(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166594
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】ガラスフレークに基づく多層顔料
(51)【国際特許分類】
C09C 1/28 20060101AFI20170710BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
C09C1/28
C09C3/06
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-128442(P2013-128442)
(22)【出願日】2013年6月19日
(62)【分割の表示】特願2010-87956(P2010-87956)の分割
【原出願日】2002年7月1日
(65)【公開番号】特開2013-177639(P2013-177639A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2013年7月19日
【審判番号】不服2015-9810(P2015-9810/J1)
【審判請求日】2015年5月27日
(31)【優先権主張番号】01117004.0
(32)【優先日】2001年7月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(74)【復代理人】
【識別番号】100118957
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 晴子
(72)【発明者】
【氏名】アンブロジウス、 クラウス
(72)【発明者】
【氏名】アンゼルマン、 ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】シェーン、 ザビーン
【合議体】
【審判長】
冨士 良宏
【審判官】
國島 明弘
【審判官】
日比野 隆治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−533510(JP,A)
【文献】
特表2003−508575(JP,A)
【文献】
特表2002−509561(JP,A)
【文献】
特表2001−520296(JP,A)
【文献】
特開2001−31421(JP,A)
【文献】
特開2001−19908(JP,A)
【文献】
特開2001−11340(JP,A)
【文献】
特表2000−517374(JP,A)
【文献】
特表2000−505833(JP,A)
【文献】
特表2000−501774(JP,A)
【文献】
特開2000−345096(JP,A)
【文献】
特開2000−239559(JP,A)
【文献】
特表平11−510552(JP,A)
【文献】
特開平9−31355(JP,A)
【文献】
特開平8−302236(JP,A)
【文献】
特開平8−109341(JP,A)
【文献】
特表平7−504932(JP,A)
【文献】
特表平7−502060(JP,A)
【文献】
特開平6−145553(JP,A)
【文献】
特開平6−116508(JP,A)
【文献】
特開平6−116507(JP,A)
【文献】
特開平6−32996(JP,A)
【文献】
特開平9−155904(JP,A)
【文献】
特開平4−292426(JP,A)
【文献】
特開平4−227666(JP,A)
【文献】
特開平4−173955(JP,A)
【文献】
特開昭62−285956(JP,A)
【文献】
特公昭49−49173(JP,B1)
【文献】
特公昭43−25644(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 3/06,C09D17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み1μm未満のガラスフレークが(S1)SnO
2層で被覆されており、該層(S1)が、下記層
(A)〜(B)の層配列を含む多層で被覆されており、
(A)屈折率n>1.8である被覆、
(B)屈折率n≦1.8である被覆、および、
(C)屈折率n>1.8である被覆、
但し、層束(A)+(B)が層配列(A)+(B)+(C)に4回まで存在してもよく、
該層(A)〜(C)が金属酸化物、金属サブオキサイド、金属硫化物あるいはこれらの混合物からなり、かつ該
層束(A)+(B)を含んでいてもよい層配列(A)+(B)+(C)が下記層構造を有し、
【表1】
かつ、層(A)、(B)、(C)及び(S1)が、それぞれ、厚み10〜550nm、
5〜1000nm、50〜550nm、1〜50nmである
ことを特徴とするガラスフレークを基礎とする多層顔料。
【請求項2】
前記屈折率n>1.8の層が、TiO2、Fe2O3、TiFe2O5、Cr2O3、SnO2、チタン酸鉄、チタンサブオキサイド、金属硫化物あるいはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の多層顔料。
【請求項3】
前記屈折率n≦1.8の層がSiO2またはAl2O3であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層顔料。
【請求項4】
前記層(A)が、TiO2であることを特徴とする請求項1に記載の多層顔料。
【請求項5】
前記層(B)が、SiO2であることを特徴とする請求項4に記載の多層顔料。
【請求項6】
前記層(C)が、TiO2、Fe2O3またはTiO2/Fe2O3であることを特徴とする請求項4または5に記載の多層顔料。
【請求項7】
前記層配列がさらに
(D)保護外層
を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層顔料。
【請求項8】
湿式化学被覆法によるか化学的または物理的気相堆積法によってガラスフレークを被覆すること、および被覆されたガラスフレークを焼成することを含む方法により製造されたものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層顔料。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層顔料を製造する方法であって、湿式化学被覆法によるか化学的または物理的気相堆積法によってガラスフレークを被覆すること、および被覆されたガラスフレークを焼成することを含む多層顔料を製造する方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層顔料の、プラスチック、塗装材、粉末塗装材、ペンキ、インキ、印刷インキ、ガラス、陶磁器、農業用フォイルでの、または、化粧処方での使用、あるいは、紙およびプラスチックのレーザーマーキングのための使用。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層顔料を含む顔料配合物。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層顔料を含む非粉塵粉末、ペーストおよび顆粒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフレークに基づく多層顔料に、その顔料の製造方法に、そして、プラスチック、ペンキ、塗料、粉末塗料、インキ、印刷インキ、ガラス、陶磁器、農業用フォイルに、紙およびプラスチックのレーザーマーキングのために、および化粧処方にそれを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
光沢顔料あるいは特殊効果顔料は工業に、特に自動車部品の分野に、装飾塗装に、プラスチックに、ペンキに、印刷インキに、化粧処方に用いられている。
【0003】
高屈折率層と低屈折率層を交互にした多層干渉顔料は公知である。それらは担体物質のおよび個別層の物質の点において、および製造工程において異なる。層は湿式工程での製造によるか真空下における気相蓄積かスパッタリングによって形成される。担体にあるいはリリース層に付け加える層は、すべて光学的に活性であり、干渉色の発生に寄与する。
【0004】
特許文献1には、アルミニウムのような反射性金属の中心層とそれぞれ高屈折率および低屈折率である2つの透明な誘電性物質、例えば二酸化チタンと二酸化シリコンのような、の交互の層からなる多層干渉顔料が開示されている。この多層顔料は証券あるいは紙幣のような偽造防止製品への使用に好ましい。
【0005】
特許文献2には、基材が二酸化チタンと二酸化シリコンの交互層で被覆された、金属光沢を有する多層干渉顔料が開示されている。基材はアルミニウム、金あるいは銀の、または金属で被覆された雲母あるいはガラスのフレークからなっている。しかし、干渉顔料のあるいは干渉顔料が要求する特徴である深み効果については発生させることができない。これは芯を形成する金属層で光の全反射のゆえである。従って、干渉効果は金属層の頂点に局在された層に限定される。さらに、基材の透明性欠如が適応場面に関係した処方において別の顔料との組み合わせに対する選択の自由を制限する。
【0006】
特許文献3および4には、例えば、二酸化シリコンあるいはフッ化マグネシウムのような低屈折率の誘電性フィルムとクロムあるいはアルミニウムのフィルムのような部分的に透明な金属フィルムで交互に両面が被覆された中心が本質的に非透明のアルミニウムである金属光沢顔料が記載されている。製造工程のために、これらの顔料の中心金属フィルムは薄片の上面下面のみが被覆されており、そのために端末領域は切断端を構成し、媒体に対し開いた状態にある。
【0007】
特許文献5〜8には、金属薄片、特にアルミニウムフレークを、二酸化シリコン層のような低屈折率の金属酸化物層でおよび高屈折率の非選択性に吸収する金属酸化物層または金属層で、CVDまたは湿式化学技法を用いて、被覆することによって製造された光沢顔料が開示されている。
【0008】
金属基材に基づく光沢顔料はしばしば、良い隠蔽性を含む、良い性質を示すが、例えば、ペイントにおけるような、適応場面における効果が“きつい”金属光沢であり、これはしばしば望ましくない。
【0009】
“きつい”金属光沢を示さない透明薄片状基材に基づく光沢顔料が特許文献9の対象である。雲母フレークがTiO
2のような高屈折率金属酸化物層でおよび非選択的に吸収する層で被覆される。TiO
2層の厚みに依存して、これらの顔料を直接に見たときは、視野角が傾くに連れて徐々に弱くなっていき、終には灰色あるいは黒色になる特別の干渉色が表れる。干渉色は変化しないが、減退が彩度において観察された。
【0010】
特許文献10は反射金属層でおよびSiO
2とTiO
2の交互の層で覆われたガラスフレークまたは雲母粒子に基づく光沢顔料をクレームしている。
【0011】
特許文献11では、高屈折率を有し、可視光に少なくとも部分的に透明であり、少なくとも低屈折率の無色の塗装と選択的にあるいは非選択的に吸収する反射塗装を含む一層構成を有する多層に被覆された、非金属製の薄片状の基材に基づく光沢顔料が開示されている。
【0012】
この発明の欠点は、技術的に非常に複雑でコストの係る製造工程であり、要求製品品質に顔料を再現することはしばしば困難であることである。
【0013】
特許文献12には、金属酸化物の透明な層が堆積される酸性溶液に不溶である核となる物質がガラスフレーク上に最初に堆積されるという条件で、二酸化チタンのような高屈折率を有する金属酸化物の透明な層でガラスフレークが被覆されうることが開示されている。この特許は高品質の干渉顔料が達成されるには平滑で透明なフィルム、粒子ではない、が必要であることは記載していない。この特許はガラスの性質が重要でないが、核となる表面の存在が重要であることを示唆している。さらに、酸性溶液に不溶であり、ガラスフレーク上に核となる表面を形成することのできる金属酸化物からなる化合物はわずかしかないことが述べられている;開示された、唯2つのそのような物質は酸化スズおよび繊維状ベーマイト形の一水和アルミナである。後述する実施例において示されるように、この特許での示唆に従って製造される製品は品質において劣っている。
【0014】
特許文献13は二酸化チタンのような金属酸化物の濃厚な保護被覆層が形成される金属被覆層を有するガラスフレーク基材を示唆している。この特許では、ガラスの性質は重要でなく、金属被覆が望ましい外観を提供し、金属酸化物の外装は腐食性環境から金属層を守るために存在する。
【0015】
真珠光沢のある顔料を製造するためには、扁平な基材の透明性および厚さがきわめて重要である。まず、第一に、特許文献14には、適正なコストで非常に薄いガラスフレークが製造されることが記載されている。クレームされている方法に従うとガラスフレークがいかなる望まれる組成に例えば純SiO
2から、およびいかなる希望する用途に合わせ、1.0μm以下である厚みに製造されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】USP 4,434,010
【特許文献2】JP H7−759
【特許文献3】USP 3,438,796
【特許文献4】USP 5,135,812
【特許文献5】DE 4405494
【特許文献6】DE 4437753
【特許文献7】DE 19516181
【特許文献8】DE 19515988
【特許文献9】WO 93/12182
【特許文献10】JP 1992/93206
【特許文献11】EP 0753545 A2
【特許文献12】USP 3,331,699
【特許文献13】USP 5,436,077
【特許文献14】EP 0289240 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、先行技術のかかる問題を解決することおよび有益な用途に好適である新規な多層顔料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
驚くべきことに、多層に被覆されたガラスフレークに基づき、特定の光学的効果をする光学機能層の特定の配置を含む干渉顔料が今現在見出された。
【0019】
従って、本発明は、少なくとも3層に高屈折率層および低屈折率層からなる多層被覆ガラスフレークを基礎とする干渉顔料である。
【0020】
好ましい層構成は以下の通りである:
(A)屈折率n>1.8である被覆、
(B)屈折率n≦1.8である被覆、および、
(C)屈折率n>1.8である被覆、
および、もし必要ならば、
(D)保護外層。
【0021】
また、本発明は、ペンキ、ラッカー、印刷インキ、プラスチック、農業用フォイル、陶磁器、ガラス、化粧処方におよび紙およびプラスチックのレーザーマーキングに本発明の顔料を使用することである。
【0022】
好ましいガラスフレークは1μm未満、好ましくは0.8μm未満の厚みを有している。特に厚み0.5μm以下のガラスフレークが好ましい。ガラスは、例えばAガラス、Cガラス、Eガラス、ECRガラスのように分類できる。本発明では石英ガラスが好ましいがこのガラスは非常に高価である。
【0023】
特許文献14に従って好ましく製造された適当なガラスフレークは、5〜1000μmの範囲、好ましくは5〜150μmの範囲内の平均粒子サイズであることを特徴とする。好ましいガラスフレークは平均粒子サイズ5〜150μmで、厚み0.1〜0.8μm、好ましくは0.2〜0.5μmである。ガラスフレークのアスペクト比は10〜300の範囲、好ましくは50〜200の範囲である。
【0024】
ガラスフレークは通常の真珠光沢顔料と同様の方法で被覆される。金属酸化物での被覆は、引き続いての焼成される、水和された金属酸化物を堆積する、金属塩の加熱あるいはアルカリ状態下の加水分解のような、いかなる公知の方法によってなされても良い。一般に、工程はガラスフレークを分散させることおよびフレーク上に水和金属酸化物フィルム被覆を形成する前駆体と該分散物をあわせることを含む。
【0025】
基材上の高屈折率および低屈折率の個々の層の厚みは顔料の光学的性質に欠くことができない。意図した干渉色を有する顔料のためには、個々の層の厚みは互いに関して正確に調整されねばならない。
【0026】
nを薄層の屈折率とし、dをその厚みとした時、この層の干渉色は積n・d(n・d=光学厚み)で定義される。垂直の光照射下に反射光にそのようなフィルムから生じる色は波長[λ={4/(2N−1)}・n・d]の光の増強からと波長[λ={2/N}・n・d]の光の減衰による結果である。ここでNは正の整数である。
【0027】
フィルム厚みを増すことによりもたらされる色の変化は干渉によりある波長の光が強められたり弱められたりする結果である。多層顔料の2以上の層が同じ光学厚みを有しているならば、反射された光の色は層の数が増すにつれて濃くなる。加えて、層厚みの適切な選択により視野角の作用として特に強調された多様色を達成することができる。きわだった、いわゆるカラーフロップ(color flop)が達成される。個々の層、好ましくは金属酸化物の層は、屈折率に関係なく、使用分野に依存し、一般に10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に好ましくは20〜600nmである。
【0028】
本発明の多層顔料は低屈折率の、光屈折率の塗膜の上に存在する無色の塗膜(B)と組み合わせて高屈折率の塗膜(A)で特徴づけられる。顔料は、選択は基材をただ一層集合(A)+(B)+(C)で覆うことであるけれど、2以上の同一あるいは異なる層集合を含むことができる。より過激な色フロップをさせるために、本発明の顔料は、基材上に結合した層全部の厚みは3μmを越えてはならないけれど、4以上の層集合からなっていても良い。
【0029】
ガラス粒子は、好ましくは金属酸化物、金属サブオキサイド、金属フッ化物、金属オキシハライド、金属硫化物、金属カルコゲナイド、金属窒化物、金属酸化窒化物、金属カーバイド、あるいはこれらの混合物からなる群からの3以上の層で、好ましくは3、4、5、6または7層で被覆されうる。3、5または7層で被覆されたガラスフレークが特に好ましい。層束(A)+(B)が4回以下標準層集合にあっても構わない。
【0030】
高屈折率の層(A)は屈折率n>1.8、好ましくはn≧2.1を有する。層物質(A)として適当な、高屈折率を有する物質は技術労働者にとって総て公知の物質であり、フィルム様であり、基材粒子に均一に塗布できる。特に適当な物質は、TiO
2、Fe
2O
3、TiFe
2O
5、Fe
3O
4、BiOCl、CoO、Co
3O
4、Cr
2O
3、VO
2、V
2O
3、Sn(Sb)O
2、ZrO
2、ZnOまたはSnO
2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、チタンサブオキサイド(酸化状態4未満から2である還元されたチタン種)、バナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルトのような、金属酸化物、金属硫化物あるいは金属酸化物であり、これら化合物の互いのあるいは他の金属酸化物との混合物あるいは混合層である。
【0031】
好ましくは、金属硫化物は、スズ、銀、ランタン、希土類金属(好ましくはセリウム)、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルトおよび/またはニッケルの硫化物から選ばれる。
【0032】
層(A)の厚みは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に好ましくは20〜350nmである。
【0033】
被覆(B)に適当な低屈折率無色の物質としては、SiO
2、MgF
2、Al
2O
3、AlO(OH)、B
2O
3、あるいはこれらの混合物のような金属酸化物あるいは相当する金属酸化物水和物が好ましい。層(B)の厚みは10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、特に好ましくは30〜600nmである。
【0034】
高屈折率被覆(C)に特に適当な物質はTiO
2、Fe
2O
3、TiFe
2O
5、Fe
3O
4、BiOCl、CoO、Co
3O
4、Cr
2O
3、VO
2、V
2O
3、Sn(Sb)O
2、ZrO
2、ZnOまたはSnO
2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、チタンサブオキサイド、バナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルトであり、これら化合物の互いのあるいは他の金属酸化物との混合物あるいは混合層である。加えるにTiO
2層は吸蔵される物質、例えば炭素をふくむことあるいはそれで被覆されることができる。TiO
2被覆(C)が部分的に還元されている、およびTiO
2とともに酸化状態が4未満から2である還元されたチタン種(Ti
3O
5、Ti
2O
3、TiOまで、チタン酸化窒化物のような低級酸化物、およびチタン窒化物も)を含む多層の被覆されたガラスフレークが特に有利である。金属酸化物層に着色剤を取り込むことによって、選択的に金属カチオンを吸収させて該層に吸蔵させることによってあるいは例えばプルシアンブルーやカーミンのような着色剤と共に金属層を被覆することによって、選択的に吸収した着色剤で着色された無色の高屈折率物資、例えば酸化ジルコニウム、特に二酸化チタンのような金属酸化物も用いることができる。層(C)の厚みは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に好ましくは20〜350nmである。
【0035】
層束(A)+(B)が本発明の顔料では4まで存在しても良い、標準層束(A)+(B)+(C)に加えて、他の好ましい具体例がある。例えば、基材(S)と層(A)間に、層(A)と(B)間に、層(B)と(C)間に、および/または層(C)とトップ層(D)間に、本発明の顔料はさらなる吸収するあるいは非吸収である層[(S1)、(A1)、(B1)、(C1)]を有していてもよい。中間層の厚みは1〜50nm、好ましくは1〜40nm、特に好ましくは1〜30nmである。本発明の顔料は(A)+(B)の同一のあるいは異なる複数の組み合わせ(層束)を含んでいて良い。
【0036】
この方法で得られた多層被覆ガラスフレークは少なくとも3つの均質な層が一様な薄いガラスフレークを取り囲んでいることを特徴とする。
【0037】
本発明の好ましい効果顔料は下記に示される:
【0038】
【表1】
【0039】
および、必要により、
(D)保護外層。
【0040】
特に好ましい具体例は、下記の層配列でガラスフレークを被覆することである:
(S1) 希望により、SnO
2
(A) TiO
2またはFe
2O
3
(B) SiO
2
(B1) 希望により、SnO
2
(C) TiO
2
(D) 用途に関係した最終被覆
【0041】
高屈折率の層(A)および(C)での基材の被覆および、必要により、さらに着色されたあるいは無色の被覆は色合い、輝き、隠ぺい力および知覚される色の角度依存性が幅広い限定内で変えられうる顔料を与える。
【0042】
本発明の顔料は、薄いガラスフレーク上に正確に限定された厚みおよび平滑な表面の、高屈折率および低屈折率の3以上の層を発生させることの力による。異なる金属酸化物あるいは金属酸化物含有混合物を有する層の場合、多層の積み重なりでの高屈折率層の配列は、低屈折率層が間にある限り任意に配されうる。
【0043】
金属酸化物層は、真珠光沢顔料の製造に開発された湿式化学被覆技法を使用することが可能である限り、好ましくは湿式化学手段によって張られる;この種の技法は、例えば、DE 1467468、DE 1959988、DE 2009566、DE 2214545、DE 2215191、DE 2244298、DE 2313331、DE 2522572、DE 3137808、DE 3137809、DE 3151343、DE 3151354、DE 3151355、DE 3211602、DE 3235017、DE 3842330あるいはさらなる特許文書および他の公報のどこかに記載されている。
【0044】
TiO
2の層はルチルあるいはアナタース形態でありうる。TiO
2(ルチル)層が好ましい。また、二酸化チタン層は、EP 0735114、DE 3433657、DE 4125134、EP 0332071、EP 0707050あるいはWO 93/19131に記載されているような、たとえば、アンモニア、水素、炭化水素蒸気およびこれらの混合物あるいは金属粉末のような公知の手段で還元されうる。混合された酸化鉄/二酸化チタン層は個々の金属酸化物の連続する沈殿あるいは共沈のいずれかで造られうる。湿式沈殿の場合、基材粒子は水に分散され、加水分解可能な金属塩が、加水分解に適当であり、副次の沈殿いかなる例なくて薄片上に金属酸化物あるいは金属酸化物水和物が直接に沈殿するように選ばれたpHにおいて加えられる。通常、そのpHは、塩基および/あるいは酸の測定と同時の添加により、一定に保たれる。引き続いて、沈殿はロ別され、水洗され、乾燥され、そして、必要により、特定の存在する被覆に関して焼成温度をあわせることを選択として、焼成される。一般に、焼成温度は250〜1000℃、好ましくは350〜900℃である。もし必要ならば、顔料は、沈殿によりさらなる層の蓄積のために分散させる前に焼成されても構わない。
【0045】
被覆はガス相被覆の方法により流動床反応器中で行われてもよい。この場合、真珠光沢顔料製造にEP 0045851およびEP 0106235にて提案された技法を適切に使用することが可能である。
【0046】
使用される高屈折率の金属酸化物としては二酸化チタンおよび/または酸化鉄が好ましく、使用される低屈折率の金属酸化物としては二酸化珪素が好ましい。
【0047】
二酸化チタン層の堆積のためには、US 3,553,001に記載された技法が好ましい。
【0048】
水性チタン塩溶液は被覆される基材の分散中にゆっくりと加えられ、約50〜100℃に加熱され、実質的に一様なpH約0.5〜5に、同時に測定しながら塩基、たとえば水性アンモニア溶液あるいは水性アルカリ金属酸化物溶液の添加により保たれる。TiO
2沈殿の希望の厚みが達成されると直ちに、チタン塩溶液および塩基両方の添加が止められる。
【0049】
滴定方法としても関連される、この技法は過剰のチタン塩を防ぐという事実で際立っている。これは、水和されたTiO
2での均一な被覆のために必要であり、そして被覆される粒子の有効な表面領域に単位時間あたり受け取られうる、単位時間あたりの量のみが加水分解のために供給されることによって達成される。これによって、被覆される表面上に沈殿していない水和された二酸化チタン粒子の形成が最小化されうる。
【0050】
二酸化ケイ素層の堆積は、例えば、下記のように実行される:ケイ酸カリウムまたはナトリウム溶液は被覆される基材の加熱(50〜100℃)された分散の中に測定しながら加えられる。そのpHは、HCl、HNO
3あるいはH
2SO
4のような、希薄鉱酸の同時の添加によって約6〜9に一様に保たれる。SiO
2層の希望の厚みが達成されると直ちに、シリケート溶液の添加が止められる。分散は引き続き約0.5時間撹拌される。
【0051】
光および天候安定性を増すために、使用分野によるが、多層被覆ガラスフレークを表面処理することがしばしば適当である。有用な表面処理および後処理は、例えばDE−C 2215191、DE−A 3151354、DE−A 3235017あるいはDE−A 3334598、DE 4030727 A1、EP 0649886 A2、WO 97/29059、WO 99/57204、US 5,759,255に記載された方法を含む。さらに表面処理は顔料の化学的安定性を増すおよび/または顔料の取り扱い、特に、種々の使用媒体への取り込みを容易にする。
【0052】
この方法で製造された多層顔料は、比較的安価に光学的に下記が改善され、それゆえに顔料分野で公知の実質的に全用途に適当である効果顔料を与える。同時に、これらの形状および粒子サイズは最適の性能のために誂えられる。
・・・優れた輝き
・・・澄んだ強い色合い
・・・際立った色変化
・・・光学遮蔽性能における比較的に高い動作
・・・かなり良い透明性(混合処方において重要である)
【0053】
特に最後に記載した概念は、多くの用途に粒子形状を調整することはまさに必要あるので大変重要である。化粧品用使用に対して、滑らかで絹のような外観を達成するためにサイズおよび厚みを小さくすることは必要である。自動車用ペンキあるいは印刷インクには、径40μm以下あるいは20μmと同じまで粒子サイズを小さくすることが必須である。もちろん、これは厚みが魅惑的な効果にとり必要とされるアスペクト比を保たれるこの傾向に追随せねばならない。これらの例では、それゆえ厚み<0.8μmおよび<0.5μmの基材が必要とされる。上で記載した方法で作られるガラスフレークはこれらの要求を満足する。さらに、それらは、USP 4,936,913やUSP 5,127,951でアルミニウム顔料に対し記載されたWCA(水吸着面積)に対するBET(比表面積)比によって表される優れた平面性および平滑性を示す。この値としては物質の最適の安定を示すのは3付近である。これらのフレークの高い品質もこれで作られた顔料の観測される高い透明性を証明している。
【0054】
本発明の多層顔料のための好ましいデザインは下記である:
自動車用途に、径が3μmより大で40μm未満、より好ましくは10〜35μm、および厚みが0.2μmより大で1μm未満、好ましくは0.4〜0.8μm;
印刷用途に、径が3μmより大で20μm未満、好ましくは5〜20μm、および平均厚みが0.2μmより大で0.5μm未満。
【0055】
本発明の効果顔料は、プラスチック、ガラス、陶磁器、農業用フォイル、装飾用化粧貧処方のような、多くの目的のために、特定の塗装、特に自動車塗装およびインキ、印刷用インキを含む、に好適に使用される。慣用の印刷方法すべて、例えば、オフセット印刷、凹版印刷、ブロンジング印刷、フレクソ印刷が採用できる。
【0056】
本発明の効果顔料は、これらの目的のために、充填剤顔料あるいは透明および隠蔽の白、着色および黒の、有機および無機顔料と、および金属酸化物被覆雲母、TiO
2フレーク、SiO
2フレークあるいはAl
2O
3フレークに基づく通常の透明、着色および黒の光沢顔料および被覆または非被覆顔料、BiOCl顔料、薄片状の酸化鉄、あるいはグラファイトフレークとも混ぜられて好適に使用される。本発明の顔料はさらに組み合わせ顔料とするために有機あるいは無機の層で被覆されうる。
【0057】
加えて、本発明の顔料混合物は有機または無機着色剤、チクソトロピー剤、分散剤、水、有機溶剤あるいは溶剤混合物等を含みうる。
【0058】
本発明の顔料混合物は、取り扱いが単純で容易である。顔料混合物は単純な撹拌によって用いられるシステムに取り入れられうる。顔料の面倒な粉砕や分散は必要でない。
【0059】
本発明の被覆ガラスフレークは、着色するあるいは塗装する物質、印刷インキ、プラスチック、農業用フィルム、合成ボタンのために、種子被覆ために、食品、医薬の被覆あるいは化粧品処方の着色のために使用することができる。それが用いられるシステム中の顔料の濃度としては、システムの全固形分に基づいて、一般に0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。この濃度は一般に特定の使用によっている。
【0060】
本発明の顔料混合物を0.1〜50質量%、特に0.5〜7質量%の量で含むプラスチックは特に輝くためにしばしば注目される。
【0061】
塗装分野、特に自動車部品においては、本発明に従う顔料は0.5〜10質量%の量で用いられる。
【0062】
例えばペンキや凹版、オフセットあるいはスクリーン印刷用印刷インキのためのバインダーシステムの着色においては、顔料は、印刷インキに2〜50質量%、好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは8〜15質量%の量で加えられる。
【0063】
同様に本発明は多層被覆ガラスフレーク、任意の効果顔料、バインダーおよび必要により添加剤を含む顔料配合物が提供される。該顔料配合物は無溶媒、自由流動の粉末または顆粒の形である。そのような顆粒は本発明の顔料を95質量%まで含む。本発明の多層被覆ガラスフレークがバインダーと、および水および/または有機溶媒と、添加剤の存在下あるいは不存在下に、ペースト化された、そしてペーストは乾燥されコンパクトな粒子形態、たとえば顆粒、ペレット、ブリケット、マスターバッチまたはタブレットにされた顔料配合物は印刷インキの前駆体として特に好適である。
【0064】
従って、本発明は本発明の顔料を含む処方も提供する。
【実施例】
【0065】
さらに本発明を説明するために、種々の制限のない例を以下に示す。これらにおいては、この明細書および特許請求の範囲を通してと同様に、他の指定がない限り、総ての部およびパーセントは質量基準であり、総ての温度はセ氏である。
【0066】
(実施例)
例1
最大径40μm(平均22μm)かつ平均厚み0.5μmのガラスフレーク(屈折率1.5)100gが脱イオン水2リットルに分散される。激しい撹拌下にスラリーは75℃へ加熱され、ガラスフレークに対しSnO
2で3%の量となるSnCl
4水溶液を0.5時間かけて供給して被覆が開始される。pH2.0になるとすぐに32%NaOH溶液が、pHをこの値が保たれるように同時に供給される。
【0067】
スラリーは水性TiCl
4溶液(400g/リットルH
2O)を供給する前に15分間撹拌続けられる。pHは2.0にNaOHで一定に保たれる。それは望む色になるまで続けられる。スラリーは再び15分間撹拌続けられる。
【0068】
10%ケイ酸ナトリウム溶液(脱イオン水170mlで薄められた8%Naと27%SiO
2のケイ酸ナトリウム溶液74mlから)を1.35ml/分で添加する前に、NaOHのゆっくりとした添加によりpHが8.0へ上げられる。適当な層厚みに必要な量が、被覆過程で光学的にみることができないので、正確に計算されねばならない。再び15分間撹拌した後pHは10%HClで2.0に下げられ、TiO
2の2回目の被覆が一回目と同様に希望の終点に達するまで行なわれる。スラリーはさらに1時間撹拌され、次いで濾過され、塩分を除くために水洗され、乾燥され、800℃で焼成され(30分間)、ふるい分けられる。
【0069】
得られた顔料からドローダウン(Draw down)が色の特性を測定する為に作られる。それは優れた透明性とともに高い輝きの澄んだ色効果を示す。特に黒背景の浅い観察角においてそれはほとんど消失した。
【0070】
例2(比較例)
これは例1と同様に行なわれた。ガラスフレークの代わりに同じ粒子サイズ分布の雲母が用いられる。
【0071】
得られた顔料のドローダウンの効果は輝きと色強度であるが、独特の鮮明性および特にガラスフレークに基づく多層顔料に見られる低角度での透明性を示さない。
【0072】
例3
最大径40μm(平均22μm)かつ平均厚み0.5μmのガラスフレーク(屈折率1.5)100gが脱イオン水2リットルに分散される。分散物は75℃へ加熱され、pHが希塩酸で1.8に調整され、まず、最初にSnCl
4溶液(脱イオン水100mlにSnCl
4 2.2gと濃塩酸7.5mlから)を3.3ml/分で加えることによりSnO
2で被覆される。pHは32%水酸化ナトリウム溶液を用いて一定に保たれる。
【0073】
撹拌が15分間続けられ、次いでTiO
2の被覆が同pH/温度の下にTiCl
4溶液(TiCl
4 400g/リットル)を1.5ml/分で加えられ、32%NaOH溶液でpH一定に保たれて行なわれる。被覆が第二次グリーン色の終点に達した後に中断され、撹拌が15分間続けられ、pHが希水酸化ナトリウム溶液で8.0に調整され(約15分かけて)、その後撹拌をさらに10分間続ける。
【0074】
次いで、SiO
2の被覆が希ケイ酸ナトリウム溶液(脱イオン水80mlで薄められた8%Naと27%SiO
2のケイ酸ナトリウム溶液7.3gから)を3ml/分で加えることによって行なわれる。その後、撹拌が15分間続けられ、pHが希塩酸で1.8に再調整され(約10分かけて)、第二のTiO
2層がTiCl
4溶液を加えることによって上記と同様に形成される。被覆が第三次グリーン色の類似の終点に届いた後中断され、撹拌が15分間継続され、その後顔料がろ別され、水洗され、乾燥され、850℃で30分間焼成される。
【0075】
得られた顔料は強いグリーンの干渉色である。TiO
2層の部分は以下の様である:
第一層:約170nm
第二層:約85nm
層合計:約260nm
SiO
2の中間層の厚みは約5nmである。
【0076】
例4
最大径40μm(平均22μm)かつ平均厚み0.5μmのガラスフレーク(屈折率1.5)100gが脱イオン水2リットルに分散される。分散物は75℃へ加熱され、pHが希塩酸で1.8に調整され、まず、最初にSnCl
4溶液(脱イオン水100mlにSnCl
4 2.2gと濃塩酸7.5mlから)を3.3ml/分で加えることによりSnO
2で被覆される。pHは32%水酸化ナトリウム溶液を用いて一定に保たれる。
【0077】
撹拌が15分間続けられ、pHが32%水酸化ナトリウム溶液で2.6に調整され、Al
2O
3/Fe
2O
3/TiO
2層の被覆がTiCl
4/FeCl
3/AlCl
3溶液(30%TiCl
4溶液165g、34%FeCl
3溶液、AlCl
3・6H
2Oおよび脱イオン水63mlからの394ml)を1ml/分で加えられることで行なわれる。
【0078】
撹拌が15分間続けられ、pHが32%水酸化ナトリウム1.3ml/分で7.5に調整され、その後撹拌をさらに15分間続ける。
【0079】
SiO
2の被覆が13.5%SiO
2である希ケイ酸ナトリウム溶液(27%SiO
2のケイ酸ナトリウム溶液196gと脱イオン水196mlから)を2ml/分で加えることによって行なわれる。pHが15%塩酸で一定に保たれる。
【0080】
撹拌が30分間続けられ、pHがSnO
2溶液(SnCl
4 3g、濃塩酸10mlおよび脱イオン水90ml)1ml/分で1.8に調整される。
【0081】
撹拌が15分間続けられ、pHが32%水酸化ナトリウムで2.6に調整され、第二のAl
2O
3/Fe
2O
3/TiO
2層がTiCl
4/FeCl
3/AlCl
3溶液(30%TiCl
4溶液165g、34%FeCl
3溶液、AlCl
3・6H
2Oおよび脱イオン水63mlからの394ml)を1ml/分で加えられることで形成される。撹拌が15分間継続され、その後顔料がろ別され、水洗され、乾燥され、850℃で30分間焼成される。
【0082】
得られた顔料は輝いた強い金の干渉色を示す。
【0083】
例5
最大径40μm(平均22μm)かつ平均厚み0.5μmのガラスフレーク(屈折率1.5)100gが脱イオン水2リットルに分散される。分散物は75℃へ加熱され、pHが希塩酸で1.8に調整され、まず最初にSnCl
4溶液(脱イオン水100mlにSnCl
42.2gと濃塩酸7.5mlから)を3.3ml/分で加えることによりSnO
2で被覆される。pHは32%水酸化ナトリウム溶液を用いて一定に保たれる。
【0084】
撹拌が15分間続けられ、次いでTiO
2の被覆が同pH/温度の下にTiCl
4溶液(TiCl
4400g/リットル)を1.5ml/分で加えられ、32%塩化ナトリウム溶液でpH一定に保たれて行なわれる。
【0085】
撹拌が15分間続けられ、pHが32%水酸化ナトリウム溶液で2.6に調整され、Al
2O
3/Fe
2O
3/TiO
2層がTiCl
4/FeCl
3/AlCl
3溶液(30%TiCl
4溶液165g、34%FeCl
3溶液、AlCl
3・6H
2Oおよび脱イオン水63mlからの394ml)1ml/分で加えられて形成される。
【0086】
撹拌が15分間続けられ、pHが32%水酸化ナトリウム1.3ml/分で7.5に調整され、その後撹拌をさらに15分間続ける。
【0087】
SiO
2の被覆が13.5%SiO
2である希ケイ酸ナトリウム溶液(27%SiO
2のケイ酸ナトリウム溶液196gと脱イオン水196mlから)を2ml/分で加えることによって行なわれる。pHが15%塩酸で一定に保たれる。
【0088】
撹拌が30分間続けられ、pHがSnO
2溶液(SnCl
4 3g、濃塩酸10mlおよび脱イオン水90ml)1ml/分で1.8に調整される。
【0089】
撹拌が15分間続けられ、次いでTiO
2の被覆が同pH/温度の下にTiCl
4溶液(TiCl
4 400g/リットル)を1.5ml/分で加えられ、32%塩化ナトリウム溶液でpH一定に保たれて行なわれる。
【0090】
撹拌が15分間続けられ、pHが32%水酸化ナトリウムで2.6に調整され、最後のAl
2O
3/Fe
2O
3/TiO
2層がTiCl
4/FeCl
3/AlCl
3溶液(30%TiCl
4溶液165g、34%FeCl
3溶液、AlCl
3・6H
2Oおよび脱イオン水63mlからの394ml)を0.8ml/分で加えられることで形成される。撹拌が15分間継続され、その後顔料がろ別され、水洗され、乾燥され、850℃で30分間焼成される。
【0091】
得られた顔料は、例4に従う顔料よりも輝き、強い金の干渉色を示す。
【0092】
〔使用例〕
使用例1:ちらちら光るおしろい
【0093】
【表2】
【0094】
操作:
相Cの全成分を75℃ですべてのものが溶解するまで撹拌しながら加熱する。高い撹拌(Turrax)下に相Bの冷水にBlanoseおよびVeegumを別々に加える。75℃に加熱し、相Bの残りの成分を加え、混合物が滑らかで均一になるまで混合する。相Aの成分を加える。75℃で相Cを相A/Bに加え、2分間均質化する。相Dを40℃で加える。撹拌しながら室温まで冷却し、pHを6.0〜6.5に調整する(例えば、クエン酸溶液)。
【0095】
供給業者:
(1)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2)Aqualon GmbH
(3)Vandebilt
(4)Cognis GmbH
(5)Croda GmbH
(6)Fragrance Resouces
(7)Schuelke & Mayr GmbH
【0096】
使用例2:シャンプーゲル
【0097】
【表3】
【0098】
操作:
相Aの水に顔料を分散する。Keltrol Tを撹拌しながら加え、完全に分散するまで混合する。相Bと相Cを順に相Aに撹拌しながら加え、ゲルが均一になるまでゆっくりと撹拌する。
【0099】
供給業者:
(1)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2)Kelco
(3)Cognis GmbH
(4)Haarmann & Reimer GmbH
(5)BASF AG
【0100】
使用例3:凹版印刷用インキ
凹版印刷用インキは下記からなる:
【0101】
【表4】
【0102】
使用例4:プラスチック
ポリエチレン(PE−HD)顆粒1kgが、タンブル混合機中で、粘着剤2gで均一に湿らかされる。次いで、例4に従う被覆ガラスフレーク10gとIriodin LS825(Merck KGaA社(Darmstadt Germany)製の粒子サイズ15μm未満の導電性顔料)2gが加えられ、2分間混合される。
【0103】
この顆粒は射出成型機で通常の条件で成型され、小さな階段状板(大きさ4×3×0.5cm)をうる。この小さな階段状板は光沢およびレーザーマーキング性に優れている。
【0104】
使用例5:塗料
【0105】
【表5】
【0106】
本明細書は、以下の発明を開示している。
[1]ガラスフレークが高屈折率層と低屈折率層で交互に被覆されていることおよびガラスフレークが少なくとも3層に被覆されていることを特徴とするガラスフレークを基礎とする多層顔料。
[2]顔料が下記被覆からなる層配列を少なくとも一つ有することを特徴とする[1]に記載の多層フレーク:
(A)屈折率n>1.8である被覆、
(B)屈折率n≦1.8である被覆、および、
(C)屈折率n>1.8である被覆、
および、もし必要ならば、
(D)保護外層。
但し、層束(A)+(B)が標準層集合(A)+(B)+(C)4回まで存在してもよい。
[3]ガラスフレークが厚み1μm未満であることを特徴とする[1]または[2]に記載の多層顔料。
[4]層が金属酸化物、金属サブオキサイド、金属フッ化物、金属オキシハライド、金属カルコゲナイド、金属硫化物、金属窒化物、金属酸化窒化物、金属カーバイド、あるいはこれらの混合物からなることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の多層顔料。
[5]高屈折率層がTiO
2、Fe
2O
3、TiFe
2O
5、Fe
3O
4、BiOCl、Cr
2O
3、ZrO
2、ZnO、SnO
2、CoO、Co
3O
4、VO
2、V
2O
3、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、チタンサブオキサイド、バナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルト、金属硫化物、金属カルコゲナイド、金属窒化物、金属酸化窒化物、金属カーバイド、あるいはこれらの混合物からなることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の多層顔料。
[6]低屈折率層がSiO
2、Al
2O
3、AlO(OH)、B
2O
3、MgF
2、あるいはこれらの混合物からなることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の多層顔料。
[7]下記層構造を有することを特徴とする[2]に記載の多層顔料:
【0107】
【表6】
【0108】
そして、もし必要ならば、
(D)保護外層。
[8]ガラスフレークが3層被覆されていることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の多層顔料。
[9]湿式化学被覆法によるか化学的または物理的気相堆積法によってガラスフレークを被覆すること、および被覆されたガラスフレークを焼成することを含む多層顔料を製造する方法。
[10]プラスチック、塗装材、粉末塗装材、ペンキ、インキ、印刷インキ、ガラス、陶磁器、農業用フォイルにおいて、化粧処方において、紙およびプラスチックのレーザーマーキングのために、[1]に記載の多層顔料を使用すること。
[11][1]に記載の多層顔料を含む処方。
[12][1]に記載の多層顔料を含む非粉塵粉末、ペーストおよび顆粒。