(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸素含有ガスを供給しながら触媒の存在下でメタノールと水を接触させることによって反応ガスを製造し、当該反応ガスから水素ガスを分離することによって水素ガスを製造する方法であって、前記触媒として酸化銅/酸化アルミニウム触媒を用い、前記酸化銅/酸化アルミニウム触媒をあらかじめ還元させた後に使用してメタノールの酸化反応と、当該酸化反応と並行してメタノールの分解反応とを少なくとも行ない、当該酸化反応及び分解反応に際し、酸素含有ガスの供給を一時的に停止するものであり、前記メタノールの酸化反応が式(1):
CH3OH + 0.5O2 → CO2 + 2H2 (1)
で表わされるメタノールの酸化反応であり、前記メタノールの分解反応が式(2)および(3):
CH3OH → CO + 2H2 (2)
CH3OH + H2O → CO2 + 3H2 (3)
で表わされるメタノールの分解反応であることを特徴とする水素ガスの製造方法。
酸素含有ガスの供給を開始する時点から、当該酸素含有ガスの供給を停止させた後、次の酸素含有ガスの供給を開始するまでの1周期に要する時間に対する酸素含有ガスの供給を停止させる時間の比率が30%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の水素ガスの製造方法。
【背景技術】
【0002】
メタノールは、輸送や貯蔵が容易なエネルギー源であり、オンサイトで水素ガスを発生させるための原料として期待されている。メタノールから水素ガスを製造する方法として、一般に、メタノールを酸素含有ガスの雰囲気中で触媒の存在下で水蒸気と接触させることによって水素ガスを製造する水蒸気改質法が知られている。水蒸気改質法のなかでは、オートサーマル法が、水素ガスを効率よく製造することができる方法として知られている。前記オートサーマル法では、メタノールを部分的に酸化させて二酸化炭素と水素ガスに改質する際に発生する熱を、メタノールを水蒸気と接触させることによって二酸化炭素と水素ガスに改質する吸熱反応に利用する。しかし、前記オートサーマル法において、触媒として銅−亜鉛系触媒を用いた場合、当該触媒の活性が低下するという欠点がある。
【0003】
前記欠点を解消する方法として、触媒の活性低下率が所定値に到達したときに、当該触媒への酸素含有ガスの供給を一時的に停止する方法が提案されている(例えば、特許文献1の段落[0010]参照)。この方法によれば、酸素含有ガスの供給を一時的に停止することにより、触媒の活性低下が抑制される。しかし、この方法には、触媒の活性低下率が所定値に到達したときに当該記触媒への酸素含有ガスの供給を一時的に停止することによって触媒を再生させるという再生操作を繰り返したときに、特許文献1の
図3の符号16で示されるように、触媒活性が再生操作前の触媒活性よりも大きく低下するという欠点がある。さらに、この方法には、特許文献1の
図3に示されるように、水素濃度が所定値に到達したときに酸素含有ガス(空気)の流量の増大、停止、通気、停止および通気という煩雑な操作を必要とするという欠点がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一般に、酸素含有ガスを供給しながらメタノールと水および酸素含有ガスとを触媒の存在下で接触させることによって反応ガスを製造し、当該反応ガスから水素ガスを分離することによって水素ガスを製造する方法において、酸素含有ガスの供給を一時的に停止することによって触媒を再生させるという触媒の再生操作を行なったとき、特許文献1に記載されているように、触媒活性の低下をある程度抑制することができる。しかし、かかる方法において、当該再生操作を繰り返した場合には、触媒活性が再生操作前の触媒活性よりも大きく低下する。
【0009】
そこで、本発明者らは、従来の触媒の再生操作に鑑みて鋭意研究を重ねたところ、種々ある触媒のなかで酸化銅/酸化アルミニウム触媒を用いるとともに、水素ガスの製造時に酸素含有ガスの供給を一時的に停止させた場合には、意外なことに、特許文献1に記載のような酸素含有ガス(空気)の流量の増量、停止、通気、停止および通気という煩雑な操作を採らなくても触媒活性の低下を抑制しつつ、一定量の水素ガスを長時間にわたって安定して製造することができるとともに、触媒寿命を延ばすことができることが見出された。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
本発明の水素ガスの製造方法では、酸素含有ガスを供給しながらメタノールおよび水と酸素含有ガスとを触媒の存在下で接触させることによって反応ガスを製造し、当該反応ガスから水素ガスを分離することによって水素ガスが製造される。
【0011】
メタノールおよび水は、通常、気化させることによって用いられる。メタノール1モルあたりの水の量は、水素ガスを効率よく生成させるとともに一酸化炭素ガスの残存量を低減させることによって水素ガスの収率を高める観点から、好ましくは1.2モル以上、より好ましくは1.5モル以上であり、水の量が多くなり過ぎても水素ガスの収率があまり向上せず、蒸発潜熱が大きい水の量を低減させることによってエネルギー効率を高める観点から、好ましくは2.5モル以下、より好ましくは2.0モル以下である。
【0012】
なお、メタノールと水とを、必ずしも同時に加熱する必要がなく、メタノールの蒸発と水の蒸発とを別々に分けて行なってもよく、あるいはメタノールと水とを混合し、得られたメタノール水溶液を蒸発させてもよい。
【0013】
本発明においては、通常、メタノールはメタノールガスとして用いられ、水は水蒸気として用いられる。酸素含有ガスと接触させる際のメタノールガスおよび水蒸気の温度は、メタノールの酸化反応を促進させるとともに未反応のメタノールの残存量を低減させる観点から、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上であり、エネルギー効率を高めるとともに、水素ガスの収率を向上させる観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下である。
【0014】
メタノールおよび水と酸素含有ガスとを接触させたとき、式(1):
CH
3OH + 0.5O
2 → CO
2 + 2H
2 (1)
で表されるように、メタノールが酸化し、水素ガスと二酸化炭素ガスが生成する。このメタノールの酸化反応は、発熱反応であるため、系内の温度が上昇する。
【0015】
また、このメタノールの酸化反応と並行してメタノールの一部は、酸素ガスが関与することなく、式(2):
CH
3OH → CO + 2H
2 (2)
で表されるように、一酸化炭素ガスと水素ガスに分解したり、式(3):
CH
3OH + H
2O → CO
2 + 3H
2 (3)
で表されるように、二酸化炭素ガスと水素ガスに分解したりする。これらの分解反応は、いずれも吸熱反応であることから、前記酸化反応で発生した熱の一部が打ち消される。その結果、系内の温度は、前記酸化反応のみが起こる場合の温度と対比して、幾分かは低い温度となる。また、これらの反応以外にも、式(4):
CO + H
2O → CO
2 + H
2 (4)
で表されるシフト反応が起こると考えられている。
【0016】
酸素含有ガスは、メタノールおよび水と対比して熱容量が小さいので、特に加熱しなくてもよいが、必要により、加熱してもよい。
【0017】
酸素含有ガスとしては、例えば、空気、酸素ガスなどをはじめ、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0018】
メタノール1モルあたりの酸素含有ガスに含まれている酸素ガスの量は、未反応のメタノールの残存量を低減させる観点から、好ましくは0.05モル以上、より好ましくは0.1モル以上であり、メタノールから生成した水素ガスと酸素ガスとの反応によって反応温度が高くなることを回避するとともに、生成した水素ガスが酸素ガスとの反応によって消費されることを回避する観点から、好ましくは0.25モル以下、より好ましくは0.2モル以下である。
【0019】
原料ガスと酸素含有ガスとを反応させる際には、水素ガスの製造効率を高める観点から、触媒が用いられる。
【0020】
本発明においては、触媒として酸化銅/酸化アルミニウム触媒を用いる点に、1つの大きな特徴がある。本発明では、触媒として酸化銅/酸化アルミニウム触媒が用いられているので、特許文献1に記載の発明のような煩雑な酸素含有ガスの流量の調節操作を行なわなくても水素ガスを長時間にわたって効率よく製造することができるとともに、触媒を長寿命化させることができる。また、触媒として酸化銅/酸化アルミニウム触媒を用いた場合には、600℃程度の高温に加熱された場合であっても、シンタリングが起こりにくいという利点がある。
【0021】
酸化銅/酸化アルミニウム触媒は、担体の酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子に酸化銅(CuO)を付着させたものである。酸化銅(CuO)と酸化アルミニウム(Al
2O
3)との質量比〔酸化銅(CuO)/酸化アルミニウム(Al
2O
3)〕は、添加剤としての酸化銅(CuO)の触媒活性が充分に発揮されるようにする観点から、0.005以上であることが好ましく、添加された酸化銅(CuO)に充分な機械的強度を付与し、使用中に酸化銅(CuO)が触媒上から粉体として脱離しないようにする観点から、1以下であることが好ましい。
【0022】
なお、酸化銅/酸化アルミニウム触媒は、その使用に先立って還元させることが好ましい。酸化銅/酸化アルミニウム触媒を還元させた場合には、酸化銅が銅に還元されることから、触媒活性を高めることができる。酸化銅/酸化アルミニウム触媒を還元させる方法としては、例えば、酸化銅/酸化アルミニウム触媒を還元性ガスと接触させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。還元性ガスとしては、例えば、水素ガスをはじめ、水素ガスと窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスとの混合ガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0023】
酸化銅/酸化アルミニウム触媒の粒子径は、触媒粒子間の通気性を高める観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、酸化銅/酸化アルミニウム触媒と、メタノールガス、水蒸気および酸素含有ガスとの接触効率を高める観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。
【0024】
酸化銅/酸化アルミニウム触媒の量は、通常、一般に使用されている反応ガス製造器に送られるメタノール1g/分あたり20〜300ml程度であることが好ましい。
【0025】
酸化銅/酸化アルミニウム触媒において、酸素含有ガスとの接触によって酸化反応が起こる箇所では、経時とともに反応温度が上昇するようになる。その際、式(2)〜(4)で表される反応は、酸化銅/酸化アルミニウム触媒をあらかじめ還元させておいた還元体である銅/酸化アルミニウム(Cu/Al
2O
3)上で進行する。しかし、銅/酸化アルミニウム(Cu/Al
2O
3)は、次第に酸素含有ガスによって酸化され、酸化銅/酸化アルミニウム(CuO/Al
2O
3)となる。その結果、式(2)〜(4)で表される反応が進行しがたくなることから、式(1)で表されるメタノールの酸化反応が優先的に起こるので、発熱が顕著に現れ、反応温度が次第に高くなっていくため、触媒寿命が短くなるものと考えられる。
【0026】
これについて、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、触媒として酸化銅/酸化アルミニウム触媒を用いつつ、酸素含有ガスの供給を一時的に停止すればよいことが見出された。このように酸化銅/酸化アルミニウム触媒への酸素含有ガスの供給を一時的に停止した場合には、酸素含有ガスに含まれている酸素ガスによるメタノールの酸化反応が次第に停止するので反応温度が低下するとともに、反応系内における酸素ガスの量が少なくなる。そのため、銅/酸化アルミニウムが酸素ガスによって酸化されがたくなる。加えて、酸化銅/酸化アルミニウム触媒がメタノールと接触することによって還元されるので、酸化銅/酸化アルミニウム触媒に用いられている酸化銅/酸化アルミニウムが触媒活性を有する銅/酸化アルミニウムに還元される。したがって、酸化銅/酸化アルミニウム触媒の触媒活性が回復するものと考えられる。
【0027】
前記反応温度は、メタノールを効率よく水素に改質させる観点から、好ましくは300℃以上であり、生成した水素と酸素含有ガスに含まれている酸素とが反応することを抑制する観点から、好ましくは450℃以下である。また、反応の際の圧力は、特に限定されないが、通常、ゲージ圧で0.2〜1.5MPa程度であることが好ましい。
【0028】
酸素含有ガスの供給を一時的に停止することにより、酸化銅/酸化アルミニウム触媒の温度が低下する。酸素含有ガスの供給の停止後に酸素含有ガスの供給を再開したときには、酸化銅/酸化アルミニウム触媒に用いられている酸化銅/酸化アルミニウムが銅/酸化アルミニウムに還元されていることから、酸化銅/酸化アルミニウム触媒の触媒活性が回復している。したがって、反応温度が短時間で酸素含有ガスの供給を停止する前の温度に復帰し、再度、水素ガスを効率よく製造することができる。
【0029】
酸素含有ガスの供給の開始から当該酸素含有ガスの供給の停止に至るまでの時間は、酸素含有ガスの供給の停止期間中に低下する触媒温度を、その停止前の温度付近まで戻す観点から、好ましくは10秒間以上、より好ましくは20秒間以上であり、メタノールから発生する水素ガスの量を安定化させるとともに、酸素含有ガスの停止期間中であっても触媒温度が一定温度以上となるように維持する観点から、好ましくは10分間以下、より好ましくは5分間以下である。
【0030】
酸素含有ガスの供給を停止させる時間は、酸化銅/酸化アルミニウム触媒に用いられている酸化銅/酸化アルミニウムを銅/酸化アルミニウムに還元させることによって酸化銅/酸化アルミニウム触媒の触媒活性を回復させる観点から、好ましくは3秒間以上、より好ましくは5秒間以上であり、酸素含有ガスの供給を停止させる時間を短くすることによって水素ガスを効率よく製造する観点から、好ましくは60秒間以下、より好ましくは40秒間以下である。
【0031】
酸素含有ガスの供給を開始する時点から、当該酸素含有ガスの供給を停止させた後、次の酸素含有ガスの供給を開始するまでの1周期に要する時間に対する酸素含有ガスの供給を停止させる時間の比率、すなわち、式(I):
〔酸素ガス停止時間の比率〕
=〔(酸素ガスの供給を停止する時間)÷(1周期に要する時間)〕×100 (I)
で表される酸素ガス停止時間の比率は、酸化銅/酸化アルミニウム触媒の触媒活性を充分に回復させるとともに水素ガスを効率よく製造する観点から、30%以下であることが好ましい。例えば、前記1周期に要する時間を10秒間としたとき、酸素含有ガスを供給する時間が7秒間以上であり、酸素含有ガスの供給を停止する時間が3秒間以下であることが好ましい。
【0032】
前記操作によって得られた反応ガスには、水素ガスのほか、未反応メタノールの蒸気、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、水蒸気などの不純物ガスが含まれている。そこで、高純度を有する水素ガスを製造するために、前記で得られた反応ガスから当該反応ガスに含まれている水素ガスが分離される。
【0033】
水素ガスを分離する際には、例えば、吸着剤を用いることができる。吸着剤としては、例えば、二酸化炭素、メタノールなどを除去する場合には、炭素系吸着剤などが挙げられ、一酸化炭素を除去する場合には、ゼオライトなどが挙げられ、また水蒸気などを除去する場合には、アルミナなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。通常、これらの吸着剤は、未反応メタノールの蒸気、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、水蒸気などの不純物ガスを吸着することによって除去するために、混合して用いることが好ましい。
【0034】
水素ガスの分離は、より具体的には、例えば、特開2004−66125号公報に記載の目的ガスの分離方法などに準じて行なうことができる。
【0035】
一方、吸着除去された不純物ガスは、例えば、水素ガスの製造を停止した後、残存ガスとして回収することができる。残存ガスには、不純物ガスのほか水素ガスが含まれている。残存ガスは、廃棄ガスとして処分したり、廃棄したりするのではなく、燃焼することによって残存ガスの有効利用を図ることが好ましい。残存ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱を利用してメタノールおよび水を加熱すれば、メタノールガスおよび水蒸気を効率よく製造することができる。また、残存ガスの燃焼熱により、反応式(2)〜(4)で表される反応における吸熱反応の際の熱を補完することができることから、効率よく水素ガスを生成させることができる。
【0036】
残存ガスを燃焼する際には、触媒を用いることが好ましい。触媒の中では、触媒活性が高く、耐熱性に優れていることから、白金触媒が好ましい。白金触媒は、白金粒子であってもよく、アルミナ粒子などの担体に白金が担持されたものであってもよく、あるいはハニカム構造を有する担体に白金が担持されたものであってもよい。残存ガスを燃焼する際には、残存ガスを燃焼させるために空気を用いることが好ましい。空気の量は、残存ガスに含まれている水素ガスが充分に燃焼する量であればよく、特に限定されない。残存ガスを燃焼させることによって発生する燃焼ガスの温度は、この空気量で制御することができることから、当該空気量を制御することによって燃焼ガスの温度を調節することができる。また、燃焼ガスの温度は、発生した燃焼ガスに空気を導入することによって調節することもできる。
【0037】
残存ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱によるメタノールおよび水の加熱温度は、未反応のメタノールの残存量を少なくして水素ガスの発生量を増大させる観点から、好ましくは250℃以上であり、触媒の劣化を抑制する観点から、好ましくは600℃以下である。
【0038】
なお、残存ガスを燃焼する際には、一般に、白金触媒をはじめとする次のような燃焼触媒を用いることができる。燃焼触媒としては、例えば、白金をはじめ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀などの貴金属やこれらの金属の化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。燃焼触媒は、例えば、メタルハニカム、セラミックハニカム、ボールペレットなどに付着させて用いることができる。
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、触媒として酸化銅/酸化アルミニウム触媒を用い、酸素含有ガスの供給を一時的に停止するという操作が採られているので、煩雑な酸素含有ガスの流量の調節操作を必要とせずに、一定量の水素ガスを長時間にわたって製造することができるとともに、触媒寿命を延ばすことができる。
【実施例】
【0040】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
実施例1
長さ20cm、内径2.3cmの反応器内に、酸化銅/酸化アルミニウム触媒[アルドリッチ社製、酸化銅(CuO)と酸化アルミニウム(Al
2O
3)との質量比〔酸化銅(CuO)/酸化アルミニウム(Al
2O
3)〕:12/88]を充填した後、水素ガスを含む窒素ガスを約10時間反応器内に導入することにより、酸化銅/酸化アルミニウム触媒を賦活させた。
【0042】
反応器の内温を300℃に制御し、当該反応器内に、メタノールおよび水をそれぞれ3.8g/分および3.0g/分の流量で導入するとともに、空気を標準状態(NTP)で2.2L/分の流量で導入する操作を90秒間行なった後、空気を導入する操作を10秒間停止する操作を1周期として周期的に繰り返した。そのとき、水/メタノールのモル比は1.44/1、酸素/メタノールのモル比は0.16/1であった。また、式(I)で表される酸素ガス停止時間の比率は、10%であった。なお、反応器内のゲージ圧を0.8MPaに制御した。その間、反応器内の最高温度および水素濃度を調べた。水素濃度は、反応器からの排出される反応ガスをガスクロマトグラフィで分析することによって調べた。それらの結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示された結果から、実施例1によれば、煩雑な酸素含有ガスの流量の調節操作を必要とせずに、一定した水素濃度を有する反応ガスを長時間にわたって安定して製造することができることがわかる。また、一定した水素濃度を有する反応ガスが長時間にわたって安定して生成していることから、触媒活性の低下が小さく、触媒寿命を延ばすことができていることがわかる。
【0045】
実施例2
実施例1において、空気を標準状態で2.2L/分の流量で10分間通気した後、当該空気の通気を60秒間停止する操作を1周期として周期的に繰り返したこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。そのとき、式(I)で表される酸素ガス停止時間の比率は、約9%であった。
その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示された結果から、実施例2によれば、実施例1から空気の通気時間および通気の停止時間を変化させても、空気の通気を停止するという操作が採られているので、煩雑な酸素含有ガスの流量の調節操作を必要とせずに、一定量の水素ガスを長時間にわたって製造することができることがわかる。また、一定した水素濃度を有する反応ガスが長時間にわたって安定して生成していることから、触媒活性の低下が小さく、触媒寿命を延ばすことができていることがわかる。
【0048】
比較例1
実施例1において、空気を標準状態で2.0L/分の一定流量で供給したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行なった。その結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
表3に示された結果から、比較例1によれば、空気の供給を継続して行なった場合には、経時とともに反応温度が高くなり、水素濃度が低下することがわかる。また、水素濃度が低下していることから、触媒活性が低下し、触媒寿命が短くなっていることがわかる。
【0051】
以上の結果から、実施例1および2によれば、煩雑な酸素含有ガスの流量の調節操作を必要とせずに、一定量の水素ガスを長時間にわたって安定して製造することができるとともに、触媒寿命を延ばすことができることがわかる。