【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を鑑みてなされた本発明は、以下の発明を包含する。
【0013】
すなわち本発明の第一の態様は、
A相コイルとAB相コイルの対およびB相コイルとBB相コイルの対を有したユニポーラ型2相ステッピングモータと、前記モータ駆動用モータドライバと、前記2対のコイルの両端と前記ドライバとを接続するケーブルと、を設けた、ステッピングモータ駆動ユニットにおいて、前記ケーブルが、
(1)A相コイルの一方の端と前記ドライバとを接続する導体と、A相コイルの他方の端と前記ドライバとを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
(2)AB相コイルの一方の端と前記ドライバとを接続する導体と、AB相コイルの他方の端と前記ドライバとを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
(3)B相コイルの一方の端と前記ドライバとを接続する導体と、B相コイルの他方の端と前記ドライバとを接続する導体とを有した同軸ケーブル、および
(4)BB相コイルの一方の端と前記ドライバとを接続する導体と、BB相コイルの他方の端と前記ドライバとを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
からなる、前記モータ駆動ユニットである。
【0014】
また本発明の第二の態様は、A相コイルの一方の端とAB相コイルの一方の端、およびB相コイルの一方の端とBB相コイルの一方の端が、それぞれモータ内で接続されている、第一の態様に記載のモータ駆動ユニットである。
【0015】
また本発明の第三の態様は、
A相コイルとAB相コイルの対およびB相コイルとBB相コイルの対を有したユニポーラ型2相ステッピングモータと、前記モータ駆動用モータドライバと、前記2対のコイルの両端から引き出された導線と前記ドライバとを接続するケーブルと、を設けた、ステッピングモータ駆動ユニットにおいて、
A相コイルの一方の端およびAB相コイルの一方の端から引き出された導線、ならびにB相コイルの一方の端およびBB相コイルの一方の端から引き出された導線が、それぞれモータ内で接続されており、かつ前記ケーブルが、
(1)A相コイルの
他方の端のみから引き出された導線と前記ドライバとを接続する導体と、A相コイルの一方の端とAB相コイルの一方の端が前記モータ内で接続された状態で引き出された導線と前記ドライバとを接続する導体と、AB相コイルの
他方の端のみから引き出された導線と前記ドライバとを接続する導体とを有し、かつA相コイルの一方の端とAB相コイルの一方の端が前記モータ内で接続された状態で引き出された導線と前記ドライバとを接続する導体を他の両導体の間に配置した三層同軸ケーブル、および
(2)B相コイルの
他方の端のみから引き出された導線と前記ドライバとを接続する導体と、B相コイルの一方の端とBB相コイルの一方の端が前記モータ内で接続された状態で引き出された導線と前記ドライバとを接続する導体と、BB相コイルの
他方の端のみから引き出された導線と前記ドライバとを接続する導体とを有し、かつB相コイルの一方の端とBB相コイルの一方の端が前記モータ内で接続された状態で引き出された導線と前記ドライバとを接続する導体を他の両導体の間に配置した三層同軸ケーブル、
からなる、前記モータ駆動ユニットである。
【0016】
また本発明の第四の態様は、モータドライバがパルス幅変調(PWM)方式モータドライバである、前記第一から第三の態様のいずれかに記載のモータ駆動ユニットである。
【0017】
また本発明の第五の態様は、モータドライバ中のスイッチング素子がパワーMOSFETである、前記第四の態様に記載のモータ駆動ユニットである。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明における、ユニポーラ型2相ステッピングモータが有する2対のコイル(A相コイルとAB相コイルの対、およびB相コイルとBB相コイルの対)の両端とモータドライバとをそれぞれ接続するケーブル(以下、単に本発明のケーブルとする)は、
(1)A相コイルの一方の端と前記ドライバとを接続する導体と、A相コイルの他方の端と前記ドライバとを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
(2)AB相コイルの一方の端と前記ドライバとを接続する導体と、AB相コイルの他方の端と前記ドライバとを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
(3)B相コイルの一方の端と前記ドライバとを接続する導体と、B相コイルの他方の端と前記ドライバとを接続する導体とを有した同軸ケーブル、および
(4)BB相コイルの一方の端と前記ドライバとを接続する導体と、BB相コイルの他方の端と前記ドライバとを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
からなることを特徴としている。
【0020】
具体的には、ユニポーラ型2相ステッピングモータが8線式32(
図2)の場合、
(1)モータのA相101とドライバのA相101とを接続する導体と、モータのA相リターン104とドライバのA相リターン104とを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
(2)モータのAB相103とドライバのAB相103とを接続する導体と、モータのAB相リターン105とドライバのAB相リターン105とを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
(3)モータのB相111とドライバのB相111とを接続する導体と、モータのB相リターン114とドライバのB相リターン114とを接続する導体とを有した同軸ケーブル、および
(4)モータのBB相113とドライバのBB相113とを接続する導体と、モータのBB相リターン115とドライバのBB相リターン115とを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
からなるケーブルを設ければよい。一例を
図6に示す。
【0021】
なお
図6では、モータのA相101とドライバのA相101とを接続する導体、モータのAB相103とドライバのAB相103とを接続する導体、モータのB相111とドライバのB相111とを接続する導体、およびモータのBB相113とドライバのBB相113とを接続する導体を内側(内部導体)に、モータのA相リターン104とドライバのA相リターン104とを接続する導体、モータのAB相リターン105とドライバのAB相リターン105とを接続する導体、モータのB相リターン114とドライバのB相リターン114とを接続する導体、およびモータのBB相リターン115とドライバのBB相リターン115とを接続する導体を外側(外部導体)に、それぞれ配置しているが、配置関係が逆転(例えば、モータのA相リターン104とドライバのA相リターン104とを接続する導体が内側で、モータのA相101とドライバのA相101とを接続する導体が外側)してもよい。なお同軸ケーブル中、内側導体と外側導体とは等しい電流が互いに逆方向に流れる。
【0022】
一方ユニポーラ型2相ステッピングモータが6線式31(
図1)の場合、A相コイルの一方の端とAB相コイルの一方の端とがモータ内で接続され(A相コモン)、B相コイルの一方の端とBB相コイルの一方の端とがモータ内で接続され(B相コモン)ていることから、
(1)モータのA相101とドライバのA相101とを接続する導体と、モータのA相コモン102とドライバのA相コモン102とを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
(2)モータのAB相103とドライバのAB相103とを接続する導体と、モータのA相コモン102とドライバのA相コモン102とを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
(3)モータのB相111とドライバのB相111とを接続する導体と、モータのB相コモン112とドライバのB相コモン112とを接続する導体とを有した同軸ケーブル、および
(4)モータのBB相113とドライバのBB相113とを接続する導体と、モータのB相コモン112とドライバのB相コモン112とを接続する導体とを有した同軸ケーブル、
からなるケーブルを設ければよい。一例を
図5に示す。
【0023】
なお
図5では、モータのA相101とドライバのA相101とを接続する導体、モータのAB相103とドライバのAB相103とを接続する導体、モータのB相111とドライバのB相111とを接続する導体、およびモータのBB相113とドライバのBB相113とを接続する導体を内側(内部導体)に、モータのA相コモン102とドライバのA相コモン102とを接続する導体およびモータのB相コモン112とドライバのB相コモン112とを接続する導体を外側(外部導体)に、それぞれ配置しているが、配置関係が逆転(例えば、モータのA相コモン102とドライバのA相コモン102とを接続する導体が内側で、モータのA相101とドライバのA相101とを接続する導体が外側)してもよい。さらに同軸ケーブルが、三層(内部、中間層、外部)の導体を有したケーブル(三層同軸ケーブル)の場合、
図7に示すように、
(1)モータのA相101とドライバのA相101とを接続する導体を内側(内部導体)に、モータのA相コモン102とドライバのA相コモン102とを接続する導体を中間層(中間層導体)に、モータのAB相103とドライバのAB相103とを接続する導体を外側(外部導体)に、それぞれ配置した三層同軸ケーブル、および
(2)モータのB相111とドライバのB相111とを接続する導体を内側(内部導体)に、モータのB相コモン112とドライバのB相コモン112とを接続する導体を中間層(中間層導体)に、モータのBB相113とドライバのBB相113とを接続する導体を外側(外部導体)に、それぞれ配置した三層同軸ケーブル、
からなる態様とすればよい。なお
図7に示す態様において、内側の導体と外側の導体は逆転(例えば、モータのAB相103とドライバのAB相103とを接続する導体が内側で、モータのA相101とドライバのA相101とを接続する導体が外側)してもよい。
【0024】
ちなみに三層の導体を有した同軸ケーブルを、8線式ユニポーラ型2相ステッピングモータ32(
図2)に適用する場合は、4本の三層同軸ケーブルを用い、外側導体をフレームグランドと接続し、シールドとすればよい。
【0025】
本発明のケーブルを構成する同軸ケーブルは、一芯シールドケーブルであり、
内部導体および絶縁層によって内部導体と絶縁された外部導体(二層同軸ケーブル)、または
内部導体、絶縁層によって内部導体と絶縁された中間層導体および絶縁層によって中間層導体と絶縁された外部導体(三層同軸ケーブル)、
から構成されており、各導体の断面積はモータ駆動電流を勘案して決めればよい。絶縁層や外被には、ETFE、FET、PFA、PTFEなどのフッ素樹脂やポリエチレンや塩化ビニルなどが使われる。同軸ケーブルのインダクタンス、キャパシタンスおよび特性インピーダンスは、内部導体の外径と外部導体の内径、および絶縁体の誘電率や透磁率によって決まり、50Ωや75Ωの特性インピーダンスをもつ高周波同軸ケーブルの場合、外部導体の内径に対する内部導体の外径の比率が3から6である。前記比率が大きいと、所定の電流を許容する太さの内部導体に対してケーブルの外径が太くなり、扱いにくくなる上、ケーブルのインダクタンスが大きくなる。したがって本発明のケーブルを構成する同軸ケーブルとして二層同軸ケーブルを用いる場合、内部導体の外径に対する外部導体の内径の比率を1.1から2.5までの間とすると好ましく、1.1から1.7までの間とするとさらに好ましい。また本発明のケーブルを構成する同軸ケーブルとして三層同軸ケーブルを用いる場合、内部導体の外径に対する中間層導体の内径の比率を1.1から2.5までの間とし、かつ中間層導体の外径に対する外部導体の内径の比率を1.1から2.5までの間とすると好ましく、内部導体の外径に対する中間層導体の内径の比率を1.1から1.7までの間とし、かつ中間層導体の外径に対する外部導体の内径の比率を1.1から1.7までの間とすると、より好ましい。このような一芯シールドケーブル(同軸ケーブル)はTEMP−FLEX CABLE社、日興電線株式会社、進興電線株式会社などで製造されている。
【0026】
特定のケーブルを使う場合のアバランシェ損失は、ドライバの出力電圧とケーブルに流れる電流を測定したり、ドライバの温度を測定することによって評価できる。
図5に示す態様のように2本の導線を1本にまとめる場合、当該ケーブルの両端近くで、半田付けや圧着端子などを使って1つの導線群に束ねることができるが、ドライバ基板や中継基板上の配線パターンを使って束ねてもよい。なおケーブルは、直接ドライバまたはモータ(コイル)と接続してもよく、コネクタを経由して接続してもよい。
【0027】
本発明のモータ駆動ユニットに設けるモータドライバとして、パルス幅変調(PWM)方式モータドライバを用いると、ユニポーラ型2相ステッピングモータを高い電力効率で駆動可能なため好ましい。PWM方式モータドライバは、三洋半導体株式会社製STK672−640C−Eや、サンケン株式会社製SLA7080Mシリーズ等、複数のメーカから、さまざまな仕様のモータドライバが市販されている。モータドライバのスイッチング素子としては、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(IGBT)等のパワー半導体が使用できるが、中でもオン抵抗が低くスイッチング時間も短いパワーMOSFETが好ましく、特に垂直ドレイン形MOSFET(DMOSFET)が好ましい。
【0028】
本発明のモータ駆動ユニットにおいて、ステッピングモータが有するコイルの両端から外部に引き出されたリード線は、多くの場合、ばらけることがないようにバンド等で束ねられたり、撚られた態様で使われるが、余分な部分を切り落とされてもよい。また、束ねたリード線もしくは撚られたリード線の間に隙間が開かないよう、スパイラルチューブまたはテープを巻きつけることで束ねてもよい。リード線を撚り合わせる場合は、A相コイルの両端またはAB相コイルの両端から引き出されたリード線と、B相コイルの両端またはBB相コイルの両端から引き出されたリード線とを、別個に撚り合わせてもよいし、前記リード線全てをまとめて撚り合わせてもよい。