識別フラグの値が「0x1」(ビット表記で「01」)のとき、型は「限定編成チャンネル内bound」である。これは、当該アプリケーションが、単純に1つのチャンネルに関連付けられるのではなく、関連付けられたチャンネル範囲識別子によって表わされる複数のチャンネルに関連付けられるものであることを表わす。
バウンドタイプ識別フラグの値が「0x2」(ビット表記で「10」)のとき、型は「unbound」である。つまり、そのアプリケーションは、チャンネル範囲識別子で表わされるサービスの範囲に関連付けられたバウンドアプリケーションである。
なお、バウンドタイプ識別フラグの値の「0x3」(ビット表記で「11」)は、不使用(未定義)である。つまり、そのアプリケーションは、特定のサービスに関連付けられないアンバウンドサービスである。
【0043】
上記のバウンドタイプ識別フラグの値が「0x1」のときにのみ、アプリケーション・バウンド・タイプ記述子には、16ビットのチャンネル範囲識別子が含まれている。つまり、バウンドタイプ識別フラグの値に応じて、アプリケーション・バウンド・タイプ記述子の全体の長さは変わる。なお、チャンネル範囲識別子の値と、そのチャンネル範囲識別子が表わすチャンネルとの関係は、前述の限定編成チャンネルテーブル記憶部491を参照することによって得られる。
【0044】
図5に示したデータ構成は、AITの中に新たに定義した記述子を設けるものである。つまり、既存のAITを拡張するものである。
バウンドタイプ識別フラグおよびチャンネル範囲識別子を受信機4が受信するためのデータ構成は他にもあり得る。
なお、このような、バウンドタイプ識別フラグおよびチャンネル範囲識別子を含んだアプリケーション情報を受信機4が受信できるようにするためには、前述の通り、放送信号に載せる方法と、ネットワーク(IP網)経由で送る方法などがある。
アプリケーション情報を放送信号で送るための具体的手段としては、次の3例などが考えられる。即ち、(1)新たなAITを定義する、(2)データ放送の一部分としてAITを伝送する、(3)EIT(Extra Information Types)内にアプリケーション情報を格納して伝送する。
【0045】
図6は、アプリケーション制御部434内の起動制御部473が、アプリケーションを起動または停止するための制御をテーブルとして表わした概略図である。同図(A)は、対象とするアプリケーションが非稼働の状態からの制御を表わす。また、同図(B)は、対象とするアプリケーションが稼働中の状態からの制御を表わす。同図(A)および(B)ともに、各列は、対象とするアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグの値に対応している。つまり、左側の列から順に、「bound」、「限定編成チャンネル内bound」、「unbound」である。また、各行は、発生した事象に対応している。つまり、上側の行から順に、「当該アプリケーションに関して制御コードAUTOSTARTを受信」、「当該アプリケーションに関して制御コードPRESENTを受信」、「当該アプリケーションに関して制御コードKILLまたはDESTROYを受信」、「選局操作が行なわれたことを検知」と言う事象である。そして、このマトリックスにおいて、該当する列と該当する行との交点に記載されている制御を、起動制御部473が当該アプリケーションに関して実行する。
【0046】
以下では、
図6に示しているそれぞれのケースについて具体的に説明する。
まず、
図6(A)の、対象とするアプリケーションが非稼働の状態からの制御について説明する。
(A−1)発生した事象が制御コード「AUTOSTART」の受信であった場合には、対象とするアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグの値に関わらず、起動制御部473は、そのアプリケーションを起動させる。なお、制御コード「AUTOSTART」を受信し、且つ、アプリケーションのバウンドタイプ識別フラグが「限定編成チャンネル内bound」となるのは、チャンネル範囲識別子の示す範囲が現在選局中のチャンネルを含む場合に限られることを前提としている。
(A−1の変形例)上記の(A−1)の変形例では、発生した事象が制御コード「AUTOSTART」の受信であった場合であって、且つ、対象とするアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグが「限定編成チャンネル内bound」である場合には、起動制御部473は、チャンネル範囲識別子の示す範囲が、現在選曲されているチャンネルを含んでいるか否かを確認する。そして、含んでいる場合にのみ、起動制御部473は、そのアプリケーションを起動させる。
【0047】
(A−2)発生した事象が制御コード「PRESENT」の受信であった場合には、対象とするアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグの値に関わらず、起動制御部473は、そのアプリケーションを準備状態とする。なお、そのアプリケーションのコードを未取得である場合には、起動制御部473は、通信入出力部411を介してアプリケーション要求信号を送出し、所定のURL等からそのアプリケーションのコードを取得する。取得したアプリケーションコードは、アプリケーション記憶部431に格納される。
【0048】
(A−3)発生した事象が制御コード「KILL」または「DESTROY」の受信であった場合には、対象とするアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグの値に関わらず、起動制御部473は、そのアプリケーションの非稼動状態を維持する。
【0049】
(A−4)発生した事象が選局操作の検知であった場合には、起動制御部473は、非稼動状態であったアプリケーション(選局操作前のチャンネルに関連付けられており、且つ非稼動状態であったアプリケーション)を非稼動のまま維持する。なお、起動制御部473は、その選局操作によって選局されたチャンネルに関連付けられたアプリケーションのライフサイクル制御を、別途行なう。
【0050】
つまり、選局操作後に、新たに選局されたチャンネルに関連付けられたバウンドアプリケーションが存在することを起動制御部473が認識した場合には、そのバウンドアプリケーションの制御コード(AUTOSTARTあるいはPRESENTなど)の値に応じた形で、
【0051】
次に、
図6(B)の、対象とするアプリケーションが稼働中の状態からの制御について説明する。
(B−1)発生した事象が制御コード「AUTOSTART」または「PRESENT」の受信であった場合、対象とするアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグの値に関わらず、起動制御部473は、そのアプリケーションの稼動状態を維持する。なお、制御コード「AUTOSTART」または「PRSENT」を受信し、且つ、アプリケーションのバウンドタイプ識別フラグが「限定編成チャンネル内bound」となるのは、チャンネル範囲識別子の示す範囲が現在選局中のチャンネルを含む場合に限られることを前提としている。
(B−1の変形例)上記の(B−1)の変形例では、発生した事象が制御コード「AUTOSTART」または「PRESENT」の受信であって、且つ、対象とするアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグが「限定編成チャンネル内bound」である場合には、起動制御部473は、チャンネル範囲識別子の示す範囲が、現在選曲されているチャンネルを含んでいるか否かを確認する。そして、含んでいる場合にのみ、起動制御部473は、そのアプリケーションの稼動状態を維持する。逆に、含んでいない場合には、起動制御部473は、そのアプリケーションを停止させる制御を行なう。
【0052】
(B−2)発生した事象が制御コード「KILL」または「DESTROY」の受信であった場合には、対象とするアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグの値に関わらず、起動制御部473は、そのアプリケーションを停止させる制御を行なう。
【0053】
(B−3)発生した事象が選局操作の検知であって、且つ、稼働中のアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグが「bound」である場合には、起動制御部473は、選局操作の後に、そのアプリケーションが関連付けられていたチャンネルが選局されている状態であるか否かを判定する。そして、選局が外れた場合には、起動制御部473は、そのアプリケーションを停止させる制御を行なう。そのアプリケーションが関連付けられたチャンネルが依然選局されている場合には、起動制御部473はそのアプリケーションの稼動状態を維持する。
【0054】
(B−4)発生した事象が選局操作の検知であって、且つ、稼働中のアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグが「限定編成チャンネル内bound」である場合には、起動制御部473は、選局操作の結果とチャンネル範囲識別子との関係を調べる。つまり、起動制御部473は、そのアプリケーションに関して通知されていたアプリケーション情報におけるチャンネル範囲識別子を参照する。そして、そのチャンネル範囲識別子の値に関連付けられているチャンネル識別情報のリストを、限定編成チャンネルテーブル記憶部491から読み出す。そして、起動制御部473は、選局操作の後に選局されている状態のチャンネルが、そのリストに含まれているか否かを判定する。含まれている場合(つまり、選局操作の結果、チャンネル範囲を外れなかった場合)には、起動制御部473は、そのアプリケーションの稼動状態を維持する。含まれていなかった場合(つまり、選局操作の結果、チャンネル範囲を外れてしまった場合)には、起動制御部473は、そのアプリケーションを停止させる制御を行なう。このような起動制御部473の制御により、あるバウンドアプリケーションが、単一のチャンネルのみに関連付けられているのではなく、複数のチャンネルの集合(チャンネル範囲)に関連付けられているように、振舞うことが可能となる。例えば、選局操作の結果として、操作前の「NHK-G」のチャンネルから操作後の「NHK-BS1」のチャンネルに切り替えられた場合、これらの両チャンネルはいずれもチャンネル範囲識別子「0x00」に属する(
図4)ため、このチャンネル範囲識別子「0x00」に関連付けられたバウンドアプリケーションは、選局操作後も、依然としてその範囲に関連付けられたアプリケーションとして、停止されずに、稼動し続ける。これにより、単位のチャンネルのみに固有のアプリケーションだけではなく、複数のチャンネルの集合(例えば、ある放送事業者が放送する全てのチャンネルの集合)に対して固有の動作をするアプリケーションのライフサイクルを、適切に制御することが出来る。また、そのようなライフサイクル制御の下でのアプリケーションは、複数のチャンネルの放送にまたがった(しかし、定められたチャンネル範囲の中に閉じた)、特有の処理を行なうことができる。
【0055】
(B−5)発生した事象が選局操作の検知であって、且つ、稼働中のアプリケーションのバウンドタイプ識別フラグが「unbound」である場合には、起動制御部473は、選局操作の結果としてどのチャンネルが選局されたかに関わらず、そのアプリケーションの稼動状態を維持する。
【0056】
以上、(A−1)から(A−4)まで、および(B−1)から(B−5)までで述べた制御において、起動制御部473がアプリケーションを起動したり停止させたりする具体的方法の一例は次のとおりである。即ち、起動する場合、起動制御部473は、アプリケーション実行制御部412内の環境において新たなプロセスを生成するとともに、そのプロセスが実行すべきアプリケーションのコードを指定する。また、停止させる場合、起動制御部473は、稼働中のアプリケーションに対して割り込みを発生させるとともに、稼動を停止することの指示を表わす情報を割り込みパラメーター等の手段で渡す。
【0057】
整理すると、起動制御部473は、選局部415によるチャンネル(サービス)の選択の際に、稼働中のバウンドアプリケーションに関するアプリケーション情報に含まれるチャンネル範囲識別子(サービス範囲情報)を参照し、選局の結果として選択されたサービスがチャンネル範囲識別子が示す範囲内の場合には当該バウンドアプリケーションの稼動状態を維持し、選局の結果として選択されたサービスがチャンネル範囲識別子が示す範囲外の場合には当該バウンドアプリケーションを終了させる、制御を行なう。また、起動制御部473は、選局部415によるチャンネル(サービス)の選択の際に、稼働中のバウンドアプリケーションに関するアプリケーション情報に含まれるバウンドタイプ識別フラグ(バウンドタイプ識別情報)を参照し、当該バウンドアプリケーションがチャンネル範囲識別子で表わされるサービスの範囲に関連付けられたバウンドアプリケーションである場合にのみ、チャンネル範囲識別子を参照し、上記の制御を行なう。
【0058】
上で例示したようにバウンドタイプ識別フラグおよびチャンネル範囲識別子を規定するとともに、起動制御部473が
図6に示したような制御を行なうようにしたことで、従来の技術では得られなかった格別の効果を得ることが出来る。つまり、ある単一の編成チャンネル内のみで有効なバウンドアプリケーションと、複数の編成チャンネルの集合(例えば、ある放送事業者の全ての編成チャンネル)内での選局切替ならば選局操作後にも継続して実行し続けるアプリケーションと、全ての編成チャンネルで有効なアプリケーションとを、AIT等のアプリケーション情報のみで識別可能となる。これにより、アプリケーションのライフサイクル制御の態様を多様化することが出来るとともに、そのような多様化を行なう場合にも受信機の機能を簡素化できる。
【0059】
例えば放送事業者内での全ての編成チャンネルに有効なアプリケーションを実現できることは、放送事業者としてアプリケーションの魅力を増すことが出来るとともに、視聴者へのサービスの向上にも寄与する。
【0060】
なお、上述した実施形態における受信機、アプリケーション情報送信装置、アプリケーション情報配信サーバー装置、放送送信装置の一部または全部の機能をコンピューターで実現するようにしても良い。その場合、各装置の機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0061】
以上、複数の実施形態を説明したが、本発明はさらに次のような変形例でも実施することが可能である。
例えば、
図5に示したデータ構成では、バウンドタイプ識別フラグが「限定編成チャンネル内bound」型を表わす場合にのみチャンネル範囲識別子の領域を有するようにしているが、バウンドタイプ識別フラグの値に関わらず常にチャンネル範囲識別子の領域を有するようにしても良い。
【0062】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。