特許第6165890号(P6165890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165890
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ質量分析装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/06 20060101AFI20170710BHJP
   H01J 49/10 20060101ALI20170710BHJP
   H01J 49/04 20060101ALI20170710BHJP
   G01N 27/62 20060101ALI20170710BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   H01J49/06
   H01J49/10
   H01J49/04
   G01N27/62 E
   G01N27/62 G
   G01N27/62 X
   G01N30/72 C
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-558748(P2015-558748)
(86)(22)【出願日】2014年12月5日
(86)【国際出願番号】JP2014082189
(87)【国際公開番号】WO2015111311
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2016年6月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-12077(P2014-12077)
(32)【優先日】2014年1月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】梅田 光洋
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 信二
(72)【発明者】
【氏名】吉江 正樹
(72)【発明者】
【氏名】照井 康
【審査官】 杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−357488(JP,A)
【文献】 特表2004−507875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N27/60−27/70
27/92
H01J40/00−49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフィとの接続が可能な液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
イオン源と、質量分析部と、検出器とを備え、
さらに、平行に配置された3枚の電極を備え、
第1電極および第2電極は、イオンを通過させる開口部を有し、
第2電極と第3電極との間でイオンの軌道を偏向し、イオン源で生成されたイオンを質量分析部側へ導入し、
第2電極および第3電極を用いて、これらの間の空間内でイオン移動度による分離を行うことを特徴とする液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
第1電極および第2電極に設けられた開口は、円形であることを特徴とする液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
3枚の電極を加熱する加熱部を備えている液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項4】
請求項に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
イオン源は、高電圧印加部、スプレーチップ、イオン源ブロックを備えており、
第1電極とイオン源ブロックとの間に断熱部材を備えている液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項5】
請求項に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
スプレーチップの先端と第1電極および第2電極に設けられた開口は同軸上に配置されている液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
前記3枚の電極は大気圧下に設けられている液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項7】
請求項1に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
第2電極と第3電極との間での偏向後にイオンを質量分析部側へ導入する真空部導入電極を備える液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項8】
請求項に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
第2電極と第3電極との中心と、真空部導入電極の中心が同軸上に配置されている液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項9】
請求項に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
スプレーチップの先端と第1電極および第2電極に設けられた開口は同軸上に配置されており、
第2電極と第3電極との間での偏向後にイオンを質量分析部側へ導入する真空部導入電極を備え、
第2電極と第3電極との中心と、真空部導入電極の中心が同軸上に配置されており、
スプレーチップの先端と第1電極および第2電極に設けられた開口とを結ぶ軸と、第2電極と第3電極との中心と、真空部導入電極の中心とを結ぶ軸とは互いに交差する液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項10】
請求項に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
イオン源は、高電圧印加部、スプレーチップ、イオン源ブロックを備えており、
イオン源ブロック、第1電極、第2電極、および第3電極は、一体として取り付けおよび取り外しが可能である液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項11】
請求項に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、
イオン源は、高電圧印加部、スプレーチップ、イオン源ブロックを備えており、
加熱部はさらにイオン源ブロックも加熱する液体クロマトグラフ質量分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境、食品、医薬、法医学などの分野において、微量(ppm〜ppbオーダー)の多成分を高感度に定性/定量情報を取得する手法として、液体クロマトグラフ質量分析装置が多く用いられている。そのため、質量分析法の特長のひとつである高感度はもちろんのこと、より簡便で、耐久性の高い装置、簡単にメンテナンスが可能な装置が求められている。
【0003】
液体クロマトグラフィーと質量分析計との接続において、一般的に用いられるイオン化法としては、エレクトロスプレーイオン化法を用いたエレクトロスプレーイオン源(ESI)があり、これらは、大気圧下で試料溶液を噴霧し、イオン生成を行うイオン化法であり、選択的に分子量情報を持つイオンが生成されることが特徴である。エレクトロスプレーイオン源(ESI)による液体クロマトグラフ質量分析装置は、液体クロマトグラフにより混合試料を成分毎に分離し、大気圧化のイオン化部において、イオン生成を行う。その後、第一細孔等を経由し、質量分析部に導入され、質量分離を行い、検出部にてイオン強度の検出を行い、データ処理装置にてマススペクトル及びクロマトグラムデータとして表示される。質量分析部に使用される質量分析装置は、四重極型質量分析計、イオントラップ、タンデム型四重極質量分析計、飛行時間型質量分析計等の形態がある。一般的に液体クロマトグラフィーで用いられる移動相溶媒の流量は、数百μL/min〜数mL/minであり、このように液体クロマトグラフィーから送液される高い流量で噴霧された試料溶液の液滴の気化効率を上げるためには、噴霧された試料溶液の液滴の気化を促進するために加熱されたN2等の乾燥ガスを試料液滴に対して吹き付ける方法がある。この際、噴霧により生成された試料溶液の液滴を十分に気化するために、試料溶液の液滴とN2等の乾燥ガスとを十分攪拌することが重要となる。そのため、イオン化構造も複雑になり、高温ガスの使用等イオン化部も大きな構造となる場合が多い。近年、液体クロマトグラフィーからの送液流量が高い場合、イオン化時に気化させることは困難となるため、高感度を目的とした数百nL/min〜数μL/minの流量でイオン化を行うナノ・マイクロエレクトロスプレーイオン化法が使用される。スプレーを行うサンプル量を少なくし、少量ずつ吐出してスプレーすることにより、高流量で必要となる高温ガスの使用やイオン化電圧も低くすることが可能となり、イオン源構造も小さく設計することが可能となる。しかし、この様な低流量でエレクトスプレーを行う場合、スプレー部先端の開口部の内径が数十μm〜100μmと微小口径となり、サンプルによる詰まりの要因となり、スプレー部のメンテナンス・交換作業が多くなる場合が多い。また、微小口径となるために、イオン導入口との位置関係も重要となるために、スプレー部の交換等のメンテナンス作業を行う度に良好なイオン化状態となるための位置調整を毎回行う必要もある。そのため、高感度化を行うためにマイクロエレクトロスプレーイオン化法を使用した場合、装置に求められる簡便で、耐久性の高い装置、簡単にメンテナンスが出来るという点を両立出来ていない。
【0004】
特許文献1に示される様に、低流量に対応したマイクロエレクトロスプレーイオン化法を用いたイオン源構成に関する特許がある。試料のイオン化を行うスプレー部から質量分析計へとイオン導入する細孔部が一直線上に配置される様に固定する方法があるが、この場合、噴霧された試料溶液の中でイオン化に関与しない中性分子や液滴もすべて対向するイオン導入口に噴霧されるために、イオン導入口の表面の汚れ、細孔内の汚れ、真空内部の汚れの影響を受けることが考えられる。一直線上に配置することにより、イオン導入量を多くし、信号強度の増加及び安定性は確保出来ても、耐久性の高い質量分析計を提供することは難しい。また、真空内部への影響が出た場合、メンテナンス時に装置の真空を停止し、メンテナンスを行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8227750号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液体クロマトグラフ質量分析装置における液体クロマトグラフとの接続において、一般的に液体クロマトグラフで用いられる移動相溶媒の流量は、数百μL/min〜数mL/minであり、この様な流量で送液される試料溶媒を噴霧する場合、噴霧された試料溶液の液滴の気化を促進するために高温に加熱されたN2等の乾燥ガスを試料液滴に対して吹き付ける等行い、高感度を行っている。しかし、イオン源構造が複雑化、また大きくなることより、イオン源に導入するサンプル量を数百nL/min〜数μL/minの流量にして、少量ずつ吐出してスプレーすることにより、高流量で必要となる高温ガスの使用やイオン化電圧も低くする手法が高感度測定で用いられる。しかし、この様な低流量でエレクトスプレーを行う場合、スプレー部先端の開口部の内径が数十μm〜100μmと微小口径となり、サンプルによる詰まりの要因となり、スプレー部のメンテナンス・交換作業が多くなる場合が多い。また、スプレー部が微小口径となるために、イオン導入口との位置関係も重要となるために、スプレー部の交換等のメンテナンス作業を行う度に良好なイオン化状態となるための位置調整を毎回行う必要もある。
【0007】
また、液体クロマトグラフ質量分析装置において求められる耐久性の高い装置という観点では、液体クロマトグラフから送液されたサンプルが質量分析装置に導入される際のサンプルの溶媒由来イオン、荷電されていない中性粒子が質量分析装置内の検出器に衝突し観測されるノイズがある。これらが真空内部に導入された場合、真空内のイオンレンズ系や質量分析部が汚染された場合、真空を停止しメンテナンスを行う必要があり、装置の再立ち上げまでに長い時間を有することとなり、メンテナンスも専門的な知識が必要であり、装置の汚染対策は、大気側(真空を停止しないで)で行うことが切望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体クロマトグラフ質量分析装置は、液体クロマトグラフィとの接続が可能な液体クロマトグラフ質量分析装置であって、イオン源と、質量分析部と、検出器とを備え、さらに、平行に配置された3枚の電極を備え、第1電極および第2電極は、イオンを通過させる開口部を有し、第2電極と第3電極との間でイオンの軌道を偏向し、イオン源で生成されたイオンを質量分析部側へ導入する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エレクトロスプレーイオン化法を用いたマイクロエレクトロスプレーイオン源(ESI)において、イオン源のスプレー部先端から対向電極、前段電極、後段電極および真空部導入電極までを同軸になる様に一体型のイオン化構造を有する液体クロマトグラフ質量分析装置の提供が可能となり、この構造により、イオン化時にイオン化されなかった中性粒子、液体クロマトグラフに使用する溶媒由来の低分子イオンが低減し、装置の感度が向上する。同時に、液体試料を質量分析装置で測る際に発生する汚れを大気側で分別することも可能となり、装置メンテナンスを大気下で実施することが可能であり、メンテナンス後のスプレー部の位置再現性も向上し、ユーザ側でのメンテナンス作業後、イオン化条件設定も容易となるマイクロエレクトロスプレーイオン源(ESI)を用いた液体クロマトグラフ質量分析の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明における質量分析装置の構成の一例。
図2】本発明におけるイオン源から真空部導入電極までの構成詳細。
図3】本発明におけるイオン源から真空部導入電極までを上部から見た構成詳細。
図4】本発明におけるイオン源から真空部導入電極までを側面から見た構成詳細。
図5】本発明におけるイオン源から真空部導入電極までの構成詳細ヒータと断熱。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0012】
図1は本発明による質量分析装置の構成例の概略図である。液体クロマトグラフィ100から送液(0.5μL/min〜10μL/min)された試料溶液は、配管101を介し、スプレーチップ102に導入される。試料溶液は、マイクロエレクトロスプレーイオン化法を用いて、イオン生成を行うために、高電圧印加部位103で高電圧を印加された後に、スプレーチップ102に導入されることにより試料溶液は静電液滴となり、さらに液滴の体積収縮によりイオン化される。イオン源ブロック104は大気圧下にある。生成したイオンは、平面版形状の対向電極105のスリットを通過する。対向電極105を通過したイオンは前段電極106のスリットを通過し、前段電極106と後段電極107の間に導入される。前段電極106および後段電極107は、対向電極105と同様、平面版形状で平行に配置される。イオンは前段電極106および後段電極107の間で偏向され、真空部導入電極108に進む。真空部導入電極108は大気圧部109と真空圧部110の真空隔壁を担っており、イオンは真空部導入電極108の細孔から真空圧部110に導入される。イオンは真空圧部110の細孔111を通り、質量分析計112で質量分析される。イオンは検出器113により検出され、PC114でデータ取得される。PC114はデータ取得の他、装置制御も行う。
【0013】
図2はイオン源ブロック104から真空部導入電極108までの詳細図である。イオン源ブロック104の内部は、スプレーチップ102を固定するためのチップ固定部120と、空洞部121からなる。スプレーチップ102はチップ固定部120によって固定され、スプレーチップ102の先端は空洞部121に入ったところに位置する。チップ固定部120の中心と対向電極のスリット122の中心が同軸上になるようにイオン源ブロック104と対向電極105を垂直に密接させる。これにより、チップ固定部120で固定されたスプレーチップ102は、対向電極のスリット122の中心と同軸上となり、イオンは対向電極のスリット122の中心を通過可能となる。
【0014】
また、対向電極105、前段電極106と後段電極107については、3枚の電極がすべて平行に配置されるように真空部導入電極108と垂直方向に配置する。この際、前段電極106にも対向電極105と同様にイオンを通過させる同形状のスリットを設けることにより対向電極のスリット122の中心と前段電極のスリット123の中心が同軸上に配置される。この配置によりスプレーチップ102でマイクロエレクトロスプレーイオン化法により生成したイオンは、効率良く、前段電極106と後段電極107の間の空間に導入される。なお、前段電極106および後段電極107の2枚の平行板を用いて、空間内でイオン移動度による分離機能を搭載しても良い。
【0015】
その後、イオンについては、前段電極106と後段電極107との電位差により真空部導入電極108を通過し、真空圧部110へと導入される。
【0016】
図3はイオン源ブロック104から真空部導入電極108までを上部からみた詳細図である。また、図4はイオン源ブロック104から真空部導入電極の細孔124までを側面からみた詳細図である。前段電極106の中心を通過したイオンは、前段電極106と後段電極107の間で直角に曲がり、真空部導入電極108に進む。前段電極106と後段電極107の中間が、真空部導入電極の細孔124の中心と同軸上になるように、前段電極106および後段電極107を真空部導入電極108に垂直に密接させる。これにより、イオンは前段電極106と後段電極107の間で曲がった後、真空部導入電極の細孔124の中心を効率良く通過可能となる。
イオンが通過する対向電極のスリット122および前段電極のスリット123は横幅が約0.5mm、縦幅が約5mmであり、また、真空部導入電極の細孔124は内径が約0.4mmとする。さらに、十分な感度を得るためにスプレーチップ102の先端は、対向電極のスリット122の中心から横幅が±約0.2mm、縦幅が±約1.5mm、また、スリットからの距離については、スプレーチップ102に導入される流量に応じて可変可能な構造を有し、15mm以内に配置できる必要がある。そのため、良好なイオン化状態を作り出すために、これらのスリットおよび細孔の位置精度は重要となる。また、対向電極105および前段電極106のスリットの形状は内径2〜4mmの円口径でも構わない。本構造では、イオン源ブロック104のスプレーチップ102先端から対向電極105、前段電極106、後段電極107および真空部導入電極の細孔124までが同軸となることから、高い位置精度が維持される。従って、生成したイオンを効率よく真空圧部110に導入可能となる。
【0017】
また、本構成において、ロバスト性の向上を行うために、対向電極105と前段電極106に間に窒素ガスを導入する機構を設ける。これにより、対向電極105以降の電極以降にイオン化に関与しない中性分子や液滴等の混入を防ぐこととなる。さらに、生成したイオンは、前段電極106と後段電極107の間で直角に曲がり真空圧部110に入り、イオン化に関与しない中性分子や液滴等は前段電極106と後段電極107の間を抜けることが出来ないため、真空部導入電極108を通過することが出来ない。そのため、真空圧部110の汚れを軽減することが可能となり、質量分析計としてのロバスト性の向上となる。
【0018】
また、イオン源ブロック104、対向電極105、前段電極106、後段電極107および真空部導入電極108は一体型構造となるように設計されることにより、メンテナンス作業を行う際に各電極やイオン源ブロック104を取り外しした後の再取り付け時にも位置再現性が向上し、良好なイオン化状態にするための位置調整が不要となる。
図5はイオン源ブロック104から真空部導入電極108までの詳細図を示した図2に、ヒータ130と断熱材131を追加した図である。イオン源ブロック104のスプレーチップ102から噴霧された試料溶媒の脱溶媒効果を得るために、ヒータ130からの熱により対向電極105、前段電極106、後段電極107を加温する。この際に、イオン源ブロック104とスプレーチップ102を同様に高温に加温した場合に液体クロマトグラフィより導入された試料溶媒が突沸することが考えられる。そのため、試料溶媒の突沸を抑えるために70℃以下にする必要がある。そのため、イオン源ブロック104と対向電極105の間に断熱材131を挟むことで対向電極105、前段電極106、後段電極107の3枚の電極部とイオン源ブロック104とスプレーチップ102のスプレー部との温度勾配を可能にし、試料溶媒の突沸を抑え、安定した高感度のイオン化を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0019】
100 液体クロマトグラフィ
101 配管
102 スプレーチップ
103 高電圧印加部位
104 イオン源ブロック
105 対向電極
106 前段電極
107 後段電極
108 真空部導入電極
109 大気圧部
110 真空圧部
111 細孔
112 質量分析計
113 検出器
114 PC
120 チップ固定部
121 空洞部
122 対向電極のスリット
123 前段電極のスリット
124 真空部導入電極の細孔
130 ヒータ
131 断熱材
図1
図2
図3
図4
図5