特許第6163820号(P6163820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6163820
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】エッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-66259(P2013-66259)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-192322(P2014-192322A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
(72)【発明者】
【氏名】伊東 安曇
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−045534(JP,A)
【文献】 特表2002−510878(JP,A)
【文献】 特開2005−033168(JP,A)
【文献】 特開2006−186331(JP,A)
【文献】 特開2005−005728(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0287633(US,A1)
【文献】 特開2004−022974(JP,A)
【文献】 特開2006−210774(JP,A)
【文献】 特開2004−186610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/461
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードマスク層を介して、ストッパー層の上部に形成された低誘電率絶縁膜を、エッチ
ングガスを用いて、エッチングする方法において、前記エッチングガスが、式(1):C
xHyClz(式中、xは1〜3、yは2x+2−z以下、zは4−x以下)で表される
化合物であり、前記ハードマスク層が金属膜であり、前記低誘電率絶縁膜が有機シロキサン膜であることを特徴とするエッチング方法。
【請求項2】
前記エッチングガスが、飽和塩素化炭化水素化合物である請求項1に記載のエッチング
方法。
【請求項3】
前記エッチングガスが、鎖状飽和塩素化炭化水素化合物である請求項1又は2に記載の
エッチング方法。
【請求項4】
前記エッチングガスが、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、及びキセノンから
なる群より選択される0族ガスを、1種以上さらに含むことを特徴とする請求項1〜3の
いずれかに記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記エッチングガスが、窒素ガスをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれ
かに記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記金属膜が、窒化タンタル、窒化チタン、酸窒化タンタル、酸窒化チタン、窒化アル
ミニウム、及び酸窒化アルミニウムからなる群から選択される物質よりなる金属膜を、1
種以上含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記ストッパー層が、炭化物系絶縁膜又は窒化物系絶縁膜であることを特徴とする請求
項1〜6のいずれかに記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記炭化物系絶縁膜又は窒化物系絶縁膜が、炭化シリコン、炭窒化シリコン、窒化ホウ
素、及び窒化シリコンからなる群から選択される物質を、1種以上含むことを特徴とする請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記有機シロキサン膜が、多孔質有機シロキサン膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空プロセスを用いたCVD法やスピンコーター等を用いた塗布法によって形成される有機シロキサンからなるものを含んで構成される低誘電率絶縁膜に、特定のエッチングガスを用いて、トレンチ及びビアを形成するプラズマエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では半導体構造の微細化が進行することに伴い、配線内を伝導する信号の遅延である配線遅延の増大が問題となっている。この配線遅延を減少させる方法として、酸化シリコン構造の一部に低極性の有機基を導入して比誘電率を下げた有機シロキサンや有機シロキサンを多孔質化させて空気を導入し、更に比誘電率を下げた多孔質有機シロキサンが、トレンチ及びビアなどの配線間に充填される絶縁膜の形成材料として用いられている。
【0003】
上記有機シロキサンや多孔質有機シロキサンからなる絶縁膜は、プラズマエッチング中に一部の有機基が選択的にエッチングされ、酸化シリコン膜のように変質したダメージ層を形成することが知られている。このダメージ層は有機シロキサンや多孔質有機シロキサンからなる絶縁膜より比誘電率が高く、電気特性が劣化してしまう。そこで、プラズマエッチング中にダメージを与えることなくプラズマエッチングする方法として、例えば、特許文献1には、一般式CaFbXcで表されるフッ素化炭化水素化合物系のガス、又はCをエッチングガスとして用い、特定の範囲のエッチングガスの圧力、及び高周波電力でエッチングする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−071223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術のもと、本発明者は、特許文献1に記載のCaFbXcで表されるフッ素化炭化水素化合物、又はCをエッチングガスとして用いて、ハードマスク層を介して、ストッパー層の上部に形成された低誘電率絶縁膜をエッチングしたところ、ストッパー層のエッチング量が多くなること、また、低誘電率絶縁膜に形成されるトレンチ及びビアの形状が良好でなく、側壁のダメージが大きくなることを確認した。
【0006】
そして、本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塩素原子を有する式(1):CxHyClz(式中、xは1〜3、yは2x+2−z以下、zは4−x以下)で表される化合物を用いると、ストッパー層のエッチング量が少なく、低誘電率絶縁膜のダメージ量が少ない、良好なトレンチ及びビア形状が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かくして本発明によれば、式(1):CxHyClz(式中、xは1〜3、yは2x+2−z以下、zは4−x以下)で表される化合物であることを特徴とするエッチング方法の発明が提供される。
前記エッチングガスは、飽和塩素化炭化水素化合物であることが好ましく、鎖状飽和塩素化炭化水素化合物であることがより好ましい。
前記エッチングガスは、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、及びキセノンからなる群より選択される少なくとも1種の0族ガスを含むことがより好ましい。
前記エッチングガスは、窒素ガスをさらに含むことが好ましい。
前記ハードマスク層は、金属膜であることが好ましく、窒化タンタル、窒化チタン、酸窒化タンタル、酸窒化チタン、窒化アルミニウム、及び酸窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属膜を含むことがより好ましい。
前記ストッパー層は、炭化物系絶縁膜又は窒化物系絶縁膜であることが好ましく、炭化シリコン、炭窒化シリコン、窒化ホウ素、及び窒化シリコンからなる群から選択される少なくとも1種の炭化物系絶縁物又は窒化物系絶縁物を含むことがより好ましい。
前記低誘電率絶縁膜は、有機シロキサン膜からなるものであることが好ましく、多孔質有機シロキサン膜からなるものであることがより好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハードマスク層を介して、ストッパー層の上部に形成された低誘電率絶縁膜をエッチングする際に、ストッパー層のエッチング量が少なく、低誘電率絶縁膜に形成されるトレンチ及びビア側壁のダメージ量が少ない、形状が良好なトレンチ及びビアを形成するエッチングを行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のエッチング方法は、ハードマスク層を介して、ストッパー層の上部に形成された低誘電率絶縁膜を、エッチングガスを用いて、エッチングする方法において、前記エッチングガスが、式(1):CxHyClz(式中、xは1〜3、yは2x+2−z以下、zは4−x以下)で表される化合物であることを特徴とする。
【0010】
本発明のエッチング方法において、「エッチング」とは、半導体製造装置の製造工程等で用いられる被処理体に、極めて高集積化された微細パターンを食刻する技術をいう。また、エッチングの1例として、プラズマエッチングがある。ここで、「プラズマエッチング」とは、エッチングガス(反応性プラズマガス)に高周波の電場を印加してグロー放電を起こさせ、気体化合物を化学的に活性なイオンやラジカルに分離させて、その化学反応を利用してエッチングを行うことをいう。
【0011】
本発明における被処理体は、ハードマスク層を介して、ストッパー層の上部に形成された低誘電率絶縁膜である。前記低誘電率絶縁膜は、有機シロキサン膜からなるものであることが好ましく、多孔質有機シロキサン膜からなるものであることがより好ましい。
【0012】
有機シロキサン膜の例としては、MSQ(Methylsilsesquioxane)、HSQ(Hydogensilsesquioxane)などSiOC系材料などが用いられ、これら材料の多孔質材料を用いることもできる。
これら有機シロキサン膜は、スピンコートやCVD(Chemical Vapor Deposition)などの方法で膜形成されるが、これらの以外の方法で形成した膜を用いてもよい。
【0013】
より具体的にSiOC系材料としては、商品名「Black Diamond」;APPLIED MATERIALS社製、商品名「SILK−E−CAP(登録商標)」;Dow Chemical社製、商品名「FLARE」;Honeywell Electronic Materials社製、商品名「HOSP」;Honeywell Electronic Materials社製、商品名「OCD(登録商標) T−31」;東京応化工業社製、商品名「HSG(登録商標)−RZ25」;日立化成工業社製、商品名「JSR LKD(登録商標)−T400」;JSR社製などが挙げられる。
【0014】
本発明においてハードマスク層は、金属膜が用いられることが好ましく、窒化タンタル、窒化チタン、酸窒化タンタル、酸窒化チタン、窒化アルミニウム、及び酸窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属膜を含むことがより好ましい。パターニング、残渣の除去の容易さから、特に窒化チタン膜が好ましい。
【0015】
また、ストッパー層には、その上部に形成される低誘電率絶縁膜とのエッチング選択比が大きい物質である炭化物系絶縁物又は窒化物系絶縁物が用いられることが好ましく、炭化シリコン、炭窒化シリコン、窒化ホウ素、及び窒化シリコンからなる群から選択される少なくとも1種の炭化物系絶縁物又は窒化物系絶縁物を含むことがより好ましい。選択比の大きさから、特に炭窒化シリコンが好ましい。
【0016】
本発明において、前記式(1)で表される化合物は、炭素数1、2又は3の炭化水素であって、その水素原子の一部が塩素原子に置換された分子中に少なくとも1つの水素原子を有するものである。前記式(1)で表される化合物は、鎖状又は環状のいずれであっても良く、また飽和又は不飽和化合物のいずれであっても良い。
【0017】
前記式(1)で表される化合物としては、例えば、CHCl、CCl、CCl、CHCl、CCl、及びCHClなどの直鎖飽和塩素化炭化水素類;CClの環状飽和塩素化炭化水素類;CCl、CCl、及びCClなどの直鎖不飽和塩素化炭化水素類;CClの環状不飽和塩素化炭化水素類;などが挙げられる。
これらの中でも、直鎖飽和塩素化炭化水素化合物が著効を示す。また、炭素数は2又は3が好ましく、炭素数が3であるのが特に好ましい。塩素数は2又は1が好ましく、塩素数が1であるのが特に好ましい。
【0018】
これらの前記式(1)で表される化合物は一種単独で、又は二種以上を混合して用いることができるが、本発明の効果がより顕著に表れることから一種単独で用いることが好ましい。
【0019】
本発明に用いる前記式(1)で表される化合物の多くは公知物質であり、公知の製造方法により製造し、入手することができる。また、本発明においては、前記式(1)で表される化合物の粗製物として、これらの前記式(1)で表される化合物として市販されているものをそのままで、あるいは所望により精製した後に用いることもできる。
【0020】
本発明に用いる前記式(1)で表される化合物は、任意の容器、例えば、従来の半導体用ガスと同様にシリンダー等の容器に充填されて、後述するエッチングに用いられる。
【0021】
前記式(1)で表される化合物の純度が低すぎると、ガスを充填した容器内において、ガス純度(前記式(1)の含有量)の偏りを生じる場合がある。具体的には、使用初期段階と残量が少なくなった段階とでのガス純度が大きく異なることがある。
このような場合、ドライエッチングを行った際に、使用初期段階と、残量が少なくなった段階でそれぞれのガスを使用したときの性能に大きな差が生じ、工場の生産ラインにおいては歩留まりの低下を招くおそれがある。このため、通常、容器に充填されたガスは全量が使われることはない。しかし、純度を向上させることにより、容器内のガス純度の偏りを減らし、使用初期段階と残量が少なくなった段階とでのガスを使用したときのエッチング性能の差を小さくすることで、ガスの無駄をより少なくすることが可能になる。この観点から、本発明に用いる前記式(1)で表される化合物は、高純度であることが好ましい。高純度であることにより、本発明の効果がより一層向上する。
【0022】
本発明に用いるエッチングガスは、前記式(1)で表される化合物に加えて、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、及びキセノンからなる群から選ばれる少なくとも1種の0族ガスを含むことが好ましい。入手の容易さから、ヘリウム又はアルゴンがより好ましい。
【0023】
本発明においては、エッチングガスは、さらに、窒素ガスを含むことが好ましい。窒素ガスを併用することにより、トレンチ及びビア底面における反応物の堆積等が原因と考えられるエッチングの停止を防止することができる。
【0024】
また、本発明のエッチングガスには、酸素ガス、一酸化酸素ガス、及び二酸化炭素ガスなどの酸素含有化合物を含ませることができる。
【0025】
エッチングガスの導入速度は、前記式(1)で表される化合物が1〜100sccmとなることが好ましく、5〜50sccmとなることがより好ましく、0族ガスが0〜1000sccmとなることが好ましく、5〜400sccmとなることがより好ましく、窒素が0〜400sccmとなることが好ましく、5〜300sccmとなることがより好ましく、酸素含有化合物が0〜40sccmとなることが好ましく、0〜30sccmとなることがより好ましい。
【0026】
本発明のエッチングガスは、特に限定されるものではなく、上述したガス以外もエッチングガスとして一般的に用いられるガスを併用することができるが、その量は前記式(1)で表される化合物に対する容量比で0.5以下とすることが好ましい。特に、フッ素原子を含有するガスは、トレンチ及びビア側壁のダメージ量が多くなるおそれがあることから、前記式(1)で表される化合物に対する容量比で0.1以下が好ましく、0であるのが特に好ましい。
【0027】
エッチングガスが導入された処理室内の圧力は、通常0.0013〜1300Pa、好ましくは0.13〜13Paである。
【0028】
次に、プラズマ発生装置により、処理室内の前記式(1)で表される化合物に高周波の電場を印加してグロー放電を起こさせ、プラズマを発生させる。
【0029】
プラズマ発生装置としては、ヘリコン波方式、高周波誘導方式、平行平板タイプ、マグネトロン方式及びマイクロ波方式等の装置が挙げられる。
【0030】
プラズマ密度は、特に限定されない。本発明の効果をより良好に発現させる観点から、プラズマ密度は、好ましくは1011cm−3以上、より好ましくは1012〜1013cm−3の高密度プラズマ雰囲気下でエッチングを行うのが望ましい。
【0031】
エッチング時における被処理基板の到達温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは0〜300℃、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは0〜80℃の範囲である。基板の温度は冷却等により制御しても、制御しなくてもよい。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の限定されるものではない。
【0033】
エッチング条件は以下の通りである。
処理圧力:2Pa
上部電極の高周波電源(60MHz)の電力:800W
下部電極の高周波電源(2MHz)の電力:600W
アルゴン流量:200sccm
窒素流量:200sccm
前記式(1)で表される化合物流量:10sccm
電極温度:0℃
【0034】
平行平板型プラズマエッチング装置のエッチングチャンバー内に、シリコン基板上に下からストッパー層として炭窒化シリコン膜(SiCN:36nm)、低誘電率絶縁膜として多孔質有機シロキサン膜(SiOC:116nm)、ハードマスク層として窒化チタン膜(TiN:25nm)が積層され、窒化チタン膜上にトレンチ及びビアパターンがパターニングされた基板をセットし、系内を真空にした後、上記条件のプラズマエッチングガスを導入した。上記条件の通り、系内の圧力を2Paに維持し、上部電極の高周波電源の電力800W、下部電極の高周波電源の電力600Wでプラズマを印加し、本発明のエッチング方法によって50%オーバーエッチング時間でエッチングを行なった。そして、エッチングにより形成されたトレンチ及びビアを走査型電子顕微鏡で観察し、ストッパー層であるSiCNのエッチング量、及び低誘電率絶縁膜であるSiOCに形成されたトレンチ及びビア形状を評価した。
【0035】
また、エッチングによるSiOCのダメージ量については、文献Japanese Journal of Applied Physics Vol.44,No.5A,2005,pp.2976−2981の方法を参考にした。即ち、上述したエッチング方法により、トレンチ及びビア形状評価で得られた基板を更に0.5%フッ化水素酸水溶液に30秒間浸漬し、エッチングによりメチル基等の有機基が脱離し、酸化シリコン層(SiO)となったダメージ層を除去した。そして、0.5%フッ化水素酸水溶液でダメージ層が除去されたトレンチ及びビアを走査型電子顕微鏡で観察し、エッチングによるダメージ量を評価した。
【0036】
実施例1
上述したエッチング方法及び評価方法により、前記式(1)で表される化合物に2−クロロプロパン(式;CCl)を用いて、エッチングを行った際の、SiCNのエッチング量、トレンチ及びビア形状、SiOCのダメージ量の評価結果を表1に示す。
【0037】
実施例2
2−クロロプロパン(式;CCl)の代わりに、1,1−ジクロロエタン(式;CCl)を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行なった。その評価結果を表1に示す。
【0038】
実施例3
2−クロロプロパン(式;CCl)の代わりに、ジクロロメタン(式;CHCl)を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行なった。その評価結果を表1に示す。
【0039】
実施例4
2−クロロプロパン(式;CCl)の代わりに、トリクロロメタン(式;CHCl)を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行なった。その評価結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
2−クロロプロパン(式;CCl)の代わりに、トリフルオロメタン(式;CHF)を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行なった。その評価結果を表1に示す。
【0041】
比較例2
2−クロロプロパン(式;CCl)の代わりに、クロロトリフルオロメタン(式;CClF)を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行なった。その評価結果を表1に示す。
【0042】
比較例3
2−クロロプロパン(式;CCl)の代わりに、パーフルオロシクロブタン(式;C)を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行なった。その評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1から分かるように、エッチングガスとして、式(1):CxHyClz(式中、xは1〜3、yは2x+2−z以下、zは4−x以下)で表される化合物を用いた場合は、SiCNエッチング量が少なく、低誘電率絶縁膜のダメージ量も少なく、エッチング後のバリアメタル層形成や導電体充填に有利なテーパー形状のトレンチ及びビアを形成することができた(実施例1〜4)。一方で、塩素原子の代わりにフッ素原子を含有するCHFを用いたところ、トレンチ及びビア形状がボーイング形状となり、ダメージ量が多くなった(比較例1)。塩素原子とフッ素原子を含有するCClFを用いると、SiCNは全てエッチングされた(比較例2)。また、Cを用いたところ、SiCNエッチング量は良好であるが、トレンチ及びビア形状がボーイング形状となり、ダメージ量は満足する結果が得られなかった(比較例3)。