(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1の領域の温度、前記第2の領域の温度、及び前記第3の領域の温度が実質的に同一となるよう、前記第1のヒータ電源、前記第2のヒータ電源、及び前記第3のヒータ電源を制御する、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
前記制御部は、プラズマ処理時に、前記第1の領域の温度、前記第2の領域の温度、及び前記第3の領域の温度が所定の温度となるよう、前記第1のヒータ電源、前記第2のヒータ電源、及び前記第3のヒータ電源を制御する、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
前記制御部は、前記第1の領域の前記複数のガス吐出口から吐出される第1のガス、前記第2の領域の前記複数のガス吐出口から吐出される第2のガス、及び前記第3の領域の前記複数のガス吐出口から吐出される第3のガスそれぞれに含まれるエッチング性ガスの量に対する堆積性ガスの量の多さに応じて、前記第1の領域の温度、前記第2の領域の温度、及び前記第3の領域の温度のそれぞれが高くなるよう、前記第1のヒータ電源、前記第2のヒータ電源、及び前記第3のヒータ電源を制御する、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0027】
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す断面図である。
図1に示すプラズマ処理装置10は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置10は、処理容器12を備えている。処理容器12は、略円筒状の容器であり、その内部に処理空間PSを画成している。この処理空間PSは、排気装置VSによって減圧可能となっている。
【0028】
処理空間PS内には、載置台14が設けられている。載置台14は、基台14a及び静電チャック14bを含んでいる。基台14aは、アルミニウムといった導電性の部材から構成されており、略円盤形状を有している。基台14aの上面の周縁領域には、被処理体(以下、「ウエハW」という)のエッジを囲むように、フォーカスリングFRが設けられている。また、基台14aの上面の中央領域には、静電チャック14bが設けられている。
【0029】
静電チャック14bは、例えば、絶縁膜の内層として設けられた電極膜を有し、略円盤形状を有している。静電チャック14bには、直流電源からスイッチを介して電極膜に供給される直流電圧により静電力を発生して、ウエハWを吸着する。静電チャック14bの上面は、ウエハWを載置するための載置領域を構成している。ウエハWは、載置領域の中心を上下方向に通過する軸線AXに、その中心が略一致するよう、静電チャック14bの載置領域に載置される。
【0030】
基台14aは、下部電極を構成している。この基台14aには、プラズマ生成用の高周波電力を発生する高周波電源HFSが、第1の整合器MU1を介して接続されている。高周波電源HFSは、例えば、周波数100MHzの高周波電力を発生する。また、第1の整合器MU1は、当該第1の整合器MU1の出力インピーダンスと負荷側(下部電極側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。なお、高周波電源HFSは、上部電極を構成する上部電極構造USに接続されていてもよい。
【0031】
また、基台14aには、イオン引き込み用の高周波バイアス電力を発生する高周波電源LFSが、第2の整合器MU2を介して接続されている。高周波電源LFSは、例えば、周波数3.2MHzの高周波電力を発生する。また、第2の整合器MU2は、当該第2の整合器MU2の出力インピーダンスと負荷側(下部電極側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
【0032】
載置台14の上には、処理空間PSを介して当該載置台14と対面するように、上部電極構造USが設けられている。この上部電極構造USは、処理空間PS内にガスを導入するシャワーヘッドとしも機能する。プラズマ処理装置10では、上部電極構造USからガスが導入され、基台14aに高周波電力が供給されると、上部電極構造USと基台14aの間に、高周波電界が形成され、処理空間PS内にプラズマが発生するようになっている。また、一実施形態において、上部電極構造USには、直流電源NPが接続されている。直流電源NPは、上部電極構造US、例えば、後述する第1のプレート16に負の直流電圧を印加することができる。なお、上部電極構造USの詳細については後述する。
【0033】
また、上部電極構造US上には、電磁石30が搭載されている。電磁石30は、コア部材32、及び、コイル34及びコイル35を備えている。コア部材32は、ベース部40、及び、複数の円筒部41〜43が一体形成された構造を有しており、磁性材料から構成されている。ベース部40は、略環状板形状を有しており、その中心軸線が軸線AXに略一致するように設けられている。ベース部40の下面からは、複数の円筒部41〜43が下方に延び出している。円筒部41〜43の各々は、円筒形状を有しており、それらの中心軸線が軸線AXと一致するように設けられている。円筒部42は円筒部41の外側に設けられており、円筒部43は円筒部42の外側に設けられている。これら円筒部41〜43の下端は、ウエハWのエッジよりも外側上方に位置している。
【0034】
円筒部41と円筒部42の間には、溝が画成されている。この溝には、円筒部41の外周面に沿って巻き回されたコイル34が収容されている。円筒部42と円筒部43の間にも溝が画成されており、当該溝には、円筒部42の外周面に沿って巻き回されたコイル35が収容されている。コイル34の両端、及び、コイル35の両端にはそれぞれ、電流源が接続されている。電流源からコイル34及び/又はコイル35に電流を与えると、処理空間PS内の電磁石30の下方の領域において、軸線AXに対して放射方向に沿った水平磁界成分を含む磁界が生成される。
【0035】
プラズマ処理装置10では、軸線AX近傍の領域でプラズマ密度が大きくなり、軸線AXから離れるにつれてプラズマ密度が小さくなるプラズマ密度分布が生じることがある。電磁石30によって生成される磁界は、このようなプラズマ密度分布を均一化することを可能とする。即ち、電磁石30によって上述した水平磁界成分をもつ磁界が形成されると、当該水平磁界成分に基づくローレンツ力を電子が受ける。これにより、電子は、軸線AXに対して周方向にドリフト運動を行う。上述したように、円筒部41〜43の下端は、ウエハWのエッジよりも外側上方に設けられているので、水平磁界成分を含む磁界はウエハWのエッジよりも外側上方において発生し、したがって、電子は、ウエハWのエッジよりも外側上方において周方向にドリフト運動を行う。このようにドリフト運動を行う電子によって、ウエハWのエッジよりも外側上方において、ガスの解離が促進され、その結果、ウエハWのエッジよりも外側上方のプラズマ密度が向上される。故に、電磁石30によれば、軸線AXに対して放射方向におけるプラズマ密度分布が均一化される。
【0036】
図2は、一実施形態に係る上部電極構造を概略的に示す断面図である。以下、
図1と共に、
図2を参照する。上部電極構造USは、第1のプレート16、第2のプレート18、及び静電吸着部19を有している。第1のプレート16は、略円盤形状を有しており、その中心が軸線AXと一致するように設けられている。第1のプレート16は、処理空間PSを介して、載置台14と対面している。即ち、第1のプレート16の下面は、処理空間PSに接している。この第1のプレート16は、例えば、シリコンから構成されている。
【0037】
第1のプレート16は、同心状に設けられた第1の領域R1、第2の領域R2、及び、第3の領域R3を含んでいる。第1の領域R1は、平面視では略円形の領域であり、その中心は軸線AX上に位置している。第1の領域R1は、ウエハWの中心から、当該ウエハWの中心とエッジの間の中間までの領域に対面するように設けられている。この第1の領域R1には、複数のガス吐出口16iが形成されている。複数のガス吐出口16iは、第1の領域R1において略均等に分布している。
【0038】
第2の領域R2は、第1の領域R1を囲む領域であり、略環状に延在する領域である。第2の領域R2は、ウエハWの上記中間からエッジまでの領域に対面している。この第2の領域R2には、複数のガス吐出口16jが形成されている。複数のガス吐出口16jは、第2の領域R2において略均等に分布している。
【0039】
また、第3の領域R3は、第2の領域R2を囲む領域であり、略環状に延在する領域である。第3の領域R3は、ウエハWのエッジよりも外側の領域、例えば、フォーカスリングFRに対面するように設けられている。この第3の領域R3には、複数のガス吐出口16kが形成されている。複数のガス吐出口16kは、第3の領域R3において略均等に分布している。
【0040】
第1の領域R1、第2の領域R2、及び第3の領域R3のそれぞれには、個別にガスが供給される。このため、プラズマ処理装置10では、第2のプレート18及び静電吸着部19によって、第1の領域R1にガスを供給する第1の供給経路、第2の領域R2にガスを供給する第2の供給経路、及び、第3の領域R3にガスを供給する第3の供給経路が提供されている。なお、これら供給経路の詳細については後述する。
【0041】
第2のプレート18は、略円盤形状を有している。第2のプレート18は、例えば、アルミニウ、及び/又はステンレスから構成されている。この第2のプレート18には、流路18fが形成されている。流路18fは、第2のプレート18の全領域にわたって、例えば螺旋状に、形成されている。流路18fには、外部のチラーユニットから冷媒が供給される。流路18fに流された冷媒は、チラーユニットに回収されるようになっている。
【0042】
第2のプレート18と第1のプレート16との間には、静電吸着部19が介在している。静電吸着部19は、第2のプレート18の下面に、例えば、クランプを介して固定されている。この静電吸着部19は、第1のプレート16を静電力により吸着する。
【0043】
静電吸着部19は、本体部19m、及び、電極19eを有している。本体部19mは、セラミック製であり、略円盤形状を有している。本体部19mは、下面、即ち、表面19sを有している。この表面19sは、本体部19mの一部であり、したがって、セラミック製であるが、第1のプレート16を吸着する吸着面を構成している。また、静電吸着部19では、電極19eは、本体部19mの内層として設けられている。電極19eは、平面視においては略円形の薄膜である。この電極19eには、スイッチSW1を介して直流電源DCSが接続されている。直流電源DCSからの直流電圧が電極19eに印加されると、クーロン力といった静電力が発生し、当該静電力によって第1のプレート16が静電吸着部19の表面19sに吸着される。
【0044】
静電吸着部19の吸着力、即ち、第1のプレート16を吸着する際の面圧は、例えば、電極19eに3KVの電圧が印加されるときには、3.25×10
4Paとなる。一方、従来の上部電極構造のように、第1のプレートの周縁部をクランプによって固定する場合には、クランプ用締結トルクを2.0N・mとすると、面圧は2.76×10
4Paとなる。したがって、静電吸着部19は、第1のプレート16を高い面圧で保持することが可能である。また、静電吸着部19によれば、周縁部のクランプとは異なり、第1のプレート16に熱が加わっても、第1のプレート16の略全面が表面19sに接する状態が維持されるので、第1のプレート16の全面わたって略均一な熱伝導を実現することが可能である。
【0045】
この静電吸着部19の本体部19mには、ガス拡散室D13(第1のガス拡散室)、ガス拡散室D23(第2のガス拡散室)、及びガス拡散室D33(第3のガス拡散室)が形成されている。ガス拡散室D13、ガス拡散室D23、及びガス拡散室D33はそれぞれ、第1の供給経路の一部、第2の供給経路の一部、第3の供給経路の一部を構成している。ガス拡散室D13、ガス拡散室D23、及びガス拡散室D33はそれぞれ、第1の領域R1、第2の領域R2、及び第3の領域R3の上方に設けられている。ガス拡散室D13は、第1の領域R1に対応した略円形の平面形状を有する空間となっている。また、ガス拡散室D23は、ガス拡散室D13を囲むよう環状に延在する空間である。また、ガス拡散室D33は、ガス拡散室D23を囲むよう環状に延在する空間である。
【0046】
ガス拡散室D13は、第1の領域R1のガス吐出口16iに連通しており、静電吸着部19内における第1の供給経路のガスラインよりも大きなコンダクタンスを有している。ガス拡散室D23は、第2の領域R2のガス吐出口16jに連通しており、静電吸着部19内における第2の供給経路のガスラインよりも大きなコンダクタンスを有している。ガス拡散室D33は、第3の領域R3のガス吐出口16jに連通しており、静電吸着部19内における第3の供給経路のガスラインよりも大きなコンダクタンスを有している。このように、上部電極構造USでは、第1のプレート16と第2のプレート18との間に静電吸着部19を介在させてはいるものの、当該静電吸着部19にガス拡散室D13、ガス拡散室D23、及びガス拡散室D33が設けられているので、静電吸着部19における第1の供給経路、第2の供給経路、及び第3の供給経路のコンダクタンスの低下を抑制することが可能である。
【0047】
また、静電吸着部19の本体部19mは、セラミック製であるので、ウエハWの処理用の腐食性ガスに対する耐性に優れている。かかる本体部19mにガス拡散室D13、ガス拡散室D23、及びガス拡散室D33といった供給経路の一部が形成されているので、パーティクルの発生を抑制することも可能である。また、セラミック製の本体部19mにガス拡散室D13、ガス拡散室D23、及びガス拡散室D33が形成されているので、これらガス拡散室内における電界の集中を抑制することができる。したがって、ガス拡散室D13、ガス拡散室D23、及びガス拡散室D33における異常放電を抑制することが可能である。
【0048】
この静電吸着部19内には、第1のヒータHT1、第2のヒータHT2、及び第3のヒータHT3が設けられている。第1のヒータHT1は、第1の領域R1の上方に設けられている。第2のヒータHT2は、第2の領域R2の上方に設けられており、第1のヒータHT1を囲むように環状に延在している。また、第3のヒータHT3は、第3の領域R3の上方に設けられており、第2のヒータHT2を囲むように環状に延在している。第1のヒータHT1、第2のヒータHT2、及び第3のヒータHT3にはそれぞれ、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3が接続されている。
【0049】
ここで、プラズマ処理装置において発生するプラズマは、一般的に、軸線AXに対して径方向において変動するプラズマ密度分布を有する。したがって、第1のプレート16に対するプラズマからの入熱量は、径方向において変動する分布をもつ。また、かかるプラズマ密度分布により、第1のプレート16がプラズマ処理によって削られる量も、径方向において変動する分布をもつ。即ち、プラズマ処理が行われることにより、第1のプレート16は厚さ分布を有するようになる。この第1のプレート16の厚さ分布は、第1のプレート16において変動する温度分布を助長する。上部電極構造USでは、このような要因、即ち、プラズマ密度分布による入熱量の分布、及び、第1のプレート16の厚さ分布が生じても、第1のプレート16の直上において同心状に設けられた第1のヒータHT1、第2のヒータHT2、及び第3のヒータHT3により、第1のプレート16において径方向に変動する温度の分布を補正することが可能である。
【0050】
以下、上部電極構造USにおける第1の供給経路、第2の供給経路、及び第3の供給経路について説明する。第1の供給経路、第2の供給経路、及び第3の供給経路は、ガス供給系GPからのガスを、第1の領域R1、第2の領域R2、及び第3の領域R3に個別に供給する。
図3は、一実施形態に係るガス供給系を示す図である。
図3に示すように、ガス供給系GPは、ガスソースGS11〜GS1M、バルブV11〜V1M、マスフローコントローラといった流量制御器F11〜F1M、フロースプリッタFS、ガスソースGS21〜GS2N、バルブV21〜V2N、マスフローコントローラといった流量制御器F21〜F2N、及びバルブV3を有している。
【0051】
ガスソースGS11〜GS1Mは、第1の供給経路、第2の供給経路、及び第3の供給経路に共通のガスソースである。ガスソースGS11〜GS1Mは、バルブV11〜V1M、流量制御器F11〜F1Mをそれぞれ介して、フロースプリッタFSに接続されている。フロースプリッタFSは、ガスソースGS11〜GS1Mからの混合ガスを、設定された分配比で、ガス導入管IP1、ガス導入管IP2、及びガス導入管IP3に分配する。
【0052】
ガスソースGS21〜GS2Nは、添加ガスのソースであり、バルブV21〜V2N、流量制御器F21〜F2Nをそれぞれ介して、バルブV3に接続されている。バルブV3は、ガス導入管IP3に接続されている。なお、ガスソースGS21〜GS2Nの混合ガスは、ガス導入管IP3に加えて、ガス導入管IP1及びガス導入管IP2に供給されてもよい。
【0053】
図2に戻り、第1の供給経路は、ガス供給系GPからガス導入管IP1を介して入力されるガスを、第1の領域R1、即ち、複数のガス吐出口16iに供給する。ガス導入管IP1は、軸線AXから離れた位置で、第1の供給経路に接続している。
【0054】
第2の供給経路は、ガス供給系GPからガス導入管IP2を介して入力されるガスを、第2の領域R2、即ち、複数のガス吐出口16jに供給する。ガス導入管IP2は、軸線AXから離れた位置で、第2の供給経路に接続している。
【0055】
第3の供給経路は、ガス供給系GPからガス導入管IP3を介して入力されるガスを、第3の領域R3、即ち、複数のガス吐出口16kに供給する。ガス導入管IP3は、軸線AXに略一致する位置で、第3の供給経路に接続している。
【0056】
以下、
図1及び
図2と共に、
図4〜
図9を参照する。
図4は、
図2のIV−IV線で矢視した上部電極構造の断面図である。
図4には、後述する第2の部材22の上面と同一平面に沿った断面を上方から見た状態が示されている。
図5は、上部電極構造の第1の部材及び第2の部材の接合状態の斜視図であり、
図6は、上部電極構造の第1の部材及び第2の部材の分解斜視図である。
図7は、
図2のVII−VII線で矢視した上部電極構造の断面図である。
図7には、ガス拡散室D11、ガス拡散室D21、及びガス拡散室D31の高さ方向(即ち、軸線AX方向)の中間を横切る断面を上方から見た状態が示されている。
図8は、
図2のVIII−VIII線で矢視した上部電極構造の断面図である。
図8には、ガス拡散室D12、ガス拡散室D22、及びガス拡散室D32の高さ方向の中間を横切る断面を上方から見た状態が示されている。また、
図9は、
図2のIX−IX線で矢視した上部電極構造の断面図である。
図9には、ガス拡散室D13、ガス拡散室D23、及びガス拡散室D33の高さ方向の中間を横切る断面を上方から見た状態が示されている。なお、
図1及び
図2に示す断面は、
図4及び
図7〜9のII−II線で矢視した縦断面に対応している。
【0057】
図1〜
図2及び
図4〜
図9に示すように、上部電極構造USの第2のプレート18及び静電吸着部19は、第1の供給経路の構成要素として、ガスラインL11(第1のガスライン)、ガス拡散室D11(第4のガス拡散室)、複数のガスラインL12(第2のガスライン)、ガス拡散室D12(第5のガス拡散室)、複数のガスラインL13(第3のガスライン)、及びガス拡散室D13(第1のガス拡散室)を提供している。また、上部電極構造USの第2のプレート18及び静電吸着部19は、第2の供給経路の構成要素として、ガスラインL21(第4のガスライン)、ガス拡散室D21(第6のガス拡散室)、複数のガスラインL22(第5のガスライン)、ガス拡散室D22(第7のガス拡散室)、複数のガスラインL23(第6のガスライン)、及びガス拡散室D23(第2のガス拡散室)を提供している。さらに、上部電極構造USの第2のプレート18及び静電吸着部19は、第3の供給経路の構成要素として、ガスラインL31(第7のガスライン)、ガス拡散室D31(第8のガス拡散室)、複数のガスラインL32(第8のガスライン)、ガス拡散室D32(第9のガス拡散室)、複数のガスラインL33(第9のガスライン)、及びガス拡散室D33(第3のガス拡散室)を提供している。
【0058】
第1の供給経路は、上流から順に、ガスラインL11、ガス拡散室D11、複数のガスラインL12、ガス拡散室D12、複数のガスラインL13、及びガス拡散室D13が接続されることによって構成されている。ガスラインL11、ガス拡散室D11、複数のガスラインL12、及び、ガス拡散室D12は、第2のプレート18に形成されている。また、複数のガスラインL13は、第2のプレート18及び静電吸着部19にわたって形成されている。また、ガス拡散室D13は、静電吸着部19に形成されている。
【0059】
ガスラインL11は、軸線AXから離れた位置でガス導入管IP1に接続している。このガスラインL11は、ガス拡散室D11に接続している。
図2及び
図7に示すように、ガス拡散室D11は、平面視では略円形の空間であり、その中心が軸線AXに一致するように設けられている。
図2に示すように、このガス拡散室D11の下流且つガス拡散室D13の上流には、ガス拡散室D12が設けられている。即ち、ガス拡散室D11の下方にガス拡散室D12が設けられており、ガス拡散室D12の下方にガス拡散室D13が設けられている。ガス拡散室D13は、上述した第1の領域R1の直上に設けられており、ガス吐出口16iに接続されている。
図2、
図8及び
図9に示すように、ガス拡散室D12及びガス拡散室D13は双方共に、平面視では略円形の空間であり、それらの中心が軸線AXに一致するように設けられている。
【0060】
図2に示すように、ガス拡散室D11とガス拡散室D12の間には、複数のガスラインL12が介在している。
図2及び
図7に示すように、複数のガスラインL12は、軸線AXと略平行に延在しており、軸線AXに対して周方向に均等な間隔をもって配列されている。また、一実施形態では、複数のガスラインL12のうち一つは、軸線AX上で延在している。これらガスラインL12の一端は、ガス拡散室D11に接続しており、当該ガスラインL12の他端は、ガス拡散室D12に接続している。これらガスラインL12は、ガス拡散室D11及びガス拡散室D12のコンダクタンスよりも、低いコンダクタンスを有している。
【0061】
図2に示すように、ガス拡散室D12とガス拡散室D13の間には、複数のガスラインL13が介在している。
図2及び
図8に示すように、複数のガスラインL13は、軸線AXと略平行に延在しており、軸線AXに対して周方向に均等な間隔をもって配列されている。一実施形態では、複数のガスラインL13のうち一つは、軸線AX上で延在している。また、一実施形態では、複数のガスラインL13のうちその他は、軸線AXを中心とする二つの円に沿って周方向に均等な間隔をもって配列されている。これらガスラインL13の一端は、ガス拡散室D12に接続しており、当該ガスラインL13の他端は、ガス拡散室D13に接続している。これらガスラインL13は、ガス拡散室D12及びガス拡散室D13のコンダクタンスよりも、低いコンダクタンスを有している。
【0062】
第2のガス供給経路は、上流から順に、ガスラインL21、ガス拡散室D21、複数のガスラインL22、ガス拡散室D22、複数のガスラインL23、及びガス拡散室D23が接続されることによって構成されている。ガスラインL21、ガス拡散室D21、複数のガスラインL22、及び、ガス拡散室D22は、第2のプレート18に形成されている。また、複数のガスラインL23は、第2のプレート18及び静電吸着部19にわたって形成されている。また、ガス拡散室D23は、静電吸着部19に形成されている。
【0063】
ガスラインL21は、軸線AXから離れた位置でガス導入管IP2に接続している。このガスラインL21は、ガス拡散室D21に接続している。
図2及び
図7に示すように、ガス拡散室D21は、軸線AX中心に略環状に延在する空間である。ガス拡散室D21は、軸線AXに対してガス拡散室D11よりも外側において、周方向に延在している。
図2に示すように、このガス拡散室D21の下流且つガス拡散室D23の上流には、ガス拡散室D22が設けられている。
【0064】
図2及び
図8に示すように、ガス拡散室D22は、軸線AX中心に略環状に延在する空間である。ガス拡散室D22は、ガス拡散室D21に対して外側斜め下方において、周方向に延在している。ガス拡散室D22は、ガス拡散室D12よりも外側において当該ガス拡散室D12を囲むように設けられている。また、ガス拡散室D22は、ガス拡散室D21よりも軸線AXから離れて延在している。
【0065】
図2及び
図9に示すように、ガス拡散室D23は、上述した第2の領域R2の直上に設けられており、ガス吐出口16jに接続されている。ガス拡散室D23は、軸線AX中心に略環状に延在する空間であり、ガス拡散室D22の下方において、軸線AXに対して周方向に延在している。また、ガス拡散室D23は、ガス拡散室D13を囲むように延在している。
【0066】
図2に示すように、ガス拡散室D21とガス拡散室D22の間には、複数のガスラインL22が介在している。
図2及び
図7に示すように、複数のガスラインL22は、下方に向かうにつれて軸線AXから離れるように傾斜して延在しており、軸線AXに対して周方向に配列されている。一実施形態においては、複数のガスラインL22は、軸線AXに対して周方向に均等な間隔をもって配列されている。これらガスラインL22の一端は、ガス拡散室D21に接続しており、当該ガスラインL22の他端は、ガス拡散室D22に接続している。これらガスラインL22は、ガス拡散室D21及びガス拡散室D22のコンダクタンスよりも、低いコンダクタンスを有している。
【0067】
図2に示すように、ガス拡散室D22とガス拡散室D23の間には、複数のガスラインL23が介在している。
図2及び
図8に示すように、複数のガスラインL23は、軸線AXと略平行に延在しており、軸線AXに対して周方向に均等な間隔をもって配列されている。これらガスラインL23の一端は、ガス拡散室D22に接続しており、当該ガスラインL23の他端は、ガス拡散室D23に接続している。これらガスラインL23は、ガス拡散室D22及びガス拡散室D23のコンダクタンスよりも、低いコンダクタンスを有している。
【0068】
第3の供給経路は、上流から順に、ガスラインL31、ガス拡散室D31、複数のガスラインL32、ガス拡散室D32、複数のガスラインL33、及びガス拡散室D33が接続されることによって構成されている。ガスラインL31、ガス拡散室D31、複数のガスラインL32、及び、ガス拡散室D32は、第2のプレート18に形成されている。また、複数のガスラインL33は、第2のプレート18及び静電吸着部19にわたって形成されている。また、ガス拡散室D33は、静電吸着部19に形成されている。
【0069】
図2及び
図4に示すように、ガスラインL31は、第1の流路FL1、及び、複数の第2の流路FL2を含んでいる。また、一実施形態では、ガスラインL31は、ガス分岐部FLB、及び、複数の貫通孔FLHを含んでいる。第1の流路FL1は、軸線AX上で延在している。第1の流路FL1の一端は、ガス導入管IP3に接続されており、第1の流路FL1の他端は、ガス分岐部FLBに接続している。
【0070】
ガス分岐部FLBは、平面視において略円形の空間であり、複数の第2の流路FL2は、ガス分岐部FLBにおいて第1の流路FL1から分岐している。即ち、複数の第2の流路FL2は、軸線AX側の一端において、ガス分岐部FLBを介して第1の流路FL1に接続している。また、複数の第2の流路FL2は、軸線AXに対して放射方向に延在しており、且つ、軸線AXに対して周方向に均等な間隔をもって配列されている。また、複数の第2の流路FL2の他端には、軸線AXに略平行に延びる複数の貫通孔FLHがそれぞれ接続している。これら貫通孔FLHは、当該貫通孔FLHの下方に設けられたガス拡散室D31に接続している。
【0071】
図2、
図4、及び
図7に示すように、ガス拡散室D31は、軸線AX中心に略環状に延在する空間である。ガス拡散室D31は、軸線AXに対してガス拡散室D21よりも外側において、周方向に延在している。
図2に示すように、このガス拡散室D31の下流且つガス拡散室D33の上流には、ガス拡散室D32が設けられている。
【0072】
図2及び
図8に示すように、ガス拡散室D32は、軸線AX中心に略環状に延在する空間であり、ガス拡散室D31に対して外側斜め下方において、周方向に延在している。また、ガス拡散室D32は、ガス拡散室D22よりも外側において当該ガス拡散室D22を囲むように設けられている。また、ガス拡散室D32は、ガス拡散室D31よりも軸線AXから離れて延在している。
【0073】
図2及び
図9に示すように、ガス拡散室D33は、上述した第3の領域R3の直上に設けられており、ガス吐出口16kに接続されている。ガス拡散室D33は、軸線AX中心に略環状に延在する空間であり、ガス拡散室D23を囲むように周方向に延在している。
【0074】
図2に示すように、ガス拡散室D31とガス拡散室D32の間には、複数のガスラインL32が介在している。
図2及び
図7に示すように、複数のガスラインL32は、下方に向かうにつれて軸線AXから離れるように傾斜して延在しており、軸線AXに対して周方向に均等な間隔をもって配置されている。これらガスラインL32の一端は、ガス拡散室D31に接続しており、当該ガスラインL32の他端は、ガス拡散室D32に接続している。これらガスラインL32は、ガス拡散室D31及びガス拡散室D32のコンダクタンスよりも、低いコンダクタンスを有している。
【0075】
また、
図8に示すように、ガス拡散室D32とガス拡散室D33の間には、複数のガスラインL33が介在している。複数のガスラインL33は、軸線AXに略平行に延在しており、軸線AXに対して周方向に均等な間隔をもって配列されている。これらガスラインL33の一端は、ガス拡散室D32に接続しており、当該ガスラインL33の他端は、ガス拡散室D33に接続している。これらガスラインL33は、ガス拡散室D32及びガス拡散室D33のコンダクタンスよりも、低いコンダクタンスを有している。
【0076】
一実施形態では、
図2、及び
図4〜
図9に示すように、第2のプレート18は、複数の部材から構成され得る。具体的には、第2のプレート18は、上段部材を構成する第1の部材20及び第2の部材22、中段部材24、及び、下段部材26を含んでおり、これら上段部材、中段部材24、及び、下段部材26が積層されることによって、形成されている。
【0077】
第1の部材20及び第2の部材22は、双方共にステンレスから構成されており、第1の部材20の上面と第2の部材22の下面とが互いに拡散接合されることにより一体化され、これにより上段部材が構成されている。
図4〜
図6に示すように、第2の部材22は、略円盤形状を有しており、その上面には、ガス分岐部FLBとなる凹部22a、及び、第2の流路FL2となる複数の溝22bが形成されている。複数の溝22bは、その一端において凹部22aに接続しており、軸線AXに対して放射方向に延びている。また、第2の部材22には、複数の貫通孔FLHが形成されており、当該複数の貫通孔FLHはそれぞれ、複数の溝22bの他端に接続している。
【0078】
第1の部材20は、略円盤形状の中央部20a、及び、中央部20aから放射方向に延び出した複数の突出部20bを含んでいる。中央部20aには、第1の流路FL1が形成されている。この第1の流路FL1は、第1の部材20と第2の部材22が互いに接合されると、凹部22a、即ち、ガス分岐部FLBに接続される。また、第1の部材20及び第2の部材22には、当該第1の部材20及び第2の部材22を軸線AX方向に貫通するガスラインL11及びガスラインL22が形成されている。
【0079】
また、第1の部材20の中央部20a及び複数の突出部20bは、第1の部材20と第2の部材22が互いに接合されると、凹部22a及び複数の溝22bの上側開口を閉じるようになっている。これにより、ガス分岐部FLB及び複数の第2の流路FL2が画成される。このように、第1の部材20及び第2の部材22は、拡散接合により互いに接合されることによって、封止部材を用いることなく、ガスラインL11、ガスラインL21、及びガスラインL31を画成することができる。その結果、これらガスラインを画成するための複合体の厚みを小さくすることが可能となっている。
【0080】
図2及び
図7に示すように、第2の部材22の下面には、凹部22c、溝22d、及び、溝22eが形成されている。凹部22cは、平面視において略円形の空間である。この凹部22cは、第1の部材20と第2の部材22からなる上段部材が中段部材24上に搭載されると、ガス拡散室D11の上側部分を構成する。溝22dは、軸線AXに対して周方向に延在しており、凹部22cと溝22eとの間に設けられている。環状の溝22eは、溝22dの外側において周方向に延在している。これら環状の溝22d及び環状の溝22eはそれぞれ、第1の部材20と第2の部材22からなる上段部材が中段部材24上に搭載されると、ガス拡散室D21及びガス拡散室D31を構成する。
【0081】
図2に示すように、中段部材24は、略円盤形状を有しており、例えば、アルミニウムといった金属から構成される。中段部材24の上面には、凹部24aが形成されている。この凹部24aは、平面視において略円形の空間であり、軸線AXに交差する領域に設けられている。第1の部材20と第2の部材22からなる上段部材が中段部材24上に搭載されると、凹部24aは、凹部22cに連続し、ガス拡散室D11の下側部分を構成する。即ち、この凹部24aは、ガス拡散室D11を拡張する拡張領域として機能する。
【0082】
中段部材24には、当該中段部材24を貫通するガスラインL12、ガスラインL22、及びガスラインL32が形成されている。また、中段部材24の下面には、凹部24bが形成されている。凹部24bは、平面視において略円形の空間であり、軸線AXに交差する領域に設けられている。この凹部24bは、中段部材24が下段部材26上に搭載されると、ガス拡散室D12の上側部分を構成する。即ち、凹部24bは、ガス拡散室D12を拡張する拡張領域として機能する。
【0083】
下段部材26は、略円盤形状の部材であり、例えば、アルミニウムから構成されている。下段部材26の上面には、凹部26a、溝26b、及び、凹部26cが形成されている。凹部26aは、平面視において略円形の空間であり、軸線AXに交差する領域に設けられている。この凹部26aは、中段部材24が下段部材26上に搭載されると、中段部材24の凹部24bに連続して、ガス拡散室D12の下側部分を構成する。
【0084】
溝26bは、軸線AXに対して周方向に延在しており、凹部26aと凹部26cとの間に設けられている。凹部26cは、溝26bの外側において周方向に延在している。これら溝26b及び凹部26cはそれぞれ、中段部材24が下段部材26上に搭載されると、ガス拡散室D22及びガス拡散室D32構成する。
【0085】
また、
図2に示すように、下段部材26には、ガスラインL13を部分的に構成する貫通孔、ガスラインL23を部分的に構成する貫通孔、及び、ガスラインL33を部分的に構成する貫通孔が形成されている。下段部材26に形成されたこれらの貫通孔は、下段部材26に静電吸着部19が連結されると、静電吸着部19に形成された対応の貫通孔に接続する。これによって、ガスラインL13、ガスラインL23、及びガスラインL33が構成される。
【0086】
以上説明した上部電極構造USの第1の供給経路においては、ガス拡散室D11とガス拡散室D12との間に、低いコンダクタンスを有し周方向に配列された複数のガスラインL12が介在しており、ガス拡散室D12とガス拡散室D13との間に、低いコンダクタンスを有し周方向に配列された複数のガスラインL13が介在している。また、第2の供給経路においては、ガス拡散室D21とガス拡散室D22との間に、低いコンダクタンスを有し周方向に配列された複数のガスラインL22が介在しており、ガス拡散室D22とガス拡散室D23との間に、低いコンダクタンスを有し周方向に配列された複数のガスラインL23が介在している。さらに、第3の供給経路においては、ガス拡散室D31とガス拡散室D32との間に、低いコンダクタンスを有し周方向に配列された複数のガスラインL32が介在しており、ガス拡散室D32とガス拡散室D33との間に、低いコンダクタンスを有し周方向に配列された複数のガスラインL33が介在している。
【0087】
この上部電極構造USでは、ガスラインL11がガス拡散室D11に接続する位置が軸線AXから離れているので、当該ガスラインL11がガス拡散室D11に接続する位置から複数のガスラインL12がガス拡散室D11に接続している位置までのそれぞれのコンダクサンスには相違が生じる。しかしながら、この上部電極構造USでは、ガスラインL11のガス拡散室D11に対する接続位置から第1の領域R1の複数のガス吐出口16iそれぞれまでの合成コンダクタンスは、ガスラインL12のコンダクタンス及びガスラインL13のコンダクタンスに主に依存する。また、ガスラインL12のコンダクタンス及びガスラインL13のコンダクタンスは、ガスラインL11から第1の領域R1の複数のガス吐出口16iそれぞれまでの合成コンダクタンスに対して略等しく寄与する。したがって、ガスラインL11のガス拡散室D11に対する接続位置から第1の領域R1の複数のガス吐出口16iそれぞれまでの合成コンダクタンスの差異が小さくなり、その結果、第1の領域R1の複数のガス吐出口16iからのガスの流量の差異が低減される。同様に、第2の領域R2の複数のガス吐出口16jからのガスの流量の差異が低減され、第3の領域R3の複数のガス吐出口16kからのガスの流量の差異が低減される。
【0088】
また、第1の供給経路、第2の供給経路、及び第3の供給経路のそれぞれが、三つのガス拡散室を含んでいるので、第1の供給経路の容積、第2の供給経路の容積、及び第3の供給経路の容積を互いに近づけることが可能となる。ここで、ガス供給経路にガスが入力されてからガス吐出口からガスが噴射されるまでの時間は、ガス供給経路の容積に依存する。したがって、この上部電極構造USによれば、各ガス供給経路にガスが入力されてから対応のガス吐出口からガスが噴射されるまでの時間の差異を低減させることが可能である。
【0089】
再び
図1を参照する。
図1に示すようにプラズマ処理装置10は、第1の取得部OS1、第2の取得部OS2、第3の取得部OS3、及び、処理部PUを更に備えている。第1の取得部OS1は、第1のプレート16の第1の領域R1に光を照射し、第1の領域R1の表面及び裏面からの反射光を受光する。第2の取得部OS2は、第1のプレート16の第2の領域R2に光を照射し、第2の領域R2の表面及び裏面からの反射光を受光する。第3の取得部OS3は、第1のプレート16の第3の領域R3に光を照射し、第3の領域R3の表面及び裏面からの反射光を受光する。一実施形態においては、第1の取得部OS1は受光した反射光の波長スペクトルを取得し、第2の取得部OS2は受光した反射光の波長スペクトルを取得し、第3の取得部OS3は受光した反射光の波長スペクトルを取得する。
【0090】
処理部PUは、第1の取得部OS1によって取得された波長スペクトルに基づき第1の領域R1の表面(
図1では上面)と裏面(
図1では下面)との間の光路長を求め、第2の取得部OS2によって取得された波長スペクトルに基づき第2の領域R2の表面と裏面との間の光路長を求め、第3の取得部OS3によって取得された波長スペクトルに基づき第3の領域R3の表面と裏面との間の光路長を求める。なお、光を照射する領域が異なってはいるものの、第1の取得部OS1、第2の取得部OS2、及び第3の取得部OS3は、略同一の構成を有するので、以下、第1の取得部OS1、第2の取得部OS2、第3の取得部OS3を、「取得部OS」と総称し、取得部OSについての説明を行う。また、以下の説明では、第1の領域R1、第2の領域R2、及び第3の領域R3を区別せず、第1のプレート16と呼ぶ。
【0091】
取得部OSは、光源82、サーキュレータ84、光ファイバ86、光学素子88、及び、分光器90を有している。光源82は、光を出射する。光源82が出射する光は、第1のプレート16に照射される光であり、第1のプレート16を透過する光である。光源82が出射する光は、例えば、赤外光であり、1510nm〜1590nmの波長帯域の光である。光源82によって出射された光は、サーキュレータ84及び光ファイバ86を介して光学素子88に導かれる。
【0092】
光学素子88は、コリメータ又は集光光学素子である。光学素子88は、第1のプレート16の表面(
図1では上面)に対面するように設けられている、光学素子88は、光源82からの光を平行光に変換し、或いは、集光する。光学素子88は、光源82から受けた光を、第1のプレート16に向けて出力する。なお、光ファイバ86及び光学素子88は、第2のプレート18及び静電吸着部19を貫通する管の内部に設けられていてもよい。或いは、光ファイバ86及び光学素子88は、第2のプレート18及び静電吸着部19のガスラインを避けるように当該第2のプレート18及び静電吸着部19に形成された貫通孔の内部に設けられていてもよい。この場合には、ガス拡散室内に設けられた梁を貫通孔が通過していてもよい。
【0093】
光学素子88から出力された光は、第1のプレート16の表面(
図1では上面)及び裏面(
図1では下面)において反射される。これら表面及び裏面での反射によってもたらされる複数の反射光線は、光学素子88、光ファイバ86、及びサーキュレータ84を介して分光器90に導かれる。分光器90は、受光した複数の反射光線、即ち、反射光の波長スペクトルを出力する。なお、複数の反射光線は、互いに干渉し、波長に応じて互いに強め合うか、或いは、互いに弱め合う。したがって、分光器90からの出力である波長スペクトルは、波長に応じて変動し得る信号強度を有する。なお、分光器90は、一般的な分光器であってもよいが、特開2013−96858号公報に記載されているように、チューナブルフィルタ、受光素子、A/D変換部、及び、波長制御部を有する分光器であってもよい。この分光器90によって取得された波長スペクトルは、処理部PUに出力される。処理部PUは、第1の波長スペクトルを処理して得られる波長スペクトルのピーク波長又はバレー波長に基づいて、第1のプレート16の光路長を算出する。
【0094】
以下、光路長の算出に関連する処理部PUの処理について詳細に説明する。
図10は、光路長の算出を説明するための流れ図である。処理部PUは、
図10に示す処理により、第1のプレート16の表面と裏面との間の光路長ndを、求める。ここで、nは第1のプレート16の屈折率であり、dは第1のプレート16の板厚(表面と裏面との間の距離である。具体的には、
図10に示すように、処理部PUによる光路長の算出は、波長スペクトルの入力処理から開始する(ステップS10)。即ち、取得部OSからの波長スペクトルが処理部PUに入力される。
【0095】
続くステップS11では、処理部PUは、受け取った波長スペクトルの波形を調整する。即ち、処理部PUは、窓関数を波長スペクトルに適用する。この窓関数は、波長に依存した窓関数である。例えば、分光器90が波長掃引部を有する場合には、窓関数は、波長掃引範囲によって定まる中心波長を最大とし、中心波長からの差が大きくなるほど漸次減衰する釣鐘型の関数であってもよい。また、中心波長には、例えば波長掃引範囲の中央値が採用される。なお、窓関数としては、ガウス関数、ローレンツ関数、及び、ガウス関数及びローレンツ関数の合成関数等が用いられ得る。
【0096】
続くステップS12では、処理部PUは、ステップS11の処理で得られたスペクトルの座標軸を、波長λから空間周波数(1/λ)へ変換する。
【0097】
続くステップS14では、処理部PUは、第1データ補間(第1線形補間)を実行する。即ち、処理部PUは、ステップS12の処理で得られたスペクトルに対してデータ補間を実行する。例えば、サンプリング数がNsであり、スペクトルのデータとして、空間周波数の配列が(x
0,x
1,x
2,…,x
N−1)であり、強度の配列が(y
0,y
1,y
2,…,y
N−1)であるものとする。まず、処理部PUは、空間周波数の配列を等間隔に再配列する。例えば、処理部PUは、再配列後の空間周波数の配列に含まれる空間周波数をX
iとすると、以下の式(1)を用いて再配列を行う。
【数1】
次に、処理部PUは、再配列後の空間周波数X
iにおける強度を、線形補間により計算する。この線形補間では、強度Y
iが、以下の式(2)により算出される。
【数2】
ただし、jはX
i>x
jとなる最大の整数である。
【0098】
続くステップS16では、処理部PUは、ステップS14の処理で補間されたスペクトルに対して、フーリエ変換(FFT処理)を適用する。
【0099】
続くステップS18では、処理部PUは、ステップS16の処理で得られたスペクトルからX=0のピーク値をフィルタリングする。例えば、X=0からX=Z(所定値)までの範囲の強度データYに0を代入する。
【0100】
続くステップS20では、処理部PUは、ステップS18の処理で得られたスペクトルからX=2ndのピーク値を抽出する。例えば、ピークの最大値をY
iとした場合、Y
i−10からデータ点を20点抽出する。これは、ピークの中心から裾までのデータを抽出するためである。例えば、ピークの最大値を1としたときに、最大値から0.5までの範囲が含まれるように抽出する。
【0101】
続くステップS22では、処理部PUは、第2データ補間(第2線形補間)を実行する。即ち、処理部PUは、ステップS20の処理で得られた2ndピークのデータを補間する。処理部PUは、例えばデータ点間を補間数N
Aで等間隔に線形補間する。補間数N
Aは、例えば必要な精度に基づいて予め設定される。例えば、補間数N
Aは、後述する温度の計測精度に基づいて設定され得る。例えば、第1のプレート16がシリコン製である場合には、FFT後のピーク間隔Δ2ndが0.4μm/℃となる。したがって、1℃の精度が必要な場合には、データ間隔が0.4μmとなるように補間数N
Aを設定する。或いは、システムが有するノイズレベルを考慮して補間数N
Aを決定してもよい。例えば、以下の式(3)を用いてデータ補間が行われてもよい。
【数3】
ここで、jは強度の配列に用いた指標である。処理部PUは、上記式3の演算をi=0〜N−1の範囲で実行する。即ち、ステップS20の処理で得られた20点の間隔全てに対して式(3)の演算を実行する。このように、処理部PUは、フーリエ変換後のデータ間隔を、必要な分割数で分割し、分割数に応じたデータを線形補間により生成する。
【0102】
続くステップS24では、処理部PUは、ステップS22の処理で補間されたデータから重心の計算に利用するデータ範囲のみを抽出する。例えば、処理部PUは、重心計算に使用する閾値をA%とし、ピークの最大強度Y
MAX×A以下の強度データYに0を代入する。
【0103】
続くステップS26では、処理部PUは、ステップS24の処理で補間されたデータから重み付け重心を計算する。このステップS26の処理では、処理部PUは、例えば、以下の式(4)を用いる。
【数4】
なお、Nは重心範囲抽出後のデータ点数である。この式4を用いることで、処理部PUは、光路長ndを算出することができる。
【0104】
一実施形態では、処理部PUは、第1のプレート16の光路長、即ち、第1の領域R1の光路長、第2の領域R2の光路長、及び第3の領域R3の光路長を逐次求め、これら光路長に基づいて、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3のそれぞれの温度計算値を算出することができる。温度計算値の算出は、光路長ndが第1のプレート16の温度に依存して変動することを利用したものである。具体的に、処理部PUは、光路長と温度との関係を特定するテーブル又は関数を用いて、算出した光路長ndから、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3のそれぞれの温度計算値を算出する。
【0105】
プラズマ処理装置10では、処理部PUが、第1のプレート16の光路長、即ち、第1の領域R1の光路長、第2の領域R2の光路長、第3の領域R3の光路長、及び/又は、第1の領域R1の温度計算値、第2の領域R2の温度計算値、第3の領域R3の温度計算値を求めると、制御部Cntは、種々の制御を行うことができる。
【0106】
制御部Cntは、プログラム可能なコンピュータ装置であることができ、高周波電源HFSの高周波電力の大きさ、高周波電源LFSの高周波バイアス電力の大きさ、排気装置VSの排気量、ガス供給系GPから各供給経路に供給されるガスの種類及び流量、並びに、電磁石30のコイルに与える電流量を調整することができる。そのために、制御部Cntは、メモリに格納されるか、又は、入力装置によって入力されるレシピに従って、高周波電源HFS、高周波電源LFS、排気装置VS、ガス供給系GPのバルブ及び流量制御器、電磁石30のコイルに接続された電流源に制御信号を送出することができる。
【0107】
また、制御部Cntは、処理部PUによって求められた第1の領域R1の光路長、第2の領域R2の光路長、及び、第3の領域R3の光路長に応じて、アラームを出力することができる。第1の領域R1の光路長、第2の領域R2の光路長、及び、第3の領域R3の光路長は、第1の領域R1の板厚、第2の領域R2の板厚、及び第3の領域R3の板厚をそれぞれ反映している。したがって、制御部Cntは、例えば、第1の領域R1の光路長、第2の領域R2の光路長、及び、第3の領域R3の光路長がそれぞれ所定の光路長になったときに、アラームを出力することができる。なお、アラームが出力されなくとも、プラズマ処理装置10のオペレータは、第1の領域R1の光路長、第2の領域R2の光路長、及び、第3の領域R3の光路長から、第1のプレート16の交換時期を把握することが可能である。
【0108】
さらに、制御部Cntは、処理部PUによって算出された第1の領域R1の温度計算値、第2の領域R2の温度計算値、及び第3の領域R3の温度計算値に基づいて、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3からそれぞれ第1のヒータHT1、第2のヒータHT2、及び第3のヒータHT3に供給される電力を制御することができる。
【0109】
以下、制御部Cntによって行われる第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、第3のヒータ電源HP3の制御と共に、プラズマ処理装置10の運用方法の幾つかの例について説明する。
図11は、一実施形態に係るプラズマ処理装置の運用方法の一例を示す流れ図である。
【0110】
図11に示すように、プラズマ処理装置10の運用方法の第1例では、まず、プラズマ生成前の工程ST51において、制御部Cntは、第1のヒータHT1、第2のヒータHT2、及び第3のヒータHT3がONになるよう、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3に電力を供給させる。また、制御部Cntは、冷媒を流路18fに供給するよう、チラーユニットを制御する。これにより、第1のプレート16の全領域が概ね均一な温度となる。
【0111】
続く工程ST52において、制御部Cntは、ガス供給系GPからガスを供給させ、且つ、排気装置VSを動作させる。これにより、処理空間PS内にガスが供給され、処理空間PSの圧力が所定の圧力になる。また、ガス供給系GPからガスが供給されると、第1のプレート16と静電吸着部19との間の間隙にもガスが進入する。当該間隙に進入したガスは、第1のプレート16と静電吸着部19との間において熱伝達媒体として機能し、第1のプレート16の全領域が目標温度に近くなる。
【0112】
続く工程ST53において、制御部Cntは、プラズマを生成するために、高周波電源HFSに高周波電力を供給させる。このとき、制御部Cntは、高周波電源LFSにも高周波バイアス電力を供給させてもよく、また、上部電極構造USに負の直流電圧が供給されるよう、直流電源NPを制御してもよい。
【0113】
続く工程ST54では、制御部Cntは、処理部PUによって算出される第1の領域R1の温度計算値、第2の領域R2の温度計算値、及び第3の領域の温度計算値を取得する。続く工程ST55では、制御部Cntは、第1の領域R1の温度計算値、第2の領域R2の温度計算値、及び第3の領域の温度計算値に基づき、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3を制御する。例えば、制御部Cntは、第1の領域R1の温度計算値、第2の領域R2の温度計算値、及び第3の領域の温度計算値に基づき、第1の領域R1の温度、第2の領域R2の温度、及び第3の領域の温度が実質的に等しくなるように、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3を制御する。なお、工程ST54及び工程ST55は、一枚のウエハWのプラズマ処理が終了するまで繰り返し実行され得る。
【0114】
プラズマ処理装置10では、軸線AXに対して径方向において変動するプラズマ密度分布を有するプラズマが発生することがある。例えば、軸線AXの近傍において高い密度を有し、軸線AXから離れるにつれて小さくなる密度を有するプラズマが発生することがある。したがって、第1のプレート16に対するプラズマからの入熱量は、径方向において変動する分布をもつ。また、このようなプラズマ密度分布により、第1のプレート16がプラズマ処理によって削られる量も、径方向において変動する分布をもつ。即ち、プラズマ処理が行われることにより、第1のプレート16は厚さ分布を有するようになる。この第1のプレート16の厚さ分布は、第1のプレート16において変動する温度分布を助長する。しかしながら、プラズマ処理装置10の上記運用方法によれば、上述した工程ST55により、第1のプレート16において径方向に変動する温度の分布を補正することが可能である。
【0115】
例えば、プラズマの生成期間において、工程ST55により、第1のヒータ電源HP1から第1のヒータHT1に供給される電力が最も大きな電力に設定され、第2のヒータ電源HP2から第2のヒータHT2に供給される電力が次に大きくな電力に設定され、第3のヒータ電源HP3から第3のヒータHT3に供給される電力が最小の電力又はOFFに設定され得る。また、プラズマの生成期間には、チラーユニットから流路18fに冷媒が継続的に供給されてもよい。
【0116】
次いで、プラズマ処理装置10の運用方法の第2例について説明する。第2例は、複数のウエハWを連続的に、即ち順に処理することを想定しており、当該第2例では、制御部Cntは、プラズマ処理時に、処理部PUによって算出される第1の領域R1の温度計算値、第2の領域R2の温度計算値、及び第3の領域の温度計算値に基づいて、第1の領域R1の温度、第2の領域R2の温度、及び第3の領域R3の温度が所定の温度となるよう、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3を制御する。
【0117】
複数のウエハWを順に処理する場合には、それぞれのウエハWを処理するときのプラズマの状態が変動することがある。例えば、一つ目のウエハWを処理するときのプラズマの状態が後続のウエハWを処理するときのプラズマの状態とは異なることがある。このような現象は、「ファーストウエハエフェクト」と呼ばれる現象である。この現象により、それぞれのウエハWを処理するときの上部電極構造USの温度が変動することがある。第2例では、連続的にウエハWを処理する場合に、第1の領域R1の温度、第2の領域R2の温度、及び第3の領域R3の温度が所定の温度となるよう、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3それぞれの出力が制御される。したがって、複数のウエハWを連続的に処理するときの上部電極構造USの温度の差異を低減することが可能となる。
【0118】
次いで、プラズマ処理装置10の運用方法の第3例について説明する。この第3例では、第1の領域R1の複数のガス吐出口16iから吐出される第1のガス、第2の領域R2の複数のガス吐出口16jから吐出される第2のガス、及び第3の領域R3の複数のガス吐出口16jから吐出される第3のガスそれぞれに含まれるエッチング性ガスの量に対する堆積性ガスの量の多さが異なることが想定されている。エッチング性ガスは、ハロゲン元素といった腐食性のガスであり、例えば、フルオロカーボンンガスであり得る。また、堆積性ガスは、第1のプレート16に付着する、又は、第1のプレート16を変質させるガスであり、例えば、酸素ガス(O
2)ガスである。
【0119】
この第3例では、制御部Cntは、第1のガス、第2のガス、及び第3のガスそれぞれに含まれるエッチング性ガスの量に対する堆積性ガスの量の多さに応じて、第1の領域R1の温度、第2の領域R2の温度、及び第3の領域R3の温度のそれぞれが高くなるよう、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3を制御する。また、制御部Cntは、かかる制御において、処理部PUによって算出される第1の領域R1の温度計算値、第2の領域R2の温度計算値、及び第3の領域の温度計算値に更に基づいて、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3の出力を制御し得る。
【0120】
ここで、第1のプレート16の表面に対して堆積性ガスに由来する堆積物が付着すると、当該堆積物がマイクロマスクとなって第1のプレート16の表面が削られる現象、所謂ブラックシリコンが発生する。このブラックシリコンの発生は、ガス中の堆積性ガスの量の多さ、即ち、ガス中の堆積性ガスの割合の大きさに依存して、顕著になる。一方、堆積物の付着量は、第1のプレート16の温度が高いほど少なくなる。
【0121】
第3の例では、第1の領域R1、第2の領域R2、及び第3の領域R3の各々のガス吐出口から吐出されるガス中の堆積性ガスの量の多さに応じて、各領域の温度を制御するので、これら領域におけるブラックシリコンの発生を抑制することが可能となる。
【0122】
以下、プラズマ処理装置10においてプラズマ処理を行うことによって第1のプレート16の第3の領域R3が削られた量、即ち、削れ量を、第3の取得部OS3及び処理部PUにより求められた光路長ndに基づいて算出した実験例1について説明する。この実験例1では、下記の条件のプラズマ処理を、処理時間をパラメータとして異ならせて、実行した。
<プラズマ処理の条件>
・ガス:CF系ガス(50scc)、Arガス(400sccm)、O
2ガス(30sccm
・高周波電源HFS:40MHz、1200W
・高周波電源LFS:13MHz、4500W
・処理時間:10分、20分、50分の三種
【0123】
そして、プラズマの生成を終了した後に第1のプレート16の温度が安定した状態を、当該第1のプレート16の温度が150℃になった状態であると判断し、この状態の第1のプレート16の屈折率を3.7と仮定して、第3の領域R3の光路長ndから、当該第3の領域R3の板厚、即ちnd/3.7を求め、当該板厚から第3の領域R3の削れ量を算出した。その結果、処理時間が10分、20分、50分のそれぞれの場合の削れ量は、0.4μm、0.9μm、1.9μmであった。これにより、上述した取得部及び処理部PUにより、第1のプレート16の各領域の板厚に対応する光路長ndを求めることが可能であることが確認された。
【0124】
次いで、プラズマ処理装置10を評価のために行った実験例2について説明する。この実験例2では、第1のプレート16の目標温度が150℃となるよう、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3を制御し、次いで、下記の条件に示すように、ガス供給系GPからガスを供給し、次いで、プラズマの生成を所定時間行い、その後にプラズマの生成を停止する処理を複数回繰り返し、第3の領域R3の温度を測定した。
<条件>
・ガス:CF系ガス(50scc)、Arガス(400sccm)、O
2ガス(30sccm
・高周波電源HFS:40MHz、1200W
・高周波電源LFS:13MHz、4500W
・直流電源NPの印加電圧(DC):0V、150V、300Vの三種
【0125】
図12は、実験例2の実験結果を示すグラフである。
図12において、横軸は時間を示しており、縦軸は第3の領域R3の温度を示している。
図12に示すように、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3を目標温度に応じて制御しても、第3の領域R3の温度は目標温度の150℃よりも低い温度、即ち、約125℃であった。その後にガスの供給を開始すると、第3の領域R3の温度は、目標温度である150℃に近い温度となった。このことから、第1のプレート16と静電吸着部19との間の間隙に進入するガスが熱伝達媒体として機能することが確認され、セラミック製の表面19sを吸着面として用いても、第1のプレート16と静電吸着部19との間の熱伝導が実現されることが確認された。
【0126】
また、
図12において、期間P1、期間P2、期間P3、及び期間P4はそれぞれ、プラズマの生成の開始(図中、「プラズマON」で示されている)、即ち、高周波電源HFS及び高周波電源LFSからの高周波電力の供給の開始から、プラズマの生成の終了、即ち、高周波電源HFS及び高周波電源LFSからの高周波電力の供給の停止までの期間である。
図12に示すように、初回のプラズマ処理の期間である期間P1における第3の領域R3の最高到達温度は、他の期間における第3の領域R3の温度の最高到達温度よりも低いことが確認された。このことから、初回のプラズマ処理の際には、第1のプレート16の最高到達温度が低くなる現象が発生することが確認された。かかる現象は、複数枚のウエハに対して順にプラズマ処理を行う場合に、一枚目のウエハに対するプラズマ処理と後続のウエハに対するプラズマ処理に差異を生じさせ得る。しかしながら、プラズマ処理装置10によれば、プラズマ処理時に第1の領域R1、第2の領域R2、及び第3の領域R3の各々が所定の温度となるように、第1のヒータ電源HP1、第2のヒータ電源HP2、及び第3のヒータ電源HP3を制御することができるので、かかる現象による影響を抑制することが可能である。
【0127】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、上述した実施形態の第1のプレート16は、三つの領域を有していたが、第1のプレート16は同心状の四つ以上の領域を有していてもよく、上部電極構造USはこれら四つ以上の領域に個別にガスを供給する四つ以上の供給経路を有していてもよい。