【0025】
[有機溶媒]
本発明の目的を達しうる有機溶媒は、特に限定されないが、例えば分子中に少なくとも1個以上の水酸基を含有しており、例えば炭素数1〜8、好ましくは炭素数2〜7、さらに好ましくは炭素数3〜6の飽和脂肪族アルコール類、炭素数2〜16、好ましくは炭素数3〜14、好ましくは炭素数5〜12のグリコール類、炭素数4〜20、炭素数4〜18、炭素数4〜15のグリコールエーテル類等が挙げられ、1種または2種以上混合して
用いることができる。飽和脂肪族1価アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、2−エチルヘキシルアルコール等が挙げられる。グリコール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が挙げられる。グリコールエーテル類としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が挙げられる。
なかでも炭素数6〜12の高級有機溶剤を用いることが好ましく、特にプロピレングリコールモノブチルエーテルが好ましく用いることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[基板の製造]
シリコーン樹脂ノナン溶液接着剤を用い、直径8インチシリコン半導体基板(直径200mm、厚さ:725μm)上にスピンコートにて10μmの膜厚で接着層を形成した。8インチガラス基板(ガラスウエハ)を支持基板とし、この支持基板と、接着層を有するシリコン半導体基板を真空接合装置内で200℃にて接合し、ウエハ、接着層、及び支持基板からなる積層体を作製した。その後グラインダーを用いてシリコン半導体基板の裏面研削を行った。最終基板厚50μmまでグラインドした。続いて積層基板のうちシリコン半導体基板を水平に固定しておき、支持基板を剥離した後、ノナンに6分間浸漬し、接着層を除去した後乾燥させることにより、洗浄試験用シリコン半導体基板を作製した。この時、基板表面の水接触角は108
度であり、X線電子分光装置で基板表面の元素分析を行なった結果、Si含有率は23%であった。なお、Si含有率は、シリコン基板由来のSiは除く。
【0037】
(実施例1)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、TMAH・五水和物4g、水1g、1−ブトキシ−2−プロパノール95gを仕込み、室温で撹拌し、TMAH・五水和物を溶解させ洗浄剤組成物Aを得た。
【0038】
(実施例2)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、25%TPAH水溶液4g、1−プロポキシ−2−プロパノール96gを仕込み、室温で均一になるまで撹拌し、洗浄剤組成物Bを得た。
【0039】
(実施例3)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、37%TBAHメタノール溶液2.7g、水0.3g、1−ブタノール97gを仕込み、室温で均一になるまで撹拌し、洗浄剤組成物Cを得た。
【0040】
(実施例4)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、35%TEAH水溶液1.5g、1−ブトキシ−2−プロパノール98.5gを仕込み、室温で均一になるまで撹拌し、洗浄剤組成物Dを得た。
【0041】
(実施例5)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、35%TEAH水溶液1.5g、水0.5g、1−ヘキサノール49g、1−ブトキシ−2−プロパノール49gを仕込み、室温で均一になるまで撹拌し、洗浄剤組成物Eを得た。
【0042】
(実施例6)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、35%TEAH水溶液2.86g、水0.14g、ジプロピレングリコール48.5g、1−ブトキシ−2−プロパノール48.5gを仕込み、室温で均一になるまで撹拌し、洗浄剤組成物Fを得た。
【0043】
(実施例7)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、35%TEAH水溶液5.71g、水0.09g、メタノール47.15g、1−プロポキシ−2−プロパノール47.15gを仕込み、室温で均一になるまで撹拌し、洗浄剤組成物Gを得た。
【0044】
(比較例1)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、35%TEAH水溶液0.14g、水0.86g、1−ブトキシ−2−プロパノール99gを仕込み、室温で撹拌し洗浄剤組成物Hを得た。
【0045】
(比較例2)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、TMAH・五水和物6g、水2g、1−ブトキシ−2−プロパノール92gを仕込み、室温で撹拌し、TMAH・五水和物を溶解させ洗浄剤組成物Iを得たが、水層が分離し、良好な洗浄剤組成物を得ることはできなかった。
【0046】
(比較例3)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、水3g、1−プロポキシ−2−プロパノール97gを仕込み、室温で均一になるまで撹拌し、洗浄剤組成物Jを得た。
【0047】
(比較例4)
攪拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた500mlフラスコに、10%TEAHプロピレングリコール溶液5g、1−ブトキシ−2−プロパノール95gを仕込み、室温で均一になるまで撹拌し、洗浄剤組成物Kを得た。
【0048】
(実施例1〜7、比較例1〜4)
前記シリコン半導体基板を洗浄剤組成物A〜Kを用いて浸漬により6分間洗浄を行なった。洗浄剤組成物の評価として下記評価を行なった。各組成物の組成比と結果を表1に示す。
【0049】
[外観]
洗浄剤組成物の外観を目視にて確認した。沈殿物の析出や、水層の分離等の不具合を確認し、異常が確認されなかった場合は○、異常が確認された場合は×で示す。
【0050】
[基板表面洗浄性評価]
製造されたシリコン半導体基板を、洗浄剤組成物A〜H及びJそしてKを用いて洗浄を行なった。具体的には洗浄液組成物A〜H及びJそしてKに任意の時間浸漬後、1分間純水で洗い流し、乾燥させたシリコン半導体基板表面の水接触角を確認した。洗浄前の水接触角は108°であり、接触角が30°未満となるまでに要した時間が、6分未満の場合は◎、6分以上10分未満の場合は○、10分以上場合は×で示す。
測定装置:協和界面科学(株)製 接触角計 DM−301
【0051】
[基板表面洗浄後水接触角]
製造されたシリコン半導体基板を、洗浄剤組成物A〜H及びJそしてKを用いて洗浄を行なった。具体的には洗浄液組成物A〜H及びJそしてKに6分間浸漬後、1分間純水で洗い流し、乾燥させたシリコン半導体基板表面の水接触角を上記装置を用いて確認した。
【0052】
[洗浄後基板表面分析]
製造されたシリコン半導体基板を、洗浄剤組成物A〜H及びJそしてKを用いて洗浄を行なった。具体的には洗浄液組成物A〜H及びJそしてKに6分間浸漬後、1分間純水で洗い流し、乾燥させたシリコン半導体基板表面をX線電子分光装置を用いて洗浄後基板表面の元素分析を行い、Si含有率を分析した。
測定装置:KRATOS製 AXIS−Ultra DLD
【0053】
【表1】
【0054】
表1の結果より、本発明の基板の洗浄剤組成物の構成要件を満たす実施例1〜実施例7において、短時間で良好な洗浄性が得られ、基板の腐食は見られなかった。
一方、本発明の基板の洗浄剤組成物の構成要件を満たさない比較例1〜比較例4において、良好な洗浄性を得ることはできず、また、基板の腐食も発生した。
これより、本発明の基板の洗浄剤組成物であれば、薄型基板でも短時間で良好な洗浄性が得られ、基板を腐食することなく高効率でシリコン半導体基板の洗浄が可能となることが確認された。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。