特許第6168241号(P6168241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6168241-(メタ)アクリレート樹脂及び光学部材 図000016
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6168241
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】(メタ)アクリレート樹脂及び光学部材
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/30 20060101AFI20170713BHJP
   C08G 59/16 20060101ALI20170713BHJP
   C08F 299/02 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   C08F20/30
   C08G59/16
   C08F299/02
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-560023(P2016-560023)
(86)(22)【出願日】2016年4月21日
(86)【国際出願番号】JP2016062613
(87)【国際公開番号】WO2016181784
(87)【国際公開日】20161117
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-98216(P2015-98216)
(32)【優先日】2015年5月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】山田 駿介
(72)【発明者】
【氏名】服部 巌
(72)【発明者】
【氏名】出口 義信
(72)【発明者】
【氏名】亀山 裕史
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸生
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭55−012043(JP,B1)
【文献】 特開平08−259663(JP,A)
【文献】 特開2002−029912(JP,A)
【文献】 特開2004−346315(JP,A)
【文献】 特開2008−170767(JP,A)
【文献】 特開2009−069241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/00 − 20/70
C08G 59/00 − 59/72
C08F 283/01
C08F 290/00 − 290/14
C08F 299/00 − 299/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジグリシジルエーテル化合物(A)、(メタ)アクリル酸(B)、及び無水メタクリル酸(C)を必須の反応原料として反応させる(メタ)アクリレート樹脂の製造方法であって、前記(メタ)アクリル酸(B)と前記無水メタクリル酸(C)とのモル比[(B)/(C)]が1/9〜5/5の範囲であることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレート樹脂が、下記一般式(1)
【化1】
[式中Rは水素原子又はメチル基であり、Xは下記一般式(2−1)〜(2−8)
【化2】
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、nは1〜4の整数である。)
の何れかで表される構造部位であり、Yは水素原子又はメタクリロイル基である。]
で表される分子構造を有し、樹脂中に存在するYの少なくとも一つがメタクリロイル基である、請求項記載の(メタ)アクリレート樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記芳香族ジグリシジルエーテル化合物(A)中のエポキシ基1モルに対し、前記(メタ)アクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とを合計で0.9〜1.1モルの範囲で用いる請求項記載の(メタ)アクリレート樹脂の製造方法。
【請求項4】
請求項の何れか一つに記載の製造方法にて製造された(メタ)アクリレート樹脂と、光重合開始剤とを配合する硬化性組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項記載の製造方法にて製造された硬化性組成物を硬化させる硬化物の製造方法。
【請求項6】
請求項記載の製造方法にて製造された硬化性組成物を用いる光学部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化物における耐熱性や耐吸湿性、耐黄変性に優れる(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する光硬化性組成物とその硬化物、及び光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOS等のイメージセンサーに搭載されるオンチップレンズは、熱可塑性樹脂にドットパターンを賦し、これを熱フローにより球面レンズ形状化するメルト法にて製造されるものが広く利用されてきたが、球面レンズは色収差が大きいため、高精細・高感度化に限界があった。また、該メルト法では狭ギャップのレンズ賦形が難しい。色収差を低減し、かつ、狭ギャップのレンズ賦形を可能とする技術として、光硬化性樹脂を非球面レンズ形状の型により賦形する形状転写法が提案されている。光硬化性樹脂は(メタ)アクリロイル基等の光重合性基を有する樹脂やモノマー等からなり、低分子量成分を多く含むことにより低粘度化できるため、微細な形状賦形が可能な材料ではある。しかしながら、オンチップレンズ用途に利用するには耐熱性や耐湿性が十分でなく、黄変や変形を生じ易いものであった。
【0003】
耐吸湿性等に優れる光硬化性樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と無水メタクリル酸とを反応させて得られる光硬化性樹脂が知られている(特許文献1参照)。このような芳香環含有率の高い樹脂は比較的高い耐熱性を示すものの、オンチップレンズ用途に用いるには耐熱性及び耐湿性共に十分なものではなく、黄変や変形を生じ易いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−038029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、硬化物における耐熱性や耐吸湿性、耐黄変性に優れる(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する光硬化性組成物とその硬化物、及び光学部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、芳香族ジグリシジルエーテル化合物と、(メタ)アクリル酸及び無水メタクリル酸とを反応させて得られるメタアクリレート樹脂が、硬化物における耐熱性や耐吸湿性、耐黄変性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、芳香族ジグリシジルエーテル化合物(A)、(メタ)アクリル酸(B)、及び無水メタクリル酸(C)を必須の反応成分とする反応物であることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂に関する。
【0008】
本発明はさらに、下記一般式(1)
【0009】
【化1】
[式中Rは水素原子又はメチル基であり、Xは下記一般式(2−1)〜(2−8)
【0010】
【化2】
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、nは1〜4の整数である。)
の何れかで表される構造部位であり、Yは水素原子又はメタクリロイル基である。]
で表される分子構造を有し、樹脂中に存在するYの少なくとも一つがメタクリロイル基であることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂に関する。
【0011】
本発明はさらに、前記(メタ)アクリレート樹脂と、光重合開始剤とを含有する光硬化性組成物に関する。
【0012】
本発明はさらに、前記硬化性組成物の硬化物に関する。
【0013】
本発明はさらに、硬化性組成物を用いてなる光学部材に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、硬化物における耐熱性や耐吸湿性、耐黄変性に優れる(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する光硬化性組成物とその硬化物、及び光学部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施例1で得られた(メタ)アクリレート樹脂(1)のGPCチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の(メタ)アクリレート樹脂は、芳香族ジグリシジルエーテル化合物(A)、(メタ)アクリル酸(B)、及び無水メタクリル酸(C)を必須の反応成分とする反応物であることを特徴とする。即ち本発明は、芳香族ジグリシジルエーテル化合物(A)の(メタ)アクリレート化剤として(メタ)アクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とを併用することにより、従来の所謂エポキシアクリレート樹脂と比較して、硬化物における耐熱性や耐吸湿性、耐黄変性に優れる光硬化性樹脂材料の実現に成功したものである。
【0017】
本発明で用いる芳香族ジグリシジルエーテル化合物(A)は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂等が挙げられ、より具体的には、下記構造式(3−1)〜(3−8)
【0018】
【化3】
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Gはグリシジル基を表す。また、nは1〜4の整数である。)
の何れかで表される化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、硬化物における耐熱性や耐吸湿性、耐黄変性に優れるメタアクリレート樹脂が得られることから前記構造式(3−1)で表される化合物が好ましい。
【0019】
前記(メタ)アクリル酸(B)はアクリル酸又はメタクリル酸のどちらでも良く、両者を併用しても良い。中でも、硬化物における耐熱性に優れる(メタ)アクリレート樹脂となる点ではメタクリル酸が好ましい。また、硬化物を加熱した際にガスが生じ難い点ではアクリル酸が好ましい。
【0020】
本発明の(メタ)アクリレート樹脂の製造において、前記芳香族ジグリシジルエーテル化合物(A)、(メタ)アクリル酸(B)、及び無水メタクリル酸(C)の反応割合は、芳香族ジグリシジルエーテル化合物(A)中のエポキシ基1モルに対し、(メタ)アクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とを合計で0.9〜1.1モルの範囲で用いることが好ましい。
【0021】
また、硬化物における耐熱性や耐吸湿性、耐黄変性に優れるメタアクリレート樹脂となることから、(メタ)アクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とのモル比[(B)/(C)]の値が1/9〜6/4の範囲であることが好ましい。
【0022】
本発明において、(メタ)アクリレート樹脂の製造方法は特に限定されないが、例えば、芳香族ジグリシジルエーテル化合物(A)、(メタ)アクリル酸(B)、及び無水メタクリル酸(C)を、エステル化反応触媒と、酸化防止剤、重合禁止剤との存在下、必要に応じて有機溶媒を用い、100〜150℃の温度範囲で5〜12時間程度反応させる方法が挙げられる。
【0023】
このような方法にて製造される本発明の(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、下記一般式(1)
【0024】
【化4】
[式中Rは水素原子又はメチル基であり、Xは下記一般式(2−1)〜(2−8)
【0025】
【化5】
(式中Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、nは1〜4の整数である。)
の何れかで表される構造部位であり、Yは水素原子又はメタクリロイル基である。]
で表される分子構造を有し、樹脂中に存在するYの少なくとも一つがメタクリロイル基であるもの等が挙げられる。
【0026】
前記一般式(1)で表される分子構造を有する樹脂成分は、具体的には、下記一般式(1−1)〜(1−3)の何れかで表される化合物が挙げられる。
【0027】
【化6】
[式中Rは水素原子又はメチル基であり、Xは下記一般式(2−1)〜(2−8)
【0028】
【化7】
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、nは1〜4の整数である。)
の何れかで表される構造部位である。]
【0029】
本発明のメタアクリレート樹脂は、硬化物における耐熱性や耐吸湿性、耐黄変性に優れることから、原料の仕込み量から算出される(メタ)アクリロイル基当量が160〜230g/当量の範囲であることが好ましい。
【0030】
本発明の光硬化性組成物は前記メタアクリレート樹脂と光重合開始剤とを含有する。
【0031】
ここで用いる光重合開始剤は、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等の分子内結合開裂型光重合開始剤や、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等の分子内水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0032】
これら光重合開始剤の市販品は、例えば、「イルガキュア−184」、「イルガキュア−149」、「イルガキュア−261」、「イルガキュア−369」、「イルガキュア−500」、「イルガキュア−651」、「イルガキュア−754」、「イルガキュア−784」、「イルガキュア−819」、「イルガキュア−907」、「イルガキュア−1116」、「イルガキュア−1664」、「イルガキュア−1700」、「イルガキュア−1800」、「イルガキュア−1850」、「イルガキュア−2959」、「イルガキュア−4043」、「ダロキュア−1173」(チバスペシャルティーケミカルズ社製)、「ルシリンTPO」(ビーエーエスエフ社製)、「カヤキュア−DETX」、「カヤキュア−MBP」、「カヤキュア−DMBI」、「カヤキュア−EPA」、「カヤキュア−OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア−10」、「バイキュア−55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア−PDO」、「クオンタキュア−ITX」、「クオンタキュア−EPD」(ワードブレンキンソップ社製)等が挙げられる。
【0033】
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、光硬化性組成物100質量部に対し、1〜20質量部の範囲で用いる。
【0034】
本発明の光硬化性組成物は、この他、前記メタアクリレート樹脂以外のその他の(メタ)アクリレート化合物や、光増感剤、硬化促進剤、有機溶媒、非反応性樹脂、フィラー、無機充填剤、有機充填剤、カップリング剤、粘着付与剤、消泡剤、レベリング剤、密着助剤、離型剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、難燃剤、顔料、染料等の添加剤成分を含んでいてもよい。
【0035】
前記その他の(メタ)アクリレート化合物は、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−ノニルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、下記一般式(4)又は(5)で表されるフルオレン骨格含有モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物;
【0036】
【化8】
[式中、Xは水素原子又は水酸基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは直接結合又はメチレン基であり、mは0又は1である。]
【0037】
【化9】
[式中、2つのXはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基であり、2つのR1はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、R2は水素原子又はメチル基であり、m及びnはそれぞれ独立に0又は1である。]
【0038】
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ヒドロピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロイルメチル]ビフェニル、下記一般式(6)又は(7)で表されるフルオレン骨格含有ジ(メタ)アクリレート化合物等のジ(メタ)アクリレート化合物;
【0039】
【化10】
[式中、Xはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基であり、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rはそれぞれ独立に直接結合又はメチレン基であり、m及びnはそれぞれ独立に0又は1である。]
【0040】
【化11】
[式中、2つのXはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基であり、2つのR1はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、2つのR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、m及びnはそれぞれ独立に0又は1である。]
【0041】
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物;
【0042】
ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ビス(パラフェニルイソシアネート)プロパン、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物又はこれらのヌレート変性体と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセリンジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらその他の(メタ)アクリレート化合物はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0043】
本発明の光硬化性組成物はその硬化物において特に高い耐熱性、耐湿性及び耐黄変性を示すことから、電子部品や成形品用途、コーティング用途等様々な用途に用いることができる。特に、耐黄変性に優れる特徴を生かし、光学部材用途に好適に用いることができる。光学部材としては、例えば、眼鏡レンズ、CCDやCMOS等のイメージセンサー用オンチップレンズ、フレネルレンズ、プリズムレンズ等のプラスチックレンズ、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、光ファイバー、光導波路、ホログラム、プリズムレンズ、LED封止材料、太陽光電池用コーティング材等が挙げられる。
【0044】
前記オンチップレンズやプリズムレンズは、例えば、レンズパターンが形成された金型あるいは樹脂型等の賦形型を用いた形状転写法により製造される。具体的には、賦形型に光硬化性組成物を塗布し、組成物表面に透明基材を重ね合わせ、該透明基材側から活性エネルギー線を照射し、硬化させる方法が挙げられる。ここで用いる透明基材は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂からなるプラスチック基材や、ガラス等が挙げられる。
【0045】
該方法で製造したレンズシートは、透明基材に貼着されたまま使用することもできるし、透明基材を剥離してレンズ単独の状態で使用してもよい。透明基材に貼着されたまま使用する場合には、レンズと透明基材との接着性を高める目的で透明基材表面にプライマー処理等の接着性向上処理を施しておくことが好ましい。一方、透明基材を剥離して使用する場合には、該透明基材が容易に剥離できるように、透明基材の表面をシリコーンやフッ素系の剥離剤で処理をしておくことが好ましい。
【0046】
本発明の光硬化性組成物をこのような賦形レンズ用に用いる場合には、本発明のメタアクリレート樹脂と前記その他の(メタ)アクリレート化合物とを併用し、光硬化性組成物の粘度(25℃)を100mPa・s〜800mPa・sとなる範囲に調整することが望ましい。用いるその他の(メタ)アクリレート化合物は、所望の性能により適宜選択されるが、例えば、硬化物における屈折率が1.5560以上となるように調整されることが好ましい。
【実施例】
【0047】
以下に、実施例および比較例をもって本発明をより詳しく説明する。
【0048】
実施例1 (メタ)アクリレート樹脂(1)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850−S」エポキシ当量187g/当量)374質量部を仕込み、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.2質量部加えた後、メタクリル酸86質量部、無水メタクリル酸154質量部、トリフェニルフォスフィン1.8質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で10時間エステル化反応させ、(メタ)アクリレート樹脂(1)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(1)の原料の仕込み量から算出される(メタ)アクリロイル基当量は205g/当量であった。なお、メタクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とのモル比[(B)/(C)]は5/5。
【0049】
実施例2 (メタ)アクリレート樹脂(2)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850−S」エポキシ当量187g/当量)374質量部を仕込み、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.2質量部加えた後、メタクリル酸52質量部、無水メタクリル酸216質量部、トリフェニルフォスフィン1.8質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で10時間エステル化反応させ、(メタ)アクリレート樹脂(2)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(2)の原料の仕込み量から算出される(メタ)アクリロイル基当量は188g/当量であった。なお、メタクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とのモル比[(B)/(C)]は3/7。
【0050】
実施例3 (メタ)アクリレート樹脂(3)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850−S」エポキシ当量187g/当量)374質量部を仕込み、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.7質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.2質量部加えた後、メタクリル酸17質量部、無水メタクリル酸278質量部、トリフェニルフォスフィン2.0質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で10時間エステル化反応させ、(メタ)アクリレート樹脂(3)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(3)の原料の仕込み量から算出される(メタ)アクリロイル基当量は176g/当量であった。なお、メタクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とのモル比[(B)/(C)]は1/9。
【0051】
実施例4 (メタ)アクリレート樹脂(4)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850−S」エポキシ当量187g/当量)374質量部を仕込み、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.2質量部加えた後、アクリル酸72質量部、無水メタクリル酸154質量部、トリフェニルフォスフィン1.8質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で10時間エステル化反応させ、(メタ)アクリレート樹脂(4)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(4)の原料の仕込み量から算出される(メタ)アクリロイル基当量は200g/当量であった。なお、アクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とのモル比[(B)/(C)]は5/5。
【0052】
実施例5 (メタ)アクリレート樹脂(5)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850−S」エポキシ当量187g/当量)374質量部を仕込み、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.2質量部加えた後、アクリル酸43質量部、無水メタクリル酸216質量部、トリフェニルフォスフィン1.8質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で10時間エステル化反応させ、(メタ)アクリレート樹脂(5)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(5)の原料の仕込み量から算出される(メタ)アクリロイル基当量は186g/当量であった。なお、アクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とのモル比[(B)/(C)]は3/7。
【0053】
実施例6 (メタ)アクリレート樹脂(6)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850−S」エポキシ当量187g/当量)374質量部を仕込み、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.7質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.2質量部加えた後、アクリル酸14質量部、無水メタクリル酸278質量部、トリフェニルフォスフィン2.0質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で10時間エステル化反応させ、(メタ)アクリレート樹脂(6)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(6)の原料の仕込み量から算出される(メタ)アクリロイル基当量は175g/当量であった。なお、アクリル酸(B)と無水メタクリル酸(C)とのモル比[(B)/(C)]は1/9。
【0054】
比較製造例1 (メタ)アクリレート樹脂(1’)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850−S」エポキシ当量187g/当量)374質量部を仕込み、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.2質量部加えた後、メタクリル酸172質量部、トリフェニルフォスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で10時間エステル化反応させ、(メタ)アクリレート樹脂(1’)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(1’)の原料の仕込み量から算出される(メタ)アクリロイル基当量は273g/当量であった。
【0055】
比較製造例2 (メタ)アクリレート樹脂(2’)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850−S」エポキシ当量187g/当量)374質量部を仕込み、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.2質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルフォスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で10時間エステル化反応させ、(メタ)アクリレート樹脂(2’)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(2’)の原料の仕込み量から算出される(メタ)アクリロイル基当量は259g/当量であった。
【0056】
実施例7〜12、比較例1、2
実施例1〜6及び比較製造例1、2で得た(メタ)アクリレート樹脂を用いて下記要領で硬化性組成物及び硬化物を調製し、各種評価試験を行った。結果を表1に示す。
【0057】
硬化性組成物の調製
(メタ)アクリレート樹脂100gに光重合開始剤(BASF社製『イルガキュア184D』)1gを添加し、硬化性組成物を調製した。
【0058】
ガラス転移温度の測定
先で得た硬化性組成物をアクリル板上に膜厚が100μmとなるように塗布し、高圧水銀ランプで2000mJ/cmの紫外線を照射して硬化物を得た。
得られた硬化物から6mm×25mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSA−G2」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度として評価した。
【0059】
吸水率の測定
ガラス転移温度の測定で用いたものと同様の硬化物から6mm×25mmの試験片を切り出し、これを23℃の水に24時間浸漬させた。浸漬前後の重量変化率を吸水率として評価した。
【0060】
耐黄変性の評価
先で得た硬化性組成物をガラス板上に膜厚が100μmとなるように塗布し、高圧水銀ランプで2000mJ/cmの紫外線を照射して積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムを265℃のオーブンで3分加熱した。加熱前後の試験片について420nm光の透過率(%)を測定し、両値の差分で評価した。
【0061】
発生ガスの評価
先で得た硬化性組成物をガラス板上に膜厚が100μmとなるように塗布し、高圧水銀ランプで1000mJ/cm又は2000mJ/cmの紫外線を照射して積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムを265℃のホットプレート上で3分加熱した。その際にガスが発生するか目視観察して評価した。ガス未発生:○、ガス発生かつ発泡あり:×
【0062】
【表1】
図1