(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、化学式中の各置換基は、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、以下の置換基の例示を適用する。各基において、立体異性体が存在する場合は、全ての立体異性体を包含する。以下の置換基の例示において、「C」に付して記載した数値は、各々の基の炭素数を示す。
【0008】
炭化水素基とは、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する。
脂肪族炭化水素基は、鎖式の脂肪族炭化水素基、環式の脂肪族炭化水素基(以下「脂環式炭化水素基」という場合がある。)及びこれらを組み合わせた基を包含する。また、鎖式の脂肪族炭化水素基は、直鎖状脂肪族炭化水素基及び分岐状脂肪族炭化水素基を包含する。脂肪族炭化水素基は、脂肪族不飽和炭化水素基でもよいが、脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。
【0009】
1価の鎖式の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基(C
1)、エチル基(C
2)、プロピル基(C
3)、ブチル基(C
4)、ペンチル基(C
5)、ヘキシル基(C
6)、ヘプチル基(C
7)、オクチル基(C
8)、デシル基(C
10)、ドデシル基(C
12)、ヘキサデシル基(C
14)、ペンタデシル基(C
15)、ヘキシルデシル基(C
16)、ヘプタデシル基(C
17)及びオクタデシル基(C
18)などが挙げられる。
2価の鎖式の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基から水素原子を1個取り去ったアルカンジイル基が挙げられ、その具体例は、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基及び2−メチルブタン−1,4−ジイル基などである。
【0010】
環式の脂肪族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれをも包含する。
1価の単環式の脂肪族炭化水素基は、例えば、式(KA−1)〜(KA−7)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基である。
【0011】
1価の多環式の脂肪族炭化水素基は、例えば、式(KA−8)〜(KA−23)で表される脂肪族炭化水素の水素原子を1個取り去った基である。
【0012】
2価の環式の脂肪族炭化水素基としては、例えば、式(KA−1)〜式(KA−23)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基が挙げられる。
【0013】
前記脂肪族炭化水素基が置換基を有する場合の置換基としては、特に断りのない限り、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基などが挙げられる。
【0014】
1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基(C
6)、トリル基(C
7)、キシリル(C
8)、クメニル基(C
9)、メシチル基(C
9)、ナフチル基(C
10)、アントリル基(C
14)、ビフェニル基(C
12)、フェナントリル基(C
14)及びフルオレニル基(C
13)などのアリール基が挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基は、例えば、これらのアリール基から、さらに水素原子を1個取り去ったアリーレン基を挙げられる。
【0015】
前記芳香族炭化水素基が置換基を有する場合の置換基としては、特に断りのない限り、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アルキル基及びアリールオキシ基等を挙げられる。
【0016】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基(C
1)、エトキシ基(C
2)、プロポキシ基(C
3)、ブトキシ基(C
4)、ペンチルオキシ基(C
5)、ヘキシルオキシ基(C
6)、ヘプチルオキシ基(C
7)、オクチルオキシ基(C
8)、デシルオキシ基(C
10)及びドデシルオキシ基(C
12)などが挙げられる。
アシル基としては、アセチル基(C
2)、プロピオニル基(C
3)、ブチリル基(C
4)、バレイル基(C
5)、ヘキサノイル基(C
6)、ヘプタノイル基(C
7)、オクタノイル基(C
8)、デカノイル基(C
10)及びドデカノイル基(C
12)などのアルキル基とカルボニル基とが結合したもの、並びに、ベンゾイル基(C
7)などのアリール基とカルボニル基とが結合したものが挙げられる。
アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基及びイソブチリルオキシ基などが挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基(C
7)、フェネチル基(C
8)、フェニルプロピル基(C
9)、ナフチルメチル基(C
11)及びナフチルエチル基(C
12)などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基(C
6)、ナフチルオキシ基(C
10)、アントリルオキシ基(C
14)、ビフェニルオキシ基(C
12)、フェナントリルオキシ基(C
14)及びフルオレニルオキシ基(C
13)などのアリール基と酸素原子とが結合したものが挙げられる。
【0017】
また、本明細書において「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH
2=CH−CO−」又は「CH
2=C(CH
3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0018】
<式(I)で表される化合物>
本発明の化合物は、式(I)で表される化合物(以下「化合物(I)」という場合がある。)である。
[式(I)中、
R
1は、水素原子又はメチル基を表す。
A
1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
A
2は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
X
1は、*−CO−O−又は*−O−CO−を表す。*は、A
2との結合手を表す。
A
3は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
R
2は、置換基を有してもよい炭素数3〜5の脂環式炭化水素基を表す。]
【0019】
A
1及びA
3のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;1−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、1−メチルブタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基が挙げられる。
【0020】
A
2の脂肪族炭化水素基としては、鎖式及び環式のいずれか、並びに、これらが組み合わせられた2価の脂肪族炭化水素基が包含される。この脂肪族炭化水素は、脂肪族不飽和炭化水素基でもよいが、好ましくは脂肪族飽和炭化水素基である。
ハロゲン原子は、フッ素原子が好ましい。
A
2のハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基は、好ましくはフッ素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基である。
ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を有していてもよい2価の鎖式脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、ジフルオロメチレン基、エチレン基、ペルフルオロエチレン基、プロパンジイル基、ペルフルオロプロパンジイル基、ブタンジイル基、ペルフルオロブタンジイル基、ペンタンジイル基、ペルフルオロペンタンジイル基、ジクロロメチレン基及びジブロモメチレン基などが挙げられる。
ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を有していてもよい2価の環式脂肪族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の該脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサンジイル基、ペルフルオロシクロヘキサンジイル基、ペルクロロシクロヘキサンジイル基などが挙げられる。多環式の2価の該脂肪族炭化水素基としては、アダマンタンジイル基、ノルボルナンジイル基、ペルフルオロアダマンタンジイル基などが挙げられる。
【0021】
R
2の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基が置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシ基含有炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH
2)
j1−O−CO−R
c1基(式中、R
c1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j1は、0〜4の整数を表す。)などが挙げられる。
【0022】
式(I)において、A
1は、エチレン基が好ましい。
A
2の脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜6が好ましく、2〜3がさらに好ましい。
R
2が置換基を有していてもよいシクロプロピル基のとき、A
3はメチレン基が好ましい。
R
2が置換基を有していてもよいシクロペンチル基のとき、A
3は単結合が好ましい。
X
1は、*−CO−O−(*は、A
2との結合手を表す。)が好ましい。
【0023】
化合物(I)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0024】
上記の化合物において、R
1に相当するメチル基が水素原子に置き換わった化合物も、化合物(I)の具体例として挙げることができる。
【0025】
化合物(I)のうち、X
1が*−CO−O−(*はA
2との結合手を表す。)である化合物(IB)は、例えば、化合物(IB−a)と、化合物(IB−b)とを、縮合剤の存在下、溶媒中で反応させることにより、製造することができる。以下の式において、符号の定義は上記と同じである。溶媒としては、テトラヒドロフランなどが挙げられる。縮合剤としては、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩などが挙げられる。
【0026】
化合物(IB−a)としては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
化合物(IB−b)は、例えば、化合物(IB−c)と化合物(IB−d)及び化合物(IB−e)とを、溶媒中で反応させることにより、製造することができる。溶媒としては、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
化合物(IB−c)としては、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタン二酸無水物及びテトラフルオロこはく酸無水物などが挙げられる。
化合物(IB−d)としては、以下で表される化合物などが挙げられる。
化合物(IB−e)、すなわちピリジンの代わりに、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン及びN−メチルピロリジンなどを用いても同様に反応を行うことができる。
【0027】
〈レジスト組成物〉
本発明のレジスト組成物は、
(A)樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある。)及び
(B)酸発生剤(以下「酸発生剤(B)」という場合がある。)を含有する。
ここで、樹脂(A)は以下の樹脂を含む。
(A1)上述した式(I)で表される化合物に由来する構造単位を有する樹脂(以下「樹脂(A1)」という場合がある。)及び
(A2)酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂(以下「樹脂(A2)」という場合がある。)。
本発明のレジスト組成物は、さらに溶剤(D)を含有していることが好ましい。
また、本発明のレジスト組成物は、さらに塩基性化合物(C)を含有していることが好ましい。
【0028】
〈樹脂(A)〉
樹脂(A)は、樹脂(A1)及び(A2)を含み、さらに、樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂を含んでいてもよい。
【0029】
〈樹脂(A1)〉
本発明の樹脂である樹脂(A1)は、式(I)で表される化合物に由来する構造単位(以下「構造単位(I)」という場合がある)を有する。
また、樹脂(A1)は、構造単位(I)とは異なる構造単位を有していてもよい。
構造単位(I)とは異なる構造単位としては、後述する酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位、後述する酸安定モノマーに由来する構造単位、式(III−1)で表される構造単位、式(III−2)で表される構造単位、及び当該分野で用いられる公知のモノマーに由来する構造単位等が挙げられる。好ましくは式(III−1)で表される構造単位(以下「構造単位(III−1)」という場合がある。)及び/又は式(III−2)で表される構造単位(以下「構造単位(III−2)」という場合がある。)である。
【0030】
[式(III−1)中、
R
11は、水素原子又はメチル基を表す。
A
11は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
R
12は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]
[式(III−2)中、
R
21は、水素原子又はメチル基を表す。
環W
2は、炭素数6〜10の炭化水素環を表す。
A
22は、−O−、
*−CO−O−又は
*−O−CO−(
*は環W
2との結合手を表す)を表す。
R
22は、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0031】
A
11のアルカンジイル基としては、式(I)のA
1と同様の基が挙げられる。
【0032】
R
12のフッ素原子を有する炭化水素基としては、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有する脂環式炭化水素基等が挙げられる。
フッ素原子を有するアルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基及びペルフルオロヘキシル基等のフッ化アルキル基が挙げられる。
【0033】
フッ素原子を有する脂環式炭化水素基としては、好ましくは、フッ素原子を有する脂環式飽和炭化水素であり、例えば、ペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロアダマンチル基等が挙げられる。
【0034】
環W
2の炭化水素環としては、例えば、脂環式炭化水素環が挙げられ、好ましくは、飽和の脂環式炭化水素環である。なかでも、アダマンタン環又はシクロヘキサン環が好ましく、アダマンタン環がより好ましい。
【0035】
構造単位(III−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0037】
上記の構造単位において、R
11に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(III−1)の具体例として挙げることができる。
【0038】
式(III−2)で表される構造単位としては、以下で表される構造単位が好ましい。
上記の構造単位において、R
21に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(III−2)の具体例として挙げることができる。
【0039】
樹脂(A1)中の構造単位(I)の含有量は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、5〜100モル%の範囲が好ましく、10〜100モル%の範囲がより好ましい。
樹脂(A1)が構造単位(III−1)及び/又は構造単位(III−2)を含有する場合、これらの合計含有量は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、1〜95モル%が好ましく、2〜80モル%がより好ましく、5〜70モル%がさらに好ましい。
なお、構造単位(III−1):構造単位(III−2)は、例えば、0:100〜100:0(モル比)が挙げられ、3:97〜97:3が好ましく、50:50〜95:5がより好ましい。
【0040】
このような含有量で各構造単位を有する樹脂(A1)は、樹脂(A1)の製造に用いるモノマーの総量に対して、用いる各モノマーを上記のモル比率で使用することにより製造することができる。
樹脂(A1)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、これら構造単位を誘導するモノマーを用いて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
【0041】
樹脂(A1)の重量平均分子量は、好ましくは、5,000以上(より好ましくは7,000以上)、80,000以下(より好ましくは60,000以下)である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものであり、分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で詳述する。
【0042】
〈樹脂(A2)〉
樹脂(A2)は、酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する。ここで、「酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する」とは、酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にアルカリ水溶液に可溶となることを意味する。
樹脂(A2)は、酸に不安定な基(以下「酸不安定基」という場合がある。)を有するモノマー(a1)(以下「酸不安定モノマー(a1)」という場合がある)の1種又は2種以上を重合することによって得ることができる。また、樹脂(A2)は、上述した性質を備える限り、酸不安定基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある。)に由来する構造単位、当該分野で公知のモノマー、構造単位(I)、構造単位(III−1)及び構造単位(III−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
樹脂(A2)は、樹脂(A1)と互いに異なる別個の樹脂であってもよいし、式(I)で表される構造単位及び構造単位(III−1)及び構造単位(III−2)を有し、かつ酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂であってもよい。
【0043】
〈酸不安定モノマー(a1)〉
「酸に不安定な基」とは、脱離基を有し、酸と接触すると脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸不安定基としては、例えば、式(1)で表される基、式(2)で表される基などが挙げられる。
【0044】
[式(1)中、R
a1〜R
a3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、R
a1及びR
a2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]
[式(2)中、R
a1’及びR
a2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、R
a2’及びR
a3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成し、前記炭化水素基及び前記2価の炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O―又は―S−で置き換わってもよい。]
【0045】
R
a1〜R
a3の脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、該脂環式炭化水素基の炭素数は、アルキル基の炭素数も含めて20以下である。
単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。
アルキル基で置換された脂環式炭化水素基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基等が挙げられる。
式(1)においては、R
a1〜R
a3の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜16である。
【0046】
R
a1及びR
a2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合の−C(R
a1)(R
a2)(R
a3)としては、例えば、下記の基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜12である。*は−O−との結合手を表す。
【0047】
式(1)で表される基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、R
a1〜R
a3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、R
a1、R
a2及び炭素原子がアダマンチル基を形成し、R
a3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、R
a1及びR
a2がアルキル基であり、R
a3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0048】
R
a1’〜R
a3’の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
R
a2’及びR
a3’が互いに結合して形成する2価の炭化水素基としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0049】
式(2)においては、R
a1’及びR
a2’のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
式(2)で表される基の具体例としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0050】
酸不安定モノマー(a1)は、好ましくは、酸不安定基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマー、より好ましくは酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0051】
酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、好ましくは、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有する酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位を有する樹脂(A2)をレジスト組成物に使用すれば、レジストパターンの解像度を向上させることができる。
【0052】
酸不安定基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位として、好ましくは式(a1−1)で表される構造単位又は式(a1−2)で表される構造単位が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本明細書では、式(a1−1)で表される構造単位及び式(a1−2)で表される構造単位を、それぞれ構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)と、構造単位(a1−1)を誘導するモノマー及び構造単位(a1−2)を誘導するモノマーを、それぞれモノマー(a1−1)及びモノマー(a1−2)という場合がある。
【0053】
[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
L
a1及びL
a2は、それぞれ独立に、−O−又は
*−O−(CH
2)
k1−CO−O−を表し、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
R
a4及びR
a5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6及びR
a7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0054】
L
a1及びL
a2は、好ましくは、−O−又は
*−O−(CH
2)
k1−CO−O−であり、より好ましくは−O−である。k1は、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1である。
R
a4及びR
a5は、好ましくはメチル基である。
R
a6及びR
a7のアルキル基は、好ましくは炭素数6以下である。
R
a6及びR
a7の脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、該脂環式炭化水素基の炭素数は、アルキル基の炭素数も含めて18以下である。具体的には、式(1)のR
a1〜R
a3の脂環式炭化水素基と同様の基が挙げられる。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は好ましくは0又は1である。
【0055】
モノマー(a1−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、式(a1−1−1)〜式(a1−1−8)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましい。
【0056】
モノマー(a1−2)としては、例えば、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)で表されるモノマーが好ましく、式(a1−2−3)〜式(a1−2−4)又は式(a1−2−9)〜式(a1−2−10)で表されるモノマーがより好ましく、式(a1−2−3)又は式(a1−2−9)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0057】
樹脂(A2)が構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0058】
他の酸不安定モノマー(a1)としては、例えば、酸不安定基(2)を有する(メタ)アクリル系モノマーである式(a1−5)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−5)」という場合がある)を用いてもよい。
式(a1−5)中、
R
31は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
Z
1は、単結合又は*−[CH
2]
k1−CO−L
4−基を表す。ここで、k1は1〜4の整数を表す。*は、L
1との結合手を表す。
L
1、L
2、L
3及びL
4は、それぞれ独立に、−O−又は−S−を表す。
s1は、1〜3の整数を表す。
s1’は、0〜3の整数を表す。
【0059】
式(a1−5)においては、R
31は、水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基が好ましい。
L
1は、酸素原子が好ましい。
L
2及びL
3は、一方が酸素原子、他方が硫黄原子が好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
Z
1は、単結合又は*−CH
2−CO−O−が好ましい。
【0060】
モノマー(a1−5)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。
【0066】
樹脂(A2)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、1〜50モル%が好ましく、3〜45モル%がより好ましく、5〜40モル%がさらに好ましい。
【0067】
〈酸安定モノマー〉
酸安定モノマーとしては、好ましくは、ヒドロキシ基又はラクトン環を有するモノマーが挙げられる。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下「ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)」という場合がある)又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下「ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂を使用すれば、レジストパターンの解像度及び基板との密着性を向上させることができる。
【0068】
〈ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)〉
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV(超紫外光)などの高エネルギー線露光に用いる場合、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、ヒドロキシスチレン類であるフェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーを使用する。短波長のArFエキシマレーザ露光(193nm)などを用いる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、式(a2−1)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーを使用する。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーとして、式(a2−1)で表されるモノマーが挙げられる。
式(a2−1)中、
L
a3は、−O−又は
*−O−(CH
2)
k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
R
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a15及びR
a16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0070】
式(a2−1)では、L
a3は、好ましくは、−O−、−O−(CH
2)
f1−CO−O−であり(前記f1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
R
a14は、好ましくはメチル基である。
R
a15は、好ましくは水素原子である。
R
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0071】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a2−1−1)〜式(a2−1−6)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a2−1−1)〜式(a2−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a2−1−1)又は式(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0072】
樹脂(A2)が式(a2−1)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、通常3〜45モル%であり、好ましくは3〜40モル%であり、より好ましくは3〜35モル%である。
【0073】
〈ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)〉
酸安定モノマー(a3)が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、好ましくは、γ−ブチロラクトン環、又は、γ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が挙げられる。
【0074】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
式(a3−1)〜式(a3−3)中、
L
a4〜L
a6は、それぞれ独立に、−O−又は
*−O−(CH
2)
k3−CO−O−を表す。
k3は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
R
a18〜R
a20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a21は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
R
a22及びR
a23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。p1、q1又はr1が2以上のとき、それぞれ、複数のR
a21、R
a22又はR
a23は、同一又は相異なる。
【0076】
R
a21〜R
a23のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基等が挙げられる。
【0077】
式(a3−1)〜式(a3−3)では、L
a4〜L
a6は、それぞれ独立に、−O−又は
*−O−(CH
2)
k3−CO−O−であることが好ましく、より好ましくは−O−である。k3は、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
R
a18〜R
a21は、好ましくはメチル基である。
R
a22及びR
a23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1〜r1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0078】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)としては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a3−1−1)〜式(a3−1−4)、式(a3−2−1)〜式(a3−2−4)又は式(a3−3−1)〜式(a3−3−4)で表されるモノマーが好ましく、式(a3−1−1)〜式(a3−1−2)又は式(a3−2−3)〜式(a3−2−4)で表されるモノマーがより好ましく、式(a3−1−1)又は式(a3−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0081】
樹脂(A2)がラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位を含む場合、その合計含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、通常5〜70モル%であり、好ましくは10〜65モル%であり、より好ましくは10〜60モル%である。
【0082】
樹脂(A2)が、酸不安定モノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体である場合、酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜60モル%である。
アダマンチル基を有するモノマーに由来する構造単位(特に、構造単位(a1−1))の含有率は、好ましくは酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位の合計に対して15モル%以上である。アダマンチル基を有するモノマーに由来する構造単位の比率が増えると、レジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。
【0083】
樹脂(A2)は、好ましくは、酸不安定モノマー(a1)と、酸安定モノマーとの共重合体である。この共重合体において、酸不安定モノマー(a1)は、より好ましくはアダマンチル基を有するモノマー(a1−1)及びモノマー(a1−2)(好ましくはシクロヘキシル基又はシクロペンチル基を有する該モノマー)の少なくとも1種、さらに好ましくはモノマー(a1−1)である。また、酸安定モノマーは、好ましくは、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)及び/又はラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)である。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、好ましくはヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)であり、ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、より好ましくはγ−ブチロラクトン環を有する酸安定モノマー(a3−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定モノマー(a3−2)の少なくとも1種である。
【0084】
樹脂(A2)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、これら構造単位を誘導するモノマーを用いて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A2)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは15,000以下)である。
樹脂(A1)及び樹脂(A2)の含有比(質量比)は、例えば、0.01:10〜5:10、好ましくは0.05:10〜3:10、より好ましくは0.1:10〜2.5:10、特に好ましくは0.2:10〜2:10である。
【0085】
〈樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂〉
樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂としては、例えば、酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位、酸安定モノマーに由来する構造単位の他、当該分野で用いられる公知のモノマーに由来する構造単位からなる樹脂が挙げられる。
樹脂(A)が、樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂を含む場合、これらの含有率は、樹脂(A)の総量に対して、通常0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。
【0086】
樹脂(A)の含有率は、好ましくは、レジスト組成物の固形分中80質量%以上99質量%以下である。本明細書において「組成物中の固形分」とは、レジスト組成物の総量から溶剤(E)を除いた成分の合計量を意味する。組成物中の固形分及びこれに対する樹脂(A)の含有率は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0087】
〈酸発生剤(B)〉
酸発生剤(B)は、非イオン系とイオン系とに分類されるが、本発明のレジスト組成物においては、いずれを用いてもよい。非イオン系酸発生剤としては、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。イオン系酸発生剤としては、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)が挙げられる。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
【0088】
酸発生剤(B)としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用することができる。
【0089】
酸発生剤(B)は、好ましくはフッ素含有酸発生剤であり、より好ましくは式(B1)で表されるスルホン酸塩である。
【0090】
[式(B1)中、
Q
1及びQ
2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
L
b1は、単結合又は炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−SO
2−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
Z
+は、有機カチオンを表す。]
【0091】
Q
1及びQ
2のペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
Q
1及びQ
2は、それぞれ独立に、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0092】
L
b1の2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の脂環式飽和炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
直鎖状アルカンジイル基に、アルキル基(特に、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を有したもの、例えば、1−メチルブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0093】
L
b1の飽和炭化水素基に含まれる−CH
2−が−O−又は−CO−で置き換わった基としては、例えば、式(b1−1)〜式(b1−6)のいずれかで表される基が挙げられる。L
b1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで表される基、より好ましくは式(b1−1)又は式(b1−2)で表される基が挙げられる。なお、式(b1−1)〜式(b1−6)及びこれらの具体例では、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、左側でC(Q
1)(Q
2)−と結合し、右側で−Yと結合する。
【0094】
式(b1−1)〜式(b1−6)中、
L
b2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b3は、単結合又は炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b4は、炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。但しL
b3及びL
b4の炭素数上限は13である。
L
b5は、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b6及びL
b7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。但しL
b6及びL
b7の炭素数上限は16である。
L
b8は、炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b9及びL
b10は、それぞれ独立に、炭素数1〜11の2価の飽和炭化水素基を表す。但しL
b9及びL
b10の炭素数上限は12である。
中でも、好ましくは式(b1−1)で表される2価の基であり、より好ましくは、L
b2が単結合又は−CH
2−である式(b1−1)で表される2価の基である。
【0095】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0096】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0097】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0098】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0099】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0100】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0101】
Yのアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
Yの脂環式炭化水素基としては、例えば、式(Y1)〜(Y11)のいずれかで表される基が挙げられる。
Yの脂環式炭化水素基に含まれる−CH
2−が−O−、−SO
2−又は−CO−で置き換わった基としては、例えば、式(Y12)〜式(Y26)のいずれかで表される基が挙げられる。
【0103】
なかでも、Yの脂環式炭化水素基は、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である。
【0104】
Yのアルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は−(CH
2)
j2−O−CO−R
b1基(式中、R
b1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す。)などが挙げられる。
Yの脂環式炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシ基含有炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH
2)
j2−O−CO−R
b1基(式中、R
b1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す。)などが挙げられる。
【0105】
ヒドロキシ基含有アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基等のアリール基等が挙げられる。
【0106】
Yとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0107】
なお、Yがアルキル基であり、かつL
b1が炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基である場合、Yとの結合位置にある該2価の脂肪族炭化水素基の−CH
2−は、−O−又は−CO−で置き換わっていることが好ましい。この場合、Yのアルキル基に含まれる−CH
2−は、−O−又は−CO−で置き換わらない。
【0108】
Yは、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは置換基を有していてもよいアダマンチル基であり、さらに好ましくはアダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基又はオキソアダマンチル基である。
【0109】
式(B1)で表されるスルホン酸塩におけるスルホン酸アニオンとしては、好ましくは、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるアニオンが挙げられる。以下の式においては、符号の定義は上記と同じ意味であり、R
b2及びR
b3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、メチル基)を表す。
式(B1)で表されるスルホン酸塩におけるスルホン酸アニオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたアニオンが挙げられる。
【0111】
Z
+の有機カチオンは、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられ、好ましくは、有機スルホニウムカチオン又は有機ヨードニウムカチオンであり、より好ましくは、アリールスルホニウムカチオンである。
Z
+は、好ましくは式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表されるカチオンである。
【0113】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
R
b4〜R
b6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、この炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましい。前記アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、前記芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。また、R
b4とR
b5は、互いに結合して硫黄原子とともに環を形成してもよい。
R
b7及びR
b8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、m2が2以上のとき、複数のR
b7は同一又は相異なり、n2が2以上のとき、複数のR
b8は同一又は相異なる。
R
b9及びR
b10は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表すか、R
b9とR
b10とは、それらが結合する硫黄原子とともに互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成する。該環に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
R
b11は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
R
b11とR
b12は、それらが結合する−CH−CO−とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよい。該環に含まれる−CH
2−は、−O−、−S−又は−CO−に置き換わってもよい。
R
b12は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表し、該芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
【0114】
R
b13〜R
b18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
L
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上のとき、複数のR
b13は同一又は相異なり、p2が2以上のとき、複数のR
b14は同一又は相異なり、q2が2以上のとき、複数のR
b15は同一又は相異なり、r2が2以上のとき、複数のR
b16は同一又は相異なり、s2が2以上のとき、複数のR
b17は同一又は相異なり、t2が2以上のとき、複数のR
b18は、同一又は相異なる。
【0115】
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、該脂環式炭化水素基の炭素数は、アルキル基の炭素数も含めて20以下である。具体的には、式(1)のR
a1〜R
a3の脂環式炭化水素基と同様の基が挙げられる。
【0116】
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0117】
R
b9〜R
b12のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜12であり、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基などが好ましい。
R
b9〜R
b11の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12であり、特に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基などが好ましい。
R
b12の芳香族炭化水素基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基などが好ましい。
【0118】
R
b9とR
b10とが結合する硫黄原子とともに形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
R
b11とR
b12とが結合する−CH−CO−とともに形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0119】
カチオン(b2−1)〜カチオン(b2−4)の中でも、好ましくは、カチオン(b2−1)であり、より好ましくは、式(b2−1−1)で表されるカチオンであり、特に好ましくは、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0)、ジフェニルトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=0、x2=1であり、R
b21がメチル基である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、R
b19、R
b20及びR
b21がいずれもメチル基である。)である。
【0120】
式(b2−1−1)中、
R
b19〜R
b21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該アルキル基、アルコキシ基及び脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよい。また、R
b19〜R
b21から選ばれる2つが一緒になってヘテロ原子を有してもよい環を形成してもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のR
b19は同一又は相異なり、w2が2以上のとき、複数のR
b20は同一又は相異なり、x2が2以上のとき、複数のR
b21は同一又は相異なる。
なかでも、R
b19〜R
b21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0121】
式(b2−1−1)で表されるカチオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたカチオンが挙げられる。
【0122】
酸発生剤(B1)は、上述のスルホン酸アニオン及び有機カチオンの組合せである。上述のアニオンとカチオンとは任意に組み合わせることができ、好ましくは、アニオン(b1−1−1)〜アニオン(b1−1−9)のいずれかとカチオン(b2−1−1)との組合せ、並びにアニオン(b1−1−3)〜(b1−1−5)のいずれかとカチオン(b2−3)との組合せが挙げられる。
【0123】
酸発生剤(B1)としては、好ましくは、式(B1−1)〜式(B1−20)で表される塩が挙げられ、より好ましくは、トリフェニルスルホニウムカチオン又はトリトリルスルホニウムカチオンを含む塩が挙げられ、さらに好ましくは、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)又は式(B1−14)で表される塩が挙げられる。
【0128】
酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質量部以下)である。
本発明のレジストにおいては、酸発生剤(B)は、単独でも複数種の酸発生剤を含有していてもよい。
【0129】
<塩基性化合物(C)>
本明細書における「塩基性化合物」とは、酸を捕捉するという特性を有する化合物、特に、酸発生剤から発生する酸を捕捉するという特性を有する化合物を意味し、当該技術分野ではクエンチャーといわれている。
【0130】
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)は、好ましくは、式(C1)〜式(C8)のいずれかで表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物である。
【0131】
[式(C1)中、
R
c1、R
c2及びR
c3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0132】
[式(C1−1)中、
R
c2及びR
c3は、上記と同じ意味を表す。
R
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のR
c4は同一又は相異なる。]
【0133】
[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、
R
c5、R
c6、R
c7及びR
c8は、それぞれ独立に、R
c1と同じ意味を表す。
R
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR
c9は同一又は相異なる。]
【0134】
[式(C5)及び式(C6)中、
R
c10、R
c11、R
c12、R
c13及びR
c16は、それぞれ独立に、R
c1と同じ意味を表す。
R
c14、R
c15及びR
c17は、それぞれ独立に、R
c4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のR
c14は同一又は相異なり、p3が2以上であるとき、複数のR
c15は、同一又は相異なる。
L
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0135】
[式(C7)及び式(C8)中、
R
c18、R
c19及びR
c20は、それぞれ独立に、R
c4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のR
c18は同一又は相異なり、r3が2以上であるとき、複数のR
c19は同一又は相異なり、及びs3が2以上であるとき、複数のR
c20は同一又は相異なる。
L
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0136】
式(C1)〜式(C8)においては、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アルカンジイル基は、上述したものと同様のものが挙げられる。
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0137】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0138】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジン等が挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられる。
【0139】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0140】
塩基性化合物(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分中、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0141】
〈その他の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
【0142】
<レジスト組成物の調製>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)、酸発生剤(B)、並びに必要に応じて用いられる溶剤(E)、塩基性化合物(C)及びその他の成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂などの種類や樹脂等の溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0143】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含む。
【0144】
レジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーター等、通常、用いられる装置によって行うことができる。
【0145】
塗布後の組成物を乾燥することにより、溶剤を除去し、組成物層を形成する。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させること(いわゆるプリベーク)により行うか、あるいは減圧装置を用いて行い、溶剤が除去された組成物層を形成する。この場合の温度は、例えば、50〜200℃程度が好ましい。また、圧力は、1〜1.0×10
5Pa程度が好ましい。
【0146】
得られた組成物層を露光する。露光は、通常、露光機を用いて行われ、液浸露光機を用いてもよい。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F
2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線(EB)やEUVを照射するもの等、種々のものを用いることができる。
【0147】
露光後の組成物層を、脱保護基反応を促進するために加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)する。加熱温度としては、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
加熱後の組成物層を、現像装置を用いて、通常、アルカリ現像液を利用して現像する。
ここで用いられるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水でリンスし、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0148】
〈用途〉
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線露光用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物、特に液浸露光用のレジスト組成物として好適であり、半導体の微細加工に有用である。
【実施例】
【0149】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。
以下の実施例において、化合物の構造は、質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型)を用いて確認した。重量平均分子量は、下記の分析条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
装置:HLC−8120GPC型(東ソー社製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0150】
実施例1:〔式(I−1)で表される化合物の合成〕
式(I1−a)で表される化合物25部及びテトラヒドロフラン25部を仕込み、23℃で30分間攪拌混合した後、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(I1−b)で表される化合物8.5部、ピリジン11.2部及びテトラヒドロフラン25部の混合溶液を、1時間かけて添加し、更に、25℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物に、酢酸エチル190部及びイオン交換水50部を添加攪拌後、分液して有機層を回収した。回収された有機層を濃縮した後、得られた濃縮物に、n−ヘプタン150部を添加攪拌後、上澄み液を除去した後、濃縮することにより、式(I1−c)で表される化合物28.7部を得た。得られた式(I1−c)で表される化合物19.8部、テトラヒドロフラン90部、式(I1−e)で表される化合物10.3部及びピリジン5.0部を仕込み、23℃で30分間攪拌混合した後、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に式(I1−d)で表される化合物(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)15.2部を添加し、23℃で18時間攪拌した。得られた反応溶液に、n−ヘプタン450部及び5%塩酸水溶液47部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより回収された有機層に、10%炭酸カリウム水溶液37部を加え、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を洗浄した。このような洗浄操作を2回繰り返した。洗浄後の有機層に、イオン交換水120部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。水洗後の有機層を濃縮することにより、式(I−1)で表される化合物20.1部を得た。
MS(質量分析):406.1(分子イオンピーク)
【0151】
実施例2:〔式(I−7)で表される化合物の合成〕
式(I1−a)で表される化合物25部及びテトラヒドロフラン25部を仕込み、23℃で30分間攪拌混合した後、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(I7−b)で表される化合物10.2部、ピリジン11.2部及びテトラヒドロフラン30部の混合溶液を、1時間かけて添加し、更に、25℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物に、酢酸エチル200部及びイオン交換水50部を添加攪拌後、分液して有機層を回収した。回収された有機層を濃縮した後、得られた濃縮物に、n−ヘプタン500部を添加攪拌後、ろ過することにより、式(I7−c)で表される化合物40.18部を得た。得られた式(I7−c)で表される化合物35.21部、テトラヒドロフラン160部、式(I1−e)で表される化合物22.8部及びピリジン8.3部を仕込み、23℃で30分間攪拌混合した後、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に式(I1−d)で表される化合物(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)33.6部及びクロロホルム140部を添加し、23℃で18時間攪拌した。得られた反応溶液に、n−ヘプタン850部及び5%塩酸水溶液77部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより回収された有機層に、10%炭酸カリウム水溶液61部を加え、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を洗浄した。このような洗浄操作を2回繰り返した。洗浄後の有機層に、イオン交換水230部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。水洗後の有機層を濃縮することにより、式(I−7)で表される化合物31.5部を得た。
MS(質量分析):420.1(分子イオンピーク)
【0152】
実施例3:〔式(I−10)で表される化合物の合成〕
式(I10−a)で表される化合物19.4部及びテトラヒドロフラン19.4部を仕込み、23℃で30分間攪拌混合した後、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(I10−b)で表される化合物8.5部、ピリジン11.2部及びテトラヒドロフラン25部の混合溶液を、1時間かけて添加し、更に、25℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物に、酢酸エチル190部及びイオン交換水50部を添加攪拌後、分液して有機層を回収した。回収された有機層を濃縮した後、得られた濃縮物に、n−ヘプタン150部を添加攪拌後、上澄み液を除去した後、濃縮することにより、式(I10−c)で表される化合物22.2部を得た。得られた式(I10−c)で表される化合物17.1部、テトラヒドロフラン80部、式(I10−e)で表される化合物10.3部及びピリジン5.0部を仕込み、23℃で30分間攪拌混合した後、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に式(I10−d)で表される化合物(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)15.2部を添加し、23℃で18時間攪拌した。得られた反応溶液に、n−ヘプタン450部及び5%塩酸水溶液47部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより回収された有機層に、10%炭酸カリウム水溶液40部を加え、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を洗浄した。このような洗浄操作を2回繰り返した。洗浄後の有機層に、イオン交換水100部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。水洗後の有機層を濃縮することにより、式(I−10)で表される化合物14.5部を得た。
MS(質量分析):356.1(分子イオンピーク)
【0153】
実施例4:〔式(I−9)で表される化合物の合成〕
式(I9−a)で表される化合物19.4部及びテトラヒドロフラン19.4部を仕込み、23℃で30分間攪拌混合した後、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(I9−b)で表される化合物10.2部、ピリジン11.2部及びテトラヒドロフラン30部の混合溶液を、1時間かけて添加し、更に、25℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物に、酢酸エチル200部及びイオン交換水50部を添加攪拌後、分液して有機層を回収した。回収された有機層を濃縮した後、得られた濃縮物に、n−ヘプタン500部を添加攪拌後、ろ過することにより、式(I9−c)で表される化合物34.83部を得た。得られた式(I9−c)で表される化合物30.7部、テトラヒドロフラン150部、式(I9−e)で表される化合物22.8部及びピリジン8.3部を仕込み、23℃で30分間攪拌混合した後、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に式(I9−d)で表される化合物(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)33.6部及びクロロホルム140部を添加し、23℃で18時間攪拌した。得られた反応溶液に、n−ヘプタン850部及び5%塩酸水溶液77部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより回収された有機層に、10%炭酸カリウム水溶液61部を加え、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を洗浄した。このような洗浄操作を2回繰り返した。洗浄後の有機層に、イオン交換水230部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。水洗後の有機層を濃縮することにより、式(I−9)で表される化合物28.4部を得た。
MS(質量分析):370.1(分子イオンピーク)
【0154】
合成例1:〔式(III―1−4m)で表される化合物の合成〕
式(III―1−4m−b)で表される化合物88部、メチルイソブチルケトン620部及びピリジン61部を、23℃で30分間攪拌混合した後、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(III―1−4m−a)で表される化合物199部を、1時間かけて添加した後、更に、10℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物に、n−へプタン1450部及び2%塩酸水溶液700部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより回収された有機層に、2%塩酸水溶液340部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水360部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。回収された有機層に、10%炭酸カリウム水溶液440部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を回収した。このような洗浄操作を2回繰り返した。回収された有機層に、イオン交換水360部を仕込み、23℃で30分間攪拌、静置した後、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。回収された有機層を濃縮し式(III―1−4m)で表される化合物164部を得た。
MS(質量分析):276.0(分子イオンピーク)
【0155】
合成例2:〔式(III―1−6m)で表される化合物の合成〕
式(III−1−6m−b)で表される化合物10.00部、テトラヒドロフラン40部及びピリジン7.29部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(III−1−6m−a)で表される化合物33.08部を、1時間かけて添加し、更に、温度を上げ、23℃に到達した時点で、同温度で3時間攪拌した。得られた反応物に、酢酸エチル361.51部及び5%塩酸水溶液20.19部を加え、23℃で30分間攪拌した。攪拌、静置し、分液した。回収された有機層に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液81.42部を加え、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水90.38部を加え、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。この水洗操作を5回繰り返した。水洗後の有機層を濃縮し、式(III−1−6m)で表される化合物23.40部を得た。
MS(質量分析):326.0(分子イオンピーク)
【0156】
樹脂の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。
以下、これらの化合物をその式番号に応じて、「モノマー(a1−1−1)」などという。
【0157】
実施例5:〔樹脂A1−1の合成〕
モノマーとして、モノマー(I−1)を用い、全モノマー量の1.2質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して4.5mol%添加し、これらを60℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量3.9×10
4の樹脂A1−1を収率90%で得た。この樹脂A1−1は、以下の構造単位を有するものである。
【0158】
実施例6:〔樹脂A1−2の合成〕
モノマーとして、モノマー(I−7)を用い、全モノマー量の1.2質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して4.5mol%添加し、これらを60℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量2.6×10
4の樹脂A1−2を収率89%で得た。この樹脂A1−2は、以下の構造単位を有するものである。
【0159】
実施例7:〔樹脂A1−3の合成〕
モノマーとして、モノマー(III−1−6m)及びモノマー(I−1)を用い、そのモル比〔モノマー(III−1−6m):モノマー(I−1)〕が50:50となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して4.5mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量2.3×10
4の樹脂A1−3(共重合体)を収率82%で得た。この樹脂A1−3は、以下の構造単位を有するものである。
【0160】
実施例8:〔樹脂A1−4の合成〕
モノマーとして、モノマー(III−1−6m)及びモノマー(I−7)を用い、そのモル比〔モノマー(III−1−6m):モノマー(I−7)〕が50:50となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して4.5mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.9×10
4の樹脂A1−4(共重合体)を収率85%で得た。この樹脂A1−4は、以下の構造単位を有するものである。
【0161】
実施例9:〔樹脂A1−5の合成〕
モノマーとして、モノマー(III−2−1m)及びモノマー(I−1)を用い、そのモル比〔モノマー(III−2−1m):モノマー(I−1)〕が10:90となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して4.5mol%添加し、これらを70℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量2.2×10
4の樹脂A1−5(共重合体)を収率81%で得た。この樹脂A1−5は、以下の構造単位を有するものである。
【0162】
実施例10:〔樹脂A1−6の合成〕
モノマーとして、モノマー(III−2−1m)及びモノマー(I−7)を用い、そのモル比〔モノマー(III−2−1m):モノマー(I−7)〕が10:90となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して4.5mol%添加し、これらを70℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.8×10
4の樹脂A1−6(共重合体)を収率84%で得た。この樹脂A1−6は、以下の構造単位を有するものである。
【0163】
実施例11:〔樹脂A1−7の合成〕
モノマーとして、モノマー(I−10)を用い、全モノマー量の1.2質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して4.5mol%添加し、これらを60℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量3.6×10
4の樹脂A1−7を収率88%で得た。この樹脂A1−7は、以下の構造単位を有するものである。
【0164】
実施例12:〔樹脂A1−8の合成〕
モノマーとして、モノマー(I−9)を用い、全モノマー量の1.2質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して4.5mol%添加し、これらを60℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量2.9×10
4の樹脂A1−8を収率86%で得た。この樹脂A1−8は、以下の構造単位を有するものである。
【0165】
実施例13:〔樹脂A1−9の合成〕
モノマーとして、モノマー(III−1−4m)及びモノマー(I−9)を用い、そのモル比〔モノマー(III−1−4m):モノマー(I−9)〕が50:50となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して4.5mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量2.0×10
4の樹脂A1−9(共重合体)を収率82%で得た。この樹脂A1−9は、以下の構造単位を有するものである。
【0166】
合成例3〔樹脂A2−1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−2)、モノマー(a1−2−3)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(a3−2−3)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−2):モノマー(a1−2−3):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1):モノマー(a3−2−3)〕が30:14:6:30:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.2×10
3の樹脂A2−1(共重合体)を収率78%で得た。この樹脂A2−1は、以下の構造単位を有するものである。
【0167】
合成例4〔樹脂A2−2の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−2)、モノマー(a2−1−1)及びモノマー(a3−1−1)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−2):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1)〕が50:25:25となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを80℃で約8時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量9.2×10
3の樹脂A2−2(共重合体)を収率60%で得た。この樹脂A2−2は、以下の構造単位を有するものである。
【0168】
合成例5〔樹脂A2−3の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−2)、モノマー(a1−2−9)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(a3−2−3)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−2):モノマー(a1−2−9):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1):モノマー(a3−2−3)〕が、30:14:6:30:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.4×10
3の樹脂A2−3(共重合体)を収率85%で得た。この樹脂A2−3は、以下の構造単位を有するものである。
【0169】
合成例6〔樹脂A2−4の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−2)、モノマー(a1−2−9)、モノマー(a2−1−3)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(a3−2−3)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−2):モノマー(a1−2−9):モノマー(a2−1−3):モノマー(a3−1−1):モノマー(a3−2−3)〕が、35:15:3:20:27となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.8×10
3の樹脂A2−4(共重合体)を収率81%で得た。この樹脂A2−4は、以下の構造単位を有するものである。
【0170】
合成例7〔樹脂A2−5の合成〕
モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−9)、モノマー(a2−1−3)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(a3−2−3)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−9):モノマー(a2−1−3):モノマー(a3−1−1):モノマー(a3−2−3)〕が、35:15:3:20:27となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.9×10
3の樹脂A2−5(共重合体)を収率73%で得た。この樹脂A2−5は、以下の構造単位を有するものである。
【0171】
合成例8〔樹脂X1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−1)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(a2−1−1)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−1):モノマー(a3−1−1):モノマー(a2−1−1)〕が35:45:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.0mol%及び3.0mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.0×10
3の樹脂X1(共重合体)を収率75%で得た。この樹脂X1は、以下の構造単位を有するものである。
【0172】
合成例9〔樹脂X2の合成〕
モノマーとして、モノマー(u−A)及びモノマー(a1−1−1)を用い、そのモル比〔モノマー(u−A):モノマー(a1−1−1)〕が80:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.5mol%及び1.5mol%添加し、これらを70℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量2.8×10
4の樹脂X2(共重合体)を収率70%で得た。この樹脂X2は、以下の構造単位を有するものである。
【0173】
<レジスト組成物の調製>
表1に示す各成分を、表1に示す質量部で、以下に示す溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0174】
【表1】
【0175】
<樹脂>
上述した合成例で合成した樹脂A1−1〜A1−9、A2−1〜A2−4、X1〜X2
<酸発生剤>
B1:特開2010−152341号公報の実施例に従って合成
B2:WO2008/99869号の実施例及び、特開2010−26478の実施例に従って合成
B3:特開2005−221721の実施例に従って合成
【0176】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成工業(株)製)
【0177】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
2−ヘプタノン 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0178】
<欠陥評価>
12インチのシリコン製ウェハ(基板)に、レジスト組成物を、乾燥(プリベーク)後の膜厚が0.15μmとなるようにスピンコーターで塗布した。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表1のPB欄に示す温度で60秒間プリベークし、ウェハ上に組成物層を形成した。このようにして組成物層が形成されたウェハに、現像機[ACT−12;東京エレクトロン(株)製]を用いて、60秒間、水リンスを行った。
その後、欠陥検査装置[KLA−2360;KLAテンコール製]を用いて、ウェハ上の欠陥数を測定した。結果を表2に示す。
【0179】
<レジスト組成物の液浸露光評価>
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、レジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。
レジスト組成物が塗布されたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークして組成物層を形成した。このように組成物層が形成されたウェハに、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光]を用いて、45nmの1:1ラインアンドスペースパターンを形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて液浸露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0180】
<パターン倒れ評価(PCM)評価>
得られたレジストパターンにおいて、ラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1となる露光量を実効感度とした。
実効感度よりも高い露光量で形成されたラインパターンを観察し、ラインパターンの線幅が38nmより細くなっても倒れ又は剥がれによるパターン消失が観察されない場合を○、線幅が38nm以上では倒れ又は剥がれによるパターン消失が観察される場合を×とした。その結果を表2に示す。括弧内の数字は、パターン消失が観察されないレジストパターンの最小線幅(nm)を示す。
【0181】
【表2】
【0182】
<レジスト組成物の調製>
表3に示す各成分を、表3に示す質量部で、上記溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0183】
【表3】
【0184】
<ネガ型レジストパターンの製造>
12インチのシリコンウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の組成物層の膜厚が100nmとなるようにスピンコートした。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表3の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークして、シリコンウェハ上に組成物層を形成した。
組成物層が形成されたシリコンウェハに、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光照明]で、ラインアンドスペースパターン(ピッチ90nm/ライン45nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表3の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行った。次いで、このシリコンウェハ上の組成物層を、現像液として酢酸ブチル(東京化成工業(株)製)を用いて、23℃で20秒間ダイナミックディスペンス法によって現像を行うことにより、ネガ型レジストパターンを製造した。 得られたレジストパターンにおいて、ラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1になる露光量を実効感度とした。
【0185】
<パターン倒れ評価(PCM)評価>
得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、実効感度未満の露光量で形成されたラインパターンに倒れ又は剥がれによるパターン消失が観察されない場合を○、実効感度以上の露光量で形成されたラインパターンにも倒れ又は剥がれによるパターン消失が観察される場合を×とした。その結果を表4に示す。ラインパターンの線幅は露光量が少ないほど細くなり、上記パターン消失は起こりやすくなる。括弧内の数字は、パターン消失が観察されないレジストパターンの最小線幅(nm)を示す。
【0186】
<欠陥評価>
液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光照明]で、1:1ラインアンドスペースパターン(ピッチ80nm)を形成するためのマスクを用いて、得られるラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1になる露光量で露光する以外は、上記と同様の操作を行うことにより、ネガ型レジストパターンを製造した。
その後、欠陥検査装置[KLA−2360;KLAテンコール製]を用いて、ウェハ上のラインパターン上にある欠陥数(個)を測定した。その結果を表4に示す。
【0187】
【表4】