【実施例1】
【0014】
本発明の第1の実施例について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。なお、同一符号は同一構成要素を示す。
【0015】
図1は、本実施例に係るプラズマ処理装置の一つであるμ波−ECRプラズマエッチング装置の概略構成断面図である。プラズマを生成のためのマイクロ波は導波管3を通して、空洞部に伝送され、真空チャンバー9の上部に設置された石英天板6、及び、シャワープレート5を介して処理室1に導入される。処理ガスは処理ガス供給手段(図示せず)から、シャワープレート5と天板6の間の空間に供給され、シャワープレート5に設けられているガス穴(図示せず)を介して処理室1内に導入される。被処理体(ウエハ)2を戴置するためのステージ電極(ステージ)4はシャワープレートの下方に対向して設置する。処理室1を減圧し、且つ、供給された処理ガスを排気するめの排気手段として、真空チャンバー9の下方にターボ分子ポンプ41が調圧バルブユニット43を介して取り付けられている。また、図示していないが真空チャンバー9の周りには磁場を形成するための磁場コイルが設置されている。
【0016】
処理室1においてウエハよりも上方の空間を形成している内壁部分にはインナーチャンバー83が設置されている。このインナーチャンバー83は石英、焼結イットリア、焼結アルミナなど絶縁性の素材である。ウエハ2と同等の高さ位置、または、ウエハ2より下側の高さ位置において、ステージ電極4と真空チャンバー9の間に、閉じこめ板89が設置されている。この閉じこめ板89には多数の穴が設けてあり、シャワープレート5から供給した処理ガスは閉じこめ板89の穴を通って排気手段側に流れるようになっている。閉じこめ板89に設けられた穴の直径は例えば5mmφ、開口率は例えば50%である。一方で、プラズマや高周波電力による電界は、この閉じこめ板89で多くが遮断されるため、閉じこめ板89よりも下方の領域ではプラズマの生成はほとんど無くなり、プラズマの生成を閉じこめ板89より上方の空間に限定することができる。この閉じこめ板89の材質は導電性の材質である例えばSiC等を用いるか、あるいは、アルミ等の導電性の母材の表面に、厚さ100μm程度の薄いアルミナやイットリア等の誘電体層を形成したものを用い、プラズマから見てアースとして機能するようにした。これにより、ウエハ2よりおおむね上方に位置する部位における内壁(インナーチャンバー83)は、厚い絶縁体(誘電体)で表面が覆われている構成とし、ウエハ面よりおおむね下方の位置において、アースとして機能する部材を設置した構成とした。また、閉じこめ板89の上面の高さ位置は、電極側で高く、チャンバー外壁側で低くなるように傾斜を付けている。また、閉じこめ板89にはターボ分子ポンプ起因の高速異物粒子を処理室下部に閉じこめる効果も有る。なお、符号86は高周波に対してアースとして機能するインナーチャンバーである。
【0017】
次にこのような内壁構成にした理由について述べる。
図2Aは導電性の壁面、または、導電性材料の表面にシースの厚さに対して薄い誘電体層を形成した壁面から剥離した異物粒子80の挙動について説明するための図である。なお、符号82はアースとして機能する面を、符号100はプラズマ102とシース101との境界を示す。プラズマ放電中に壁面から剥離した異物粒子80は壁面から剥離する前、または、剥離した直後に負に帯電する。プラズマに対して、壁面は負に帯電しているため、空間電位は壁面に近づくほど低くなっており、特にシース内では電位勾配が大きい(電界強度が強い)。そのため、負に帯電した異物粒子はシース内で急速に加速される。
図2Aに示したように、例えば壁面から剥離した時点での運動方向が斜め(
図2Aにおいては右上方向)であっても、シース101内では壁面に垂直方向に加速されるため、
図2A中の矢印A、B、Cで示したように、速度を増しながら、次第に運動方向が壁面に垂直方向になっていく。そのため、異物粒子の放出方向は壁面に垂直方向にシフトした分布となる。壁面のプラズマに対する電位(シースポテンシャル)は主に、ウエハバイアスの電圧、及び、ウエハ面積とアース面積の比率に依存する。例えばウエハ面積と、プラズマから見た実効的なアース面積が同じと見なせる場合、ウエハバイアスのPeak−To−Peak電圧を500Vとすると、この電圧はウエハとアースにそれぞれ250Vずつに分配され、ウエハ、及び、アースのシースポテンシャルはおおむねその半分、且つ、負の値である−125Vとなる。アースの実効的な面積がウエハの面積に対して大きくなるとウエハ側のシース電位が下がり、アースの側のシース電位が上がる。逆に、アースの実質的な面積が小さくなると、アース側のシースポテンシャルの落ち込みが拡大し、ウエハにおけるシースポテンシャルの落ち込みは小さくなる(電位は上がる)。ウエハバイアス電力はウエハに入射するイオンを加速することを目的としているため、アース面積を十分大きくして、ウエハ上に形成されるシースの電位を下げることが重要である。また、アースの消耗を低減するためにもアースの面積を大きくし、アースに形成されるシースの電位があまり下がらないようにして、アースに入射するイオンのエネルギーを低くするのが望ましい。なお、ウエハバイアスを印加していない場合(高周波電力による「バイアス印加の効果」がシース形成に影響しない場合)、ボーム理論によると、壁面の電位はプラズマの電位に対して、電子温度の3倍程度低い値となる。例えば、電子温度を3eVとすると、シース電位は−10V程度となる。これより、ウエハバイアスを印加しているエッチング中では、アースとして機能している壁面から剥離した異物粒子は、初速として持っている運動エネルギーに、数百ボルトで壁面に垂直方向に加速されて得る運動エネルギーの合計のエネルギーを持っていることになる。例えば、異物粒子の直径を0.1μm、比重を2g/cm
2、初速度を40m/sとする。この場合、初速として持っている運動エネルギーは約5000eVである。また、異物粒子の帯電量として電子数を100個とする。アースに形成されているシース電位は−100Vとする。この場合、シースで加速されたエネルギーは10000eVとなる。従って、プラズマに入射した際の運動エネルギーはおおむね15000eVとなる。
【0018】
図2Bには、内壁の構成として、絶縁性(誘電体)のインナーチャンバー83を導電性の部材81とプラズマ102の間に設置した場合を示している。インナーチャンバー83の厚さT2はシースの厚さT1と同程度としているが、シース厚さの数分の1以上の厚さを有する絶縁体であれば使用できる。プロセスプラズマの場合、シース101の厚さT1は一般にバイアス印加がある場合は1〜5mm程度、高周波バイアスの効果が無視できる場合は0.1〜1mm程度である。
図2Bの場合では、プラズマ生成のための高周波電力や、被処理体に入射するイオンを加速するための高周波のバイアス電力による壁面の電位の低下は小さくなる。即ち、シース電位はウエハバイアス電力の影響を受けにくくなり、ボーム理論で決定される電位により近い値となる。従って、壁面から剥離して、負に帯電している異物粒子のシースにおける加速量は
図2Aの場合に対して小さくなる。なお
図2Bでは導電性のチャンバーとプラズマの間に絶縁性のインナーチャンバー83を設置した場合を示したが、真空チャンバー9の表面に誘電体の膜が覆われていて、その表面にインナーチャンバー83を設置してもよい。また、インナーチャンバー83は導電性の材料の表面に厚い誘電体層を形成した構成でもよい。また、真空チャンバー9の表面に厚い誘電体層を設けてインナーチャンバー83を不要としてもよい。また
図2Aで述べた運動エネルギーの試算例と同様な仮定を用いると、初速としての運動エネルギーは5000eVと同じでも、シースでの加速量が10Vである場合、シースでの加速エネルギーは1000eVとなる。従って、プラズマに入射したときの運動エネルギーは6000eVとなり、
図2Aに示したインナーチャンバー83を設けない場合に比し、4割程度にまで低減(6割の低減)することができる。
【0019】
次に
図3を用いてウエハ2に入射する異物粒子の速度とウエハへの付着について述べる。既に述べたように、ウエハ2の電位はプラズマ102に対して負であるため、負に帯電している異物粒子は、静電気力としてウエハ2から遠ざかる方向に強い反発力を受ける。そのため、異物粒子の速度が遅い場合(中程度の速度の場合)、ウエハ2に向かって飛来した異物粒子の軌跡は
図3の右側(中速異物の軌跡)のようになり、ウエハ2には付着しない。一方で、異物粒子の速度が非常に速い場合は、
図3の左側(高速異物の軌跡)に示すように、異物粒子はシース101による静電気力を突破してウエハ2に到達(ある確率で反射、または、付着する)する。
図2Aと
図2Bの説明では例として、運動エネルギーの試算を示したが、そこでは
図2Aの場合は15000eV、
図2Bでは6000eVとした。ウエハ2上のシース101の電位が例えば−120Vであるとき、異物粒子の帯電量として電子数が100個の場合では、ウエハ2に垂直方向の運動エネルギー成分が12000eV以上必要である。
図2Aの場合はシース101への突入角度がシース101に垂直方向に対しておおむね±30°の角度の範囲であるときウエハ2に到達可能である。一方で、
図2Bで例として示した運動エネルギー6000eVの場合はいかなる角度でウエハ2上のシース101に突入しても軌跡は
図3の右に示したものとなり、ウエハ2へ付着することはない。ウエハ2上に形成されているシース101に突入した異物粒子がウエハ2に付着可能かは、異物粒子の速度に大きく左右され、ウエハ2に付着する異物粒子数を低減するためには、ウエハ2上に形成されたシース101に突入する時の異物粒子の速度を遅くすることが重要である。そのため、高速異物粒子が発生しやすい
図2Aの壁面はチャンバーの下方に設置し、
図2Bの高速異物粒子が発生しにくい壁面をチャンバーの上方に設置するのがよい。
【0020】
また、プラズマ102から見たアースの実効面積をできるだけ増やして、アースに形成されるシース101のポテンシャルの落ち込みを低減することも高速異物粒子の発生を抑制する手段となる。そのため、アースをチャンバー下方に設置する際は、実効的なアース面積が小さくならないような注意が必要である。
【0021】
なお、ウエハバイアスを大きくすることも、ウエハ2に向かって飛来した異物粒子がウエハ2に付着しないようにするための対策の1つではある。しかし、この場合、被処理体(ウエハ)2へのプラズマ処理(微細パターンの加工形状や処理レート)に影響が出るため、可能ならば、シース101に投入する際の異物粒子の速度を遅くするための対策を検討する方が望ましい。ただし、プラズマ102の着火や消火、ガス切り換えなど、プロセスへの影響が少ないタイミングで、敢えてウエハバイアス電力を印加することはウエハ2に付着する異物粒子数の低減策として有効である。
【0022】
また、プラズマ102に入射後に、異物粒子の速度を遅くする方法としては、チャンバー内での異物粒子の輸送距離を長くして、その間に処理ガスによるガス粘性力によって減速されること、チャンバー内壁での反射時に減速されることを利用して、反射回数を大きくすることが挙げられる。なお、発明者らが、壁面で反射した際の反射前後の壁面に垂直方向の速度の変化を調べた結果、約20%減速されることが分かった。即ち、初速度が100m/sであり、且つ、常に壁面に垂直に入射し、且つ、シース内での速度の変化を簡単のため無視すると、壁面での反射の度に80m/s→64m/s→51m/s→40m/sと徐々に減速することが期待できる。
【0023】
図1に示した構成では、ウエハ2よりも上方の空間では、壁から剥離した異物粒子が高速に加速されにくい
図2Bの構成とし、ウエハ2よりも下方の空間にアースと取るために
図2Aの構成を適用し、且つ、異物粒子が壁面に対して法線方向側に近い角度で飛散することを考慮して傾斜を付け、ウエハ2上のシース101に突入するまでに壁面での衝突回数を多くしている。例えば
図1において符号80−1で示した高速の異物粒子のように、閉じこめ板89から発生した異物粒子は確率的には多くが閉じこめ板89に対して垂直方向に近い角度(上方)に向けて飛散する。この異物粒子は壁で複数回反射し、ウエハ2直上に形成されているシース101に突入するが、このときには十分に中速異物として減速されているため、ウエハ2には付着しない。また符号80−2で示した中速の異物粒子のように、ウエハ2上方の空間から剥離した異物粒子は、内壁で反射されずに比較的短い移動距離を経て、ウエハ2上のシース101に突入することが可能である。しかし、異物粒子80−2の速度は遅いためウエハ2には付着しない。なお、高速異物粒子80−1が壁で反射される際に壁から新たに放出される高速異物粒子は無視しうる程度である。
【0024】
一方で、
図4は
図1の構成において、閉じこめ板89に傾斜を付けていない場合を示している。この場合、閉じこめ板89から発生した高速の異物粒子80−3はシャワープレート5(内壁)で1回のみ反射され、ウエハ2上のシース101に入射する。内壁での衝突による減速効果が少ないため、ウエハ2に付着するリスクが高い。以上より、閉じこめ板89に傾斜を付けることがウエハ2上のシース101に高速で入射する異物粒子数を低減する効果があることが分かる。
【0025】
以上、本実施例によれば、被処理体への異物粒子の付着量を低減することのできるプラズマ処理装置を提供することができる。
【実施例2】
【0026】
本発明の第2の実施例について
図5〜
図8を用いて説明する。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は本実施例にも適用することができる。
【0027】
図5は本実施例に係るプラズマエッチング装置の概略構成断面図である。
図5に示すプラズマエッチング装置では、ウエハ2の側方の壁面、及び、ウエハ2の斜め上方の壁面にアースとして機能する壁面を設置している。ウエハ2に対して、斜め上方にあるアース82−1は面Hに傾斜が設けてあり、この面Hの法線がウエハ2表面と交わらないように斜め上方向を向くようにしている。これにより壁面Hに平行に形成されるシースで加速されてプラズマ中に放出される異物粒子80−4は多くが壁面Hに垂直に近い方向に飛散し、直接ウエハ2に到達することがないようにしている。また、アース82−2の面Iでも傾斜を付けているが、ウエハのほぼ側面に位置している場所であるため、傾斜の向きHとは逆にしている。即ち、面Iの法線方向がウエハ2表面と交わらないように斜め下側を向くようにしている。なお、本実施例においてもステージ4と処理室1の壁面との間に閉じこめ板を設けることができる。
【0028】
これを簡単に示したのが
図6である。
図6の左図は断面が矩形(従来構成)のチャンバーとウエハを戴置するステージ4、ウエハ2が示されている。点線Zはウエハ2よりやや上の高さ位置を示している。
図6の右図は、高さZより上方に位置する側面Eは、法線がウエハ2表面と交わらないように斜め上方向を向くように傾斜が付けられている。対して。高さZより下方の側面Fは法線がウエハ2表面と交わらないように斜め下を向くようにしてあり、側面Fから発生した異物粒子がチャンバー下方に飛散するようにしている。即ち、傾斜を付けることによって、直接排気側に異物粒子を飛散可能な高さ位置の壁面では、異物粒子を排気側は飛散するように傾斜をつけている。また、直接排気側に異物粒子を飛散させることが難しい、ウエハ面よりも上方の空間では、ウエハ直上に到達するまでに、チャンバー内でできるだけ複数回壁面で衝突するように、異物粒子の放出角度がチャンバー上方となるように傾斜を付けている。
【0029】
また
図5では面Jにも傾斜が付けられており、面Jの法線がウエハ2表面と交わらないように真空チャンバー9の外側を向くようにしている。これにより、面Jに形成されたシースによって面Jに垂直に近い方向に加速されて放出された異物粒子が、直接ウエハ側に飛散しないようにしている。この角度の付け方については
図7に示した。
【0030】
図7の左図ではウエハ2に平行な壁面A、B、C、Dがある。
図7の右図ではこの壁面に傾斜を付けている。壁面A’、B’、C’で示したように、ウエハ2に平行方向の壁面A、B、Cは壁面の法線90がウエハ2表面と交わらないようにチャンバー外側を向き、即ち、ウエハ中心を垂直に通る軸線Rとは反対の方向に向くようにしている。
【0031】
ただし、チャンバーの底のDはA,B,Cとは反対側、即ち、法線が軸線R側を向いているが、これは電極4が壁面D’で発生した異物粒子に対して反射板として機能し、異物粒子がチャンバー上方に飛散しないようにすることができるためである。
図4に示したように、ウエハ側壁やウエハより上方の壁面にアースとして機能する壁面を設ける場合は、
図6、
図7で説明した考え方に基づいて、壁面に傾斜を付け、シースで加速されて放出された高速異物粒子が、例えウエハ直上に飛来するとしても、壁面での複数回の反射や、長距離の運動中に処理ガスとの粘性力によって十分減速してからウエハ上のシースに突入するようにした。なお、実施例2においても処理室下部で発生するターボ分子ポンプ起因の高速異物粒子が直接ウエハ表面に入射することを防止することができる。
【0032】
最後に運用シーケンスの観点で高速異物粒子に対する対処方法について述べる。
図8は上から順に放電電力、ウエハバイアス電力、ガス圧力を示している。横軸は時間を示している。
図8の例ではウエハ搬入→着火→STEP1のエッチング→ガス切り換え→STEP2のエッチング→除電(消火)→ウエハ搬出の順で処理する場合を示した。ウエハに対するエッチング処理への影響が少ない、着火、STEP間のガス切り換え、除電(消火)において、ガス圧を高くしている。もちろんSTEP1、STEP2のエッチング処理中も、エッチング処理への影響が無ければ、ガス圧が高い方が望ましい。ガス圧を高くすることによって、ガス粘性力による異物粒子の減速効果が大きくなるため、ウエハに向かって飛来する異物粒子の速度を遅くすることができ、「中速異物粒子」として扱える速度まで減速できれば、ウエハ上に形成されているシースによって、異物粒子がウエハに付着しないようにすることができる。また、プロセスに影響しない範囲で、処理中を含め、着火、STEP間、消火において、可能な限り高いウエハバイアス電力を印加することが有効である。
【0033】
以上、本発明について詳細を説明してきたが、これまでの説明ではシースによって異物粒子が壁面に垂直方向に加速されることを前提に述べてきた。一方で、プラズマが点いていない、即ち、シースが形成されていない状態(もしくはプラズマを用いない真空装置)でも、壁面が帯電、もしくは、壁面やチャンバー内の構成物の電位が均一でなければ、異物粒子はチャンバー内の空間電位分布に応じて加速される。もし、等電位面が壁面におおむね平行方向に形成されていると考えることができる場合には、異物粒子の電界による加速方向は壁面に垂直方向に偏った分布となるため、
図6、
図7に示した方法と同様な考え方で、チャンバー内に傾斜を付けることは有効である。
【0034】
以上、本実施例によれば、被処理体への異物粒子の付着量を低減することのできるプラズマ処理装置を提供することができる。また、被処理体に対するプラズマ処理への影響が無い、または少ない期間に処理室内部のガス圧を高める、ガス流量を上げる等により高速異物を減速することができる。
【0035】
以上、本願発明を詳細に説明したが、本発明の代表的なものの一例を示せば以下の通りである。
【0036】
被処理体を処理するための処理室と、該処理室に処理ガスを供給するための処理ガス供給手段と、前記処理室を減圧する処理室排気手段と、プラズマを生成するための高周波電源とを備えた半導体製造装置において、ウエハより上方の空間を形成する処理室の内壁には、シース厚さの数分の1以上の厚さを有する絶縁体で覆われる構成とし、ウエハより下方の領域には、アースとして機能させるため、シース厚さに対して十分薄い絶縁性の膜を有する材料か、または、導電性の素材を用いて、内壁を構成するようにした。また、アースとして機能する面について、該面の鉛直方向にウエハを見込まないように、傾斜を設け、アースとして機能する面から発生した異物粒子が、内壁等の他の部材との衝突を行わずに、直接ウエハ直上に飛来しないようにした。
【0037】
すなわち、壁面から剥離し、シースで加速されて発生した高速の異物粒子の初期の運動方向がウエハ表面に直接到達しない方向とすることで、高速異物粒子がウエハ面上に形成されるシースに突入するまでの運動距離、及び、壁面での衝突回数を大きくして、静電気力によって十分輸送を制御できるレベルまで減速させ、ウエハに付着しないようにした。これにより、エッチング中に被処理体に付着する異物数を少なくすることができ、半導体装置の歩留まりを向上させることができる。
【0038】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。