【実施例】
【0043】
以下に、試験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
[試験例1]
上述したハイブリッド基板の製造方法の工程1〜工程8を以下の条件で行い、ハイブリッド基板を作製した。
(工程1)SOI基板として、直径150mm、厚さ525μm、47.5mmOF付きの基板を用意した。なお、シリコン活性層3等の厚さは作製するデバイスにもよるが、本試験例では表層から、第2シリコン酸化膜4(SiO
2);200nm/シリコン活性層3;380nm/第1シリコン酸化膜2(SiO
2);300nmとした(
図1(a))。なお、第2シリコン酸化膜4は、SOI基板のシリコン活性層を熱酸化して得た酸化膜であり、第1シリコン酸化膜2は、SOI基板の埋め込み酸化膜(Box層)である。また、SOI基板の外周にテラス部を幅2mmとなるように形成した。
(工程2)支持基板として、材質:サファイア、直径150mm、厚さ600μm、47.5mmOF付きのサファイア基板5を用意した。
(工程3)SOI基板及びサファイア基板5の貼り合わせる面を減圧窒素雰囲気中にて100Wのプラズマを照射することで活性化処理を行った。
(工程4)SOI基板とサファイア基板5とを室温(25℃)で貼り合わせた。
次に、SOI基板と支持基板の結合力を高める結合熱処理(工程5)と、上記貼り合わせ基板のシリコン基板1を研削して薄化する研削薄化処理(工程6)との組み合わせを2回繰り返して行った。
(工程5(1))貼り合わせ基板を150℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(1))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが150μmになるまで研削加工した。このときの研削加工条件は、1段目の研削で180μmまで薄くし、2段目の研削で更に150μm近くまで薄くし、最後に研磨で150μmに仕上げた。その結果、外観は良好であった。
なお、以降の試験例においても1回目の研削加工(工程6(1))において1段目の研削−2段目の研削−仕上げ研磨の手順で処理を行った。
貼り合わせ基板の外周のトリミング加工は行わなかった。
(工程5(2))貼り合わせ基板を150℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが50μmになるまで研削加工した。このときの研削加工条件は、シリコン基板1の厚さとして、1段目の研削で100μmまで薄くし、2段目の研削で更に50μmへ仕上げた。
その結果、貼り合わせ基板の外周部分に接合部からのシリコン基板1の剥離が認められた。
なお、以降の試験例においても2回目の研削加工(工程6(2))において1段目の研削−2段目の研削の手順で処理を行った。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、
図2に示すように、シリコン活性層3の外周部分に剥がれが認められた。
【0045】
[試験例2]
試験例1において、2回目の研削加工(工程6(2))を行わず、それ以外は試験例1と同様にして、ハイブリッド基板を作製した。その結果、シリコン活性層3の外周部分に剥がれが認められた。
【0046】
[試験例3]
試験例1において、2回目の結合熱処理(工程5(2))の熱処理温度を175℃にしたところ、貼り合わせ基板の外周部分に接合部からのシリコン基板1の剥がれが認められ、以降の処理を行わなかった。
【0047】
[試験例4]
試験例1において、1回目の結合熱処理(工程5(1))の熱処理温度を175℃にしたところ、貼り合わせ基板の外周部分に接合部からのシリコン基板1の剥がれが認められ、以降の処理を行わなかった。
【0048】
[試験例5]
試験例1において、外周トリミング以降の処理を以下の条件に変更して行った。
貼り合わせ基板の外周を1mmだけトリミングする加工を行った。
(工程5(2))貼り合わせ基板を170℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが50μmになるまで研削加工した。その結果、貼り合わせ基板の外観は良好であった。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外観は良好であった。
次いで、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
【0049】
[試験例6]
試験例1において、外周トリミング以降の処理を以下の条件に変更して行った。
貼り合わせ基板の外周を1mmだけトリミングする加工を行った。
(工程5(2))貼り合わせ基板を175℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板に基板の剥がれが認められた。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが50μmになるまで研削加工した。その結果、貼り合わせ基板の外周部分に接合部からのシリコン基板1の剥離が認められた。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、
図3に示すように、シリコン活性層3の外周部分に剥がれや浮きが認められた。
【0050】
[試験例7]
試験例1において、貼り合わせ工程(工程4)以降の処理を以下の条件に変更して行った。
(工程4)SOI基板とサファイア基板5とを100℃に加熱しながら、当接させ、貼り合わせた。
次に、SOI基板と支持基板の結合力を高める結合熱処理(工程5)と、上記貼り合わせ基板のシリコン基板1を研削して薄化する研削薄化処理(工程6)との組み合わせを2回繰り返して行った。
(工程5(1))貼り合わせ基板を150℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(1))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが150μmになるまで研削加工した。その結果、外観は良好であった。
貼り合わせ基板の外周のトリミング加工は行わなかった。
(工程5(2))貼り合わせ基板を175℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが50μmになるまで研削加工した。その結果、貼り合わせ基板の外周部分に接合部からのシリコン基板1の剥離が認められた。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外周部分に剥がれが認められた。研削加工時に研削ホイールが引っ掛かる状態となり、シリコン基板1を剥がす応力が作用するためと推定される。
【0051】
[試験例8]
試験例7において、工程5(2)の結合熱処理温度を200℃とし、2回目の研削加工処理(工程6(2))として、貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが80μmになるまで研削加工したところ、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。次いで、工程7、8として、試験例7と同様に、エッチングしてシリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外観は良好であった。最後に、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
【0052】
[試験例9]
試験例1において、貼り合わせ工程(工程4)以降の処理を以下の条件に変更して行った。
(工程4)SOI基板とサファイア基板5とを120℃に加熱しながら、当接させ、貼り合わせた。
次に、SOI基板と支持基板の結合力を高める結合熱処理(工程5)と、上記貼り合わせ基板のシリコン基板1を研削して薄化する研削薄化処理(工程6)との組み合わせを2回繰り返して行った。
(工程5(1))貼り合わせ基板を150℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(1))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが150μmになるまで研削加工した。その結果、外観は良好であった。
貼り合わせ基板の外周のトリミング加工は行わなかった。
(工程5(2))貼り合わせ基板を200℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが80μmになるまで研削加工した。その結果、貼り合わせ基板の外観は良好であった。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外観は良好であった。
次いで、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
【0053】
[試験例10]
試験例1において、貼り合わせ工程(工程4)以降の処理を以下の条件に変更して行った。
(工程4)SOI基板とサファイア基板5とを150℃に加熱しながら、当接させ、貼り合わせた。
次に、SOI基板と支持基板の結合力を高める結合熱処理(工程5)と、上記貼り合わせ基板のシリコン基板1を研削して薄化する研削薄化処理(工程6)との組み合わせを2回繰り返して行った。
(工程5(1))貼り合わせ基板を175℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(1))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが120μmになるまで研削加工した。その結果、貼り合わせ基板の外周部分に接合部からのシリコン基板1の剥離が認められた。
貼り合わせ基板の外周のトリミング加工は行わなかった。
(工程5(2))貼り合わせ基板を200℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが80μmになるまで研削加工した。その結果、貼り合わせ基板の外周部分に接合部からのシリコン基板1の剥離が認められた。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外周部分に剥がれが認められた。研削加工時に研削ホイールが引っ掛かる状態となり、シリコン基板1を剥がす応力が作用するためと推定される。
【0054】
[試験例11]
試験例10において、工程6(1)以降の処理を以下の条件に変更して行った。
(工程6(1))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが150μmになるまで研削加工した。その結果、外観は良好であった。
貼り合わせ基板の外周のトリミング加工は行わなかった。
(工程5(2))貼り合わせ基板を200℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが60μmになるまで研削加工した。その結果、貼り合わせ基板の外観は良好であった。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外観は良好であった。
次いで、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
【0055】
[試験例12]
試験例10において、工程6(1)以降の処理を以下の条件に変更して行った。
(工程6(1))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが200μmになるまで研削加工した。その結果、外観は良好であった。
貼り合わせ基板の外周のトリミング加工は行わなかった。
(工程5(2))貼り合わせ基板を200℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが75μmになるまで研削加工した。その結果、貼り合わせ基板の外観は良好であった。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外観は良好であった。
次いで、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
【0056】
[試験例13]
試験例1において、貼り合わせ工程(工程4)以降の処理を以下の条件に変更して行った。
(工程4)SOI基板とサファイア基板5とを175℃に加熱しながら、当接させ、貼り合わせた。
次に、SOI基板と支持基板の結合力を高める結合熱処理(工程5)と、上記貼り合わせ基板のシリコン基板1を研削して薄化する研削薄化処理(工程6)との組み合わせを2回繰り返して行った。
(工程5(1))貼り合わせ基板を175℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(1))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが150μmになるまで研削加工した。その結果、外観は良好であった。
貼り合わせ基板の外周のトリミング加工は行わなかった。
(工程5(2))貼り合わせ基板を200℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが50μmになるまで研削加工した。その結果、貼り合わせ基板の外観が良好である場合と、外周部分に接合部からのシリコン基板1の剥離が認められる場合とがあった。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、研削加工後の貼り合わせ基板の外観が良好なものはシリコン活性層3の外観は良好であった。一方、研削加工後の貼り合わせ基板の外周に剥がれが認められたものは、シリコン活性層3の外周部分に剥がれが認められた。外周部分に剥がれが認められる場合には、研削加工時に研削ホイールが引っ掛かる状態となり、シリコン基板1を剥がす応力が作用するためと推定される。
シリコン活性層3の良好なものについて、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
この試験例13の結果より、50μmまでの薄化は(研削時に外周の浮いた部分が引っ掛かり剥離を起こす可能性が高く)安定しているとは言いがたく、50μmよりも厚く残した方がよい。好ましくは60μm以上である。
【0057】
[試験例14]
試験例13において、2回目の研削加工処理(工程6(2))として、貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが75μmになるまで研削加工したところ、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。次いで、工程7、8として、試験例13と同様に、エッチングしてシリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外観は良好であった。最後に、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
【0058】
[試験例15]
試験例13において、2回目の研削加工処理(工程6(2))として、貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが85μmになるまで研削加工したところ、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。次いで、工程7、8として、試験例13と同様に、エッチングしてシリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外観は良好であった。最後に、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
【0059】
[試験例16]
試験例13において、貼り合わせ基板の外周を1mmだけトリミングする加工を行い、それ以外は試験例13と同様に、2回目の研削加工処理(工程6(2))まで行ったところ、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。次いで、工程7、8として、試験例13と同様に、エッチングしてシリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外観は良好であった。最後に、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
トリミング加工があると、シリコン活性層3の外周部分の剥がれ等がなく、有利であるが、試験例14、15のように、結合熱処理温度を増加させることで貼り合わせ基板の結合力が上がり、適切な研削加工を行えば、トリミング加工がなくても、基板外周の剥がれは生じない。
【0060】
[試験例17]
試験例1において、貼り合わせ工程(工程4)以降の処理を以下の条件に変更して行った。
(工程4)SOI基板とサファイア基板5とを225℃に加熱しながら、当接させ、貼り合わせた。
次に、SOI基板と支持基板の結合力を高める結合熱処理(工程5)と、上記貼り合わせ基板のシリコン基板1を研削して薄化する研削薄化処理(工程6)との組み合わせを2回繰り返し行った。なお、本試験例の条件では2回目の結合熱処理を省略した。
(工程5(1))貼り合わせ基板を225℃、24時間の結合熱処理を施した。その結果、貼り合わせ基板の外観は剥離等の異常なく、良好であった。なお、貼り合わせ基板の反りが大きく、以降の研削加工が難しかったが加工可能であった。
(工程6(1))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが150μmになるまで研削加工した。その結果、外観は良好であった。
貼り合わせ基板の外周のトリミング加工は行わなかった。
(工程5(2))上記1回目の結合熱処理によってSOI基板とサファイア基板5との間で十分な結合が得られることが分かったため、2回目の結合熱処理を省略した。
(工程6(2))貼り合わせ基板におけるシリコン基板1を厚さが50μmになるまで研削加工した。その結果、外観は良好であった。
(工程7)薄化後のシリコン基板1’を電子工業用混酸(鏡面化処理液SiエッチE、日本化成(株)製)を用いて、スピンエッチングして除去した。
(工程8)最後に露出した第1シリコン酸化膜2をフッ化水素水溶液によりエッチングして除去し、シリコン活性層3を露出させた。その結果、シリコン活性層3の外観は良好であった。
最後に、シリコン活性層3を厚さ280nmになるまで研磨して薄膜化し、SOI構造のハイブリッド基板を得た。
以上の結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
なお、SOI基板にテラス部(シリコン活性層の無い部分)が無い場合、例えば上記試験例14の条件であっても、貼り合わせ基板において、その外周部に接合できた部分と結合力が弱く剥がれる部分とができ、最終的に接合できた部分が島状に残るようになる場合がある。即ち、部分的な接合部分が最終的にハイブリッド基板においても島状にシリコンが残り、その島状シリコン部が後の工程で脱落し歩留り低下を生じる不具合となる場合がある。その不具合を防止するために、支持基板(サファイア基板5)のSOI基板と貼り合わされる面の所定幅の外周領域を中央部よりも凹むように薄くし、接合しないようにすることが好ましい。更に、SOI基板にテラス部を設けた場合でも、SOI基板のテラス部とサファイア基板5の未接合部(上記厚さを薄くした部分)の幅を同じにすることで、
図4に示すように、島状のシリコン部は形成されず、貼り合わせ基板の外周部に生じる不具合をより確実に防止できる。
また、試験例17に示すように、1回目の結合熱処理の温度が200℃以上250℃未満の場合にはその結合熱処理だけでSOI基板と支持基板とを十分に結合できるため、2回目の結合熱処理を省略することができる。この場合、工程5、6(結合熱処理、研削加工)の組み合わせが3回以上のときは2回目以降の結合熱処理を省略することができる。
【0063】
なお、これまで本発明を実施形態をもって説明してきたが、本発明はその実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。