(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転軸から前記補助ロック爪の中心までの距離と、前記回転軸から前記ロック爪の中心までの距離は、互いに異なる請求項13から15のいずれか1項に記載の回転ダイヤルユニット。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る回転ダイヤルユニットを備えるカメラの上面を模式的に示す図である。カメラ10は、カメラユニット12にレンズユニット14が装着されて構成される。なお、後述する操作部材30等が外観に現れる紙面手前側を上面側あるいは上側とし、図とは反対側を下面側あるいは下側と定める。
【0009】
カメラ10は、レンズユニット14の光学系を通じて入射した被写体光により形成された像を電気信号に変換して記録する。カメラユニット12は、回転ダイヤルユニット20を備える。カメラユニット12の外装部材の上面には、後述する上ダイヤルの一部を構成する操作部材30と、後述する下ダイヤルの一部を構成する、操作部材30よりも幅広の回転操作部材40とが同軸上に重なって配されている。上ダイヤルは、例えばシャッタ速度の設定に用いられる。下ダイヤルは、例えばISO感度の設定に用いられる。なお、操作部材30の幅と回転操作部材40の幅は同一でもよい。
【0010】
操作部材30および回転操作部材40の中心部には、挿通孔が軸方向に形成されている。操作部材30と回転操作部材40の間には、後述する作動部材60が配されている。作動部材60の一部は、挿通孔から外装部材の上側に突出している。詳しくは後述するが、作動部材60は、上ダイヤルの回転のロックを解除するロック解除ボタンとして機能する。また、カメラユニット12の外装部材の上面には、操作部材30および回転操作部材40から離れた位置に、押圧操作部材190が配されている。詳しくは後述するが、押圧操作部材190は、下ダイヤルの回転のロックを解除するロック解除ボタンとして機能する。以上の、上ダイヤル、下ダイヤル、作動部材60、および押圧操作部材190は、回転ダイヤルユニット20の一部を構成する。
【0011】
図2および
図3は、回転ダイヤルユニット20の分解斜視図である。特に、
図2は俯瞰図であり、
図3は仰視図である。図示するように、回転ダイヤルユニット20は、操作部材30、ロック板50、キャップ58、作動部材60、ロック爪70、ロック爪固定部材100、付勢部材80、軸部材90、ビス110を含む。さらに、回転操作部材40、封止部材120、外装部材130、カラー部材140、回転摺動部材150、クリック部材160、接点ブラシ170、支持部材180、押圧操作部材190、封止部材200、パターン回路基板210、接点ブラシ220、抜止板230、クリック板240、平行ピン250、ロック部材260、付勢部材270、クリック部材280、支持部材290を含む。
【0012】
操作部材30は、使用者により回転操作される。操作部材30は、全体として円柱状を成し、中心部に挿通孔32を有する。また、下面に凹部34を有する。ロック板50、作動部材60、ロック爪70、および付勢部材80は、操作部材30と軸部材90の間に配される。
【0013】
ロック板50は、全体として円柱状をなし、上面の中心部に凹部52を有する。凹部52は、中心部に操作部材30の挿通孔32に対応した挿通孔54を有する。ロック板50は、下面にロック爪70の突部72を収容する収容孔56を円周方向に複数有する。ロック板50は、操作部材30の凹部34内に収容される。なお、ロック板50は、必ずしも収容孔56を複数有していなくてもよい。すなわち、収容孔56を一つだけ有してもよい。操作部材30のポジションのうちロックさせたいポジションに対応して有していればよい。
【0014】
作動部材60は、後述の回転軸と直交する方向へ延出する円板部62と、円板部62の中心部から上側に突出する突出部65と、突出部65とは反対側すなわち下側に突出し、回転軸94の軸方向へ摺動する摺動部66とを有する。作動部材60の円板部62は、下面に凹部68を有する。突出部65は、上部63と、上部63よりも一回り幅広の下部64とからなる二段構造である。上部63には、キャップ58が被せられる。
【0015】
ロック爪70は、回転軸方向に突出する突部72と、回転軸方向に直交する方向に突出する一対の爪部74とを有する。
【0016】
ロック爪固定部材100は、全体として円柱状をなし、上面の中心部に凹部102を有する。凹部102は、中心部に挿通孔を有する。ロック爪固定部材100は、外周壁にロック爪70の形状に対応した切欠部106を有する。ロック爪固定部材100は、上端に円板部を環囲するリング部108を有する。リング部108は、ロック板50と略同一径に形成される。
【0017】
付勢部材80は、作動部材60と軸部材90との間に設置される。付勢部材80は、例えば圧縮コイルばねである。
【0018】
軸部材90は、作動部材60の円板部62よりも幅狭の円板部92と、操作部材30側とは反対方向すなわち下側に突出する回転軸94とを有する。軸部材90は、円板部92上面の中心部から回転軸94の中程にかけて形成された摺動孔96を有する。回転軸94の下端には、軸方向に直交する方向へ貫通する貫通孔98が形成されている。詳しくは後述するが、軸部材90は、操作部材30に組み付けられて、操作部材30と共に上ダイヤル22を構成する。軸部材90は、ビス110により操作部材30に組み付けられる。
【0019】
回転操作部材40は、使用者により回転操作される。回転操作部材40は、操作部材30よりも幅広な円柱状をなす。回転操作部材40は、上面の回転軸周り、すなわち中心部に凹部42を有する。凹部42は、中心部にロック爪固定部材100の挿通孔104に対応した挿通孔44を有する。回転操作部材40は、下面の外縁部に円周溝46を有する。また、下面の挿通孔に沿った周方向に段差部48を有する。
【0020】
封止部材120は、回転操作部材40の段差部48に配される。本実施形態においては、封止部材120は、Oリングである。
【0021】
外装部材130は、カメラユニット12の外観を構成するカバー部材である。外装部材130は、開口部132を有する。
【0022】
カラー部材140は、全体として円環状を成す。カラー部材140は、円環状の基板部142と、基板部142の上面に形成された円環状の壁部144を有する。壁部の内壁には、周方向に複数の段差部146が形成されている。
【0023】
回転摺動部材150は、円板部152と、クリック部材160を収容するクリック部材収容部154とを有する。円板部152は、回転操作部材40の挿通孔44に対応する第1孔156を有する。円板部152は、外縁に沿って周方向に形成された複数の収容孔158を有する。クリック部材収容部154は、円板部152の上面に形成される。一方で、円板部152の下面には、接点ブラシ170を収容する収容部159が形成されている。回転摺動部材150は、例えばビスにより回転操作部材40に組み付けられて、回転操作部材40と共に下ダイヤル24を構成する。なお、円板部152は、必ずしも収容孔156を複数有していなくてもよい。すなわち、収容孔156を一つだけ有してもよい。回転操作部材40のポジションのうちロックさせたいポジションに対応して有していればよい。
【0024】
支持部材180は、基板部181と、基板部181の中心部から上側に突出して形成された円柱状の軸受182と、段差部183とを有する。基板部181は、第1孔184を有する。段差部183は、押圧操作部材190および封止部材200を取り付けるための第2孔185を有する。
【0025】
パターン回路基板210は、本実施形態においてはフレキシブル基板である。パターン回路基板210は、折り曲げられることにより二段になっている。上段212および下段214は、中心部に貫通孔215を有する。上段212の上面には、貫通孔215を取り囲むように、回路パターン213が形成されている。下段214の下面には、貫通孔215を取り囲むように、回路パターン216が形成されている。なお、パターン回路基板210として、メンブレンSWを用いてもよい。
【0026】
抜止板230は、全体として円板状を成す。抜止板230は、軸方向に直交する方向へ貫通する貫通孔232を中心部に有する。抜止板230の上面には、接点ブラシ220を収容する収容部234が形成されている。一方で、抜止板230の下面には、平行ピン250を配置するための溝部236が径方向に形成されている。
【0027】
クリック板240は、抜止板230の形状に対応しており、全体として円板状を成す。クリック板240は、外縁に沿って周方向に形成された複数の段差部242を有する。
【0028】
ロック部材260は、軸方向に細長い棒状のロック爪262と、基材部264と、摺動部としての上側突出部266と、下側突出部268とを有する。ロック爪262の下端は、基材部264の一端に固定される。基材部264の他端には、上側突出部266と下側突出部268とが固定されている。なお、上側突出部266と下側突出部268は、一体的に形成されてもよい。
【0029】
付勢部材270は、ロック部材260と支持部材290との間に設置される。付勢部材270は、例えば圧縮コイルばねである。
【0030】
支持部材290は、クリック部材280を収容するクリック部材収容部292と、付勢部材を支持する付勢部材支持部294とを有する。
【0031】
図4は、
図1における回転ダイヤルユニット20のA−A断面図である。特に、上ダイヤル22がロックされている状態を示す。
【0032】
ロック板50は、操作部材30の凹部34内に配置され固定される。作動部材60は、ロック板50の下側に配置される。作動部材60の突出部65は、ロック板50の挿通孔54および操作部材30の挿通孔32に挿通される。突出部65の先端は、挿通孔32から突出している。挿通孔32から突出している部分は、使用者により押圧される押圧部を構成する。突出部65は、下面に周方向に形成された溝部を有する。
【0033】
軸部材90は、作動部材60の下側に配置されている。軸部材90の一部は、作動部材60の凹部68内に収容される。作動部材60の摺動部66は、突出部65の先端の裏面から下側に延びた円柱状を成す。摺動部66は、軸部材90の摺動孔96に摺動嵌合する。これにより、作動部材60は上下方向に摺動できる。付勢部材80は、摺動部66に通された状態で配置されている。付勢部材80の一端は、突出部65の裏面に接し、他端は軸部材90の円板部92の上面に接する。付勢部材80は、作動部材60を操作部材30側へ付勢する。
【0034】
軸部材90は、作動部材60、ロック板50および操作部材30と共にビス110により一体化されて固定される。したがって、上ダイヤル22のロックが解除された状態においては、操作部材30が回転操作されると、ビス110で固定された全体が一体となって回転する。
【0035】
ロック爪70は、作動部材60の側部に配置される。ロック爪70の爪部74が円板部62の外周部を挟持することにより、ロック爪70は円板部62の外周部に装着される。
【0036】
ロック爪固定部材100は、ロック爪70が切欠部106に収まるように位置決めされて、ロック板50の下側に配置される。ロック爪固定部材100の凹部102内には、作動部材60および軸部材90が収容される。すなわち、凹部102の内壁が作動部材60および軸部材90を環囲する。
【0037】
図示するように、作動部材60が押圧されていない状態においては、作動部材60が付勢部材80により上側に付勢されるので、作動部材60に装着されたロック爪70も付随的に上側に付勢される。その結果、ロック爪70の突部72は、収容孔56に収容される。したがって、上ダイヤル22の回転は許容されない。
【0038】
付勢部材80の付勢力に抗して作動部材60が押圧されると、作動部材60は下側に摺動する。ロック爪70は作動部材60に装着されているので、作動部材60に付随して切欠部106を下側に摺動する。すなわち、ロック爪70の突部72が収容孔56から離れていく。そうして、ロック爪70の突部72が収容孔56から離脱すると、上ダイヤル22の回転操作が許容される。すなわち、上ダイヤル22のロックが解除される。
【0039】
ここで、操作部材30、ロック板50、および作動部材60は、一体化されている。したがって、作動部材60とロック爪70とが単に一体化されているだけでは、上ダイヤル22の回転に伴い、ロック爪70も一緒に回転してしまう。本実施形態においては、ロック爪70がロック爪固定部材100の切欠部106に収まることにより、ロック爪70の回転方向の動きが規制される。したがって、作動部材60が押圧されると、ロック爪70は作動部材60と共に下がるものの、その状態で操作部材30が回転操作されたとしても、回転方向に付随して動くことはない。すなわち、ロック爪70は、円板部の回転に対して相対的に摺動する。
【0040】
シャッタ速度を設定する上ダイヤル22は、一般的なモードダイヤルに比べて多ポジションであるので、パターン回路基板210における回路パターン213の占める面積が増大する。そうすると、スペースの都合上、例えばビスを用いてパターン回路基板210とロック機構とを取り付けることは困難になる。本実施形態においては、ロック爪70の爪部74を円板部62の外周部に引っ掛けるとともに、このロック爪70を切欠部106に収めることにより、わずかなスペースで上ダイヤル22をロックするロック機構を実現している。
【0041】
支持部材180は、ロック爪固定部材100の下側に配置される。軸部材90の回転軸94は、支持部材180の軸受182に嵌合する。支持部材180の軸受182は、ロック爪固定部材100の挿通孔104に嵌合する。これにより、ロック爪固定部材100は支持部材180に固定される。
【0042】
回転操作部材40は、挿通孔44に軸受182が挿通された状態でロック爪固定部材100の下側に配置される。回転操作部材40の凹部42は、ロック爪固定部材100の一部を収容する。これにより、回転ダイヤルユニット20の高さを抑制することができる。なお、回転操作部材40は、軸受182に対して組み付けられているだけであり、支持部材180に対して摺動嵌合しているわけではない。
【0043】
封止部材120は、回転操作部材40と、支持部材180の軸受182との間に設けられる。これにより、回転操作部材40よりも支持部材180側の空間を封止する。
【0044】
回転摺動部材150は、第1孔156に軸受が挿通された状態で回転操作部材40の下側に配置される。回転摺動部材150は、例えばビスにより回転操作部材40に組み付けられて、回転操作部材40と共に下ダイヤル24を構成する。回転摺動部材150は、回転操作部材40と共に例えばビスにより一体化されて固定される。したがって、回転操作部材40が回転操作されると、回転摺動部材150は、回転操作部材40の回転に付随して回転する。回転摺動部材150は、支持部材180に対して外側で摺動嵌合する。
【0045】
抜止板230は、支持部材180の下側に配置される。ここで、軸部材90は、軸受182を貫通して下側に突出する突出部97を有する。突出部97は、抜止板230の貫通孔232に嵌合する。突出部97は、軸方向に直交する方向へ貫通する貫通孔98を有する。平行ピン250は、抜止板230の溝部236に沿って配置されると共に、貫通孔98を貫通する。すなわち、抜止板230は、平行ピン250を支持している。これにより、抜止板230は、突出部97を固定する。よって、回転軸94が操作部材30側へ抜けることを防ぐことができる。以上のように、平行ピン250を用いることにより、ビスを用いる場合に比べて、少ないスペースで突出部97を固定することができる。
【0046】
パターン回路基板210は、接着等により支持部材180に固定され支持されている。接点ブラシ170は、回転摺動部材150の下面、すなわち支持部材180の上面と対向する面に設けられる。パターン回路基板210の上段212は、支持部材180の上面に配置される。接点ブラシ170とパターン回路基板210の上段212とは、互いに対向して配置されている。パターン回路基板210の上段212は、接点ブラシ170が摺動することにより、回転操作部材40の回転位置に対応する信号を出力する。
【0047】
接点ブラシ220は、抜止板230の上面、すなわち支持部材180の下面と対向する面に設けられる。パターン回路基板210の下段214は、支持部材180の下面に配置される。接点ブラシ220とパターン回路基板210の下段214とは、互いに対向して配置されている。パターン回路基板210の下段214は、接点ブラシ220が摺動することにより、操作部材30の回転位置に対応する信号を出力する。
【0048】
外装部材130は、支持部材180、回転摺動部材150、およびカラー部材140を環囲するように配置される。支持部材180、回転摺動部材150、およびカラー部材140等は、外装部材130の内部に収容される。カラー部材140は、外装部材130の開口部132の内壁に沿って配置される。外装部材130の開口端は、カラー部材140の一端である第1壁147と共に、回転操作部材40の円周溝46に嵌合する。また、カラー部材140は、外装部材130に固定される固定部148と、回転摺動部材150を環囲する第2壁149とを有する。回転操作部材40とカラー部材140は、互いに入れ子状に形成されている。これにより、防滴、防水等の効果を高めることができる。
【0049】
図5は、
図1における回転ダイヤルユニット20のB−B断面図である。特に、下ダイヤル24がロックされている状態を示す。
図4においては、主に、下ダイヤル24のロック機構およびクリック感を付与する機構について説明する。
【0050】
下ダイヤル24がロックされている状態においては、複数の収容孔158のいずれかが、回転位相において第1孔184と一致する。ロック部材260は、支持部材180の下側に配置される。ロック爪262は、支持部材180の下側に軸方向に沿って配置される。ロック爪262の上端は、第1孔184を貫通して収容孔158まで到達している。上側突出部266は受容孔267を有し、上側突出部266の一部は第2孔185から上側に突出している。すなわち、受容孔267は、第2孔185に一致する位置に形成される。上側突出部266は、第2孔185に摺動嵌合する。
【0051】
押圧操作部材190は、固定軸192と、押圧部194とを有する。固定軸192は、受容孔267に挿入されて固定される。押圧部194は、固定軸192の上端側に配置される。ここで、外装部材130は、挿通孔134と、挿通孔134を環囲する環囲壁136とを有する。押圧部194は、挿通孔134を挿通し、外装部材130から上側に突出している。
【0052】
封止部材200は、押圧操作部材190と支持部材180の間に配置される。封止部材200は嵌合孔202を有する。嵌合孔202は、固定軸192に嵌合する。また、封止部材200は、環囲壁136により支持部材180側へ与圧される。さらに、封止部材200は、第2孔185から突出する上側突出部266を包囲する袋状部204を有する。上述のように、上側突出部266の一部が第2孔185から上側に突出しているので、封止部材200も、突出に沿った形状になっている。すなわち、上側に盛り上がった形状になっている。以上により、封止部材200は、支持部材180側の空間を封止する。
【0053】
本実施形態においては、下ダイヤル24における押圧操作機構とロック機構を互いに異なる部材、すなわち押圧操作部材190とロック部材260により実現している。そして、支持部材180に二つの孔を形成し、一方の孔である第2孔185に固定軸192を挿入する構成としている。封止部材200は、固定軸192と受容孔267との嵌合部分に配置される。押圧操作部材190とロック部材260の全体を覆わなくてもよいので、防滴、防水等を実現しつつ、小型化することができる。
【0054】
付勢部材270は、下側突出部268に挿通されて配置されている。付勢部材270は、ロック部材260を支持部材180側へ付勢する。
【0055】
図示するように、押圧部194が押圧されていない状態においては、ロック部材260が付勢部材270により上側に付勢されるので、ロック爪262も上側に付勢される。その結果、ロック爪262は、第1孔184を貫通して収容孔158まで到達して収容孔158に収容される。したがって、下ダイヤル24の回転は許容されない。
【0056】
付勢部材270の付勢力に抗して押圧部194が押圧されると、押圧操作部材190は下側に摺動する。押圧操作部材190とロック部材260とは一体的に構成されているので、ロック部材260は押圧操作部材190に付随して下側に摺動する。すなわち、ロック爪262が収容孔158から離れていく。そうして、ロック爪262が収容孔158から退避されると、下ダイヤル24の回転操作が許容される。すなわち、下ダイヤル24のロックが解除される。以上のように、押圧操作部材190は、付勢部材270の付勢力に抗して押圧部194が押圧されたときに、収容孔158からロック爪262を退避させる。
【0057】
クリック板240は、抜止板230の下側に配置される。クリック部材収容部292は、クリック板240の下側に配置される。クリック部材収容部292は、ロック部材260に隣接した位置に配置される。下ダイヤル24がロックされている状態においては、クリック板240の複数の段差部242のいずれかが、クリック部材収容部292と一致している。クリック部材収容部292は、クリック部材280を収容する。クリック部材収容部292には、下側に圧縮コイルばね等の付勢部材282が収容される。付勢部材282の上に鋼球284が収容される。付勢部材282は、鋼球284をクリック板240に付勢する。
【0058】
鋼球284は、静定状態においては特定の段差部242に付勢される。使用者が上ダイヤル22を回転させると、鋼球284は、一旦クリック板240の表面に乗り上げて付勢部材282を圧縮し、他の段差部242へ転移する。このとき、付勢部材282の抵抗力により、使用者はクリック感を得ることができる。
【0059】
カラー部材140の第2壁149は、上ダイヤル22の径方向に段差部146を有する。段差部146は、回転操作部材40の静止予定位置に対応して設けられる。また、クリック部材160は、回転摺動部材150のクリック部材収容部154に収容されている。クリック部材収容部154の内側に、例えば圧縮コイルばね等の付勢部材162が収容され、付勢部材162の外側に鋼球164が収容される。すなわち、上ダイヤル22の径方向に内側から付勢部材162、鋼球164の順に並んで配置されている。したがって、付勢部材162は、鋼球164を第2壁149の段差部146に付勢する。
【0060】
鋼球164は、静定状態においては特定の段差部146に付勢される。使用者が下ダイヤル24を回転させると、鋼球164は、一旦第2壁149の表面に乗り上げて付勢部材162を圧縮し、他の段差部146へ転移する。このとき、付勢部材162の抵抗力により、使用者はクリック感を得ることができる。
【0061】
以上のように本実施形態においては、上ダイヤル22のロック強度は付勢部材80により定まり、クリック力は付勢部材282により定まる。ロック強度とクリック力とを互いに異なる部材により定めているので、それぞれを容易に調整することができる。
【0062】
図6は、回転軸94、ロック爪262、および固定軸192の位置関係を説明する図である。
図6においては、支持部材290、クリック板240、および抜止板230を抽出して図示している。
図6は、これらを下から見上げた様子を示す底面図により表される。
【0063】
回転軸94、ロック爪262、および固定軸192は、上ダイヤル22の回転軸94に直交する平面において、同一直線上に配置される。これにより、回転摺動部材150の収容孔158の周方向の寸法をロック爪262の径に合わせるだけで、容易に周方向のずれを抑制することができる。回転摺動部材150の収容孔158は、回転軸94、ロック爪262、および固定軸192の径方向の位置ずれを許容すべく、径方向に長い長孔である。短手方向の径は、ロック爪262の径に一致する。このような収容孔158は、上ダイヤル22の周方向においてロック爪262と嵌合し、径方向において嵌合しない。
【0064】
以上の説明では、上ダイヤル22の回転操作に対するクリック感を付与するクリック部材160を抜止板230の下側に配置したが、操作部材30の内部に配置してもよい。この場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0065】
図7は、上ダイヤル22のクリック感を付与する他の構成を説明する図である。操作部材30は、凹部34内にクリック部材300を収容する。凹部34の上側に付勢部材302が配置され、付勢部材302の下側に鋼球304が配置される。リング部108は、上面に複数の段差部109を有する。複数の段差部109は、複数の収容孔56に一対一に対応する形態で形成される。付勢部材302は、鋼球304を段差部109に付勢する。
【0066】
鋼球304は、静定状態においては特定の段差部109に付勢される。使用者が上ダイヤル22を回転させると、鋼球304は、一旦リング部108の表面に乗り上げて付勢部材302を圧縮し、他の段差部109へ転移する。このとき、付勢部材302の抵抗力により、使用者はクリック感を得ることができる。
【0067】
図8は、回転ダイヤルユニット20の他の構成を説明する図である。特に、上ダイヤル22がロックされている状態を示す。
【0068】
図8に示す例においては、回転ダイヤルユニット20は、補助ロック爪310を有する。補助ロック爪310は、ロック爪70と同様に、回転軸方向に突出する突部312と、回転軸方向に直交する方向に突出する一対の爪部314とを有する。補助ロック爪310は、作動部材60における、ロック爪70が配置された側部とは反対側の側部に配置される。補助ロック爪310も、ロック爪70と同様に、爪部314が円板部62の外周部を挟持することにより、円板部62の外周部に装着される。ロック爪固定部材100は、切欠部106に対して中心軸を挟んで反対側に補助切欠部107を有する。補助ロック爪310は、補助切欠部107に収まる。
【0069】
図示するように、作動部材60が押圧されていない状態においては、作動部材60が付勢部材80により上側に付勢されるので、ロック爪70の突部72および補助ロック爪310の突部312はそれぞれ、収容孔56、57に収容される。ロック爪70と補助ロック爪310は、中心軸を挟んで互いに対向する位置に配されるので、作動部材60が付勢部材80により上側に付勢される状態において、略均等な力で操作部材30を上側に付勢する。したがって、操作部材30の回転軸に対する傾きを低減することができる。
【0070】
付勢部材80の付勢力に抗して作動部材60が押圧されると、ロック爪70は作動部材60に付随して切欠部106を下側に摺動し、補助ロック爪310は作動部材60に付随して補助切欠部107を下側に摺動する。すなわち、ロック爪70の突部72および補助ロック爪310の突部312がそれぞれ収容孔56、57から離れていく。そうして、ロック爪70の突部72および補助ロック爪310の突部312がそれぞれ収容孔56、57から離脱すると、上ダイヤル22の回転操作が許容される。
図8に示す例においては、補助ロック爪310が補助切欠部107に収まることにより、補助ロック爪310の円周方向への回転が規制される。すなわち、補助ロック爪310は、円板部62の回転に対して相対的に摺動する。
【0071】
図8に示す例においては、補助切欠部107は、ロック爪70が収容孔56に収容されているときには補助ロック爪310も収容孔57に収容され、ロック爪70が収容孔56に収容されていないときには補助ロック爪310も収容孔57に収容されない位置に設けられている。
【0072】
補助ロック爪310の突部312の高さは、ロック爪70の突部72の高さよりも低くなっている。これにより、補助ロック爪310は、ロック爪70よりも収容孔57から離脱し易くなる。したがって、ロック爪70が収容孔56から離脱するときには、補助ロック爪310も収容孔57から離脱する。補助ロック爪310は、ロック部材として機能するというよりも、むしろ操作部材30の回転軸に対する傾きを低減するための部材として機能する。
【0073】
回転軸94から補助ロック爪310の中心までの距離と、回転軸94からロック爪70の中心までの距離とが同一であれば、ロック爪70が補助ロック爪310の収容孔57に収容される場合がある。すなわち、ユーザの意図しないロックがなされる場合がある。そこで、
図8に示す例においては、回転軸94から補助ロック爪310の中心までの距離と、回転軸94からロック爪70の中心までの距離を互いに異ならせている。ここでは、回転軸94から補助ロック爪310の中心までの距離は、回転軸94からロック爪70の中心までの距離よりも短くなっている。そして、ロック板50には、ロック爪70および補助ロック爪310が配置される位置に合わせて、収容孔56、57が形成されている。すなわち、回転軸94から補助ロック爪310の収容孔57の中心までの距離は、回転軸94からロック爪70の収容孔56の中心までの距離よりも短くなっている。以上のように構成することにより、ロック爪70はロック爪70の収容孔56に収容されることになる。
【0074】
補助ロック爪310の突部312の径は、ロック爪70の突部72の径よりも狭くなっている。補助ロック爪310の突部312の径とロック爪70の突部72の径との幅の違いに伴い、ロック爪70の収容孔56と、補助ロック爪310の収容孔57は、互いに形状が異なっている。
図8に示す例においては、ロック爪70の収容孔56の径は、補助ロック爪310の収容孔57よりも広くなっている。したがって、ロック爪70は、補助ロック爪310の収容孔57には収容されずに、ロック爪70の収容孔56に収容される。以上のように構成することにより、仮に回転軸94から補助ロック爪310の中心までの距離と、回転軸94からロック爪70の中心までの距離とが同一であったとしても、ロック爪70はロック爪70の収容孔56に収容されることになる。
【0075】
上ダイヤル22のポジションの全てでロックできる構成でなくてもよい。特定の機能に対応するポジションでのみロックできる構成でもよい。この場合には、収容孔56は、特定の機能の数に応じて形成されることになる。下ダイヤル24についても同様である。
【0076】
以上の説明では、回転軸94が操作部材30側へ抜けることを防ぐ部材と、クリック感を付与するための段差部242を有する部材とを別体として構成したが、これらを一体として構成してもよい。すなわち、抜止板230が、回転軸94が操作部材30側へ抜けることを防ぐとともに、複数の収容孔56に対応する段差部を有してもよい。
【0077】
以上の説明では、抜止板230は、平行ピン250を支持することにより突出部97を固定する構成であったが、圧入、接着等の他の方法により固定する構成であってもよい。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。