(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に示す種々の化合物などにおいて共通する基を定義する。この定義において、「C」に付して記載した数値は、各々の基の炭素数を示す。
「炭化水素基」とは、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基をいう。脂肪族炭化水素基は、鎖式及び環式を包含し、さらに、鎖式及び環式の脂肪族炭化水素基が組み合わさった脂肪族炭化水素基を含む。
また、炭化水素基を構成するメチレン基が他の2価の基(例えば、カルボニル基等)に置き換わる場合、炭化水素基の炭素数は、置き換わる前の炭素数のことをいう。
【0010】
鎖式の脂肪族炭化水素基(以下「鎖式炭化水素基」という場合がある。)のうち1価のものは、例えばアルキル基である。アルキル基としては、メチル基(C
1)、エチル基(C
2)、プロピル基(C
3)、ブチル基(C
4)、ペンチル基(C
5)、ヘキシル基(C
6)、ヘプチル基(C
7)、オクチル基(C
8)、デシル基(C
10)、ドデシル基(C
12)、ヘキサデシル基(C
14)、ペンタデシル基(C
15)、ヘキシルデシル基(C
16)、ヘプタデシル基(C
17)及びオクタデシル基(C
18)などが挙げられ、これらは直鎖でも分岐していてもよい。この鎖式炭化水素基は特に限定しない限り、ここに例示したアルキル基の一部に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよいが、飽和の鎖式炭化水素基、すなわちアルキル基が好ましい。
2価の鎖式炭化水素基としては、例えば、上記のアルキル基から水素原子を1個取り去ったアルカンジイル基が挙げられる。
【0011】
環式の脂肪族炭化水素基(以下「脂環式炭化水素基」という場合がある。)のうち1価のものは、脂環式炭化水素から水素原子1個を取り去った基である。脂環式炭化水素基は、脂環式不飽和炭化水素基でもよいが、脂環式飽和炭化水素基が好ましい。また、脂環式炭化水素基は単環式及び多環式のいずれでもよい。
単環式の脂環式炭化水素としては、例えば、式(KA−1)で表されるシクロプロパン(C
3)、式(KA−2)で表されるシクロブタン(C
4)、式(KA−3)で表されるシクロペンタン(C
5)、式(KA−4)で表されるシクロヘキサン(C
6)、式(KA−5)で表されるシクロヘプタン(C
7)、式(KA−6)で表されるシクロオクタン(C
8)及び式(KA−7)で表されるシクロドデカン(C
12)などのシクロアルカンが挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素は、例えば、式(KA−8)で表されるビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(以下「ノルボルナン」ということがある。)(C
7)、式(KA−9)で示されるアダマンタン(C
10)及び式(KA−10)〜式(KA−22)で表される脂環式炭化水素などが挙げられる。
2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基が挙げられる。
【0012】
1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基(C
6)、ナフチル基(C
10)、アントリル基(C
14)、ビフェニル基(C
12)、フェナントリル基(C
14)及びフルオレニル基(C
13)などのアリール基が挙げられる。
【0013】
脂肪族炭化水素基は置換基を有することがある。該置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基(C
1)、エトキシ基(C
2)、プロポキシ基(C
3)、ブトキシ基(C
4)、ペンチルオキシ基(C
5)、ヘキシルオキシ基(C
6)、ヘプチルオキシ基(C
7)、オクチルオキシ基(C
8)、デシルオキシ基(C
10)及びドデシルオキシ基(C
12)などが挙げられる。これらアルコキシ基は直鎖でも分岐していてもよい。
アシル基としては、アセチル基(C
2)、プロピオニル基(C
3)、ブチリル基(C
4)、バレイル基(C
5)、ヘキサノイル基(C
6)、ヘプタノイル基(C
7)、オクタノイル基(C
8)、デカノイル基(C
10)及びドデカノイル基(C
12)などのアルキル基とカルボニル基とが結合したもの、ベンゾイル基(C
7)などのようにアリール基とカルボニル基とが結合したものが挙げられる。これらアシル基のうち、アルキル基とカルボニル基とが結合したものの該アルキル基は直鎖でも分岐していてもよい。
アリールオキシ基としては、アリール基と酸素原子とが結合したものである。
アラルキル基としては、ベンジル基(C
7)、フェネチル基(C
8)、フェニルプロピル基(C
9)、ナフチルメチル基(C
11)及びナフチルエチル基(C
12)などが挙げられる。
芳香族炭化水素基は置換基を有することがある。置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アルキル基及びアリールオキシ基が挙げられる。これら置換基は、上述した置換基と同様のものが挙げられる。
【0014】
また、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH
2=CH−CO−」又は「CH
2=C(CH
3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0015】
本発明のレジスト組成物は、式(I−0)で表される塩(以下「塩(I−0)」という場合がある。)及び樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある。)を含有する。
樹脂(A)は、式(a1−4)で表される構造単位(以下「構造単位(a1−4)」という場合がある。)及び式(a2−0)で表される構造単位(以下「構造単位(a2−0)」という場合がある。)とを含む。
さらに、本発明のレジスト組成物は、酸発生剤(B)(ただし、塩(I−0)とは異なる)を含むことが好ましい。
さらに、本発明のレジスト組成物は、溶剤(D)を含むことが好ましい。
本発明のレジスト組成物は、塩基性化合物(C)を含んでいてもよい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0016】
<塩(I−0)>
塩(I−0)は、式(I−0)で表される。
[式(I−0)中、
Q
1及びQ
2は、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
L
1は、*−CO−O−L
a−又は*−CH
2−O−L
b−を表す。*は−C(Q
1)(Q
2)−との結合手を表す。
L
a及びL
bは、互いに独立に、炭素数1〜15の脂肪族飽和炭化水素基を表し、該脂肪族飽和炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
環W
1は、炭素数2〜36の複素環を表し、該複素環を構成するメチレン基は、酸素原子に置き換わっていてもよい。
R
01、R
02、R
03、R
04、R
05、R
06、R
07及びR
08は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、該炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、隣接する炭素原子に結合する任意の2つが一緒になって、該炭素原子とともに環を形成してもよい。
R
e9、R
e10、R
e11、R
e12及びR
e13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の炭化水素基又はカルボキシ基を表し、該炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、隣接する炭素原子に結合する任意の2つが一緒になって、該炭素原子とともに環を形成してもよい。
Zは、単結合又は2価の連結基を表す。]
【0017】
Q
1及びQ
2のペルフルオロアルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素原子に置換されたものであり、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基及びペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
【0018】
Q
1及びQ
2は、それぞれ独立に、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくは、Q
1及びQ
2がともにフッ素原子である。
【0019】
L
a及びL
bの脂肪族飽和炭化水素基としては、アルキル基、脂環式飽和炭化水素基及びこれらを組み合わせた基が挙げられ、好ましくはアルキル基である。L
a及びL
bの脂肪族飽和炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜15であり、より好ましくは炭素数6〜15である。
【0020】
L
aの脂肪族飽和炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わった場合の*−CO−O−L
a−としては、例えば、式(L1−2)で表される基が挙げられる。
[式(L1−2)中、L
c及びL
dは、それぞれ独立に、炭素数1〜12の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。L
c及びL
dの炭素数の合計は13以下である。*は前記と同義である。]
L
c及びL
dの炭素数の合計は、好ましくは6以上13以下である。
【0021】
L
bの脂肪族飽和炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基場合の*−CH
2−O−L
b−としては、例えば、式(L1−4)で表される基が挙げられる。
[式(L1−4)中、L
eは、炭素数1〜14の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。*は前記と同義である。]
L
eの炭素数は、好ましくは6以上13以下である。
【0022】
*−CO−O−L
a−としては、例えば以下のものが挙げられる。下記式中、左側の*で−C(Q
1)(Q
2)−のCと結合する。
【0024】
*−CO−O−L
a−のうち、式(L1−2)で表される基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0025】
*−CH
2−O−L
b−としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0027】
*−CH
2−O−L
b−のうち、式(L1−4)で表される基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0029】
中でも、L
1は、*−CO−O−L
a−が好ましい。
【0030】
環W
1の複素環は、環を構成する原子として、少なくとも1つの窒素原子を含んでいるものであればよく、L
1と結合する窒素原子以外に1つ以上の酸素原子を含んでいてもよい。また、環W
1の複素環は、芳香族を有するものでも、芳香性を有さないものでもよく、単環式及び多環式のいずれであってもよい。
環W
1としては、例えば、以下の環が挙げられ、好ましくは、式(W1)、式(W2)又は式(W3)で表される環である。
【0031】
塩(I−0)のアニオンとしては、例えば、式(I−a−1)〜式(I−a−39)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
【0036】
R
01〜R
08及びR
e9〜R
e13の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基とは例えば、アルコキシアルキル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基及びアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0037】
また、R
01〜R
08及びR
e9〜R
e13のうち、隣接する炭素原子に結合する任意の2つが一緒になって、該炭素原子とともに形成される環は、芳香環、脂肪族炭化水素環及び複素環のいずれでもよく、単環でも、多環でもよい。このような環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環及びフェナジン環などが挙げられる。
【0038】
R
01〜R
08は、好ましくは、水素原子又は隣接する炭素原子に結合する任意の2つが一緒になって、ベンゼン環を形成する基である。
R
e9〜R
e13は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基又はアルコキシ基であり、より好ましくは、いずれもが水素原子又はアルキル基である。R
e1〜R
e13がこのような基であると、後述のとおり塩(I)の製造が容易である。
【0039】
Zの連結基としては、例えば、アルカンジイル基、アリーレン基、−CO−、−SO
2−、−CO−O−、−CO−NH−、−SO
2−NH−、−NH−、−S−S−、−CH=CH−、−NH−CO−NH−、−NH−SO
2−NH−、酸素原子及び硫黄原子などが挙げられる。
Zは、好ましくは、単結合、炭素数1〜4のアルカンジイル基、炭素数6〜10のアリーレン基、−SO
2−、−NH−、−CH=CH−、−NH−CO−NH−、−NH−SO
2−NH−、酸素原子又は硫黄原子であり、より好ましくは、単結合、炭素数1〜4のアルカンジイル基、−SO
2−、酸素原子又は硫黄原子であり、さらに好ましくは、単結合、炭素数1〜4のアルカンジイル基又は酸素原子であり、とりわけ好ましくは、酸素原子である。
【0040】
R
01〜R
08の隣接する炭素原子に結合する任意の2つが一緒になって、ベンゼン環を形成する塩としては、式(I)で表される塩であることが好ましい。
[式(I)及び式(I−1)中、
Q
1及びQ
2は、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
L
1は、*−CO−O−L
a−又は*−CH
2−O−L
b−を表す。*は−C(Q
1)(Q
2)−との結合手を表す。
L
a及びL
bは、互いに独立に、炭素数1〜15の脂肪族飽和炭化水素基を表し、該脂肪族飽和炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
環W
1は、炭素数2〜36の複素環を表し、該複素環を構成するメチレン基は、酸素原子に置き換わっていてもよい。
R
e9〜R
e13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の炭化水素基又はカルボキシ基を表し、該炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、隣接する炭素原子に結合する任意の2つが一緒になって、該炭素原子とともに環を形成してもよい。
Zは、単結合又は2価の連結基を表す。
R
01、R
02、R
03、R
04、R
05、R
06、R
07及びR
08は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、該炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。]
【0041】
R
e1〜R
e8の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基とは例えば、アルコキシアルキル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基及びアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0042】
また、R
e1〜R
e8のうち、隣接する炭素原子に結合する任意の2つが一緒になって、該炭素原子とともに形成される環は、芳香環、脂肪族炭化水素環及び複素環のいずれでもよく、単環でも、多環でもよい。このような環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環及びフェナジン環などが挙げられる。
【0043】
R
e1〜R
e8は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基又はアルコキシ基であり、より好ましくは、いずれもが水素原子である。R
e1〜R
e13がこのような基であると、後述のとおり塩(I)の製造が容易である。
【0044】
R
01〜R
08の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基とは例えば、アルコキシアルキル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基及びアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0045】
R
01〜R
08は、好ましくは、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、より好ましくは、いずれもが水素原子である。
【0046】
塩(I−0)のカチオンとしては、例えば、下記式で表されるカチオンが挙げられる。式中、R
e1〜R
e13は、前記と同義である。
【0047】
また、塩(I−0)のカチオンとしては、例えば、式(I−c−1)〜式(I−c−21)のいずれかで表されるカチオンが挙げられる。
【0048】
塩(I−0)は、上述のアニオン及び上述のカチオンを任意に組合せたものである。
塩(I−0)のアニオン及びカチオンの組み合わせとしては、表1〜7に示すものが挙げられる。なお、表中の各々の番号は、上述の式番号を表す。
【0056】
塩(I−0)としては、以下に示すものが好ましい。
【0067】
塩(I−0)の製造方法を、L
1が、*−CO−(CH
2)
8−である場合の塩(I−0)、すなわち式(b1−0)で表される塩(以下「塩(I−b1−0)」という場合がある。)を例にとって説明する。
[式(b1−0)中、Q
1、Q
2、W
1、R
01〜R
08、R
e1〜R
e13及びZは、それぞれ前記と同義である。]
【0068】
塩(I−0)のカチオンを誘導し得る化合物である式(b1−f)で表される化合物は、式(b1−d)で表される化合物と、式(b1−e)で表される化合物とを、酸触媒の存在下、溶媒中で反応させることにより得ることができる。
[式中、Q
1、Q
2及びW
1はそれぞれ、前記と同義である。]
式(b1−d)で表される化合物は、例えば、特開2006−257078号公報に記載された方法により得ることができる。
式(b1−e)で表される化合物としては、例えば、4−(8−ヒドロキシオクチル)モルホリン及び4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンなどが挙げられ、これらは市場から容易に入手できる。
【0069】
式(b1−d)で表される化合物と、式(b1−e)で表される化合物との反応に用いる溶媒は、n−ヘプタンなどが挙げられる。酸触媒としては、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。
【0070】
例えば、式(b1−0−a)で表される塩と式(b1−f)で表される塩とを、溶剤中で反応させることにより、式(b1−0−b)で表される塩を製造することができる。
(式中、Q
1、Q
2、W
1、R
e9〜R
e13及びZは、それぞれ前記と同義である。)
溶剤としては、クロロホルム、水等が挙げられる。
式(b1−0−a)で表される塩としては、以下で表される塩等が挙げられる。
【0071】
式(b1−0)で表される塩は、例えば、式(b1−0−b)で表される塩と式(b1−0−c)で表される化合物とを触媒存在下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。
(式中、Q
1、Q
2、W
1、R
01〜R
08、R
e1〜R
e13及びZは、それぞれ前記と同義である。)
触媒としては、二安息香酸銅(II)等が挙げられる。
溶剤としては、モノクロロベンゼン等が挙げられる。
式(b1−0−c)で表される化合物としては、ペンタメチレンスルフィド、1,4−チオキサン、テトラヒドロチオフェン等が挙げられる。
【0072】
塩(I)の製造方法を、L
1が、*−CO−(CH
2)
8−である場合の塩(I)、すなわち式(b1)で表される塩(以下「塩(I−b1)」という場合がある。)を例にとって説明する。
[式(b1)中、Q
1、Q
2、W
1、R
e1〜R
e13及びZは、それぞれ前記と同義である。]
【0073】
塩(I−b1)のカチオンを誘導し得る化合物である式(b1−c)で表される化合物は、式(b1−a)で表される化合物と、式(b1−b)で表される化合物とを、トリメチルシリルクロリド存在下、溶媒中で反応させた後、塩酸と接触させることにより得ることができる。
[式中、R
e1〜R
e13及びZはそれぞれ、前記と同義である。]
【0074】
式(b1−a)で表される化合物としては、例えば、フェノキサチイン10−オキシドなどが挙げられ、これは市場から容易に入手できる。また、フェノキサチイン10−オキシドはフェノキサチインを酸化することにより得ることもできる。このフェノキサチイン10−オキシドのベンゼン環に、公知の方法で置換基を導入すれば、置換基を有するフェノキサチイン10−オキシドが得られ、これを用いれば、R
e1〜R
e8のいずれかがが水素原子以外の塩(I)も製造可能である。
【0075】
式(b1−b)で表される化合物としては、例えば、ハロゲン化アリールを公知の手法により、グリニャール試薬として得られる。ハロゲン化アリールとしては、例えば、フェニルブロミドが挙げられ、これは市場から容易できる。
【0076】
式(b1−a)で表される化合物と、式(b1−b)で表される化合物との反応に用いる溶媒としては、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0077】
塩(I)のカチオンを誘導し得る化合物である式(b1−f)で表される化合物は、式(b1−d)で表される化合物と、式(b1−e)で表される化合物とを、酸触媒の存在下、溶媒中で反応させることにより得ることができる。
[式中、Q
1、Q
2及びW
1はそれぞれ、前記と同義である。]
式(b1−d)で表される化合物は、例えば、特開2006−257078号公報に記載された方法により得ることができる。
式(b1−e)で表される化合物としては、例えば、4−(8−ヒドロキシオクチル)モルホリン及び4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンなどが挙げられ、これらは市場から容易に入手できる。
【0078】
式(b1−d)で表される化合物と、式(b1−e)で表される化合物との反応に用いる溶媒は、n−ヘプタンなどが挙げられる。酸触媒としては、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。
【0079】
上述のようにして得られた、式(b1−c)で表される化合物と、式(b1−f)で表される化合物とを、例えば、酸触媒の存在下、溶媒中で反応させることにより、塩(I−b1)を製造できる。
該溶媒としては、クロロホルムなどが挙げられ、酸触媒としては、塩酸などがが挙げられる。
【0080】
<酸発生剤(B)>
酸発生剤(B)としては、塩(I)とは異なる化合物であれば、公知の酸発生剤を用いることができる。酸発生剤(B)は、非イオン系酸発生剤であっても、イオン系酸発生剤であっても、その組み合わせであってもよい。
【0081】
非イオン系酸発生剤としては、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。イオン系酸発生剤は、オニウムカチオン(例えば、ジアゾニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンなど)と、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン及びスルホニルメチドアニオン等のカチオンとの塩などが挙げられる。
【0082】
また、酸発生剤(B)としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号や、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用できる。
【0083】
酸発生剤(B)としては、例えば、下記式で表される化合物などが挙げられる。
【0084】
<樹脂(A)>
<構造単位(a1−4)>
構造単位(a1−4)は、式(a1−4)で表される。
[式(a1−4)、
R
10は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
R
11は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。
laは0〜4の整数を表す。laが2以上の場合、複数のR
11は互いに同一であっても異なってもよい。
R
12及びR
13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
Y
a3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜24の炭化水素基を表し、該炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は−N(R
c)−に置き換わっていてもよい。
R
cは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0085】
R
10のハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
R
10は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は水素原子であり、より好ましくはメチル基又は水素原子であり、さらに好ましくは水素原子である。
R
11のアルコキシ基は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
R
12及びR
13の炭化水素基は、好ましくは、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基である。
Y
a3の炭化水素基は、好ましくは、炭素数1〜18の炭化水素基、より好ましくは、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又はこれらを組み合わせた基であり、特に好ましくは、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数7〜18のアラルキル基である。前記脂肪族炭化水素基は、無置換の脂肪族炭化水素基が好ましい。前記芳香族炭化水素基の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数6〜10のアリールオキシ基が好ましい。
Y
a3の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は−N(R
c)−に置き換わっていてもよいが、酸素原子との結合位置にあするメチレン基は、これらの基に置き換わらない。
laは、0が好ましい。
【0086】
構造単位(a1−4)を誘導するモノマーとしては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーなどが挙げられる。中でも、式(a1−4−1)〜式(a1−4−14)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a1−4−1)〜式(a1−4−8)のいずれかで表されるモノマーがより好ましい。
【0089】
<構造単位(a2−0)>
構造単位(a2−0)は、式(a2−0)で表される。
[式(a2−0)中、
R
a30は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
R
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の場合、複数のR
a31は互いに同一であっても異なってもよい。]
【0090】
R
a30は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
R
a31のアルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
R
a31のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
maは0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0091】
構造単位(a2−0)としては、例えば、特開2010−204634号公報に記載されているモノマーに由来する構造単位が挙げられ、好ましくは、式(a2−0−1)〜式(a2−0−4)のいずれかで表されるものである。
【0092】
<その他の構造単位>
樹脂(A)は、構造単位(a1−4)及び構造単位(a2−0)以外の構造単位(以下「その他の構造単位」という場合がある。)を有していてもよい。
このような構造単位としては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸の等のカルボキシ基含有モノマーに由来する構造単位、(メタ)アクリル酸エステル類に由来する構造単位、ヒドロキシ基を有する構造単位、ラクトン環を有する構造単位、アルコキシスチレンに由来する構造単位等が挙げられる。
【0093】
前記(メタ)アクリル酸エステル類に由来する構造単位としては、第一アルコール、第二アルコール又は、多環式炭化水素の橋頭位にヒドロキシ基を有する第三アルコール(例えば、アダマンタン−1−オール)と、(メタ)アクリル酸とのエステルに由来する構造単位が好ましい。該構造単位を誘導するモノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルコキシスチレンに由来する構造単位は、例えば、構造単位(a2−0)が有するヒドロキシ基がアルコキシ基に置換された構造単位である。該構造単位を誘導するモノマーとしては、例えば、メトキシスチレン、エトキシスチレン、イソプロポキシスチレン及びtert−ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0094】
前記ヒドロキシ基を有する構造単位としては、式(a2−1)で表される構造単位が挙げられる。
[式(a2−1)中、
L
a3は、酸素原子又は*−O−(CH
2)
k2−CO−O−を表す。k2は1〜7の整数を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
R
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a15及びR
a16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。]
【0095】
L
a3は、好ましくは、酸素原子又は、k2が1〜4の整数である*−O−(CH
2)
k2−CO−O−であり、より好ましくは、酸素原子又は*−O−CH
2−CO−O−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
R
a14は、好ましくはメチル基である。
R
a15は、好ましくは水素原子である。
R
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。]
【0096】
前記ラクトン環を有する構造単位としては、式(a3−1)〜式(a3−3)のいずれかで表される構造単位が挙げられる。
式(a2−1)で表される構造単位としては、例えば、特開2010−204646号公報記載のモノマーに由来する構造単位が挙げられ、好ましくは、式(a2−1−1)〜式(a2−1−4)のいずれかで表される構造単位であり、より好ましくは、式(a2−1−1)又は(a2−1−3)で表される構造単位である。
【0097】
ラクトン環を有する構造単位が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環及びδ−バレロラクトン環のような単環式でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
【0098】
ラクトン環を有する構造単位は好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される構造単位である。
[式(a3−1)中、
L
a4は、酸素原子又は
*−O−(CH
2)
k3−CO−O−を表す。k3は、1〜7の整数を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
R
a18は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a21は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。p1が2以上の場合、複数のR
a21は互いに同一であっても異なってもよい。
式(a3−2)中、
L
a5は、酸素原子又は
*−O−(CH
2)
k3−CO−O−を表す。k3は1〜7の整数を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
R
a22は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
q1は、0〜3の整数を表す。q1が2以上の場合、複数のR
a22は、互いに同一であっても異なってもよい。
式(a3−3)中、
L
a6は、酸素原子又は
*−O−(CH
2)
k3−CO−O−を表す。k3は、1〜7の整数を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
R
a20は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a23は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
r1は、0〜3の整数を表す。r1が2以上の場合、複数のR
a23は、互いに同一であっても異なってもよい。]
【0099】
式(a3−1)〜式(a3−3)において、L
a4〜L
a6は、それぞれ独立に、好ましくは、k3が1〜4の整数である*−O−(CH
2)
k3−CO−O−又は酸素原子であり、より好ましくは、*−O−CH
2−CO−O−又は酸素原子であり、さらに好ましくは酸素原子である。
R
a18〜R
a21は、好ましくはメチル基である。
R
a22及びR
a23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0100】
式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される構造単位は、例えば、特開2010−204646号公報記載のモノマーから誘導される。
式(a3−1)で表される構造単位としては、例えば、式(a3−1−1)、式(a3−1−2)、式(a3−1−3)又は式(a3−1−4)で表される構造単位が挙げられる。
【0101】
式(a3−2)で表される構造単位としては、例えば、式(a3−2−1)、式(a3−2−2)、式(a3−2−3)又は式(a3−2−4)で表される構造単位が挙げられる。
【0102】
式(a3−2)で表される構造単位としては、例えば、式(a3−3−1)、式(a3−3−2)、式(a3−3−3)又は式(a3−3−4)で表される構造単位が挙げられる。
【0103】
ラクトン環を有する構造単位の中でも、式(a3−1−1)〜式(a3−1−2)、式(a3−2−3)〜式(a3−2−4)のいずれかで表される構造単位が好ましく、式(a3−1−1)又は式(a3−2−3)で表される構造単位がより好ましい。
【0104】
構造単位(a1−4)の含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、10〜95モル%が好ましく、15〜90モル%より好ましく、20〜85モル%がさらに好ましい。
構造単位(a2−0)の含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、5〜90モル%が好ましく、10〜85モル%より好ましく、15〜80モル%がさらに好ましい。
樹脂(A)がその他の構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜50モル%が好ましく、3〜30モル%より好ましい。
【0105】
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは2,500以上100,000以下であり、より好ましくは2,700以上50,000以下であり、さらに好ましくは3,000以上40,000以下である。
【0106】
<塩基性化合物>
塩基性化合物(C)は、酸を捕捉するという特性を有する化合物、特に、酸発生剤(B)から発生する酸を捕捉する特性を有する化合物である。
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
[式(C1)中、
R
c1、R
c2及びR
c3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0107】
[式(C1−1)中、
R
c2及びR
c3は、前記と同義である。
R
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上の場合、複数のR
c4は互いに同一であっても異なってもよい。]
【0108】
[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、
R
c5、R
c6、R
c7及びR
c8は、それぞれ独立に、R
c1と同じ意味を表す。
R
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上の場合、複数のR
c9は互いに同一であっても異なってもよい。]
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0109】
[式(C5)及び式(C6)中、
R
c10、R
c11、R
c12、R
c13及びR
c16は、それぞれ独立に、R
c1と同じ意味を表す。
R
c14、R
c15及びR
c17は、それぞれ独立に、R
c4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上の場合、複数のR
c14は互いに同一であっても異なってもよく、p3が2以上の場合、複数のR
c15は互いに同一であっても異なってもよい。
L
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0110】
[式(C7)及び式(C8)中、
R
c18、R
c19及びR
c20は、それぞれ独立に、R
c4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上の場合、複数のR
c18は互いに同一であっても異なってもよく、r3が2以上の場合、複数のR
c19は互いに同一であっても異なってもよく、s3が2以上の場合、複数のR
c20は互いに同一であっても異なってもよい。
L
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0111】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなどが挙げられ、
これらの中でも、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリオクチルアミン、メチルジヘキシルアミン、ジイソプロピルアニリンが好ましく、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリ−n−オクチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリンがより好ましい。
【0112】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジンなどが挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリンなどが挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジンなどが挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン及びビピリジンなどが挙げられる。
【0113】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリンなどが挙げられる。
【0114】
<溶剤(D)>
溶剤(D)は、用いる樹脂や酸発生剤の種類及びその量などに応じ、レジスト組成物の塗布性等の観点から適宜選択できる。
【0115】
溶剤(D)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンなどのケトン類;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類を挙げられる。溶剤(D)は、1種のみを含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
【0116】
<その他の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある。)>
本発明のレジスト組成物は、必要に応じてその他の成分(F)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、当該技術分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料などが挙げられる。
【0117】
<レジスト組成物の製造方法>
本発明のレジスト組成物は、塩(I)及び樹脂(A)、並びに、必要に応じて用いられる酸発生剤(B)、塩基性化合物(C)及びその他の成分(F)を混合することにより製造できる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂などの種類や溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適宜選択できる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の範囲から適宜選択できる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
本発明のレジスト組成物を調製する際に用いる各成分の使用量を選択することにより、本発明のレジスト組成物中の各成分の含有量を調節することができる。
このように、各成分を混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過などすることが好ましい。
【0118】
樹脂(A)の含有量は、本発明のレジスト組成物の固形分に対して、80質量%以上99質量%以下が好ましい。「固形分」とは、本発明のレジスト組成物から溶剤(D)を除いた成分の合計量を意味する。該固形分の質量及び本発明のレジスト組成物に含まれる各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0119】
塩(I)及び酸発生剤(B)の合計含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、好ましくは40質量部以下であり、より好ましくは35質量部以下である。
また、塩(I)の含有量は、塩(I)と酸発生剤(B)との合計量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
【0120】
本発明のレジスト組成物が塩基性化合物(C)を含む場合、その含有量は、本発明のレジスト組成物の固形分に対して、0.01〜1質量%程度が好ましい。
【0121】
本発明のレジスト組成物が溶剤(D)を含む場合、その含有量は、樹脂の種類などに応じて適宜選択でき、本発明のレジスト組成物の総量に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上であり、さらに好ましくは94質量%以上であり、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは99.9質量%以下である。
溶剤(D)の含有量が上記の範囲内であると、本発明のレジスト組成物から、厚み30〜300nm程度の薄い組成物層を形成しやすい。
【0122】
本発明のレジスト組成物がその他の成分(F)を含む場合、その他の成分(F)の種類に応じて、適切な含有量を調節できる。
【0123】
<レジストパターンの製造方法>
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程
を含む。
【0124】
工程(1)における本発明のレジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーター等、通常、当該分野で用いられている塗布装置によって行うことができる。基板としては、例えば、シリコンウェハ等が挙げられる。本発明のレジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜等が形成されていてもよい。
【0125】
工程(2)により、塗布後の組成物を乾燥することにより、溶剤が除去され、基板上に組成物層が形成される。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱乾燥(いわゆるプリベーク)、減圧装置を用いた減圧乾燥、或いはこれらの手段を組み合わせて行われる。この場合の温度は、例えば、50〜200℃程度が好ましい。また、圧力は、1〜1.0×10
5Pa程度が好ましい。
【0126】
得られた組成物層は、通常、露光機を用いて露光する。露光機は、液浸露光機であってもよい。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F
2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)を照射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域又は真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。
【0127】
工程(3)は該組成物層を露光する工程であり、好ましくは、露光機を用いて該組成物層を露光する工程である。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F
2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)を照射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域又は真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。該露光機は液浸露光機であってもよい。尚、本明細書において、これらの放射線を照射することを総称して「露光」という場合がある。
【0128】
工程(4)は、露光後の組成物層を加熱する工程(いわゆるポストエキスポジャーベーク)であり、好ましくは、加熱装置により現像する工程である。加熱装置としては、ホットプレート等が挙げられる。加熱温度としては、通常、50〜200℃、好ましくは、70〜150℃である。加熱時間としては、通常、20〜90秒、好ましくは、30〜70秒である。工程(4)を行うことにより、樹脂(A’)の脱保護反応が促進される。
【0129】
工程(5)は、加熱後の組成物層を現像する工程であり、好ましくは、加熱後の組成物層を現像装置により現像する工程である。現像には、通常、アルカリ現像液が利用される。該アルカリ現像液としては例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水等でリンス処理を行い、さらに基板及びレジストパターン上に残存している水分を除去することが好ましい。
【0130】
<用途>
本発明のレジスト組成物は、特に得られるレジストパターンの形状に優れるため、特に、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)照射用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物として好適であり、半導体の微細加工に有用である。
【実施例】
【0131】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量及び使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。分析条件は下記のとおりである。
装置 :HLC−8120GPC型(東ソー(株)製)
カラム :TSKgel Multipore H
XL-M x 3 + guardcolumn(東ソー(株)製)
溶離液 :テトラヒドロフラン
流量 :1.0mL/min
検出器 :RI検出器
カラム温度:40℃
注入量 :100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー(株)製)
【0132】
化合物の構造は、質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型)を用い、分子イオンピークを測定することにより確認した。例中、該分子イオンピークの測定値を「MASS」で示す。
【0133】
合成例1 式(I−1)で表される塩の合成
式(I1−a)で表される化合物50.00部及びテトラヒドロフラン250部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌した後、トリメチルシリルクロリド50.23部を滴下した。得られた混合液を0℃まで冷却した後、式(I1−b)で表される化合物(純度32% 東京化成製)157.20部を30分かけて滴下し、さらに、23℃まで昇温した後、同温度で1時間攪拌した。得られた反応混合物に、1N塩酸125部を仕込み、攪拌・静置し、分液することで水層を回収した。回収された水層に、tert−ブチルメチルエーテル125部を加えて攪拌・静置し、分液することで水層を回収した。。回収された水層に、クロロホルム125部を加えて攪拌・静置し、分液することで有機層を回収した。。回収された有機層をろ過した後、得られたろ液を濃縮した。濃縮残渣に、アセトニトリル28.33部及びtert−ブチルメチルエーテル354.15部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、析出した結晶をろ過することにより、式(I1−c)で表される化合物53.00部を得た。
【0134】
まず、式(I1−d)で表される化合物を、特開2006−257078号公報に記載された方法で合成した。
式(I1−d)で表される化合物16.80部、式(I1−e)で表される化合物18.30部及びn−ヘプタン250部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌した後、トリフルオロ酢酸12.80部を加えた後、昇温し、100℃で20時間還流脱水した。得られた反応混合物を80℃程度まで冷却し、同温度で、アセトニトリル250部を添加した。さらに、濃縮を行い、得られた濃縮残渣に、酢酸エチル290部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、析出した結晶をろ過することにより、式(I1−f)で表される化合物21.11部を得た。
【0135】
〔式(I−1)で表される塩の合成〕
式(I1−f)で表される化合物26.18部及びクロロホルム147.39部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌した後、式(I1−c)で表される塩20.71部及びイオン交換水62.27部を添加した。次いで、35%塩酸6.90部を滴下した後、23℃で12時間攪拌した。得られた反応混合物に、28%アンモニア水12.00部を滴下した後、分液することで有機層を回収した。。回収された有機層に、イオン交換水49.13部を仕込み、攪拌、静置及び分液といった水洗操作を計5回行った。得られた有機層に活性炭2.05部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル10.97部及びtert−ブチルメチルエーテル137.06部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I−1)で表される塩25.50部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M
+ 277.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M
− 372.1
【0136】
合成例2 式(I−236)で表される塩の合成
【0137】
式(I1−f)で表される化合物32.74部、式(I236−a)で表される塩35.50部、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、23℃で12時間攪拌した。得られた反応液が2層に分離していたので、クロロホルム層を分液して取り出し、更に、該クロロホルム層にイオン交換水50部を添加し、水洗した。この操作を5回繰り返した。クロロホルム層を濃縮し、得られた残渣に、tert−ブチルメチルエーテル100部を加えて23℃で30分間攪拌した後、ろ過することにより、式(I236−b)で表される塩56.42部を得た。
【0138】
式(I236−b)で表される塩20.90部、式(I236−c)で表される化合物2.84部及びモノクロロベンゼン250部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合液に、二安息香酸銅(II)0.21部を添加した後、更に、100℃で1時間攪拌した。得られた反応溶液を濃縮した後、得られた残渣に、クロロホルム200部及びイオン交換水50部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。回収された有機層にイオン交換水50部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。この水洗操作を5回繰り返した。得られた有機層を濃縮した後、得られた残渣に、アセトニトリル60部に溶解し、濃縮した後、tert−ブチルメチルエーテル120部を加えて攪拌した後、ろ過することにより、式(I−236)で表される塩8.68部を得た。
【0139】
MASS(ESI(+)Spectrum):M
+ 237.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M
− 372.1
【0140】
合成例2 樹脂(A1)の合成
p-tert-ブトキシスチレン52.9部を乾燥テトラヒドロフラン150部に溶解させ、窒素気流下、−78℃でn-ブチルリチウム(1.6モル、n-ヘキサン溶液)5.5部を注入し、−78〜−72℃で2時間攪拌反応させた。赤色の反応液に-70℃でメタノール 10部を注入して重合反応を停止させた。次いで重合反応液をメタノール1500部中に注入し、上層をデカンテーションにより除き、濃縮してポリ(p-tert−ブトキシスチレン)51.5部を得た。重量平均分子量は、22000であった。
ポリ(p-tert−ブトキシスチレン)30.0部をイソプロパノールに懸濁し濃塩酸30部を加えて70〜80℃で4時間攪拌反応させた。冷却後、反応液をイオン交換水1500部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、減圧乾燥してポリ(p-ヒドロキシスチレン/p-tert−ブトキシスチレン)19.2部を得た。得られたポリマーのp-ヒドロキシスチレン単位とp-tert−ブトキシスチレン単位の構成比率(モル比)は90:10であった。重量平均分子量は、15500であった。
得られたポリ(p-ヒドロキシスチレン/p-tert−ブトキシスチレン)15.7部をエチルビニルエーテル1.8部を酢酸エチル 150部に溶解させ、これに触媒量のp-トルエンスルホン酸を添加し、室温で6時間攪拌反応させた。反応後、トリエチルアミンで中和し、濃縮した後、残渣の粘稠油状物をアセトン100部に溶解させ、イオン交換水3000部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、乾燥することにより、樹脂(A1)15.5部を得た。樹脂(A1)は、以下の構造単位を有し、p-1-エトキシエトキシスチレン単位とp-ヒドロキシスチレン単位及びp-tert−ブトキシスチレン単位の構成比率(モル比)は、17:73:10であった。重量平均分子量は、18200であった。
【0141】
合成例3 樹脂(A2)の合成
p-tert-ブトキシスチレン 52.9部を乾燥テトラヒドロフラン 150部に溶解させ、窒素気流下、−78℃でn-ブチルリチウム(1.6モル、n-ヘキサン溶液)5.5部を注入し、−78〜−72℃で2時間攪拌反応させた。赤色の反応液に-70℃でメタノール10部を注入して重合反応を停止させた。次いで重合反応液をメタノール1500部中に注入し、上層をデカンテーションにより除き、濃縮してポリ(p-tert−ブトキシスチレン)51.5部を得た。重量平均分子量は、22000であった。
得られたポリ(p-tert-ブトキシスチレン) 35.3部をイソプロパノールに懸濁し、濃塩酸50部を注入して4時間攪拌還流を行った。反応液を冷却後、イオン交換水3000部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、減圧乾燥してポリ(p-ヒドロキシスチレン)22.1部を得た。重量平均分子量は、15000であった。
得られたポリ(p-ヒドロキシスチレン)16.2部と塩化イソプロピル2.0部をアセトン100部に溶解させ、これにトリエチルアミン2.8部を加えて50〜55℃で5時間攪拌反応させた。反応液をイオン交換水1000部中に注入し、上層をデカンテーションにより除いて得られた粘稠な樹脂をアセトン75部に溶解させ、イオン交換水500部中に注入し、析出した樹脂を乾燥してポリ(p-ヒドロキシスチレン/p-イソプロポキシスチレン)16.2部を得た。得られたポリマーのp-ヒドロキシスチレン単位及びp-イソプロポキシスチレン単位の構成比率(モル比)は、85:15であった。重量平均分子量は、15500であった。
得られたポリ(p-ヒドロキシスチレン/p-イソプロポキシスチレン)15.0部とエチルビニルエーテル1.5部を酢酸エチル 150部に溶解させ、これに触媒量のp-トルエンスルホン酸を添加し、室温で6時間攪拌反応させた。反応後、トリエチルアミンで中和し、濃縮した後、残渣の粘稠油状物をアセトン 100部に溶解させ、イオン交換水3000部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、乾燥することにより、樹脂(A2)16.2部を得た。樹脂(A2)は、以下の構造単位を有し、p-1-エトキシエトキシスチレン単位とp-ヒドロキシスチレン単位及びp-イソプロポキシスチレン単位の構成比率は15:70:15(モル比)であった。重量平均分子量は、18000であった。
【0142】
合成例4 樹脂(A3)の合成
9−アントラセンカルボン酸5.0部をN,N’−ジメチルホルムアミド35部に溶解した。そこに炭酸カリウム3.1部とヨウ化カリウム0.9部を加えて攪拌し、50℃で1時間加熱した。50℃を保ったまま、クロロエチルビニルエーテル2.4部を1時間かけて滴下した。50℃で5.5時間、100℃で3.5時間加熱した。約20℃以下まで冷却し、イオン交換水46.4部を加えた。酢酸エチル23.2部で4回抽出した。酢酸エチル層を合わせて、イオン交換水30部で5回洗浄した。酢酸エチル層に活性炭0.8部と硫酸マグネシウム4.0部を加えて攪拌した。ろ過後ろ液を濃縮して得られた黄色固体にn−ヘプタン18.1部を加えて攪拌した。ろ過後、ろ物を乾燥させて9−アントラセンカルボン酸誘導体を5.2部得た。
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(重量平均分子量は15200)のメチルイソブチルケトン溶液22.3部(ポリ(p−ヒドロキシスチレン)として7.5部)、p−トルエンスルホン酸1水和物0.0012部、及びメチルイソブチルケトン30.2部を仕込んで攪拌した。得られた樹脂溶液に、先に合成した9−アントラセンカルボン酸誘導体9.4部をメチルイソブチルケトン6部で洗いこみながら加え25℃で3.5時間攪拌した。その後イオン交換水18部を加えて分液した。さらに得られた有機層を、イオン交換水18部で4回水洗分液した。得られた有機層を濃縮することにより、樹脂(A3)20.8部を得た。樹脂(A3)は、以下の構造単位を有し、p-ヒドロキシスチレン単位及び9−アントラセンカルボン酸誘導体単位の構成比率(モル比)は80:20であった。重量平均分子量は、18000であった。
【0143】
合成例5 樹脂(A4)の合成
p-tert-ブトキシスチレン45.0部及びシクロヘキシルアクリレート6.95部を乾燥テトラヒドロフラン150部に溶解させ、窒素気流下、−78℃でn-ブチルリチウム(1.6モル、n-ヘキサン溶液)5.5部を注入し、−78〜−72℃で2時間攪拌反応させた。赤色の反応液に-70℃でメタノール 10部を注入して重合反応を停止させた。次いで重合反応液をメタノール1500部中に注入し、上層をデカンテーションにより除き、濃縮してポリ(p-tert−ブトキシスチレン/シクロヘキシルアクリレート)52.9部を得た。重量平均分子量は、21000であった。
得られたポリ(p-tert-ブトキシスチレン/シクロヘキシルアクリレート)34.9部をイソプロパノールに懸濁し、濃塩酸50部を注入して4時間攪拌還流を行った。反応液を冷却後、イオン交換水3000部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、減圧乾燥してポリ(p-ヒドロキシスチレン/シクロヘキシルアクリレート)21.8部を得た。得られたポリマーのp-ヒドロキシスチレン単位及びシクロヘキシルアクリレート単位の構成比率(モル比)は、85:15であった。重量平均分子量は、15000であった。
得られたポリ(p-ヒドロキシスチレン/シクロヘキシルアクリレート)15.0部とエチルビニルエーテル 2.0部を酢酸エチル 150部に溶解させ、これに触媒量のp-トルエンスルホン酸を添加し、室温で6時間攪拌反応させた。反応後、トリエチルアミンで中和し、濃縮した後、残渣の粘稠油状物をアセトン100部に溶解させ、イオン交換水3000部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、乾燥することにより、樹脂(A4)15.9部を得た。樹脂(A4)は、以下の構造単位を有し、p-1-エトキシエトキシスチレン単位とp-ヒドロキシスチレン単位及びシクロヘキシルアクリレート単位の構成比率(モル比)は20:65:15であった。重量平均分子量は、17500であった。
【0144】
合成例6 樹脂(A5)の合成
p-tert−ブトキシスチレン35.2部に触媒量の2,2’−アゾビス(2-メチルプロピオン酸メチル)を添加してイソプロパノール中、窒素気流下、80℃で6時間重合反応させた。反応液を冷却後、メタノール水溶液(4:1(質量比))1500部に注入して、晶析させた。析出晶を濾取、メタノール洗浄、減圧乾燥してポリ(p-tert−ブトキシスチレン)33.4部を得た。重量平均分子量は、20000であった。
得られたポリ(p-tert−ブトキシスチレン)30.0部をイソプロパノールに懸濁し濃塩酸30部を加えて70〜80℃で4時間攪拌反応させた。冷却後、反応液をイオン交換水 1500部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、濃縮して、ポリ(p-ヒドロキシスチレン/p-tert−ブトキシスチレン)18.8部を得た。得られたポリマーのp-ヒドロキシスチレン単位とp-tert−ブトキシスチレン単位の構成比率(モル比)は94:6であった。重量平均分子量は、15000であった。
得られたポリ(p-ヒドロキシスチレン/p-tert−ブトキシスチレン)15.7部及びエチルビニルエーテル 3.2部を1,4-ジオキサン140部に溶解し、これに触媒量のp-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩を添加し、室温で24時間攪拌反応させた。反応後、水3000部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、乾燥することにより、樹脂(A5)15.5部を得た。樹脂(A5)は、以下の構造単位を有し、p-1-エトキシエトキシスチレン単位とp-ヒドロキシスチレン単位及びp-tert−ブトキシスチレン単位の構成比率(モル比)は30:64:6であった。重量平均分子量は、18000であった。
【0145】
合成例7 樹脂(A6)の合成
p-tert-ブトキシスチレン81.1部とスチレン 4.6部に、2,2'−アゾビス(2-メチルプロピオン酸メチル)を添加して、1,4-ジオキサン中、窒素気流下、80℃で6時間重合反応させた。反応液を冷却後、メタノール水溶液(4:1(質量比))5000部中に注入して、晶析させた。析出晶を濾取、メタノール洗浄、乾燥して、ポリ(p-tert-ブトキシスチレン/スチレン)77.1部を得た。得られたポリマーのp-tert-ブトキシスチレン単位とスチレン単位の構成比率(モル比)は92:8であった。重量平均分子量は、20000であった。
得られたポリ(p-tert-ブトキシスチレン/スチレン)70部をイソプロパノールに懸濁し濃塩酸30部を加えて70〜80℃で4時間攪拌反応させた。冷却後、反応液をイオン交換水 1500部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、濃縮して、ポリ(p-ヒドロキシスチレン/スチレン)44.0部を得た。得られたポリマーのp-ヒドロキシスチレン単位とスチレン単位の構成比率(モル比)は92:8であった。重量平均分子量は、15000であった。
得られたポリ(p-ヒドロキシスチレン/スチレン)15.0部とビニルエチルエーテル3.2部を1,4-ジオキサン150部に溶解し、これに触媒量のp-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩を添加し、室温で24時間攪拌反応させた。反応後、イオン交換水5000部中に注入、晶析させた。析出晶を濾取、水洗、乾燥することにより、樹脂(A6)14.1部を得た。樹脂(A6)は、以下の構造単位を有し、p-1-エトキシエトキシスチレン単位とp-ヒドロキシスチレン単位及びスチレン単位の構成比率(モル比)は32:60:8であった。重量平均分子量は、18000であった。
【0146】
実施例1〜5及び比較例1
(レジスト組成物の調製)
表9に示すように、以下の各成分を混合して溶解することにより得られた混合物を孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルタで濾過することにより、レジスト組成物を調製した。
【0147】
【表8】
【0148】
<樹脂>
A1:樹脂A1
A2:樹脂A2
A3:樹脂A3
A4:樹脂A4
A5:樹脂A5
A6:樹脂A6
【0149】
<酸発生剤(B)>
B−S1:(和光純薬工業(株)製)
B−S2:(和光純薬工業(株)製)
B−S3:(和光純薬工業(株)製)
B−S4:(東洋合成工業(株)製)
【0150】
<塩(I)>
I−1:式(I−1)で表される塩
I−236:式(I−236)で表される塩
【0151】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:トリ−n−オクチルアミン(東京化成工業(株)製)
C2:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成工業(株)製)
【0152】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 161.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 8.5部
【0153】
(レジストパターンの製造)
シリコンウェハを、ダイレクトホットプレート上にて、ヘキサメチルジシラザンを用いて90℃で60秒処理した後、該シリコンウェハに、レジスト組成物をプリベーク後の膜厚が0.285μmとなるようにスピンコートした。
その後、ダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」の欄に示す温度で60秒間プリベークして組成物層を形成した。次いで、トップコート(AQATARVIII AZ製)を乾燥後のトップコートの膜厚が0.043μmとなるように、組成物層の上に塗布し、90℃で60秒間ベークした。こうして組成物層上にトップコート層が形成されたウェハに、KrFエキシマレーザステッパー〔NSR−2205EX12B NA0.55 σ0.8 conv.露光〕を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後は、ホットプレート上にて表1の「PEB」の欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行うことにより、レジストパターンを得た。
200nmのラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1となる露光量を実効感度とした。
【0154】
(レジストパターンの形状評価)
得られたレジストパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡で観察した。実効感度において200nmのラインアンドスペースパターンの形状が、矩形である場合を○、トップが丸くなっているものを×とし、表7に示した。
【0155】
【表9】