【実施例】
【0026】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。
【0027】
実施に際しては、以下のものを使用した。
キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、型番:サンエースNXG−S)
グァーガム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、型番:ビストップD−20)
モノグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社製、型番:エマルジー P−100:HLB 4.3)
グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社製、型番:ポエム W−60:HLB 9.5)
ポリグリセリン脂肪酸エステル(阪本薬品工業株式会社製、型番:SYグリスター ML−750:HLB 14.8)
パーム油 (株式会社J−オイルミルズ社製、ヨウ素価:50)
分別パーム油A (株式会社J−オイルミルズ社製、ヨウ素価:56)
分別パーム油B (株式会社J−オイルミルズ社製、ヨウ素価: 67)
エステル交換油A (株式会社J−オイルミルズ社製)
化学的エステル交換油、飽和脂肪酸含量:95.2%、炭素数12以下の飽和脂肪酸含量:24.8%、上昇融点:47.2℃
エステル交換油B (株式会社J−オイルミルズ社製)
化学的エステル交換油、飽和脂肪酸含量:95.0%、炭素数12以下の飽和脂肪酸含量:35.0%、上昇融点:40.1℃
【0028】
〔増粘多糖類の油脂への投入方法〕
油脂A(あるいは、油脂B〜D)を60℃で攪拌し、必要に応じ乳化剤を添加し、ボテーターパイロット機により急冷捏和してショートニングサンプルを得た。直後、カントーミキサーによりホイッパーを使用して攪拌しながら増粘多糖類を分散させた油脂A(あるいは、油脂B〜D)を投入して混合し、テスト油脂を得た。
【0029】
〔食パンの製造方法〕
得られたテスト油脂を用いて、下記に示す配合及び製法によりプルマン型食パンを製造し、焼成1日後の食感(もっちり感・口どけ感)について、下記評価基準に従って4段階で評価した。
【0030】
(もっちり感)
◎:極めて弾力感が強い
○:弾力感が強い
△:やや弾力感が弱い
×:弱い
(口どけ感)
◎:対照より極めて良い
○:対照より良い
△:対照と同等
×:対照より悪い
【0031】
[食パンの配合]
強力粉(日清製粉社製) 100重量部
製パン改良材(株式会社J−オイルミルズ社製、製品名:マックスパワー) 0.5重量部
生イースト(オリエンタル酵母社製) 3.0重量部
上白糖(三井製糖社製) 6.0重量部
食塩(財団法人 塩事業センター製) 1.8重量部
脱脂粉乳(森永乳業株式会社製) 2.0重量部
水 68.0重量部
無塩マーガリン(株式会社J-オイルミルズ社製、製品名:マイスターゴールドスーパー無塩) 2.0重量部
テスト油脂 6.0重量部
【0032】
[食パンの製法]
油脂以外の材料をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で3分、中低速で4分混合した後に油脂(無塩マーガリンとテスト油脂)を投入した。その後、更に低速で3分、中低速で4分混合し、生地を得た。捏ね上げ温度は28℃であった。この生地をボックスに入れ、温度25℃の恒温室で、60分発酵を行った。終点温度は31℃であった。この醗酵した生地を250gに分割し、ガス抜き、丸めを行った。次いで、ベンチタイムを30分とった後、成型し、2斤型プルマン型に入れた。温度30℃、湿度85%で50分間ホイロをとった後、上火190℃、下火210℃に設定したオーブンに入れ40分焼成してプルマン型食パンを得た。
【0033】
〔増粘多糖類の比較〕
表1に記載のテスト油脂を調製した。食パンを製造し、もっちり感と口どけ感の評価をおこなった。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示すように、キサンタンガムとグァーガムを所定量添加することで、対照に比べて口どけ感を損なうことなく、もっちり感を得ることができた。一方、キサンタンガム、グァーガム単独では、十分なもっちり感を得ることはできない(比較例1−1、1−2)。また、キサンタンガムの比率が多いともっちり感を得ることができるが、口どけ感が充分ではなかった。また、グァーガムとジェラガムの組み合わせでは、もっちり感を得ることはできなかった。
【0036】
〔乳化剤の添加〕
表2に記載のテスト油脂を調製した。食パンを製造し、もっちり感と口どけ感の評価をおこなった。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
実施例2-1、2-2に示すように、乳化剤を添加することでもっちり感を向上することができた。特に、モノグリセリン脂肪酸エステルと有機酸モノグリセリン脂肪酸エステルを添加した際にもっちり感をさらに向上することができた。
【0039】
〔油脂の比較〕
表3に記載のテスト油脂を調製した。食パンを製造し、もっちり感と口どけ感の評価をおこなった。その結果を表3に示す。なお、テスト油脂として油脂Aを配合したものを対照とした。
【0040】
【表3】
【0041】
油脂によらず、所定量のキサンタンガムとグァーガムを含有することで、もっちり感と口どけ感を得ることができた。特に、パーム油を50重量%含む油脂でその効果は顕著であった。
【0042】
〔増粘多糖類を油脂に配合しない場合〕
食パンの製造方法に従い、増粘多糖類はテスト油脂(油脂Aを使用)に添加せず、生地に配合して、食パンを製造した。食パンを食し、もっちり感と口どけ感の評価をおこなった。その結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
増粘多糖類を油脂に分散せずに食パン生地に直接配合すると、油脂に配合したときよりも5〜10倍量添加してはじめてもっちり感が得られた。しかしながら、その配合量では、口どけ感が損なわれていた。