【実施例】
【0064】
実験部分
以下、「m.p.」という用語は融点を意味し、「aq.」は水性を意味し、「r.m.」は反応混合物を意味し、「r.t.」は室温を意味し、「DIPEA」はN,N−ジイソプロピルエチルアミンを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「AcOH」は酢酸を意味し、「iPrOH」はイソプロパノールを意味し、「iPrNH
2」はイソプロピルアミンを意味し、「MeCN」はアセトニトリルを意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「Pd(OAc)
2」は酢酸パラジウム(II)を意味し、「rac」はラセミ体を意味し、「sat.」は飽和を意味し、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィーを意味し、「SFC−MS」は超臨界流体クロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「LC−MS」は液体クロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「GCMS」はガスクロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味し、「RP」は逆相を意味し、「UPLC」は超高速液体クロマトグラフィーを意味し、「R
t」は保持時間(単位:分)を意味し、「[M+H]
+」は化合物の遊離塩基のプロトン化質量を意味し、「DAST」はジエチルアミノサルファートリフルオライドを意味し、「DMTMM」は4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライドを意味し、「HATU」はO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し、「キサントホス」は(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン]を意味し、「TBAT」はテトラブチルアンモニウムトリフェニルジフルオロシリケートを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「Et
2O」はジエチルエーテルを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「MeCN」はアセトニトリルを意味する。
【0065】
重要な中間体ならびに幾つかの最終化合物では、キラル中心の絶対配置(Rおよび/またはSとして示す)は、既知の配置を有するサンプルとの比較、または、VCD(円偏光二色性)もしくはX線結晶構造解析などの絶対配置の決定に好適な分析方法の使用により確定される。キラル中心での絶対配置が未知の場合、それを恣意的にR
*と示す。
【0066】
A.中間体の製造
実施例A1
中間体1の製造。
【化9】
5−ブロモ−2−フルオロアセトフェノン(25g、115mmol)およびNH
4Cl(18.5g、345mmol)をNH
3/MeOH(150mL)に溶解した撹拌溶液に、トリメチルシリルシアニド(30.7mL、230mmol)を添加した。混合物を室温で3日間撹拌した。次いで、溶媒を減圧蒸発させ、残留物をEtOAc(80mL)に溶解した。固体を濾過し、濾液を減圧蒸発させて、中間体1(27.9g、定量的収率)を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0067】
実施例A2
中間体2の製造。
【化10】
中間体1(27g、111mmol)をHCl(37%H
2O溶液)(130mL)および酢酸(130mL)に溶解し、混合物を16時間還流した。室温に冷却した後、混合物を減圧濃縮した。水を添加し、水層をEtOAcで抽出した。水層をNaOH水溶液(25%)でpH7に塩基性化した。水層を部分的に減圧濃縮した。混合物を氷浴中で冷却し、沈殿物を濾別し、水、次いでEt
2Oで洗浄し、減圧乾燥して中間体2(18g、収率62%)を白色固体として得た。
【0068】
実施例A3
中間体3の製造。
【化11】
中間体2(15g、57.2mmol)をMeOH(300mL)に溶解した。H
2SO
4(330mL)を添加し、反応混合物を48時間還流した。反応混合物を減圧濃縮した。水を添加し、溶液を飽和NHCO
3水溶液でpH=8に塩基性化した。次いで、水層をEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮して中間体3(15g、収率95%)を得た。
【0069】
実施例A4
中間体4の製造。
【化12】
中間体3(10g)を、(Chiralpak(登録商標)Daicel AD 30×250mm)、移動相(CO
2、0.2%iPrNH
2を含有するMeOH)での分取SFCにより対応する鏡像異性体に分離し、中間体4(4.2g、収率42%)を得た。
α
D:−10.1°(365nm、c0.762w/v%、MeOH、20℃)。
【0070】
実施例A5
中間体5の製造。
【化13】
中間体4(40g、145mmol)をNaOH(1M H
2O溶液、360mL)に溶解した溶液に、THF(150mL)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を減圧濃縮して中間体5(42g)を白色固体として得、これをそのまま次の反応工程に使用した。
【0071】
実施例A6
中間体6の製造。
【化14】
中間体5(41.3g、145mmol)をH
2O(150mL)に溶解した冷却溶液に、クロロアセチルクロライド(24mL、304.5mmol)の1,4−ジオキサン(75mL)溶液を滴下した。それと同時に、NaOH(5M H
2O溶液、29mL)を添加して、pHを10〜11に調節した。有機層を分離し、水層をEt
2Oで抽出した。次いで、水層をHCl(6M H
2O溶液)でpH2になるまで酸性化した。沈殿した白色固体を濾過により回収し、H
2Oで洗浄し、乾燥して中間体6(42g、収率86%)を得た。
【0072】
実施例A7
中間体7の製造。
【化15】
中間体6(42g、124mmol)およびNaHCO
3(20.8g、248mmol)をDMF(1000mL)に溶解し、反応混合物を80℃で3時間撹拌した。混合物を部分的に減圧濃縮し、室温に冷却した後、珪藻土で濾過した。濾液を減圧濃縮し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:MeOH/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体7(36g、収率96%)を得た。
【0073】
実施例A8
中間体8の製造。
【化16】
中間体7(11.6g、38.5mmol)のTHF(117mL)溶液に、TBAT(2.08g、3.85mmol)を添加した。次いで、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(12.5mL、84.6mmol)を滴下し、反応混合物を室温で20分間撹拌した。混合物をNaCl水溶液で反応停止させ、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮して中間体8(14g、収率98%)をシス異性体とトランス異性体との混合物として得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0074】
実施例A9
中間体9の製造。
【化17】
中間体8(14g、37.6mmol)をDCM(600mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、塩化チオニル(11.2mL、150mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、ピリジン(18.2mL、225.7mmol)を添加した。30分後、反応を1N HCl水溶液で加水分解し、次いで、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体9(6g、収率41%、ジアステレオ異性体の混合物)を得た。
【0075】
実施例A10
中間体10の製造。
【化18】
中間体9(7g、17.9mmol)および亜鉛−銅カップル(8.55g、66.3mmol)を酢酸(420mL)中、室温で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、DCMで洗浄し、減圧濃縮した。水酸化アンモニウム溶液(28%水溶液)およびDCMを添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧蒸発させて中間体10(6g、収率99%)を白色粉末として得た。
【0076】
実施例A11
中間体11の製造。
【化19】
P
2S
5(5.95g、26.8mmol)を、中間体10(6g、17.9mmol)のTHF(145mL)溶液に室温で添加した。反応混合物を70℃で90分間撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、濾別し、有機溶媒を減圧蒸発させて中間体11(5.9g)を得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0077】
実施例A12
中間体12の製造。
【化20】
中間体11(5.9g、16.8mmol)をアンモニアの7N MeOH溶液(390mL)に溶解し、反応混合物を80℃で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体12(4.04g、収率72%)を得た。
【0078】
実施例A13
中間体13の製造。
【化21】
中間体12(3.6g、10.7mmol)をNaN
3(1.75g、26.9mmol)、CuI(2.56g、13.4mmol)およびNa
2CO
3(2.28g、21.5mmol)とDMSO(153mL)中で混合し、反応を脱気した。その後、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(2mL、18.8mmol)を添加し、混合物を110℃で、反応が終了するまで、約3時間加熱した。反応混合物を減圧濃縮した。アンモニアの7N MeOH溶液を添加し、混合物を終夜撹拌した。生成した沈殿物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜30/70)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体13(1.52g、収率52%)を得た。
【0079】
実施例A14
中間体14の製造。
【化22】
5−メトキシピラジン−2−カルボン酸(0.218g、1.42mmol)をMeOH(30mL)に溶解し、DMTMM(0.456g、1.548mmol)を添加した。混合物を5分間撹拌した後、中間体13(0.35g、1.29mmol)のMeOH(20mL)溶液を0℃で添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧蒸発させた。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮した。残留物をDIPE/ヘプタンに懸濁し、濾過し、高真空で乾燥し、中間体14(0.266g、収率51%)を白色固体として得た。
【0080】
実施例A15
中間体15の製造。
【化23】
中間体15は、実施例A14に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体13(0.35g、1.29mmol)から出発し、中間体15を白色固体(0.362g、収率71%)として得た。
【0081】
実施例A16
中間体16の製造。
【化24】
1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)エタノン[(CAS 198477−89−3)、70g、322mmol)および酸化セレン(71.6g、645mmol)をピリジン520mL)に溶解した。反応混合物を100℃で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、1N HCl水溶液を添加した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(Mg
2SO
4)、濾過し、減圧濃縮して中間体16(62g、収率78%)を得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0082】
実施例A17
中間体17の製造。
【化25】
中間体16(42g、170mmol)をMeOH(456mL)に溶解した撹拌溶液に、塩化チオニル(37mL、510mmol)を0℃で滴下した。混合物を18時間還流した。溶媒を減圧蒸発させ、残留物を飽和Na
2CO
3とDCMとの間で分配した。有機層を分離し、乾燥し(Mg
2SO
4)、濾過し、減圧濃縮して中間体17(30g、収率68%)を黄色油状物として得た。
【0083】
実施例A18
中間体18の製造。
【化26】
中間体17(68g、261mmol)および(S)−2−メチル−2−プロパンスルフィンアミド(37.9g、313mmol)をn−ヘプタン(1000mL)に混合した撹拌混合物に、チタン(IV)イソプロポキシド(153mL、522mmol)を添加した。混合物を80℃で1.5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、氷水を添加した。得られた混合物を珪藻土パッドで濾過し、n−ヘプタンで洗浄した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮して中間体18(87.9g、収率86%)を得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0084】
実施例A19
中間体19の製造。
【化27】
中間体18(72.6g、185mmol)をDCM(1154mL)に溶解した撹拌溶液に、エチルマグネシウムブロマイド(3M、86mL、259mmol)を−78℃、窒素下で滴下した。混合物をこの温度で30分間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液、続いて水を添加することにより反応を停止させた。混合物をDCMで抽出し、水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:ヘプタン/EtOAc 90/10〜70/30)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体19(25.56g、収率33%、ジアステレオマーの混合物)を黄色油状物として得た。
【0085】
実施例A20
中間体20の製造。
【化28】
粗中間体19(25.6g、60.6mmol)のMeOH(68mL)溶液に、2M NaOH水溶液(91mL、181.8mmol)を添加した。得られた混合物を5時間還流撹拌した。混合物を室温に冷却した後、水とEtOAcとの間で分配した。水層を分離し、1M HCl水溶液を添加することにより中和した後、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をDIPEに懸濁し、沈殿物を濾別し、減圧乾燥して中間体20(17.5g、収率76%、ジアステレオマーの混合物)を白色固体として得た。
【0086】
実施例A21
中間体21の製造。
【化29】
中間体20(17.5g、46mmol)をHClの4Mジオキサン溶液(46mL)中、室温で15分間撹拌した。得られた懸濁液にDIPEを添加し、沈殿物を濾別し、減圧乾燥して中間体21(15.1g、定量的収率、ラセミ体)を白色固体として得た。
【0087】
実施例A22
中間体22の製造。
【化30】
中間体21(15.1g、43.2mmol)およびDIPEA(35mL、203.7mmol)をDCM(350mL)に溶解した冷却溶液に、クロロアセチルクロライド(5.6mL、70.6mmol)を0℃で滴下した。0℃で15分間撹拌した後、反応混合物を室温に加温し、HCl(2M H
2O溶液、10mL)で酸性化した。混合物をEtOAcで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をDIPEでトリチュレートし、沈殿物を濾別し、減圧乾燥して中間体22(8.04g、収率53%)を褐色固体として得た。
【0088】
実施例A23
中間体23の製造。
【化31】
中間体23は、実施例7に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体22(8g、22.69mmol)から出発し、中間体23を白色固体(4.5g、収率63%)として得た。
【0089】
実施例A24
中間体24の製造。
【化32】
中間体24は、実施例8に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体23(2.34g、7.4mmol)から出発し、中間体24を油状物(1.9g、収率66%)として得た。
【0090】
実施例A25
中間体25の製造。
【化33】
中間体25は、実施例9に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体24(1.9g、4.92mmol)から出発し、中間体25を淡黄色固体(1.58g、収率79%)として得た。
【0091】
実施例A26
中間体26の製造。
【化34】
中間体25(1.4g、3.46mmol)を酢酸(42mL)中、100℃で5分間撹拌した。亜鉛(0.91g、13.8mmol)を添加し、混合物を100℃で1時間撹拌した。追加の亜鉛(0.452g、6.9mmol)を添加し、混合物を100℃でさらに撹拌した。さらに1時間後、新たに亜鉛(0.226g、3.46mmol)を添加し、混合物を100℃で2時間撹拌した。最後に追加の亜鉛(0.91g、13.8mmol)を添加し、混合物を100℃で1時間撹拌した。冷却後、反応混合物を濾過し、DCMで洗浄し、減圧濃縮した。水酸化アンモニウム溶液(28%水溶液)、飽和NaHCO
3水溶液および水を添加した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧蒸発させ、中間体26(1.26g、収率98%)を白色固体として得た。
【0092】
実施例A27
中間体27の製造。
【化35】
中間体27は、実施例11に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体26(1.26g、3.4mmol)から出発し、中間体27を白色固体として得た(1.09g、収率83%)。
【0093】
実施例A28
中間体28および中間体29の製造。
【化36】
中間体27(1g、2.59mmol)をアンモニアの7N MeOH溶液(60mL)に溶解し、反応混合物を130℃で15分間マイクロ波を放射して撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、新たにアンモニアの7N MeOH溶液(30mL)を添加した。反応混合物を130℃でさらに15分間マイクロ波を放射して撹拌した。溶媒を蒸発させて、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して、中間体28(0.29g、収率30%、シスラセミ体)を白色固体として、および中間体29(0.27g、収率30%)を油状物として得た。
【0094】
実施例A29
中間体30の製造。
【化37】
中間体30は、実施例13に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体29(0.189g、0.542mmol)から出発し、中間体30を油状物(0.16g)として得、これをそのまま次の反応に使用した。
【0095】
実施例A30
中間体31の製造。
【化38】
中間体31は、実施例A14に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体30(0.09g、0.315mmol)から出発し、中間体31をオフホワイトの固体(0.028g、収率21%)として得た。
【0096】
実施例A31
中間体32製造。
【化39】
中間体12(0.4g、1.194mmol)、5−ピリミジニルボロン酸(0.296g、2.387mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.207g、0.179mmol)を、1,4−ジオキサン(18mL)とNaHCO
3水溶液(飽和溶液、8.5mL)との混合物に溶解した。得られた混合物をN
2通気した後、70℃で2時間加熱した。次いで、反応混合物を水で希釈した後、DCM(3×)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体32(0.3g、収率75%)を白色泡状物として得た。
【0097】
実施例A32
中間体33の製造。
【化40】
中間体33は、3−ブロモアセトフェノン(CAS 2142−63−4)から出発し、実施例A1〜A12で中間体12について記載したのと同じ反応手順に従って合成した。
【0098】
実施例A33
中間体34の製造。
【化41】
中間体34は、実施例A31に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体33(0.31g、0.978mmol)から出発し、中間体34を白色固体として得た(0.21g、収率68%)。
【0099】
実施例A34
中間体35の製造。
【化42】
中間体13(2.78g、10.25mmol)をEtOAc(70mL)に溶解し、パラジウム炭素(10%)(1.09g)およびチオフェン(0.4%THF溶液、14mL)を添加した。混合物を室温および大気圧で16時間水素化した。触媒を濾別し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜10/90)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体35(0.478g、収率17%)を得た。
【0100】
B.最終化合物の製造
実施例B1
化合物1:N−{3−[(2R
*,3R)−5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−メトキシピラジン−2−カルボキサミドの製造
【化43】
中間体14(0.154g、0.378mmol)をEtOAc(5mL)に溶解し、パラジウム炭素(10%)(0.04g、0.038mmol)およびチオフェン(0.4%THF溶液、0.5mL、0.026mmol)を添加した。混合物を室温および大気圧で16時間水素化した。触媒を濾別し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮した。残留物をDIPEに懸濁し、濾過し、高真空で乾燥して化合物1(0.067g、収率43%)を得た。
【0101】
実施例B2
化合物2:N−{3−[(2R
*,3R)−5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−フルオロピリジン−2−カルボキサミドの製造
【化44】
化合物2は、実施例B1に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体15(0.251g、0.637mmol)から出発し、化合物2を白色固体(0.114g、収率45%)として得た。
【0102】
実施例B3
化合物3:シス−rac−N−{3−[5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−エチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−メトキシピラジン−2−カルボキサミドの製造
【化45】
中間体31(0.028g、0.066mmol)をMeOH(1.3mL)に溶解し、H−Cube反応器(1mL/分、10%Pd/Cカートリッジ、全H2モード)内で、最初は25℃、その後50℃、最後に80℃で水素化した。溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物を分取HPLC(C18 XBridge 19×100 5um)、移動相(0.1%NH
4CO
3H/NH
4OHのpH9水溶液80%、CH
3CN20%から、0.1%NH
4CO
3H/NH
4OHのpH9水溶液0%、CH
3CN100%への勾配)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して化合物3(0.0032g、収率11%)を得た。
【0103】
実施例B4
化合物4:(5R,6R
*)−6−(ジフルオロメチル)−5−(2−フルオロ−5−ピリミジン−5−イルフェニル)−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化46】
化合物4は、実施例B1に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体32(0.155g、0.464mmol)から出発し、化合物4を得た(0.018g、収率12%)。
【0104】
実施例B5
化合物5:(5R,6R
*)−6−(ジフルオロメチル)−5−メチル−5−(3−ピリミジン−5−イルフェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化47】
化合物5は、実施例B1に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体34(0.124g、0.392mmol)から出発し、化合物5を白色固体として得た(0.04g、収率32%)。
【0105】
実施例B6
化合物6:N−{3−[(2R
*,3R)−5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミドの製造
【化48】
5−クロロピリジン−2−カルボン酸(63mg、0.4mmol)をMeOH(7mL)に溶解し、DMTMM(129mg、0.44mmol)を添加した。混合物を5分間撹拌した後、中間体35(100mg、0.366mmol)のMeOH(8mL)溶液を0℃で添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧蒸発させた。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮した。残留物をDIPEでトリチュレートし、濾過し、高真空で乾燥して化合物6(0.116g、収率74%)を白色固体として得た。
【0106】
実施例B7
化合物7:N−{3−[(2R
*,3R)−5−アミノ−2−(ジフルオロメチル)−3−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル]−4−フルオロフェニル}−5−シアノピリジン−2−カルボキサミドの製造
【化49】
化合物7は、実施例B6に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体35(100mg、0.4mmol)から出発し、化合物7を得た(110mg、収率75%)。
【0107】
表1の化合物1〜7は、上記実施例の1つに従って製造した化合物を記載している。「Ex.No.」は実施例番号を指し、そのプロトコルに従って化合物を合成した。「Co.No.」は化合物番号を意味する。C
2(R
*)は、C
2における絶対配置がRまたはSであるが、まだ不明であることを意味する。
【0108】
【表1】
【0109】
C.分析部分
LCMS
本発明の化合物の(LC)MSによるキャラクタリゼーションを行うため、次の方法を使用した。
【0110】
方法1:
LC測定は、バイナリポンプ、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および下記の各方法で明記するカラムを備えるAcquity UPLC(Waters)システムを使用して行った。カラムからの流れをMS分光器に分岐した。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン源と共に構成された。質量スペクトルは、0.02秒のデータ収集時間(dwell time)を使用し、0.18秒で100〜1000の走査を行うことにより取得した。キャピラリーニードル電圧は3.5kVであり、イオン源温度は140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして使用した。データ取得は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。
【0111】
逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)は、架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で、流速0.8ml/分で行った。2種類の移動相(10mM酢酸アンモニウムH
2O溶液/アセトニトリル 95/5;移動相B:アセトニトリル)を使用して、A95%およびB5%から、1.3分でA5%およびB95%に変化させ、0.7分間保持する勾配条件を実施した。注入量0.75μlを使用した。
【0112】
コーン電圧は、正イオン化モードでは10V、負イオン化モードでは20Vであった。
【0113】
方法2:
UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)測定は、サンプラーオーガナイザー、脱気装置を有するバイナリポンプ、4本のカラムを収容するオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)および各方法で明記するカラムを備えるAcquity UPLC(Waters)システムを使用して行った。MS検出器は、ESCIデュアルイオン源(大気圧化学イオン化を組み合わせたエレクトロスプレー)と共に構成された。窒素をネブライザーガスとして使用した。イオン源温度は140℃に維持した。データ取得は、MassLynx−Openlynxソフトウェアで行った。
【0114】
逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)は、MS検出器に分岐することなく、Agilent製のRRHD Eclipse Plus−C18(1.8μm、2.1×50mm)で、流速1.0ml/分、50℃で行った。使用した勾配条件は次の通りである:A(0.5g/l酢酸アンモニウム溶液+5%アセトニトリル)95%、B(アセトニトリル)5%から、3.8分でA40%、B60%に、4.6分でA5%、B95%に変化させ、5.0分まで保持。注入容量2μl。低解像度質量スペクトル(シングル四重極型SQD検出器)は、0.08秒のチャンネル間遅延を使用して、0.1秒で100〜1000の走査を行うことにより取得した。キャピラリーニードル電圧は3kVであった。コーン電圧は、正イオン化モードでは25V、負イオン化モードでは30Vであった。
【0115】
方法3:
LC測定は、バイナリポンプ、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および下記の各方法で明記するカラムを備えるAcquity UPLC(Waters)システムを使用して行った。カラムからの流れをMS分光器に分岐した。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン源と共に構成された。質量スペクトルは、0.02秒のデータ収集時間を使用し、0.18秒で100〜1000の走査を行うことにより取得した。キャピラリーニードル電圧は3.5kVであり、イオン源温度は140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして使用した。データ取得は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。
【0116】
逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)は、架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で、流速0.8ml/分で行った。2種の移動相(10mM酢酸アンモニウムH
2O溶液/アセトニトリル 95/5;移動相B:アセトニトリル)を使用して、A95%およびB5%から、1.3分でA5%およびB95%に変化させ、0.3分間保持する勾配条件を実施した。注入量0.5μlを使用した。コーン電圧は、正イオン化モードでは10V、負イオン化モードでは20Vであった。
【0117】
融点
値はピーク値または溶融範囲のいずれかであり、得られた値は、一般にこの分析方法に伴う実験的不確かさを有する。
【0118】
DSC823e(表2にDSCで示す)
多くの化合物について、DSC823e(Mettler−Toledo)で融点を測定した。融点は、30℃/分の温度勾配で測定した。最高温度は400℃であった。
【0119】
【表2】
【0120】
旋光度:
旋光度は、ナトリウムランプを有するPerkin−Elmer 341旋光計で測定し、次のように報告した:[α]
λt℃(cg/100ml、溶媒)。
【0121】
【表3】
【0122】
NMR
多くの化合物について、それぞれ360MHz、400MHzおよび600MHzで動作するBruker DPX−360、Bruker DPX−400またはBruker Avance 600分光計で、クロロホルム−d(重水素化クロロホルム、CDCl
3)またはDMSO−d
6(重水素化DMSO、ジメチル−d6スルホキシド)を溶媒として使用して、
1H NMRスペクトルを記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用したテトラメチルシラン(TMS)に対するシフトを百万分率(ppm)で報告する。
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
D.薬理学的実施例
本発明で提供される化合物は、β部位APP切断酵素1(BACE1)の阻害剤である。BACE1、即ち、アスパラギン酸プロテアーゼの阻害は、アルツハイマー病(AD)の治療に重要であると考えられる。β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)からのβ−アミロイドペプチド(Aβ)の産生および蓄積は、ADの発症および進行に重要な役割を果たすものと考えられる。Aβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)から、それぞれβ−セクレターゼおよびγ−セクレターゼでAβドメインのN末端側およびC末端側を順次切断することにより産生される。
【0126】
式(I)の化合物は、酵素活性を阻害する能力があるため、BACE1に対してかなり効果があるものと期待される。このような化合物、特に式(I)の化合物の同定に好適な後述の、生化学的蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づくアッセイおよびSKNBE2細胞での細胞αLisaアッセイを使用して試験したこのような阻害剤の特性を表5および表6に示す。
【0127】
生化学的FRETに基づくアッセイ
本アッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動アッセイ(FRET)に基づくアッセイである。このアッセイの基質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)β−セクレターゼ切断部位の「スウェーデン」Lys−Met/Asn−Leu突然変異を含有するAPP由来の13個のアミノ酸からなるペプチドである。この基質は2つのフルオロフォアも含有し:(7−メトキシクマリン−4−イル)酢酸(Mca)は320nmの励起波長と405nmの発光とを有する蛍光ドナーであり、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)は専有の(proprietary)消光剤アクセプターである。これらの2つの基の間の距離は、光励起時に、共鳴エネルギー移動により、ドナー蛍光エネルギーがアクセプターにより著しく消光されるように選択されている。BACE1による切断時に、フルオロフォアMcaは消光基Dnpから分離され、ドナーの全蛍光収量を回復する。蛍光の増加は、タンパク質分解速度と比例関係がある。
【0128】
簡潔に言えば、384ウェルのフォーマットで、最終濃度1μg/mlの組換えBACE1タンパク質を化合物の非存在下もしくは存在下、インキュベーションバッファー(40mMクエン酸バッファーpH5.0、0.04%PEG、4%DMSO)中10μmの基質と共に室温で120分間インキュベートする。次に、タンパク質分解量をT=0およびT=120での蛍光測定により直接測定する(励起320nmおよび発光405nm)。結果を、T120とT0間との差としてRFU(Relative Fluorescence Unit:相対蛍光単位)で表す。
【0129】
最良適合曲線を、最小二乗法により%Controlmin対化合物濃度のプロットに適合させる。これからIC50値(活性の50%阻害を引き起こす阻害濃度)を得ることができる。
LC=低コントロール値の中央値
=低コントロール:酵素なしの反応
HC=高コントロール値の中央値
=高コントロール:酵素を用いた反応
%効果=100−[(サンプル−LC)/(HC−LC)
*100]
%コントロール=(サンプル/HC)
*100
%Controlmin=(サンプル−LC)/(HC−LC)
*100
【0130】
以下に例示する化合物は本質的に前述のように試験され、以下の活性を示した:
【0131】
【表6】
【0132】
SKNBE2細胞での細胞αLisaアッセイ
2つのαLisaアッセイでは、産生され、ヒト神経芽細胞腫SKNBE2細胞の培地中に分泌される全AβおよびAβ1−42の濃度を定量する。アッセイは、野生型アミロイド前駆体タンパク質(hAPP695)を発現するヒト神経芽細胞腫SKNBE2に基づく。化合物を希釈してこれらの細胞に添加し、18時間インキュベートした後、Aβ1−42および全Aβの測定を行う。全AβおよびAβ1−42は、サンドイッチαLisaで測定する。αLisaは、それぞれ全AβおよびAβ1−42を検出するための、ストレプトアビジン被覆ビーズに結合したビオチン化抗体AbN/25および抗体Ab4G8またはcAb42/26結合アクセプタービーズを使用するサンドイッチアッセイである。全AβまたはAβ1−42の存在下でビーズは近接する。ドナービーズの励起により一重項酸素分子の放出が起こり、それによりアクセプタービーズで一連のエネルギー移動が起こり、その結果、発光が生じる。発光は1時間インキュベートした後に測定する(励起650nmおよび発光615nm)。
【0133】
最良適合曲線を、最小二乗法により%Controlmin対化合物濃度のプロットに適合させる。これからIC50値(活性の50%阻害を引き起こす阻害濃度)を得ることができる。
LC=低コントロール値の中央値
=低コントロール:αLisaにビオチン化Abを用いることなく、化合物なしで予備インキュベートされた細胞
HC=高コントロール値の中央値
=高コントロール:化合物なしで予備インキュベートされた細胞
%効果=100−[(サンプル−LC)/(HC−LC)
*100]
%コントロール=(サンプル/HC)
*100
%Controlmin=(サンプル−LC)/(HC−LC)
*100
【0134】
以下に例示する化合物は本質的に前述のように試験し、以下の活性を示した:
【0135】
【表7】
【0136】
in vivo有効性の実証
本発明のAβペプチド低下剤は、ヒトなどの哺乳動物のADを治療するために使用することができる、または、あるいは、以下に限定されるものでないが、マウス、ラットもしくはモルモットなどの動物モデルで有効性を示す。哺乳動物はADと診断されていなくてもよく、またはADに関する遺伝的素因を有していなくてもよいが、しかし、ADに罹患しているヒトに見られるものと同様にAβを過剰産生し、最終的にそれを沈着するようなトランスジェニックとすることができる。
【0137】
Aβペプチド低下剤は、任意の標準的形態で任意の標準的方法を使用して投与することができる。例えば、以下に限定されるものでないが、Aβペプチド低下剤は、経口でまたは注射により摂取される液剤、錠剤またはカプセル剤の形態であってもよい。Aβペプチド低下剤は、血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)または脳中のAβペプチドの濃度を著しく低下させるのに十分な任意の用量で投与することができる。
【0138】
Aβ42ペプチド低下剤の急性投与によりin vivoでAβペプチド濃度が低下するかどうかを確認するため、非トランスジェニックげっ歯類、例えばマウスまたはラットを使用した。Aβペプチド低下剤で処置した動物を検査し、非処置のものまたは溶媒で処置したものと比較し、可溶性Aβ42および全Aβの脳内濃度を標準的な方法により、例えばELISAを使用して定量した。処置期間は数時間(h)から数日までの範囲とし、効果の現れる時間経過を確認できた後、Aβ42低下の結果に基づいて調節した。
【0139】
in vivoでのAβ42低下を測定する典型的プロトコルを示すが、それは検出可能なAβの濃度を最適化するのに使用し得る多くの変法の1つに過ぎない。例えば、Aβペプチド低下化合物を20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン中で製剤化した。Aβペプチド低下剤を、一晩絶食した動物に単一経口用量(p.o.)としてまたは単一皮下用量(s.c.)として投与した。一定時間後、通常、2時間後または4時間後(表7に示す)に動物を犠牲にし、Aβ42濃度を分析した。
【0140】
断頭し、EDTA処理採血管に全血を採取することにより採血した。血液を1900gで10分(min)間、4℃で遠心分離し、血漿を回収し、後で分析するために急速凍結した。脳を頭蓋および後脳から取り出した。小脳を除去し、左半球と右半球を分離した。左半球は、試験化合物濃度を定量分析するために−18℃で保存した。右半球は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液で洗浄し、直ぐにドライアイス上で凍結させ、生化学的アッセイのためホモジナイズするまで−80℃で保存した。
【0141】
非トランスジェニック動物からのマウス脳を、組織1グラム当たり、プロテアーゼ阻害剤(Roche−11873580001若しくは04693159001)を含有する0.4%DEA(ジエチルアミン)/50mM NaCl、8容量に再懸濁させた、例えば、脳0.158gに対して、0.4%DEAを1.264ml添加する。溶解マトリックスD(MPBio #6913−100)を使用し、FastPrep−24システム(MP Biomedicals)内で全サンプルを6m/sで20秒間、ホモジナイズした。ホモジネートを221.300×gで50分間、遠心分離した。次いで、得られた高速上清を新しいエッペンドルフ管に移した。上清9部を0.5Mトリス−HCl pH6.8、1部で中和し、全AβおよびAβ42の定量に使用した。
【0142】
脳ホモジネートの可溶性画分中の全AβおよびAβ42の量を定量するために、酵素結合免疫吸着検定法を使用した。簡潔に言えば、標準物質(合成Aβ1−40およびAβ1−42の希釈物、Bachem)を、最終濃度が10000〜0.3pg/mlの範囲となるように、Ultraculture内の1.5mlエッペンドルフ管内で製造した。サンプルおよび標準物質を、Aβ42検出用のHRPO標識N末端抗体および全Aβ検出用のビオチン化中央ドメイン抗体4G8と一緒に共インキュベートした。次いで、50μlのコンジュゲート/サンプルまたはコンジュゲート/標準物質混合物を、抗体でコーティングしたプレートに添加した(捕獲抗体は、Aβ42のC末端を選択的に認識するAβ42検出用の抗体JRF/cAβ42/26と、AβのN末端を選択的に認識する全Aβ検出用の抗体JRF/rAβ/2であった)。抗体−アミロイド複合体を形成させるため、このプレートを4℃で終夜インキュベートした。このインキュベーションおよびその後の洗浄工程の後、Aβ42を定量するためのELISAを、製造業者の指示(Pierce Corp.,Rockford,Il)に従いQuanta Blu蛍光原ペルオキシダーゼ基質を添加することにより終了した。読み取りは10分〜15分後に行った(励起320nm/発光420nm)。
【0143】
全Aβ検出のため、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを添加し、60分後に、追加の洗浄工程を行い、製造業者の指示(Pierce Corp.,Rockford,Il)に従いQuanta Blu蛍光原ペルオキシダーゼ基質を添加した。読み取りは10分〜15分後に行った(励起320nm/発光420nm)。
【0144】
このモデルでは、未処置動物と比較して少なくとも20%のAβ42低下が有利であろう。
【0145】
例示する以下の化合物は本質的に前述のように試験され、次の活性を示した:
【0146】
【表8】
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
式(I)
【化1】
の化合物、もしくはその互変異性体もしくは立体異性体の形態、
(式中、
R1は、C1〜3アルキルであり;
R2は、水素またはフルオロであり;
Lは、結合または−NHCO−であり;
Arは、ハロまたはC1〜3アルコキシでそれぞれ任意選択により置換された、ピリジニル、ピリミジニルおよびピラジニルからなる群から選択される)
または、その薬学的に許容される付加塩。
[2]
R1がメチルまたはエチルである、[1]に記載の化合物。
[3]
Arが5−メトキシピリジニル、5−ピリミジニルおよび5−フルオロピラジニルから選択される、[2]に記載の化合物。
[4]
R2が水素またはフルオロである、[1]に記載の化合物。
[5]
前記R1で置換された四級炭素原子がR配置を有する、[1]に記載の化合物。
[6]
治療有効量の[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
[7]
薬学的に許容される担体が、治療有効量の[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物と完全に混合されることを特徴とする、[6]に記載の医薬組成物の製造方法。
[8]
アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症またはβアミロイドに関連する認知症の治療または予防に使用される、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物。
[9]
対象のアルツハイマー病、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症およびβアミロイドに関連する認知症からなる群から選択される障害の治療方法であって、それを必要とする対象に[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物または[6]に記載の医薬組成物を治療有効量投与することを含む方法。