【実施例】
【0055】
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明をいかなる意味においても制限するものではない。
なお、以下の実施例および比較例において得られた銅張積層板を以下の方法により測定し、評価を行った。
【0056】
(1)銅箔接着性(銅箔ピール強度)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより1cm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔の接着性(ピール強度)を測定した。
【0057】
(2)ガラス転移温度(Tg)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の面方向の熱膨張特性を観察することにより評価した。
【0058】
(3)はんだ耐熱性
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、2atm(0.2MPa)の条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃又は300℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。
【0059】
(4)線熱膨張係数
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の面方向の30〜100℃の線熱膨張率を測定した。
【0060】
(5)難燃性
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した試験片を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
【0061】
(6)銅付き耐熱性(T-300)
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、300℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。
【0062】
(7)誘電特性(比誘電率及び誘電正接)
得られた銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、Hewllet・Packerd社製比誘電率測定装置(製品名:HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
【0063】
(8)ドリル加工性
ドリルに径0.105mm(ユニオンツールMV J676)を用い、回転数:160,000rpm、送り速度:0.8m/分、重ね枚数:1枚でドリル加工を行い、6000ヒットさせて評価基板を作製し、ドリル穴の内壁粗さを評価した。内壁粗さの評価は、無電解銅めっきを行い(めっき厚:15μm)、穴壁へのめっき染み込み長さの最大値を測定することにより評価した。
【0064】
製造例1:相容化樹脂(A−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、下記式(X)に示すビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名YX-4000、エポキシ当量;186):317.4g、下記式(XI)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製;商品名X−22−1821、水酸基当量;1,600):682.6g、トルエン:1000.0g、及びトリフェニルホスフィン:3.17gを投入した(反応の当量比はエポキシ基/水酸基=4.0である)。
次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、約120℃で反応を行い、1時間おきにサンプリングを行い中和滴定により酸価を測定した。5時間反応後に酸価が0mg/KOHになったことを確認し、室温に冷却して下記式(XII)に示す構造の分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(K−1)の溶液を得た。
【0065】
【化12】
【0066】
【化13】
(式中、R
2はプロピル基であり、pは平均して35〜40の数であり、フェノール性水酸基はメタ体とパラ体の混合である。)
【0067】
【化14】
(式中のR
2及びpは、式(XII)と同様である。)
【0068】
次いで、温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、上記の化合物(K−1)の溶液:800.0g(固形分:400.0g)と、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製;商品名Primaset BADCy):600.0gと、トルエン:600.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.06g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し相容化樹脂(A−1)の溶液を得た。この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率〔すなわち(b)成分の反応率〕が60%であった。また、約10.9分付近、及び8.0〜10.0分付近に出現する熱硬化性樹脂の生成物のピークが確認された。さらに、少量取り出した反応溶液を、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、イミノカーボネート基に起因する1700cm
-1付近のピーク、また、トリアジン環に起因する1560cm
-1付近、及び1380cm
-1付近の強いピークが確認でき、相容化樹脂(A−1)が製造されていることを確認した。
【0069】
製造例2:相容化樹脂(A−2)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、前記式(X)に示すビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名YX−4000、エポキシ当量;186):498.0g、下記式(XIII)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製;商品名X−22−1876、水酸基当量;375):502.0g、トルエン:1000.0g、及びトリフェニルホスフィン:4.98gを投入した(反応の当量比はエポキシ基/水酸基=2.0である)。
次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、約120℃で反応を行い、1時間おきにサンプリングを行い中和滴定により酸価を測定した。反応開始時に酸価は30mg/KOHであったが、2時間反応後に酸価が半分の15mg/KOHになったことを確認し、室温に冷却して下記式(XIV)に示す構造の分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(K−2)の溶液を得た。
【0070】
【化15】
(式中、qは平均して5〜10の数であり、フェノール性水酸基はメタ体とパラ体の混合である。)
【0071】
【化16】
(式中のqは、式(XIII)と同様であり、フェノール性水酸基はメタ体とパラ体の混合である。)
【0072】
次いで、温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、上記の化合物(K−2)の溶液:1000.0g(固形分:500.0g)と、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製;商品名Primaset BADCy):500.0gと、トルエン:500.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.02g添加し、約110℃で3時間反応を行った。その後、室温に冷却し相容化樹脂(A−2)の溶液を得た。この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率〔(b)成分の反応率〕が30%であった。また、約10.9分付近、及び8.0〜10.0分付近に出現する熱硬化性樹脂の生成物のピークが確認された。さらに、少量取り出した反応溶液を、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、イミノカーボネート基に起因する1700cm
-1付近のピーク、また、トリアジン環に起因する1560cm
-1付近、及び1380cm
-1付近の強いピークが確認でき、相容化樹脂(A−2)が製造されていることを確認した。
【0073】
製造例3:相容化樹脂(A−3)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、前記式(III)に示すナフトールアラルキル・クレゾール共重合型エポキシ樹脂(日本化薬社製;商品名NC−7000L、エポキシ当量;230):710.4gと、下記式(XV)に示すシロキサン樹脂(東レ・ダウコーニング社製;商品名BY16−799、水酸基当量;750):289.6gと、トルエン:1000.0g、及びトリフェニルホスフィン:3.55gを投入した(反応の当量比はエポキシ基/水酸基=8.0である)。
次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、約120℃で反応を行い、1時間おきにサンプリングを行い中和滴定により酸価を測定した。2時間反応後に酸価が0mg/KOHになったことを確認し、室温に冷却して分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(K−3)の溶液を得た。
【0074】
【化17】
(式中、rは平均して15〜20の数であり、フェノール性水酸基はメタ体とパラ体の混合である。)
【0075】
次いで、温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、上記の化合物(K−3)の溶液:1000.0g(固形分:500.0g)と、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製;商品名Primaset BADCy):500.0gと、トルエン:500.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.05g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し相容化樹脂(A−3)の溶液を得た。この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率〔(b)成分の反応率〕が50%であった。また、約10.9分付近、及び8.0〜10.0分付近に出現する熱硬化性樹脂の生成物のピークが確認された。さらに、少量取り出した反応溶液を、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、イミノカーボネート基に起因する1700cm
-1付近のピーク、また、トリアジン環に起因する1560cm
-1付近、及び1380cm
-1付近の強いピークが確認でき、相容化樹脂(A−3)が製造されていることを確認した。
【0076】
製造例4:相容化樹脂(A−4)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、下記式(XVI)に示すナフタレン型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名HP−4032、エポキシ当量;152):275.4gと、前記式(XI)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製;商品名X−22−1821、水酸基当量;1,600):724.6gと、トルエン:1000.0g、及びトリフェニルホスフィン:2.75gを投入した(反応の当量比はエポキシ基/水酸基=4.0である)。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、約120℃で反応を行い、1時間おきにサンプリングを行い中和滴定により酸化を測定した。反応開始時に酸価は11mg/KOHであったが、3時間反応後に酸価が3mg/KOHになったことを確認し、室温に冷却して分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(K−4)の溶液を得た。
【0077】
【化18】
【0078】
次いで、温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、上記の化合物(K−4)の溶液:800.0g(固形分:400.0g)と、フェノールノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製;商品名Primaset PT−15,質量平均分子量500〜1,000):600.0gと、トルエン:600.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.06g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し相容化樹脂(A−4)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.1分付近に出現する合成原料のノボラック型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のフェノールノボラック型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率〔(b)成分の反応率〕が37%であった。また、約10.9分付近、及び8.0〜10.0分付近に出現する熱硬化性樹脂の生成物のピークが確認された。さらに、少量取り出した反応溶液を、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、イミノカーボネート基に起因する1700cm
-1付近のピーク、また、トリアジン環に起因する1560cm
-1付近、及び1380cm
-1付近の強いピークが確認でき、相容化樹脂(A−4)が製造されていることを確認した。
【0079】
製造例5:相容化樹脂(A−5)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、下記式(XVII)に示すジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名HP−7200H、エポキシ当量;280):344.3gと、前記式(XI)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製;商品名X−22−1821、水酸基当量;1,600):655.7g、トルエン:1000.0g、及びトリフェニルホスフィン:3.44gを投入した(反応の当量比はエポキシ基/水酸基=3.0である)。
次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、約120℃で反応を行い、1時間おきにサンプリングを行い中和滴定により酸化を測定した。6時間反応後に酸価が0mg/KOHになったことを確認し、室温に冷却して分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(K−5)の溶液を得た。
【0080】
【化19】
(式中、wは1以上の数である)
【0081】
次いで、温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、上記の化合物(K−5)の溶液:400.0g(固形分:200.0g)と、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製;商品名Primaset BADCy):800.0gと、トルエン:800.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.10g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し相容化樹脂(A−5)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率〔(b)成分の反応率〕が65%であった。また、約10.9分付近、及び8.0〜10.0分付近に出現する熱硬化性樹脂の生成物のピークが確認された。さらに、少量取り出した反応溶液を、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、イミノカーボネート基に起因する1700cm
-1付近のピーク、また、トリアジン環に起因する1560cm
-1付近、及び1380cm
-1付近の強いピークが確認でき、相容化樹脂(A−5)が製造されていることを確認した。
【0082】
製造例6:トリメトキシシラン化合物により表面処理(湿式処理)された溶融シリカ(B−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、溶融シリカ(アドマテックス社製;商品名SO−25R):700.0gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル:1000.0gを配合し、攪拌しながらN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製;商品名KBM−573):7.0gを添加した。次いで80℃に昇温し、80℃で1時間反応を行い溶融シリカの表面処理(湿式処理)を行った後、室温に冷却し、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理(湿式処理)された溶融シリカ(B−1)の溶液を得た。
【0083】
比較製造例1:(樹脂(A−6):(b)成分の反応率18%)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製;商品名Primaset BADCy):600.0gと、前記の式(XI)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製;商品名X−22−1821、水酸基当量;1600):200.0gと、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名YX−4000、エポキシ当量;186):200.0gと、トルエン:1000.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.01g添加し、約110℃で1時間反応を行った。その後、室温に冷却し、樹脂(A−6)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率〔(b)成分の反応率〕が18%であった。また、この溶液は翌日結晶化により沈殿物が生じた。
【0084】
比較製造例2:(樹脂(A−7):(b)成分の反応率76%)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製;商品名Primaset BADCy):600.0g、前記の式(XI)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製;商品名X−22−1821、水酸基当量;1,600):200.0g、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名YX−4000、エポキシ当量;186):200.0g及びトルエン:1000.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.01g添加し、約120℃で6時間反応を行った。その後、室温に冷却し、樹脂(A−7)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率〔(b)成分の反応率〕が76%であった。
【0085】
比較製造例3:(樹脂(A−8):(b)成分の反応率53%、a2成分無)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製;商品名Primaset BADCy):600.0gと、前記の式(XI)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製;商品名X−22−1821、水酸基当量;1600):200.0gと、トルエン:800.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.01g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し、樹脂(A−8)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率〔(b)成分の反応率〕が53%であった。
【0086】
実施例1〜6、比較例1〜4
製造例1〜5により得られた(A)成分の相容化樹脂、又は比較製造例1〜3で得られた樹脂、製造例6又は商業的に入手した(B)成分、また必要により(C)成分、(D)成分、及び硬化促進剤に、希釈溶剤としてメチルエチルケトンを使用して、第1表及び第2表に示した配合割合(質量部)で混合して樹脂分60質量%の均一なワニスを得た。
次に、得られたワニスを厚さ0.2mmのSガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量60質量%のプリプレグを得た。
このプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力25kg/cm
2(2.5MPa)、温度185℃で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
このようにして得られた銅張積層板を用いて、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、ガラス転移温度、はんだ耐熱性、線膨張係数、難燃性、銅付き耐熱性(T-300)、比誘電率(1GHz)、誘電正接(1GHz)及びドリル加工性について前記の方法で測定・評価した。評価結果を第1表及び第2表に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
第1表及び第2表において、商業的に入手した(B)成分、任意に用いた(C)成分、(D)成分、硬化促進剤、比較例で用いたエポキシ樹脂及び溶融シリカは次の通りである。
【0090】
(B)成分
溶融シリカ(B−2):溶融シリカに対し1.0質量%のN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理された溶融シリカ(アドマテック社製;商品名SC−2050KNK,希釈溶剤;メチルイソブチルケトン)
溶融シリカ(B−3):溶融シリカに対し1.0質量%のN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理された溶融シリカ(アドマテック社製;商品名SC−2050HNK,希釈溶剤;シクロヘキサノン)
溶融シリカ(B−4):溶融シリカ(アドマテック社製;商品名SO−25R)
溶融シリカ(B−5):溶融シリカに対し1.0質量%の下記式(XVIII)に示しγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランにより表面処理された溶融シリカ(アドマテック社製;商品名SC1030−MJA、希釈溶剤;メチルエチルケトン)
【0091】
【化20】
【0092】
(C)無機充填剤(AlOOH):ベーマイト型水酸化アルミニウム(河合石灰社製;商品名BMT−3L、熱分解温度:400℃)
(D)無機難燃助剤(KG−1100):モリブデン酸亜鉛をタルクに担持した無機難燃助剤(シャーウィン・ウィリアムス社製;商品名 ケムガード1100)
硬化促進剤:ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液
比較例3で用いたエポキシ樹脂(YX−4000):ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名YX−4000、エポキシ当量;186)
【0093】
第2表において比較例1〜3は下記の理由により積層板の性能が評価できなかった。
比較例1:成形性が不良であり積層板を作製できなかった。
比較例2:樹脂が分離し、プリプレグ及び積層板を作製できなかった。
【0094】
第1表から明らかなように、本発明の実施例は、銅箔ピール強度、カラス転移温度(Tg)、はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性、銅付き耐熱性(T−300)、低誘電特性、低誘電正接性、ドリル加工性の全てに優れている。
一方、第2表から明らかなように、比較例は、銅箔ピール強度、カラス転移温度(Tg)、はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性、銅付き耐熱性(T−300)、低誘電特性、低誘電正接性、ドリル加工性の全てを満たすものは無く、いずれかの特性に劣っている。