(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1は、非置換の、又はエステル基、アルキルアルコキシシリル基もしくはアルコキシシリル基で置換されている炭素数1〜20の
、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、R
2は炭素数3〜6の非置換又は置換の2価炭化水素基である。R
3及びR
4は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基で各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示される有機ケイ素化合物をSi−N結合を有する化合物の存在下、かつ、スルホン酸化合物及びその塩から選ばれる酸触媒存在下で分子内環化することを特徴とする下記一般式(2)
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、上記一般式(1)で定義した通りである。)
で示される環状シラザン化合物の製造方法。
Si−N結合を有する化合物が、下記一般式(3)
【化3】
(式中、R
5及びR
6は、水素原子、トリオルガノシリル基、又は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
5及びR
6が互いに結合して環を形成してもよく、環を形成した場合は環の一部にN原子、O原子又はS原子を含んでも良い。また、各々同一又は異なっていてもよい。R
7、R
8及びR
9は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。)
で示されるシリルアミン化合物及び/又は下記一般式(4)
【化4】
(式中、R
5、R
7及びR
8は、上記一般式(3)で定義した通りである。mは3以上の整数である。)
で示される環状ポリシラザン化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の環状シラザン化合物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記環状シラザン構造を有する化合物の製造方法では、環化反応の反応速度が不十分であるため生産性が低く、更なる生産性の向上が求められていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、アミン部位とアルコキシシラン部位の反応性を向上し、効率よく環状シラザン化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で示される有機ケイ素化合物をSi−N結合を有する化合物の存在下で分子内環化させることにより、効率よく下記一般式(2)で示される環状シラザン化合物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
即ち、本発明は下記環状シラザン化合物の製造方法を提供する。
〔1〕
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1は、非置換の、又はエステル基、アルキルアルコキシシリル基もしくはアルコキシシリル基で置換されている炭素数1〜20の
、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、R
2は炭素数3〜6の非置換又は置換の2価炭化水素基である。R
3及びR
4は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基で各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示される有機ケイ素化合物をSi−N結合を有する化合物の存在下、かつ、スルホン酸化合物及びその塩から選ばれる酸触媒存在下で分子内環化することを特徴とする下記一般式(2)
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、上記一般式(1)で定義した通りである。)
で示される環状シラザン化合物の製造方法。
〔2〕
Si−N結合を有する化合物が、一般式(1)で示される有機ケイ素化合物から発生するアルコール(R
4OH)をシリル化して、R
4OSi基に変換可能な化合物であることを特徴とする〔1〕記載の環状シラザン化合物の製造方法。
〔3〕
Si−N結合を有する化合物が、下記一般式(3)
【化3】
(式中、R
5及びR
6は、水素原子、トリオルガノシリル基、又は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
5及びR
6が互いに結合して環を形成してもよく、環を形成した場合は環の一部にN原子、O原子又はS原子を含んでも良い。また、各々同一又は異なっていてもよい。R
7、R
8及びR
9は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。)
で示されるシリルアミン化合物及び/又は下記一般式(4)
【化4】
(式中、R
5、R
7及びR
8は、上記一般式(3)で定義した通りである。mは3以上の整数である。)
で示される環状ポリシラザン化合物であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の環状シラザン化合物の製造方法。
〔4〕
前記シリルアミン化合物が、ヘキサメチルジシラザンであることを特徴とする〔3〕記載の環状シラザン化合物の製造方法。
〔5〕
溶媒存在下で分子内環化することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の環状シラザン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、逆反応の原因となるアルコールを速やかにシリル化することにより逆反応を抑制し、目的とする環状シラザン化合物を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の環状シラザン化合物の製造方法は、下記一般式(1)
【化5】
(式中、R
1は炭素数1〜20、好ましくは1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
2は炭素数3〜6、好ましくは3又は4の非置換又は置換の2価炭化水素基である。R
3及びR
4は炭素数1〜10、好ましくは1〜5の非置換又は置換の1価炭化水素基で各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示される有機ケイ素化合物をSi−N結合を有する化合物の存在下で分子内環化することを特徴とする下記一般式(2)
【化6】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、上記一般式(1)で定義した通りである。)
で示される環状シラザン化合物の製造方法である。
【0011】
上記一般式(1)中、R
1の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、メタリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、フェニルベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アシル基、スルフィド基、アルキルシリル基、アルキルアルコキシシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。置換基としては、エステル基、アルキルアルコキシシリル基、アルコキシシリル基が好ましい。
【0012】
R
2の2価炭化水素基としては、例えば、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等のアルキレン基が例示される。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、エーテル基、エステル基、カルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基等が挙げられる。
【0013】
R
3及びR
4の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、メタリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基が例示され、好ましくは直鎖状のアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アシル基、スルフィド基等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
【0014】
本発明で使用される上記一般式(1)で示される有機ケイ素化合物を具体的に例示すると、例えば、N−メチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−メチル−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−メチル−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−メチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−メチル−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−メチル−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−ブチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−ブチル−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−ブチル−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−ブチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−ブチル−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−ブチル−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−シクロヘキシル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−シクロヘキシル−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−シクロヘキシル−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−シクロヘキシル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−シクロヘキシル−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−シクロヘキシル−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル)エチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル)エチル−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル)エチル−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル)エチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル)エチル−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル)エチル−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−トリメトキシシリルメチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−トリメトキシシリルブチル)−N−(トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−メチルジメトキシシリルメチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−メチルジメトキシシリルブチル)−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−ジメチルメトキシシリルメチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−ジメチルメトキシシリルブチル)−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−トリメトキシシリルメチル−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−トリメトキシシリルブチル)−N−(メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−メチルジメトキシシリルメチル−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−メチルジメトキシシリルブチル)−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−ジメチルメトキシシリルメチル−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−ジメチルメトキシシリルブチル)−N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−トリメトキシシリルメチル−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−トリメトキシシリルブチル)−N−(ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−メチルジメトキシシリルブチル)−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−ジメチルメトキシシリルメチル−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−ジメチルメトキシシリルブチル)−N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、N−トリエトキシシリルメチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−トリエトキシシリルブチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−メチルジエトキシシリルメチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−メチルジエトキシシリルブチル)−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−ジメチルエトキシシリルメチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−ジメチルエトキシシリルブチル)−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−トリエトキシシリルメチル−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−トリエトキシシリルブチル)−N−(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−メチルジエトキシシリルメチル−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−メチルジエトキシシリルブチル)−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−ジメチルエトキシシリルメチル−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−ジメチルエトキシシリルブチル)−N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−トリエトキシシリルメチル−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−トリエトキシシリルブチル)−N−(ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−メチルジエトキシシリルブチル)−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−ジメチルエトキシシリルメチル−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−ジメチルエトキシシリルブチル)−N−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン等が挙げられる。
【0015】
上記一般式(2)中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、上記一般式(1)で定義した通りである。
【0016】
本発明で製造される上記一般式(2)で示される環状シラザン化合物を具体的に例示すると、例えば、2,2−ジメトキシ−1−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、
2−メトキシ−2−メチル−1−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−シクロヘキシル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−シクロヘキシル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−シクロヘキシル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−シクロヘキシル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−シクロヘキシル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(2−メトキシカルボニル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(2−メトキシカルボニル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(2−メトキシカルボニル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(2−メトキシカルボニル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(2−メトキシカルボニル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−トリメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−トリメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−トリメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−トリメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−トリメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−メチルジメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−メチルジメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−メチルジメトキシシリルメチルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−メチルジメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−メチルジメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−メチルジメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(4−メチルジメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(4−メチルジメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(4−メチルジメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(4−メチルジメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−ジメチルメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−ジメチルメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−ジメチルメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−ジメチルメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−ジメチルメトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−ジメチルメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(4−ジメチルメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(4−ジメチルメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(4−ジメチルメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(4−ジメチルメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−トリエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−トリエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−トリエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−トリエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−トリエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、
2,2−ジメトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(4−トリエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(4−トリエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(4−トリエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(4−トリエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−メチルジエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−メチルジエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−メチルジエトキシシリルメチルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−メチルジエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−メチルジエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−メチルジエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(4−メチルジエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(4−メチルジエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(4−メチルジエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(4−メチルジエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−ジメチルエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−ジメチルエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−ジメチルエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−ジメチルエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−ジメチルエトキシシリルメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−ジメチルエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(4−ジメチルエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメチル−1−(4−ジメチルエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(4−ジメチルエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−メチル−1−(4−ジメチルエトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。
【0017】
本発明においては、Si−N結合を有する化合物の存在下、分子内環化させることにより発生して逆反応の原因となるアルコールを速やかにシリル化することで、逆反応を抑制し、目的とする環状シラザン化合物を効率よく製造することができる。これは、Si−N結合を有する化合物が存在すると、生成された一般式(2)で示される環状シラザン化合物とR
4OHとが反応して、再び一般式(1)で示される有機ケイ素化合物に戻る逆反応が起こらないためである。
Si−N結合を有する化合物としては、一般式(1)で示される有機ケイ素化合物から発生するアルコール(R
4OH)をR
4OSiに変換可能な化合物であれば特に制限されないが、例えば、下記一般式(3)
【化7】
(式中、R
5及びR
6は水素原子、トリオルガノシリル基、又は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
5とR
6で環を形成してもよく、環を形成した場合は環の一部にN原子、O原子又はS原子を含んでも良い。また、各々同一又は異なっていてもよい。R
7、R
8及びR
9は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。)
で示されるシリルアミン化合物及び/又は下記一般式(4)
【化8】
(式中、R
5、R
7、R
8は、上記一般式(3)で定義した通りである。mは3以上の整数である。)
で示される環状ポリシラザン化合物が好ましい。
【0018】
上記一般式(3)中、R
5及びR
6としては、水素原子、トリオルガノシリル基、又は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
5及びR
6が互いに結合して環を形成してもよく、環を形成した場合は環の一部にN原子、O原子又はS原子を含んでも良い。
トリオルガノシリル基の各オルガノ基としては、後述の炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、炭素の一部がN原子、O原子又はS原子に置換されても良く、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、(トリメチルシリルアミノ)ジメチルシリル基等が挙げられる。
R
5及びR
6における1価炭化水素基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜6の非置換1価炭化水素基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、メタリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基が例示され、好ましくは直鎖状のアルキル基、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。R
5及びR
6が互いに結合して環を形成した場合の例としては、ピペリジニル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、イミダゾリル基等が挙げられる。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アシル基、スルフィド基等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
【0019】
上記一般式(3)で示されるシリルアミン化合物としては、例えば、トリメチルシリルアミン、トリエチルシリルアミン、N−トリメチルシリル−N−メチルアミン、N−トリエチルシリル−N−メチルアミン、N−トリメチルシリル−N−ブチルアミン、N−トリエチルシリル−N−ブチルアミン、N−トリメチルシリルピペリジン、N−トリエチルシリルピペリジン、N−トリメチルシリルピロリジン、N−トリエチルシリルピロリジン、N−トリメチルシリルピペラジン、N−トリエチルシリルピペラジン、N−トリメチルシリルイミダゾール、N−トリエチルシリルイミダゾール、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ビス(トリメチルシリル)メチルアミン、ビス(トリメチルシリル)ブチルアミン、ビス(トリメチルシリル)アリルアミン、ビス(ビニルジメチルシリル)アミンが挙げられ、特にジシラザン構造を有する化合物、[ヘキサメチルジシラザン、ビス(トリメチルシリル)メチルアミン、ビス(トリメチルシリル)ブチルアミン、ビス(トリメチルシリル)アリルアミン、ビス(ビニルジメチルシリル)アミン)]が好ましい。
【0020】
上記一般式(4)中、R
5、R
7、R
8は、上記一般式(3)で定義した通りである。mは3以上、好ましくは3〜10の整数である。
【0021】
上記一般式(4)で示される環状ポリシラザン化合物としては、例えば、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン等が挙げられる。
【0022】
本発明の製造方法において、上記一般式(3)で示されるシリルアミン化合物及び/又は上記一般式(4)で示される環状ポリシラザン化合物の使用量は、特に限定されないが、反応性、生産性の点から、上記一般式(1)で示される有機ケイ素化合物1モルに対し、0.1〜10モル、特に0.4〜2モルの範囲が好ましい。
【0023】
本発明の製造方法において、生産性の観点から、酸触媒存在下で分子内環化反応を行うことができる。酸触媒の存在下で反応を行うと、S−N結合を有する化合物と発生したR
4OHとの反応が速やかに進行するためである。
酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、ホスホン酸化合物、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、ルイス酸化合物及びこれらの塩等が挙げられる。ホスホン酸化合物としては、メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等が挙げられる。カルボン酸化合物としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。スルホン酸化合物としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ルイス酸としては、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、t−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。好ましくは、スルホン酸化合物又はその塩が挙げられる。
【0024】
酸触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から一般式(1)で示される有機ケイ素化合物1モルに対し、0.0001〜10モル、特に0.001〜1モルの範囲が好ましい。
【0025】
本発明の製造方法において、反応温度は特に限定されず、室温下又は加熱下で行うことができる。適度な反応速度を得るためには加熱下で反応させることが好ましく、0〜200℃、特に50〜200℃が好ましい。また、反応時間も特に限定されないが、1〜100時間が好ましい。
【0026】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、生産性の観点から、溶媒を用いることもできる。一般式(2)で示される環状シラザン化合物とR
4OHの逆反応を抑制できるためである。
用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、或いは2種以上を混合して使用してもよい。また、溶媒の使用量も特に限定されないが、上記一般式(1)の有機ケイ素化合物1モルに対して、0.01〜10リットル、好ましくは0.1〜1リットルが良い。
【0027】
本発明の製造方法によって得られる有機ケイ素化合物は、その目的、品質に応じて、蒸留、ろ過、洗浄、カラム分離、固体吸着剤等の各種の精製法によって更に精製して使用することもできる。触媒等微量不純物を取り除き、高純度にするためには、蒸留による精製が好ましい。
【0028】
本発明の有機ケイ素化合物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、顔料、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、pH調節剤、フィルム形成剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、染料等から選択される他の添加剤の1種以上を含有するものであっても良い。
【実施例】
【0029】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0030】
[実施例1]
温度計、コンデンサー、分留塔、ビグリュウ管を備えたフラスコに、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン26g(0.10モル)とトリフルオロメタンスルホン酸50μl(0.5モル%)、トルエン50mlを仕込み、トルエン還流下でヘキサメチルジシラザン8.0g(0.050モル)を4時間かけて滴下しながら、生成したトリメチルメトキシシラン及びトルエンを留出した。釜温145℃までトルエンを留出し、冷却後にフラスコ内反応液をガスクロマトグラフィーにて測定すると、生成した2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン:N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランの質量比は81:19であり、モル換算での分子内環化反応率は83%となった。
【0031】
[実施例2]
温度計、コンデンサー、分留塔、ビグリュウ管を備えたフラスコに、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン44g(0.20モル)とトリフルオロメタンスルホン酸100μl(0.5モル%)、トルエン100mlを仕込み、トルエン還流下でヘキサメチルジシラザン8.0g(0.050モル)を4時間かけて滴下しながら、生成したトリメチルメトキシシラン及びトルエンを留出した。釜温145℃までトルエンを留出し、冷却後にフラスコ内反応液をガスクロマトグラフィーにて測定すると、生成した2,2−ジメトキシ−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン:N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシランの質量比は55:45であり、モル換算での分子内環化反応率は58%となった。
【0032】
[実施例3]
温度計、コンデンサー、分留塔、ビグリュウ管を備えたフラスコに、N−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン56g(0.20モル)とメタンスルホン酸0.4g(2モル%)、キシレン70mlを仕込み、キシレン還流下でヘキサメチルジシラザン33.0g(0.20モル)を6時間かけて滴下しながら、生成したトリメチルメトキシシラン及びキシレンを留出した。釜温155℃までキシレンを留出し、冷却後にフラスコ内反応液をガスクロマトグラフィーにて測定すると、生成した2,2−ジメトキシ−1−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン:N−(2−メトキシカルボニル−2−メチル)エチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンの質量比は80:20であり、モル換算での分子内環化反応率は82%となった。
【0033】
[実施例4]
温度計、コンデンサー、分留塔、ビグリュウ管を備えたフラスコに、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン34g(0.10モル)とメタンスルホン酸33μl(0.5モル%)、キシレン50mlを仕込み、キシレン還流下でヘキサメチルジシラザン8.0g(0.050モル)を6時間かけて滴下しながら、生成したトリメチルメトキシシラン及びキシレンを留出した。釜温155℃までキシレンを留出し、冷却後にフラスコ内反応液をガスクロマトグラフィーにて測定すると、生成した2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン:ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンの質量比は85:15であり、モル換算での分子内環化反応率は86%となった。
【0034】
[実施例5]
温度計、コンデンサー、分留塔、ビグリュウ管を備えたフラスコに、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン34g(0.10モル)とメタンスルホン酸33μl(0.5モル%)、キシレン50mlを仕込み、キシレン還流下でトリメチルシリルイミダゾール14g(0.10モル)を6時間かけて滴下しながら、生成したトリメチルメトキシシラン及びキシレンを留出した。釜温155℃までキシレンを留出し、冷却後にフラスコ内反応液をガスクロマトグラフィーにて測定すると、生成した2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン:ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンの質量比は55:45であり、モル換算での分子内環化反応率は57%となった。