特許第6169095号(P6169095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許61690956−ジフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−アミン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169095
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】6−ジフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−アミン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/10 20060101AFI20170713BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20170713BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20170713BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   C07D413/10CSP
   C07D413/12
   A61P25/28
   A61K31/5377
【請求項の数】10
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2014-543939(P2014-543939)
(86)(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公表番号】特表2015-500223(P2015-500223A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2012074351
(87)【国際公開番号】WO2013083557
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年10月29日
(31)【優先権主張番号】11191997.3
(32)【優先日】2011年12月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】トラバンコ−スアレス,アンドレス,アベリノ
(72)【発明者】
【氏名】ジイセン,ヘンリクス,ヤコブス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】スーキン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】プロコップコバ,ハナ
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/009943(WO,A1)
【文献】 特表2014−505688(JP,A)
【文献】 特表2013−531645(JP,A)
【文献】 再公表特許第2012/147763(JP,A1)
【文献】 特表2013−502393(JP,A)
【文献】 特表2013−513563(JP,A)
【文献】 特許第5989130(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物、もしくはその互変異性体もしくは立体異性体、
(式中、
は、C1〜3アルキルであり;
は、水素またはフルオロであり;
Lは、結合または−NHCO−であり;
Arは、ハロまたはC1〜3アルコキシでそれぞれ任意選択により置換された、ピリジニル、ピリミジニルおよびピラジニルからなる群から選択される)
または、その薬学的に許容される付加塩。
【請求項2】
がメチルまたはエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arが5−メトキシピリジニル、5−ピリミジニルおよび5−フルオロピラジニルから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が水素またはフルオロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記Rで置換された四級炭素原子がR配置を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
下記化合物:
【化2】
または、その薬学的に許容される付加塩
【請求項7】
治療有効量の請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項8】
薬学的に許容される担体が、治療有効量の請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物と混合されることを特徴とする、請求項7に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項9】
アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症またはβアミロイドに関連する認知症の治療または予防に使用される、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
アルツハイマー病、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症およびβアミロイドに関連する認知症からなる群から選択される障害の治療のための医薬組成物であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、βサイトアミロイド切断酵素、BACE、BACE1、Asp2、またはメマプシン2としても知られるβ−セクレターゼの阻害剤としての、新規な6−ジフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−アミン誘導体に関する。本発明は、また、このような化合物を含む医薬組成物、このような化合物および組成物の製造方法、ならびに、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症、およびβアミロイドに関連する認知症などのβ−セクレターゼが関与する障害を予防および治療するためのこのような化合物および組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、老化に伴う神経変性疾患である。AD患者は、認知障害および記憶喪失、ならびに不安症などの行動問題を患う。ADに罹患している人の90%超が散発型の障害を有するが、この症例の10%未満は家族性または遺伝性である。米国では、65歳で10人に約1人がADを有するが、85歳では2人に1人がADに罹患している。初期診断からの平均寿命は7〜10年であり、AD患者は、非常に費用のかかる介護付き生活施設での、または家族による広範な介護を必要とする。人口に占める高齢者の数が増加するにつれ、ADに対する医学的関心が高まっている。現在使用可能なADの治療法は単にこの疾患の症状を治療するに過ぎず、それには認知性を改善するためのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、ならびにこの病気に伴う行動問題をコントロールするための抗不安薬および抗精神病薬が含まれる。
【0003】
AD患者の脳における顕著な病理学的特徴は、タウタンパク質の過剰リン酸化によって生じる神経原線維変化と、β−アミロイド1−42(Aβ1−42)ペプチドの凝集によって形成されるアミロイド斑である。Aβ1−42は、オリゴマー、次いで原線維を形成し、最終的にはアミロイド斑を形成する。オリゴマーおよび原線維はとりわけ神経毒性があると考えられており、ADに関連する神経損傷の大部分を引き起こし得る。Aβ1−42の生成を防止する薬剤は、AD治療用の疾患緩和剤となる可能性がある。Aβ1−42は、770個のアミノ酸から構成されるアミロイド前駆体タンパク質(APP)から生成される。Aβ1−42のN末端がβ−セクレターゼ(BACE)により切断された後、γ−セクレターゼによりC末端が切断される。Aβ1−42の他に、γ−セクレターゼは、主要な切断産物であるAβ1−40、ならびにAβ1−38およびAβ1−43も遊離する。これらのAβ型も凝集して、オリゴマーおよび原線維を形成し得る。従って、BACEの阻害剤は、Aβ1−42ならびにAβ1−40、Aβ1−38およびAβ1−43の生成を防止するものと期待され、AD治療における治療薬となる可能性がある。
【0004】
国際公開第2011/009943号パンフレット(Novartis)は、非置換および2−置換オキサジン誘導体、ならびに神経障害を治療するためのBACE阻害剤としてのそれらの使用を開示している。国際公開第2011/020806号パンフレット(Hoffmann−LaRoche)は、BACE1および/またはBACE2阻害特性を有する2,6−非置換3−アミノ−5−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン誘導体を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)
【化1】

の5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−アミン誘導体、およびその互変異性体および立体異性体の形態、
(式中、
は、C1〜3アルキルであり;
は、水素またはフルオロであり;
Lは、結合または−NHCO−であり;
Arは、ハロまたはC1〜3アルコキシでそれぞれ任意選択により置換された、ピリジニル、ピリミジニルおよびピラジニルからなる群から選択される)
ならびに、その薬学的に許容される付加塩に関する。
【0006】
本発明を例証するものとして、薬学的に許容される担体と前述の化合物のいずれかとを含む医薬組成物がある。本発明の例証として、前述の化合物のいずれかと薬学的に許容される担体とを混合することにより製造される医薬組成物がある。本発明を例証するものとして、前述の化合物のいずれかと薬学的に許容される担体とを混合する工程を含む医薬組成物の製造方法がある。
【0007】
本発明を例示するものとして、必要とする対象に本明細書の化合物または医薬組成物のいずれかを治療有効量投与する工程を含む、β−セクレターゼ酵素により媒介される障害の治療方法がある。
【0008】
本発明をさらに例示するものとして、必要とする対象に本明細書の化合物または医薬組成物のいずれかを治療有効量投与する工程を含むβ−セクレターゼ酵素の阻害方法がある。
【0009】
本発明の一例は、アルツハイマー病、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症およびβアミロイドに関連する認知症からなる群から選択される障害、好ましくはアルツハイマー病の治療方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載の化合物または医薬組成物のいずれかを治療有効量投与することを含む方法である。
【0010】
本発明の別の例として、必要とする対象の(a)アルツハイマー病、(b)軽度認知障害、(c)老化現象、(d)認知症、(e)レヴィー小体型認知症、(f)ダウン症候群、(g)脳卒中に伴う認知症、(h)パーキンソン病に伴う認知症、および(i)βアミロイドに関連する認知症の治療に使用される前述の化合物のいずれかがある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、前述の式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物に関する。式(I)の化合物は、β−セクレターゼ酵素(βサイト切断酵素、BACE、BACE1、Asp2、またはメマプシン2としても知られる)の阻害剤であり、アルツハイマー病、軽度認知障害、老化現象、認知症、脳卒中に伴う認知症、レヴィー小体型認知症、ダウン症候群、パーキンソン病に伴う認知症、およびβアミロイドに関連する認知症、好ましくはアルツハイマー病、軽度認知障害、または認知症、より好ましくはアルツハイマー病の治療に有用である。
【0012】
本発明の一実施形態では、Rはメチルまたはエチルである。
【0013】
本発明の一実施形態では、Arは、5−メトキシ−ピリジニル、5−ピリミジニルおよび5−フルオロピラジニルから選択される。
【0014】
本発明の別の実施形態では、Rは水素またはフルオロである。
【0015】
別の実施形態では、Rで置換された四級炭素原子は、R配置を有する。
【0016】
定義
「ハロ」は、フルオロ、クロロおよびブロモを意味するものとし;「C1〜3アルキルオキシ」は、C1〜3アルキルが炭素数1、2または3の直鎖または分岐鎖の飽和アルキル基、例えば、メチル、エチル、1−プロピルおよび2−プロピルであるエーテル基を意味するものとする。
【0017】
本明細書で使用する場合、「対象(subject)」という用語は、治療、観察、または実験の目的物(object)となる、または目的物となった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0018】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」という用語は、治療される疾患または障害の症状の緩和を含む、研究者、獣医、医師または他の臨床医が求める、組織系、動物、またはヒトにおける生物学的または医学的反応を誘発する薬理活性化合物または医薬剤の量を意味する。
【0019】
本明細書で使用する場合、「組成物」という用語は、特定の成分を特定の量で含む製品、ならびに特定の量の特定の成分の組み合わせから直接または間接的に得られる任意の製品を包含するものとする。
【0020】
上記および以下において、「式(I)の化合物」という用語は、その付加塩、溶媒和物および立体異性体を含むものとする。
【0021】
「立体異性体」または「立体化学的異性体の形態」という用語は、上記または下記において、互換的に使用される。
【0022】
本発明は、式(I)の化合物の全ての立体異性体を、純粋な立体異性体としてまたは2種以上の立体異性体の混合物として含む。
【0023】
鏡像異性体は、重ね合わせることができない互いの鏡像となっている立体異性体である。1組の鏡像異性体の1:1混合物は、ラセミ体またはラセミ混合物である。
【0024】
ジアステレオマー(またはジアステレオ異性体)は、鏡像異性体ではない立体異性体である、即ち、それらは鏡像の関係にない。従って、本発明は、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体を含む。
【0025】
絶対配置は、カーン−インゴルド−プレログ・システムに従って明記される。不斉原子での配置はRまたはSで明記される。
【0026】
絶対配置が未知の分割された化合物は、それらが平面偏光を回転させる方向に応じて、(+)または(−)で示すことができる。
【0027】
特定の立体異性体が同定されるとき、これは、前記立体異性体が他の異性体を実質的に含まない、即ち、共存する他の異性体が50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、さらにより好ましくは5%未満、特に2%未満、および最も好ましくは1%未満であることを意味する。従って、式(I)の化合物が、例えば、(R)と明記されるとき、これは、化合物が(S)異性体を実質的に含まないことを意味する。
【0028】
式(I)の化合物は、式(I−a)の互変異性体と動的平衡状態で共存する。
【化2】
【0029】
さらに、本発明の化合物の結晶形の幾つかは多形として存在することがあり、このようなものとして本発明に含まれるものとする。さらに、本発明の化合物の幾つかは、水(即ち、水和物)または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成することができ、このような溶媒和物も本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0030】
医薬に使用される場合、本発明の化合物の塩は、無毒の「薬学的に許容される塩」を指す。しかし、他の塩も、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の製造に有用な場合がある。本化合物の好適な薬学的に許容される塩としては、例えば、化合物の溶液を、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、またはリン酸などの薬学的に許容される酸の溶液と混合することにより生成し得る酸付加塩が挙げられる。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、その好適な薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩;および好適な有機配位子と共に形成された塩、例えば、四級アンモニウム塩を挙げることができる。
【0031】
薬学的に許容される塩の製造に使用され得る代表的な酸としては、以下:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−樟脳酸、樟脳スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルコロン酸(D−glucoronic acid)、L−グルタミン酸、β−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、およびウンデシレン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。薬学的に許容される塩の製造に使用され得る代表的な塩基としては、以下:アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン、および水酸化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の化合物の名称は、ケミカル・アブストラクト・サービス(CAS)が合意した命名規則に従い、Advanced Chemical Development,Inc.、ソフトウェア(ACD/Name製品バージョン10.01;Build 15494、2006年12月1日)を使用して、または国際純正・応用化学連合(IUPAC)が合意した命名規則に従い、Advanced Chemical Development,Inc.、ソフトウェア(ACD/Name製品バージョン10.01.0.14105、2006年10月)を使用して命名した。互変異性体の形態の場合、構造の示された互変異性体の形態の名称を命名した。その他の示されていない互変異性体の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0033】
化合物の製造
実験手順1
式(I)の最終化合物は、反応スキーム(1)に従い、式(II−a)の中間化合物を、触媒を用いて水素化することにより製造することができる。前記変換は、式(II−a)の中間化合物を水素で、例えばパラジウム炭素などの好適な触媒、例えばチオフェンなどの好適な触媒毒の存在下、例えば酢酸エチルまたはメタノールなどの好適な反応不活性溶媒中で処理することにより行うことができる。混合物を水素雰囲気下、好適な温度、通常は室温で、好適な圧力、例えば大気圧で、例えば16時間撹拌する。反応スキーム(1)中、変数は全て式(I)に記載の通りである。
【化3】
【0034】
実験手順2
式(II−b)の中間化合物は、一般に、式(III)の中間化合物を式(IV)の化合物と反応スキーム(2)に従って反応させることにより、即ち、例えばジクロロメタンまたはメタノールなどの好適な反応不活性溶媒中、例えばトリエチルアミンなどの好適な塩基の存在下、例えばO−(7アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HATU、CAS 148893−10−1]または4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド[DMTMM、CAS 3945−69−5]などの縮合剤の存在下、例えば、反応混合物を25℃で、反応の終了を達成するのに必要な時間、例えば1〜16時間加熱することなどの熱条件下で行われる反応により製造することができる。反応スキーム(2)中、変数は全て式(I)に記載の通りである。
【化4】
【0035】
実験手順3
式(II−c)の中間化合物は、一般に式(VI)の中間化合物を適切なアリール−ボロネートまたはアリールボロン酸と鈴木型の反応で反応させることにより製造することができる。従って、式(VI)の中間化合物は、アリール−ボロネートまたはアリールボロン酸と、例えば1,4−ジオキサン、エタノールなどの好適な反応不活性溶媒、または、例えば1,2−ジメトキシエタン/水/エタノールなどの不活性溶媒の混合物中で、例えばKPO、NaCOまたはCsCO水溶液などの好適な塩基、例えば[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)[CAS 72287−26−4]またはトランス−ビスジシクロヘキシルアミン)パラジウムジアセテート[DAPCy、CAS 628339−96−8]またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[CAS14221−01−3]などのPd錯体触媒の存在下、例えば、反応混合物を80℃で、例えば2〜20時間加熱すること、または、例えば、反応混合物を130℃で、例えば10分間マイクロ波を照射して加熱することなどの熱条件下で反応することができる。反応スキーム(3)中、変数は全て式(I)に記載の通りであり、Wはハロである。RとRは、水素もしくはアルキルであってもよく、または一緒になって、例えば、式−CHCH−、−CHCHCH−、もしくは−C(CHC(CH−の2価の基を形成してもよい。
【化5】
【0036】
実験手順4
式(III)の中間化合物は、一般に、下記の反応スキーム(4)に示す反応工程に従って製造することができる。
【化6】
【0037】
上記反応スキーム(4)中の式(III)の中間化合物は、対応する式(VI)の中間化合物から、当該技術分野で公知の銅触媒型カップリング法(反応工程A)に従って製造することができる。前記カップリングは、前記式(VI)の中間化合物をナトリウムアジドで、例えばDMSOなどの好適な反応不活性溶媒中、例えばジメチルエチレンジアミンとNaCOなどの好適な塩基の混合物、およびCuIなどの銅触媒の存在下、例えば、反応混合物を110℃で、反応が終了するまで、例えば1時間加熱することなどの熱条件下で処理することにより行うことができる。
【0038】
上記反応スキーム(4)中の式(VI)の中間化合物は、対応する式(VII)の中間化合物から、当該技術分野で公知のチオアミドからアミジンへの変換法(反応工程B)に従って製造することができる。前記変換は好都合には、式(VII)の中間化合物を、例えば塩化アンモニウムまたはアンモニア水などのアンモニア源で、例えば水またはメタノール等の好適な反応不活性溶媒中、例えば、反応混合物を60℃で、例えば6時間加熱することなどの熱条件下で処理することにより行うことができる。
【0039】
上記反応スキーム(4)中の式(VII)の中間化合物は、対応する式(VIII)の中間化合物から、当該技術分野で公知の硫化法(反応工程C)に従って製造することができる。前記変換は好都合には、式(VIII)の中間化合物を、例えば五硫化リンまたは2,4−ビス−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン2,4−ジスルフィド[ローソン試薬、CAS 19172−47−5]などの硫化剤で、例えばテトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサン等の反応不活性溶媒中、例えば、反応混合物を50℃で、例えば50分間加熱することなどの熱条件下で処理することにより行うことができる。
【0040】
実験手順5
式(VIII)および式(IX)の中間化合物は、一般に、式(X)の中間化合物から当該技術分野で公知の還元脱ハロゲン化法(反応工程D)に従って製造することができる。前記変換は、式(X)の中間体を、例えば亜鉛末または亜鉛−銅カップルなどの好適な亜鉛試薬で、酢酸などの好適な溶媒中、好適な温度、通常は室温〜80℃で、反応の終了を達成するのに必要な時間、例えば1〜16時間処理することにより行うことができる。この変換により、式(VIII)の中間化合物と(IX)の中間化合物との混合物が、反応条件および反応物に応じて異なる比で得られる。
【化7】
【0041】
実験手順6
式(X)の中間化合物は、一般に、下記の反応スキーム(6)に示す反応工程に従って製造することができる。
【化8】
【0042】
上記反応スキーム(6)中の式(X)の中間化合物は、式(XI)の中間化合物から、当該技術分野で公知の塩素化法(反応工程E)に従って製造することができる。前記変換は、式(XI)の中間化合物を、例えば塩化チオニルなどの好適な塩素化剤で、例えばピリジンなどの塩基の存在下、例えばジクロロメタンなどの反応不活性溶媒中で処理することにより行うことができる。反応混合物を好適な温度、例えば0℃で、反応の終了を達成するのに必要な時間、例えば30〜60分間撹拌する。
【0043】
上記反応スキーム(6)の式(XI)の中間化合物は、式(XII)の中間化合物から、当該技術分野で公知のトリフルオロメチル化法(反応工程F)に従って製造することができる。前記変換は、式(XII)の中間化合物をテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)またはテトラブチルアンモニウムトリフェニルジフルオロシリケート(TBAT)の存在下、例えば(トリフルオロメチル)トリメチルシランなどのトリフルオロメチル化剤で、例えばテトラヒドロフランなどの好適な反応不活性溶媒中で処理することにより行うことができる。反応混合物を好適な温度、例えば室温で、反応の終了を達成するのに必要な時間、例えば2時間撹拌する。
【0044】
上記反応スキーム(6)中の式(XII)の中間化合物は、式(XIV)の中間化合物から、当該技術分野で公知の2工程環化法(反応工程G)に従って製造することができる。前記変換は、まず式(XIV)の中間化合物を、例えばクロロアセチルクロライドなどの式(XIII)の中間化合物で、例えばNaOHまたはDIPEAなどの塩基の存在下、例えばジクロロメタンなどの好適な反応不活性溶媒、または、例えば水と1,4−ジオキサン、もしくは水とTHFなどの不活性溶媒の混合物中で処理することにより行うことができる。例えばNaOHなどの好適な塩基を添加することにより、反応混合物のpHを好適なpH値、例えば10〜11に調節することができる。反応混合物を好適な温度、例えば0℃〜25℃で、反応の終了を達成するのに必要な時間、例えば1〜4時間撹拌する。得られた粗残留物を、その後、例えばアセトニトリルまたはDMFなどの好適な反応不活性溶媒中で、例えばKCO、CsCO、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはNaHCOなどの好適な塩基を添加することにより、環化して中間体(XII)を得ることができる。例えば、反応混合物を25℃〜80℃で2〜24時間加熱すること、または、例えば、反応混合物を140℃で15〜30分間マイクロ波を照射して加熱することなどの熱条件下で、反応混合物を撹拌する。この変換は、塩基の非存在下、例えばアセトニトリルまたはDMFなどの好適な反応不活性溶媒中、好適な温度、通常は40℃〜110℃で、例えば24〜48時間行うこともできる。
【0045】
薬理学
本発明の化合物およびその薬学的に許容される組成物はBACEを阻害し、従って、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、パーキンソン病に伴う認知症、およびβアミロイドに関連する認知症の治療または予防に有用となり得る。
【0046】
本発明は、医薬として使用される、一般式(I)の化合物、その立体異性体の形態、またはその薬学的に許容される酸付加塩もしくは塩基付加塩に関する。
【0047】
本発明は、また、AD、MCI、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、パーキンソン病に伴う認知症、およびβアミロイドに関連する認知症からなる群から選択される疾患または症状の治療または予防に使用される、一般式(I)の化合物、その立体異性体の形態、またはその薬学的に許容される酸付加塩もしくは塩基付加塩にも関する。
【0048】
本発明は、また、前述の疾患の症状のいずれか1つを治療または予防する医薬を製造するための、一般式(I)の化合物、その立体異性体の形態、またはその薬学的に許容される酸付加塩もしくは塩基付加塩の使用にも関する。
【0049】
式(I)の化合物の有用性に鑑みて、前述の疾患のいずれか1つに罹患している、ヒトを含む温血動物などの対象の治療方法、またはヒトを含む温血動物などの対象が前述の疾患のいずれか1つに罹患することを予防する方法を提供する。
【0050】
前記方法は、一般式(I)の化合物、その立体異性体の形態、その薬学的に許容される付加塩またはその溶媒和物を有効量、ヒトを含む温血動物などの対象に投与すること、即ち、全身投与または局所投与すること、好ましくは経口投与することを含む。
【0051】
治療方法は、また、有効成分を1日当たり1〜4回摂取する投与計画で投与することを含んでもよい。これらの治療方法では、本発明の化合物は、好ましくは投与前に製剤化される。後述のように、好適な医薬製剤は、周知の容易に入手可能な成分を使用して公知の方法で製造される。
【0052】
アルツハイマー病またはその症状を治療または予防するのに好適な可能性がある本発明の化合物は、単独で投与されても、または1種以上の追加の治療薬と併用投与されてもよい。併用療法には、式(I)の化合物と1種以上の追加の治療薬とを含有する単一の医薬投与製剤を投与すること、ならびに式(I)の化合物と各追加の治療薬をそれ自体の別々の医薬投与製剤として投与することが含まれる。例えば、式(I)の化合物と治療薬を錠剤もしくはカプセルなどの単一の経口投与組成物として一緒に患者に投与してもよく、または各薬剤を別々の経口投与製剤として投与してもよい。
【0053】
医薬組成物
本発明は、また、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症、およびβアミロイドに関連する認知症などの、β−セクレターゼの阻害が有益である疾患を予防または治療するための組成物も提供する。治療有効量の式(I)の化合物と薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む前記組成物。
【0054】
有効成分を単独で投与することも可能であるが、それを医薬組成物として提供することが好ましい。従って、本発明は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物をさらに提供する。担体または希釈剤は、組成物の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0055】
本発明の医薬組成物は、薬学の分野で周知の任意の方法により製造することができる。有効成分として塩基の形態または付加塩の形態の特定の化合物を治療有効量、薬学的に許容される担体と完全に混合して組み合わせるが、それは投与に望ましい製剤の形態に応じて非常に様々な形態を取り得る。望ましくは、これらの医薬組成物は、好ましくは、経口投与、経皮投与、もしくは非経口投与などの全身投与;または吸入、点鼻スプレー、点眼液による、もしくはクリーム、ゲル、もしくはシャンプー等による局所投与に好適な単位剤形である。例えば、経口剤形の組成物の製造において、懸濁剤、シロップ、エリキシル剤、および液剤などの経口液体製剤の場合、例えば、水、グリコール、油、およびアルコール等;または、散剤、丸剤、カプセル、および錠剤の場合、デンプン、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤等の固体担体などの、通常の医薬媒体のいずれかを使用することができる。投与が容易であるため、錠剤およびカプセルが最も有利な経口単位剤形であり、この場合、明らかに固体医薬担体が使用される。非経口組成物では、担体は、通常、少なくとも大部分、滅菌水を含むことになるが、例えば、溶解性を補助する他の成分が含まれてもよい。例えば、担体が生理食塩水、グルコース溶液、または生理食塩水とグルコース溶液との混合物を含む注射用液剤を製造してもよい。また、注射用懸濁剤を製造してもよく、この場合、適切な液体担体、および懸濁化剤等を使用してもよい。経皮投与に好適な組成物では、担体は、任意選択により浸透促進剤および/または好適な湿潤剤を含み、それに任意選択により、皮膚に顕著な有害作用を引き起こさない任意の種類の好適な添加剤が少量、組み合わせられる。前記添加剤は皮膚への投与を促進し得るおよび/または所望の組成物の製造に有用となり得る。これらの組成物は、様々な方法で、例えば、経皮パッチとして、スポット・オン製剤(spot−on)として、または軟膏として投与することができる。
【0056】
投与の容易さと投与の均一性のため、前述の医薬組成物を単位剤形で製剤化することがとりわけ有利である。本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、単位剤形とは、単位投与量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の有効成分を、必要な医薬担体と共に含有する。このような単位剤形の例としては、錠剤(割線入り錠剤およびコーティング錠を含む)、カプセル、丸剤、散剤分包、カシェ剤、注射用液剤または懸濁剤、ティースプーン量、およびテーブルスプーン量等、ならびにこれらのそれぞれの倍数がある。
【0057】
正確な投与量および投与頻度は、当業者に周知のように、使用される式(I)の特定の化合物、治療される特定の症状、治療される症状の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、障害の程度および全身健康状態、ならびにその個体が摂取している可能性がある他の医薬に依存する。さらに、治療される対象の反応に応じておよび/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、前記有効な一日量を増減し得ることが明らかである。
【0058】
投与方法に応じて、医薬組成物は、有効成分を0.05〜99重量%、好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは0.1〜50重量%、および薬学的に許容される担体を1〜99.95重量%、好ましくは30〜99.9重量%、より好ましくは50〜99.9重量%含むことになり、パーセンテージは全て組成物の全重量に基づく。
【0059】
本化合物は、経口投与、経皮投与、もしくは非経口投与などの全身投与;または吸入、点鼻スプレー、点眼液による、もしくはクリーム、ゲル、もしくはシャンプー等による局所投与に使用することができる。化合物は、好ましくは経口投与される。正確な投与量および投与頻度は、当業者に周知のように、使用される式(I)の特定の化合物、治療される特定の症状、治療される症状の重症度、特定の患者の年齢、体重、障害の程度および全身健康状態、ならびにその個体が摂取している可能性がある他の医薬に依存する。さらに、治療される対象の反応に応じておよび/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、前記有効な一日量を増減し得ることが明らかである。
【0060】
単一剤形を製造するために担体物質と組み合わせることができる式(I)の化合物の量は、治療される疾患、哺乳動物種、および特定の投与方法に応じて変わることになる。しかし、一般的指針として、本発明の化合物の好適な単位用量は、例えば、好ましくは薬理活性化合物を0.1mg〜約1000mg含有することができる。好ましい単位用量は、1mg〜約500mgである。より好ましい単位用量は、1mg〜約300mgである。さらにより好ましい単位用量は、1mg〜約100mgである。70kgの成体に対する全投与量が1回の投与当たり対象の体重1kg当たり0.001〜約15mgの範囲となるように、このような単位用量を1日2回以上、例えば、1日に2回、3回、4回、5回または6回、しかし、好ましくは1日当たり1回または2回投与することができる。好ましい投与量は、1回の投与当たり対象の体重1kg当たり0.01〜約1.5mgであり、このような療法は、何週間または何ヶ月間、場合によっては何年間にもわたり得る。しかし、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、当業者に十分理解されるように、使用される特定の化合物の活性;治療される個体の年齢、体重、全身健康状態、性別および食事;投与の時間および経路;排泄速度;以前投与された他の薬物;ならびに治療を受ける特定の疾患の重症度を含む様々な要因に依存することになることが理解されるであろう。
【0061】
典型的な投与量は、1日1回もしくは1日当たり複数回摂取される1種類の1mg〜約100mg錠剤もしくは1mg〜約300mgであっても、または1日1回摂取され、比較的高含有量の薬理有効物質を含有する1種類の徐放性(time−release)カプセル剤もしくは錠剤であってもよい。徐放効果は、異なるpH値で溶解するカプセル材料により、浸透圧によりゆっくり放出するカプセル剤により、またはその他の任意の公知の放出制御手段により得ることができる。
【0062】
当業者に明らかになるように、場合によっては、これらの範囲外の投与量を使用することが必要なことがある。さらに、臨床医または治療する医師は、個々の患者の反応に関して、療法を開始、中断、調節、または停止する方法および時を承知しているものとすることに留意されたい。
【0063】
前述の組成物および方法に関して、当業者には、それぞれに使用するのに好ましい化合物は、上記で好ましいと記載されている化合物であることが分かるであろう。組成物および方法にさらに好ましい化合物は、下記の実施例に記載される化合物である。
【実施例】
【0064】
実験部分
以下、「m.p.」という用語は融点を意味し、「aq.」は水性を意味し、「r.m.」は反応混合物を意味し、「r.t.」は室温を意味し、「DIPEA」はN,N−ジイソプロピルエチルアミンを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「AcOH」は酢酸を意味し、「iPrOH」はイソプロパノールを意味し、「iPrNH」はイソプロピルアミンを意味し、「MeCN」はアセトニトリルを意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「Pd(OAc)」は酢酸パラジウム(II)を意味し、「rac」はラセミ体を意味し、「sat.」は飽和を意味し、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィーを意味し、「SFC−MS」は超臨界流体クロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「LC−MS」は液体クロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「GCMS」はガスクロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味し、「RP」は逆相を意味し、「UPLC」は超高速液体クロマトグラフィーを意味し、「R」は保持時間(単位:分)を意味し、「[M+H]」は化合物の遊離塩基のプロトン化質量を意味し、「DAST」はジエチルアミノサルファートリフルオライドを意味し、「DMTMM」は4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライドを意味し、「HATU」はO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し、「キサントホス」は(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン]を意味し、「TBAT」はテトラブチルアンモニウムトリフェニルジフルオロシリケートを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「EtO」はジエチルエーテルを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「MeCN」はアセトニトリルを意味する。
【0065】
重要な中間体ならびに幾つかの最終化合物では、キラル中心の絶対配置(Rおよび/またはSとして示す)は、既知の配置を有するサンプルとの比較、または、VCD(円偏光二色性)もしくはX線結晶構造解析などの絶対配置の決定に好適な分析方法の使用により確定される。キラル中心での絶対配置が未知の場合、それを恣意的にRと示す。
【0066】
A.中間体の製造
実施例A1
中間体1の製造。
【化9】

5−ブロモ−2−フルオロアセトフェノン(25g、115mmol)およびNHCl(18.5g、345mmol)をNH/MeOH(150mL)に溶解した撹拌溶液に、トリメチルシリルシアニド(30.7mL、230mmol)を添加した。混合物を室温で3日間撹拌した。次いで、溶媒を減圧蒸発させ、残留物をEtOAc(80mL)に溶解した。固体を濾過し、濾液を減圧蒸発させて、中間体1(27.9g、定量的収率)を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0067】
実施例A2
中間体2の製造。
【化10】

中間体1(27g、111mmol)をHCl(37%HO溶液)(130mL)および酢酸(130mL)に溶解し、混合物を16時間還流した。室温に冷却した後、混合物を減圧濃縮した。水を添加し、水層をEtOAcで抽出した。水層をNaOH水溶液(25%)でpH7に塩基性化した。水層を部分的に減圧濃縮した。混合物を氷浴中で冷却し、沈殿物を濾別し、水、次いでEtOで洗浄し、減圧乾燥して中間体2(18g、収率62%)を白色固体として得た。
【0068】
実施例A3
中間体3の製造。
【化11】

中間体2(15g、57.2mmol)をMeOH(300mL)に溶解した。HSO(330mL)を添加し、反応混合物を48時間還流した。反応混合物を減圧濃縮した。水を添加し、溶液を飽和NHCO水溶液でpH=8に塩基性化した。次いで、水層をEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して中間体3(15g、収率95%)を得た。
【0069】
実施例A4
中間体4の製造。
【化12】

中間体3(10g)を、(Chiralpak(登録商標)Daicel AD 30×250mm)、移動相(CO、0.2%iPrNHを含有するMeOH)での分取SFCにより対応する鏡像異性体に分離し、中間体4(4.2g、収率42%)を得た。
α:−10.1°(365nm、c0.762w/v%、MeOH、20℃)。
【0070】
実施例A5
中間体5の製造。
【化13】

中間体4(40g、145mmol)をNaOH(1M HO溶液、360mL)に溶解した溶液に、THF(150mL)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を減圧濃縮して中間体5(42g)を白色固体として得、これをそのまま次の反応工程に使用した。
【0071】
実施例A6
中間体6の製造。
【化14】

中間体5(41.3g、145mmol)をHO(150mL)に溶解した冷却溶液に、クロロアセチルクロライド(24mL、304.5mmol)の1,4−ジオキサン(75mL)溶液を滴下した。それと同時に、NaOH(5M HO溶液、29mL)を添加して、pHを10〜11に調節した。有機層を分離し、水層をEtOで抽出した。次いで、水層をHCl(6M HO溶液)でpH2になるまで酸性化した。沈殿した白色固体を濾過により回収し、HOで洗浄し、乾燥して中間体6(42g、収率86%)を得た。
【0072】
実施例A7
中間体7の製造。
【化15】

中間体6(42g、124mmol)およびNaHCO(20.8g、248mmol)をDMF(1000mL)に溶解し、反応混合物を80℃で3時間撹拌した。混合物を部分的に減圧濃縮し、室温に冷却した後、珪藻土で濾過した。濾液を減圧濃縮し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:MeOH/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体7(36g、収率96%)を得た。
【0073】
実施例A8
中間体8の製造。
【化16】

中間体7(11.6g、38.5mmol)のTHF(117mL)溶液に、TBAT(2.08g、3.85mmol)を添加した。次いで、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(12.5mL、84.6mmol)を滴下し、反応混合物を室温で20分間撹拌した。混合物をNaCl水溶液で反応停止させ、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して中間体8(14g、収率98%)をシス異性体とトランス異性体との混合物として得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0074】
実施例A9
中間体9の製造。
【化17】

中間体8(14g、37.6mmol)をDCM(600mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、塩化チオニル(11.2mL、150mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、ピリジン(18.2mL、225.7mmol)を添加した。30分後、反応を1N HCl水溶液で加水分解し、次いで、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体9(6g、収率41%、ジアステレオ異性体の混合物)を得た。
【0075】
実施例A10
中間体10の製造。
【化18】

中間体9(7g、17.9mmol)および亜鉛−銅カップル(8.55g、66.3mmol)を酢酸(420mL)中、室温で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、DCMで洗浄し、減圧濃縮した。水酸化アンモニウム溶液(28%水溶液)およびDCMを添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧蒸発させて中間体10(6g、収率99%)を白色粉末として得た。
【0076】
実施例A11
中間体11の製造。
【化19】

(5.95g、26.8mmol)を、中間体10(6g、17.9mmol)のTHF(145mL)溶液に室温で添加した。反応混合物を70℃で90分間撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、濾別し、有機溶媒を減圧蒸発させて中間体11(5.9g)を得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0077】
実施例A12
中間体12の製造。
【化20】

中間体11(5.9g、16.8mmol)をアンモニアの7N MeOH溶液(390mL)に溶解し、反応混合物を80℃で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体12(4.04g、収率72%)を得た。
【0078】
実施例A13
中間体13の製造。
【化21】

中間体12(3.6g、10.7mmol)をNaN(1.75g、26.9mmol)、CuI(2.56g、13.4mmol)およびNaCO(2.28g、21.5mmol)とDMSO(153mL)中で混合し、反応を脱気した。その後、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(2mL、18.8mmol)を添加し、混合物を110℃で、反応が終了するまで、約3時間加熱した。反応混合物を減圧濃縮した。アンモニアの7N MeOH溶液を添加し、混合物を終夜撹拌した。生成した沈殿物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜30/70)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体13(1.52g、収率52%)を得た。
【0079】
実施例A14
中間体14の製造。
【化22】

5−メトキシピラジン−2−カルボン酸(0.218g、1.42mmol)をMeOH(30mL)に溶解し、DMTMM(0.456g、1.548mmol)を添加した。混合物を5分間撹拌した後、中間体13(0.35g、1.29mmol)のMeOH(20mL)溶液を0℃で添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧蒸発させた。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮した。残留物をDIPE/ヘプタンに懸濁し、濾過し、高真空で乾燥し、中間体14(0.266g、収率51%)を白色固体として得た。
【0080】
実施例A15
中間体15の製造。
【化23】

中間体15は、実施例A14に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体13(0.35g、1.29mmol)から出発し、中間体15を白色固体(0.362g、収率71%)として得た。
【0081】
実施例A16
中間体16の製造。
【化24】

1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)エタノン[(CAS 198477−89−3)、70g、322mmol)および酸化セレン(71.6g、645mmol)をピリジン520mL)に溶解した。反応混合物を100℃で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、1N HCl水溶液を添加した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して中間体16(62g、収率78%)を得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0082】
実施例A17
中間体17の製造。
【化25】

中間体16(42g、170mmol)をMeOH(456mL)に溶解した撹拌溶液に、塩化チオニル(37mL、510mmol)を0℃で滴下した。混合物を18時間還流した。溶媒を減圧蒸発させ、残留物を飽和NaCOとDCMとの間で分配した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して中間体17(30g、収率68%)を黄色油状物として得た。
【0083】
実施例A18
中間体18の製造。
【化26】

中間体17(68g、261mmol)および(S)−2−メチル−2−プロパンスルフィンアミド(37.9g、313mmol)をn−ヘプタン(1000mL)に混合した撹拌混合物に、チタン(IV)イソプロポキシド(153mL、522mmol)を添加した。混合物を80℃で1.5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、氷水を添加した。得られた混合物を珪藻土パッドで濾過し、n−ヘプタンで洗浄した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して中間体18(87.9g、収率86%)を得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0084】
実施例A19
中間体19の製造。
【化27】

中間体18(72.6g、185mmol)をDCM(1154mL)に溶解した撹拌溶液に、エチルマグネシウムブロマイド(3M、86mL、259mmol)を−78℃、窒素下で滴下した。混合物をこの温度で30分間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液、続いて水を添加することにより反応を停止させた。混合物をDCMで抽出し、水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:ヘプタン/EtOAc 90/10〜70/30)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体19(25.56g、収率33%、ジアステレオマーの混合物)を黄色油状物として得た。
【0085】
実施例A20
中間体20の製造。
【化28】

粗中間体19(25.6g、60.6mmol)のMeOH(68mL)溶液に、2M NaOH水溶液(91mL、181.8mmol)を添加した。得られた混合物を5時間還流撹拌した。混合物を室温に冷却した後、水とEtOAcとの間で分配した。水層を分離し、1M HCl水溶液を添加することにより中和した後、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をDIPEに懸濁し、沈殿物を濾別し、減圧乾燥して中間体20(17.5g、収率76%、ジアステレオマーの混合物)を白色固体として得た。
【0086】
実施例A21
中間体21の製造。
【化29】

中間体20(17.5g、46mmol)をHClの4Mジオキサン溶液(46mL)中、室温で15分間撹拌した。得られた懸濁液にDIPEを添加し、沈殿物を濾別し、減圧乾燥して中間体21(15.1g、定量的収率、ラセミ体)を白色固体として得た。
【0087】
実施例A22
中間体22の製造。
【化30】

中間体21(15.1g、43.2mmol)およびDIPEA(35mL、203.7mmol)をDCM(350mL)に溶解した冷却溶液に、クロロアセチルクロライド(5.6mL、70.6mmol)を0℃で滴下した。0℃で15分間撹拌した後、反応混合物を室温に加温し、HCl(2M HO溶液、10mL)で酸性化した。混合物をEtOAcで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をDIPEでトリチュレートし、沈殿物を濾別し、減圧乾燥して中間体22(8.04g、収率53%)を褐色固体として得た。
【0088】
実施例A23
中間体23の製造。
【化31】

中間体23は、実施例7に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体22(8g、22.69mmol)から出発し、中間体23を白色固体(4.5g、収率63%)として得た。
【0089】
実施例A24
中間体24の製造。
【化32】

中間体24は、実施例8に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体23(2.34g、7.4mmol)から出発し、中間体24を油状物(1.9g、収率66%)として得た。
【0090】
実施例A25
中間体25の製造。
【化33】

中間体25は、実施例9に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体24(1.9g、4.92mmol)から出発し、中間体25を淡黄色固体(1.58g、収率79%)として得た。
【0091】
実施例A26
中間体26の製造。
【化34】

中間体25(1.4g、3.46mmol)を酢酸(42mL)中、100℃で5分間撹拌した。亜鉛(0.91g、13.8mmol)を添加し、混合物を100℃で1時間撹拌した。追加の亜鉛(0.452g、6.9mmol)を添加し、混合物を100℃でさらに撹拌した。さらに1時間後、新たに亜鉛(0.226g、3.46mmol)を添加し、混合物を100℃で2時間撹拌した。最後に追加の亜鉛(0.91g、13.8mmol)を添加し、混合物を100℃で1時間撹拌した。冷却後、反応混合物を濾過し、DCMで洗浄し、減圧濃縮した。水酸化アンモニウム溶液(28%水溶液)、飽和NaHCO水溶液および水を添加した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧蒸発させ、中間体26(1.26g、収率98%)を白色固体として得た。
【0092】
実施例A27
中間体27の製造。
【化35】

中間体27は、実施例11に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体26(1.26g、3.4mmol)から出発し、中間体27を白色固体として得た(1.09g、収率83%)。
【0093】
実施例A28
中間体28および中間体29の製造。
【化36】

中間体27(1g、2.59mmol)をアンモニアの7N MeOH溶液(60mL)に溶解し、反応混合物を130℃で15分間マイクロ波を放射して撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、新たにアンモニアの7N MeOH溶液(30mL)を添加した。反応混合物を130℃でさらに15分間マイクロ波を放射して撹拌した。溶媒を蒸発させて、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して、中間体28(0.29g、収率30%、シスラセミ体)を白色固体として、および中間体29(0.27g、収率30%)を油状物として得た。
【0094】
実施例A29
中間体30の製造。
【化37】

中間体30は、実施例13に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体29(0.189g、0.542mmol)から出発し、中間体30を油状物(0.16g)として得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0095】
実施例A30
中間体31の製造。
【化38】

中間体31は、実施例A14に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体30(0.09g、0.315mmol)から出発し、中間体31をオフホワイトの固体(0.028g、収率21%)として得た。
【0096】
実施例A31
中間体32製造。
【化39】

中間体12(0.4g、1.194mmol)、5−ピリミジニルボロン酸(0.296g、2.387mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.207g、0.179mmol)を、1,4−ジオキサン(18mL)とNaHCO水溶液(飽和溶液、8.5mL)との混合物に溶解した。得られた混合物をN通気した後、70℃で2時間加熱した。次いで、反応混合物を水で希釈した後、DCM(3×)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体32(0.3g、収率75%)を白色泡状物として得た。
【0097】
実施例A32
中間体33の製造。
【化40】

中間体33は、3−ブロモアセトフェノン(CAS 2142−63−4)から出発し、実施例A1〜A12で中間体12について記載したのと同じ反応手順に従って合成した。
【0098】
実施例A33
中間体34の製造。
【化41】

中間体34は、実施例A31に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体33(0.31g、0.978mmol)から出発し、中間体34を白色固体として得た(0.21g、収率68%)。
【0099】
実施例A34
中間体35の製造。
【化42】

中間体13(2.78g、10.25mmol)をEtOAc(70mL)に溶解し、パラジウム炭素(10%)(1.09g)およびチオフェン(0.4%THF溶液、14mL)を添加した。混合物を室温および大気圧で16時間水素化した。触媒を濾別し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜10/90)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体35(0.478g、収率17%)を得た。
【0100】
B.最終化合物の製造
実施例B1
化合物1:N−{3−[(2R,3R)−5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−メトキシピラジン−2−カルボキサミドの製造
【化43】

中間体14(0.154g、0.378mmol)をEtOAc(5mL)に溶解し、パラジウム炭素(10%)(0.04g、0.038mmol)およびチオフェン(0.4%THF溶液、0.5mL、0.026mmol)を添加した。混合物を室温および大気圧で16時間水素化した。触媒を濾別し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮した。残留物をDIPEに懸濁し、濾過し、高真空で乾燥して化合物1(0.067g、収率43%)を得た。
【0101】
実施例B2
化合物2:N−{3−[(2R,3R)−5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−フルオロピリジン−2−カルボキサミドの製造
【化44】

化合物2は、実施例B1に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体15(0.251g、0.637mmol)から出発し、化合物2を白色固体(0.114g、収率45%)として得た。
【0102】
実施例B3
化合物3:シス−rac−N−{3−[5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−エチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−メトキシピラジン−2−カルボキサミドの製造
【化45】

中間体31(0.028g、0.066mmol)をMeOH(1.3mL)に溶解し、H−Cube反応器(1mL/分、10%Pd/Cカートリッジ、全H2モード)内で、最初は25℃、その後50℃、最後に80℃で水素化した。溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物を分取HPLC(C18 XBridge 19×100 5um)、移動相(0.1%NHCOH/NHOHのpH9水溶液80%、CHCN20%から、0.1%NHCOH/NHOHのpH9水溶液0%、CHCN100%への勾配)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して化合物3(0.0032g、収率11%)を得た。
【0103】
実施例B4
化合物4:(5R,6R)−6−(ジフルオロメチル)−5−(2−フルオロ−5−ピリミジン−5−イルフェニル)−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化46】

化合物4は、実施例B1に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体32(0.155g、0.464mmol)から出発し、化合物4を得た(0.018g、収率12%)。
【0104】
実施例B5
化合物5:(5R,6R)−6−(ジフルオロメチル)−5−メチル−5−(3−ピリミジン−5−イルフェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化47】

化合物5は、実施例B1に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体34(0.124g、0.392mmol)から出発し、化合物5を白色固体として得た(0.04g、収率32%)。
【0105】
実施例B6
化合物6:N−{3−[(2R,3R)−5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミドの製造
【化48】

5−クロロピリジン−2−カルボン酸(63mg、0.4mmol)をMeOH(7mL)に溶解し、DMTMM(129mg、0.44mmol)を添加した。混合物を5分間撹拌した後、中間体35(100mg、0.366mmol)のMeOH(8mL)溶液を0℃で添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧蒸発させた。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮した。残留物をDIPEでトリチュレートし、濾過し、高真空で乾燥して化合物6(0.116g、収率74%)を白色固体として得た。
【0106】
実施例B7
化合物7:N−{3−[(2R,3R)−5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−シアノピリジン−2−カルボキサミドの製造
【化49】

化合物7は、実施例B6に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体35(100mg、0.4mmol)から出発し、化合物7を得た(110mg、収率75%)。
【0107】
表1の化合物1〜7は、上記実施例の1つに従って製造した化合物を記載している。「Ex.No.」は実施例番号を指し、そのプロトコルに従って化合物を合成した。「Co.No.」は化合物番号を意味する。C(R)は、Cにおける絶対配置がRまたはSであるが、まだ不明であることを意味する。
【0108】
【表1】
【0109】
C.分析部分
LCMS
本発明の化合物の(LC)MSによるキャラクタリゼーションを行うため、次の方法を使用した。
【0110】
方法1:
LC測定は、バイナリポンプ、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および下記の各方法で明記するカラムを備えるAcquity UPLC(Waters)システムを使用して行った。カラムからの流れをMS分光器に分岐した。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン源と共に構成された。質量スペクトルは、0.02秒のデータ収集時間(dwell time)を使用し、0.18秒で100〜1000の走査を行うことにより取得した。キャピラリーニードル電圧は3.5kVであり、イオン源温度は140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして使用した。データ取得は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。
【0111】
逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)は、架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で、流速0.8ml/分で行った。2種類の移動相(10mM酢酸アンモニウムHO溶液/アセトニトリル 95/5;移動相B:アセトニトリル)を使用して、A95%およびB5%から、1.3分でA5%およびB95%に変化させ、0.7分間保持する勾配条件を実施した。注入量0.75μlを使用した。
【0112】
コーン電圧は、正イオン化モードでは10V、負イオン化モードでは20Vであった。
【0113】
方法2:
UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)測定は、サンプラーオーガナイザー、脱気装置を有するバイナリポンプ、4本のカラムを収容するオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)および各方法で明記するカラムを備えるAcquity UPLC(Waters)システムを使用して行った。MS検出器は、ESCIデュアルイオン源(大気圧化学イオン化を組み合わせたエレクトロスプレー)と共に構成された。窒素をネブライザーガスとして使用した。イオン源温度は140℃に維持した。データ取得は、MassLynx−Openlynxソフトウェアで行った。
【0114】
逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)は、MS検出器に分岐することなく、Agilent製のRRHD Eclipse Plus−C18(1.8μm、2.1×50mm)で、流速1.0ml/分、50℃で行った。使用した勾配条件は次の通りである:A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+5%アセトニトリル)95%、B(アセトニトリル)5%から、3.8分でA40%、B60%に、4.6分でA5%、B95%に変化させ、5.0分まで保持。注入容量2μl。低解像度質量スペクトル(シングル四重極型SQD検出器)は、0.08秒のチャンネル間遅延を使用して、0.1秒で100〜1000の走査を行うことにより取得した。キャピラリーニードル電圧は3kVであった。コーン電圧は、正イオン化モードでは25V、負イオン化モードでは30Vであった。
【0115】
方法3:
LC測定は、バイナリポンプ、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および下記の各方法で明記するカラムを備えるAcquity UPLC(Waters)システムを使用して行った。カラムからの流れをMS分光器に分岐した。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン源と共に構成された。質量スペクトルは、0.02秒のデータ収集時間を使用し、0.18秒で100〜1000の走査を行うことにより取得した。キャピラリーニードル電圧は3.5kVであり、イオン源温度は140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして使用した。データ取得は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。
【0116】
逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)は、架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で、流速0.8ml/分で行った。2種の移動相(10mM酢酸アンモニウムHO溶液/アセトニトリル 95/5;移動相B:アセトニトリル)を使用して、A95%およびB5%から、1.3分でA5%およびB95%に変化させ、0.3分間保持する勾配条件を実施した。注入量0.5μlを使用した。コーン電圧は、正イオン化モードでは10V、負イオン化モードでは20Vであった。
【0117】
融点
値はピーク値または溶融範囲のいずれかであり、得られた値は、一般にこの分析方法に伴う実験的不確かさを有する。
【0118】
DSC823e(表2にDSCで示す)
多くの化合物について、DSC823e(Mettler−Toledo)で融点を測定した。融点は、30℃/分の温度勾配で測定した。最高温度は400℃であった。
【0119】
【表2】
【0120】
旋光度:
旋光度は、ナトリウムランプを有するPerkin−Elmer 341旋光計で測定し、次のように報告した:[α]λt℃(cg/100ml、溶媒)。
【0121】
【表3】
【0122】
NMR
多くの化合物について、それぞれ360MHz、400MHzおよび600MHzで動作するBruker DPX−360、Bruker DPX−400またはBruker Avance 600分光計で、クロロホルム−d(重水素化クロロホルム、CDCl)またはDMSO−d(重水素化DMSO、ジメチル−d6スルホキシド)を溶媒として使用して、H NMRスペクトルを記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用したテトラメチルシラン(TMS)に対するシフトを百万分率(ppm)で報告する。
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
D.薬理学的実施例
本発明で提供される化合物は、β部位APP切断酵素1(BACE1)の阻害剤である。BACE1、即ち、アスパラギン酸プロテアーゼの阻害は、アルツハイマー病(AD)の治療に重要であると考えられる。β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)からのβ−アミロイドペプチド(Aβ)の産生および蓄積は、ADの発症および進行に重要な役割を果たすものと考えられる。Aβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)から、それぞれβ−セクレターゼおよびγ−セクレターゼでAβドメインのN末端側およびC末端側を順次切断することにより産生される。
【0126】
式(I)の化合物は、酵素活性を阻害する能力があるため、BACE1に対してかなり効果があるものと期待される。このような化合物、特に式(I)の化合物の同定に好適な後述の、生化学的蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づくアッセイおよびSKNBE2細胞での細胞αLisaアッセイを使用して試験したこのような阻害剤の特性を表5および表6に示す。
【0127】
生化学的FRETに基づくアッセイ
本アッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動アッセイ(FRET)に基づくアッセイである。このアッセイの基質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)β−セクレターゼ切断部位の「スウェーデン」Lys−Met/Asn−Leu突然変異を含有するAPP由来の13個のアミノ酸からなるペプチドである。この基質は2つのフルオロフォアも含有し:(7−メトキシクマリン−4−イル)酢酸(Mca)は320nmの励起波長と405nmの発光とを有する蛍光ドナーであり、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)は専有の(proprietary)消光剤アクセプターである。これらの2つの基の間の距離は、光励起時に、共鳴エネルギー移動により、ドナー蛍光エネルギーがアクセプターにより著しく消光されるように選択されている。BACE1による切断時に、フルオロフォアMcaは消光基Dnpから分離され、ドナーの全蛍光収量を回復する。蛍光の増加は、タンパク質分解速度と比例関係がある。
【0128】
簡潔に言えば、384ウェルのフォーマットで、最終濃度1μg/mlの組換えBACE1タンパク質を化合物の非存在下もしくは存在下、インキュベーションバッファー(40mMクエン酸バッファーpH5.0、0.04%PEG、4%DMSO)中10μmの基質と共に室温で120分間インキュベートする。次に、タンパク質分解量をT=0およびT=120での蛍光測定により直接測定する(励起320nmおよび発光405nm)。結果を、T120とT0間との差としてRFU(Relative Fluorescence Unit:相対蛍光単位)で表す。
【0129】
最良適合曲線を、最小二乗法により%Controlmin対化合物濃度のプロットに適合させる。これからIC50値(活性の50%阻害を引き起こす阻害濃度)を得ることができる。
LC=低コントロール値の中央値
=低コントロール:酵素なしの反応
HC=高コントロール値の中央値
=高コントロール:酵素を用いた反応
%効果=100−[(サンプル−LC)/(HC−LC)100]
%コントロール=(サンプル/HC)100
%Controlmin=(サンプル−LC)/(HC−LC)100
【0130】
以下に例示する化合物は本質的に前述のように試験され、以下の活性を示した:
【0131】
【表6】
【0132】
SKNBE2細胞での細胞αLisaアッセイ
2つのαLisaアッセイでは、産生され、ヒト神経芽細胞腫SKNBE2細胞の培地中に分泌される全AβおよびAβ1−42の濃度を定量する。アッセイは、野生型アミロイド前駆体タンパク質(hAPP695)を発現するヒト神経芽細胞腫SKNBE2に基づく。化合物を希釈してこれらの細胞に添加し、18時間インキュベートした後、Aβ1−42および全Aβの測定を行う。全AβおよびAβ1−42は、サンドイッチαLisaで測定する。αLisaは、それぞれ全AβおよびAβ1−42を検出するための、ストレプトアビジン被覆ビーズに結合したビオチン化抗体AbN/25および抗体Ab4G8またはcAb42/26結合アクセプタービーズを使用するサンドイッチアッセイである。全AβまたはAβ1−42の存在下でビーズは近接する。ドナービーズの励起により一重項酸素分子の放出が起こり、それによりアクセプタービーズで一連のエネルギー移動が起こり、その結果、発光が生じる。発光は1時間インキュベートした後に測定する(励起650nmおよび発光615nm)。
【0133】
最良適合曲線を、最小二乗法により%Controlmin対化合物濃度のプロットに適合させる。これからIC50値(活性の50%阻害を引き起こす阻害濃度)を得ることができる。
LC=低コントロール値の中央値
=低コントロール:αLisaにビオチン化Abを用いることなく、化合物なしで予備インキュベートされた細胞
HC=高コントロール値の中央値
=高コントロール:化合物なしで予備インキュベートされた細胞
%効果=100−[(サンプル−LC)/(HC−LC)100]
%コントロール=(サンプル/HC)100
%Controlmin=(サンプル−LC)/(HC−LC)100
【0134】
以下に例示する化合物は本質的に前述のように試験し、以下の活性を示した:
【0135】
【表7】
【0136】
in vivo有効性の実証
本発明のAβペプチド低下剤は、ヒトなどの哺乳動物のADを治療するために使用することができる、または、あるいは、以下に限定されるものでないが、マウス、ラットもしくはモルモットなどの動物モデルで有効性を示す。哺乳動物はADと診断されていなくてもよく、またはADに関する遺伝的素因を有していなくてもよいが、しかし、ADに罹患しているヒトに見られるものと同様にAβを過剰産生し、最終的にそれを沈着するようなトランスジェニックとすることができる。
【0137】
Aβペプチド低下剤は、任意の標準的形態で任意の標準的方法を使用して投与することができる。例えば、以下に限定されるものでないが、Aβペプチド低下剤は、経口でまたは注射により摂取される液剤、錠剤またはカプセル剤の形態であってもよい。Aβペプチド低下剤は、血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)または脳中のAβペプチドの濃度を著しく低下させるのに十分な任意の用量で投与することができる。
【0138】
Aβ42ペプチド低下剤の急性投与によりin vivoでAβペプチド濃度が低下するかどうかを確認するため、非トランスジェニックげっ歯類、例えばマウスまたはラットを使用した。Aβペプチド低下剤で処置した動物を検査し、非処置のものまたは溶媒で処置したものと比較し、可溶性Aβ42および全Aβの脳内濃度を標準的な方法により、例えばELISAを使用して定量した。処置期間は数時間(h)から数日までの範囲とし、効果の現れる時間経過を確認できた後、Aβ42低下の結果に基づいて調節した。
【0139】
in vivoでのAβ42低下を測定する典型的プロトコルを示すが、それは検出可能なAβの濃度を最適化するのに使用し得る多くの変法の1つに過ぎない。例えば、Aβペプチド低下化合物を20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン中で製剤化した。Aβペプチド低下剤を、一晩絶食した動物に単一経口用量(p.o.)としてまたは単一皮下用量(s.c.)として投与した。一定時間後、通常、2時間後または4時間後(表7に示す)に動物を犠牲にし、Aβ42濃度を分析した。
【0140】
断頭し、EDTA処理採血管に全血を採取することにより採血した。血液を1900gで10分(min)間、4℃で遠心分離し、血漿を回収し、後で分析するために急速凍結した。脳を頭蓋および後脳から取り出した。小脳を除去し、左半球と右半球を分離した。左半球は、試験化合物濃度を定量分析するために−18℃で保存した。右半球は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液で洗浄し、直ぐにドライアイス上で凍結させ、生化学的アッセイのためホモジナイズするまで−80℃で保存した。
【0141】
非トランスジェニック動物からのマウス脳を、組織1グラム当たり、プロテアーゼ阻害剤(Roche−11873580001若しくは04693159001)を含有する0.4%DEA(ジエチルアミン)/50mM NaCl、8容量に再懸濁させた、例えば、脳0.158gに対して、0.4%DEAを1.264ml添加する。溶解マトリックスD(MPBio #6913−100)を使用し、FastPrep−24システム(MP Biomedicals)内で全サンプルを6m/sで20秒間、ホモジナイズした。ホモジネートを221.300×gで50分間、遠心分離した。次いで、得られた高速上清を新しいエッペンドルフ管に移した。上清9部を0.5Mトリス−HCl pH6.8、1部で中和し、全AβおよびAβ42の定量に使用した。
【0142】
脳ホモジネートの可溶性画分中の全AβおよびAβ42の量を定量するために、酵素結合免疫吸着検定法を使用した。簡潔に言えば、標準物質(合成Aβ1−40およびAβ1−42の希釈物、Bachem)を、最終濃度が10000〜0.3pg/mlの範囲となるように、Ultraculture内の1.5mlエッペンドルフ管内で製造した。サンプルおよび標準物質を、Aβ42検出用のHRPO標識N末端抗体および全Aβ検出用のビオチン化中央ドメイン抗体4G8と一緒に共インキュベートした。次いで、50μlのコンジュゲート/サンプルまたはコンジュゲート/標準物質混合物を、抗体でコーティングしたプレートに添加した(捕獲抗体は、Aβ42のC末端を選択的に認識するAβ42検出用の抗体JRF/cAβ42/26と、AβのN末端を選択的に認識する全Aβ検出用の抗体JRF/rAβ/2であった)。抗体−アミロイド複合体を形成させるため、このプレートを4℃で終夜インキュベートした。このインキュベーションおよびその後の洗浄工程の後、Aβ42を定量するためのELISAを、製造業者の指示(Pierce Corp.,Rockford,Il)に従いQuanta Blu蛍光原ペルオキシダーゼ基質を添加することにより終了した。読み取りは10分〜15分後に行った(励起320nm/発光420nm)。
【0143】
全Aβ検出のため、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを添加し、60分後に、追加の洗浄工程を行い、製造業者の指示(Pierce Corp.,Rockford,Il)に従いQuanta Blu蛍光原ペルオキシダーゼ基質を添加した。読み取りは10分〜15分後に行った(励起320nm/発光420nm)。
【0144】
このモデルでは、未処置動物と比較して少なくとも20%のAβ42低下が有利であろう。
【0145】
例示する以下の化合物は本質的に前述のように試験され、次の活性を示した:
【0146】
【表8】

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
式(I)
【化1】

の化合物、もしくはその互変異性体もしくは立体異性体の形態、
(式中、
は、C1〜3アルキルであり;
は、水素またはフルオロであり;
Lは、結合または−NHCO−であり;
Arは、ハロまたはC1〜3アルコキシでそれぞれ任意選択により置換された、ピリジニル、ピリミジニルおよびピラジニルからなる群から選択される)
または、その薬学的に許容される付加塩。
[2]
がメチルまたはエチルである、[1]に記載の化合物。
[3]
Arが5−メトキシピリジニル、5−ピリミジニルおよび5−フルオロピラジニルから選択される、[2]に記載の化合物。
[4]
が水素またはフルオロである、[1]に記載の化合物。
[5]
前記Rで置換された四級炭素原子がR配置を有する、[1]に記載の化合物。
[6]
治療有効量の[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
[7]
薬学的に許容される担体が、治療有効量の[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物と完全に混合されることを特徴とする、[6]に記載の医薬組成物の製造方法。
[8]
アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症またはβアミロイドに関連する認知症の治療または予防に使用される、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物。
[9]
対象のアルツハイマー病、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症およびβアミロイドに関連する認知症からなる群から選択される障害の治療方法であって、それを必要とする対象に[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物または[6]に記載の医薬組成物を治療有効量投与することを含む方法。