(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
《第1実施形態》
図1は、本実施形態の一眼レフデジタルカメラ1を示す斜視図である。また、
図2は、本実施形態のカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3とが着脱可能に結合されている。
【0019】
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。
図2に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33,34,35および絞り36を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0020】
レンズ33は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ33は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、フォーカスレンズ用エンコーダ332によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ331によってその位置が調節される。
【0021】
フォーカスレンズ駆動モータ331は、たとえば超音波モータであり、レンズ制御部37から出力される電気信号(パルス)に応じて、フォーカスレンズ33を駆動する。具体的には、フォーカスレンズ駆動モータ331によるフォーカスレンズ33の駆動速度は、パルス/秒で表され、単位時間当たりのパルス数が多いほど、フォーカスレンズ33の駆動速度は速くなる。なお、本実施形態では、カメラ本体2のカメラ制御部21により、フォーカスレンズ33の駆動指示速度(単位:パルス/秒)がレンズ鏡筒3に送信され、レンズ制御部37は、カメラ本体2から送信された駆動指示速度(単位:パルス/秒)に応じたパルス信号を、フォーカスレンズ駆動モータ331に出力することで、フォーカスレンズ33を、カメラ本体2から送信された駆動指示速度(単位:パルス/秒)で駆動させる。
【0022】
また、レンズ32は、ズームレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。ズームレンズ32も、上述したフォーカスレンズ33と同様に、ズームレンズ用エンコーダ322によってその位置が検出されつつズームレンズ駆動モータ321によってその位置が調節される。ズームレンズ32の位置は、操作部28に設けられたズームボタンを操作することにより、あるいは、カメラ鏡筒3に設けられたズーム環(不図示)を操作することにより調節される。
【0023】
さらに、レンズ34は、ブレ補正レンズであり、光軸L1と直交する方向に移動することで、手ブレによる撮像画像の劣化を防止可能となっている。ブレ補正レンズ34は、たとえば、一対のボイスコイルモータなどのブレ補正レンズ駆動手段341によってその位置が調節される。ブレ補正レンズ34の駆動は、たとえば、不図示のジャイロセンサなどの出力に基づいて、カメラ制御部37により手ブレが検出された場合に、カメラ制御部37の出力に基づいて行われる。
【0024】
絞り35は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り35による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り35の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
【0025】
レンズメモリ38は、像面移動係数Kを記憶している。像面移動係数Kとは、フォーカスレンズ33の駆動量と像面の移動量との対応関係を示す値であり、たとえば、フォーカスレンズ33の駆動量と像面の移動量との比である。なお、レンズメモリ38に記憶されている像面移動係数Kの詳細については、後述する。
【0026】
一方、カメラ本体2は、被写体からの光束を撮像素子22、ファインダ235、測光センサ237および焦点検出モジュール261へ導くためのミラー系220を備える。このミラー系220は、回転軸223を中心にして被写体の観察位置と撮像位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー221と、このクイックリターンミラー221に軸支されてクイックリターンミラー221の回動に合わせて回転するサブミラー222とを備える。
図1においては、ミラー系220が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮像位置にある状態を二点鎖線で示す。
【0027】
ミラー系220は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮像位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0028】
クイックリターンミラー221はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー221で反射してファインダ235および測光センサ237に導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー222へ導く。これに対して、サブミラー222は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー221を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール261へ導く。
【0029】
したがって、ミラー系220が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ235、測光センサ237および焦点検出モジュール261へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ33の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタンを全押しするとミラー系220が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子22へ導かれ、撮影した画像データをメモリ24に保存する。
【0030】
クイックリターンミラー221で反射された被写体からの光束(光軸L2)は、撮像素子22と光学的に等価な面に配置された焦点板231に結像し、ペンタプリズム233と接眼レンズ234とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器232は、焦点板231上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ235を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0031】
測光センサ237は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。測光センサ237で検出された信号はカメラ制御部21へ出力され、自動露出制御に用いられる。
【0032】
撮像素子22は、カメラ本体2の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ31,32,33,34を含む撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。この撮像素子22は、複数の光電変換素子が二次元に配置されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどのデバイスから構成することができる。撮像素子22で光電変換された画像信号は、カメラ制御部21で画像処理されたのち、記録媒体であるカメラメモリ24に記録される。なお、カメラメモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。
【0033】
また、カメラ制御部21は、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、コントラスト検出方式による撮影光学系の焦点調節状態の検出(以下、適宜、「コントラストAF」とする。)を行う。たとえば、カメラ制御部21は、撮像素子22の出力を読み出し、読み出した出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22からの出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出することでも求めることができる。
【0034】
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に駆動信号を送出してフォーカスレンズ33を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ33の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ33を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
【0035】
コントラスト検出方式による焦点検出では、焦点評価値のサンプリング間隔は、フォーカスレンズ33の駆動速度が速くなるほど大きくなり、フォーカスレンズ33の駆動速度が所定速度を越えた場合には、焦点評価値のサンプリング間隔が大きくなり過ぎてしまい、合焦位置を適切に検出することができなくなってしまう。これは、焦点評価値のサンプリング間隔が大きくなるほど、合焦位置のばらつきが大きくなり合焦精度が低下する場合があるためである。そのため、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ33を駆動させた際の像面の移動速度が、合焦位置を適切に検出することができる速度となるように、フォーカスレンズ33を駆動させる。たとえば、カメラ制御部21は、焦点評価値を検出するためにフォーカスレンズ33を駆動させる探索制御において、合焦位置を適切に検出することができるサンプリング間隔の像面移動速度のうち最大の像面駆動速度となるように、フォーカスレンズ33を駆動させる。探索制御とは、たとえば、ウォブリング、所定位置の近傍のみを探索する近傍サーチ(近傍スキャン)、フォーカスレンズ33の全駆動範囲を探索する全域サーチ(全域スキャン)を含む。
【0036】
また、カメラ制御部21は、レリーズスイッチの半押しをトリガとして探索制御を開始する場合にはフォーカスレンズ33を高速で駆動させ、レリーズスイッチの半押し以外の条件をトリガとして探索制御を開始する場合にはフォーカスレンズ33を低速で駆動させてもよい。このように制御することにより、レリーズスイッチの半押しがされたときに高速にコントラストAFを行い、レリーズスイッチの半押しがされていないときにはスルー画の見栄えが好適なコントラストAFを行うことができるからである。
【0037】
さらに、カメラ制御部21は、静止画撮影モードにおける探索制御において、フォーカスレンズ33を高速で駆動させ、動画撮影モードにおける探索制御において、フォーカスレンズ33を低速で駆動させるように制御してもよい。このように制御することにより、静止画撮影モードでは高速にコントラストAFを行い、動画撮影モードでは動画の見栄えが好適なコントラストAFを行うことができるからである。
【0038】
また、静止画撮影モードおよび動画撮影モードの少なくとも一方において、スポーツ撮影モードにおいては高速にコントラストAFを行い、風景撮影モードにおいては低速にコントラストAFを行ってもよい。さらに、焦点距離、撮影距離、絞り値等に応じて、探索制御におけるフォーカスレンズ33の駆動速度を変化させてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、位相差検出方式による焦点検出を行うこともできる。具体的には、カメラ本体2は、焦点検出モジュール261を備えており、焦点検出モジュール261は、撮像光学系の予定焦点面近傍に配置されたマイクロレンズと、このマイクロレンズに対して配置された光電変換素子とを有する画素が複数配列された、一対のラインセンサ(不図示)を有している。そして、フォーカスレンズ33の射出瞳の異なる一対の領域を通る一対の光束を、一対のラインセンサに配列された各画素で受光することで、一対の像信号を取得することができる。そして、一対のラインセンサで取得した一対の像信号の位相ずれを、周知の相関演算によって求めることにより焦点調節状態を検出する位相差検出方式による焦点検出を行うことができる。
【0040】
操作部28は、シャッターレリーズボタン、動画撮影開始スイッチなどの撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、静止画撮影モード/動画撮影モードの切換、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換、さらには、オートフォーカスモードの中でも、AF−Sモード/AF−Fモードの切換が行えるようになっている。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0041】
ここで、AF−Sモードとは、シャッターレリーズボタンの半押しがされた場合に、焦点検出結果に基づき、フォーカスレンズ33を駆動させた後は、一度調節したフォーカスレンズ33の位置を固定し、そのフォーカスレンズ位置で撮影するモードである。なお、AF−Sモードは、静止画撮影に適したモードであり、通常、静止画撮影を行う際に選択される。また、AF−Fモードとは、シャッターレリーズボタンの操作の有無に関係なく、焦点検出結果に基づきフォーカスレンズ33を駆動し、その後、焦点状態の検出を繰り返し行い、焦点状態が変化した場合には、フォーカスレンズ33のスキャン駆動を行なうモードである。なお、AF−Fモードは、動画撮影に適したモードであり、通常、動画撮影を行なう際に選択される。
【0042】
また、本実施形態においては、オートフォーカスモードを切換えるためのスイッチとして、ワンショットモード/コンティニュアスモードを切換えるためのスイッチを備えているような構成としてもよい。そして、この場合においては、撮影者によりワンショットモードが選択された場合には、AF−Sモードに設定され、また、撮影者によりコンティニュアスモードが選択された場合には、AF−Fモードに設定されるような構成とすることができる。
【0043】
次いで、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に記憶されている像面移動係数Kについて、説明する。
【0044】
像面移動係数Kとは、フォーカスレンズ33の駆動量と像面の移動量との対応関係を示す値であり、たとえば、フォーカスレンズ33の駆動量と像面の移動量との比である。本実施形態において、像面移動係数は、たとえば、下記式(1)により求められ、像面移動係数Kが小さくなるほど、フォーカスレンズ33の駆動に伴う像面の移動量は大きくなる。
像面移動係数K=(フォーカスレンズ33の駆動量/像面の移動量) ・・・(1)
また、本実施形態のカメラ1においては、フォーカスレンズ33の駆動量が同じ場合であっても、フォーカスレンズ33のレンズ位置によっては、像面の移動量が異なるものとなる。同様に、フォーカスレンズ33の駆動量が同じ場合であっても、ズームレンズ32のレンズ位置、すなわち、焦点距離によっては、像面の移動量が異なるものとなる。すなわち、像面移動係数Kは、フォーカスレンズ33の光軸方向におけるレンズ位置、さらには、ズームレンズ32の光軸方向におけるレンズ位置に応じて変化するものであり、本実施形態において、レンズ制御部37は、フォーカスレンズ33のレンズ位置ごと、およびズームレンズ32のレンズ位置ごとに、像面移動係数Kを記憶している。
また、像面移動係数Kは、たとえば、像面移動係数K=(像面の移動量/フォーカスレンズ33の駆動量)のように定義をすることもできる。この場合、像面移動係数Kが大きくなるほど、フォーカスレンズ33の駆動に伴う像面の移動量は大きくなる。
【0045】
ここで、
図3に、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)およびフォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)と、像面移動係数Kとの関係を示すテーブルを示す。
図3に示すテーブルにおいては、ズームレンズ32の駆動領域を、ワイド端からテレ端に向かって順に、「f1」〜「f9」の9つの領域に分けるとともに、フォーカスレンズ33の駆動領域を至近端から無限遠端に向かって順に、「D1」〜「D9」の9つの領域に分けて、各レンズ位置に対応する像面移動係数Kが記憶されている。たとえば、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)が「f1」にあり、フォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)が「D1」にある場合に、像面移動係数Kは「K11」となる。なお、
図3に示すテーブルは、各レンズの駆動領域をそれぞれ9つの領域に分けるような態様を例示したが、その数は特に限定されず、任意に設定することができる。
【0046】
次に、
図3を用いて、最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxについて説明する。
最小像面移動係数K
minとは、像面移動係数Kの最小値に対応する値である。例えば、
図3において、「K11」=「100」、「K12」=「200」、「K13」=「300」、「K14」=「400」、「K15」=「500」、「K16」=「600」、「K17」=「700」、「K18」=「800」、「K19」=「900」であったとき、最小の値である「K11」=「100」が最小像面移動係数K
minであり、最大の値である「K19」=「900」が最大像面移動係数K
maxである。
最小像面移動係数K
minは、通常、ズームレンズ32の現在のレンズ位置に応じて変化する。また、最小像面移動係数K
minは、ズームレンズ32の現在のレンズ位置が変化しなければ、通常、フォーカスレンズ33の現在のレンズ位置が変化しても一定値(固定値)である。つまり、最小像面移動係数K
minは、通常、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)に応じて定まる固定値(一定値)であって、フォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)には依存しない値である。
【0047】
たとえば、
図3において、灰色で示した「K11」、「K21」、「K31」、「K41」、「K52」、「K62」、「K72」、「K82」、「K91」は、ズームレンズ32の各レンズ位置(焦点距離)における、像面移動係数Kのうち、最小となる値を示す最小像面移動係数K
minである。すなわち、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)が「f1」にある場合には、「D1」〜「D9」のうち、フォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)が「D1」にある場合の像面移動係数Kである「K11」が、最小の値を示す最小像面移動係数K
minとなる。したがって、フォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)が「D1」にある場合の像面移動係数Kである「K11」は、フォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)が「D1」〜「D9」にある場合の像面移動係数Kである「K11」〜「K19」の中で、最も小さな値を示すものとなる。また、同様に、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)が「f2」である場合も、フォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)が「D1」にある場合の像面移動係数Kである「K21」が、「D1」〜「D9」にある場合の像面移動係数Kである「K21」〜「K29」の中で、最も小さな値を示すものとなる。すなわち、「K21」が最小像面移動係数K
minとなる。以下、同様に、ズームレンズ32の各レンズ位置(焦点距離)が「f3」〜「f9」である場合でも、灰色で示した「K31」、「K41」、「K52」、「K62」、「K72」、「K82」、「K91」が、それぞれ最小像面移動係数K
minとなる。
【0048】
同様に、最大像面移動係数K
maxとは、像面移動係数Kの最大値に対応する値である。最大像面移動係数K
maxは、通常、ズームレンズ32の現在のレンズ位置に応じて変化する。また、最大像面移動係数K
maxは、通常、ズームレンズ32の現在のレンズ位置が変化しなければフォーカスレンズ33の現在のレンズ位置が変化しても一定値(固定値)である。たとえば、
図3において、ハッチングを施して示した「K19」、「K29」、「K39」、「K49」、「K59」、「K69」、「K79」、「K89」、「K99」は、ズームレンズ32の各レンズ位置(焦点距離)における、像面移動係数Kのうち、最大となる値を示す最大像面移動係数K
maxである。
【0049】
このように、レンズメモリ38は、
図3に示すように、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)、およびフォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)に対応する像面移動係数Kと、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)ごとに、像面移動係数Kのうち最小となる値を示す最小像面移動係数K
minと、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)ごとに、像面移動係数Kのうち最大となる値を示す最大像面移動係数K
maxとを記憶している。
【0050】
また、レンズメモリ38は、像面移動係数Kのうち最小となる値を示す最小像面移動係数K
minの代わりに、最小像面移動係数K
minの近傍の値である最小像面移動係数K
min’をレンズメモリ38に記憶していてもよい。たとえば、最小像面移動係数K
minの値が102.345という桁数の大きい数字であった場合、102.345の近傍の値である100を最小像面移動係数K
min’として記憶することができる。レンズメモリ38に100(最小像面移動係数K
min’)を記憶する場合、レンズメモリ38に102.345(最小像面移動係数K
min)を記憶する場合と比較して、メモリの記憶容量を節約できるとともに、カメラボディ2への送信時に送信データの容量を抑えることができるからである。
また、たとえば、最小像面移動係数K
minの値が100という数字であった場合、後述するガタ詰め制御、静音制御(クリップ動作)、レンズ速度制御等の制御の安定性を考慮して、100の近傍の値である98を最小像面移動係数K
min’として記憶することができる。たとえば、制御の安定性を考慮する場合には、実際の値(最小像面移動係数K
min)の80%〜120%の範囲で最小像面移動係数K
min’を設定することが好ましい。
【0051】
加えて、本実施形態においては、レンズメモリ38には、上述した最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxに加えて、これらの係数を補正することで得られた補正最小像面移動係数K
min_xおよび補正最大像面移動係数K
max_xを記憶している。
図4に、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)と、最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
max、ならびに補正最小像面移動係数K
min_xおよび補正最大像面移動係数K
max_xとの関係を示すテーブルを示す。
【0052】
すなわち、
図4に示すように、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)が「f1」にある場合を例示して説明すると、レンズメモリ38には、最小像面移動係数K
minとしての「K11」に加えて、補正最小像面移動係数K
min_xとしての「K11’」が記憶されており、同様に、最大像面移動係数K
maxとしての「K91」に加えて、補正最大像面移動係数K
max_xとしての「K91’」が記憶されている。同様に、ズームレンズ32の各レンズ位置(焦点距離)が「f2」〜「f9」である場合に対しても、
図4に示すように、補正最小像面移動係数K
min_xとして、「K21’」、「K31’」、「K41’」、「K52’」、「K62’」、「K72’」、「K82’」、「K91’」が記憶されており、補正最大像面移動係数K
max_xとして、「K29’」、「K39’」、「K49’」、「K59’」、「K69’」、「K79’」、「K89’」、「K99’」が記憶されている。
【0053】
なお、補正最小像面移動係数K
min_xとしては、最小像面移動係数K
minを補正することにより得られる係数であればよく、特に限定されず、最小像面移動係数K
minよりも大きな値を有するもの、あるいは、最小像面移動係数K
minよりも小さな値を有するものいずれであってもよく、その目的等に応じて適宜設定すればよい。たとえば、本実施形態においては、後述するように、最小像面移動係数K
minはフォーカスレンズ33のスキャン動作を行う際におけるスキャン駆動速度Vを決定するために用いることができる。しかしその一方で、最小像面移動係数K
minを用いた場合には、ブレ補正レンズ34の位置や、カメラ1の姿勢によっては、これらの影響により、必ずしも適切なスキャン駆動速度Vを算出できない場合がある。そのため、本実施形態においては、補正最小像面移動係数K
min_xとしては、ブレ補正レンズ34の位置や、カメラ1の姿勢の影響を考慮したものを採用することが望ましい。ただし、このような態様に特に限定されるものではない。また、上述した例においては、補正最小像面移動係数K
min_xを一つのみ有する構成を例示したが、補正最小像面移動係数K
min_xを複数有するような構成としてもよい。
【0054】
さらに、補正最大像面移動係数K
max_xとしては最大像面移動係数K
maxを補正することにより得られる係数であればよく、特に限定されず、最大像面移動係数K
maxよりも大きな値を有するもの、あるいは、最大像面移動係数K
maxよりも小さな値を有するものいずれであってもよく、その目的等に応じて適宜設定すればよい。また、上述した例においては、補正最大像面移動係数K
max_xを一つのみ有する構成を例示したが、補正最大像面移動係数K
max_xを複数有するような構成としてもよい。
【0055】
次いで、カメラ本体2とレンズ鏡筒3との間のデータの通信方法について説明する。
【0056】
カメラ本体2には、レンズ鏡筒3が着脱可能に取り付けられるボディ側マウント部201が設けられている。また、
図1に示すように、ボディ側マウント部201の近傍(ボディ側マウント部201の内面側)の位置には、ボディ側マウント部201の内面側に突出する接続部202が設けられている。この接続部202には複数の電気接点が設けられている。
【0057】
一方、レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズであり、レンズ鏡筒3には、カメラ本体2に着脱可能に取り付けられるレンズ側マウント部301が設けられている。また、
図1に示すように、レンズ側マウント部301の近傍(レンズ側マウント部301の内面側)の位置には、レンズ側マウント部301の内面側に突出する接続部302が設けられている。この接続部302には複数の電気接点が設けられている。
【0058】
そして、カメラ本体2にレンズ鏡筒3が装着されると、ボディ側マウント部201に設けられた接続部202の電気接点と、レンズ側マウント部301に設けられた接続部302の電気接点とが、電気的かつ物理的に接続される。これにより、接続部202,302を介して、カメラ本体2からレンズ鏡筒3への電力供給や、カメラ本体2とレンズ鏡筒3とのデータ通信が可能となる。
【0059】
カメラ本体2には、レンズ鏡筒3が着脱可能に取り付けられるボディ側マウント部201が設けられている。また、
図1に示すように、ボディ側マウント部201の近傍(ボディ側マウント部201の内面側)の位置には、ボディ側マウント部201の内面側に突出する接続部202が設けられている。この接続部202には複数の電気接点が設けられている。
【0060】
一方、レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズであり、レンズ鏡筒3には、カメラ本体2に着脱可能に取り付けられるレンズ側マウント部301が設けられている。また、
図1に示すように、レンズ側マウント部301の近傍(レンズ側マウント部301の内面側)の位置には、レンズ側マウント部301の内面側に突出する接続部302が設けられている。この接続部302には複数の電気接点が設けられている。
【0061】
そして、カメラ本体2にレンズ鏡筒3が装着されると、ボディ側マウント部201に設けられた接続部202の電気接点と、レンズ側マウント部301に設けられた接続部302の電気接点とが、電気的かつ物理的に接続される。これにより、接続部202,302を介して、カメラ本体2からレンズ鏡筒3への電力供給や、カメラ本体2とレンズ鏡筒3とのデータ通信が可能となる。
【0062】
図5は接続部202,302の詳細を示す模式図である。なお、
図5において接続部202がボディ側マウント部201の右側に配置されているのは、実際のマウント構造に倣ったものである。すなわち、本実施形態の接続部202は、ボディ側マウント部201のマウント面よりも奥まった場所(
図5においてボディ側マウント部201よりも右側の場所)に配置されている。同様に、接続部302がレンズ側マウント部301の右側に配置されているのは、本実施形態の接続部302がレンズ側マウント部301のマウント面よりも突出した場所に配置されていることを表している。接続部202と接続部302とがこのように配置されることで、ボディ側マウント部201のマウント面とレンズ側マウント部301のマウント面とを接触させて、カメラ本体2とレンズ鏡筒3とをマウント結合させた場合に、接続部202と接続部302とが接続され、これにより、両方の接続部202,302に設けられている電気接点同士が接続する。
【0063】
図5に示すように、接続部202にはBP1〜BP12の12個の電気接点が存在する。またレンズ3側の接続部302には、カメラ本体2側の12個の電気接点にそれぞれ対応するLP1〜LP12の12個の電気接点が存在する。
【0064】
電気接点BP1および電気接点BP2は、カメラ本体2内の第1電源回路230に接続されている。第1電源回路230は、電気接点BP1および電気接点LP1を介して、レンズ鏡筒3内の各部(ただし、レンズ駆動モータ321,331などの消費電力が比較的大きい回路を除く)に動作電圧を供給する。電気接点BP1および電気接点LP1を介して、第1電源回路230により供給される電圧値は、特に限定されず、たとえば3〜4Vの電圧値(標準的には、この電圧幅の中間にある3.5V近傍の電圧値)とすることができる。この場合、カメラ本体側2からレンズ鏡筒側3に供給される電流値は、電源オン状態において、約数10mA〜数100mAの範囲内の電流値となる。また、電気接点BP2および電気接点LP2は、電気接点BP1および電気接点LP1を介して供給される上記動作電圧に対応する接地端子である。
【0065】
電気接点BP3〜BP6は、カメラ側第1通信部291に接続されており、これら電気接点BP3〜BP6に対応して、電気接点LP3〜LP6が、レンズ側第1通信部381に接続されている。そして、カメラ側第1通信部291とレンズ側第1通信部381とは、これらの電気接点を用いて互いに信号の送受信を行う。なお、カメラ側第1通信部291とレンズ側第1通信部381とが行う通信の内容については、後に詳述する。
【0066】
電気接点BP7〜BP10は、カメラ側第2通信部292に接続されており、これら電気接点BP7〜BP10に対応して、電気接点LP7〜LP10が、レンズ側第2通信部382に接続されている。そして、カメラ側第2通信部292とレンズ側第2通信部382とは、これらの電気接点を用いて互いに信号の送受信を行う。なお、カメラ側第2通信部292とレンズ側第2通信部382とが行う通信の内容については、後に詳述する。
【0067】
電気接点BP11および電気接点BP12は、カメラ本体2内の第2電源回路240に接続されている。第2電源回路240は、電気接点BP11および電気接点LP11を介して、レンズ駆動モータ321,331などの消費電力が比較的大きい回路に動作電圧を供給する。第2電源回路230により供給される電圧値は、特に限定されないが、第2電源回路240により供給される電圧値の最大値は、第1電源回路230により供給される電圧値の最大値の数倍程度とすることができる。また、この場合、第2電源回路240からレンズ鏡筒3側に供給される電流値は、電源オン状態において、約数10mA〜数Aの範囲内の電流値となる。また、電気接点BP12および電気接点LP12は、電気接点BP11および電気接点LP11を介して供給される上記動作電圧に対応する接地端子である。
【0068】
なお、
図5に示すカメラ本体2側の第1通信部291および第2通信部292は、
図1に示すカメラ送受信部29を構成し、
図5に示すレンズ鏡筒3側の第1通信部381および第2通信部382は、
図1に示すレンズ送受信部38を構成する。
【0069】
次に、カメラ側第1通信部291とレンズ側第1通信部381との通信(以下、コマンドデータ通信という)について説明する。レンズ制御部37は、電気接点BP3およびLP3から構成される信号線CLKと、電気接点BP4およびLP4から構成される信号線BDATと、電気接点BP5およびLP5から構成される信号線LDATと、電気接点BP6およびLP6から構成される信号線RDYとを介して、カメラ側第1通信部291からレンズ側第1通信部381への制御データの送信と、レンズ側第1通信部381からカメラ側第1通信部291への応答データの送信とを、並行して、所定の周期(たとえば、16ミリ秒間隔)で行う、コマンドデータ通信を行う。
【0070】
図6は、コマンドデータ通信の一例を示すタイミングチャートである。カメラ制御部21およびカメラ側第1通信部291は、コマンドデータ通信の開始時(T1)に、まず、信号線RDYの信号レベルを確認する。ここで、信号線RDYの信号レベルはレンズ側第1通信部381の通信可否を表しており、通信不可の場合には、レンズ制御部37およびレンズ側第1通信部381により、H(High)レベルの信号が出力される。カメラ側第1通信部291は、信号線RDYがHレベルである場合には、レンズ鏡筒3との通信を行わず、または、通信中である場合にも、次の処理を実行しない。
【0071】
一方、信号線RDYがL(LOW)レベルである場合、カメラ制御部21およびカメラ側第1通信部291は、信号線CLKを用いて、クロック信号401をレンズ側第1通信部291に送信する。また、カメラ制御部21およびカメラ側第1通信部291は、このクロック信号401に同期して、信号線BDATを用いて、制御データであるカメラ側コマンドパケット信号402をレンズ側第1通信部291に送信する。また、クロック信号401が出力されると、レンズ制御部37およびレンズ側第1通信部381は、このクロック信号401に同期して、信号線LDATを用いて、応答データであるレンズ側コマンドパケット信号403を送信する。
【0072】
レンズ制御部37およびレンズ側第1通信部291は、レンズ側コマンドパケット信号403の送信完了に応じて、信号線RDYの信号レベルをLレベルからHレベルに変更する(T2)。そして、レンズ制御部37は、時刻T2までに受信したボディ側コマンドパケット信号402の内容に応じて、第1制御処理404を開始する。
【0073】
たとえば、受信したボディ側コマンドパケット信号402が、レンズ鏡筒3側の特定のデータを要求する内容であった場合、レンズ制御部37は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402の内容を解析するとともに、要求された特定データを生成する処理を実行する。さらに、レンズ制御部37は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402に含まれているチェックサムデータを用いて、コマンドパケット信号402の通信にエラーがないか否かをデータバイト数から簡易的にチェックする通信エラーチェック処理をも実行する。この第1制御処理404で生成された特定データの信号は、レンズ側データパケット信号407としてカメラ本体2側に出力される(T3)。なお、この場合においてコマンドパケット信号402の後でカメラ本体2側から出力されるカメラ側データパケット信号406は、レンズ側にとっては特に意味をなさないダミーデータ (チェックサムデータは含む)となっている。この場合には、レンズ制御部37は、第2制御処理408として、カメラ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いた、上述の如き通信エラーチェック処理を実行する(T4)。
【0074】
また、たとえば、カメラ側コマンドパケット信号402が、フォーカスレンズ33の駆動指示であり、カメラ側データパケット信号406がフォーカスレンズ33の駆動速度および駆動量であった場合、レンズ制御部37は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402の内容を解析するとともに、その内容を理解したことを表す確認信号を生成する(T2)。この第1制御処理404で生成された確認信号は、レンズ側データパケット信号407としてカメラ本体2に出力される(T3)。またレンズ制御部37は、第2制御処理408として、カメラ側データパケット信号406の内容の解析を実行するとともに、カメラ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いて通信エラーチェック処理を実行する(T4)。そして、第2制御処理408の完了後、レンズ制御部37は、受信したカメラ側コマンドパケット信号406、すなわち、フォーカスレンズ33の駆動速度および駆動量に基づいて、フォーカスレンズ駆動モータ331を駆動させることで、フォーカスレンズ33を、受信した駆動速度で、受信した駆動量だけ駆動させる(T5)。
【0075】
また、レンズ制御部37は、第2制御処理408が完了すると、レンズ側第1通信部291に第2制御処理408の完了を通知する。これにより、レンズ制御部37は、信号線RDYにLレベルの信号を出力する(T5)。
【0076】
上述した時刻T1〜T5の間に行われた通信が、 1回のコマンドデータ通信である。上述のように、1回のコマンドデータ通信では、カメラ制御部21およびカメラ側第1通信部291により、カメラ側コマンドパケット信号402およびカメラ側テータパケット信号406がそれぞれ1つずつ送信される。このように、本実施形態では、カメラ本体2からレンズ鏡筒3に送信される制御データは、処理の都合上2つに分割されて送信されているが、カメラ側コマンドパケット信号402およびカメラ側データパケット信号406は2つ合わせて1つの制御データを構成するものである。
【0077】
同様に、1回のコマンドデータ通信では、レンズ制御部37およびレンズ側第1通信部381によりレンズ側コマンドパケット信号403およびレンズ側データパケット信号407がそれぞれ1つずつ送信される。このように、レンズ鏡筒3からカメラ本体2に送信される応答データも2つに分割されているが、レンズ側コマンドパケット信号403とレンズ側データパケット信号407とも2つ合わせて1つの応答データを構成する。
【0078】
次に、カメラ側第2通信部292とレンズ側第2通信部382との通信(以下、ホットライン通信という)について説明する。
図5に戻り、レンズ制御部37は、電気接点BP7およびLP7から構成される信号線HREQ、電気接点BP8およびLP8から構成される信号線HANS、電気接点BP9およびLP9から構成される信号線HCLK、電気接点BP10およびLP10から構成される信号線HDATを介して、コマンドデータ通信よりも短い周期(たとえば1ミリ秒間隔)で通信を行うホットライン通信を行う。
【0079】
たとえば、本実施形態では、ホットライン通信により、レンズ鏡筒3のレンズ情報が、レンズ鏡筒3からカメラ本体2に送信される。なお、ホットライン通信により送信されるレンズ情報には、フォーカスレンズ33のレンズ位置、ズームレンズ32のレンズ位置、現在位置像面移動係数K
cur、最小像面移動係数K
min、および最大像面移動係数K
maxが含まれる。ここで、現在位置像面移動係数K
curとは、現在のズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)および現在のフォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)に対応した像面移動係数Kである。本実施形態において、レンズ制御部37は、レンズメモリ38に記憶された、レンズ位置(ズームレンズ位置およびフォーカスレンズ位置)と像面移動係数Kとの関係を示すテーブルを参照することで、ズームレンズ32の現在のレンズ位置およびフォーカスレンズ33の現在のレンズ位置に対応する現在位置像面移動係数K
curを求めることができる。たとえば、
図3に示す例において、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)が「f1」にあり、フォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)が「D4」にある場合、レンズ制御部37は、ホットライン通信により、現在位置像面移動係数K
curとして「K14」を、最小像面移動係数K
minとして「K11」を、最大像面移動係数K
maxとして「K19」をカメラ制御部21に送信する。また、本実施形態においては、後述するように、レンズ情報としての最小像面移動係数K
min、および最大像面移動係数K
maxに代えて、上述した補正最小像面移動係数K
min_x、および補正最大像面移動係数K
max_xが含まれていてもよい。
【0080】
ここで、
図7は、ホットライン通信の一例を示すタイミングチャートである。
図7(a)は、ホットライン通信が所定周期Tn毎に繰り返し実行されている様子を示す図である。また、繰り返し実行されるホットライン通信のうち、ある1回の通信の期間Txを拡大した様子を
図7(b)に示す。以下、
図7(b)のタイミングチャートに基づいて、フォーカスレンズ33のレンズ位置をホットライン通信で通信する場面を説明する。
【0081】
カメラ制御部21およびカメラ側第2通信部292は、まず、ホットライン通信による通信を開始するために、信号線HREQにLレベルの信号を出力する(T6)。そして、レンズ側第2通信部382は、この信号が電気接点LP7に入力されたことを、レンズ制御部37に通知する。レンズ制御部37は、この通知に応じて、レンズ位置データを生成する生成処理501の実行を開始する。生成処理501とは、レンズ制御部37がフォーカスレンズ用エンコーダ332にフォーカスレンズ33の位置を検出させ、検出結果を表すレンズ位置データを生成する処理である。
【0082】
レンズ制御部37が生成処理501を実行完了すると、レンズ制御部37およびレンズ側第2通信部382は信号線HANSにLレベルの信号を出力する(T7)。そして、カメラ制御部21およびカメラ側第2通信部292は、この信号が電気接点BP8に入力されると、電気接点BP9から信号線HCLKに、クロック信号502を出力する。
【0083】
レンズ制御部37およびレンズ側第2通信部382は、このクロック信号502に同期して、電気接点LP10から信号線HDATに、レンズ位置データを表すレンズ位置データ信号503を出力する。そして、レンズ位置データ信号503の送信が完了すると、レンズ制御部37およびレンズ側第2通信部382は電気接点LP8から信号線HANSにHレベルの信号を出力する(T8)。そして、カメラ側第2通信部292は、この信号が電気接点BP8に入力されると、電気接点LP7から信号線HREQに、Hレベルの信号を出力する(T9)。
【0084】
なお、コマンドデータ通信とホットライン通信は、同時に、あるいは、並行して実行することが可能である。
【0085】
次いで、
図8を参照して、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。
図8は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、カメラ1の電源がオンされることにより開始される。
【0086】
まず、ステップS101においては、カメラボディ2がレンズ鏡筒3を識別するための通信を行う。レンズ鏡筒の種類に応じて通信可能な通信形式が異なるからである。そして、ステップS102に進み、ステップS102では、カメラ制御部21は、レンズ鏡筒3が所定の第1種別の通信形式に対応したレンズであるか否かの判断を行う。その結果、第1種別の通信形式に対応したレンズであると判断した場合に、ステップS103に進む。一方、カメラ制御部21は、レンズ鏡筒3が、所定の第1種別の通信形式に対応していないレンズであると判断した場合には、ステップS112に進む。また、カメラ制御部21は、レンズ鏡筒3が、第1種別の通信形式とは異なる第2種別の通信形式に対応しているレンズであると判断した場合、ステップS112に進むようにしてもよい。さらに、カメラ制御部21は、レンズ鏡筒3が第1種別および第2種別の通信形式に対応しているレンズであると判断した場合、ステップS103に進むようにしてもよい。
【0087】
次に、ステップS103において、撮影者により操作部28に備えられたライブビュー撮影オン/オフスイッチをオンに操作がされたか否かの判定を行い、ライブビュー撮影オンとされると、ミラー系220が被写体の撮影位置になり、被写体からの光束が、撮像素子22に導かれる。
【0088】
ステップS104では、カメラボディ2とレンズ鏡筒3との間でホットライン通信が開始される。ホットライン通信においては、上述したように、カメラ制御部21およびカメラ側第2通信部292により、信号線HREQに出力されたLレベルの信号(要求信号)を、レンズ制御部37が受信すると、レンズ情報をカメラ制御部21に送信し、このようなレンズ情報の送信が繰り返し行われる。なお、レンズ情報とは、たとえば、フォーカスレンズ33のレンズ位置、ズームレンズ32のレンズ位置、現在位置像面移動係数K
cur、最小像面移動係数K
min、および最大像面移動係数K
maxの各情報が含まれる。ホットライン通信は、ステップS104以降、繰返し行われる。ホットライン通信は、たとえば、電源スイッチがオフされるまで繰り返し行われる。
また、レンズ制御部37は、最小像面移動係数K
min、および最大像面移動係数K
maxに代えて、補正最小像面移動係数K
min_x、および補正最大像面移動係数K
max_xをカメラ制御部21に送信してもよい。
【0089】
ここで、本実施形態においては、レンズ制御部37は、レンズ情報をカメラ制御部21に送信する際には、レンズメモリ37に記憶された各レンズ位置と像面移動係数Kとの関係を示すテーブル(
図3参照)を参照して、ズームレンズ32の現在のレンズ位置およびフォーカスレンズ33の現在のレンズ位置に対応する現在位置像面移動係数K
cur、ならびに、ズームレンズ32の現在のレンズ位置に対応する最小像面移動係数K
min、および最大像面移動係数K
maxを取得し、取得した現在位置像面移動係数K
cur、最小像面移動係数K
min、および最大像面移動係数K
maxをカメラ制御部21に送信する。
【0090】
また、本実施形態では、ホットライン通信により、最小像面移動係数K
minをカメラ制御部21に送信する際には、最小像面移動係数K
minと、補正最小像面移動係数K
min_xとを交互に送信する。すなわち、本実施形態においては、第1の処理期間において、最小像面移動係数K
minを送信し、次いで、この第1の処理期間に続く第2の処理期間において、補正最小像面移動係数K
min_xを送信する。そして、この第2の処理期間に続く第3の処理期間において、再度、最小像面移動係数K
minを送信し、以降、補正最小像面移動係数K
min_xおよび最小像面移動係数K
minを交互に送信する。
【0091】
レンズ制御部37は、たとえば、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)が「f1」にある場合には、補正最小像面移動係数K
min_xとしての「K11」と、最小像面移動係数K
minとしての「K11’」とを交互に、すなわち、「K11」、「K11’」、「K11」、「K11’」、・・・の順に送信する。ただし、この場合において、ズームレンズ32の駆動操作がされ、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)が変化した場合、たとえば、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)が「f2」とされた場合には、これ以降、「f2」に対応する「K21」および「K21’」が交互に送信されることとなるが、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)が変化しない場合には、「K11」および「K11’」が交互に送信され続けることとなる。
【0092】
また、同様に、レンズ制御部37は、最大像面移動係数K
maxをカメラ制御部21に送信する際にも、最大像面移動係数K
maxと、補正最大像面移動係数K
max_xとを交互に送信する。
【0093】
ステップS105では、撮影者により操作部28に備えられたレリーズボタンの半押し操作(第1スイッチSW1のオン)、あるいは、AF起動操作等が行われた否かの判定を行い、これらの動作が行われた場合に、ステップS106に進む(以下においては、半押し操作がされた場合について詳細に説明する)。
【0094】
次いで、ステップS106では、カメラ制御部21はコントラスト検出方式による焦点検出を行うためにレンズ制御部37にスキャン駆動指令(スキャン駆動の開始指示)を送信する。レンズ制御部37に対するスキャン駆動指令(スキャン駆動時の駆動速度の指示、または、駆動位置の指示)は、フォーカスレンズ33の駆動速度で与えてもよいし、像面移動速度で与えてもよいし、目標駆動位置等で与えてもよい。
【0095】
そして、ステップS107では、カメラ制御部21により、ステップS104で取得した最小像面移動係数K
minまたは補正最小像面移動係数K
min_xに基づいて、スキャン動作におけるフォーカスレンズ33の駆動速度である、スキャン駆動速度Vを決定する処理が行われる。
以下においては、まず、最小像面移動係数K
minおよび補正最小像面移動係数K
min_xのうち、最小像面移動係数K
minを用いて、スキャン駆動速度Vを決定する場合を例示して説明を行う。
【0096】
本実施形態において、スキャン動作とは、フォーカスレンズ駆動モータ331により、フォーカスレンズ33を、このステップS107で決定するスキャン駆動速度Vで駆動させながら、カメラ制御部21により、コントラスト検出方式による焦点評価値の算出を、所定の間隔で同時に行い、これにより、コントラスト検出方式による合焦位置の検出を、所定の間隔で実行する動作である。
【0097】
また、このスキャン動作においては、コントラスト検出方式により合焦位置を検出する際には、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ33をスキャン駆動させながら、所定のサンプリング間隔で、焦点評価値を算出し、算出した焦点評価値がピークとなるレンズ位置を、合焦位置として検出する。具体的には、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ33をスキャン駆動させることで、光学系による像面を光軸方向に移動させ、これにより、異なる像面において焦点評価値を算出し、これら焦点評価値がピークとなるレンズ位置を、合焦位置として検出する。しかしその一方で、像面の移動速度を速くし過ぎると、焦点評価値を算出する像面の間隔が大きくなり過ぎてしまい、合焦位置を適切に検出することができなくなってしまう場合がある。特に、フォーカスレンズ33の駆動量に対する像面の移動量を示す像面移動係数Kは、フォーカスレンズ33の光軸方向におけるレンズ位置に応じて変化するものであるため、フォーカスレンズ33を一定の速度で駆動させた場合でも、フォーカスレンズ33のレンズ位置によっては、像面の移動速度が速くなり過ぎてしまい、そのため、焦点評価値を算出する像面の間隔が大きくなり過ぎて、合焦位置を適切に検出することができなくなってしまう場合がある。
【0098】
そこで、本実施形態において、カメラ制御部21は、ステップS104で取得した最小像面移動係数K
minに基づいて、フォーカスレンズ33のスキャン駆動を行う際におけるスキャン駆動速度Vを算出する。カメラ制御部21は、最小像面移動係数K
minを用いて、コントラスト検出方式により合焦位置を適切に検出することができるような駆動速度であり、かつ、最大の駆動速度となるようにスキャン駆動速度Vを算出する。
【0099】
その一方で、本実施形態においては、たとえば、ブレ補正レンズ34の位置や、カメラ1の姿勢によっては、最小像面移動係数K
minに基づいてスキャン駆動速度Vを決定すると、必ずしも適切なスキャン駆動速度Vを算出できない場合があり、そのため、このような場合には、最小像面移動係数K
minに代えて、補正最小像面移動係数K
min_xを用いて、スキャン駆動速度Vの決定を行うこととする。特に、ブレ補正レンズ34の位置によっては、ブレ補正レンズ34が中心位置にある場合と比較して、レンズ鏡筒3に入射した光が、撮像素子22まで到達するまでの光路長が変化してしまうものであり、このような場合にも、光学的な誤差が生じる場合が考えられる。あるいは、カメラ1の姿勢によっては(特に、鉛直方向上向きの方向や、鉛直方向下向きの方向にカメラ1を向けた場合等)、各レンズ31,32,33,34,35の自重などにより、これらのメカ的な位置が若干ずれてしまい、これにより、光学的な誤差が生じる場合も考えられる。特に、レンズ鏡筒のレンズ構成や、大型のレンズ鏡筒である場合には、このような現象が生じてしまう場合も考えられる。そのため、本実施形態においては、このような場面を検出した場合には、最小像面移動係数K
minに代えて、補正最小像面移動係数K
min_xを用いて、スキャン駆動速度Vの決定を行うこととする。
【0100】
なお、たとえば、ブレ補正レンズ34の位置に応じて、最小像面移動係数K
minに代えて、補正最小像面移動係数K
min_xを用いるか否かを判定する場合には、ブレ補正レンズ34の位置のデータを、レンズ制御部37から取得し、取得したデータに基づき、ブレ補正レンズ34の駆動量が所定量以上である場合に、補正最小像面移動係数K
min_xを用いると判定することができる。あるいは、カメラ1の姿勢に応じて、最小像面移動係数K
minに代えて、補正最小像面移動係数K
min_xを用いるか否かを判定する場合には、不図示の姿勢センサの出力を取得し、取得したセンサ出力に基づき、カメラ1の向きが、水平方向に対して所定角度以上である場合に、補正最小像面移動係数K
min_xを用いると判定することができる。さらには、ブレ補正レンズ34の位置のデータおよび姿勢センサの出力の両方に基づいて、最小像面移動係数K
minに代えて、補正最小像面移動係数K
min_xを用いるか否かを判定してもよい。
【0101】
そして、ステップS108では、ステップS107で決定したスキャン駆動速度Vで、スキャン動作が開始される。具体的には、カメラ制御部21は、レンズ制御部37にスキャン駆動開始指令を送出し、レンズ制御部37は、カメラ制御部21からの指令に基づき、フォーカスレンズ駆動モータ331を駆動させ、フォーカスレンズ33を、ステップS107で決定したスキャン駆動速度Vでスキャン駆動させる。そして、カメラ制御部21は、スキャン駆動速度Vでフォーカスレンズ33を駆動させながら、所定間隔で、撮像素子22の撮像画素から画素出力の読み出しを行い、これに基づき、焦点評価値を算出し、これにより、異なるフォーカスレンズ位置における焦点評価値を取得することで、コントラスト検出方式により合焦位置の検出を行う。
【0102】
次に、ステップS109において、カメラ制御部21は焦点評価値のピーク値が検出できたか否か(合焦位置が検出できたか否か)を判断する。焦点評価値のピーク値が検出できなかったときはステップS108に戻り、焦点評価値のピーク値が検出できるか、あるいは、フォーカスレンズ33が所定の駆動端まで駆動するまで、ステップS108、S109の動作を繰り返し行う。一方、焦点評価値のピーク値が検出できたときはステップS109に進む。
【0103】
焦点評価値のピーク値が検出できたときはステップS110に進み、ステップS110では、カメラ制御部21は焦点評価値のピーク値に対応する位置に合焦駆動させるための指令をレンズ制御部37に送信する。レンズ制御部37は受信した指令に従ってフォーカスレンズ33の駆動制御を行う。
【0104】
次いで、ステップS111に進み、ステップS111では、カメラ制御部21はフォーカスレンズ33が焦点評価値のピーク値に対応する位置に到達した旨の判断を行い、撮影者によりシャッターレリーズボタンの全押し操作(第2スイッチSW2のオン)がされたとき静止画の撮影制御を行う。撮影制御が終了した後は、再びステップS104に戻る。
【0105】
一方、ステップS102において、レンズ鏡筒3が、所定の第1種別の通信形式に対応していないレンズであると判断した場合には、ステップS112に進み、ステップS112〜S120の処理を実行する。なお、ステップS112〜S120においては、カメラボディ2とレンズ鏡筒3との間におけるホットライン通信により、レンズ情報の送信を繰り返し実行する際に、レンズ情報として、最小像面移動係数K
min、および最大像面移動係数K
maxの情報を含まない情報の送信を行うようにする点(ステップS113)、および、スキャン動作におけるフォーカスレンズ33の駆動速度である、スキャン駆動速度Vを決定する際に、最小像面移動係数K
minまたは補正最小像面移動係数K
min_xに代えて、レンズ情報に含まれる現在位置像面移動係数K
curを用いる点(ステップS116)以外は、上述したステップS103〜S111と同様の処理が実行される。
【0106】
以上のように、本実施形態では、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に、最小の像面移動係数である最小像面移動係数K
minおよび最大の像面移動係数である最大像面移動係数K
maxを記憶させておき、レンズメモリ38に記憶された像面移動係数Kのうち、最小像面移動係数K
minを用いて、コントラスト検出方式により合焦位置を適切に検出することができるような駆動速度であり、かつ、最大の駆動速度となるようにスキャン駆動速度Vを算出するので、像面移動係数Kが最小値(たとえば、最小像面移動係数K
minと同一の値)となる位置にフォーカスレンズ33をスキャン駆動させた場合でも、焦点評価値の算出間隔(焦点評価値を算出する像面の間隔)を焦点検出に適した大きさとすることできる。そして、これにより、本実施形態によれば、フォーカスレンズ33を光軸方向に駆動させた際に、像面移動係数Kが変化していった結果、像面移動係数Kが小さくなった場合(たとえば、最小像面移動係数K
minとなった場合)でも、コントラスト検出方式による合焦位置の検出を適切に行うことができる。
【0107】
加えて、本実施形態によれば、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に、最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxに加えて、補正最小像面移動係数K
min_xおよび補正最大像面移動係数K
max_xを記憶させておき、所定の場面(たとえば、ブレ補正レンズ34が所定の位置にある場面や、カメラ1の姿勢が所定の状態にある場面)において、最小像面移動係数K
minに代えて、補正最小像面移動係数K
min_xを用いて、スキャン駆動速度Vを算出するため、スキャン駆動速度Vをより高い精度で決定することができ、これにより、コントラスト検出方式による合焦位置の検出をより適切に行うことができる。
【0108】
《第2実施形態》
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、
図1に示すカメラ1において、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に記憶させる最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxを、フォーカスレンズ33のレンズ位置に応じて、変動させたものとした以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有し、同様に動作し、かつ、同様の作用効果を奏するものである。
【0109】
上述したように、本実施形態のカメラ1においては、ブレ補正レンズ34の位置によっては、ブレ補正レンズ34が中心位置にある場合と比較して、レンズ鏡筒3に入射した光が、撮像素子22まで到達するまでの光路長が変化してしまうものであるが、このような傾向は、フォーカスレンズ33のレンズ位置によって、異なるものである。すなわち、ブレ補正レンズ34の位置が同じである場合であっても、フォーカスレンズ33のレンズ位置よっては、ブレ補正レンズ34が中心位置にある場合に対する、光路長の変化の度合が異なるものとなってしまう。これに対し、第2実施形態においては、最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxを、フォーカスレンズ33のレンズ位置に応じて、変動させたものとし、
図8に示すステップS107において、スキャン動作を行う際のスキャン駆動速度Vを決定する際に、このようなフォーカスレンズ33のレンズ位置に応じた最小像面移動係数K
minを用いて、スキャン駆動速度Vを決定するものである。そして、これにより、スキャン駆動速度Vをより適切に算出することができる。
【0110】
なお、第2実施形態において、フォーカスレンズ33のレンズ位置に応じた最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxとしては、たとえば、
図3に示すテーブルのように、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)およびフォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)と、最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxとの関係を示すテーブルを用いて求めることができる。あるいは、
図3に示すテーブルを用いて現在位置像面移動係数K
curを求め、現在位置像面移動係数K
curに所定の定数を乗じたり、あるいは、所定の定数を加減したりすることで、フォーカスレンズ33のレンズ位置に応じた最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxを求めることもできる。
【0111】
《第3実施形態》
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、
図1に示すカメラ1において、以下に説明するように動作する以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有するものである。
【0112】
すなわち、第3実施形態においては、上述した第1実施形態において、
図8に示すフローチャートにおいて、ステップS109で、コントラスト検出方式により合焦位置が検出できた場合に、ステップS110において、コントラスト検出方式の結果に基づいて合焦駆動を行う際に、ガタ詰め駆動を行うか否かを判断し、該判断に基づいて、合焦駆動を行う際におけるフォーカスレンズ33の駆動形式を異ならせることを特徴とするものであり、この点において、上述した第1実施形態と異なる以外は、同様である。
【0113】
すなわち、
図1に示すフォーカスレンズ33を駆動するためのフォーカスレンズ駆動モータ331は、通常、機械的な駆動伝達機構から構成され、このような駆動伝達機構は、たとえば、
図9に示すように、第1の駆動機構500および第2の駆動機構600からなり、第1の駆動機構500が駆動することにより、これに伴い、フォーカスレンズ33側の第2の駆動機構600を駆動させ、これにより、フォーカスレンズ33を、至近側あるいは無限遠側に移動させるような構成を備えている。そして、このような駆動機構においては、通常、歯車の噛み合わせ部の円滑な動作の観点より、ガタ量Gが設けられている。しかしその一方で、コントラスト検出方式においては、その機構上、
図10(A)、
図10(B)に示すように、フォーカスレンズ33は、スキャン動作により、一度、合焦位置を通り過ぎた後に、駆動方向を反転させ、合焦位置へと駆動させる必要がある。そして、この場合において、
図10(B)のようにガタ詰め駆動をしない場合には、フォーカスレンズ33のレンズ位置が、ガタ量Gだけ合焦位置からずれてしまうという特性がある。そのため、このようなガタ量Gの影響を除去するためには、
図10(A)に示すように、フォーカスレンズ33の合焦駆動を行う際に、一度、合焦位置を通り過ぎた後に、再度、駆動方向を反転させて合焦位置へと駆動させるガタ詰め駆動を行う必要が生じてくる。
【0114】
なお、
図10は、本実施形態に係るスキャン動作およびコントラスト検出方式に基づく合焦駆動を行った際における、フォーカスレンズ位置と焦点評価値との関係、およびフォーカスレンズ位置と時間との関係を示す図である。そして、
図10(A)は、時間t
0において、レンズ位置P0から、無限遠側から至近側に向けてフォーカスレンズ33のスキャン動作を開始した後、時間t
1において、フォーカスレンズ33がレンズ位置P1に移動させた時点において、焦点評価値のピーク位置(合焦位置)P2が検出されると、スキャン動作を停止し、ガタ詰め駆動を伴った合焦駆動を行うことで、時間t
2において、合焦位置までフォーカスレンズ33を駆動させる態様を示している。一方、
図10(B)は、同様に、時間t
0において、スキャン動作を開始した後、時間t
1において、スキャン動作を停止し、ガタ詰め駆動を伴わずに合焦駆動を行うことで、時間t
3において、合焦位置までフォーカスレンズ33を駆動させる態様を示している。
【0115】
以下に、第3実施形態における動作例を、
図11に示すフローチャートにしたがって、説明する。なお、以下の動作は、上述した
図8に示すフローチャートにおいて、ステップS109において、コントラスト検出方式により合焦位置が検出された際に、実行される。すなわち、
図10(A)、
図10(B)に示すように、時間t
0からスキャン動作を開始し、時間t
1において、フォーカスレンズ33がレンズ位置P1に移動させた時点において、焦点評価値のピーク位置(合焦位置)P2が検出された場合に、時間t
1の時点において実行される。
【0116】
すなわち、コントラスト検出方式により合焦位置が検出されると、まず、ステップS201において、カメラ制御部21により、ズームレンズ32の現在のレンズ位置における、最小像面移動係数K
minの取得が行われる。なお、最小像面移動係数K
minは、上述したカメラ制御部21とレンズ制御部37との間で行われているホットライン通信により、レンズ送受信部39およびカメラ送受信部21を介して、レンズ制御部37から取得することができる。
【0117】
次いで、ステップS202では、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ33の駆動伝達機構のガタ量G(
図9参照)の情報の取得が行われる。なお、フォーカスレンズ33の駆動伝達機構のガタ量Gは、たとえば、レンズ鏡筒3に備えられたレンズメモリ38に予め記憶させておき、これを参照することにより取得することができる。すなわち、具体的には、カメラ制御部21から、カメラ送受信部29およびレンズ送受信部38を介して、レンズ制御部37に対して、フォーカスレンズ33の駆動伝達機構のガタ量Gの送信要求を送出し、レンズ制御部37に、レンズメモリ38に記憶されたフォーカスレンズ33の駆動伝達機構のガタ量Gの情報を、送信させることにより取得することができる。あるいは、上述したカメラ制御部21とレンズ制御部37との間で行われているホットライン通信により送受信するレンズ情報に、レンズメモリ38に記憶されたフォーカスレンズ33の駆動伝達機構のガタ量Gの情報を含めるような態様とすることもできる。
【0118】
次いで、ステップS203では、カメラ制御部21により、上述したステップS201で取得した最小像面移動係数K
min、および上述したステップS202で取得したフォーカスレンズ33の駆動伝達機構のガタ量Gの情報に基づいて、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gを算出する。なお、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gは、ガタ量Gと同じ量だけフォーカスレンズを駆動させた場合における像面の移動量であり、本実施形態では、以下の式にしたがって算出する。
ガタ量Gに対応する像面移動量I
G=ガタ量G×最小像面移動係数K
min
【0119】
次いで、ステップS204では、カメラ制御部21により、上述したステップS203で算出したガタ量Gに対応する像面移動量I
Gと、所定像面移動量I
Pとを比較する処理が行われ、該比較の結果、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gが、所定像面移動量I
P以下であるか否か、すなわち、「ガタ量Gに対応する像面移動量I
G」≦「所定像面移動量I
P」が成立するか否かの判定が行われる。なお、所定像面移動量I
Pは、光学系の焦点深度に対応して設定され、通常、焦点深度に対応する像面移動量とされる。また、所定像面移動量I
Pは、光学系の焦点深度に設定されるものであるため、F値や撮像素子22のセルサイズや、撮影する画像のフォーマットに応じて適宜設定するような態様とすることができる。すなわち、F値が大きいほど、所定像面移動量I
Pを大きく設定することができる。あるいは、撮像素子22のセルサイズが大きいほど、または、画像フォーマットが小さいほど、所定像面移動量I
Pを大きく設定することができる。そして、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gが、所定像面移動量I
P以下である場合には、ステップS205に進む。一方、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gが、所定像面移動量I
Pよりも大きい場合には、ステップS206に進む。
【0120】
ステップS205においては、上述したステップS204において、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gが、所定像面移動量I
P以下であると判定されたため、この場合には、ガタ詰め駆動をしない場合でも、駆動後のフォーカスレンズ33のレンズ位置を、光学系の焦点深度内とすることができると判断し、合焦駆動時にガタ詰め駆動を行わないと決定し、該決定に基づき、ガタ詰め駆動を伴わずに合焦駆動を行う。すなわち、合焦駆動を行う際に、直接、合焦位置までフォーカスレンズ33を駆動させるとの決定を行い、該決定に基づき、
図10(B)に示すように、ガタ詰め駆動を伴わない合焦駆動を行う。
【0121】
一方、ステップS206においては、上述したステップS204において、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gが、所定像面移動量I
Pより大きいと判定されたため、この場合には、ガタ詰め駆動をしないと、駆動後のフォーカスレンズ33のレンズ位置を、光学系の焦点深度内とすることができないと判断し、合焦駆動時にガタ詰め駆動を行うと決定し、該決定に基づき、ガタ詰め駆動を伴った合焦駆動を行う。すなわち、フォーカスレンズ33を駆動させ、合焦駆動を行う際に、一度、合焦位置を通過させた後、再度、反転駆動させて、合焦位置まで駆動させるとの決定を行い、該決定に基づき、
図10(A)に示すように、ガタ詰め駆動を伴った合焦駆動を行う。
【0122】
第3実施形態においては、上述したように、最小像面移動係数K
min、およびフォーカスレンズ33の駆動伝達機構のガタ量Gの情報に基づいて、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gを算出し、算出されたガタ量Gに対応する像面移動量I
Gが、光学系の焦点深度に対応する所定像面移動量I
P以下であるか否かを判定することで、合焦駆動を行う際にガタ詰め駆動を実行するか否かの判定を行うガタ詰め制御を実行する。そして、該判定の結果、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gが、光学系の焦点深度に対応する所定像面移動量I
P以下であり、駆動後のフォーカスレンズ33のレンズ位置を、光学系の焦点深度内とすることができる場合には、ガタ詰め駆動を行わない一方で、ガタ量Gに対応する像面移動量I
Gが、光学系の焦点深度に対応する所定像面移動量I
Pより大きく、ガタ詰め駆動を行わないと、駆動後のフォーカスレンズ33のレンズ位置を、光学系の焦点深度内とすることができない場合には、ガタ詰め駆動を行うものである。そのため、本実施形態によれば、ガタ詰め駆動が必要無い場合に、ガタ詰め駆動を行わないことにより、合焦駆動に要する時間を短縮することが可能となり、これにより、合焦動作に係る時間を短縮することができる。また、その一方で、ガタ詰め駆動が必要な場合には、ガタ詰め駆動を行うことにより、合焦精度を良好なものとすることができる。
【0123】
特に、第3実施形態においては、最小像面移動係数K
minを用いて、フォーカスレンズ33の駆動伝達機構のガタ量Gに対応する像面移動量I
Gを算出し、これを、光学系の焦点深度に対応する所定像面移動量I
Pと比較することにより、合焦時のガタ詰め駆動の要否を適切に判断することが可能となる。
【0124】
なお、上述した第3実施形態に係るガタ詰め制御において、カメラ制御部21は、焦点距離、絞り、被写体距離に応じて、ガタ詰めの要否を判断してもよい。また、カメラ制御部21は、焦点距離、絞り、被写体距離に応じて、ガタ詰めの駆動量を変化させてもよい。たとえば、絞りを所定値よりも絞っている場合(F値が大きい場合)には、絞りを所定値よりも絞っていない場合(F値が小さい場合)よりも、ガタ詰めが不要である旨の判断、または、ガタ詰めの駆動量を小さくするように制御してもよい。さらに、例えば、ワイド側では、テレ側よりも、ガタ詰めが不要である旨の判断、または、ガタ詰めの駆動量を小さくするように制御してもよい。
【0125】
《第4実施形態》
次いで、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、
図1に示すカメラ1において、以下に説明するように動作する以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有するものである。
【0126】
すなわち、第4実施形態においては、以下に説明するクリップ動作(静音制御)を行うものである。第4実施形態では、コントラスト検出方式による探索制御において、フォーカスレンズ33の像面の移動速度が一定になるように制御する一方で、このようなコントラスト検出方式の探索制御において、フォーカスレンズ33の駆動音を抑制するためのクリップ動作を行うものである。ここで、第4実施形態で行うクリップ動作とは、フォーカスレンズ33の速度が遅くなり静音化の妨げになる場合にフォーカスレンズ33の速度を静音下限レンズ移動速度未満にならないようにクリップする動作である。
【0127】
第4実施形態では、後述するように、カメラ本体2のカメラ制御部21が、所定の係数(Kc)を用いて、予め定められた静音下限レンズ移動速度V0bとフォーカスレンズの駆動速度V1aとを比較することによりクリップ動作をすべきか否かを判断する。
【0128】
そして、カメラ制御部21によりクリップ動作が許可された場合、レンズ制御部37は、後述するフォーカスレンズ33の駆動速度V1aが静音下限レンズ移動速度V0b未満とならないように、フォーカスレンズ33の駆動速度を静音下限レンズ移動速度V0bで制限する。以下、
図12に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。ここで、
図12は、第4実施形態に係るクリップ動作(静音制御)を示すフローチャートである。
【0129】
ステップS301では、レンズ制御部37により、静音下限レンズ移動速度V0bの取得が行われる。静音下限レンズ移動速度V0bはレンズメモリ38に記憶されており、レンズ制御部37は、レンズメモリ38から静音下限レンズ移動速度V0bを取得することができる。
【0130】
ステップS302では、レンズ制御部37により、フォーカスレンズ33の駆動指示速度の取得が行われる。本実施形態では、コマンドデータ通信により、カメラ制御部21からレンズ制御部37に、フォーカスレンズ33の駆動指示速度が送信されており、これにより、レンズ制御部37は、カメラ制御部21からフォーカスレンズ33の駆動指示速度を取得することができる。
【0131】
ステップS303では、レンズ制御部37により、ステップS301で取得した静音下限レンズ移動速度V0bと、ステップS302で取得したフォーカスレンズ33の駆動指示速度との比較が行われる。具体的には、レンズ制御部37は、フォーカスレンズ33の駆動指示速度(単位:パルス/秒)が静音下限レンズ移動速度V0b(単位:パルス/秒)未満であるか否かを判断し、フォーカスレンズ33の駆動指示速度が静音下限レンズ移動速度未満である場合には、ステップS304に進み、一方、フォーカスレンズ33の駆動指示速度が静音下限レンズ移動速度V0b以上である場合には、ステップS305に進む。
【0132】
ステップS304では、カメラ本体2から送信されたフォーカスレンズ33の駆動指示速度が静音下限レンズ移動速度V0b未満であると判断されている。この場合、レンズ制御部37は、フォーカスレンズ33の駆動音を抑制するために、フォーカスレンズ33を静音下限レンズ移動速度V0bで駆動させる。このように、レンズ制御部37は、フォーカスレンズ33の駆動指示速度が静音下限レンズ移動速度V0b未満である場合に、フォーカスレンズ33のレンズ駆動速度V1aを静音下限レンズ移動速度V0bで制限する。
【0133】
一方、ステップS305では、カメラ本体2から送信されたフォーカスレンズ33の駆動指示速度が静音下限レンズ移動速度V0b以上であると判断されている。この場合、所定値以上のフォーカスレンズ33の駆動音は発生しない(あるいは、駆動音は極めて小さい)ため、レンズ制御部37は、フォーカスレンズ33を、カメラ本体2から送信されたフォーカスレンズ33の駆動指示速度で駆動させる。
【0134】
ここで、
図13は、フォーカスレンズ33のレンズ駆動速度V1aと、静音下限レンズ移動速度V0bとの関係を説明するためのグラフであり、縦軸をレンズ駆動速度、横軸を像面移動係数Kとしたグラフである。
図13において横軸に示すように、像面移動係数Kは、フォーカスレンズ33のレンズ位置に応じて変化するものであり、
図13に示す例においては、至近側ほど像面移動係数Kは小さくなり、無限遠側ほど像面移動係数Kが大きくなるような傾向となっている。これに対し、本実施形態においては、焦点検出動作実行時において、フォーカスレンズ33を駆動させる際には、像面の移動速度が一定となるような速度にて駆動させるため、そのため、
図13に示すように、フォーカスレンズ33の実際の駆動速度V1aは、フォーカスレンズ33のレンズ位置に応じて変化することとなる。すなわち、
図13に示す例においては、像面の移動速度が一定の速度となるようにフォーカスレンズ33を駆動させた場合、フォーカスレンズ33のレンズ移動速度V1aは至近側ほど遅くなり、無限遠側ほど速くなる。
【0135】
その一方で、
図13に示すように、フォーカスレンズ33を駆動させた場合に、このような場合における像面移動速度を示すと、
図15に示すように、一定なものとなる。なお、
図15は、フォーカスレンズ33の駆動による像面移動速度V1aと、静音下限像面移動速度V0b_maxとの関係を説明するためのグラフであり、縦軸を像面移動速度、横軸を像面移動係数Kとしたグラフである。また、
図13、
図15中においては、フォーカスレンズ33の実際の駆動速度およびフォーカスレンズ33の駆動による像面移動速度を、ともにV1aで表した。そのため、V1aは、
図13に示すように、グラフの縦軸がフォーカスレンズ33の実際の駆動速度である場合には可変(横軸と平行でない)となり、
図15に示すように、グラフの縦軸が像面移動速度である場合には、一定値(横軸と平行)となる。
【0136】
そして、像面の移動速度が一定の速度となるように、フォーカスレンズ33を駆動させた場合に、クリップ動作を行わないと、
図13に示す例のように、フォーカスレンズ33のレンズ駆動速度V1aが、静音下限レンズ移動速度V0b未満となる場合がある。たとえば、最小像面移動係数K
minが得られるフォーカスレンズ33の位置(
図13において最小像面移動係数K
min=100)において、レンズ移動速度V1aは、静音下限レンズ移動速度V0b未満となってしまう。
【0137】
特に、レンズ鏡筒3の焦点距離が長い場合や光環境が明るい場合に、フォーカスレンズ33のレンズ移動速度V1aが静音下限レンズ移動速度V0b未満となりやすい。このような場合、レンズ制御部37は、クリップ動作を行うことで、
図13に示すように、フォーカスレンズ33の駆動速度V1aを静音下限レンズ移動速度V0bで制限する(静音下限レンズ移動速度V0bよりも低速にならないように制御する)ことができ(ステップS304)、これにより、フォーカスレンズ33の駆動音を抑制することができる。
【0138】
次に、
図14を参照して、
図12に示すクリップ動作を許可するか、禁止するかを決定するクリップ動作制御処理を説明する。
図14は、本実施形態に係るクリップ動作制御処理を示すフローチャートである。なお、以下に説明するクリップ動作制御処理は、たとえばAF−Fモードや動画撮影モードが設定された際に、カメラ本体2により実行される。
【0139】
まず、ステップS401では、カメラ制御部21により、レンズ情報の取得が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、ホットライン通信により、現在像面移動係数K
cur、最小像面移動係数K
min、最大像面移動係数K
max、および静音下限レンズ移動速度V0bをレンズ鏡筒3から取得する。
【0140】
そして、ステップS402では、カメラ制御部21により、静音下限像面移動速度V0b_maxの算出が行われる。静音下限像面移動速度V0b_maxとは、最小像面移動係数K
minが得られるフォーカスレンズ33の位置において、フォーカスレンズ33を、上述した静音下限レンズ移動速度V0bにて駆動させた際における、像面の移動速度である。以下において、静音下限像面移動速度V0b_maxについて詳細に説明する。
【0141】
まず、
図13に示すように、フォーカスレンズ33の駆動により駆動音が発生するか否かは、フォーカスレンズ33の実際の駆動速度により決定されることとなり、そのため、
図13に示すように、静音下限レンズ移動速度V0bは、レンズ駆動速度で表した場合に、一定の速度となる。その一方で、このような静音下限レンズ移動速度V0bを、像面移動速度で示すと、上述したように、像面移動係数Kは、フォーカスレンズ33のレンズ位置に応じて変化するものであるため、
図15に示すように可変となる。なお、
図13、
図15中においては、静音下限レンズ移動速度(フォーカスレンズ33の実際の駆動速度の下限値)と、静音下限レンズ移動速度でフォーカスレンズ33を駆動させた場合の像面移動速度を、ともにV0bで表した。そのため、V0bは、
図13に示すように、グラフの縦軸がフォーカスレンズ33の実際の駆動速度である場合には一定値(横軸と平行)となり、
図15に示すように、グラフの縦軸が像面移動速度である場合には、可変(横軸と平行でない)となる。
【0142】
そして、本実施形態では、静音下限像面移動速度V0b_maxを、像面の移動速度が一定となるようにフォーカスレンズ33を駆動させた場合に、最小像面移動係数K
minが得られるフォーカスレンズ33の位置(
図15に示す例では、像面移動係数K=100)において、フォーカスレンズ33の移動速度が静音下限レンズ移動速度V0bとなる像面移動速度に設定する。すなわち、本実施形態では、静音下限レンズ移動速度にてフォーカスレンズ33を駆動させた際に、最大となる像面移動速度(
図15に示す例では、像面移動係数K=100における像面移動速度)を、静音下限像面移動速度V0b_maxとして設定する。
【0143】
このように、本実施形態では、フォーカスレンズ33のレンズ位置に応じて変化する、静音下限レンズ移動速度V0bに対応する像面移動速度のうち、最大の像面移動速度(像面移動係数が最小となるレンズ位置における像面移動速度)を、静音下限像面移動速度V0b_maxとして算出する。たとえば、
図15に示す例において、最小像面移動係数K
minが「100」であるため、像面移動係数が「100」となるフォーカスレンズ33のレンズ位置における像面移動速度を、静音下限像面移動速度V0b_maxとして算出する。
【0144】
具体的には、カメラ制御部21は、下記式に示すように、静音下限レンズ移動速度V0b(単位:パルス/秒)と最小像面移動係数K
min(単位:パルス/mm)とに基づいて、静音下限像面移動速度V0b_max(単位:mm/秒)を算出する。
静音下限像面移動速度V0b_max=静音下限レンズ移動速度(フォーカスレンズの実際の駆動速度)V0b/最小像面移動係数K
min
【0145】
このように、本実施形態では、最小像面移動係数K
minを用いて、静音下限像面移動速度V0b_maxを算出することで、AF−Fによる焦点検出や動画撮影を開始したタイミングで、静音下限像面移動速度V0b_maxを算出することができる。たとえば、
図15に示す例において、AF−Fによる焦点検出または動画撮影をタイミングt1’において開始した場合に、このタイミングt1’において、像面移動係数Kが「100」となるフォーカスレンズ33のレンズ位置における像面移動速度を、静音下限像面移動速度V0b_maxとして算出することができる。
【0146】
次いで、ステップS403では、カメラ制御部21により、ステップS401で取得した焦点検出用の像面移動速度V1aと、ステップS402で算出した静音下限像面移動速度V0b_maxとの比較が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、焦点検出用の像面移動速度V1a(単位:mm/秒)と静音下限像面移動速度V0b_max(単位:mm/秒)とが、下記式を満たすか否かを判断する。
(焦点検出用の像面移動速度V1a×Kc)>静音下限像面移動速度V0b_max
なお、上記式中、係数Kcは1以上の値(Kc≧1)であり、その詳細については後述する。
【0147】
上記式を満たす場合には、ステップS404に進み、カメラ制御部21により、
図12に示すクリップ動作が許可される。すなわち、フォーカスレンズ33の駆動音を抑制するために、
図13に示すように、フォーカスレンズ33の駆動速度V1aが静音下限レンズ移動速度V0bに制限される(フォーカスレンズ33の駆動速度V1aが静音下限レンズ移動速度V0bよりも低い速度にならないように探索制御が行われる。)。
【0148】
一方、上記式を満たさない場合には、ステップS405に進み、
図12に示すクリップ動作が禁止される。すなわち、フォーカスレンズ33の駆動速度V1aを静音下限レンズ移動速度V0bで制限せずに(フォーカスレンズ33の駆動速度V1aが静音下限レンズ移動速度V0bよりも低い速度となることを許容し)、合焦位置を適切に検出することができる像面移動速度V1aとなるように、フォーカスレンズ33を駆動させる。
【0149】
ここで、
図13に示すように、クリップ動作を許可して、フォーカスレンズ33の駆動速度を、静音下限レンズ移動速度V0bで制限してしまうと、像面移動係数Kが小さいレンズ位置において像面の移動速度が速くなってしまい、その結果、像面の移動速度が、合焦位置を適切に検出できる像面移動速度よりも速くなり、適切な合焦精度が得られない場合がある。一方、クリップ動作を禁止して、像面の移動速度が合焦位置を適切に検出できる像面移動速度となるように、フォーカスレンズ33を駆動させた場合には、
図13に示すように、フォーカスレンズ33の駆動速度V1aが静音下限レンズ移動速度V0b未満となり、所定値以上の駆動音が発生してしまう場合がある。
【0150】
このように、焦点検出用の像面移動速度V1aが静音下限像面移動速度V0b_max未満となる場合には、合焦位置を適切に検出できる像面移動速度V1aが得られるように、フォーカスレンズ33を静音下限レンズ移動速度V0b未満のレンズ駆動速度で駆動させるか、フォーカスレンズ33の駆動音を抑制するために、フォーカスレンズ33を静音下限レンズ移動速度V0b以上のレンズ駆動速度で駆動させるかが問題となる場合がある。
【0151】
これに対して、本実施形態では、上記式における係数Kcを、フォーカスレンズ33を静音下限レンズ移動速度V0bで駆動させた場合でも、上記式を満たす場合には、一定の焦点検出精度を確保できる1以上の値として記憶しておく。これにより、カメラ制御部21は、
図15に示すように、焦点検出用の像面移動速度V1aが静音下限像面移動速度V0b_max未満となる場合でも、上記式を満たす場合には、一定の焦点検出精度を確保できるものと判断し、フォーカスレンズ33の駆動音の抑制を優先して、フォーカスレンズ33を静音下限レンズ移動速度V0b未満のレンズ駆動速度で駆動させるクリップ動作を許可する。
【0152】
一方、仮に、焦点検出時の像面移動速度V1a×Kc(但し、Kc≧1)が静音下限像面移動速度V0b_max以下となる場合に、クリップ動作を許可し、フォーカスレンズ33の駆動速度を静音下限レンズ移動速度V0bで制限した場合には、焦点検出用の像面移動速度が速くなり過ぎてしまい、焦点検出精度を確保することができない場合がある。そのため、カメラ制御部21は、上記式を満たさない場合には、焦点検出精度を優先して、
図12に示すクリップ動作を禁止する。これにより、焦点検出時に、像面の移動速度を、合焦位置を適切に検出することができる像面移動速度V1aとすることができ、焦点検出を高い精度で行うことができる。
【0153】
なお、絞り値が大きい(絞り開口が小さい)場合には、被写界深度が深くなるため、合焦位置を適切に検出することができるサンプリング間隔は広くなる。その結果、合焦位置を適切に検出することができる像面移動速度V1aを速くすることができる。そのため、合焦位置を適切に検出することができる像面移動速度V1aが固定の値である場合には、カメラ制御部21は、絞り値が大きいほど、上記式の係数Kcを大きくすることができる。
【0154】
同様に、ライブビュー画像など画像サイズが小さい場合(画像の圧縮率が高い場合、あるいは画素データの間引き率が高い場合)には、高い焦点検出精度が要求されないため、上記式の係数Kcを大きくすることができる。また、撮像素子22における画素ピッチが広い場合なども、上記式の係数Kcを大きくすることができる。
【0155】
次に、
図16および
図17を参照して、クリップ動作の制御についてより詳細に説明する。
図16は、焦点検出時の像面の移動速度V1aと、クリップ動作との関係を示す図であり、
図17は、フォーカスレンズ33の実際のレンズ駆動速度V1aと、クリップ動作との関係を説明するための図である。
【0156】
たとえば、上述したように、本実施形態では、レリーズスイッチの半押しをトリガとして探索制御を開始する場合とレリーズスイッチの半押し以外の条件をトリガとして探索制御を開始する場合、静止画撮影モードと動画撮影モード、スポーツ撮影モードと風景撮影モード、あるいは、焦点距離、撮影距離、絞り値等に応じて、探索制御における像面の移動速度が異なる場合がある。
図16では、このような異なる3つの像面の移動速度V1a_1,V1a_2,V1a_3を例示している。
【0157】
具体的には、
図16に示す焦点検出時の像面移動速度V1a_1は、焦点状態を適切に検出できる像面の移動速度のうち最大の移動速度であり、上記式の関係を満たす像面の移動速度である。また、焦点検出時の像面移動速度V1a_2は、V1a_1よりも遅い像面の移動速度であるが、タイミングt1’において上記式の関係を満たす像面の移動速度である。一方、焦点検出時の像面移動速度V1a_3は、上記式の関係を満たさない像面の移動速度である。
【0158】
このように、
図16に示す例において、焦点検出時の像面の移動速度がV1a_1およびV1a_2である場合には、タイミングt1において上記式の関係を満たすため、
図16に示すクリップ動作が許可される。一方、焦点検出時の像面の移動速度がV1a_3である場合には、上記式の関係を満たさないため、
図12に示すクリップ動作は禁止される。
【0159】
この点について、
図17を参照して、具体的に説明する。なお、
図17は、
図16に示すグラフの縦軸を、像面移動速度からレンズ駆動速度に変更して示した図である。上述したように、フォーカスレンズ33のレンズ駆動速度V1a_1は、上記式(3)の関係を満たすため、クリップ動作が許可される。しかしながら、
図17に示すように、最小像面移動係数(K=100)が得られるレンズ位置においても、レンズ駆動速度V1a_1は静音下限レンズ移動速度V0b未満とはならないために、実際には、クリップ動作は行われない。
【0160】
また、フォーカスレンズ33のレンズ駆動速度V1a_2も、焦点検出の開始タイミングであるタイミングt1’において上記式の関係を満たすため、クリップ動作が許可される。
図17に示す例では、フォーカスレンズ33をレンズ駆動速度V1a_2で駆動させた場合に、像面移動係数KがK1となるレンズ位置において、レンズ駆動速度V1a_2が静音下限レンズ移動速度V0b未満となるため、K1よりも像面移動係数Kが小さいレンズ位置において、フォーカスレンズ33のレンズ駆動速度V1a_2が静音下限レンズ移動速度V0bで制限される。
【0161】
すなわち、フォーカスレンズ33のレンズ駆動速度V1a_2が静音下限レンズ移動速度V0b未満となるレンズ位置において、クリップ動作が行われ、これにより、焦点検出時の像面の移動速度V1a_2は、それまでの像面の移動速度(探索速度)とは異なる像面の移動速度で、焦点評価値の探索制御を行うこととなる。すなわち、
図16に示すように、像面移動係数がK1よりも小さくなるレンズ位置において、焦点検出時の像面の移動速度V1a_2が今までの一定の速度とは異なる速度となる。
【0162】
また、フォーカスレンズ33のレンズ駆動速度V1a_3は、上記式の関係を満たさないため、クリップ動作が禁止される。そのため、
図17に示す例では、フォーカスレンズ33をレンズ駆動速度V1a_3で駆動させた場合に、像面移動係数KがK2となるレンズ位置において、レンズ駆動速度V1a_3は静音下限レンズ移動速度V0b未満となるが、K2よりも小さい像面移動係数Kが得られるレンズ位置において、クリップ動作が行われず、焦点状態を適切に検出するために、フォーカスレンズ33の駆動速度V1a_3が静音下限レンズ移動速度V0b未満となってもクリップ動作が行われないこととなる。
【0163】
以上のように、第4実施形態では、静音下限レンズ移動速度V0bでフォーカスレンズ33を駆動させた場合における像面移動速度のうち、最大の像面移動速度を静音下限像面移動速度V0b_maxとして算出し、算出した静音下限像面移動速度V0b_maxと焦点検出時の像面の移動速度V1aとを比較する。そして、焦点検出時の像面の移動速度V1a×Kc(但し、Kc≧1)が静音下限像面移動速度V0b_maxよりも速い場合には、フォーカスレンズ33を静音下限レンズ移動速度V0bで駆動させた場合でも、一定以上の焦点検出精度が得られるものと判断し、
図12に示すクリップ動作を許可する。これにより、本実施形態では、焦点検出精度を確保しながら、フォーカスレンズ33の駆動音を抑制することができる。
【0164】
一方、焦点検出時の像面の移動速度V1a×Kc(但し、Kc≧1)が静音下限像面移動速度V0b_max以下となる場合に、フォーカスレンズ33の駆動速度V1aを静音下限レンズ移動速度V0bで制限した場合には、適切な焦点検出精度が得られない場合がある。そのため、本実施形態では、このような場合には、焦点検出に適した像面移動速度が得られるように、
図12に示すクリップ動作を禁止する。これにより、本実施形態では、焦点検出時に合焦位置を適切に検出することができる。
【0165】
また、本実施形態では、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に最小像面移動係数K
minを予め記憶しており、この最小像面移動係数K
minを用いて、静音下限像面移動速度V0b_maxを算出する。そのため、本実施形態では、たとえば、
図10に示すように、動画撮影やAF−Fモードによる焦点検出が開始された時刻t1のタイミングで、焦点検出用の像面移動速度V1a×Kc(但し、Kc≧1)が静音下限像面移動速度V0b_maxを超えるか否かを判断し、クリップ動作を行うか否かを判断することができる。このように、本実施形態では、現在位置像面移動係数K
curを用いて、クリップ動作を行うか否かを繰り返し判断するのではなく、最小像面移動係数K
minを用いて、動画撮影やAF−Fモードによる焦点検出が開始された最初のタイミングで、クリップ動作を行うか否かを判断することができるため、カメラ本体2の処理負荷を軽減することができる。
【0166】
なお、上述した実施形態においては、
図12に示すクリップ動作制御処理を、カメラ本体2において実行する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、
図7に示すクリップ動作制御処理を、レンズ鏡筒3において実行する構成としてもよい。
【0167】
また、上述した実施形態では、上記式に示すように、像面移動係数Kを、像面移動係数K=(フォーカスレンズ33の駆動量/像面の移動量)で算出する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、下記式に示すように算出する構成としてもよい。
像面移動係数K=(像面の移動量/フォーカスレンズ33の駆動量)
なお、この場合、カメラ制御部21は、静音下限像面移動速度V0b_maxを以下のように算出することができる。すなわち、カメラ制御部21は、下記式に示すように、静音下限レンズ移動速度V0b(単位:パルス/秒)と、ズームレンズ32の各レンズ位置(焦点距離)における像面移動係数Kのうち、最大となる値を示す最大像面移動係数K
max(単位:パルス/mm)とに基づいて、静音下限像面移動速度V0b_max(単位:mm/秒)を算出することができる。
静音下限像面移動速度V0b_max=静音下限レンズ移動速度V0b/最大像面移動係数K
max
【0168】
例えば、像面移動係数Kとして、「像面の移動量/フォーカスレンズ33の駆動量」で算出される値を採用した場合には、値(絶対値)が大きくなるほど、フォーカスレンズが所定値(例えば1mm)駆動した場合の像面の移動量が大きくなる。像面移動係数Kとして、「フォーカスレンズ33の駆動量/像面の移動量」で算出される値を採用した場合には、値(絶対値)が大きくなるほど、フォーカスレンズが所定値(例えば1mm)駆動した場合の像面の移動量が小さくなる。
【0169】
また、上述した実施形態に加えて、フォーカスレンズ33の駆動音を抑制する静音モードが設定されている場合に、上述したクリップ動作およびクリップ動作制御処理を実行し、静音モードが設定されていない場合には、上述したクリップ動作およびクリップ動作制御処理を実行しない構成としてもよい。また、静音モードが設定されている場合は、フォーカスレンズ33の駆動音の抑制を優先し、
図14に示すクリップ動作制御処理を行わずに、
図12に示すクリップ動作を常に行う構成としてもよい。
また、上述した実施例においては、像面移動係数K=(フォーカスレンズ33の駆動量/像面の移動量)として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、像面移動係数K=(像面の移動量/フォーカスレンズ33の駆動量)のように定義した場合、最大像面移動係数K
maxを用いて、上述した実施例と同様にクリップ動作等の制御をすることができる。
【0170】
《第5実施形態》
次いで、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態では、以下の点において異なる以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有するものである。
図18に、第5実施形態において用いられる、ズームレンズ32のレンズ位置(焦点距離)およびフォーカスレンズ33のレンズ位置(撮影距離)と、像面移動係数Kとの関係を示すテーブルを示す。5
【0171】
すなわち、第5実施形態においては、
図3に示す最も至近側の領域である「D1」よりも、さらに至近側の領域である「D0」、「X1」、「X2」領域が備えられている。また、同様に、
図3に示す最も無限遠側の領域である「D9」よりも、さらに無限遠側の領域である「D10」、「X3」、「X4」領域が備えられている。なお、以下においては、まず、このような、さらに至近側の領域である「D0」、「X1」、「X2」領域、さらに無限遠側の領域である「D10」、「X3」、「X4」領域について説明する。
【0172】
ここで、
図19に示すように、本実施形態においては、フォーカスレンズ33は、図中において一点鎖線で示す光軸L1上を、無限遠方向410および至近方向420に向けて移動可能に構成されている。無限遠方向410のメカ的な端点(機械的な端点)430および至近方向420のメカ的な端点440には不図示のストッパーが設けられ、フォーカスレンズ33の移動を制限する。すなわち、フォーカスレンズ33は無限遠方向410のメカ的な端点430から、至近方向420のメカ的な端点440まで移動可能に構成されている。
【0173】
ただし、レンズ制御部37が実際にフォーカスレンズ33を駆動させる範囲は、上述のメカ的な端点430からメカ的な端点440までの範囲より小さい。この移動範囲について具体的に述べると、レンズ制御部37は無限遠方向410のメカ的な端点430より内側に設けられた無限ソフトリミット位置450から、至近方向420のメカ的な端点440より内側に設けられた至近ソフトリミット位置460までの範囲でフォーカスレンズ33を駆動する。すなわちレンズ駆動部212は、フォーカスレンズ33を至近側の駆動限界の位置に対応する至近ソフトリミット位置460と無限遠側の駆動限界の位置に対応する無限ソフトリミット位置450との間で駆動する。
【0174】
無限ソフトリミット位置450は、無限合焦位置470より外側に設けられる。なお無限合焦位置470とは、レンズ31,32,33,34および絞り35を含む撮影光学系が合焦可能な最も無限遠側の位置に対応するフォーカスレンズ33の位置である。無限ソフトリミット位置450をこのような位置に設ける理由は、コントラスト検出方式による焦点検出を行う際に、無限合焦位置470に焦点評価値のピークが存在することがあるためである。すなわち、無限合焦位置470を無限ソフトリミット位置450に一致させてしまうと、無限合焦位置470に存在する焦点評価値のピークをピークとして認識することができないという問題があり、このような問題を避けるため、無限ソフトリミット位置450は、無限合焦位置470より外側に設けられる。同様に、至近ソフトリミット位置460は、至近合焦位置480より外側に設けられる。ここで至近合焦位置480とは、レンズ31,32,33,34および絞り35を含む撮影光学系が合焦可能な最も至近側の位置に対応するフォーカスレンズ33の位置である。
【0175】
そして、
図18に示す「D0」領域は、至近ソフトリミット位置460に対応する位置であり、「X1」、「X2」領域は、至近ソフトリミット位置よりも至近側の領域、例えば、至近方向420のメカ的な端点440に対応する位置、至近ソフトリミット位置と端点440との間の位置等である。また、
図18に示す「D10」領域は、無限ソフトリミット位置450に対応する位置であり、「X3」、「X4」領域は、無限ソフトリミット位置よりも無限側の領域、例えば、無限遠方向410のメカ的な端点430に対応する位置、無限ソフトリミット位置と端点430との間の位置等である。
【0176】
そして、本実施形態においては、これらの領域のうち、至近ソフトリミット位置460に対応する「D0」領域における像面移動係数「K10」、「K20」、・・・「K90」を、最小像面移動係数K
minに設定することができる。同様に、無限ソフトリミット位置450に対応する「D10」領域における像面移動係数「K110」、「K210」、・・・「K910」を、最大像面移動係数K
maxに設定することができる。
【0177】
なお、本実施形態においては、「X1」領域における像面移動係数「α11」、「α21」、・・・「α91」の値は、「D0」領域における像面移動係数「K10」、「K20」、・・・「K90」の値よりも小さい。同様に、「X2」領域における像面移動係数「α12」、「α22」、・・・「α92」の値は、「D0」領域における像面移動係数「K10」、「K20」、・・・「K90」の値よりも小さい。また、「X3」領域における像面移動係数「α13」、「α23」、・・・「α93」の値は、「D10」領域における像面移動係数「K110」、「K210」、・・・「K910」の値よりも大きい。「X4」領域における像面移動係数「α14」、「α24」、・・・「α94」の値は、「D10」領域における像面移動係数「K110」、「K210」、・・・「k910」の値よりも大きい。
【0178】
しかしその一方で、本実施形態においては、「D0」における像面移動係数K(「K10」、「K20」、・・・「K90」)が最小像面移動係数K
minに設定され、「D10」における像面移動係数K(「K110」、「K210」・・・「K910」)が最大像面移動係数K
maxに設定される。特に、「X1」、「X2」、「X3」、「X4」領域は、収差、メカ的機構等の事情により、フォーカスレンズ33を駆動させない、又は、フォーカスレンズ33を駆動させる必要が少ない領域である。このため、「X1」、「X2」、「X3」、「X4」領域に対応する像面移動係数「α11」、「α21」、・・・「α94」を最小像面移動係数K
minや最大像面移動係数K
maxに設定しても適切なオートフォーカス制御(例えば、フォーカスレンズの速度制御、静音制御、ガタ詰め制御等)に寄与しないからである。
【0179】
なお、本実施形態では、至近ソフトリミット位置460に対応する「D0」領域における像面移動係数を最小像面移動係数K
minに設定し、無限ソフトリミット位置450に対応する「D10」領域における像面移動係数を最大像面移動係数K
maxに設定したがこれに限定されるものではない。
【0180】
例えば、至近ソフトリミット位置よりも至近側の領域「X1」、「X2」、及び、無限ソフトリミット位置よりも無限側の領域「X3」、「X4」に対応する像面移動係数がレンズメモリ38に記憶されていても、コントラストAFの探索範囲(スキャン範囲)に含まれるフォーカスレンズの位置に対応する像面移動係数の中で最も小さい像面移動係数を最小像面移動係数K
minに設定し、コントラストAFの探索範囲に含まれるフォーカスレンズの位置に対応する像面移動係数の中で最も大きい像面移動係数を最大像面移動係数K
maxに設定してもよい。さらに、至近合焦位置480に対応する像面移動係数を最小像面移動係数K
minに設定し、無限合焦位置470に対応する像面移動係数を最大像面移動係数K
maxに設定してもよい。
【0181】
あるいは、本実施形態においては、フォーカスレンズ33を至近ソフトリミット位置460近傍に駆動させたときの像面移動係数Kが最小の値となるように像面移動係数Kが設定してもよい。すなわち、フォーカスレンズ33を至近ソフトリミット位置460から無限ソフトリミット位置450までの何れに移動したときよりも、至近ソフトリミット位置460近傍に駆動させたときの像面移動係数Kが最小の値となるように像面移動係数Kが設定してもよい。
同様に、フォーカスレンズ33を無限ソフトリミット位置450近傍に駆動させたときの像面移動係数Kが最大の値となるように像面移動係数Kが設定してもよい。すなわち、フォーカスレンズ33を至近ソフトリミット位置460から無限ソフトリミット位置450までの何れに移動したときよりも、無限ソフトリミット位置450近傍に駆動させたときの像面移動係数Kが最大の値となるように像面移動係数Kが設定してもよい。
【0182】
《第6実施形態》
次いで、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態では、以下の点において異なる以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有するものである。すなわち、上述した第1実施形態では、
図1に示すカメラ1において、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxを記憶しておき、最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxをカメラボディに送信する例を用いて説明した。これに対し、第6実施形態においては、レンズ制御部37が、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxを温度に応じて補正し、これをカメラボディ2に送信するものである。
【0183】
ここで、
図20は、最小像面移動係数K
minを温度に応じて補正する方法を説明するための図である。本実施形態においては、レンズ鏡筒3を、温度センサ(不図示)を備える構成とし、温度センサにより検出された温度により、
図20に示すように、最小像面移動係数K
minを補正するような構成とする。すなわち、本実施形態では、レンズメモリ38に記憶されている最小像面移動係数K
minを、常温(25℃)における最小像面移動係数K
minとし、たとえば、
図20ン示すように、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
minが「100」という値であった場合、温度センサによりレンズ鏡筒の温度が常温(25℃)であることが検出されたときレンズ制御部37はカメラボディ2に最小像面移動係数K
min「100」を送信する。一方、温度センサによりレンズ鏡筒の温度が50℃であることが検出された場合には、レンズ制御部37は、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
min「100」を補正して最小像面移動係数K
min「102」をカメラボディに送信する。同様に、温度センサによりレンズ鏡筒3の温度が80℃であることが検出された場合には、レンズ制御部37は、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
min「100」を補正して最小像面移動係数K
min「104」をカメラボディに送信する。
【0184】
なお、上記においては、最小像面移動係数K
minを例示して説明したが、最大像面移動係数K
maxについても、最小像面移動係数K
minと同様にレンズ鏡筒3の温度に応じた補正を行うことができる。
【0185】
第6実施形態によれば、レンズ鏡筒3の温度に応じて変化する最小像面移動係数K
minをカメラボディに送信するので、レンズ鏡筒3の温度に応じて変化した最小像面移動係数K
minを用いて、レンズ鏡筒3の温度が変化したときでも適切なオートフォーカス制御(例えば、フォーカスレンズの速度制御、静音制御、ガタ詰め制御等)が実現できる、という作用効果を奏するものである。
【0186】
《第7実施形態》
次いで、本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態では、以下の点において異なる以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有するものである。すなわち、第7実施形態においては、レンズ制御部37が、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxをレンズ鏡筒3の駆動時間に応じて補正し、これをカメラボディ2に送信するものである。
【0187】
ここで、
図21は、最小像面移動係数K
minをレンズ鏡筒3の駆動時間に応じて補正する方法を説明するための図である。本実施形態においては、レンズ鏡筒3を、タイマ(図示せず)を備える構成とし、タイマにより計時されたレンズ鏡筒3の駆動時間により、
図21に示すように、最小像面移動係数K
minを補正するような構成とする。通常、レンズ鏡筒3を長時間駆動するとレンズ鏡筒3を駆動するモータ等の発熱によりレンズ鏡筒3の温度が上昇するので、レンズ鏡筒3の駆動時間(撮影時間、カメラの電源がONしている時間等)に応じてレンズ鏡筒の温度が上昇する。このため、第7実施形態では、レンズ鏡筒3の駆動時間に応じて最小像面移動係数K
minを補正するものである。
【0188】
たとえば、
図21において、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
minが「100」という値であった場合、レンズ鏡筒3に備えらえたタイマによりレンズ鏡筒3の駆動時間が1時間未満であることが検出されたときレンズ制御部37はカメラボディに最小像面移動係数K
min「100」を送信する。一方、レンズ鏡筒3のタイマによりレンズ鏡筒3の駆動時間が1時間以上かつ2時間未満であることが検出されたときレンズ制御部37は、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
min「100」を補正して最小像面移動係数K
min「102」をカメラボディに送信する。同様に、レンズ鏡筒3のタイマによりレンズ鏡筒3の駆動時間が2時間以上かつ3時間未満であることが検出されたときレンズ制御部37は、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
min「100」を補正して最小像面移動係数K
min「104」をカメラボディに送信する。
【0189】
なお、上記においては、最小像面移動係数K
minを例示して説明したが、最大像面移動係数K
maxについても、最小像面移動係数K
minと同様にレンズ鏡筒3の駆動時間に応じた補正を行うことができる。
【0190】
第7実施形態によれば、レンズ鏡筒3の温度をレンズ鏡筒3の駆動時間により検出し、レンズ鏡筒3の温度に応じて変化する最小像面移動係数K
minをカメラボディに送信するので、レンズ鏡筒の温度に応じて変化した最小像面移動係数K
minを用いて、レンズ鏡筒の温度が変化したときでも適切なオートフォーカス制御(例えば、フォーカスレンズの速度制御、静音制御、ガタ詰め制御等)が実現できる、という作用効果を奏するものである。
【0191】
《第8実施形態》
次いで、本発明の第8実施形態について説明する。第8実施形態では、以下の点において異なる以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有するものである。すなわち、上述した第1実施形態では、
図1に示すカメラ1において、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxを記憶しておき、最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxをカメラボディに送信する例を用いて説明した。これに対し、第8実施形態では、レンズ制御部37は、現在位置像面移動係数K
curに所定の演算を施すことで最大所定係数K0
max及び最小所定係数K0
minを演算し、最大像面移動係数K
max、および、最小像面移動係数K
minの代わりに、最大所定係数K0
maxおよび最小所定係数K0
minをカメラボディ2に送信する。カメラボディ2がフォーカスレンズ33のレンズ位置に応じた最適な制御(例えば、フォーカスレンズの速度制御、静音制御、ガタ詰め制御等)を行うためである。
【0192】
ここで、
図22は、最大所定係数K0
maxおよび最小所定係数K0
minを説明する図である。
図22に示すように、フォーカスレンズ33が至近側位置「D1」から無限遠側位置「D9」に変化するとき、現在位置像面移動係数K
curは、100、120・・・600に変化するものとする。
【0193】
そして、第8実施形態において、
図22中、Aの例に示すように、現在位置像面移動係数K
curに所定の値を加算することにより最小所定係数K0
minを演算する構成するとすることができる。
図22のAの例において、レンズ制御部37は、たとえば、演算式(最小所定係数K0
min=現在位置像面移動係数Kc
ur+20)を用いて最小所定係数K0
minを演算し、これをカメラボディ2に送信する。なお、最大像面移動係数K
maxについても最小所定係数K0
minと同様に加算演算により求めることができる。
【0194】
あるいは、
図22中、Bの例は、現在位置像面移動係数K
curに所定の値を減算することにより最小所定係数K0
minを演算する構成するとすることができる。
図22のBの例において、レンズ制御部37は、たとえば、演算式(最小所定係数K0
min=現在位置像面移動係数K
cur−20)を用いて最小所定係数K0
minを演算し、これをカメラボディ2に送信する。なお、最大像面移動係数K
maxについても最小所定係数K0
minと同様に減算演算により求めることができる。
【0195】
さらに、
図22中、Cの例は、フォーカスレンズ33の移動方向に応じて現在位置像面移動係数Kcurに所定の値を加算又は減算することにより最小所定係数K0
minを演算する実施例である。
図22のCの例において、レンズ制御部37は、フォーカスレンズ33が無限遠側に移動するとき演算式(最小所定係数K0
min=現在位置像面移動係数K
cur+20)を用いて最小所定係数K0
minを演算し、これをカメラボディ2に送信する。反対に、フォーカスレンズ33が至近側に移動するとき演算式(最小所定係数K0
min=現在位置像面移動係数K
cur−20)を用いて最小所定係数K0
minを演算し、これをカメラボディ2に送信する。最大像面移動係数K
maxについても最小所定係数K0
minと同様に加算又は減算により求めることができる。
【0196】
また、
図22のDの例は、現在位置像面移動係数K
curに所定の値を積算することにより最小所定係数K0
minを演算する実施例である。
図22のDの例において、レンズ制御部37は、演算式(最小所定係数K0
min=現在位置像面移動係数K
cur×1.1)を用いて最小所定係数K0
minを演算し、これをカメラボディ2に送信する。最大像面移動係数K
maxについても最小所定係数K0
minと同様に積算演算により求めることができる。
【0197】
なお、
図22に示したA〜Dの例では、第1係数(最小所定係数K0
min)の近傍の値を有する第2係数(最小所定係数K0
min)を用いてガタ詰めの要否判断を行うことができる。例えば、Aの例では、フォーカスレンズの位置が領域D9にあるとき、第1係数(最小所定係数K0
min)「600」の近傍の値を有する第2係数(最小所定係数K0
min)「620」を用いてガタ詰めの要否判断を行うことができる。このため、たとえば、領域D9の近傍のみを探索するモード(ソフトリミットの全範囲ではなく、ソフトリミット内の一部のみを探索するモード)では、合焦位置の像面移動係数に近い像面移動係数を用いてガタ詰めの要否判断を行うことができる。
【0198】
《第9実施形態》
次いで、本発明の第9実施形態について説明する。第9実施形態では、以下の点において異なる以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有するものである。すなわち、上述した第1実施形態では、
図1に示すカメラ1において、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxを記憶しておき、最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxをカメラボディに送信する例を用いて説明した。これに対し、第9実施形態では、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38には、補正係数K6、K7が記憶されており、レンズ制御部37がレンズメモリ38に記憶された補正係数K6、K7を用いて、最小像面移動係数K
minおよび最大像面移動係数K
maxを補正してカメラボディに送信する点が相違する。
【0199】
図23は、レンズ鏡筒3の製造ばらつきの一例を示す図である。たとえば、本実施形態において、レンズ鏡筒3は、光学系の設計及びメカ機構の設計段階において、最小像面移動係数K
minが「100」に設定され、レンズメモリ38には最小像面移動係数K
min「100」が記憶されている。しかし、レンズ鏡筒3の量産工程においては、量産時の製造誤差等により製造ばらつきが生じ、最小像面移動係数K
minが
図23に示すような正規分布を示すこととなる。
【0200】
そのため、本実施形態では、レンズ鏡筒3の量産工程における最小像面移動係数K
minの正規分布から補正係数K6=「+1」を求め、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に補正係数K6として「+1」を記憶させている。そして、レンズ制御部37は、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
min(「100」)と、補正係数K6(「+1」)とを用いて、最小像面移動係数K
minを補正(100+1=101)し、補正後の最小像面移動係数K
min(「101」)をカメラボディ2に送信する。
【0201】
また、例えば、光学系の設計及びメカ機構の設計段階において、最大像面移動係数K
maxが「1000」に設定され、レンズメモリ38には最大像面移動係数K
max「1000」が記憶されている。量産工程における最大像面移動係数K
maxが正規分布に従って分布しており、正規分布に従って分布した最大像面移動係数K
maxの平均が「990」だった場合、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38には補正係数K7として「−10」が記憶される。そして、レンズ制御部37は、レンズメモリ38に記憶された最大像面移動係数K
max(「1000」)と、補正係数K7(「−10」)とを用いて、最大像面移動係数K
maxを補正(1000−10=990)し、補正後の最大像面移動係数K
max(「990」)をカメラボディ2に送信する。
【0202】
なお、上述した最小像面移動係数K
min「100」、最大像面移動係数K
max「1000」、補正係数K6「+1」、補正係数K7「−10」の各値は例示であり、任意の値を設定できることは言うまでもない。また、最小像面移動係数K
min及び最大像面移動係数K
maxの補正は、加減算に限定されるものではなく、積算、除算等の種々の演算を組合せることができることも言うまでもない。
【0203】
《第10実施形態》
次いで、本発明の第10実施形態について説明する。第10実施形態では、以下の点において異なる以外は、上述した第3実施形態と同様の構成を有するものである。すなわち、第10実施形態においては、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に補正係数K8が記憶されており、レンズ制御部37がレンズメモリ38に記憶された補正係数K8を用いて、最小像面移動係数K
minを補正してカメラボディ2に送信し、レンズ制御部37及びカメラ制御部21は補正された最小像面移動係数K
minを用いてガタ詰め制御を行う点において、上述の第3実施形態と異なる以外は、同様の構成を有するものである。
【0204】
すなわち、上述したように、第3実施形態では、レンズ制御部37がカメラ制御部21に最小像面移動係数K
min及びガタ量Gを送信し(
図11のステップS201、S202参照)、カメラ制御部21は最小像面移動係数K
min及びガタ量Gを用いて像面移動量I
Gを算出する。そして、「像面移動量I
G」≦「所定像面移動量I
P」が成立するとき、ガタ詰め「不要」と判断し合焦駆動時にガタ詰め駆動を行わない制御を行い、「像面移動量I
G」>「所定像面移動量I
P」が成立するとき、ガタ詰め「要」と判断し合焦駆動時にガタ詰め駆動を行う制御を行っている。
【0205】
しかし一方で、レンズ鏡筒3の量産時の製造誤差等により最小像面移動係数K
minがばらついた場合(
図23参照)、又は、レンズ鏡筒3のメカ機構の経時変化(レンズを駆動する歯車の磨耗、レンズを保持する部材の磨耗等)により最小像面移動係数K
minが変化した場合、好適なガタ詰め駆動ができなくなるおそれがある。そのため、本実施形態では、最小像面移動係数K
minのばらつきや変化を考慮した補正係数K8をレンズメモリ38に記憶させ、レンズ制御部37は補正係数K8を用いて、最小像面移動係数K
minが補正前よりも大きな値になるように補正してカメラボディ2に送信するものである。
【0206】
たとえば、本実施形態において、最小像面移動係数K
minとして「100」という値、補正係数K8として「1.1」という値がレンズメモリ38に記憶されている場合、レンズ制御部37は、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
min(「100」)と、補正係数K8(「1.1」)とを用いて、最小像面移動係数K
minを補正(100×1.1=110)し、補正後の最小像面移動係数K
min(「110」)をカメラボディ2に送信する。そして、カメラ制御部21は補正された最小像面移動係数K
min(「110」)及びガタ量Gを用いて像面移動量I
Gを算出し、「像面移動量I
G」≦「所定像面移動量I
P」が成立するとき、ガタ詰め「不要」と判断し合焦駆動時にガタ詰め駆動を行わない制御を行い、「像面移動量I
G」>「所定像面移動量I
P」が成立するとき、ガタ詰め「要」と判断し合焦駆動時にガタ詰め駆動を行う制御を行う。
【0207】
このように、本実施形態では、補正係数K8を用いることにより、補正前の最小像面移動係数K
min(「100」)よりも大きい最小像面移動係数K
min(「110」)を用いてガタ詰めの要否判断を行う。このため、補正前の最小像面移動係数K
min(「100」)を用いた場合よりもガタ詰め「不要」との判断がされ易くなり、製造誤差、経時変化等により最小像面移動係数K
minが変化した場合でも、過剰なガタ詰め駆動を抑えることができ、コントラストAFの高速化を図ることができる。また、スルー画の見栄え向上を図ることができる。
【0208】
たとえば、製造誤差、経時変化等を考慮して、補正係数K8は、下記条件式を満たすように設定することが好ましい。
補正前の最小像面移動係数K
min×1.2 ≧ 補正後の最小像面移動係数K
min > 補正前の最小像面移動係数K
min
また、補正係数K8は、例えば、下記条件式を満たすように設定することができる。
1.2 ≧ K8 > 1
さらに、本実施形態では、最小像面移動係数K
minを補正するための補正係数K8と同様に、最大像面移動係数K
maxを補正するための補正係数K9がレンズメモリ38に記憶され、レンズ制御部37は補正係数K9を用いて、最大像面移動係数K
maxを補正してカメラボディ2に送信するが詳細な説明は省略する。
【0209】
《第11実施形態》
次いで、本発明の第11実施形態について説明する。第11実施形態では、以下の点において異なる以外は、上述した第4実施形態と同様の構成を有するものである。すなわち、上述した第4実施形態では、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
minを用いて静音制御(クリップ動作)を行う例を説明した。これに対し、第11実施形態においては、レンズ鏡筒3のレンズメモリ38に補正係数K10が記憶されており、レンズ制御部37がレンズメモリ38に記憶された補正係数K10を用いて、最小像面移動係数K
minを補正してカメラボディに送信し、レンズ制御部37及びカメラ制御部21は補正された最小像面移動係数K
minを用いて静音制御を行うものであり、この点において上述した第4実施形態と相違する。
【0210】
上述したように、第4実施形態では、レンズ制御部37がカメラ制御部21に現在像面移動係数K
cur、最小像面移動係数K
min、最大像面移動係数K
max、および静音下限レンズ移動速度V0bを送信し(
図14のステップS401参照)、カメラ制御部21は静音下限像面移動速度V0b_maxを演算する(
図14のステップS402参照)。そして、カメラ制御部21は、焦点検出用の像面移動速度V1a×Kc > 静音下限像面移動速度V0b_maxが成立するときクリップ動作「許可」と判断し、焦点検出用の像面移動速度V1a×Kc < 静音下限像面移動速度V0b_maxが成立するときクリップ動作「禁止」と判断する。
【0211】
しかしながら、レンズ鏡筒3の量産時の製造誤差(
図23参照)等により最小像面移動係数K
minがばらついた場合、又は、レンズ鏡筒3のメカ機構の経時変化(レンズを駆動する歯車の磨耗、レンズを保持する部材の磨耗等)により最小像面移動係数K
minが変化した場合、好適な静音制御(クリップ動作)ができなくなるおそれがある。このため、本実施形態では、最小像面移動係数K
minのばらつきや変化を考慮した補正係数K10をレンズメモリ38に記憶させている。レンズ制御部37は補正係数K10を用いて、最小像面移動係数K
minが補正前よりも小さな値になるように補正してカメラボディに送信する。
【0212】
例えば、本実施形態において、最小像面移動係数K
minとして「100」という値、補正係数K10として「1.1」という値がレンズメモリ38に記憶されている場合、レンズ制御部37は、レンズメモリ38に記憶された最小像面移動係数K
min(「100」)と、補正係数K10(「1.1」)とを用いて、最小像面移動係数K
minを補正(100×1.1=110)し、補正後の最小像面移動係数K
min(「110」)をカメラボディ2に送信する。そして、カメラ制御部21は補正された最小像面移動係数K
min(「110」)を用いて、焦点検出用の像面移動速度V1a×Kc < 静音下限像面移動速度V0b_maxが成立するか否かを判断する。
【0213】
本実施形態では、補正係数K10を用いることにより、補正前の最小像面移動係数K
min(「100」)よりも大きい最小像面移動係数K
min(「110」)を用いて焦点検出用の像面移動速度V1a×Kc < 静音下限像面移動速度V0b_maxが成立するか否かを判断するので、補正前の最小像面移動係数K
min(「100」)を用いた場合よりもクリップ動作「禁止」の判断がされ難くなる。このため、製造誤差、経時変化等により最小像面移動係数K
minが変化した場合でも、確実なクリップ動作が抑制され、確実に静音制御を実現することができる、という格別の効果を奏する。
【0214】
例えば、製造誤差、経時変化等を考慮して、補正係数K10は、下記条件式を満たすように設定することが好ましい。
補正前の最小像面移動係数Kmin×1.2 ≧ 補正後の最小像面移動係数Kmin > 補正前の最小像面移動係数Kmin
また、補正係数K10は、例えば、下記条件式を満たすように設定することができる。
1.2 ≧ K10 > 1
【0215】
また、本実施形態では、最小像面移動係数K
minを補正するための補正係数K10と同様に、最大像面移動係数K
maxを補正するための補正係数K11がレンズメモリ38に記憶され、レンズ制御部37は補正係数K11を用いて、最大像面移動係数K
maxを補正してカメラボディ2に送信するが詳細な説明は省略する。
【0216】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。また、上述した各実施形態は、適宜組み合わせて用いることもできる。
【0217】
たとえば、上述した第1実施形態では、最小像面移動係数K
minおよび補正最小像面移動係数K
min_xをカメラ制御部21に送信する際に、これらを交互に送信する態様を例示したが、このような態様に特に限定されるものではない。たとえば、最小像面移動係数K
minを2回連続で送信し、次いで、補正最小像面移動係数K
min_xを2回連続で送信するという動作を繰り返すような態様とすることもできるし、あるいは、最小像面移動係数K
minを2回連続で送信し、次いで、補正最小像面移動係数K
min_xを1回送信するという動作を繰り返すような態様とすることもできる。また、この場合において、最大像面移動係数K
maxおよび補正最大像面移動係数K
max_xも同様とすることができる。
【0218】
また、上述した第1実施形態において、補正最小像面移動係数K
min_xをたとえば、2以上有する態様とする場合には、最小像面移動係数K
minおよび2以上の補正最小像面移動係数K
min_xをカメラ制御部21に送信する際には、最小像面移動係数K
minを送信し、次いで、2以上の補正最小像面移動係数K
min_xを順次送信するという動作を繰り返し行えばよい。
【0219】
さらに、上述した実施形態では、手ブレ補正用の機構として、レンズ鏡筒3にブレ補正レンズ34を備える構成を例示したが、撮像素子22を光軸L1と直交する方向に移動可能な構成として、これにより、手ブレ補正を行うような構成としてもよい。
【0220】
≪第12実施形態≫
以下、本発明の第12実施形態を図面に基づいて説明する。
図25は、第12実施形態に係るカメラ1を示すブロック図である。下記の説明において、上述した実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0221】
本実施形態のカメラ1は、
図25に示すように、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とから構成される。
【0222】
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213,214、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0223】
フォーカスレンズ213(以下の説明では、フォーカスレンズ33と称することがある)は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って駆動可能に設けられ、フォーカスレンズ用エンコーダ261によってその位置が検出されつつ、フォーカスレンズ駆動モータ231によってその位置が調節される。
【0224】
このフォーカスレンズ213の光軸L1に沿う駆動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒200に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ213を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ231によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ213が光軸L1に沿って直進駆動することになる。なお、レンズ鏡筒200にはフォーカスレンズ213以外のレンズ211,212,214が設けられているが、ここではフォーカスレンズ213を例に挙げて本実施形態を説明する。
【0225】
上述したようにレンズ鏡筒200に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ213は光軸L1方向に直進駆動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ231がレンズ鏡筒200に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ231と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ231の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ213が光軸L1の何れかの方向へ直進駆動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ231の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ213は光軸L1の逆方向へ直進駆動することになる。
【0226】
フォーカスレンズ213の位置はフォーカスレンズ用エンコーダ261によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ213の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒200に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0227】
本実施形態のフォーカスレンズ用エンコーダ261としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の駆動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0228】
フォーカスレンズ213は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ100側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に駆動することができる。ちなみに、フォーカスレンズ用エンコーダ261で検出されたフォーカスレンズ213の現在位置情報は、レンズ制御部250を介して後述するカメラ制御部170へ送出される。そして、フォーカスレンズ213の位置情報に基づいて算出されたフォーカスレンズ213の駆動量が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して送出され、これに基づいて、フォーカスレンズ駆動モータ231は駆動する。
【0229】
また、本実施形態において、レンズ制御部250は、カメラ制御部170の指示により、フォーカスレンズ213を所定のレンズ駆動速度(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)で駆動させるため、レンズ駆動速度に応じた駆動パルス信号を、フォーカスレンズ駆動モータ231に送信する。また、レンズ制御部250は、レンズ制御部250が備えるメモリ(不図示)に、フォーカスレンズ213が駆動可能な速度のうち最大の速度である最大駆動速度を記憶している。
【0230】
ズームレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、ズームレンズ用エンコーダ260によってその位置が検出されつつ、ズームレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。ズームレンズ212の位置は、例えば、撮影者によりレンズ鏡筒200のズーム環(不図示)が回されることによって変化し、それに応じて光学系の焦点距離が変わることとなる。そして、ズームレンズ用エンコーダ230で検出されたズームレンズ212の位置情報は、レンズ制御部250へ送信される。なお、ズームレンズ212の移動機構は、上述のフォーカスレンズ213の移動機構と同様とすればよく、さらに、ズームレンズ用エンコーダ260も、上述のフォーカスレンズ用エンコーダ261と同様のものを用いることができる。
【0231】
絞り220は、光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して絞り駆動部240に送出されることにより行われる。また、カメラボディ100に設けられた操作部150を介したマニュアル操作により設定された開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250に入力される。絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
【0232】
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および位相差式AF検出モジュール160へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮像位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回動に合わせて回転するサブミラー122とを備える。
図25においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮像位置にある状態を二点鎖線で示す。
【0233】
ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮像位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0234】
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137に導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を、固定ミラー140を介して、位相差式AF検出モジュール160へ導く。
【0235】
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ137および位相差式AF検出モジュール160へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ213の焦点状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタンを全押しするとミラー系120が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データを図示しないメモリに保存する。
【0236】
クイックリターンミラー121で反射された被写体からの光束(光軸L2)は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0237】
測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮像画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。測光センサ137で検出された信号はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御に用いられる。
【0238】
一方、カメラボディ100には、被写体からの光束を受光する撮像素子110が、光軸L1上であって、撮影光学系の予定焦点面に設けられている。撮像素子110は二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどのデバイスから構成され、受光した光信号を画像信号に変換する。撮像素子110により出力された画像信号は、カメラ制御部170に送信され、画像データに変換されてメモリに保存される。また、本実施形態において、撮像素子110により出力された画像信号は、カメラ制御部170に送信され、コントラスト方式の焦点検出、およびスルー画像の出力に用いられる。なお、図示していないが、撮像素子110の撮像面の前方には、赤外光をカットするための赤外線カットフィルタ、および画像の折り返しノイズを防止するための光学的ローパスフィルタが配置されている。
【0239】
位相差式AF検出モジュール160は、一対の開口が形成された絞りマスク(不図示)、および一対のラインセンサ(不図示)を有する。位相差式AF検出モジュール160は、光学系からの光束を、一対の絞りマスクにより分割した後、一対のラインセンサに結像させる。そして、位相差式AF検出モジュール160は、ラインセンサに再結像された像の像ズレ量を求め、この像ズレ量に基づいて、デフォーカス量を算出する。そして、デフォーカス量に応じたフォーカスレンズ213の駆動量が、カメラ制御部170を介して、レンズ制御部250に送信され、フォーカスレンズ駆動モータ231が駆動する。
【0240】
カメラ制御部170は、メモリ、CPUその他の周辺部品から構成され、撮像素子110から送信された画像信号を取得する。そして、カメラ制御部170は、撮像素子110から送信された画像信号に基づいて、スルー画像および撮像画像の生成を行う。また、第12実施形態では、カメラ制御部170は、撮像素子110から送信された画像信号に基づいて、焦点検出を行うためのサーチ動作を実行する。サーチ動作は、焦点調節可能範囲において、フォーカスレンズ213を所定のサーチ速度(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)で駆動させることにより、複数の像面において取得した画像信号に基づいて、複数の像面における焦点評価値を算出し、算出した焦点評価値に基づいて、合焦位置を検出する一連の処理である。さらに、第12実施形態では、カメラ制御部170は、このサーチ動作において、後述するように、フォーカスレンズ213の最大駆動速度を、レンズ制御部250から取得するとともに、サーチ動作のサーチ速度(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)を算出し、フォーカスレンズ213の最大駆動速度と、サーチ動作のサーチ速度とを比較することで、該比較結果に基づいて、サーチ動作の動作態様を異ならせるものである。
【0241】
操作部150は、例えば、シャッターレリーズボタン、カメラ1の各種動作モードを設定するためのモード設定スイッチなどを備えている。シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。また、モード設定スイッチは、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行える。操作部150により設定されたシャッターレリーズボタンのスイッチSW1,SW2、各種モードの情報は、カメラ制御部170へ送信される。
【0242】
液晶モニタ180は、カメラボディ100の背面に設けられ、撮像素子110により得られた画像信号に基づくスルー画像を、液晶モニタ180が備えるディスプレイに表示する。
【0243】
次に、
図26および
図27を参照して、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。
図26および
図27は、カメラ1の動作例を示すフローチャートである。
【0244】
まず、ステップS101では、撮像素子110により、撮影光学系からの光束の受光が行われ、スルー画像表示用の撮影が行われる。そして、撮像素子110により出力された画像信号が、カメラ制御部170により受信され、スルー画像が生成される。カメラ制御部170により生成されたスルー画像は、液晶モニタ180に送信され、液晶モニタ180が備えるディスプレイに表示される。
【0245】
ステップS102では、カメラ制御部170により、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたか否かの判断が行われる。第1スイッチSW1がオンであると判断された場合はステップS103へ進み、第1スイッチSW1がオンではないと判断された場合はステップS101に戻り、第1スイッチSW1がオンされるまで、スルー画像の表示が行われる。
【0246】
ステップS103では、カメラ制御部170により、フォーカスレンズ213を所定の初期レンズ位置まで駆動させる初期駆動が行われる。なお、初期駆動における初期レンズ位置は、特に限定されず、例えば、カメラボディ側の端部または被写体側の端部であってもよく、撮影シーンによって決定される位置であってもよい。また、ステップS103においては、初期駆動を行うことなく、フォーカスレンズ213を現在の位置のままとしてもよい。
【0247】
ステップS104では、カメラ制御部170により、フォーカスレンズ213が駆動可能な速度のうち最大の速度である最大駆動速度Vmax_lnsの取得が行われる。最大駆動速度Vmax_lnsは、フォーカスレンズ33の実際の駆動速度であり、上述した
図13(縦軸がフォーカスレンズ33の実際の駆動速度)に示すと横軸と平行になる。具体的には、カメラ制御170は、レンズ制御部250から、レンズ制御部250のメモリに記憶された最大駆動速度Vmax_lnsを取得する。ここで、取得された最大駆動速度Vmax_lnsは、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく速度である。ステップS104では、カメラ制御部170は、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく最大駆動速度Vmax_lnsを、像面移動速度に基づく最大駆動速度Vmax_imgに変換する。具体的には、カメラ制御部170は、最大駆動速度Vmax_lnsとともに、レンズ制御部250から、最小像面移動係数Kmin(像面移動係数Kの最小値に対応する値)を取得する。そして、カメラ制御部170は、レンズ制御部250から取得したレンズ情報に基づいて、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_lnsを、像面移動速度に基づく最大駆動速度Vmax_imgに変換する。
最大駆動速度Vmax_imgとは、最小像面移動係数Kminが得られるフォーカスレンズ33の位置において、フォーカスレンズ33を、上述した最大駆動速度Vmax_lnsにて駆動させた際における、像面の移動速度である。
【0248】
本実施形態では、最大駆動速度Vmax_imgを、像面の移動速度が一定となるようにフォーカスレンズ33を駆動させた場合に、最小像面移動係数Kminが得られるフォーカスレンズ33の位置(
図15に示す例では、像面移動係数K=100)において、フォーカスレンズ33の移動速度が最大駆動速度Vmax_lnsとなる像面移動速度に設定する。すなわち、本実施形態では、最大駆動速度Vmax_lnsにてフォーカスレンズ33を駆動させた際に、最大となる像面移動速度を、最大駆動速度Vmax_imgとして設定する。
具体的には、例えば、最大駆動速度Vmax_imgは下記のように算出できる。カメラ制御部21は、下記式に示すように、最大駆動速度Vmax_lns(単位:パルス/秒)と最小像面移動係数Kmin(単位:パルス/mm)とに基づいて、最大駆動速度Vmax_img(単位:mm/秒)を算出する。
最大駆動速度Vmax_img=最大駆動速度Vmax_lns/最小像面移動係数Kmin
【0249】
このように、本実施形態では、最小像面移動係数Kminを用いて、最大駆動速度Vmax_imgを算出することで、第2サーチ動作を許可するか否かについて好適に判断することができる。
なお、上記実施例では、最大駆動速度Vmax_img=最大駆動速度Vmax_lns/最小像面移動係数Kminとして最大駆動速度Vmax_imgを算出したがこれに限定されるものではない。
例えば、最大駆動速度Vmax_img=最大駆動速度Vmax_lns/(最小像面移動係数Kmin×(所定の定数))としてもよいし、最大駆動速度Vmax_img=最大駆動速度Vmax_lns/(最小像面移動係数Kmin+(所定の定数))としてもよい。また、レンズ鏡筒の特性に応じて、例えば、最大駆動速度Vmax_img=最大駆動速度Vmax_lns/最大像面移動係数Kmaxとしてもよい。
【0250】
そして、ステップS105では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)の算出が行われる。ここで、第1サーチ動作とは、所定のサーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、後述する第1サーチ速度V1で駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、合焦位置の検出を行う一連の処理をいう。また、第1サーチ速度V1とは、第1サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させる像面移動速度に基づく速度であり、例えば、合焦位置を検出できる速度とすることができる。例えば、カメラ制御部170は、合焦位置を検出できる焦点評価値の取得間隔が像面移動量で200μm〜300μm程度であり、焦点評価値を算出するための時間間隔が1/60秒である場合には、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1を、300×60=18000(μm/秒)=18(mm/秒)程度として算出することができる。このように算出された第1サーチ速度V1は、レンズ制御部250に送信され、レンズ制御部250により駆動パルス信号に変換された後、フォーカスレンズ駆動モータ231に送信されることにより、第1サーチ動作において第1サーチ速度V1(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)でフォーカスレンズ213が駆動されることとなる。なお、絞り200を絞ると焦点深度は深くなるため、合焦位置を検出できる焦点評価値の取得間隔が大きくなる場合があり、この場合、第1サーチ速度V1を、さらに速い速度として算出することができる。
【0251】
ステップS106では、カメラ制御部170により、ステップS104で取得された最大駆動速度Vmax_imgと、ステップS105で算出された第1サーチ速度V1とに基づいて、下記式(1)の関係を満たすか否か判断される。
最大駆動速度Vmax_img×k1≧第1サーチ速度V1(但し、0<k1≦1)・・・(1)
ここで、k1は、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが、上記式(1)を満たせば、最大駆動速度Vmax_imgが、第1サーチ速度V1よりも十分に速い速度であると判断できる値であり、例えば、0.8〜0.9とすることができる。フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが、上記式(1)の関係を満たす場合はステップS107に進み、一方、上記式(1)の関係を満たさない場合にはステップS109に進む。
【0252】
ステップS107では、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが上記式(1)を満たしており、最大駆動速度Vmax_imgが、第1サーチ速度V1よりも十分に速いと判断されているため、カメラ制御部170により、第2サーチ動作の実行を許可する処理が行われる。ここで、第2サーチ動作とは、第1サーチ範囲において第1サーチ動作で合焦位置を検出できない場合に、第1サーチ範囲よりも広い第2サーチ範囲を速くサーチするために、第1サーチ動作に引き続いて行われるものであり、第2サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第1サーチ速度V1よりも速い第2サーチ速度V2(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)で駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う処理である。第2サーチ速度V2は、第2サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させる像面移動速度に基づく速度であり、最大駆動速度Vmax_img以下の速度に設定される。また、第2サーチ速度V2は、焦点評価値のピークの存在を検出できる速度とすればよく、必ずしも、合焦位置を検出できる速度とする必要はない。例えば、カメラ制御部170は、第2サーチ速度V2を、50〜100(mm/秒)程度として算出することができる。また、例えば、最大駆動速度Vmax_img≧第2サーチ速度V2>第1サーチ速度V1の関係を満たすように第2サーチ速度V2を設定することができる。そして、ステップS108では、第1サーチ動作に引き続いて、第2サーチ動作を実行するため、カメラ制御部170は、第1サーチ動作を行うサーチ範囲を、第1サーチ範囲に限定する。
【0253】
一方、ステップS106において、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが、上記式(1)の関係を満たさないと判断された場合は、ステップS109に進む。ステップS109では、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが、上記式(1)の関係を満たしておらず、第1サーチ速度V1と最大駆動速度Vmax_imgとが同程度の速度であると判断されているため、カメラ制御部170により、第2サーチ動作の実行を禁止する処理が行われる。そして、ステップS110では、第1サーチ動作に引き続いて、第2サーチ動作が実行されないため、カメラ制御部170は、第1サーチ動作のサーチ範囲を、第1サーチ範囲に限定せずに、焦点調節可能範囲の全域に設定する。
【0254】
ステップS111では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作が実行される。具体的には、カメラ制御部170は、ステップS108またはステップS110で設定されたサーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第1サーチ速度V1で駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得する。そして、カメラ制御部170は、取得した複数の焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う。なお、焦点評価値を算出する方法は、特に限定されず、例えば、撮像素子110から受信した画像信号を、高周波フィルタで処理し、フィルタ処理した画像信号を積算処理することで、焦点評価値を算出することができる。
【0255】
ステップS112では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作において合焦位置が検出されたか否か判断される。具体的には、カメラ制御部170は、第1サーチ動作において焦点評価値のピークが検出された場合には、検出された焦点評価値のピークの位置を合焦位置と判断し、合焦位置が検出されたと判断する。ステップS112において、合焦位置が検出されたと判断された場合は、ステップS113に進み、検出された合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる。一方、ステップS112において、合焦位置が検出されていないと判断された場合は、ステップS114に進む。
【0256】
ステップS114では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作のサーチ範囲全域において、第1サーチ動作が実行されたか否か判断される。ここで、ステップS108において、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定されている場合は、カメラ制御部170は、第1サーチ範囲の全域において第1サーチ動作が実行されたか否かを判断する。また、ステップS110において、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定されなかった場合は、カメラ制御部170は、第1サーチ範囲を含む焦点調節可能範囲の全域において、第1サーチ動作が実行されたか否か判断する。第1サーチ動作のサーチ範囲の全域において、第1サーチ動作が実行された場合は、第1サーチ動作により合焦位置が検出できなかったものと判断され、
図27に示すステップS115に進む。一方、第1サーチ動作のサーチ範囲の全域において、第1サーチが実行された場合は、ステップS111に戻り、引き続き、第1サーチ動作が完了していないサーチ範囲において、合焦位置の検出が行われる。
【0257】
図27に示すステップS115では、カメラ制御部170により、第2サーチが許可されている否かの判断が行われる。具体的には、カメラ制御部170は、ステップS107において第2サーチ動作が許可されたか否かを判断する。第2サーチ動作が許可されている場合は、ステップS116に進み、一方、第2サーチ動作が許可されていない場合は、ステップS122に進む。
【0258】
ステップS116では、カメラ制御部170により、第2サーチ動作が実行される。具体的には、カメラ制御部170は、第2サーチ速度V2で、フォーカスレンズ213を駆動させるように、レンズ制御部250に指示を行う。レンズ制御部250は、カメラ制御部170からの指示に基づき、フォーカスレンズ213を駆動するための駆動パルス信号を生成し、生成した駆動パルス信号をフォーカスレンズ駆動モータ231に送信することにより、フォーカスレンズ213を第2サーチ速度V2で駆動させる。そして、カメラ制御部170は、第2サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第2サーチ速度V2で駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した複数の焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う。なお、上述したように、第2サーチ速度V2は最大駆動速度Vmax_img以下の速度に設定されるため、カメラ制御部170は、第2サーチ速度V2でフォーカスレンズ213を駆動させるように指示を行うことで、第2サーチ動作において、フォーカスレンズ213を、第2サーチ速度V2で駆動させることができる。
【0259】
ステップS117では、カメラ制御部170により、第2サーチ動作において焦点評価値のピークが検出されたか否か判断される。焦点評価値のピークが検出されたと判断された場合は、第2サーチ動作に続いて、第3サーチ動作を実行するため、ステップS119に進み、一方、焦点評価値のピークが検出されないと判断された場合は、ステップS118に進む。
【0260】
ステップS118では、第2サーチ範囲の全域において第2サーチ動作が実行されたか否か判断される。第2サーチ範囲の全域において第2サーチ動作が実行された場合は、第2サーチ動作により焦点評価値のピークが検出できなかったものとして、ステップS122に進む。一方、第2サーチ範囲の全域において第2サーチ動作が実行されていない場合は、ステップS116に戻り、引き続き、焦点評価値の検出が行われていない第2サーチ範囲において、第2サーチ動作が実行される。
【0261】
一方、ステップS117において、焦点評価値のピークが検出されたと判断された場合はステップS119に進む。ステップS119では、カメラ制御部170により、第3サーチ動作が実行される。第3サーチ動作とは、第2サーチ動作で焦点評価値のピークが検出された場合に、第2サーチ動作で検出された焦点評価値のピーク位置の周辺において合焦位置を検出するため、第2サーチ動作に引き続いて行わるものであり、後述する第3サーチ速度V3(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)で、フォーカスレンズ213を駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う処理である。また、第3サーチ速度V3は、第3サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させる像面移動速度に基づく速度であり、第1サーチ速度V1と同様に、合焦位置を検出できる速度とすることができる。例えば、最大駆動速度Vmax_img≧第2サーチ速度V2>第3サーチ速度V3の関係を満たすように第3サーチ速度V3を設定することができる。また、第1サーチ速度V1≧第3サーチ速度V3の関係を満たすように第3サーチ速度V3を設定することもできる。
【0262】
ステップS120では、カメラ制御部170により、第3サーチ範囲において、第3サーチ動作により、合焦位置が検出されたか否か判断される。具体的には、カメラ制御部170は、第3サーチ動作において焦点評価値のピークを検出できた場合には、検出された焦点評価値のピークを合焦位置と判断し、合焦位置が検出されたと判断する。第3サーチ動作により合焦位置が検出されたと判断された場合は、
図26に示すステップS113に進み、検出された合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる。一方、第3サーチ動作により合焦位置が検出されないと判断された場合は、ステップS121に進む。
【0263】
ステップS121では、カメラ制御部170により、第3サーチ範囲の全域において第3サーチ動作が実行されたか否か判断される。第3サーチ範囲の全域において第3サーチ動作が実行された場合は、第3サーチ動作により合焦位置が検出できなかったものとして、ステップS122に進む。一方、第3サーチ範囲の全域において第3サーチ動作が実行されていない場合は、ステップS119に戻り、引き続き、第3サーチ動作が実行されていない第3サーチ範囲において、合焦位置の検出が行われる。
【0264】
一方、ステップS115で第2サーチ動作が許可されていないと判断された場合、ステップS118で第2サーチ動作により焦点評価値のピークが検出されなかったと判断された場合、または、ステップS121で第3サーチ動作により合焦位置が検出されなかったと判断された場合は、ステップS122に進む。ステップS122では、カメラ制御部170により、フォーカスレンズ213が、所定の位置に駆動されるとともに、合焦位置を検出できなかった旨の表示が、例えば、透過型液晶表示器132や液晶モニタ180に表示される。なお、ステップS122において、フォーカスレンズ213が駆動する所定の位置は、特に限定されず、例えば、予め決められた位置でもよいし、焦点評価値が最大となる位置でもよいし、或いは、現在の位置のままとしてもよい。そして、ステップS122が終了した後は、
図26に示すステップS101に戻り、再度、上述した処理が繰り返される。
【0265】
以上のように、第12実施形態のカメラ1は動作する。ここで、
図28および
図29は、本実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのグラフである。以下、
図28および
図29を参照して、第12実施形態に係るカメラ1の動作を説明する。
【0266】
まず、
図28に示す例について説明する。
図28に示す例では、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが同程度の速度であるため、第1サーチ動作に続いて第2サーチ動作を実行しない場面を示している。
図28に示す例では、まず、初期駆動が行われた後(ステップS103)、所定のサーチ範囲において第1サーチ動作が実行される(ステップS111)。ここで、
図28に示す例では、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが同程度の速度であり、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが、上記式(1)の関係、すなわち、最大駆動速度Vmax_img×k1≧第1サーチ速度V1(但し、0<k1≦1)の関係を満たしていない(ステップS106=NO)。そのため、
図28に示す例では、第1サーチ動作に続く第2サーチ動作が禁止される(ステップS109)とともに、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定されず(ステップS110)、焦点調節可能範囲の全域に設定される。その結果、
図28に示す例では、第1サーチ範囲を含む拡大されたサーチ範囲において、第1サーチ動作が実行される(ステップS111)。そして、
図28に示す例では、第1サーチ動作により、合焦位置が検出され(ステップS112=YES)、検出された合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる(ステップS113)。
【0267】
このように、第12実施形態では、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが同程度の速度となる場合に、第1サーチ動作に続く第2サーチ動作を禁止し、焦点調節可能範囲の全域において第1サーチ動作のみを行うものである。従来のように、光学系の焦点距離が比較的長い場合に、光学系の焦点調節可能範囲が比較的広いと判断し、第2サーチ動作を実行する構成では、次の問題があった。すなわち、従来では、焦点調節可能範囲が狭く、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが同程度の速度である場合であっても、焦点距離が長いと判断されれば、第2サーチ動作および第3サーチ動作が実行され、焦点検出に要する時間が長くなるという問題があった。これに対して、第12実施形態では、
図28に示すように、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度V1とが同程度の速度となる場合に、第2サーチ動作を禁止し、第1サーチ動作のみを行うことで、焦点検出に要する時間を短縮することができる。
【0268】
次に、
図29に示す例について説明する。
図29に示す例では、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度V1よりも十分に速い速度であるため、第1サーチ動作に続いて第2サーチ動作を実行する場面を示している。
図29に示す例では、初期駆動が行われた後(ステップS103)、所定のサーチ範囲において第1サーチ動作が行われる(ステップS111)。ここで、
図29に示す例では、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度V1よりも十分に速く、上記式(1)の関係を満たしている(ステップS106=YES)。そのため、
図29に示す例では、第1サーチ動作に続く第2サーチ動作が許可される(ステップS107)とともに、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定される(ステップS108)こととなる。そのため、
図29に示すように、第1サーチ動作で合焦位置を検出できない場合に(ステップ114=YES)、第1サーチ範囲よりも広い第2サーチ範囲において、第1サーチ速度V1よりも十分に速い第2サーチ速度V2で、第2サーチ動作が実行される(ステップS116)。そして、
図29に示す例では、第2サーチ動作において焦点評価値のピークが検出されたため(ステップS117=YES)、第2サーチ動作に続いて第3サーチ動作が実行され(ステップS119)、第3サーチ動作で検出された合焦位置に、合焦駆動が行われる(ステップS113)。
【0269】
このように、第12実施形態では、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度V1よりも十分に速い場合に、第1サーチ動作に引き続いて、第2サーチ動作を実行するものである。従来のように、光学系の焦点距離が比較的短い場合に、光学系の焦点調節可能範囲が比較的狭いと判断し、第1サーチ動作のみを行う構成では、次の問題があった。すなわち、従来では、焦点調節可能範囲が広く、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度V1よりも十分に速い場合でも、焦点距離が短いと判断されれば、第1サーチ動作のみが実行され、焦点検出に時間がかかるという問題があった。これに対して、第1実施形態では、
図29に示すように、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度V1よりも十分に速い場合に、第1サーチ動作に続いて、第2サーチ動作を実行することで、焦点検出に要する時間を短縮することができる。
【0270】
≪第13実施形態≫
次に、本発明の第13実施形態を図面に基づいて説明する。第13実施形態では、
図25に示すカメラ1において、
図30および
図31に示すように、カメラ1が動作すること以外は、第12実施形態と同様である。以下において、
図30および
図31を参照して、第13実施形態に係るカメラ1の動作について説明する。なお、
図30および
図31は第13実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0271】
まず、
図30に示すステップS201〜S203では、第12実施形態のステップS101〜S103と同様に、第1スイッチSW1がオンされるまで、スルー画像の表示が行われ(ステップS201,S202)、第1スイッチSW1がオンされた場合に、フォーカスレンズ213を初期レンズ位置に駆動させる初期駆動が行われる(ステップS203)。
【0272】
ステップS204では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に設定される。ここで、第1サーチ動作とは、所定のサーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、後述する第1サーチ速度V1_imgに対応する速度(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)で駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、合焦位置の検出を行う一連の処理をいう。また、第1サーチ速度V1_imgとは、第1サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させた際の像面移動速度に基づく速度であり、合焦位置を検出できる速度とされる。
【0273】
そして、ステップS205では、ステップS204で設定された第1サーチ範囲において、カメラ制御部170により、第1サーチ動作が実行される。具体的には、カメラ制御部170は、第1サーチ動作の実行の指示と、第1サーチ速度V1_imgとを、レンズ制御部250に送信する。レンズ制御部250は、カメラ制御部170から受信した第1サーチ速度V1_imgに基づき、第1サーチ速度V1_imgに対応するフォーカスレンズ213の駆動速度を算出し、算出した駆動速度に基づいて、フォーカスレンズ213を駆動するための駆動パルス信号を生成する。そして、レンズ制御部250は、生成した駆動パルス信号をフォーカスレンズ駆動モータ231に送信することにより、フォーカスレンズ213を第1サーチ速度V1_imgに対応する速度(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)で駆動させる。このように、カメラ制御部170は、第1サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第1サーチ速度V1_imgに対応する速度で駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、合焦位置の検出を行う。
【0274】
ステップS206では、カメラ制御部170により、第1サーチ範囲において、第1サーチ動作により、合焦位置が検出されたか否かの判断が行われる。カメラ制御部170は、第12実施形態と同様に、第1サーチ動作において焦点評価値のピークが検出された場合には、検出された焦点評価値のピークの位置を合焦位置と判断し、合焦位置が検出されたと判断する。そして、合焦位置が検出されたと判断された場合は、ステップS207に進み、合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる。一方、合焦位置が検出されなかったと判断された場合は、ステップS208に進む。
【0275】
ステップS208では、カメラ制御部170により、第1サーチ範囲の全域において、第1サーチ動作が実行されたか否かの判断が行われる。第1サーチ範囲の全域において、第1サーチ動作が実行されていない場合は、ステップS205に戻り、引き続き、第1サーチ動作が実行されていないサーチ範囲において第1サーチ動作が実行される。一方、第1サーチ範囲の全域において、第1サーチ動作が実行された場合は、第1サーチ範囲において、第1サーチ動作により合焦位置が検出できなかったものと判断され、ステップS209に進む。
【0276】
ステップS209では、カメラ制御部170により、後述するステップS216において、第1サーチ動作のサーチ範囲の限定が解除されたか否かの判断が行われる。第1サーチ動作のサーチ範囲が第1サーチ範囲に限定されていないと判断された場合は、焦点調節可能範囲の全域で合焦位置を検出できなかったものとして、ステップS210に進み、所定のレンズ位置にフォーカスレンズ213が駆動されるとともに、合焦位置を検出できなかった旨の表示が、例えば、透過型液晶表示器132や液晶モニタ180に表示される。一方、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定されていると判断された場合は、ステップS211に進む。
【0277】
ステップS211では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作における第1サーチ速度V1_lnsの測定が行われる。ここで、第1サーチ速度V1_lnsとは、第1サーチ動作において、フォーカスレンズ213の駆動させた際のフォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく速度である。本実施形態において、カメラ制御部170は、カメラ制御部250を介して、フォーカスレンズ用エンコーダ261から、第1サーチ動作を実行している際のフォーカスレンズ213の位置情報を、所定の時間間隔で取得し、所定の時間間隔で取得したフォーカスレンズ213の位置情報に基づいて、第1サーチ動作における第1サーチ速度V1_lnsを算出する。そして、ステップS212では、カメラ制御部170により、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく第1サーチ速度V1_lnsから、像面移動速度に基づく第1サーチ速度V1_imgへの変換が行われる。具体的には、カメラ制御部170は、レンズ制御部250から、像面移動係数を含むレンズ情報を取得し、取得したレンズ情報に基づいて、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく第1サーチ速度V1_lnsを、像面移動速度に基づく第1サーチ速度V1_imgに変換する。
【0278】
ステップS213では、第1サーチ動作により合焦位置を検出することができなかったため、カメラ制御部170により、第2サーチ動作を実行するための指示が行われる。ここで、第2サーチ動作とは、第1サーチ動作で合焦位置が検出できない場合に、第1サーチ範囲よりも広い第2サーチ範囲を速くサーチするために、第1サーチ動作に引き続いて行われるものであり、第2サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い第2サーチ速度V2_imgに基づく速度(フォーカスレンズの像面の移動速度が一定になるような速度)で駆動させながら、焦点評価値のピークの検出を行う処理である。また、第2サーチ速度V2_imgは、第2サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させた際の像面移動速度に基づく速度であり、第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度とされる。そのため、第2サーチ速度V2_imgは、通常、合焦位置を検出できない速度となることとなる。
【0279】
ステップS214では、カメラ制御部170により、第2サーチ動作の実行指示後の実際のサーチ速度Vs_imgの算出が行われる。ここで、ステップS213において第2サーチ動作の実行が指示されると、フォーカスレンズ駆動モータ231は、フォーカスレンズ213を、カメラ制御部170から指示された第2サーチ速度V2_lnsで駆動させようとする。しかしながら、例えば、フォーカスレンズ213の最大駆動速度が、カメラ制御部170により指示された第2サーチ速度V2_lnsよりも遅い速度である場合などに、第2サーチ速度V2_lnsでフォーカスレンズを駆動できない場合がある。そのため、ステップS214において、カメラ制御部170は、第2サーチ動作の実行指示後に、フォーカスレンズ213が実際に駆動したサーチ速度Vs_lnsを測定する。また、第13実施形態において、カメラ制御部170は、フォーカスレンズ213の位置情報とともに、レンズ制御部250から、像面移動係数を含むレンズ情報を取得する。そして
、カメラ制御部170は、レンズ制御部250から取得したレンズ情報に基づいて、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づくサーチ速度Vs_lnsを、像面移動速度に基づくサーチ速度Vs_imgに変換する。なお、以下においては、第2サーチ動作の実行指示後のサーチ速度Vs_imgでのサーチ動作を、変更指示後サーチ動作として説明する。
【0280】
ステップS215では、カメラ制御部170により、ステップS212で得た第1サーチ速度V1_imgと、ステップS214で得た変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとの比較が行われ、第1サーチ速度V1_imgと、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、下記式(2)の関係を満たすか否かの判断が行われる。
変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_img≧第1サーチ速度V1_img×k2(但し、k2≧1) ・・・(2)
なお、上記k2は、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たす場合に、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ速度V1_imgに比べて、十分に速い速度であると判断できる値であり、これにより、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが、合焦位置を検出できない速度であると判断できる値である。第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たさないと判断された場合は、ステップS216に進み、一方、上記式(2)の関係を満たすと判断された場合は、ステップS218に進む。
【0281】
ステップS216では、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たさないと判断されているため、カメラ制御部170は、変更指示後サーチ動作におけるサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ動作における第1サーチ速度V1_imgと同じ速度であるか、または少しだけ速い速度であるため、変更指示後サーチ動作が、合焦位置を検出できる速度で焦点検出を行うものであると判断し、変更指示後サーチ動作を第1サーチ動作として扱う。すなわち、カメラ制御部170は、合焦指示後サーチ動作を、合焦位置を検出できる速度で焦点検出を行うサーチ動作として扱う。そして、ステップS217では、変更指示後サーチ動作が第1サーチ動作として扱われており、第1サーチ範囲以外のサーチ範囲においても第1サーチ動作を実行するため、ステップS204で限定された第1サーチ動作のサーチ範囲が解除され、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲よりも広い範囲、例えば、焦点調節可能範囲の全域に拡大される。ステップS217で、第1サーチ動作のサーチ範囲の限定が解除された後は、ステップS205に戻り、第1サーチ範囲以外のサーチ範囲において、第1サーチ動作が実行される。
【0282】
一方、ステップS215において、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たすと判断された場合は、ステップS218に進む。ステップS218では、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たすと判断されているため、カメラ制御部170は、変更指示後サーチ動作におけるサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ動作における第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度であるため、変更指示後サーチ動作が、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うものであると判断し、変更指示後サーチ動作を第2サーチ動作として扱う。すなわち、カメラ制御部170は、変更指示後サーチ動作を、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うサーチ動作として扱う。
【0283】
図31に示すステップS219では、変更指示後サーチ動作が、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うものであると判断され、変更指示後サーチ動作が第2サーチ動作として扱われているため、カメラ制御部170により、第2サーチ範囲において、第2サー
チ動作が実行される。具体的には、カメラ制御部170は、第2サーチ速度V2_imgで、フォーカスレンズ213を駆動させるように、レンズ制御部250に指示を行う。レンズ制御部250は、カメラ制御部170の指示に基づき、フォーカスレンズ213を駆動するための駆動パルス信号を生成し、生成した駆動パルス信号をフォーカスレンズ駆動モータ231に送信することにより、フォーカスレンズ213を第2サーチ速度V2_imgで駆動させる。そして、カメラ制御部170は、第2サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第2サーチ速度V2_imgで駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う。
【0284】
ステップS220〜S224では、第12実施形態のステップS117〜121と同様の処理が行われる。すなわち、第2サーチ動作において焦点評価値のピークを検出した場合に(ステップS220=YES)、検出した焦点評価値のピークを含む所定のサーチ範囲を、合焦位置を検出できる速度でサーチする第3サーチ動作の実行が指示され、第3サーチが実行される(ステップS222)。第3サーチ動作で合焦位置が検出された場合に(ステップS223=YES)、検出された合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる(ステップS207)。一方、第2サーチ動作において焦点評価値のピークを検出できなかった場合(ステップS221=YES)、および第3サーチ動作において合焦位置を検出できなかった場合(ステップS224=YES)は、フォーカスレンズ213が、所定の位置に駆動されるとともに、合焦位置を検出できなかった旨の表示が、例えば、透過型液晶表示器132や液晶モニタ180に表示される(ステップS210)。
【0285】
以上のように、第13実施形態のカメラ1は動作する。ここで、
図32および
図33は、第13実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのグラフである。以下、
図32および
図33を参照して、第13実施形態に係るカメラ1の動作を説明する。
【0286】
まず、
図32に示す例について説明する。
図32に示す例では、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが同程度の速度であり、変更指示後サーチ動作が第1サーチ動作として扱われる場面例を示している。
図32に示す例では、像面位置P0から第1サーチ動作が実行される(ステップS205)。具体的には、フォーカスレンズ212を駆動させながら、異なる複数の像面(像面位置P0,P1,P2,P3,P4,P5)において焦点評価値が取得され、取得された焦点評価値に基づいて、焦点評価値がピークとなる合焦位置の検出が行われる。
図32に示すように、
図32に示す例では、像面位置P0から像面位置P5までの第1サーチ範囲において、第1サーチ動作により、合焦位置を検出することができない(ステップS208=YES)ため、像面位置P4におけるフォーカスレンズ213の位置情報と、像面位置P5におけるフォーカスレンズ213の位置情報とを、カメラ制御部250を介して、フォーカスレンズ用エンコーダ261から取得し、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgを算出する(ステップS211)。また、第1サーチ動作により、合焦位置を検出することができなかったため、第1サーチ動作に続けて、第2サーチ動作を実行するための指示が行われる(ステップS213)。これにより、
図32に示す例では、フォーカスレンズ213が駆動され、像面位置P5から像面位置P7にかけて、変更指示後サーチ動作が実行される。
図32に示す例では、例えば、像面位置P6におけるフォーカスレンズ213の位置情報と、像面位置P7におけるフォーカスレンズ213の位置情報とを、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ用エンコーダ261から取得し(ステップS211)、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgを算出する(ステップS212)。そして、カメラ制御部170は、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係、すなわち、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_img≧第1サーチ速度V1×k2(但し、k2≧1)の関係を満たしているか判断する(ステップS215)。
図32に示す例では、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが同程度の速度となっているため、上記式(2)の関係を満たしていないと判断される(ステップS215=NO)。そのため、変更指示後サーチ動作は、合焦位置を検出できる速度で焦点検出を行うものであると判断され、変更指示後サーチ動作が、第1サーチ動作として扱われる(ステップS216)。そして、
図32に示す例では、第1サーチ動作のサーチ範囲が拡大され(ステップS217)、拡大されたサーチ範囲において、第1サーチ動作が実行されることとなる。
【0287】
次に、
図33に示す例について説明する。
図33に示す例では、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度であり、変更指示後サーチ動作が第2サーチ動作として扱われる場面を示している。
図33に示す例では、
図32に示す例と同様に、像面位置P0から像面位置P5までの第1サーチ範囲において、第1サーチ動作で合焦位置を検出することができない(ステップS208=YES)ため、第1サーチ動作に続けて、第2サーチ動作を実行するための指示が行われる(ステップS213)。
図33に示す例では、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度であり、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たしていると判断される(ステップS215=YES)。そのため、変更指示後サーチ動作は、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うものであると判断され、変更指示後サーチ動作が第2サーチ動作として扱われる(ステップS218)。これにより、
図33に示す例では、第1サーチ動作に引き続いて、第2サーチ動作が実行されることとなる。なお、
図32および
図33に示す例では、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgを算出する際に、像面位置P5から像面位置P6までの速度ではなく、像面位置P6から像面位置P7までの速度を算出している。これは、像面位置P6から像面位置P7までの速度は、第2サーチ動作の実行指示によりフォーカスレンズの駆動速度が変化された直後でなく、安定した変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgを求めることができるためである。
【0288】
このように、第13実施形態では、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgと、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとを比較し、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが同程度の速度であると判断した場合には、変更指示後サーチ動作は、合焦位置を検出できる速度で焦点検出を行うものであると判断し、変更指示後サーチ動作を第1サーチ動作として扱い、第2サーチ動作の指示後においても、第2サーチ動作を実行せずに、第1サーチ動作のみを実行する。一方、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度であると判断した場合には、変更指示後サーチ動作は、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うものであると判断し、変更指示後サーチ動作を第2サーチ動作として扱い、第2サーチ動作の指示後に、第1サーチ動作に続いて、第2サーチ動作を行うものである。これにより、第13実施形態によれば、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_lnsを取得できない場合であっても、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ速度V1_imgであるか、あるいは、第2サーチ速度V2_imgであるかを判断することができ、この判断結果に基づいて、第1サーチ範囲において第1サーチ動作で合焦位置が検出できなかった場合に、引き続いて、第1サーチ動作のまま合焦位置の検出を行うか、あるいは、第1サーチ動作よりも速い速度で合焦位置を検出する第2サーチ動作を実行するかを決定することにより、焦点検出をより効率的に行うことができる。
【0289】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0290】
例えば、上述した第12実施形態では、フォーカスレンズ213の駆動速度に基づく最大駆動速度Vmax_lnsを、像面移動速度に基づく最大駆動速度Vmax_imgに変換することにより、像面移動速度に基づく最大駆動速度Vmax_imgと、像面移動速度に基づく第1サーチ速度V1とを比較しているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、像面移動速度に基づく第1サーチ速度V1を、フォーカスレンズ213の駆動速度に基づく第1サーチ速度に変換することにより、フォーカスレンズ213の駆動速度に基づく最大駆動速度Vmax_lnsと、フォーカスレンズ213の駆動速度に基づく第1サーチ速度とを比較する構成としてもよい。
【0291】
また、上述した第12実施形態では、ステップS111の後に、ステップS106からステップS110を行う構成としてもよい。すなわち、ステップS111で第1サーチ動作を行いながら、第1サーチ速度V1を実際に測定することで、最大駆動速度Vmax_imgと、測定した第1サーチ速度とを比較し、第2サーチ動作を許可するか否かを判断する構成としてもよい。
【0292】
また、上述した実施形態において、カメラ1は、位相差式AF検出モジュール160を備えているが、この構成に限定されるものではなく、位相差式AF検出モジュール160を備えない構成とてもよい。
【0293】
また、上述した実施形態のカメラ1は特に限定されず、たとえば、
図24に示すように、本発明を、レンズ交換式のミラーレスカメラ1aに適用してもよい。
図24に示す例において、カメラ本体2aは、逐次、撮像素子22により撮像した撮像画像をカメラ制御部21に送出し、液晶駆動回路25を介して観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示する。この場合、カメラ制御部21は、たとえば、撮像素子22の出力を読み出し、読み出した出力に基づき、焦点評価値の演算を行うことで、コントラスト検出方式による撮影光学系の焦点調節状態の検出を行うことができる。また、デジタルビデオカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。