(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」というような表現を用いる場合、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方を含む表現として用いることとする。また、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後に記載される数値あるいは物理値を含む意味で用いることとする。また、本明細書において「塗布時のなめらかさ」とは、後掲の実施例において示される評価をさすものであり、乾燥後のゴワツキの無さや指通りのよさ、化粧料組成物の粘度が優れていたとしても、塗布時のなめらかさが「比較標準品」よりも悪い場合にはその効果が劣るものとみなすこととする。
【0022】
[共重合体]
本発明の共重合体は、下記モノマー(a)に由来する構成単位と、下記モノマー(b)〜(d)に由来する構成単位のうちの少なくとも1つとを有する共重合体であって、共重合体の全質量に対して、下記モノマー(a)に由来する構成単位を1〜99質量%含み、カルボキシル基を有するビニルモノマー(A)に由来する構成単位を50〜100質量%含み、かつ質量平均分子量が3,000〜400,000であることを特徴とする。
【0023】
モノマー(a):アクリル酸及び/又はメタクリル酸
モノマー(b):下記式(1)、(2)又は(3)で表されるビニルモノマーの1種又は2種以上
CH
2=C(R
1)−CO−(O−(CH
2)
m−CO)
n−OH …(1)
(上記式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。)
CH
2=C(R
2)−COO−(CH
2)
p−OCO−(CH
2)
q−COOH
…(2)
(上記式(2)中、R
2は水素原子又はメチル基を表し、p、qはそれぞれ独立して2〜6の整数を表す。)
CH
2=C(R
3)−COO−(CH
2)
e−OCO−X−COOH …(3)
(上記式(3)中、R
3は水素原子又はメチル基を表し、eは1〜4の整数を表し、Xは置換基を有していてもよいシクロヘキシレン基又は置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。)
モノマー(c):下記式(4)で表されるビニルモノマー
CH
2=C(R
4)−CO−Y−(Z−O)
r−R
5 …(4)
(上記式(4)中、R
4は水素原子又はメチル基を表し、R
5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは酸素原子又はNHを表し、Zは置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、rは1〜15の整数を表す。)
モノマー(d):下記式(5)で表されるビニルモノマー
CH
2=C(R
6)−COO−R
7 …(5)
(上記式(5)中、R
6は水素原子又はメチル基を表し、R
7は炭素数12〜22の直鎖あるいは分岐のアルキル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
【0024】
<ビニルモノマー(A)に由来する構成単位>
本発明の共重合体は、カルボキシル基を有するビニルモノマー(A)に由来する構成単位を有し、かつこのビニルモノマー(A)に由来する構成単位の割合は共重合体の全質量に対して50〜100質量%である。
【0025】
本発明の共重合体がカルボキシル基を有するビニルモノマー(A)に由来する構成単位を特定割合で含むことを必要とするのは、以下の理由によるものである。
【0026】
本発明における課題の一つとして、ダメージ毛へのコンディショニング成分の吸着量を高めてコンディショニング効果を高めることが挙げられる。本発明の共重合体はカチオン界面活性剤との相互作用を高めるための設計を行っており、その推定機構の要点として以下の2点が挙げられる。
1) 共重合体とカチオン界面活性剤との相互作用:共重合体中のカルボキシル基の−OHの酸素の分極により、共重合体とカチオン界面活性剤との相互作用が高められる。
2) 共重合体とカチオン界面活性剤との複合体と毛髪との相互作用:カチオン界面活性剤のカチオン基及び共重合体のカルボキシル基の分極した水素原子と毛髪表面(アニオン)の相互作用が高められる。
【0027】
本発明者らの検討によれば、前記ビニルモノマー(A)に由来する構成単位の割合を共重合体の全質量に対して50〜100質量%としたときに、上記1)及び2)の推定機構による効果を高め、塗布時のなめらかさ、乾燥後のゴワツキ、乾燥後の指通り、乾燥後のまとまり等のコンディショニング効果が良好となることが見出された。これらのコンディショニング効果をバランス良く高める観点から、前記ビニルモノマー(A)に由来する構成単位の共重合体の全質量に対する割合は、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%より多く、更に好ましくは65質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であり、一方、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0028】
上述したように、本発明の共重合体において、ビニルモノマー(A)に由来する構成単位の技術的な意義は、ビニルモノマー(A)に由来する構成単位が、カチオン界面活性剤及び毛髪表面と相互作用するためのカルボキシル基を有していることにある。従って、モノマー(a)以外のビニルモノマー(A)に由来する構成単位は、カルボキシル基を有するものであれば、その種類は特に限定されるものではないが、具体例として、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2(2−カルボキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、(メタ)アクリル酸テレフタレートといったものが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸や、後掲の式(1)、式(2)又は式(3)で表される化合物に代表される不飽和カルボン酸モノマーが好ましい。不飽和カルボン酸モノマーとしては、炭素数3〜22のものが好ましく、炭素数4以上のものがより好ましく、一方、炭素数20以下のものが好ましく、炭素数18以下のものがより好ましく、炭素数10以下のものが更に好ましく、炭素数6以下のものが特に好ましい。また、ビニルモノマー(A)に由来する構成単位のカルボキシル基の数は1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1〜2であることが更に好ましく、1であるものが最も好ましい。
【0029】
<モノマー(a)に由来する構成単位>
本発明の共重合体は、カチオン界面活性剤との相互作用を高めるために、前記ビニルモノマー(A)は以下のモノマー(a)を含む。
モノマー(a):アクリル酸及び/又はメタクリル酸
【0030】
モノマー(a)は質量当たりのカルボキシル基量が高く、従って、本発明の共重合体はモノマー(a)に由来する構成単位を含むことにより、コンディショニングポリマーとしてのベースとなる良好なコンディショニング効果を得ることができる。また、モノマー(a)を含め、共重合体中のカルボキシル基量を一定以上多くすることにより、コンディショニング効果を得ることができる。また、モノマー(a)は一般的に入手しやすいという点でも好適である。
【0031】
モノマー(a)として、アクリル酸はカチオン界面活性剤との複合体が組成物中に均一に溶解又は分散させるという観点から好ましい。一方、メタクリル酸は、共重合体に疎水性を付与することが出来、乾燥後のゴワツキの無さを向上させることが出来るため好ましい。本発明の共重合体は、モノマー(a)として、アクリル酸のみを含むものであってもよく、メタクリル酸のみを含むものであってもよく、アクリル酸とメタクリル酸とを含むものであってもよい。なかでも、アクリル酸とメタクリル酸とを含むものが好ましい。このとき、モノマー(a)の全質量に対し、アクリル酸が50〜99質量%であることがより好ましい。
【0032】
本発明の共重合体は、共重合体の全質量に対して、モノマー(a)に由来する構成単位を1〜99質量%含む。共重合体中のモノマー(a)に由来する構成単位の含有量は、共重合体の全質量に対して好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%より多く、最も好ましくは65質量%以上である。共重合体中のモノマー(a)に由来する構成単位の含有量が上記下限値以上であると前記したアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含むことによる効果を高めるために好ましい。一方、共重合体中のモノマー(a)に由来する構成単位の含有量は、共重合体の全質量に対して好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。共重合体中のモノマー(a)に由来する構成単位の含有量が上記上限値以下であるとモノマー(a)以外の親水性モノマー及び/又は疎水性モノマー等を共重合することにより、ダメージ毛への親和性を高めたり、乾燥後の感触を良好に出来るため好ましい。
【0033】
<モノマー(b)に由来する構成単位>
本発明の共重合体は、共重合体に親水性を付与させることでダメージ毛への親和性を高めることが出来るという観点、及び疎水性を付与させることで乾燥後の感触を良好に出来るという観点から、前記ビニルモノマー(A)に由来する構成単位として、モノマー(a)と共に、以下のモノマー(b)に由来する構成単位を含有することが好ましい。
【0034】
モノマー(b):下記式(1)、(2)又は(3)で表されるビニルモノマーの1種又は2種以上
CH
2=C(R
1)−CO−(O−(CH
2)
m−CO)
n−OH …(1)
(上記式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。)
CH
2=C(R
2)−COO−(CH
2)
p−OCO−(CH
2)
q−COOH
…(2)
(上記式(2)中、R
2は水素原子又はメチル基を表し、p、qはそれぞれ独立して2〜6の整数を表す。)
CH
2=C(R
3)−COO−(CH
2)
e−OCO−X−COOH …(3)
(上記式(3)中、R
3は水素原子又はメチル基を表し、eは1〜4の整数を表し、Xは置換基を有していてもよいシクロヘキシレン基又は置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。)
【0035】
上記式(1)において、R
1は水素原子が好ましい。mは2又は3が好ましい。nは1〜2が好ましく、1が最も好ましい。
上記式(1)で表されるビニルモノマーの具体例を挙げると、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2(2−カルボキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
また、上記式(2)において、R
2は水素原子が好ましい。pは2又は3が好ましく、qは2又は3が好ましい。
上記式(2)で表されるビニルモノマーの具体例としては2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート等が挙げられる。
【0037】
また、上記式(3)において、R
3はメチル基が好ましい。eは1〜3の整数が好ましく、最も好ましくは2である。Xの置換基を有していてもよいシクロヘキシレン基、又は置換基を有していてもよいフェニレン基の該置換基としては、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基である。好ましくは、Xは置換基を有さないフェニレン基、又はシクロヘキシレン基であり、最も好ましくはシクロヘキシレン基である。
上記式(3)で表されるビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチルテレフタレート、(メタ)アクリル酸プロピルテレフタレート、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等が挙げられる。
【0038】
親水性を付与させるモノマー(b)としては、前記式(1)又は(2)で示されるものが好ましく、これら親水性の基を有するモノマー(b)を用いた場合にはダメージ毛に共重合体が吸着しやすくなり、指通りの良さが良好となる。また、疎水性を付与させるモノマー(b)としては、前記式(3)で示されるものが好ましく、このような疎水性の基を有するモノマー(b)を用いた場合には共重合体が吸着した毛髪そのものの感触が良好となり、毛髪のゴワツキを低減する効果を得ることができる。
【0039】
本発明の共重合体において、モノマー(b)に由来する構成単位としては、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよく、一般式(1)、(2)及び(3)で表されるものを併用してもよい。
【0040】
本発明の共重合体の全質量に対して、モノマー(b)に由来する構成単位は1〜99質量%含有されることが好ましい。共重合体中のモノマー(b)に由来する構成単位は、共重合体の全質量に対してより好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは20質量%以上であり、特に好ましくは30質量%以上、最も好ましくは40質量%以上である。共重合体中のモノマー(b)に由来する構成単位の含有量が、上記下限値以上であると前記した効果を高めるために好ましい。一方、共重合体中のモノマー(b)に由来する構成単位の含有量は、共重合体の全質量に対してより好ましくは90質量%以下であり、更に好ましくは80質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。共重合体中のモノマー(b)に由来する構成単位の含有量が、上記上限値以下であると、モノマー(a)の含有量を確保して、モノマー(a)に由来する構成単位による効果を高める観点から好ましい。
【0041】
<モノマー(c)に由来する構成単位>
本発明の共重合体は、下記式(4)で表されるモノマー(c)に由来する構成単位を含有すると、共重合体に適度な親水性を付与することが出来好ましい。適度な親水性を有することで、使用時のなめらかさ等の感触を損なうことなく、ダメージ毛への親和性を高めることが出来、ダメージ毛に吸着しやすくなる。このため、指通りを良好なものとすることができる。
【0042】
CH
2=C(R
4)−CO−Y−(Z−O)
r−R
5 …(4)
(上記式(4)中、R
4は水素原子又はメチル基を表し、R
5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは酸素原子又はNHを表し、Zは置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、rは1〜15の整数を表す。)
【0043】
上記式(4)において、R
4は水素原子が好ましい。また、モノマー(c)は適度な親水性のあるものが好ましいため、R
5は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1又は2のアルキル基であることがより好ましい。Yは好ましくは酸素原子である。rは好ましくは2以上であり、一方、好ましくは10以下であり、より好ましくは6以下であり、更に好ましくは3以下である。
【0044】
また、上記式(4)において、Zのアルキレン基が置換基を有する場合、その置換基とは本発明の共重合体において他の部分と反応しないものを指し、また、その置換基が占める体積が大きすぎると、モノマー(c)のY−(Z−O)
r−R
5の構造部分に対して置換基の占める体積が大きくなることによって、ビニルモノマー(A)のカルボキシル基とカチオン界面活性剤の相互作用が弱くなり、コンディショニング成分の吸着性が低下してしまう可能性があるため、この置換基は分子量で50以下のものであることが好ましく、具体例としては、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、メトキシアルキル基、エトキシアルキル基等が挙げられる。また、Zのアルキレン基の置換基は−(Z−O)
r−の構造部分よりも分子量が小さいものが好ましい。ただし、Zは置換基を有さないものがより好ましい。また、Zは炭素数2〜3のアルキレン基が好ましく、最も好ましくは炭素数2のエチレン基である。
【0045】
上記式(4)で表されるモノマー(c)を例示すると、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜15)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜15)、メトキシポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜15)、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜15)、メトキシポリエチレングリコール/ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール/ポリブチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜15)、ポリエチレングリコール/ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール/ポリブチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜15)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリルアミド(ポリエチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜15)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリルアミド(ポリエチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜15)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、好ましくは、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜10)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜10)、メトキシポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜10)、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜10)、メトキシポリエチレングリコール/ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール/ポリブチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜10)、ポリエチレングリコール/ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール/ポリブチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜10)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、より好ましくは、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜10)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールの繰り返し数(式(4)のr)は2〜10)、である。
【0046】
本発明の共重合体において、前記モノマー(c)に由来する構成単位としては、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0047】
本発明の共重合体において、前記モノマー(c)に由来する構成単位の割合は、共重合体の全質量に対して1〜50質量%であることが好ましい。前記モノマー(c)に由来する構成単位の割合が、1質量%以上であることにより、ダメージ毛への親和性が高まることによりコンディショニング成分の吸着性を十分に得ることができ、50質量%以下であることにより、共重合体における前記ビニルモノマー(A)に由来する構成単位の割合を確保して、コンディショニング成分の吸着性を高めることができる。このような効果を高める観点から、共重合体における前記モノマー(c)に由来する構成単位の割合は、共重合体の全質量に対してより好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、一方、より好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
【0048】
<モノマー(d)に由来する構成単位>
本発明の共重合体は、下記式(5)で表されるモノマー(d)を構成単位として含むことにより、共重合体の疎水性が高められる。特に疎水基として鎖状アルキル基を有するもの(式(5)中のR
7が「炭素数12〜22の直鎖又は分岐のアルキル基」のもの)を用いるとリンス粘度が適切な範囲となる効果を得ることができる。また、疎水基として環状構造を有するもの(式(5)中のR
7が「置換基を有していてもよいシクロヘキシル基又は置換基を有していてもよいフェニル基」であるもの)を用いると毛髪に共重合体が吸着した際の感触が良好となる効果を得ることができる。
【0049】
CH
2=C(R
6)−COO−R
7 …(5)
(上記式(5)中、R
6は水素原子又はメチル基を表し、R
7は炭素数12〜22の直鎖又は分岐のアルキル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
【0050】
上記式(5)において、R
6は好ましくはメチル基である。R
7は好ましくは炭素数12〜20、より好ましくは炭素数16〜18の直鎖又は分岐のアルキル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である。R
7のシクロヘキシル基又はフェニル基が置換基を有する場合、該置換基としては、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基である。好ましくは、置換基を有さないシクロヘキシル基、又はフェニル基であり、最も好ましくはシクロヘキシル基である。
【0051】
本発明の共重合体において、前記モノマー(d)に由来する構成単位としては、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0052】
上記式(5)で表されるモノマー(d)を例示すると、R
7として炭素数12〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとして、例えば、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、合成ラウリル(メタ)アクリレート(ただし、「合成ラウリル(メタ)アクリレート」とは炭素数12のアルキル基と炭素数13のアルキル基が混合したアルキル(メタ)アクリレートを意味する)等が挙げられる。これらの中でもR
7として炭素数12〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、炭素数16〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマーがより好ましい。また、R
7として置換基を有していてもよいシクロヘキシル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0053】
本発明の共重合体において、前記モノマー(d)に由来する構成単位の割合は、共重合体の全質量に対して1〜50質量%であることが好ましい。前記モノマー(d)に由来する構成単位の割合が、1質量%以上であることにより、リンス粘度が適切な範囲となる効果や、毛髪に共重合体が吸着した際の感触が良好となる効果を得ることが出来、50質量%以下であることにより、共重合体における前記ビニルモノマー(A)に由来する構成単位の割合を確保して、コンディショニング成分の吸着性を高めることができる。このような効果を高める観点から、共重合体における前記モノマー(d)に由来する構成単位の割合は、共重合体の全質量に対してより好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、一方、より好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
【0054】
<モノマー(e)に由来する構成単位>
本発明の共重合体は、下記式(6)で表されるモノマー(e)を構成単位として含むことも出来る。モノマー(e)に由来する構成単位を含有することにより、共重合体の親疎水性を調整し、乾燥後の指通りを良好なものとすることができる。
【0055】
CH
2=C(R
8)−CO−N(R
9)R
10 …(6)
(上記式(6)中、R
8は水素原子又はメチル基を表し、R
9及びR
10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖あるいは分岐のアルキル基を表す。)
【0056】
上記式(6)において、R
8は好ましくは水素原子である。また、R
9とR
10の炭素数の和が2以上4以下であるものが好ましい。このようなモノマー(e)としては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、又はN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。なかでもR
9とR
10の炭素数の和は2であることが好ましく、このようなモノマー(e)としては、例えばN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0057】
本発明の共重合体において、前記モノマー(e)に由来する構成単位としては、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0058】
本発明の共重合体において、前記モノマー(e)に由来する構成単位の含有割合は、前記した効果を高める観点から、共重合体の全質量に対して1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。一方、共重合体における前記ビニルモノマー(A)に由来する構成単位の割合を確保して、コンディショニング成分の吸着性を高めるため、モノマー(e)に由来する構成単位の含有量は、共重合体の全質量に対して好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは15質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下である。
【0059】
<その他のモノマーに由来する構成単位>
上記のモノマー(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)以外にも、本発明の共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲において、更に他のビニル系モノマーに由来する構造単位を含有させてもよい。その他のビニル系モノマーとしては、例えば、ノニオン性モノマー、両性モノマー、半極性モノマー、カチオン性モノマー等の他、ポリシロキサン基含有モノマーも用いられうる。但し、これらその他のモノマーには、前記のビニルモノマー(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は含まないものとする。
【0060】
本発明の共重合体において、その他のモノマーに由来する構成単位の含有量は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜定めることができる。例えば、共重合体の肌や毛髪への親和性や、毛髪化粧料に用いる場合にはコンディショニング効果等を阻害しない範囲で適宜定めることができ、通常、共重合体の全質量に対して40質量%以下であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0061】
但し、本発明の共重合体にカチオン性の官能基が存在すると前述のカチオン性界面活性剤とのコンプレックス形成の障害となる場合があるので、本発明の共重合体におけるカチオン性の官能基は少ないことが好ましく、例えば、カチオン性の官能基は共重合体中の全官能基の10モル%以下であることが好ましく、これを実質的に含まないことが更に好ましい。
【0062】
以下に、本発明の共重合体が含み得るその他のモノマーについて例示するが、本発明の共重合体は、以下に列挙するもの以外のモノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。また、その他のモノマーに由来する構成単位は本発明の共重合体中に1種類のみが含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
【0063】
ノニオン性モノマーとしては、例えば、炭素原子数1〜11のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルや、炭素原子数1〜22のアルキルアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド、(メタ)アクロイルモルホリン等が挙げられる。
両性モノマーとしては、例えば、ベタイン基含有(メタ)アクリルエステル、ベタイン基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
半極性モノマーとしては、例えば、アミンオキシド基含有(メタ)アクリル酸エステル、アミンオキシド基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン性モノマーとしては、例えば、4級アンモニウム基含有(メタ)アクリル酸エステル、4級アンモニウム基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0064】
ポリシロキサン基含有モノマーは、ポリシロキサン構造を有し、共重合体に共有結合で連結できる構造を有する化合物である。このような構成単位は、化粧料組成物中で通常併用されるシリコーン油との親和性が高く、共重合体において、他の構成単位とシリコーン油とを結びつける働きをし、肌や毛髪、特にダメージ毛等に対してシリコーン油の吸着力を高める働きがあると考えられる。但し、本発明の共重合体の効果を損なわないために、ポリシロキサン基含有モノマーを共重合成分として用いる場合には、共重合体においてポリシロキサン基含有モノマーに由来する構成単位の含有量は40質量%以下とし、好ましくは30質量%以下とし、更に好ましくは20質量%以下とする。
【0065】
ポリシロキサン構造とは下記式(7)で表される繰り返し構造単位が2以上連結された構造である。
−(SiR
11R
12−O)− …(7)
(上記式(7)中、R
11及びR
12はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基、又はフェニル基を表す。)
【0066】
共重合体に共有結合で連結できる構造とは、例えば、(メタ)アクリルエステルや(メタ)アクリルアミド等のビニル構造を有し他の単量体と共重合できる構造や、チオール等の官能基を有し、重合中の連鎖移動により共重合体に連結できる構造、又は、イソシアネート基、カルボン酸基、水酸基、アミノ基等を有し共重合体の官能基と反応して連結できる構造等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
一つのポリシロキサン基含有モノマーに、これら連結可能な構造を複数個有していてもよい。共重合体において、ポリシロキサン構造は主鎖にグラフト構造で連結されていてもよく、また逆にポリシロキサン構造を主鎖とし他の構造がグラフト構造で連結されていてもよく、さらには、ポリシロキサン構造と他の構造とがブロック構造で直鎖状に連結されていてもよい。
【0068】
ポリシロキサン基含有モノマーとしては、なかでも下記式(8)で表されるものが好ましい。
CH
2=C(R
13)−Q−(SiR
14R
15−O)
s−R
16 …(8)
(上記式(8)中、R
13は水素原子又はメチル基を表し、R
14及びR
15はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基、又はフェニル基を表し、R
16は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Qは2価の連結基又は直接結合を表し、sは2〜200の整数を表す。
)
【0069】
より好ましくはsは3以上であり、更に好ましくはsは5以上である。sがこれより大きいほどシリコーン油との親和性が向上する。また、sは50以下であるのがより好ましい。sが小さいほど他のモノマーとの共重合性が向上する。
【0070】
Qは2価の連結基又は直接結合を表すが、なかでも以下に挙げられる構造の1つ又は2つ以上の組合せからなる連結基が好ましい。組合せる個数は特に限定されないが、通常、5つ以下である。また、以下の構造の向き(どちらの端がポリシロキサン基側か)は任意である。なお、以下においてRは炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を表す。
【0071】
−COO−R−
−CONH−R−
−O−R−
−R−
【0072】
前記式(8)で表されるポリシロキサン基含有モノマーとしては、この式に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、α−(ビニルフェニル)ポリジメチルシロキサン、α−(ビニルベンジルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α−(ビニルベンジル)ポリメチルフェニルシロキサン、α−(メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α−(メタクリロイルオキシプロピル)ポリメチルフェニルシロキサン、α−(メタクリロイルアミノプロピル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。ポリシロキサン基含有モノマーは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0073】
このようなポリシロキサン基含有モノマーとしては市販品も用いることができる。例えば、α−(メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサンとしては、サイラプレーン(チッソ株式会社)が入手可能であり、サイラプレーンFM0711(分子量1000)、サイラプレーンFM0721(分子量5000)、サイラプレーンFM0722(分子量10000)等がある。
【0074】
本発明の共重合体には、共重合体の分子量や粘度の調整のために、多官能アクリレート等の架橋剤を導入することもできるが、後述の如く、架橋剤は含まないことが好ましい。
【0075】
<構造解析>
本発明の共重合体において、モノマー(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及びその他のモノマーに由来するそれぞれの構成単位の含有量は、カルボニル基、アミド結合、ポリシロキサン構造や各種官能基、炭素骨格等のIR吸収やラマン散乱、ポリジメチルシロキサンのメチル基やアミド結合部位及びそれらに隣接するメチル基、メチレン基等の
1H−NMR、あるいはそれらの
13C−NMR等に代表される各種NMRにより測定することができる。
【0076】
<質量平均分子量>
本発明の共重合体の質量平均分子量は、3,000〜400,000である。本発明の共重合体の質量平均分子量を3,000以上とすることにより、カチオン界面活性剤とのコンプレックスが毛髪や肌に付着することによるコンディショニング効果がより高まる。この効果を更に高める観点から、本発明の共重合体の質量平均分子量は好ましくは5,000以上であり、より好ましくは10,000以上である。一方、本発明の共重合体の質量平均分子量を、400,000以下とすることにより、乾燥後の感触をより高めることができる。この効果を更に高める観点から、本発明の共重合体の質量平均分子量は好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下であり、更に好ましくは50,000以下であり、最も好ましくは30,000以下である。
【0077】
共重合体の分子量の調整は、例えば、共重合体の重合度を制御することによって行うことができる。また、多官能アクリレート等の架橋剤の添加量を増減することによっても分子量を制御することができる。但し、架橋剤は少しでも添加しすぎると分子量及び粘度が急激に増大してしまう等、工業的に製造する上では制御が困難な面がある。このため架橋剤は含まないことが最も好ましい。
【0078】
共重合体の質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで用いられる展開溶媒は通常用いられるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、後述の実施例の項に示される水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム混合系溶媒を用いて測定し、ポリエチレングリコールまたはポリスチレンを標準物質とした値を用いることができる。
【0079】
<粘度>
本発明の共重合体は、20質量%エタノール溶液の25℃での粘度が5mPa・s以上20000mPa・s以下であることが好ましい。この粘度は、より好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは15mPa・s以上であり、一方、より好ましくは10000mPa・s以下、更に好ましくは5000mPa・s以下である。上記共重合体のエタノール溶液の粘度が上記範囲内であるとハンドリングの点で好ましい。この粘度はB型粘度計等を用いて測定することが可能である。
【0080】
更には、本発明の共重合体は水溶性であること好ましく、30質量%水溶液の25℃での粘度が5mPa・s以上20000mPa・s以下であることが好ましい。この粘度は、より好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは15mPa・s以上であり、一方、より好ましくは10000mPa・s以下、更に好ましくは5000mPa・s以下である。上記共重合体の水溶液の粘度が上記範囲内であるとハンドリングの点で好ましい。この粘度はB型粘度計等を用いて測定することが可能である。
【0081】
質量平均分子量と同様に、共重合体の粘度の調整は、例えば、共重合体の重合度を制御したり、多官能アクリレート等の架橋剤の添加量を増減することによって制御することができる。
【0082】
<共重合体の製造方法>
本発明の共重合体は、例えば、それぞれの構成単位を与えるモノマー又はその前駆体を混合し、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法により共重合させた後、必要に応じてポリシロキサン構造の付加、縮合反応等を行うことにより製造することができる。
【0083】
また、カルボキシル基を有するビニルモノマー(A)の対イオンは、重合する前に中和反応により一部又は全部を水素イオン以外のものに代えて重合に供することもでき、或いは、重合やその他の反応の後に中和反応により一部を水素イオン以外のものに代えることもできる。これらはその合成のし易さにより適宜選択して行うことができる。
【0084】
重合反応は親水性溶媒中で行うのが好ましい。親水性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。なかでもアルコール系溶媒を用いることが好ましい。
【0085】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸塩、又はそのレドックス系等、特に限定することなく用いることができる。重合開始剤は全モノマーに対して、0.01〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0086】
重合反応は、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜100℃で通常1〜30時間行うことができる。重合終了後は、生成した共重合体を、溶媒留去、貧溶媒の添加等適宜の手段で反応液から単離するとよい。この共重合体はそのまま、又は更に精製して、例えば化粧料の製造に用いることができる。精製は再沈殿、溶媒洗浄、膜分離等、必要に応じて適宜組み合わせて行うことができる。
【0087】
<カルボキシル基の中和>
本発明の共重合体が有する全カルボキシル基のうち、一部が中和されていてもよい。中和することで、カルボキシル基のイオン性が高くなり、カチオン界面活性剤との相互作用が強くなる。一方で、イオン性が高くなると、水、カチオン界面活性剤、及び高級アルコールから形成されるラメラゲルの構造を破壊してしまうおそれがあるため、中和したカルボキシル基は少ない方が好ましい。
【0088】
以上の理由から本発明の共重合体が有する全カルボキシル基のうち、50〜100モル%は中和されていない状態で配合されることが好ましい。この割合は、より好ましくは60モル%以上であり、更に好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上である。最も好ましくは、全カルボキシル基が中和されていない状態で配合されることである。
【0089】
なお、本発明の共重合体を含む本発明の化粧料組成物において、その配合前の共重合体に意図的な中和を行っていないものであれば、本発明の化粧料組成物の成分として含まれるものの中にアルカリ性のものがあったとしても、配合後のpHが6.9以下、さらには6.5以下であれば共重合体中のカルボキシル基は中和されていないものとみなすことができる。
【0090】
共重合体に対して用いることのできる中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニアやジチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール等のアミン類が挙げられる。
【0091】
[化粧料組成物]
本発明の化粧料組成物は、上述の本発明の共重合体0.05〜5質量%と、カチオン界面活性剤0.1〜20質量%と、高級アルコール0.1〜20質量%とを含有するものであり、好ましくは更に水、シリコーン油等を配合して調製される。
【0092】
本発明の化粧料組成物に含まれるカチオン界面活性剤及び高級アルコール、また、必要に応じて配合される水等は、加熱混合することによりラメラと呼ばれるゲル構造を形成し、なめらかさやしっとり感を与えることができ、これに本発明の共重合体を配合することで、優れたコンディショニング効果を得ることが出来る。更に、本発明の化粧料組成物にシリコーン油を配合することによりサラサラ感を付与することができる。
【0093】
本発明が適用される化粧料組成物とは、毛髪及び皮膚に使用する任意の化粧料用の組成物を意味し、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、染毛剤、パーマ剤、アウトバス用トリートメント、ヘアパック、ヘアスプレー、ヘアフォーム、スタイリング剤、ボディーシャンプー、メイククレンジング、ハンドソープ、乳液、化粧水、ローション、クリーム、美容液、日焼け止め、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドー、脱毛剤等のいわゆる化粧料用の組成物を広く含むものである。また、その使用形態も、肌や毛髪等に塗布し全体によくなじませた後に洗い流す(濯ぐ)ものや、洗い流さないもの等、いずれも含み得る。
【0094】
<共重合体>
本発明の化粧料組成物は、化粧料組成物全体に対して本発明の共重合体を0.05質量%以上含有することにより、肌や毛髪に対する吸着力が増加し、濯ぎ時のなめらかさや乾燥後のサラサラ感等のコンディショニング効果を与えることができる。
【0095】
このような効果を高める観点から本発明の化粧料組成物は、本発明の共重合体をより好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上含有する。ただし、本発明の化粧料組成物における本発明の共重合体の含有量は、乾燥後のゴワツキ感をなくし、しっとり感を高めるため、5質量%以下であり、好ましくはこの含有量は3質量%以下である。
【0096】
本発明の化粧料組成物において、本発明の共重合体は1種類のみで用いてもよいし2種類以上用いてもよい。
【0097】
<溶媒又は分散媒>
本発明の共重合体は、化粧料組成物に用いることの可能な溶媒又は分散媒に溶解又は分散させて用いられる。これらの溶媒又は分散媒としては例えば、水やエタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコールが挙げられるが、本発明の化粧料組成物は好ましくは水を含むものである。
【0098】
本発明の化粧料組成物において、水の含有量は、本発明の化粧料組成物全体に対して好ましくは55質量%以上である。水を55質量%以上含むことにより、粘度が高くなりすぎるのを抑え、取り扱い易い粘度に保つことができ、塗布時の使用感を向上させることができる。より好ましい水の含有量は60質量%以上である。ただし水の含有量は99.6質量%以下とすることが好ましい。
上記の範囲内で水を含有することにより、本発明の化粧料組成物は適度な粘性を有することができ、塗布時のなめらかさ及び肌や毛髪への吸着性が向上する。
【0099】
<カチオン界面活性剤>
本発明の化粧料組成物はカチオン界面活性剤を含有する。
本発明の化粧料組成物に含まれるカチオン界面活性剤としては、特に制限されないが、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
カチオン界面活性剤は1種のみでも2種以上を組み合わせても使用可能である。
【0100】
これらのカチオン界面活性剤の含有量は、本発明の化粧料組成物全体に対して20質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。一方、カチオン界面活性剤の機能を十分に与えるためにはカチオン界面活性剤の含有量は化粧料組成物全体に対して0.1質量%以上であり、1質量%以上含有させることがより好ましい。
【0101】
<高級アルコール>
本発明の化粧料組成物は高級アルコールを含有する。本明細書において「高級アルコール」とは炭素数12〜24のアルコールを意味し、1価のアルコールが好ましい。高級アルコールの具体例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
【0102】
高級アルコールを水、カチオン界面活性剤と共に用いることで、ラメラ構造と呼ばれるゲルを形成し、化粧料組成物になめらかさやしっとり感の機能を与えることができる。このため、高級アルコールは水、カチオン界面活性剤と共に用いることが好ましい。高級アルコールは1種類のみでも2種以上を組み合わせて用いてもよいが、化粧料組成物の粘度を適度に押さえ塗布時のなめらかさを向上させるためには、高級アルコールの合計の含有量は、化粧料組成物全体に対して20質量%以下、好ましくは10質量%以下とする。一方、高級アルコールの機能を十分に与えるためには、高級アルコールの合計の含有量は化粧料組成物全体に対して0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上とする。
【0103】
<シリコーン油>
本発明の化粧料組成物にはシリコーン油を含有させることが好ましい。本発明の化粧料組成物に用いるシリコーン油の種類は特に限定されないが、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンアルキレンオキシド共重合体、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、アルコール変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルコキシ変性ポリジメチルシロキサン及び環状シリコーン等が挙げられる。これらは特開2000−336018号公報に記載されている。
【0104】
ポリジメチルシロキサンとしては、「KF96H−100万」(信越化学工業株式会社)、「SH200」、「BY11−007」、「BY22−029」(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、「TSF451」(東芝シリコーン株式会社)や、「L−45」(日本ユニカー株式会社)として市販されているものが挙げられる。
【0105】
ポリジメチルシロキサンアルキレンオキシド共重合体としては、「F−178−21」(日本ユニカー株式会社)として市販されているものが挙げられる。
【0106】
アミノ変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、アミノエチル基、アミノプロピル基等のアミノアルキル基を有するものやプロピレングリコールが付加されたアミノ基(アミノグリコール変性)が挙げられ、アルキル基や水酸基等の置換基を有していてもよい。アルキル基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。
【0107】
これらのアミノ変性ポリジメチルシロキサンは、ジメチルシロキサンと、前記アミノアルキル基を有するシロキサンとを共重合させるか、又はポリジメチルシロキサンを前述のアミノアルキル基を有する化合物で後変性してポリジメチルシロキサン骨格にアミノアルキル基を導入することにより得られる。市販されているものとしては、例えば、「US AR SILICONE ALE56」(ユニオン・カーバイド社)、「ABIL9905」(ザ・ゴールドシュミットAG社)、「KF857」、「KF867」、「KF865」(いずれも信越化学工業株式会社)、「SM8702C」、「JP8500」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、「FZ−3707」(日本ユニカー株式会社)等がある。
【0108】
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシペンタメチレン、オキシヘキサメチレン、オキシ(2,2−ジメチル)プロピレン等の単量体骨格を有するもの、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシペンタメチレン、ポリオキシヘキサメチレン等の単独共重合体骨格又はポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)共重合体等の共重合体骨格のオキシアルキレン基を有するものが挙げられる。これらは水酸基やアルキル基等の置換基を有していてもよい。アルキル基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。特に好ましいのは、共重合体骨格にオキシアルキレン基を有するものである。
【0109】
このようなオキシアルキレン基を有する変性ポリジメチルシロキサンの製造方法は、例えば、ジメチルシロキサンと、オキシアルキレン基を有するシロキサンとを共重合させる方法や、又はポリジメチルシロキサンを前記オキシアルキレン基を有する化合物で後変性して、ポリジメチルシロキサン骨格にオキシアルキレン基を導入する方法等がある。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして最も好ましくは、ジメチルシロキサンと、前記共重合体骨格のオキシアルキレン基を有するシロキサンとを共重合させて得たものである。
【0110】
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして市販されているものとしては、例えば、「KF945A」、「KF351A」、「KF354A」(信越化学工業株式会社)、「SH3771C」、「SH3749」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、「L−7602C」、「L−720」(日本ユニカー株式会社)、「SF1066」(ゼネラル・エレクトリックス・カンパニー)等がある。
【0111】
メチルフェニルポリシロキサンとしては、「KF56」(信越化学工業株式会社)、「SH5越化学工業株式会社)、「PS922」(チッソ株式会社)、「L−930」(日本ユニカー株式会社)等が市販されている。
【0112】
フッ素変性ポリジメチルシロキサンとしては、「X−22−820」(信越化学工業株式会社)、「PS182」(チッソ株式会社)等が市販されている。
【0113】
アルコール変性ポリジメチルシロキサンとしては、「KF851」(信越化学工業株式会社)、「FM4411」(チッソ株式会社)、「FZ−3722」、「F−235−21」(日本ユニカー株式会社)等が市販されている。
【0114】
アルキル変性ポリジメチルシロキサンとしては、「KF410」、「KF−413」(信越化学工業株式会社)、「PS130」、「PS137」(チッソ株式会社)等が市販されている。
【0115】
アルコキシ変性ポリジメチルシロキサンとしては、「PS912」(チッソ株式会社)、「FZ−3701」(日本ユニカー株式会社)等が市販されている。
【0116】
環状シリコーンとしては、「SH244」、「SH245」、「SH246」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)等が市販されている。
【0117】
シリコーン油は1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。シリコーン油の配合量が過剰であると毛髪に塗布し、乾燥した後に重い感触となるために、シリコーン油は化粧料組成物全体に対して合計10質量%以下で含有することが好ましく、より好ましくは8質量%以下である。一方、シリコーン油の機能を十分に与えるためには化粧料組成物全体に対して0.1質量%以上含有させることが好ましく、1質量%以上含有させることがより好ましい。
【0118】
一方、本発明の化粧料組成物において、シリコーン油の含有量を0.1質量%未満とすることも好適である。シリコーン油の含有量が0.1質量%未満であると、乾燥後の指通りの良さに優れた化粧料組成物を得ることができる。なお、この観点ではシリコーン油を含まないことがより好ましい。
【0119】
<その他の成分>
本発明の化粧料組成物はその効果を損なわない限り、本発明の共重合体、水、カチオン界面活性剤、高級アルコール、シリコーン油の他にも、炭化水素油分、保湿剤(水溶性高分子)、カチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子等の高分子、カチオン界面活性剤以外の各種界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤等を適宜組み合わせて使用することができる。
【0120】
炭化水素油分としては、イソパラフィン等の流動パラフィン、固形パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。これらの炭化水素油分は1種のみで用いても2種以上で組み合わせて用いてもよいが、化粧料組成物全体に対して合計で5質量%以下で含有させることが好ましい。これらの炭化水素油分は1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することもできる。
【0121】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、エリスリトール等の多価アルコール、メチルセルロース、ヒアルロン酸等の水溶性高分子が挙げられる。カチオン性高分子としては、カチオン変性セルロースエーテル誘導体、カチオン変性ガラクトマンナン多糖類、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。また、アニオン性高分子やノニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリルアミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)が、そして両性高分子としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)等が挙げられる。なお、以上に挙げたカチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子及び両性高分子には本発明の共重合体は含まれないものとする。これらの保湿剤を用いる場合には1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することもできるが、化粧料組成物全体に対して高分子を合計して5質量%以下で含有させることが好ましい。
【0122】
カチオン界面活性剤以外の界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤等が挙げられる。カチオン界面活性剤以外の界面活性剤の具体例を以下に挙げるが、これらを用いる場合には化粧料組成物全体に対して合計で5質量%以下で含有させることが好ましい。
【0123】
アニオン界面活性剤としては、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、パラフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、N−アシル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩等の通常の化粧料組成物に常用されているものを用いればよい。これらのアニオン性界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することもできる。
【0124】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと略することがある)ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPと略することがある)アルキルエーテル類(例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等);POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。これらの親水性非イオン界面活性剤は1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することもできる。
【0125】
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。これらの両性界面活性剤は1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することもできる。
【0126】
半極性界面活性剤としては、例えば、ラウラミンオキシド(ラウリルジメチルアミンオキシド)が挙げられ、好適に用いることが出来る。半極性界面活性剤は1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することもできる。
【0127】
このような界面活性剤は一般に市販されており、そのまま使用することができる。
【0128】
pH調整剤としては、例えばクエン酸、酒石酸等が挙げられる。pH調整剤を用いる場合には化粧料組成物全体に対して0.1質量%以下で含有させることが好ましい。これらのpH調整剤は1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することもできる。
【0129】
防腐剤としては、例えば安息香酸ナトリウムが挙げられる。防腐剤を用いる場合には化粧料組成物全体に対して0.1質量%以下で含有させることが好ましい。防腐剤は1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することもできる。
【0130】
増粘剤としては、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。増粘剤を用いる場合には化粧料組成物全体に対して5質量%以下で含有させることが好ましい。これらの増粘剤は1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することもできる。
【0131】
上記に挙げたもの以外では、動植物の天然エキス及びその誘導体、乳酸等の有機酸、塩化ナトリウム等の無機塩、アミノ酸類(グルタミン酸又はその塩、アルギニン又はその塩、グリシン等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、キレート剤、香料、色剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、起泡増進剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。これらの成分を用いる場合には化粧料組成物全体に対して、合計して20質量%以下で含有させることが好ましい。
【0132】
尚、本発明の化粧料組成物は以上で挙げた成分以外のものを用いることを妨げるものではない。
【0133】
本発明の化粧料組成物の粘度は、その用途により異なるが、例えば、本発明の化粧料組成物を毛髪化粧料として用いる場合、25℃で粘度が300mPa・s以上100,000mPa・s以下であることが好ましい。この粘度は、より好ましくは1,000mPa・s以上、更に好ましくは2,000mPa・s以上であり、特に好ましくは5,000mPa・s以上、最も好ましくは10,000mPa・s以上、一方、より好ましくは90,000mPa・s以下、更に好ましくは80,000mPa・s以下である。化粧料組成物の粘度が上記範囲内であるとハンドリングの点で好ましい。化粧料組成物の粘度は本明細書の実施例で示すように、B型粘度計やB8H型粘度計を用いて測定することが可能である。
【0134】
[毛髪化粧料]
本発明の化粧料組成物は毛髪化粧料として特に有用である。本明細書において毛髪化粧料とは、特に限定されないが、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、アウトバス用トリートメント、染毛剤、パーマ剤、ヘアパック、ヘアスプレー、ヘアフォーム、スタイリング剤等が挙げられる。本発明の毛髪化粧料はこれらのなかでも、コンディショニング効果が要求される、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、アウトバス用トリートメント、のようなコンディショニング剤として特に有用である。
【0135】
本発明の化粧料組成物は、毛髪化粧料の中でも、毛髪用トリートメント化粧料として特に有用である。毛髪用トリートメント化粧料とは、シャンプー等で洗浄した後にコンディショニング効果を付与することを主目的とするもので、塗布後に水で洗い流すものや塗布後に洗い流さないものがあり、水で洗い流すものとしては、リンス、コンディショナー、トリートメント、といったリンスオフコンディショナーとも言われるもの、洗い流さないものとしては、アウトバス用トリートメントやリーブオンコンディショナー等といわれるものが挙げられる。これらの中でも、本発明の化粧料組成物は、リンスオフコンディショナーとして特に有用である。
【実施例】
【0136】
以下、本発明について実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値または実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
【0137】
[共重合体の製造]
<共重合体(1)の製造>
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管及び撹拌装置を備えた反応器にエタノール100質量部を仕込み、滴下ロートにメトキシポリエチレングリコール(2モル)メタクリレート40質量部、アクリル酸60質量部、及びエタノール100質量部からなる単量体混合液を仕込み、反応器を窒素置換したのち80℃まで加熱した。反応器に、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(V−601;和光純薬工業(株)製)0.5質量部を投入後、共重合体混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後から8時間反応させたのち、エタノール溶媒を留去しながら蒸留水を添加し、共重合体(1)の水溶液を得た。
【0138】
<共重合体(2)〜共重合体(12)の製造>
表−1に記載の単量体を表−1に記載の割合で用いたこと以外は共重合体(1)の製造と同様にして共重合体(2)〜共重合体(12)を製造した(なお、「共重合体(9)」は「共重合体」ではなく、単一のモノマーを用いた「重合体」であるが、便宜上「共重合体(9)」と称す。)。
【0139】
[共重合体の物性測定]
<質量平均分子量の測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置:東ソー株式会社製「SC8010,SD8022,RI8020,CO8011,PS8010」、カラム:和光純薬工業株式会社「Wakopak(WakobeadsG−50)」、展開溶媒:水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム=6/4/0.3/0.41)を用いて、ポリエチレングリコールを標準物質として共重合体(1)〜(8)、(10)、(11)及び(12)の質量平均分子量を求めた。
なお、共重合体(9)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置:東ソー株式会社製「SC8020,SD8022,CCPM−II,RI8020,CO8020」、カラム:東ソー株式会社「G6000Hxl,G4000Hxl,G2500Hxl」、展開溶媒:テトラヒドロフラン)を用いて、ポリスチレンを標準物質として質量平均分子量を求めた。
得られた結果を表−1に示す。
【0140】
【表1】
【0141】
[化粧料組成物の物性測定及び評価]
以下の実施例及び比較例における化粧料組成物の物性測定方法及び評価方法は以下の通りである。
【0142】
<ダメージ毛>
評価用の毛束として、人毛黒髪(100%)根本揃え(未処理毛、10g×30cm、(株)ビューラックス社)を用い、これをブリーチ処理したものを「ダメージ毛」として使用した。即ち、この毛束1本に、ブリーチ剤として、(株)ミルボン製「プロマティスブレーブオキシタン6.0(過酸化水素6%クリーム)」を12g及び(株)メロス化学製「パウダーブリーチMR2」を6g混合したものを塗布し、30分放置したのち水洗しラウロイル(EO)3硫酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)で洗浄し、ダメージ毛を作成した。このダメージ毛を5g束ねたものをダメージ毛サンプル毛束とした。
【0143】
<塗布時のなめらかさの評価>
上記のダメージ毛サンプル毛束に対して、25質量%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムをシャンプーとして使用して洗浄・すすぎを実施し、次いで実施例及び比較例で調製された各化粧料組成物を塗布した後、40℃の流水中で毛束を濯いだときの指通りのなめらかさを以下の4段階で評価した。なお、比較標準品とは、共重合体(11)を使用して調製した化粧料組成物を示す。
+2:比較標準品と比べて優れる
+1:比較標準品と比べてやや優れる
0:比較標準品と同程度
−1:比較標準品と比べて劣る
【0144】
<乾燥後のゴワツキの無さの評価>
上記のダメージ毛サンプル毛束に対して、25質量%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムをシャンプーとして使用して洗浄・すすぎを実施し、次いで実施例及び比較例で調製された各化粧料組成物を塗布した後、40℃の流水中で毛束を濯いだ後、23℃、60%RHで1日自然乾燥した後の、毛束のゴワツキの無さを以下の4段階で評価した。ここでのゴワツキの無さの評価は、ダメージ毛が有するゴワツキがどれだけ低減されたかの評価であり、毛髪表面の均一性と毛束の柔らかさを総合した評価である。なお、比較標準品とは、共重合体(11)を使用して調製した化粧料組成物を示す。
+2:比較標準品と比べて優れる
+1:比較標準品と比べてやや優れる
0:比較標準品と同程度
−1:比較標準品と比べて劣る
【0145】
<乾燥後の指通りの良さの評価>
上記のダメージ毛サンプル毛束に対して、25質量%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムをシャンプーとして使用して洗浄・すすぎを実施し、次いで実施例及び比較例で調製された各化粧料組成物を塗布した後、40℃の流水中で毛束を濯いだ後の毛束をタオルで軽く押さえて水分を除去した後、指を通した時の指通り具合を以下の4段階で評価した。なお、比較標準品とは、共重合体(11)を使用して調製した化粧料組成物を示す。
+2:比較標準品と比べて優れる
+1:比較標準品と比べてやや優れる
0:比較標準品と同程度
−1:比較標準品と比べて劣る
【0146】
<乾燥後のまとまりの良さの評価>
上記のダメージ毛サンプル毛束に対して、25質量%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムをシャンプーとして使用して洗浄・すすぎを実施し、次いで実施例及び比較例で調製された各化粧料組成物を塗布した後、40℃の流水中で毛束を濯いだ後の毛束をタオルで軽く押さえて水分を除去した後、毛先を持ち上げて落としたときの毛束のまとまりの良さ(毛先の広がりのなさ)を以下の4段階で評価した。なお、比較標準品とは、共重合体(11)を使用して調製した化粧料組成物を示す。
+2:比較標準品と比べて優れる
+1:比較標準品と比べてやや優れる
0:比較標準品と同程度
−1:比較標準品と比べて劣る
【0147】
<粘度の測定>
実施例及び比較例で調製した各化粧料組成物について、B型粘度計を用い、25℃にて、ローターナンバー4を用い、回転数12rpmにて粘度の測定を行った。
【0148】
[化粧料組成物の調製・評価]
<実施例1−1〜1−8及び比較例1−1〜1−3>
共重合体(1)〜(11)を用い、定法に従って表−2に示す組成の化粧料組成物を調製した。なお、いずれの成分も活性成分としての質量であり、同伴される水は、添加する水の量にて調整した。得られた化粧料組成物について、前記の「塗布時のなめらかさ」、「乾燥後のゴワツキの無さ」、「乾燥後の指通りの良さ」及び「粘度」について評価・測定した。その結果を表−3に示す。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
<評価結果(1)>
(1-1) 比較例1−3の化粧料組成物は、用いた共重合体のビニルモノマー(A)に由来する構成単位の含有割合が30質量%と本発明の範囲よりも少ないのに対し、実施例1−1〜1−8の化粧料組成物で用いた共重合体は、モノマー(a)を含むビニルモノマー(A)に由来する構成単位の含有割合が50質量%以上であり、塗布時のなめらかさを損なうことなく、乾燥後のゴワツキが無く、乾燥後の指通りも良好であった。
(1-2) 実施例1−5の化粧料組成物は、用いた共重合体が、モノマー(b)として疎水性の高い前記式(3)で表されるビニルモノマーに由来する構成単位を有し、実施例1−8の化粧料組成物は、用いた共重合体が、モノマー(d)に由来する構成単位として疎水性の高いシクロヘキシルメタクリレートに由来する構成単位を有しているため、乾燥後のゴワツキが無く良好であった。
(1-3) 実施例1−1及び実施例1−3の化粧料組成物は、用いた共重合体が、モノマー(c)の中でも疎水性の高い、ポリエチレングリコール鎖が短いものの(メタ)アクリルエステルモノマーに由来する構成単位を有しているため、乾燥後のゴワツキが無く、乾燥後の指通りも良好であった。
(1-4) 比較例1−1の化粧料組成物は、用いた共重合体がモノマー(a)のみからなる重合体であるのに対し、実施例1−1から実施例1−8の化粧料組成物は、用いた共重合体がその他のモノマーとの共重合体であるため、乾燥後のゴワツキの無さが良好であった。
(1-5) 比較例1−2の化粧料組成物は、用いた共重合体がモノマー(b)、モノマー(c)、モノマー(d)に由来する構成単位のいずれも含まない共重合体であるのに対し、実施例1から実施例1−8の化粧料組成物で用いた共重合体は、モノマー(b)〜(d)に由来する構成単位のいずれかを含む共重合体であるため、塗布時のなめらかさや、乾燥後のゴワツキの無さが良好であった。
【0152】
<実施例2−1〜2−8及び比較例2−1>
重合体(1)〜(6)、(8)、(11)及び(12)を用い、定法に従って表−4に示す組成の化粧料組成物を調製した。なお、いずれの成分も活性成分としての質量であり、同伴される水は、添加する水の量にて調整した。得られた化粧料組成物について、前記の「塗布時のなめらかさ」、「乾燥後の指通りの良さ」及び「乾燥後のまとまりの良さ」について評価した。その結果を表−5に示す。
【0153】
【表4】
【0154】
【表5】
【0155】
<評価結果(2)>
(2-1) 比較例2−1の化粧料組成物は、用いた共重合体のビニルモノマー(A)に由来する構成単位の含有割合が30質量%と本発明の範囲よりも少ないのに対し、実施例2−1〜2−8の化粧料組成物で用いた共重合体は、モノマー(a)を含むビニルモノマー(A)に由来する構成単位の含有割合が50質量%以上であり、塗布時のなめらかさを損なうことなく、乾燥後のゴワツキが無く、乾燥後の指通りも良好であった。
(2-2) 実施例2−2及び実施例2−8の化粧料組成物は、用いた共重合体が、モノマー(a)の含有割合を他の実施例、比較例よりも多くしたため、乾燥後の指通りが特に良好であった。