(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リードの前記他方の面において、前記切欠きまたは貫通孔の前記第1端部と対向する第2端部は、前記リード凹部の外側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載のパッケージ成形体。
前記リードの前記他方の面において、前記切欠きまたは貫通孔の前記第1端部と対向する第2端部は、前記リード凹部内に位置して、前記樹脂により覆われていることを特徴とする請求項1または2に記載のパッケージ成形体。
前記リードの前記一方の面において、前記切欠きまたは貫通孔の前記第1端部が前記凹部の底面で露出し、該第1端部と対向する前記切欠きまたは貫通孔の第2端部が前記樹脂成形体の前記凹部を成す側壁で覆われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパッケージ成形体。
前記リードの前記一方の面において、前記切欠きまたは貫通孔が、前記樹脂成形体の前記凹部を成す側壁で覆われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパッケージ成形体。
前記リードの前記一方の面に表面溝を有し、該表面溝は、前記切欠きまたは貫通孔の第1端部と前記第1端部と対向する第2端部との間に形成され、且つ前記樹脂成形体の前記凹部を成す側壁で覆われていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のパッケージ成形体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
図1に示すように、本実施の形態に係る発光装置50は、少なくとも1つのリード(
図1では2つのリード20、30)および樹脂成形体11を含むパッケージ成形体10と、発光素子40と、封止樹脂52を含んでいる。
発光素子40は、パッケージ成形体10の樹脂成形体11に設けられた凹部12に収納され、凹部12の底面121から露出したリード(
図1では第1リード20)の表面21に載置される。発光素子40は一対の電極を備えており、一方の電極と第1リード20、他方の電極と第2リード30とは、ボンディングワイヤBWによって電気的に接続されている。
封止樹脂52は、発光素子40を収容した樹脂成形体11の凹部12を封止するものであり、発光素子40を外部環境から保護している。
【0015】
図2〜4に示すように、本実施の形態のパッケージ成形体10は、一方向(Ld方向)に細長い形状を有しており、樹脂成形体11と、樹脂成形体11の下部に配置された少なくとも1つのリード(本実施の形態では、2つのリード20、30)を含んでいる。
樹脂成形体11は、発光素子を収納するための凹部12を上面に有しており、凹部12は側壁13で囲まれている。
【0016】
本実施の形態では、リードは第1リード20と第2リード30から構成されている。
第1リード20の一方の面(表面21)は、その一部が樹脂成形体11の凹部12の底面121より露出している。また、第1リード20の他方の面(裏面22)は、樹脂成形体11の裏面14より露出した露出部221と、リード凹部24とを有している。リード凹部24には樹脂27が充填されており、リード凹部24の内面全体は、樹脂27で覆われている。
第1リード20の裏面22が樹脂成形体11の裏面14より露出しているので、発光素子40で発生した熱は、第1リード20の表面21から裏面22へと伝わり、裏面22から外部(例えば、発光装置を実装する実装基板)へと効率よく放熱することができる。
【0017】
第1リード20と同様に、第2リード30の一方の面(表面31)は、その一部が樹脂成形体11の凹部12の底面121より露出し、他方の面(裏面32)は、リード凹部34とを有している。リード凹部34の内面は、樹脂37で覆われている。
第1および第2リード20、30は互いに離間しており、それらの間は樹脂成形体11で満たされている。
【0018】
なお、
図1,3などに示すように、本実施の形態において、第1および第2リード20、30は、平板状である。第1および第2リード20、30は、実質的に折り曲げ加工はされていない。すなわち、第1および第2リード20、30の一方の面(表面21,31)は、意図的に形成される溝(例えば後述の表面溝)を考慮しなければ、略平坦である。また、第1および第2リード20、30の他方の面(裏面22,32)は、意図的に形成される凹部(例えばリード凹部24,34)を考慮しなければ、略平坦である。例えば、第1リード20の表面21における発光素子40が載置される部分は、第1リード20の表面21におけるリード凹部24の直上に位置する部分と略同一面上にある。このような構成により、パッケージ成形体10を薄型に形成することができる。また、第1および第2リード20、30を介する発光素子40からの放熱経路を短くしやすく、発光素子40で発生した熱を効率良く放熱することができる。
【0019】
本実施の形態では、第1リード20には、Ld方向に伸びた対向する二辺に沿って、表面21から裏面22に亘る切欠き25aが形成されている。
図2に示すように、本実施の形態では、切欠き25aは略矩形の形状で、Ld方向の二辺の両方に形成されている。このような切欠き25aは、樹脂成形体11をモールド成型する際に有利になりうる。例えば、樹脂成形体11用の溶融樹脂は、リード凹部24の位置から注入することができる(後述)が、このとき溶融樹脂は、リード凹部24から切欠き25aに向かって、第1リード20の裏面22に沿って横方向に流れる。また、切欠き25aを通って第1リード20の表面21側に流れ込んだ溶融樹脂の一部は、表面21に沿って横方向に流れる。このように、切欠き25aでは、溶融樹脂が第1リード20の表面21、裏面22に沿って流れやすいため、第1リード20と樹脂成形体11との間に欠陥(隙間)のない又は少ないパッケージ成形体10を得ることができる。
【0020】
切欠き25aは、少なくとも一部が樹脂成形体11の側壁13の下に位置するように形成されている。これにより、切欠き25aを、樹脂成形体11の一部により充填することができる。
切欠き25aは、切欠き25aによって、第1リード20と樹脂成形体11との結合力を高めるのに有効である。第1リード20に切欠き25aを設けると第1リード20の外周の長さを長くすることができる。そして、切欠き25aに樹脂成形体11の一部を充填することにより、第1リード20の側面28(
図4)と樹脂成形体11との接触面積を増加させることができる。これにより、切欠き25aによって、第1リード20と樹脂成形体11との結合力が高まる。
【0021】
裏面22における切欠き25aの端部のうち、凹部12の中央側(発光素子40側)に位置している端部、言い換えれば、長手方向Ldにおいて発光素子40に最も接近している端部(第1端部251b)は、リード凹部24内に位置し、樹脂27により覆われている。これにより、切欠き25aの(裏面22側の)第1端部251bは樹脂成形体11の裏面14から露出しなくなるので、発光装置をリフローしたときに、第1端部251bと樹脂成形体11との境界から半田フラックスが侵入するのを抑制することができる。
【0022】
なお、第1リード20の裏面22におけるリード凹部24と樹脂27との境界241から半田フラックスが侵入する可能性はある。しかしながら、境界241から凹部12まで半田フラックスが侵入するためには、リード凹部24と樹脂27との境界241から、リード凹部24と樹脂27との境界面を通り、さらに切欠き25aと樹脂成形体11との境界面を通って、第1リード20の表面21側における、切欠き25aと樹脂成形体11との境界251aまでの「半田フラックスの侵入経路」を通る必要がある(
図3(b))。つまり、切欠き25aの裏面22側の第1端部251bを、リード凹部24内に位置させて樹脂27により覆うことにより、半田フラックスの侵入経路を従来に比べて長くすることができる。これにより、半田フラックスが凹部12内まで侵入するのを防止または抑制することができる。
【0023】
リード凹部24に充填された樹脂27は、樹脂成形体11の裏面14から連続してなるのが好ましい。一例としては、リード凹部24に充填される樹脂27を、樹脂成形体11と一体に形成させてもよい。例えば、樹脂27を樹脂成形体11の一部として形成させて、樹脂27を樹脂成形体11とをつなげてもよい。つまり、樹脂成形体11は、第1リード20の表面21、側面28および裏面22と結合することになる。これにより、第1リード20と樹脂成形体11との結合力を高めることができる。
【0024】
別の例としては、樹脂27を、第1リード20の幅方向(Wd方向)に亘って延在させることもできる(
図4(b))。具体的には、リード凹部24を第1リード20のWd方向の全体に亘って設けて、リード凹部24の内面を樹脂27で覆う。
図4(b)からも明らかなように、第1リード20は、凹部12の底面121から露出する部分を除いて、樹脂27と樹脂成形体11とによって囲まれることになる。よって、第1リード20と樹脂成形体11との結合力をさらに高めることができる。
なお、発光素子40を、切欠き25aと第1リード20の第1縁部26(第2リード30と対向する縁部)との間に位置させることにより、発光素子40の載置位置の直下に樹脂27が配置されないように設計することができる。言い換えれば、発光素子40の載置位置の直下では、第1リード20の裏面22を樹脂成形体11の裏面14から露出させることができるので、発光素子40で発生した熱を、第1リード20の裏面22から効率よく放熱することができる。
【0025】
第1リード20と同様に、第2リード30にも、Ld方向に伸びた対向する二辺に沿って、表面31から裏面32に亘る切欠き35aが形成されている。切欠き35aは、少なくとも一部が樹脂成形体11の側壁13の下に位置するように形成され、切欠き35aを、樹脂成形体11の一部によって隙間なく充填している。これにより、第2リード30と樹脂成形体11との結合力が高まる。
また、第1リード20と同様に、裏面22における切欠き35aのうち、凹部12の中央側(発光素子40側)に位置している端部(第1端部351b)は、リード凹部34内に位置し、樹脂37により覆われていてもよい。これにより、切欠き35aの第1端部351bは樹脂成形体11の裏面14から露出しなくなるので、発光装置をリフローしたときに、第1端部351bと樹脂成形体11との境界から半田フラックスが侵入するのを抑制することができる。
【0026】
なお、第2リード30には発光素子40が載置されないので、半田フラックスが樹脂成形体11の凹部12の侵入することによる悪影響が少ないと考えられる。よって、第2リード30については、リード凹部34および樹脂37を設けずに、切欠き35aの(裏面32側の)第1端部351bを樹脂成形体11の裏面14から露出させてもよい。
また、第2リード30の裏面32にリード凹部34および樹脂37を設ける場合には、樹脂成形体11の凹部12の直下全体に設けることができる(
図2(b)、
図3(b))。すなわち、樹脂成形体11の凹部12の直下では、第2リード30の裏面32が樹脂成形体11の裏面14より露出させなくてもよい。これは、第2リード30には発光素子40を載置しないので、第2リード30の裏面32から外部に放熱する必要がないためである。なお、外部端子との通電のために、第2リード30の裏面32を露出させてもよい。
【0027】
第1リード20と同様に、リード凹部34に充填される樹脂37を、樹脂成形体11と一体に形成させてもよい。例えば、樹脂37を樹脂成形体11の一部として形成させて、樹脂37を樹脂成形体11とをつなげてもよい。これにより、第2リード30と樹脂成形体11との結合力を高めることができる。
さらに、樹脂37を、第2リード30の幅方向(Wd方向)に亘って延在させることもできる。具体的には、リード凹部24を第2リード30のWd方向の全体に亘って設けて、その中に樹脂27を充填する。
図4(b)で示す第1リード20と同様に、第2リード30は、凹部12の底面121から露出する部分を除いて、樹脂37と樹脂成形体11とによって囲まれることになる。よって、第2リード30と樹脂成形体11との結合力をさらに高めることができる。
【0028】
図3(b)および
図5(a)に示すように、第1リード20の表面21側において、切欠き25aの第1端部251aは樹脂成形体11の凹部12の底面121で露出し、切欠き25aの第2端部252a(第1端部251aと対向する端部)は、側壁13で覆ってもよい。すなわち、
図5(a)のように、凹部12の底面121から、切欠き25aの中に充填された樹脂成形体11の一部(部分25e)が露出する。部分25eは、発光装置50の製造時に、後述する封止樹脂52(
図7(b))と接合する。ここで、封止樹脂52は、第1リード20に比べて、樹脂成形体11に対する接着力のほうが高い。よって、封止樹脂52と部分25eとが接合することにより、封止樹脂52とパッケージ成形体10との結合力が高まり得る。
【0029】
切欠き25aの(表面21側の)第1端部251aまで半田フラックスが到達しにくい場合や、第1端部251aと発光素子40との距離が離れている場合(半田フラックスによる悪影響が低いと見積もられる場合)には、
図5(a)のように、切欠き25aの一部を樹脂成形体11の凹部12から露出させるのが好ましい。
なお、第1リード20は、切欠き25aが形成された位置で幅が狭くなっているので、強度が局所的に低下する。そのため、切欠き25aの第2端部252aを樹脂成形体11の側壁13で覆うことにより、第1リード20の狭幅部分を補強するのが好ましい。
【0030】
一方、
図5(b)に示すように、切欠き25a全体を、樹脂成形体11の側壁13で覆ってもよい。第1リード20の表面21側において、切欠き25aの(表面21側の)第1端部251aが樹脂成形体11で覆われるので、第1端部251aから樹脂成形体11の凹部12までの長さだけ、半田フラックスの侵入経路を長くすることができる。よって、半田フラックスが樹脂成形体11の凹部12内に侵入するのを抑制することができる。また、第1リード20の狭幅部分全体が樹脂成形体11の側壁13で補強する効果もある。
切欠き25aの表面21側の第1端部251aまで半田フラックスが到達しやすい場合や、表面21側の第1端部251aと発光素子40との距離が近い場合(半田フラックスによる悪影響が高いと見積もられる場合)には、
図5(b)のように、切欠き25aの全体を樹脂成形体11の側壁13で覆うのが好ましい。
【0031】
第2リード30の切欠き35aについても、第1リード20と同様の理由により、切欠き35aの(表面31側の)第1端部351aを露出させたほうがよい場合と、露出させないほうがよい場合とがある。
例えば、切欠き35aの第1端部351aまで半田フラックスが到達しにくい場合や、第1端部351aと発光素子40との距離が離れている場合(半田フラックスによる悪影響が低いと見積もられる場合)には、切欠き35aの一部を樹脂成形体11の凹部12から露出させるのが好ましい。
一方、切欠き35aの第1端部351aまで半田フラックスが到達しやすい場合や、第1端部351aと発光素子40との距離が近い場合(半田フラックスによる悪影響が高いと見積もられる場合)には、切欠き35aの全体を樹脂成形体11の側壁13で覆うのが好ましい。
【0032】
本実施の形態では、切欠き25a、35aの形状を略矩形にしているが、多角形状、部分円形状(例えば半円など)など、任意の形状にすることができる。また、本実施の形態では、切欠き25a、35aは、Ld方向に伸びた二辺の両方に形成されているが、いずれか一辺のみに形成することもできる。
【0033】
変形例として、
図2〜5の第1リード20の切欠き25aに代えて、
図6のように貫通孔25bを設けることができる。貫通孔25bを形成した第1リード20では、切欠き25aに比べて局所的な強度低下が起こりにくいので、第1リード20の強度を維持したい場合に好適である。一方、第1リード20の幅(Wd方向の寸法)が狭くて貫通孔25bを適所に形成するのが困難な場合など、貫通孔25bの形成が困難な理由がある場合には、切欠き25aを設けるほうが好ましい。
【0034】
切欠き25aと同様に、第1リード20の裏面における貫通孔25の端部のうち、凹部12の中央側(発光素子40側)に位置している端部(第1端部251b)は、リード凹部24内に位置し、樹脂により覆われている。これにより、貫通孔25の(裏面22側の)第1端部251bは樹脂成形体11の裏面14から露出しなくなるので、発光装置をリフローしたときに、第1端部251bと樹脂成形体11との境界から半田フラックスが侵入するのを抑制することができる。
また、貫通孔25の裏面22側の第1端部251bを、リード凹部24内に位置させて樹脂により覆うことにより、半田フラックスの侵入経路を従来に比べて長くすることができるので、半田フラックスが凹部12内まで侵入するのを抑制することができる。
【0035】
また、切欠き25a、35aと同様の理由により、貫通孔25の裏面22側の第1端部251bを露出させたほうがよい場合と、露出させないほうがよい場合とがある。
例えば、貫通孔25の表面21側の第1端部251aまで半田フラックスが到達しにくい場合や、表面21側の第1端部251aと発光素子40との距離が離れている場合(半田フラックスによる悪影響が低いと見積もられる場合)には、貫通孔25の一部を樹脂成形体11の凹部12から露出させるのが好ましい。
一方、貫通孔25の表面21側の第1端部251aまで半田フラックスが到達しやすい場合や、第1端部251aと発光素子40との距離が近い場合(半田フラックスによる悪影響が高いと見積もられる場合)には、貫通孔25の全体を樹脂成形体11の側壁13で覆うのが好ましい。
【0036】
本実施の形態では、貫通孔25の形状を楕円形にしているが、真円形、多角形状(三角形、矩形など)など、任意の形状にすることができる。
【0037】
なお、図示しないが、第2リード30についても、切欠き35aに代えて、貫通孔25bと同様の貫通孔を設けることができる。
【0038】
第1リード20の放熱性の観点から、第1リード20の裏面22が樹脂成形体11の裏面22から露出する露出面積は広いほうが好ましい。一方、切欠き25aからの半田フラックスの侵入防止の観点からは、少なくとも切欠き25aの(裏面22側の)第1端部251bは樹脂成形体11の裏面22から露出しないほうが好ましい。
そこで、
図7に示すように、第1リード20の第1縁部26からリード凹部24の凹部12の中央側(発光素子40側)の縁部241までの距離yが、第1リード20の第1縁部26から切欠き25aの第1端部251bまでの距離zに対して50%〜80%であるのが好ましい。この比率が50%未満の場合は、発光素子40の直下にリード凹部24と樹脂27とが設けられるため、放熱性が低下するおそれがある。また、この比率が80%を越える場合は、切欠き25aの第1端部251bのごく近傍のみを樹脂27で覆うことになるため、第1端部251bからの半田フラックスの侵入を防止する効果が低減するおそれがある。
【0039】
また、放熱性や半田フラックス防止の観点から、
図7に示す各部分の寸法を次のような範囲にすることができる。
リード凹部24の縁部241から、切欠き25aの第1端部251bまでの長さx
1は、0.1mm〜1.4mmであるのが好ましい。長さx
1<0.1mmより小さいと、半田フラックスの侵入経路を十分に長くすることができず、半田フラックスが第1端部251bから侵入しやすくなる。長さx
1>1.4mmであると、放熱性が低下する。
リード凹部24の長手方向Ldの長さx
2は、0.4〜1.6mmであるのが好ましい。長さx
2<0.4mmであると、第1リード20と樹脂成形体11との密着性が弱くなるおそれがある。長さx
2>1.6mmであると、放熱性が低下する。
【0040】
さらに、第1リード20の強度の観点から、
図4および
図7に示す各部分の寸法を次のような範囲にすることができる。
リード凹部24が形成された位置での第1リード20の板厚24tが、第1リード20の板厚20tに対して25%〜60%であるのが好ましい(
図4)。この比率が25%未満の場合、リード凹部24が形成された位置での第1リード20の強度が弱くなり、第1リード20の反りの原因になる。反りの生じた第1リード20を用いてパッケージ成形体10を形成すると、樹脂成形体11にクラックが発生しやすくなる。この比率が60%を越えると、リード凹部24に充填できる樹脂27の厚さが薄くなり、樹脂27にクラックが入りやすい。
切欠き25aの長手方向Ldの寸法(切欠き25aの幅25w)は、0.3〜0.9mmであるのが好ましい。幅25w<0.3mmであると、第1リード20と樹脂成形体11との密着性が弱くなるおそれがある。幅25w>0.9mmであると、切欠き25aが形成された狭幅部分において、第1リード20の強度が局所的に弱くなり、第1リード20の反りの原因になる。反りの生じた第1リード20を用いてパッケージ成形体10を形成すると、樹脂成形体11にクラックが発生しやすくなる(
図7)。
【0041】
図7に示した長さx
1、x
2および切欠き25aの幅25wの関係により、切欠き25aとリード凹部24との位置関係が決まる。
例えば、幅25w≧(長さx
2−長さx
1)であれば、切欠き25aの第2端部252bは、リード凹部24の外側に位置する(
図8(a))。
この条件を満たすように各寸法を決定すると、切欠き25aによる狭幅部分の一部は、板厚20tのままにすることができる。つまり、強度の低い狭幅部分が、リード凹部24によってさらに強度低下するのを緩和することができる。よって、第1リード20の強度を維持したい場合に好適である。
【0042】
一方、幅25w<(長さx
2−長さx
1)であれば、切欠き25aの第2端部252bが、リード凹部24内に位置して、前記樹脂により覆われる(
図8(b))。
この条件を満たすように各寸法を決定すると、切欠き25aの第2端部252bを樹脂27で覆うことができる。よって、第2端部252bからの半田フラックスの侵入を抑制することができる。
【0043】
なお、上述の各寸法は、第1リード20の切欠き25aについて述べているが、第1リード20の切欠き35aの寸法および切欠き35aとリード凹部24との位置関係についても同様に決定することができる。さらに、第1および第2リード20、30の切欠き25a、35aに代えて、各リードに貫通孔25aを設ける場合も、貫通孔25bの各寸法および貫通孔25bとリード凹部24との位置関係についても同様に決定することができる。
【0044】
図2(c)および
図3を再び参照すると、第1リード20の裏面22側において、切欠き25aの第1端部251bを覆う樹脂27は、パッケージ成形体10の裏面14側においてリード凹部に対応する凹み141を設けることができる。以下に説明するように、この凹み141は、発光装置の実装不良の解消に有効であると考えられる。
【0045】
このパッケージ成形体10を用いた発光装置を実装基板に半田リフローで実装すると、溶融した半田は樹脂成形体11に対する濡れ性が低いため、溶融半田は第1リード20の露出面21に自然に集まる。しかし、時として、溶融した半田が樹脂成形体11の上に留まって、半田ボールを形成することがある。半田ボールによって発光装置が浮き上がったまま実装基板に実装されると、発光装置の実装不良となる。
このような半田ボールSBは、樹脂成形体11の周縁に凹凸がある位置に形成されやすく、本実施の形態のパッケージ成形体10では、切欠き25aの近傍に発生する傾向にある(
図2(c))。そこで、切欠き25aの第1端部251bを覆う樹脂27を凹み141を設けることにより、リフロー時に半田ボールSBがこの凹み141に引き寄せられ、かつ凹みに半田ボールSBが広がることにより、発光装置が実装基板から浮き上がるのを抑制できる。
【0046】
第1リード20と同様の理由から、第2リード30についても、切欠き35aの第1端部351bを覆う樹脂37は、パッケージ成形体10の裏面14側においてリード凹部に対応する凹み142を設けることができる。
【0047】
なお、製造時には、リード凹部24に、溶融樹脂用のゲートを配置して、樹脂成形体11および樹脂27を形成するための溶融樹脂を注入することができる。このようなゲートでは、樹脂硬化後にバリ141aが生じることがある。バリ141aは発光装置の実装不良の原因となるため、除去する必要があるが、樹脂27に凹み141を設けることにより、バリ141aの高さが凹み141の深さより低い場合には、バリ141aの除去を省略することができる。
【0048】
第1および第2リード20、30の表面21、31には、表面溝211、212を設けることができる。表面溝211、212は、樹脂成形体11の側壁13で覆われている。また幅方向Wdに伸びる表面溝211は、切欠き25aの第1端部251aと第2端部252aとの間に形成される。表面溝211、212は、第1および第2リード20、30の表面21、31を伝う半田フラックスを溜めて、半田フラックスの拡散を抑制する効果と、表面21、31と樹脂成形体11との接触面積を広くして、第1および第2リード20、30と樹脂成形体11との接合強度を高める効果とが期待される。
【0049】
以下に、発光装置50の製造方法を説明する。
<1.パッケージ成形体10の製造>
金属板をパンチングして、対向配置された第1リード20と第2リード30との対を複数備えたリードフレームを形成する。切欠き25a、25bは、パンチングの際に同時に形成することができる。第1リード20及び第2リード30とは、タイバーによってリードフレームに連結される。その後、第1および第2リード20、30の裏面22、32側の所定位置に、リード凹部24、34をウェットエッチング又は打ち出しにより形成する。各リード対と対応する位置に樹脂成形体11用の空隙を有している金型90で、リードフレームLFを挟持する(
図9(a))。そして、リード凹部24に配置した溶融樹脂用ゲートから、金型90の空隙に、樹脂成形体11用の樹脂材料を注入する。樹脂材料が硬化した後に金型90を外すと、リードフレームに固定された状態のパッケージ成形体10が得られる。
【0050】
<2.発光素子40の実装>
図1に示す発光素子40は、一対の電極がいずれも上面に設けられている。このような発光素子40では、パッケージ成形体10の第1リード20に、発光素子40をダイボンドにより実装する。発光素子40の一方の電極と第1リード20、他方の電極と第2リード30とを、それぞれボンディングワイヤBWで電気的に接続する。
なお、第1電極が上面に、第2電極が下面に設けられた発光素子を用いることもできる。この場合、下面を第1リード20に導電性ペーストを用いて固定し、これにより第2電極と第1リード20とを電気的に接続することができる。また、上面に設けられた第1電極は、ボンディングワイヤBWを用いて第2リード30に電気的に接続する。
【0051】
<3.封止樹脂52の充填>
パッケージ成形体10の凹部12に、液体状態の封止樹脂をポッティングし、その後に硬化させる。封止樹脂52を2層にする場合には、まず、凹部12に第1封止樹脂(アンダーフィル)をポッティングした後に硬化し、次いで、凹部12に第2封止樹脂(オーバーフィル)をポッティングした後に硬化する。
【0052】
<4.発光装置50の個片化>
リードフレームのタイバーをダイシングによって切断し、個々の発光装置50に分離する。
【0053】
以下に、発光装置50の各構成部材に適した材料を説明する。
(第1リード20、第2リード電極30)
第1リード20、第2リード電極30は、加工性や強度の観点からすると、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅などのいずれか1つ以上からなる導電性材料を用いることができる。第1リード20、第2リード30は、金、銀及びそれらの合金などでメッキするのが好ましい。
【0054】
(樹脂成形体11)
樹脂成形体11の成形材料には、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂のほか、液晶ポリマー、ポリフタルアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの熱可塑性樹脂を用いることができる。また、成形材料中に酸化チタンなどの白色顔料などを混合して、樹脂成形体11の凹部12内における光の反射率を高めることもできる。
【0055】
(ボンディングワイヤBW)
ボンディングワイヤBWとしては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属及びそれらの合金から成る金属製のワイヤを用いることが出来る。
【0056】
(封止樹脂52)
封止樹脂の材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂またはこれらを1つ以上含む樹脂を用いることができる。封止樹脂52は単一層から形成することもできるが、複数層(例えば、アンダーフィルとオーバーコートの2層)から構成することもできる。
また、封止樹脂52には、酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、アルミナ、窒化アルミニウムなどの光散乱粒子を分散させてもよい。
さらに、封止樹脂52には、発光素子40からの発光の波長を変換する材料(蛍光体等)の粒子を分散させてもよい。例えば白色光を発する発光装置50では、青色光を発光する発光素子40と、青色光を吸収して黄色光を発する蛍光体粒子(例えばYAG粒子)とを組み合わせることができる。
【0057】
(半田)
本実施形態における半田とは、Sn−Ag−Cu、Sn−Zi−Bi、Sn−Cu、Pb−Sn、Au−Sn、Au−Ag等を用いることができる。
【0058】
本発明のパッケージ成形体11は、第1リード20の裏面22における切欠き25aの発光素子40の第1端部251bを、リード凹部24内に位置させて樹脂27により覆うことにより、パッケージ成形体11を用いて発光装置50を製造、実装したときに、切欠き25aの第1端部251bから半田フラックスが侵入するのを抑制することができる。
また、本発明のパッケージ成形体11は、第1リード20の裏面22が樹脂成形体11の裏面14より露出しているので、パッケージ成形体11を用いて発光装置50を製造したときに、第1リード20の表面21に載置された発光素子40からの熱を外部に効率よく放熱することができる。