(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、下記平均組成式(1)で示されるメソゲン基含有共重合体である。
【化3】
(式中、R
1〜R
3は各々独立して、同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜20の2価炭化水素基である。R
4はR
1と異なる、炭素原子数1〜20の2価炭化水素基である。また、l、nは各々0.5未満の正数であり、m、kは各々0又は0.5以下の正数である。更にlとnはl+n=0.4〜0.6を満たし、mとkはm+k=0.4〜0.6を満たす。但し、l+n+m+k=1である。好ましくは、l+n=0.5、m+k=0.5である。A、Bは各々独立して、−O−、−NH−、−S−の群から選ばれる2価の原子又は分子である。D、Eは各々独立して、−O−、*−R−NH−、*−R−S−の群から選ばれる2価の原子又は分子である。但し、*はフェニル基との結合方向を示し、Rは単結合、又は炭素原子数1〜3の2価炭化水素基である。X、Yは各々独立して1価脂肪族炭化水素基、(メタ)アクリル基、CN、OCH
3、NO
2、F原子、Cl原子、Br原子又はI原子である。またp、qは各々独立して0〜4の整数である。Zは独立して不飽和基を有するケイ素原子を含む2価の基である。)
【0010】
上記平均組成式(1)中、R
1〜R
4は各々独立して、同一でも異なっていてもよく、直鎖状、分岐状又は環状の、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、アラルキレン基や、これらの2種又はそれ以上が結合した基等の炭素原子数1〜20の2価炭化水素基である。
【0011】
R
1、R
4としては、それぞれ炭素原子数2〜16の2価炭化水素基が好ましく、炭素原子数4〜14の2価炭化水素基がより好ましく、炭素原子数6〜12の2価炭化水素基が特に好ましい。なお、R
1とR
4は異なる基である。
【0012】
R
1、R
4として、具体的には、−CH
2−、−(CH
2)
2−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
5−、−(CH
2)
6−、−(CH
2)
8−、−(CH
2)
10−、−(CH
2)
15−、−(CH
2)
20−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−C≡C−、−CH(CH
3)−、−C(CH
3)(CH
3)−、−CH
2−CH(CH
3)−、−CH
2−CH(CH
3)−CH(CH
3)−、−CH
2−CH(CH
2CH
2CH
3)−、−CH
2−C(CH
2CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−CH
2−C(CH
2CH(CH
3)CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−CH
2−C(CH
2CH(CH
3)CH
3)(CH
2C(CH
3)(CH
3)CH
3)−等が例示できる。
【0013】
この他に、下記に示すような環状構造を有する2価炭化水素基や芳香環を有する2価炭化水素基も例示できる。
【化4】
(式中、波線は結合手を示す。)
【0014】
R
2、R
3としては、それぞれ炭素原子数1〜18のアルキレン基等の2価炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜15の2価炭化水素基がより好ましく、炭素原子数3〜4の2価炭化水素基が特に好ましい。
R
2、R
3として、具体的には、−CH
2−、−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
2−CH(CH
3)−等が例示できる。これらの中でも−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−、−(CH
2)
2−CH(CH
3)−が好ましい。
【0015】
また、lは0.5未満の正数、好ましくは0.15〜0.35の正数であり、nは0.5未満の正数、好ましくは0.15〜0.35の正数であり、mは0又は0.5以下の正数、好ましくは0.1〜0.5の正数であり、kは0又は0.5以下の正数、好ましくは0〜0.4の正数である。更にlとnはl+n=0.4〜0.6を満たし、mとkはm+k=0.4〜0.6を満たす。特に、l+n=0.5、m+k=0.5であることが好ましい。但し、l+n+m+k=1である。
【0016】
A、Bは各々独立して、−O−、−NH−、−S−の群から選ばれる2価の原子又は分子である。また、D、Eは各々独立して、−O−、*−R−NH−、*−R−S−の群から選ばれる2価の原子又は分子である。但し、*はフェニル基との結合方向を示し、Rは単結合、又はメチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)等の炭素原子数1〜3の2価炭化水素基である。
【0017】
X、Yは各々独立して1価脂肪族炭化水素基、(メタ)アクリル基、CN、OCH
3、NO
2、F原子、Cl原子、Br原子、又はI原子を示す。1価脂肪族炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基などの炭素原子数1〜10、特に炭素原子数1〜6の1価脂肪族炭化水素基が挙げられる。X、Yとしては、Cl、OCH
3、アリル基、メタクリル基が好ましい。
またp、qは各々独立して0〜4の整数、好ましくは0又は1である。
【0018】
Zは不飽和基を有するケイ素原子を含む2価の基であれば制限はないが、下記一般式(2)で示される2価の基が好ましい。
【化5】
(式中、Meはメチル基であり、a、cは各々0〜200の整数であり、bは1〜200の整数である。R
5、R
6は各々独立して、同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜10の1価炭化水素基である。但し、R
5、R
6は同時にメチル基ではない。)
なお、上記式(2)で示される繰返し単位を有する2価の基Zにおいて、各単位はランダムに結合していても、ブロック重合体として結合していてもよい。
【0019】
上記式(2)中、R
5、R
6は各々独立して、同一でも異なっていてもよく、直鎖状、分岐状又は環状の炭素原子数1〜10、好ましくは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられ、これらの中でもメチル基、フェニル基、ビニル基、アリル基が好ましい。但し、R
5、R
6は同時にメチル基ではない。
【0020】
aは0〜200の整数、好ましくは5〜100の整数であり、bは1〜200の整数、好ましくは1〜30の整数であり、cは0〜200の整数、好ましくは0〜50の整数である。また、a+b+cは1〜500、特に4〜100であることが好ましい。
【0021】
式(2)で示される基の例としては、以下のようなものが例示できる。
【化6】
【0023】
【化8】
(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基である。)
【0024】
本発明の共重合体(A)は、ケイ素原子に結合した不飽和基を1分子中に少なくとも2個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜30個有するものである。不飽和基が少なすぎると、硬化不良が起こる場合があり、多すぎると架橋過多により物性が悪化する場合がある。
【0025】
本発明に用いられる共重合体(A)は、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶出溶媒として高温GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が300〜500,000、好ましくは1,000〜400,000である共重合体である。重量平均分子量が小さすぎると熱伝導率が低下し、大きすぎると溶媒への溶解性又は分散性が悪化する。
【0026】
上記式(1)で示される繰返し単位を含有する共重合体において、各単位はランダムに結合していても、ブロック重合体として結合していてもよい。
【0027】
このような式(1)で示される共重合体(A)として、具体的には、以下のようなものが挙げられる。
【化9】
【0030】
【化12】
(式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基である。)
【0031】
次に、本発明のメソゲン基含有共重合体の製造方法を示すが、この限りでない。
【0032】
[製造法1]
本発明のメソゲン基含有共重合体の第1の製造方法を説明する。
本発明のメソゲン基含有共重合体は、下記一般式(5)、下記一般式(6)、下記一般式(7)、下記一般式(8)で表される化合物から選択される化合物を用いて、以下に示す方法により製造することができる。なお、前記式(1)において、m、kのいずれかが0のときは、下記式(7)又は(8)で表わされる化合物を用いることなく製造される。
【0033】
下記一般式(5)及び下記一般式(6)で表される化合物を無水酢酸と反応させ、アセチル化した後に、それらを下記一般式(7)及び/又は下記一般式(8)で表される化合物と共に脱酢酸重縮合反応を行うことで、本発明のメソゲン基含有共重合体を製造することができる。これらの反応は溶媒がない状態で行うことが好ましい。
【0034】
【化13】
(式中、A、Bは上記と同じである。)
【0035】
このような式(5)で表される化合物の例として、以下のものが挙げられる。
【化14】
【0036】
【化15】
(式中、D、E、X、Y、p、q、R
2、R
3、Zは上記と同じである。)
【0037】
このような式(6)で表される化合物の例として、以下のものが挙げられる。
【化16】
【0040】
【化19】
(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基である。)
【0041】
式(6)で表される化合物を合成するには、例えば、以下のような手法を用いることができる。
適切な装置内にて、適切な溶媒中、ヒドロシリル化触媒である白金族系金属触媒存在下、ヒドロシリル化が起こりうる不飽和基を含む置換基を持ち、かつH−D−基もしくはH−E−基を持つベンゼン誘導体(D、Eは上記と同じである。)に、Si−H結合を2つ持つシリコーン化合物を付加させる。反応後、濾過等によって触媒を除去し、溶媒を留去することで、両末端にH−D−基もしくはH−E−基を持ったベンゼン環を有するシリコーン化合物を得る。
なお、白金触媒としては、[Pt{Me
2(CH
2=CH)Si}
2O])や[(C
5H
5)
2PtCl
2]、H
2PtCl
6等が挙げられる。また、溶媒としては、トルエン、ヘキサン、ジオキサン、THF(テトラヒドロフラン)等の有機溶媒を適宜使用できる。
次いで、上記で得られたシリコーン化合物、及びこれとは別の不飽和基を持つシリコーン化合物を反応容器に仕込んだ後、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸を添加し、反応させる。十分に反応させた後、固体塩基性中和剤を添加し、濾過精製を行うことで、上記式(6)で示される両末端にH−D−基もしくはH−E−基を持った不飽和基含有ポリシロキサンを得ることができる。
【0042】
ここで、ヒドロシリル化が起こりうる不飽和基を含む置換基を持ち、かつH−D−基もしくはH−E−基を持つベンゼン誘導体としては、下記式で示される化合物であることが好ましい。
【化20】
(式中、D、E、X、Y、p、qは上記と同じである。Gはヒドロシリル化が起こりうる不飽和基を含む基である。)
上記式中、Gはヒドロシリル化が起こりうる不飽和基を含む基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、エチニル基、プロパルギル基等のアルキニル基等が挙げられ、好ましくはアリル基、ビニル基である。
【0043】
また、Si−H結合を2つ持つシリコーン化合物としては、下記式で示される化合物が好ましい。
【化21】
(式中、Meはメチル基である。)
【0044】
ヒドロシリル化が起こりうる不飽和基を含む置換基を持ち、かつH−D−基もしくはH−E−基を持つベンゼン誘導体と、Si−H結合を2つ持つシリコーン化合物との反応割合は、ベンゼン誘導体中の不飽和基の総量とシリコーン化合物中のSi−H基とのモル比が、各々1:0.8〜1:1.2の範囲となる量で反応させることが好ましい。シリコーン化合物が少ないと、ベンゼン誘導体が未反応で残ってしまう場合があり、シリコーン化合物が多いと、1つのSi−H基しか反応していないシリコーン化合物が多量にできてしまうおそれがある。
また、反応条件は、温度30〜120℃、好ましくは60〜90℃で、0.5〜24時間、好ましくは1〜10時間反応させる。
【0045】
これらを反応させて得られる両末端にH−D−基もしくはH−E−基を持ったベンゼン環を有するシリコーン化合物としては、下記式で示される化合物を挙げることができる。
【化22】
(式中、D、E、X、Y、p、q、R
2、R
3は上記と同じであり、Meはメチル基である。)
【0046】
更に、別の不飽和基を持つシリコーン化合物としては、下記に示すものが挙げられる。
【化23】
(式中、Meはメチル基である。)
【0047】
両末端にH−D−基もしくはH−E−基を持ったベンゼン環を有するシリコーン化合物と、別の不飽和基を持つシリコーン化合物との反応割合は、任意で決められる。平衡化によって、反応割合に応じた化合物を得ることができる。
また、反応条件は、温度−5〜80℃、好ましくは5〜40℃で、1〜48時間、好ましくは3〜15時間反応させる。
【0048】
なお、上記別の不飽和基を持つシリコーン化合物と共に、下記式で示される化合物などを添加することもできる。
【化24】
(式中、R
5、R
6は上記と同じであり、Meはメチル基である。)
上記化合物を反応させる場合の反応割合は任意で決められる。平衡化によって、反応割合に応じた化合物を得ることができる。
【0049】
【化25】
(式中、R
1は上記と同じである。)
【0050】
【化26】
(式中、R
4は上記と同じである。但し、R
4はR
1と異なる構造である。)
【0051】
このような式(7)、(8)で表される化合物として、以下のような構造が挙げられる。
【化27】
(式中、Meはメチル基である。)
【0052】
本発明のメソゲン基含有共重合体の製造方法は、式(5)及び(6)で表される化合物を、無水酢酸を用いてそれぞれ個別に、又は一括して酢酸エステルとした後、別の反応槽又は同一の反応槽で、式(7)及び/又は(8)で表される化合物と脱酢酸重縮合反応させる方法が挙げられる。
なお、式(7)及び/又は式(8)で表される化合物は、式(5)及び式(6)で表される化合物と無水酢酸とを反応させる前に添加していてもよい。
【0053】
式(5)及び式(6)で表される化合物を反応させる際に用いる無水酢酸は、式(5)及び式(6)で表される化合物中のフェノール性ヒドロキシ基、アニリン性アミノ基、あるいはチオフェノール性チオール基1当量に対し、1当量以上加えることが好ましく、1.05当量以上、更には1.10〜1.50当量加えることがより好ましい。
【0054】
式(5)及び式(6)で表される化合物と無水酢酸との反応は、通常120〜220℃、更には130〜200℃、特には140〜180℃の温度で、0.5〜15時間、特に1〜5時間行われることが好ましい。反応温度が高すぎると分解や目的としない反応が進行する場合があり、低すぎると反応の進行が遅くなる場合がある。
【0055】
脱酢酸重縮合反応は、通常120〜300℃、更には140〜280℃、特には150〜260℃の温度で、30分〜24時間、特に1〜10時間行われることが好ましい。反応の進行具合により、温度を上げ、反応速度を速めることもできる。しかし、反応温度が高すぎる場合は分解等の副反応が起こりやすく、低すぎると反応の進行は遅くなる場合がある。
【0056】
[製造法2]
本発明のメソゲン基含有共重合体の第2の製造方法を説明する。
溶媒中、脱塩酸剤存在下にて、前記一般式(5)及び前記一般式(6)で表される化合物と下記一般式(9)及び/又は下記一般式(10)で表される化合物とを反応させることにより、本発明のメソゲン基含有共重合体を製造することもできる。なお、前記式(1)において、m、kのいずれかが0のときは、下記式(9)又は(10)で表わされる化合物を用いることなく製造される。
【0057】
【化28】
(式中、R
1は上記と同じである。)
【0058】
【化29】
(式中、R
4は上記と同じである。但し、R
4はR
1と異なる構造である。)
【0059】
このような化合物として、以下のような構造が挙げられる。
【化30】
(式中、Meはメチル基である。)
【0060】
溶媒は、ヒドロキシ基やカルボキシ基、ハロゲンを持たないものであれば幅広く用いることができ、例えば、具体的に、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソドデカン、イソノナン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンタノン、酢酸エチル、アセトン等が挙げられる。
溶媒の使用量は、式(5)と式(6)の化合物合計の物質量に対し、0.1〜10モル/L、好ましくは0.1〜3モル/Lとなるように加える。
【0061】
脱塩酸剤は幅広く用いることができ、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が例示できる。脱塩酸剤は式(9)と(10)の化合物合計の物質量に対し、1.8〜20当量、好ましくは2〜10当量、更に好ましくは2〜6当量になるように添加することが望ましい。
【0062】
反応温度としては、脱塩反応時には通常0〜150℃、更には0〜100℃、特には5〜50℃の温度で、30分〜24時間、特に1〜10時間行われることが好ましく、熟成時には通常20〜150℃、更には20〜120℃、特には60〜80℃の温度で、30分〜24時間、特に1〜10時間行われることが好ましい。
【0063】
[製造法3]
本発明のメソゲン基含有共重合体の第3の製造方法を説明する。
溶媒中、酸触媒存在下にて、前記一般式(5)及び前記一般式(6)で表される化合物と前記一般式(7)及び/又は前記一般式(8)で表される化合物とを脱水縮合反応させることにより、本発明のメソゲン基含有共重合体を製造することもできる。なお、前記式(1)において、m、kのいずれかが0のときは、前記式(7)又は(8)で表わされる化合物を用いることなく製造される。
【0064】
溶媒としては、上記製造法2に記載の溶媒を同量程度用いることができる。
【0065】
酸触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等が使用できる。
酸触媒の添加量は、溶媒に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましく、0.2〜3質量%が特に好ましい。
【0066】
反応温度としては、90〜160℃が好ましく、100〜150℃がより好ましく、120〜140℃が更に好ましい。反応温度が高すぎると分解等の副反応が起こりやすく、低すぎると反応の進行は遅くなる場合がある。また反応時間は0.5〜48時間であり、好ましくは2〜15時間がよい。
【0067】
溶媒中、前記式(5)及び式(6)で表される化合物、前記式(7)及び/又は式(8)で表される化合物、及び酸触媒を加え、90〜160℃にて加熱し、水が理論生成量の9割以上に達するまで反応を行い、反応混合物を水洗後、減圧蒸留を行うことで、本発明のメソゲン基含有共重合体を製造することができる。
【0068】
なお、上記製造方法1〜3において、上記式(6)で表される化合物の導入量は、上記式(5)及び(6)で表される化合物の合計添加量の内、10〜50mol%であることが好ましく、より好ましくは20〜35mol%である。式(6)で表される化合物の導入量が少ないと、熱伝導性が低下する場合があり、式(6)で表される化合物の導入量が多いと溶媒への分散性又は溶解性が低下する場合がある。
【0069】
また、上記式(7)及び/又は式(8)で表される化合物、又は上記式(9)及び/又は式(10)で表される化合物の導入量は、上記式(7)及び/又は式(8)、又は上記式(9)及び/又は式(10)で表される化合物が有するカルボキシ基のモル数の合計に対して、上記式(5)及び式(6)で表される化合物が有する反応性官能基のモル数の合計割合が0.67〜1.67、好ましくは0.83〜1.25となるように配合するのがよい。式(7)及び/又は式(8)で表される化合物、又は式(9)及び/又は式(10)で表される化合物の導入量が多い場合や少なすぎる場合には分子量が大きくならない傾向にある。
【0070】
本発明のメソゲン基含有共重合体の製造方法は、上記の方法に制限されるものではなく、公知の方法が使用できる。
【0071】
一般的に、メソゲン基を多く保有する樹脂はメソゲンのスタッキングにより、溶媒に難溶性を示す。しかしながら、本発明に用いられるメソゲン基含有共重合体は、汎用されている溶媒への可溶性・分散性が優れている。本発明に用いられるメソゲン基含有共重合体が可溶又は分散できる溶媒として、具体的には、トルエン、ベンゼン、キシレン、スチレン、フェノール、クロロホルム、四塩化炭素、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソドデカン、イソノナン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンタノン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸エチル、アセトン等が例示できる。
【0072】
[(B)成分]
水素ケイ素間結合(Si−H結合)を2つ以上持つケイ素化合物(B)は、本硬化性組成物の架橋剤であり、1分子内に2個以上、好ましくは3〜8個のSi−H基を含有する、直鎖状でも分岐状でも環状でも構わない、オルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。例えば、下記一般式(3)又は(4)で示される化合物が例示できるが、これらのものに限定されない。
【化31】
(式中、Meはメチル基であり、R
7は各々独立して炭素原子数1〜10の1価炭化水素基である。但し、1つのケイ素原子に結合する2つのR
7は同時にメチル基ではない。r、s、tは0〜300の整数である。uは2以上の整数、vは0以上の整数で、かつu+v≧3の整数である。)
なお、上記式(3)で示される化合物の配列は、ランダムでもブロックでもよい。
【0073】
上記式(3)、(4)中、R
7は各々独立して炭素原子数1〜10、好ましくは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられるが、好ましくはアルケニル基等の脂肪族不飽和結合を有さないものがよい。これらの中でもメチル基、フェニル基、イソプロピル基が好ましい。但し、1つのケイ素原子に結合する2つのR
7は同時にメチル基ではない。
【0074】
上記式(3)中、rは0〜300、好ましくは2〜120の整数、sは0〜300、好ましくは1〜20の整数、tは0〜300、好ましくは0〜100の整数で、かつr+s+tは0〜150、好ましくは5〜50の整数である。
上記式(4)中、uは2以上、好ましくは2〜20の整数、vは0以上、好ましくは1〜20の整数で、かつu+vは3以上、好ましくは3〜8の整数である。
【0075】
(B)成分として、具体的には、以下のものが挙げられる。
【化32】
【0077】
【化34】
(式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基である。)
【0078】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは2種以上の混合物でもよい。
ケイ素化合物(B)の使用量は、メソゲン基含有共重合体(A)中の不飽和基量に対する(B)成分中のSi−H基のモル比(Si−H基/不飽和基)が0.1〜10、特に0.5〜2の範囲となるように配合することが好ましい。このSi−H基と不飽和基とのモル比が0.1以上であれば、架橋密度が低くなることもなく、組成物が硬化しないといった問題も起こらない。10以下であれば、架橋密度が高くなりすぎることもなく、残存Si−Hに起因した発泡も抑制できるため好ましい。
【0079】
[(C)成分]
ヒドロシリル化触媒(C)として、白金族金属系触媒を用いることができる。具体的には、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート、白金担持カーボン等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。
なお、このヒドロシリル化触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、白金族金属として(A)、(B)成分の合計質量に対して1〜5,000ppm、特に2〜2,000ppm程度配合することが好ましい。
【0080】
[(D)成分]
本発明の硬化性組成物には、充填剤(D)を配合してもよい。充填剤(D)としては、公知の無機充填剤を広く使用できる。具体的には、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、導電性金属粉、導電性金属繊維、フェライト類等が挙げられる。
【0081】
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅などを挙げることができる。金属窒化物としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などを挙げることができる。金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどを挙げることができる。導電性金属粉としては、各種金属を微粒子化した導電性金属粉、導電性金属繊維としては、各種金属を繊維状に加工した導電性金属繊維、フェライト類としては、軟磁性フェライト等の各種フェライト類を挙げることができる。そのほか、ケイソウ土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、石英粉末、結晶シリカ、カオリン、タルク、三酸化アンチモン、微粉末マイカ、二硫化モリブデン、ロックウール、セラミック繊維、アスベストなどの無機質繊維、及びガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスクロス、溶融シリカ等ガラス製充填剤などが挙げられる。これらは単独あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。
【0082】
無機充填剤の形状については、種々の形状のものを適用可能である。具体的には、例えば、粒子状、微粒子状、ナノ粒子、凝集粒子状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状、ロッド状、針状、板状、不定形、ラグビーボール状、六面体状、液体等種々の形状を挙げられる。またこれら無機化合物は天然物や合成物によらず使用できる。これらは単独あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。
【0083】
無機充填剤の平均粒径は、0.1〜500μmが好ましく、0.5〜300μmがより好ましく、1〜100μmが特に好ましい。なお、本発明において、平均粒径は、例えばレーザー光回折法等による重量平均値(又はメディアン径)等として求めることができる。
【0084】
これら無機充填剤は、表面処理剤で表面処理がされていてもよい。表面処理剤は制限されず、公知のものが使用できる。具体的には、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。
【0085】
無機充填剤を充填する場合、その使用量は、組成物((A)、(B)及び(D)成分の合計)中5〜90体積%であることが好ましく、20〜80体積%であることがより好ましく、25〜60体積%であることが特に好ましい。これらの範囲より充填量が少ないと、無機充填剤の添加による効果が小さく、これより多いと得られる硬化物の強度が大きく低下してしまう。
【0086】
メソゲン基含有樹脂中に無機充填剤を充填する手段として、樹脂を加熱溶融し、その状態で無機充填剤を加える方法が一般的である。しかし本発明では、溶媒に可溶、又は分散可能であるメソゲン基含有共重合体を用いるため、メソゲン基含有共重合体を溶媒に溶解又は分散させた状態で無機充填剤を添加し、その後溶媒を蒸発させることでメソゲン基含有共重合体中に無機充填剤を均一に分散させた組成物を得ることが可能である。その際使用できる溶媒は、本発明のメソゲン基含有共重合体が可溶又は分散可能であれば制限はないが、作業後に溶媒を蒸発させる必要があることから沸点の低いものが好ましい。具体的には、トルエン、ベンゼン、アセトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、イソノナンなどが例示できる。
【0087】
[(E)成分]
本発明の硬化性組成物には、反応制御剤(E)を配合することができる。反応制御剤(E)は、硬化性組成物を調合ないし基材に塗工する際に、加熱硬化前に処理液が増粘やゲル化を起こさないようにするために必要に応じて任意に添加するものである。
【0088】
具体例としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンなどが挙げられ、好ましいのは1−エチニルシクロヘキサノール、及び3−メチル−1−ブチン−3−オールである。
【0089】
反応制御剤(E)の配合量は、通常メソゲン基含有共重合体(A)及びケイ素化合物(B)の合計100質量部に対して0〜8質量部の範囲であればよく、好ましくは0.01〜8質量部であり、特に0.05〜2質量部であるのが好ましい。8質量部以下であれば、硬化性組成物の硬化性が低下するおそれもなく、配合する場合、0.01質量部以上であると反応制御の効果が十分発揮される。
【0090】
[(F)成分]
更に本発明の硬化性組成物には、熱安定性を向上させるために酸化防止剤(F)を配合してもよい。酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、有機リン化合物及び有機硫黄化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0091】
ヒンダードフェノール系化合物;
本発明で用いられるヒンダードフェノール系化合物は、特に限定されるものではないが、以下に挙げるヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(商品名:Sumilizer BHT)、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン(商品名:Nocrac NS−7)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール(商品名:Nocrac M−17)、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン(商品名:Nocrac DAH)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(商品名:Nocrac NS−6)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル(商品名:IRGANOX 1222)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(商品名:Nocrac 300)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(商品名:Nocrac NS−5)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(アデカスタブ AO−40)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(商品名:Sumilizer GM)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(商品名:Sumilizer GS)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチル−シクロヘキシル)フェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(商品名:シーノックス226M)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(商品名:IRGANOX 1520L)、2,2’−エチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1076)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(商品名:アデカスタブ AO−30)、テトラキス[メチレン−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン(商品名:アデカスタブ AO−60)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 245)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(商品名:IRGANOX 1098)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA−80)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名:IRGANOX 3114)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム/ポリエチレンワックス混合物(50:50)(商品名:IRGANOX 1425WL)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1135)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)(商品名:Sumilizer WX−R)、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン(商品名:Sumilizer GP)等。
【0092】
ヒンダードアミン系化合物;
本発明で用いられるヒンダードアミン系化合物は、特に限定されるものではないが、以下に挙げるヒンダードアミン系化合物が好ましい。
p,p’−ジオクチルジフェニルアミン(商品名:IRGANOX 5057)、フェニル−α−ナフチルアミン(Nocrac PA)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)(商品名:Nocrac 224,224−S)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(商品名:Nocrac AW)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac DP)、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac White)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac 810NA)、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nonflex TP)、4,4’(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名:Nocrac CD)、p,p−トルエンスルフォニルアミノジフェニルアミン(商品名:Nocrac TD)、N−フェニル−N’−(3−メタクロリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac G1)、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(商品名:Ozonon 35)、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン(商品名:Sumilizer BPA)、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(商品名:Antigene 6C)、アルキル化ジフェニルアミン(商品名:Sumilizer 9A)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(商品名:Tinuvin 622LD)、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]](商品名:CHIMASSORB 944)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(商品名:CHIMASSORB 119FL)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 123)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 770)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(商品名:TINUVIN 144)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 765)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(商品名:LA−57)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(商品名:LA−52)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物(商品名:LA−62)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物(商品名:LA−67)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(商品名:LA−63P)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(商品名:LA−68LD)、(2,2,6,6−テトラメチレン−4−ピペリジル)−2−プロピレンカルボキシレート(商品名:アデカスタブ LA−82)、(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−プロピレンカルボキシレート(商品名:アデカスタブ LA−87)等。
【0093】
有機リン化合物;
本発明で用いられる有機リン化合物は、特に限定されるものではないが、以下に挙げる有機リン化合物が好ましい。
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(商品名:SANKO−HCA)、トリエチルホスファイト(商品名:JP302)、トリ−n−ブチルホスファイト(商品名:JP304)、トリフェニルホスファイト(商品名:アデカスタブ TPP)、ジフェニルモノオクチルホスファイト(商品名:アデカスタブ C)、トリ(p−クレジル)ホスファイト(商品名:Chelex−PC)、ジフェニルモノデシルホスファイト(商品名:アデカスタブ 135A)、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト(商品名:JPM313)、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト(商品名:JP308)、フェニルジデシルホスファイト(アデカスタブ 517)、トリデシルホスファイト(商品名:アデカスタブ 3010)、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト(商品名:JPP100)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブ PEP−24G)、トリス(トリデシル)ホスファイト(商品名:JP333E)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブ PEP−4C)、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブ PEP−36)、ビス[2,4−ジ(1−フェニルイソプロピル)フェニル]ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブ PEP−45)、トリラウリルトリチオホスファイト(商品名:JPS312)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS 168)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト(商品名:アデカスタブ 1178)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブ PEP−8)、トリス(モノ,ジノニルフェニル)ホスファイト(商品名:アデカスタブ 329K)、トリオレイルホスファイト(商品名:Chelex−OL)、トリステアリルホスファイト(商品名:JP318E)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト(商品名:JPH1200)、テトラ(C12−C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト(商品名:アデカスタブ 1500)、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト(商品名:アデカスタブ 260)、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン−トリホスファイト(商品名:アデカスタブ 522A)、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー(HBP)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルオキシ)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフィン(商品名:P−EPQ)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニルオキシ)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフィン(商品名:GSY−101P)、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン(商品名:IRGAFOS 12)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(商品名:アデカスタブ HP−10)等。
【0094】
有機硫黄化合物;
本発明で用いられる有機硫黄化合物は、特に限定されるものではないが、以下に挙げる有機硫黄化合物が好ましい。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(商品名:Sumilizer TPL−R)、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート(商品名:Sumilizer TPM)、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート(商品名:Sumilizer TPS)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(商品名:Sumilizer TP−D)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート(商品名:Sumilizer TL)、2−メルカプトベンズイミダゾール(商品名:Sumilizer MB)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート(商品名:アデカスタブ AO−503A)、1,3,5−トリス−β−ステアリルチオプロピオニルオキシエチルイソシアヌレート、3,3’−チオビスプロピオン酸ジドデシルエステル(商品名:IRGANOX PS 800FL)、3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクデシルエステル(商品名:IRGANOX PS 802FL)等。
【0095】
上記の酸化防止剤の中でも、メソゲン基含有共重合体(A)とケイ素化合物(B)、及び溶媒との相溶性を考慮すると、特に好ましくはヒンダードフェノール系化合物であり、具体的には1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール等が挙げられる。
なお、酸化防止剤(F)は1種類に限定されるものではなく、複数種類を併用してもよい。
【0096】
酸化防止剤(F)を配合する場合の添加量としては、メソゲン基含有共重合体(A)100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部である。これより少ないと十分な効果が得られず、これより多いと相溶性が得られない可能性がある。
【0097】
また、本発明の硬化性組成物には、接着性を更に高めるため、公知の接着助剤、例えばシランカップリング剤を添加してもよい。
【0098】
本発明の硬化性組成物は、メソゲン基含有共重合体を溶媒に溶解又は分散させた上で調合することができるという特徴が失われない程度に他のポリマーを配合しても構わない。例えば、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これら樹脂を併用する場合、その使用量は、メソゲン基含有共重合体(A)100質量部に対し、0〜10,000質量部の範囲が好ましい。
【0099】
本発明の硬化性組成物には、上記樹脂や充填剤以外の添加剤として、更に目的に応じて他のいかなる成分、例えば、補強剤、増粘剤、離型剤、難燃剤、安定剤、耐炎剤、顔料、着色剤、その他の助剤等を本発明の効果を失わない範囲で添加することができる。これらの添加剤の使用量は、メソゲン基含有共重合体(A)100質量部に対し、合計で0〜40質量部の範囲であることが好ましい。
【0100】
本発明の硬化性組成物の製造方法としては特に限定されるものではないが、メソゲン基含有共重合体(A)を、上述したメソゲン基含有共重合体(A)を溶解又は分散できる溶媒に溶解又は分散させた上で、上記の各添加剤((B)、(C)及びその他の成分)を加え、均一になるまで攪拌した後に溶媒を除去するのが好ましい。
溶媒の使用量は、(A)成分100質量部に対して20〜1,000質量部、特に120〜300質量部が好ましい。
また、メソゲン基含有共重合体(A)を溶媒に溶解又は分散する方法としては、適当な容器にメソゲン基含有共重合体(A)と溶媒を必要量加えて、攪拌機、又は自転・公転ミキサーにて、溶解又は分散するまで攪拌を行うことが好ましい。
【0101】
また、溶媒除去前の粘度(23℃)は、組成物を攪拌する都合上、0.01〜100,000Pa・sが好ましく、1〜50,000Pa・sがより好ましく、50〜10,000Pa・sが特に好ましい。溶媒の除去の際は、気泡が発生しないよう、使用した溶媒の沸点より低い温度で、1時間以上、特に2〜24時間かけて行うことが好ましい。その際、減圧はしてもしなくてもよい。なお、本発明において、粘度は回転粘度計により測定できる。
【0102】
また、得られた組成物を成形して使用する際には、成形時には圧縮成形、トランスファー成形、射出成形などの方式を選択できるが、これらに限定されない。また、溶媒除去前であれば、溶液又は分散液を任意の型枠に入れ、溶媒を除去し、加熱硬化することでシート状の硬化物を得ることができる。
【0103】
硬化温度は40〜230℃が好ましく、80〜200℃がより好ましく、130〜200℃が特に好ましい。硬化温度が低すぎると硬化に時間がかかったり、付加反応が進行しなかったりする場合がある。また硬化温度が高すぎる場合は硬化物自体が劣化したり、触媒が分解や変質を起こし、硬化速度の減少等の影響が起こったりする場合がある。硬化時間は触媒や硬化温度によって変わるが、通常1〜24時間が好ましく、1〜15時間がより好ましく、1〜8時間が特に好ましい。
【0104】
本発明の硬化性組成物は、回路基板材料、抵抗・インダクタ・コンデンサ等の封止材料又は電子部品用ケース、IC・電力用トランジスタ素子用封止材料、照明機器等に使用される電球、LED、半導体レーザーなどの発光素子用封止材料及びベース基板材料、ノートパソコン・携帯電話の筐体、ランプリフレクター等の自動車部品、モーター鉄芯用絶縁ケース材料・筐体等のモーター部品、軸受け部材等の摺動部品、放熱フィンやヒートシンク・ヒートパイプ等の冷却部品、熱交換器部品、複写機ローラー部材等のOA・通信機器などに極めて有効である。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を合成例、実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの合成例・実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。また、下記例中、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
【0106】
合成例、実施例及び比較例において使用した化合物を以下に示す。
【化35】
【0107】
【化36】
【0108】
【化37】
【0109】
【化38】
【0110】
【化39】
【0111】
【化40】
【0112】
【化41】
【0113】
【化42】
【0114】
[合成例1−1]
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた3Lセパラブルフラスコに、上記式(S−1)で示されるo−アリルフェノール536.72g(4モル)、トルエン1,000g、及び0.5%カールステッド触媒0.20gを加え、オイルバスにて80℃に加熱した。その後、滴下ロートからフラスコ内に攪拌しながら上記式(S−2)で示されるテトラメチルジシロキサン268.64g(2モル)を1時間で滴下し、滴下終了後、更に80℃で1時間攪拌熟成を行った。室温まで冷却後、活性炭を加えて触媒を吸着させた後に、濾過によって活性炭と触媒を除去した。得られた溶液を減圧により、溶媒を留去して上記式(S−3)で示される両末端にフェノール基を持ったジシロキサン750.40g(93.2%収率)を得た。
【0115】
[合成例1−2]
攪拌機、温度計、及びジムロート冷却管を備えた2Lの3つ口フラスコに、上記式(S−3)で示される両末端にフェノール基を持ったジシロキサン644.29g(1.6モル)、及び上記式(S−4)で示されるテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン413.59g(1.2モル)を仕込んだ後、トリフルオロメタンスルホン酸0.53g(500ppm)を添加し、攪拌下、25℃で、10時間反応させた。
反応を終了後、固体塩基性中和剤を系内に添加し、2時間攪拌して、トリフルオロメタンスルホン酸の中和処理を行った後、濾過精製を行い、上記式(S−5)で示される両末端にフェノール基を持つビニル含有ポリシロキサン1,001.66g(94.7%収率)を得た。
【0116】
[合成例1−3]
攪拌機、温度計、窒素置換装置、ディーン・スターク装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコ内に、上記式(S−6)で示されるビフェノール279.32g(1.5モル)、上記式(S−5)で示される両末端にフェノール基を持つビニル含有ポリシロキサン661.16g(1.0モル、アルケニル基量:3当量)、上記式(S−7)で示されるドデカン二酸575.75g(2.5モル)、及び無水酢酸561.50g(5.5モル)を加えた後、窒素ガス雰囲気で150℃に加温し、1時間攪拌を行った。その後、240℃まで加温し、更に2時間攪拌を行って、理論酢酸生成量の9割程度の酢酸を留出させた後、240℃のまま減圧し、溶融重合を1.5時間行った。その結果、下記式(S−24)で示される樹脂1,239.16g(85.5%収率)を得た。この樹脂を高温GPC TSKgel GMH
HR−H(20)HT(東ソー株式会社製 7.8mmI.D.×30cm)を用い、流量0.3ミリリットル/分、溶離液1,2,4−トリクロロベンゼン、カラム温度140℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、樹脂(S−24)の重量平均分子量は19,900であった。このものを
1H−核磁気共鳴分析(
1H−NMR分析)、赤外吸収スペクトル分析(IR分析)を行った結果、下記平均構造式で示される化合物であることがわかった(アルケニル基量=0.2039mol/100g)。
【化43】
【0117】
[合成例2−1]
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた3Lセパラブルフラスコに、上記式(S−8)で示されるオイゲノール985.20g(6モル)、トルエン1,000g、0.5%カールステッド触媒0.35gを加え、オイルバスにて80℃に加熱した。その後、滴下ロートからフラスコ内に攪拌しながら上記式(S−2)で示されるテトラメチルジシロキサン402.96g(3モル)を1時間で滴下し、滴下終了後、更に80℃で1時間攪拌熟成を行った。室温まで冷却後、活性炭を加えて触媒を吸着させた後に、濾過によって活性炭と触媒を除去した。得られた溶液を減圧により、溶媒を留去して上記式(S−9)で示される両末端にフェノール基を持つジシロキサン1,311.78g(94.5%収率)を得た。
【0118】
[合成例2−2]
攪拌機、温度計、及びジムロート冷却管を備えた2Lの3つ口フラスコに、上記式(S−10)で示されるオクタメチルシクロテトラシロキサン148.31g(0.5モル)、上記式(S−4)で示されるテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン344.66g(1.0モル)、及び上記式(S−9)で示される両末端にフェノール基を持つジシロキサン462.73g(1.0モル)を仕込んだ後、トリフルオロメタンスルホン酸0.48g(500ppm)を添加し、攪拌下、25℃で、10時間反応させた。
反応を終了後、固体塩基性中和剤を系内に添加し、2時間攪拌して、トリフルオロメタンスルホン酸の中和処理を行った後、濾過精製を行い、上記式(S−11)で示される両末端にフェノール基を持つビニル含有ポリシロキサン910.20g(95.2%収率)を得た。
【0119】
[合成例2−3]
攪拌機、温度計、窒素置換装置、ディーン・スターク装置及び還流冷却器を具備した2Lフラスコ内に、上記式(S−12)で示される4,4’−ジアミノビフェニル110.54g(0.6モル)、上記式(S−11)で示される両末端にフェノール基を持つビニル含有ポリシロキサン860.11g(0.9モル)、上記式(S−7)で示されるドデカン二酸69.78g(0.3モル)、上記式(S−13)で示されるフタル酸201.35g(1.2モル)、及び無水酢酸336.90g(3.3モル)を加えた後、窒素ガス雰囲気で150℃に加温し、1時間攪拌を行った。その後、240℃まで加温し、更に2時間攪拌を行って、理論酢酸生成量の9割程度の酢酸を留出させた後、240℃のまま減圧し、溶融重合を1.5時間行った。その結果、下記式(S−25)で示される樹脂976.69g(82.7%収率)を得た。この樹脂を高温GPC TSKgel GMH
HR−H(20)HT(東ソー株式会社製 7.8mmI.D.×30cm)を用い、流量0.3ミリリットル/分、溶離液1,2,4−トリクロロベンゼン、カラム温度140℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、樹脂(S−25)の重量平均分子量は3,280であった。このものを
1H−核磁気共鳴分析(
1H−NMR分析)、赤外吸収スペクトル分析(IR分析)を行った結果、下記平均構造式で示される化合物であることがわかった(アルケニル基量=0.2970mol/100g)。
【化44】
【0120】
[合成例3−2]
攪拌機、温度計、及びジムロート冷却管を備えた2Lの3つ口フラスコに、上記式(S−14)で示されるオクタフェニルシクロテトラシロキサン396.59g(0.5モル)、上記式(S−4)で示されるテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン172.33g(0.5モル)、及び上記式(S−9)で示される両末端にフェノール基を持つジシロキサン462.73g(1モル)を仕込んだ後、トリフルオロメタンスルホン酸0.52g(500ppm)を添加し、攪拌下、25℃で、10時間反応させた。
反応を終了後、固体塩基性中和剤を系内に添加し、2時間攪拌して、トリフルオロメタンスルホン酸の中和処理を行った後、濾過精製を行い、上記式(S−15)で示される両末端にフェノール基を持つビニル含有ポリシロキサン969.43g(94.0%収率)を得た。
【0121】
[合成例3−3]
攪拌機、温度計、窒素置換装置、ディーン・スターク装置及び還流冷却器を具備した2Lフラスコ内に、上記式(S−16)で示される4,4’−ジメルカプトビフェニル163.76g(0.75モル)、上記式(S−15)で示される両末端にフェノール基を持つビニル含有ポリシロキサン773.73g(0.75モル)、上記式(S−17)で示されるフマル酸87.92g(0.76モル)、上記式(S−18)で示されるテレフタル酸125.84g(0.76モル)、及び無水酢酸336.90g(3.3モル)を加えた後、窒素ガス雰囲気で150℃に加温し、1時間攪拌を行った。その後、240℃まで加温し、更に2時間攪拌を行って、理論酢酸生成量の9割程度の酢酸を留出させた後、240℃のまま減圧し、溶融重合を1.5時間行った。その結果、下記式(S−26)で示される樹脂880.26g(80.4%収率)を得た。この樹脂を高温GPC TSKgel GMH
HR−H(20)HT(東ソー株式会社製 7.8mmI.D.×30cm)を用い、流量0.3ミリリットル/分、溶離液1,2,4−トリクロロベンゼン、カラム温度140℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、樹脂(S−26)の重量平均分子量は24,800であった。このものを
1H−核磁気共鳴分析(
1H−NMR分析)、赤外吸収スペクトル分析(IR分析)を行った結果、下記平均構造式で示される化合物であることがわかった(アルケニル基量=0.1337mol/100g)。
【化45】
【0122】
[実施例1]
上記式(S−24)で示される化合物100部にトルエン200部を加えて、練太郎ミキサーにて2,000rpm、20分攪拌を行った。そこに上記式(S−19)で示される3−メチル−1−ブチン−3−オールを0.34部、塩化第2白金を0.02部、及び上記式(S−20)で示される両末端にSi−H結合を持つテトラフェニルヘキサメチルヘキサシロキサンを32.15部(H/Vi=0.95(モル比))加えた後、上記のミキサーにて更に2,000rpm、5分攪拌し、そこに最終的に硬化成分(式(S−24),(S−20)で示される化合物)と無機充填剤が75:25体積%の比率になるように酸化ケイ素(R972、平均粒径16μm:日本アエロジル株式会社製)を加えて、再度上記のミキサーにて更に2,000rpm、20分攪拌した。得られた混合物を金型に加えて、110℃で2時間加熱し、溶媒であるトルエンを蒸発させた後、熱プレス機にて180℃で2時間加熱硬化することで、ペレット状の硬化物(成形品)を得た。これを硬化物(1)とする。
【0123】
[実施例2]
上記式(S−25)で示される化合物100部にトルエン200部を加えて、練太郎ミキサーにて2,000rpm、20分攪拌を行った。そこに上記式(S−19)で示される3−メチル−1−ブチン−3−オールを1.01部、塩化白金酸を0.03部、及び上記式(S−21)で示される両末端にSi−H結合を持つヘキサフェニルテトラメチルペンタシロキサンを105.23部(H/Vi=0.95(モル比))加えた後、上記のミキサーにて更に2,000rpm、5分攪拌し、そこに最終的に硬化成分(式(S−25),(S−21)で示される化合物)と無機充填剤が75:25体積%の比率になるように窒化ホウ素(UHP−2、粒径10μm:昭和電工株式会社製)を加えて、再度上記のミキサーにて更に2,000rpm、20分攪拌した。得られた混合物を金型に加えて、110℃で2時間加熱し、溶媒であるトルエンを蒸発させた後、熱プレス機にて180℃で2時間加熱硬化することで、ペレット状の硬化物(成形品)を得た。これを硬化物(2)とする。
【0124】
[実施例3]
上記式(S−26)で示される化合物100部にトルエン200部を加えて、練太郎ミキサーにて2,000rpm、20分攪拌を行った。そこに上記式(S−22)で示される1−エチニルシクロヘキサノールを1.00部、塩化白金酸を0.021部、及び上記式(S−23)で示されるテトラメチルシクロテトラシロキサンを7.83部(H/Vi=0.95(モル比))加えた後、上記のミキサーにて更に2,000rpm、5分攪拌し、そこに最終的に硬化成分(式(S−26),(S−23)で示される化合物)と無機充填剤が75:25体積%の比率になるように酸化アルミニウム(DAW−45、粒径45μm:電気化学工業株式会社製)を加えて、再度上記のミキサーにて更に2,000rpm、20分攪拌した。得られた混合物を金型に加えて、110℃で2時間加熱し、溶媒であるトルエンを蒸発させた後、熱プレス機にて180℃で2時間加熱硬化することで、ペレット状の硬化物(成形品)を得た。これを硬化物(3)とする。
【0125】
[実施例4]
上記式(S−24)で示される化合物100部にトルエン200部を加えて、練太郎ミキサーにて2,000rpm、20分攪拌を行った。そこに上記式(S−19)で示される3−メチル−1−ブチン−3−オールを0.34部、塩化第2白金を0.02部、及び上記式(S−20)で示される両末端にSi−H結合を持つテトラフェニルヘキサメチルヘキサシロキサンを32.15部(H/Vi=0.95(モル比))加えた後、上記のミキサーにて更に2,000rpm、15分攪拌した。このとき、粘度(23℃)は50Pa・sであった。得られた混合物を金型に加えて、110℃で2時間加熱し、溶媒であるトルエンを蒸発させた後、熱プレス機にて180℃で2時間加熱硬化することで、ペレット状の硬化物(成形品)を得た。これを硬化物(4)とする。
なお、粘度はBN型回転粘度計を使用した(以下、同じ)。
【0126】
[実施例5]
上記式(S−25)で示される化合物100部にトルエン200部を加えて、練太郎ミキサーにて2,000rpm、20分攪拌を行った。そこに上記式(S−19)で示される3−メチル−1−ブチン−3−オールを1.01部、塩化白金酸を0.03部、及び上記式(S−21)で示される両末端にSi−H結合を持つヘキサフェニルテトラメチルペンタシロキサンを105.23部(H/Vi=0.95(モル比))加えた後、上記のミキサーにて更に2,000rpm、15分攪拌した。このとき、粘度(23℃)は10Pa・sであった。得られた混合物を金型に加えて、110℃で2時間加熱し、溶媒であるトルエンを蒸発させた後、熱プレス機にて180℃で2時間加熱硬化することで、ペレット状の硬化物(成形品)を得た。これを硬化物(5)とする。
【0127】
[実施例6]
上記式(S−26)で示される化合物100部にトルエン200部を加えて、練太郎ミキサーにて2,000rpm、20分攪拌を行った。そこに上記式(S−22)で示される1−エチニルシクロヘキサノールを1.00部、塩化白金酸を0.021部、及び上記式(S−23)で示されるテトラメチルシクロテトラシロキサンを7.83部(H/Vi=0.95(モル比))加えた後、上記のミキサーにて更に2,000rpm、15分攪拌した。このとき、粘度(23℃)は60Pa・sであった。得られた混合物を金型に加えて、110℃で2時間加熱し、溶媒であるトルエンを蒸発させた後、熱プレス機にて180℃で2時間加熱硬化することで、ペレット状の硬化物(成形品)を得た。これを硬化物(6)とする。
【0128】
[比較例1]
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた3Lセパラブルフラスコに、上記式(S−6)で示されるビフェノール186.21g(1モル)、上記式(S−7)で示されるドデカン二酸241.86g(1.05モル)、上記式(S−27)で示されるN−(4−アセトキシフェニル)−マレイミド11.56g(0.05モル)、及び無水酢酸214.39g(2.10モル)を加えた後、窒素ガス雰囲気で150℃に加温し、1時間攪拌を行った。その後、240℃まで加温し、更に2時間攪拌を行って、理論酢酸生成量の9割程度の酢酸を留出させた後、240℃のまま減圧し、溶融重合を1.5時間行った。その結果、下記式(S−28)で示される樹脂310.00g(77.6%収率)を得た。この樹脂を高温GPC TSKgel GMH
HR−H(20)HT(東ソー株式会社製 7.8mmI.D.×30cm)を用い、流量0.3ミリリットル/分、溶離液1,2,4−トリクロロベンゼン、カラム温度140℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、樹脂(S−28)の重量平均分子量は7,100であった。このものに対し、赤外吸収スペクトル分析(IR分析)を行った結果、下記平均構造式で推定される化合物であることがわかった。
【化46】
得られた樹脂を細かく粉砕した後に容器の中に入れ、180℃で溶融させ、そこに無機充填剤として窒化ホウ素粉末(UHP−2、粒径10μm:昭和電工株式会社製)を樹脂:無機充填剤=75:25体積%の比率で加え、均一になるように混合した。更に溶融した混合物中に、樹脂100部に対しパークミルD(日油株式会社製)を1部均一に混合させ、熱プレス機にて210℃で4時間加熱硬化することで、ペレット状の硬化物(成形品)を得た。これを硬化物(7)とする。
【0129】
[比較例2]
上記式(S−28)で示される樹脂を細かく粉砕した後に容器の中に入れ、180℃で溶融させ、樹脂100部に対しパークミルD(日油株式会社製)を1部均一に混合させ、熱プレス機にて210℃で4時間加熱硬化することで、ペレット状の硬化物(成形品)を得た。これを硬化物(8)とする。
【0130】
[熱伝導率評価]
実施例1〜6、比較例1,2で製造した硬化物を京都電子工業株式会社製ホットディスク法熱伝導率測定装置で4φのセンサーにて熱伝導率を測定した結果、熱伝導率は表1のようになった。
【0131】
【表1】
【0132】
[弾性率評価]
SII株式会社製DMS6100で弾性率測定を行った。25℃での結果を表にまとめた。
【0133】
【表2】
【0134】
以上より、本発明の硬化性組成物によれば、硬化前は溶媒に可溶であるため、熱伝導性フィラーの充填や成形に射出成形機のような大掛かりな機材を必要とせず、取扱いが容易である。更に、本発明の硬化性組成物は、熱伝導性において従来の硬化性組成物と遜色がなく、また、弾性率が低いために、比較的クラックが生じにくく、本発明の優位性は明らかである。