特許第6169054号(P6169054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169054
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】受信信号監視システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/08 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
   H04B7/08 022
   H04B7/08 052C
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-153049(P2014-153049)
(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公開番号】特開2016-32167(P2016-32167A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114226
【氏名又は名称】ミハル通信株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130247
【弁理士】
【氏名又は名称】江村 美彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】須貝 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】尾花 毅
【審査官】 原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−029995(JP,A)
【文献】 特開2005−268959(JP,A)
【文献】 特開昭54−021215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルを含む信号を複数のアンテナによって受信し、各アンテナによって受信された信号の状態を監視する受信信号監視システムにおいて、
前記複数のチャンネルのそれぞれに対応して設けられ、前記複数のアンテナのいずれかによって受信された信号が択一的に入力されるとともに、前記チャンネルを択一的に選択して出力する複数の信号処理手段と、
前記複数のアンテナによって受信された信号が入力され、該信号からチャンネルを択一的に逐次選択し、選択したチャンネルの信号の品質を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の信号処理手段それぞれに入力される信号を、前記複数のアンテナによって受信された信号から択一的に選択するように制御する制御手段と、を有し、
前記判定手段は、各チャンネルの信号の変調誤差比および/またはビット誤り率を検出し、これらの少なくとも一方の状態に基づいて各チャンネルの信号の品質を判定するとともに、前記複数のアンテナに対応した個数の判定部を備え、前記判定部のそれぞれは、互いに異なるチャンネルの信号の品質を並行して判定する、
ことを特徴とする受信信号監視システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数の信号処理手段それぞれが選択している一のアンテナからの信号の品質が低下した場合には、他のアンテナからの信号を選択するように制御することを特徴とする請求項1に記載の受信信号監視システム。
【請求項3】
前記判定手段は、各チャンネルの信号レベルを検出し、前記制御手段は、検出した信号レベルを参照して、前記複数の信号処理手段それぞれに入力される信号の選択を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の受信信号監視システム。
【請求項4】
前記複数の信号処理手段は、択一的に選択したチャンネルの信号レベルをそれぞれ検出し、
前記制御手段は、前記信号処理手段および前記判定手段によってそれぞれ検出された信号レベルを参照して、前記複数のアンテナからの信号の選択を行うことを特徴とする請求項3に記載の受信信号監視システム。
【請求項5】
前記判定手段は、各チャンネルの信号レベルを検出し、前記制御手段は、前記信号レベルが所定の範囲にない場合には、他のアンテナからの信号を選択するように制御することを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載の受信信号監視システム。
【請求項6】
前記判定手段は、各チャンネルの変調誤差比を検出し、前記制御手段は、前記変調誤差比が第1の所定の閾値未満である場合には、他のアンテナからの信号を選択するように制御することを特徴とする請求項1、3乃至5のいずれか1項に記載の受信信号監視システム。
【請求項7】
前記判定手段は、各チャンネルのビット誤り率を検出し、前記制御手段は、前記ビット誤り率が第2の所定の閾値以上である場合には、他のアンテナからの信号を選択するように制御することを特徴とする請求項1、3乃至6のいずれか1項に記載の受信信号監視システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記複数の信号処理手段それぞれから出力されるチャンネルの信号レベルおよび/または信号の品質を参照し、前記複数の信号処理手段それぞれに入力される信号の選択を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の受信信号監視システム。
【請求項9】
1または複数の待機状態にある信号処理手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記信号処理手段から出力されるチャンネルの信号レベルおよび/または信号の品質が異常であって、当該信号処理手段に入力される信号が前記判定手段により正常であると判定された場合には、当該信号処理手段の動作を停止し、前記待機状態にある信号処理手段に動作を開始させる事を特徴とする請求項8に記載の受信信号監視システム。
【請求項10】
1または複数の待機状態にある信号処理手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記信号処理手段から出力されるチャンネルの信号レベルおよび/または信号の品質が異常であって、当該信号処理手段に入力される信号が前記判定手段により異常であると判定された場合には、当該信号処理手段の動作を停止しない事を特徴とする請求項8に記載の受信信号監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信信号監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
CATVにおける従来の監視および予備機への切り替えシステムは、例えば、特許文献1に開示されるように、ユニットが自ら判断した自身の異常状態をコントローラに対して送出し、その情報をトリガに予備機への切り替えを行うN+1の冗長システムであった。
【0003】
ところで、ユニットに対して複数系統の信号が入力される場合がある。そのような場合、従来技術では、複数系統の信号の信号レベルを検出し、現在入力している信号の信号レベルが低下した場合には、他系統の信号に切り替えることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−215150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した従来の技術では、信号レベルのみを参照して系統の切り替えを行っているため、信号レベルが正常でも、変調誤差比(MER:Modulation Error Rate)、および、ビット誤り率(BER:Bit Error Rate)等の信号品質が低い場合には切り替えが実行されないという問題点がある。そこで、信号品質も加味して切り替えるために、各ユニットに対して信号品質を判定する機能を持たせようとすると装置の構成が複雑化し、製造コストが高くなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、信号品質も考慮して複数系統の入力信号を切り替えることが可能な受信信号監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、複数のチャンネルを含む信号を複数のアンテナによって受信し、各アンテナによって受信された信号の状態を監視する受信信号監視システムにおいて、前記複数のチャンネルのそれぞれに対応して設けられ、前記複数のアンテナのいずれかによって受信された信号が択一的に入力されるとともに、前記チャンネルを択一的に選択して出力する複数の信号処理手段と、前記複数のアンテナによって受信された信号が入力され、該信号からチャンネルを択一的に逐次選択し、選択したチャンネルの信号の品質を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の信号処理手段それぞれに入力される信号を、前記複数のアンテナによって受信された信号から択一的に選択するように制御する制御手段と、を有し、前記判定手段は、各チャンネルの信号の変調誤差比および/またはビット誤り率を検出し、これらの少なくとも一方の状態に基づいて各チャンネルの信号の品質を判定するとともに、前記複数のアンテナに対応した個数の判定部を備え、前記判定部のそれぞれは、互いに異なるチャンネルの信号の品質を並行して判定する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、このような構成によれば、簡単な構成で、信号品質も考慮して複数系統の入力信号を切り替えることができる。
【0008】
また、本発明は、前記制御手段は、前記複数の信号処理手段それぞれが選択している一のアンテナからの信号の品質が低下した場合には、他のアンテナからの信号を選択するように制御することを特徴とする。
このような構成によれば、信号の品質が低下した場合にはアンテナを切り替えることで、信号の品質を維持できる。
【0011】
また、本発明は、前記判定手段は、各チャンネルの信号レベルを検出し、前記制御手段は、検出した信号レベルを参照して、前記複数の信号処理手段それぞれに入力される信号の選択を行うことを特徴とする。
このような構成によれば、信号レベルを参照することで、信号の品質をより精度良く判定することができる。
【0012】
また、本発明は、前記複数の信号処理手段は、択一的に選択したチャンネルの信号レベルをそれぞれ検出し、前記制御手段は、前記信号処理手段および前記判定手段によってそれぞれ検出された信号レベルを参照して、前記複数のアンテナからの信号の選択を行うことを特徴とする。
このような構成によれば、前記信号処理手段および前記判定手段によってそれぞれ検出された信号レベルを参照することで、信号の品質を一層精度良く検出することができる。
【0013】
また、本発明は、前記判定手段は、各チャンネルの信号レベルを検出し、前記制御手段は、前記信号レベルが所定の範囲にない場合には、他のアンテナからの信号を選択するように制御することを特徴とする。
このような構成によれば、信号レベルを考慮して複数系統の入力信号を切り替えることができる。
【0014】
また、本発明は、前記判定手段は、各チャンネルの変調誤差比を検出し、前記制御手段は、前記変調誤差比が第1の所定の閾値未満である場合には、他のアンテナからの信号を選択するように制御することを特徴とする。
このような構成によれば、変調誤差比と第1の所定の閾値に基づいて、複数系統の入力信号を切り替えることができる。
【0015】
また、本発明は、前記判定手段は、各チャンネルのビット誤り率を検出し、前記制御手段は、前記ビット誤り率が第2の所定の閾値以上である場合には、他のアンテナからの信号を選択するように制御することを特徴とする。
このような構成によれば、ビット誤り率と第2の所定の閾値に基づいて、複数系統の入力信号を切り替えることができる。
【0016】
また、本発明は、前記制御手段は、前記複数の信号処理手段それぞれから出力されるチャンネルの信号レベルおよび/または信号の品質を参照し、前記複数の信号処理手段それぞれに入力される信号の選択を行うことを特徴とする。
このような構成によれば、信号レベルおよび/または信号の品質に基づいて、複数系統の入力信号を切り替えることができる。
【0017】
また、本発明は、1または複数の待機状態にある信号処理手段をさらに有し、前記制御手段は、前記信号処理手段から出力されるチャンネルの信号レベルおよび/または信号の品質が異常であって、当該信号処理手段に入力される信号が前記判定手段により正常であると判定された場合には、当該信号処理手段の動作を停止し、前記待機状態にある信号処理手段に動作を開始させる事を特徴とする。
このような構成によれば、信号処理手段に異常が発生した場合には、待機状態にある信号処理手段に切り替えることが可能になる。
【0018】
また、本発明は、1または複数の待機状態にある信号処理手段をさらに有し、前記制御手段は、前記信号処理手段から出力されるチャンネルの信号レベルおよび/または信号の品質が異常であって、当該信号処理手段に入力される信号が前記判定手段により異常であると判定された場合には、当該信号処理手段の動作を停止しない事を特徴とする。
このような構成によれば、出力信号が異常であっても、入力信号も異常である場合には、信号処理手段は正常と判定して処理を継続させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡単な構成で、信号品質も考慮して複数系統の入力信号を切り替えることが可能な受信信号監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態の構成例を示す図である。
図2図1に示す受信信号監視部の構成例を示す図である。
図3図2に示す受信信号監視部において実行される処理の一例を説明するフローチャートである。
図4図1に示す中央制御部において実行される処理の一例を説明するフローチャートである。
図5図1に示す実施形態の変形実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(A)本発明の実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態の構成例を示す図である。この図1に示すように、本発明の実施形態に係る受信信号監視システム10は、アンテナ11,12、RF分配部13,14、切替部16−1〜16−n(n>1)および信号処理部17−1〜17−nを有する運用系の信号処理モジュール15、切替部19および信号処理部20を有する待機系の信号処理モジュール18、RF混合部21、受信信号監視部22、中央制御部23、および、LAN(Local Area Network)24を有している。
【0022】
ここで、アンテナ11,12は、例えば、地上デジタル放送または衛星放送を受信し、受信信号をRF分配部13,14にそれぞれ出力する。アンテナ11,12によって受信される信号は、複数のチャンネル(プログラム)を含む信号によって構成される。なお、以下では、アンテナ11から出力される受信信号をA系とし、アンテナ12から出力される受信信号をB系とする。RF分配部13は、A系の受信信号を(n+2)分配し、切替部16−1〜16−nおよび切替部19ならびに受信信号監視部22に供給する。RF分配部14は、B系の受信信号を(n+2)分配し、切替部16−1〜16−nおよび切替部19ならびに受信信号監視部22に供給する。
【0023】
切替部16−1〜16−nおよび切替部19は、中央制御部23によって個別に制御され、A系またはB系の受信信号を択一的に選択し、信号処理部17−1〜17−nおよび信号処理部20にそれぞれ供給する。
【0024】
信号処理部17−1〜17−nおよび信号処理部20は、切替部16−1〜16−nおよび切替部19からそれぞれ供給された受信信号に含まれている複数のチャンネルから所定のチャンネルを択一的に選択するとともに、信号レベルの調整および波形整形等の信号処理を行ってRF混合部21に出力する。また、信号処理部17−1〜17−nおよび信号処理部20は、選択したチャンネルの信号レベルを検出し、中央制御部23に通知する。さらに、信号処理部17−1〜17−nは運用系として動作し、これらのいずれかが故障した場合には、待機系である信号処理部20に切り替えられる。
【0025】
RF混合部21は、信号処理部17−1〜17−nおよび信号処理部20から出力される信号を混合して図示しない後段の装置に対して出力する。
【0026】
受信信号監視部22は、後述するように、A系およびB系の受信信号がそれぞれ入力され、所定のチャンネルの信号を択一的に選択し、選択した信号の信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率を両方の系について並行して検出し、中央制御部23に通知する。
【0027】
中央制御部23は、受信信号監視部22の監視結果ならびに信号処理部17−1〜17−nおよび信号処理部20の検出結果を参照し、A系およびB系の受信信号から信号の品質がより良好な方を切替部16−1〜16−nおよび切替部19にそれぞれ選択させる。なお、中央制御部23は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成することができる。
【0028】
LAN24は、受信信号監視部22および中央制御部23を電気的に接続し、これらの間で所定のプロトコルに基づいて情報の授受を可能とするための信号線群である。
【0029】
図2は、図1に示す受信信号監視部22の詳細な構成例を示す図である。図2に示す受信信号監視部22は、A系の信号が入力されるチャンネル選択部221A、信号レベル検出部222A、MER検出部223A、BER検出部224A、B系の信号が入力されるチャンネル選択部221B、信号レベル検出部222B、MER検出部223B、BER検出部224B、および、制御部225、通信部226を有している。
【0030】
ここで、チャンネル選択部221A,221Bは、制御部225の制御に基づいてA系およびB系の受信信号から所定のチャンネルの信号を選択し、信号レベル検出部222A,222Bにそれぞれ出力する。信号レベル検出部222A,222Bは、チャンネル選択部221A,221Bによって選択されたチャンネルの信号の信号レベルをそれぞれ検出し、制御部225に通知する。MER検出部223A,223Bは、チャンネル選択部221A,221Bによって選択されたチャンネルの信号の変調誤差比をそれぞれ検出し、制御部225に通知する。BER検出部224A,224Bは、チャンネル選択部221A,221Bによって選択されたチャンネルの信号のビット誤り率をそれぞれ検出し、制御部225に通知する。制御部225は、チャンネル選択部221A,221Bを制御して、目的のチャンネルを受信するように制御する。また、制御部225は、信号レベル検出部222A,222Bによって検出された受信信号の信号レベルと、MER検出部223A,223Bによって検出された変調誤差比、BER検出部224A,224Bによって検出されたビット誤り率を、通信部226を介して中央制御部23に供給する。通信部226は、LAN24を介して中央制御部23との間で情報の授受を行うためのインタフェースである。
【0031】
(B)本発明の実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の実施形態の動作について説明する。本実施形態では、アンテナ11およびアンテナ12は、異なる場所に配置されており、異なる放送局もしくは異なる中継局からの電波をそれぞれ受信するか、または、同じ放送局もしくは同じ中継局からの電波を異なる経路で受信する。このように、アンテナ11,12によって受信される電波は、放送局もしくは中継局が異なるか、または、伝送経路が異なることから、チャンネル毎に信号の品質が異なる場合がある。このため、本実施形態では、品質が相対的に良好な電波を選択して信号処理部17−1〜17−nおよび信号処理部20に供給する。
【0032】
アンテナ11によって受信された受信信号は、RF分配部13によって(n+2)分配され、切替部16−1〜16−nおよび切替部19ならびに受信信号監視部22に供給される。一方、アンテナ12によって受信された受信信号は、RF分配部14によって(n+2)分配され、切替部16−1〜16−nおよび切替部19ならびに受信信号監視部22に供給される。
【0033】
切替部16−1〜16−nは、例えば、装置を初回に起動した場合のデフォルト状態において、所定の系(例えば、A系)を選択しているとすると、切替部16−1〜16−nは、A系の受信信号を選択して、信号処理部17−1〜17−nに出力する。信号処理部17−1〜17−nは、受信信号に含まれている複数のチャンネルの信号から、相互に重複しないよう所定のチャンネルをそれぞれ選択し、信号レベルの調整および波形整形等の信号処理を実行した後、RF混合部21に出力する。例えば、受信信号に10チャンネルの信号が含まれている場合、信号処理部17−1〜17−10が1チャンネルから10チャンネルの信号をそれぞれ選択して処理することができる。RF混合部21は、信号処理部17−1〜17−nから出力された信号を混合して後段の装置に出力する。なお、以下では、装置を初回に起動した場合のデフォルト状態として、各チャンネルにおいてA系およびB系のいずれか一方が現用系として選択されており、他方が予備系とされているものとする。
【0034】
RF分配部13およびRF分配部14から出力されたA系およびB系の受信信号は、受信信号監視部22にも供給される。受信信号監視部22に供給されたA系の受信信号は、チャンネル選択部221Aに供給される。チャンネル選択部221Aは、A系の受信信号から1チャンネルずつ信号を順次選択して信号レベル検出部222Aに出力する。チャンネル選択部221Bは、B系の受信信号から1チャンネルずつ信号を順次選択して信号レベル検出部222Bに出力する。このとき、チャンネル選択部221Aとチャンネル選択部221Bによって選択されるチャンネルが同じである場合、A系とB系の間で信号の干渉(例えば、クロストーク)が発生し、誤検出が生じる可能性があることから、チャンネル選択部221Aとチャンネル選択部221Bによって選択されるチャンネルが同じにならないようにすることが望ましい。一方、チャンネル選択部221Aとチャンネル選択部221Bが異なるチャンネルを選択している場合には、信号の干渉は発生しないが、A系とB系の双方の検出結果が揃うまでに時間差が生じる。このため、チャンネル選択部221Aとチャンネル選択部221Bによって選択されるチャンネルのずれは、1チャンネル程度、より好ましくは2チャンネル程度とすることが望ましい。例えば、チャンネル選択部221Aが1,2,3,4,・・・,9,10の順にA系の信号を受信している場合、チャンネル選択部221Bは1チャンネル分だけずらす場合には、2,3,4,5,・・・,10,1の順にB系の信号を受信し、2チャンネル分だけずらす場合には、3,4,5,6,・・・,1,2の順にB系の信号を受信することができる。
【0035】
信号レベル検出部222Aおよび信号レベル検出部222Bは、チャンネル選択部221Aおよびチャンネル選択部221Bによって選択されたA系およびB系の受信信号をそれぞれ入力し、該受信信号の信号レベルを検出して制御部225に通知する。MER検出部223AおよびMER検出部223Bは、チャンネル選択部221Aおよびチャンネル選択部221Bによって選択されたA系およびB系の受信信号をそれぞれ入力し、該受信信号の変調誤差比を検出して制御部225に通知する。BER検出部224AおよびBER検出部224Bは、チャンネル選択部221Aおよびチャンネル選択部221Bによって選択されたA系およびB系の受信信号をそれぞれ入力し、該受信信号のビット誤り率を検出して制御部225に通知する。制御部225は、信号レベル検出部222A,222Bで検出された信号レベル、MER検出部223A,223Bで検出された変調誤差比、および、BER検出部224A,224Bで検出されたビット誤り率を、通信部226を介して、中央制御部23に供給する。この結果、受信信号監視部22では、A系およびB系の受信信号に含まれるチャンネルがポーリングによって順次選択され、選択されたチャンネルの信号の信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率が検出されて、中央制御部23に順次送信される。
【0036】
中央制御部23は、切替部16−1〜16−nおよび切替部19のそれぞれがA系またはB系のいずれを選択しているかを示す情報を、例えば、図示しない記憶部に記憶している。中央制御部23は、受信信号監視部22によって検出されたA系およびB系の信号レベル、および、変調誤差比やビット誤り率等の信号品質と、信号処理部17−1〜17−nによって検出された現在受信中の系の信号レベルを参照し、現在受信中の一方の系の信号レベルまたは信号品質が低下した場合には、記憶部に記憶している前述した情報を参照し、該当する切替部16−1〜16−nを制御して、他方の系に切り替える処理を実行する。例えば、切替部16−1〜16−nが全てA系を選択している場合に、信号処理部17−1に入力されるチャンネルの信号品質が低下したと受信信号監視部22が判定した場合には、中央制御部23は、B系の信号品質が良好であることを確認した後に、切替部16−1を制御して、A系からB系に切り替える。なお、この処理の詳細を以下に説明する。
【0037】
説明を簡略化するために、以下では、n=10であり、信号処理部17−1〜17−nは、CH(チャンネル)1,CH2,CH3,・・・,CH10の信号をそれぞれ選択して処理するものとする。このような場合、受信信号監視部22のチャンネル選択部221Aは、A系の受信信号から、CH1,CH2,CH3,・・・,CH9,CH10の順にチャンネルを選択し、信号レベル検出部222A、MER検出部223A、および、BER検出部224Aがそれぞれのチャンネルの信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率を検出し、例えば、チャンネル単位で中央制御部23に送信する。一方、チャンネル選択部221Bは、B系の受信信号から、例えば、CH2,CH3,CH4,・・・,CH10,CH1の順にチャンネルを選択し、信号レベル検出部222B、MER検出部223B、および、BER検出部224Bがそれぞれのチャンネルの信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率を検出し、チャンネルを特定するための情報とともに、チャンネル単位で中央制御部23に送信する。なお、それぞれの系毎に独立して送信するのではなく、例えば、検出結果をバッファリングし、同じチャンネルの検出結果が揃った時点でまとめて送信するようにしてもよい。
【0038】
中央制御部23は、受信信号監視部22によって検出された所定のチャンネルの2系統分の信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率を受信した場合には、前述したチャンネルを特定するための情報を参照して対象となるチャンネルを特定する。そして、記憶部に格納されている情報に基づいて、特定したチャンネルではA系とB系のいずれが現用系として選択されているかを判定し、現用系として選択されている側の系の検出結果を取得する。また、中央制御部23は、受信信号監視部22から受信した検出結果のチャンネルに対応する信号処理部から信号レベルを取得する。例えば、受信信号監視部22からCH1の検出結果を受信した場合には、CH1に対応する信号処理部17−1によって検出された信号レベルを取得する。つぎに、中央制御部23は、受信信号監視部22から受信した現用系の信号レベルと、信号処理部によって検出された信号レベルを参照し、正常か否かを判定する。そして、これらが共に異常である(信号レベルが低い)と判定した場合には、予備系の信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率が正常であるか否かを判定し、正常である場合には切替部を制御して予備系に切り替える。例えば、受信信号監視部22から受信したCH1の現用系(例えば、A系)の信号レベルと、信号処理部17−1によって検出された信号レベルが共に異常である場合には、現用系であるA系のCH1の信号に異常が生じたと判定するとともに、予備系であるB系のCH1の信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率が正常である場合には切替部16−1を制御して、予備系であるB系に切り替える。なお、受信信号監視部22から受信した現用系の信号レベルと、信号処理部によって検出された信号レベルのいずれか一方のみが異常である場合には、誤検出であることも想定されるので、その場合には直ちに切り替えるのではなく、後述するように信号の品質を参照した後に切り替えるかどうかを判断する。
【0039】
受信信号監視部22から受信した現用系の信号レベルと、信号処理部によって検出された信号レベルの双方が正常であると判定された場合、または、いずれか一方が異常であると判定された場合には、中央制御部23は、対象となるチャンネルの信号の品質を参照して判断する。例えば、CH1の場合には、中央制御部23は、受信信号監視部22から受信したCH1の現用系の信号の変調誤差比、および、ビット誤り率を参照する。変調誤差比を参照し、異常であると判定した場合には、予備系の信号レベルおよび信号品質が良好であることを条件として、切替部16−1を現用系に切り替える。なお、変調誤差比は、一例として、25dB以上であれば良好に受信可能であり、20dB〜25dBの範囲では受信可能であり、20dB未満では受信が不安定になる。このため、例えば、20dB以上の場合には正常と判定し、20dB未満の場合には異常と判定し、現用系から予備系に切り替えることができる。
【0040】
また、ビット誤り率は、一例として、2.00×10−4以下であれば、正常に受信でき、これを上回ると受信が不安定になる。このため、例えば、ビット誤り率が2.00×10−4を上回る場合には異常であると判定し、現用系から予備系に切り替えることができる。
【0041】
なお、現用系から予備系に切り替える場合、予備系についても事前に、信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率を参照し、異常の有無を確認した後に、正常な場合には予備系に切り替えるようにすることができる。また、異常の有無を判断するのではなく、例えば、A系とB系のうち相対的に良好な方を選択するようにしてもよい。なお、予備系に異常が検出された場合には、エラーを表示して管理者に通知するようにしてもよい。
【0042】
つぎに、図3および図4を参照して、図1および図2に示す実施形態において実行される処理の詳細について説明する。まず、図3は、図1に示す受信信号監視部22において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0043】
ステップS10では、制御部225は、チャンネル選択部221Aを制御してA系のチャンネルを設定する。例えば、制御部225は、チャンネル選択部221Aを制御してCH1を受信チャンネルとして設定する。
【0044】
ステップS11では、制御部225は、チャンネル選択部221Bを制御してB系のチャンネルをA系とは異なるチャンネルに設定する。例えば、制御部225は、チャンネル選択部221Bを制御して、チャンネル選択部221Aが選択するCH1とは異なるCH2またはCH3を受信チャンネルとして設定する。なお、チャンネル選択部221Aは、例えば、CH1〜CH10の順に選択し、CH10を選択した後は、CH1に戻って選択を繰り返す。一方、チャンネル選択部221Bは、チャンネル選択部221Aとは1チャンネルまたは2チャンネルずれたCHを選択し、CH10を選択した後は、CH1に戻って選択を繰り返す。なお、チャンネル選択部221Aとチャンネル選択部221Bが異なるチャンネルを選択するのは、前述したように、信号の干渉による誤検出を防ぐためである。
【0045】
ステップS12では、制御部225は、信号レベル検出部222Aおよび信号レベル検出部222BによってA系とB系の信号レベルをそれぞれ検出させ、検出されたこれらの情報を取得する。
【0046】
ステップS13では、制御部225は、MER検出部223AおよびMER検出部223BによってA系とB系の変調誤差比をそれぞれ検出させ、検出されたこれらの情報を取得する。
【0047】
ステップS14では、制御部225は、BER検出部224AおよびBER検出部224BによってA系とB系のビット誤り率をそれぞれ検出させ、検出されたこれらの情報を取得する。
【0048】
ステップS15では、制御部225は、ステップS12〜S14で検出した信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率に関する情報に対して、選択したチャンネルを特定するための情報を付加し、通信部226を介して、中央制御部23に送信する。より詳細には、A系がCH1を選択し、B系がCH2を選択している場合には、これらA系のCH1とB系のCH2の情報が中央制御部23に送信される。なお、異なるチャンネルの情報を送信するのではなく、図示しない記憶部に情報を格納し、同じチャンネルの情報が揃うまでバッファリングし、同じチャンネルの情報が揃った時点で中央制御部23に送信するようにしてもよい。もちろん、中央制御部23において、同様のバッファリング処理を実行するようにしてもよい。
【0049】
ステップS16では、全てのチャンネルの検出が終了したか否かを判定し、終了したと判定した場合(ステップS16:Yes)にはステップS17に進み、それ以外の場合(ステップS16:No)にはステップS10に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返す。
【0050】
ステップS17では、処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合(ステップS17:No)にはステップS10に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS17:Yes)には処理を終了する。
【0051】
以上の処理によれば、A系およびB系の受信信号から、ポーリングによってチャンネルを順次選択し、各チャンネルの信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率を検出し、中央制御部23に送信することができる。
【0052】
つぎに、図4を参照して中央制御部23で実行される処理の一例について説明する。この図4のフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0053】
ステップS30では、中央制御部23は、受信信号監視部22から監視結果を受信する。例えば、受信信号監視部22が同じチャンネルの監視結果が揃うまでバッファリングしている場合には、受信信号監視部22から同じチャンネル(例えば、CH1)のA系とB系の監視結果を、チャンネルを特定するための情報(例えば、「1」)とともに受信する。
【0054】
ステップS31では、中央制御部23は、ステップS30で受信したチャンネルと同じチャンネル(対象チャンネル)の信号処理部によって検出された現用系の信号レベルL1を取得する。例えば、対象チャンネルがCH1である場合には、信号処理部17−1から信号レベルの検出結果を取得する。
【0055】
ステップS32では、中央制御部23は、ステップS30で受信した監視結果から、現用系の信号レベルL2を取得する。例えば、切替部16−1がA系を選択している場合には、ステップS30で受信した監視結果から、A系の信号レベルを取得する。
【0056】
ステップS33では、中央制御部23は、ステップS31で取得した信号レベルL1と、ステップS32で取得した信号レベルL2の双方が異常であるか否かを判定し、双方が異常であると判定した場合(ステップS33:Yes)にはステップS36に進んで予備系に切り替えるか否かの判定を行い、それ以外の場合(ステップS33:No)にはステップS34に進む。例えば、双方が異常である場合には、現用系の信号に障害が発生している可能性が高いのでステップS36に進んで予備系への切り替えを判定し、いずれか一方が異常である場合には、信号処理部または受信信号監視部に障害が発生している可能性があるのでステップ36に進んで予備系への切り替えを判定し、双方が正常である場合には、現用系の信号品質を検討するためにステップS34に進む。
【0057】
ステップS34では、中央制御部23は、ステップS30で受信した監視結果から、対象チャンネルの現用系の変調誤差比(MER)を取得し、取得した変調誤差比が異常であるか否かを判定し、異常であると判定した場合(ステップS34:Yes)にはステップS37に進んで予備系への切り替え処理を実行し、それ以外の場合(ステップS34:No)にはステップS35に進む。例えば、変調誤差比が20dB未満の場合には異常と判定し、ステップS37に進むことができる。
【0058】
ステップS35では、中央制御部23は、ステップS30で受信した監視結果から、対象チャンネルの現用系のビット誤り率(BER)を取得し、取得したビット誤り率が異常であるか否かを判定し、異常であると判定した場合(ステップS35:Yes)にはステップS37に進んで予備系への切り替え処理を実行し、それ以外の場合(ステップS35:No)にはステップS36に進む。例えば、ビット誤り率が2.00×10−4を上回る場合には異常と判定し、ステップS37に進むことができる。
【0059】
ステップS36では、中央制御部23は、予備系へ切り替えるか否かを判定し、予備系へ切り替えると判定した場合(ステップS36:Yes)にはステップS37に進み、それ以外の場合(ステップS36:No)にはステップS41に進む。例えば、ステップS33において、L1とL2の双方が異常と判定された場合であっても、信号レベルは短期間で回復する場合があるので、即座に切り替えるのではなく、しばらく様子を見た方がよい場合もある。また、現用系の変調誤差比とビット誤り率が正常と判定された場合であっても、変調誤差比が20dB〜25dBの範囲内にある場合には、受信は可能であるものの、状況の変化によっては受信が不安定になる可能性があるので、その場合には予備系に切り替える方がよい場合もある。また、L1とL2のいずれかが異常と判定された場合には、双方の検出結果に差異があるので、より慎重に判断することが望ましい。
【0060】
なお、L1,L2の少なくとも一方が異常と判定された場合には、異常と判定されたチャンネルについてステップS31〜ステップS35を適宜繰り返し行い、複数回の異常の検出を以て、予備系へ切り替える判定を行っても良い。この様な構成とする事で、異常の誤判断による予備系への切り替えを低減する事ができる。
【0061】
ステップS37では、中央制御部23は、ステップS30で受信した監視結果から、対象チャンネルの予備系の信号レベルおよび受信信号の品質を取得する。例えば、いまの例では、中央制御部23は、ステップS30で受信した監視結果から、対象チャンネルであるCH1の予備系の受信信号の信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率を取得する。
【0062】
ステップS38では、中央制御部23は、ステップS37で取得した対象チャンネルの予備系の信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率が正常であるか否かを判定し、これらが共に正常である場合(ステップS38:Yes)にはステップS39に進み、それ以外の場合(ステップS38:No)の場合にはステップS40に進む。例えば、信号レベルが45dBμV以上75dBμV以下、変調誤差比が20dB以上であり、かつ、ビット誤り率が2.00×10−4以下である場合には正常と判定して、ステップS39に進む。なお、現用系と予備系の受信信号の異常判定においては、同じ判定基準を用いてもよいし、異なっていてもよい。
【0063】
ステップS39では、中央制御部23は、対象チャンネルが入力される信号処理モジュールの切替部を制御して対象チャンネルを現用系から予備系に切り替える。例えば、対象チャンネルがCH1であり、現用系がA系である場合には、中央制御部23は、切替部16−1を制御して、A系からB系へ切り替える。
【0064】
ステップS40では、中央制御部23は、現用系と予備系の双方に異常が発生しているとして、図示しない表示部にエラーを表示し、管理者に通知する。
【0065】
ステップS41では、中央制御部23は、全てのチャンネルに対する処理が終了したか否かを判定し、終了したと判定した場合(ステップS41:Yes)にはステップS42に進み、それ以外の場合(ステップS41:No)にはステップS30に戻って同様の処理を繰り返す。
【0066】
ステップS42では、中央制御部23は、処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合(ステップS42:No)にはステップS30に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS41:Yes)には処理を終了する。
【0067】
以上の処理によれば、現用系のチャンネルを順次監視し、アンテナから入力される信号に異常が検出された場合には、予備系に切り替えることができる。
【0068】
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、受信信号監視部22を設け、この受信信号監視部22によって、2系統のアンテナからの入力信号の各チャンネルを択一的に選択し、各チャンネルの信号の信号レベルと品質を検出するようにしたので、信号処理部17−1〜17−nが変調誤差比やビット誤り率等の信号品質を監視する必要がないため、装置の構成を簡略化することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、信号処理部から取得した対象チャンネルの信号レベルと、受信信号監視部から取得した対象チャンネルの現用系の信号レベルを比較し、これらが共に異常である場合、対象チャンネルを予備系へ切り替える処理を実行するようにしたので、信号の異常による障害時に予備系に切り替えることができる。また、これらのうちいずれか一方が異常であるときにも予備系への切り替えが可能であるので、装置の故障等による障害時においても切り替えを判定する事ができる。さらに、これらの双方が異常と判定された場合でも直ちに予備系に切り替えるのではなく、ステップS36において切り替えの要否の判断を行った後に、予備系に切り替えるようにしたので、例えば、短時間で信号レベルが回復するような場合についても切り替えが行われることを防止できる。
【0070】
また、本実施形態によれば、信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率が正常である場合であっても、例えば、信号レベルまたは変調誤差比が正常の範囲ではあるが、好ましい範囲にない場合には、安全性を考慮して予備系に切り替えるようにすることもできる。
【0071】
また、本実施形態によれば、ステップS38にて予備系の信号レベル、変調誤差比およびビット誤り率を取得する様にしたが、予備系の信号レベルを事前に取得する様にしてもよい。例えば、ステップS32にて信号レベルL2を受信信号監視部から取得するが、該ステップと同時または前後にて予備系の信号レベルを取得する様にしてもよい。
【0072】
(E)変形実施形態の説明
以上の各実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、図1に示す実施形態では、切替部16−1〜16−nを信号処理部17−1〜17−nから独立した構成としたが、例えば、図5に示すように、切替部16−1〜16−nが信号処理部17−1〜17−nと一体の構成としてもよい。図5では、切替部16−1〜16−nが信号処理部17−1〜17−nと一体の構成とされ、中央制御部23は、信号処理部17−1〜17−nに内蔵されている切替部(不図示)を制御することで、A系およびB系のいずれか一方を選択して入力することができる。このような構成によっても、前述した場合と同様の効果を期待することができる。
【0073】
また、以上の実施形態では、アンテナ11,12の2系統の入力を例に挙げて説明したが、3系統以上の入力を有するようにしてもよい。そのような場合には、選択部が3系統以上の入力信号から択一的に信号を選択し、受信信号監視部22は、3系統以上の入力信号の信号レベルと、変調誤差比、および、ビット誤り率を検出できるように構成すればよい。
【0074】
また、以上の実施形態では、信号処理部17−1〜17−nおよび信号処理部20が信号レベルを検出する機能を有するようにしたが、このような機能を有しない構成としてもよい。なお、その場合には、ステップS33の処理において、L2のみが異常な場合にステップS36に進むようにすればよい。
【0075】
また、以上の実施形態では、信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率の3種類の情報に基づいて判断するようにしたが、例えば、信号レベルについては判断対象から除外するようにしてもよい。また、変調誤差比、および、ビット誤り率については、双方を参照するのではなく、これらのいずれか一方のみに基づいて信号の品質を判断するようにしてもよい。なお、監視する項目を後から追加できる様にしてもよい。例えば、信号レベルと変調誤差比のみ参照する構成で受信信号の監視を行い、必要に応じてビット誤り率やこの他の指標を監視する様にしてもよい。この様な構成とする事で、必要に応じて簡易な変更でシステム全体の信頼性を向上させることができる。
【0076】
また、以上の実施形態では、受信信号監視部22は、アンテナの数に応じたチャンネル選択部、信号レベル検出部、MER検出部、および、BER検出部を有するようにしたが、これらを複数ではなく1つずつ有する構成とし、例えば、2つの系統を時分割制御で利用するようにしてもよい。そのような構成によれば、装置の構成を簡略化することができる。
【0077】
また、以上の実施形態では、受信信号監視部22は、異なるチャンネルの信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率を検出するようにしたが、場合によっては同じチャンネルの信号レベル、変調誤差比、および、ビット誤り率を検出するようにしてもよい。
【0078】
また、以上の実施形態では、受信信号監視部22と中央制御部23は独立した別個の構成としたが、これらを同一の装置として構成としてもよい。
【0079】
また、以上の実施形態では、信号処理部17−1〜17−nに入力される信号を監視して切替部16−1〜16−nを切り替えるようにしたが、例えば、信号処理部17−1〜17−nの出力を参照し、出力信号が正常でない場合には、入力信号を参照して入力信号が正常である場合には信号処理部の故障と判断して待機系の信号処理部20に切り替え、入力信号が正常でない場合には前述の場合と同様に系の切り替え処理を実行するようにしてもよい。
【0080】
また、以上の実施形態では、1つのチャンネルにおいて、信号のレベル検出、変調誤差比検出、ビット誤り率検出をこの順に行う構成としたが、必要に応じて検出順序を入れ替えたり、これらを並行して検出したりする様にしてもよい。なお、これらを並行して検出する事によって、信号が異常かどうかを判定するのに要する時間を短縮する事ができるとともに、これらを検出するタイミングのずれが小さくなるので、判定精度の向上を図る事ができる。この時、変調誤差比はビット誤り率より先に悪化する事が多い為、変調誤差比とビット誤り率を本実施例の順に検出する事で、ビット誤り率が異常となる前に予備系への切り替えを行う事ができる。
【0081】
また、以上の実施形態では、切替部19および信号処理部20を有する待機系の信号処理モジュールを1つ有する構成としたが、複数の待機系の信号処理モジュールを持つ構成としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 受信信号監視システム
11,12 アンテナ
13,14 RF分配部
15 運用系の信号処理部モジュール
16−1〜16−n,19 切替部
17−1〜17−n,20 信号処理部(信号処理手段)
18 待機系の信号処理モジュール
21 RF混合部
22 受信信号監視部(判定手段)
23 中央制御部(制御手段)
24 LAN
221A,221B チャンネル選択部
222A,222B 信号レベル検出部
223A,223B MER検出部
224A,224B BER検出部
225 制御部
226 通信部
図1
図2
図3
図4
図5