特許第6169413号(P6169413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169413
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20170713BHJP
   A61F 13/476 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   A61F13/56 110
   A61F13/476
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-104575(P2013-104575)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-223216(P2014-223216A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松島 梓
(72)【発明者】
【氏名】工藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄二
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−007144(JP,A)
【文献】 特開2003−339764(JP,A)
【文献】 特開2013−075098(JP,A)
【文献】 特開2011−172658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品長手方向と、前記製品長手方向と直交する製品幅方向とを有し、
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性本体と、
前記吸収性本体の前記製品幅方向の外側縁部から延出し、着用者の臀部を覆うように構成されている後方フラップとを具備している吸収性物品であって、
前記後方フラップの非肌当接面側表面には、粘着剤を有する複数の粘着領域が設けられており、
前記複数の粘着領域の各々は、前記製品長手方向に延びており、
前記複数の粘着領域には、前記製品長手方向の長さの異なる少なくとも2種類の粘着領域が含まれ
前記複数の粘着領域のうち、第1粘着領域の前記製品長手方向における長さは、前記第1粘着領域よりも前記製品幅方向の外側に設けられている第2粘着領域の前記製品長手方向における長さよりも長く、
前記第1粘着領域の前記製品幅方向における長さは、前記第2粘着領域の前記製品幅方向における長さよりも長くなるように構成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記第2粘着領域の目付は、前記第1粘着領域の目付よりも高くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記複数の粘着領域の少なくとも2つは、前記製品幅方向に離間して設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記複数の粘着領域は、前記後方フラップにおいて前記吸収性物品を折り畳むための折り線が形成されている領域以外の領域に設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記後方フラップは、前記製品幅方向の外側に向けて湾曲するように形成されており、
前記複数の粘着領域の中で前記製品幅方向の最も外側に配置されている粘着領域は、前記後方フラップ部において前記製品幅方向における長さが最も長い部分である最大幅部の前記製品幅方向の内側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性本体には、伸縮性を有する伸縮部材を備える一対のギャザーが、前記製品長手方向に沿って延びるように設けられており、
前記複数の粘着領域のうちの少なくとも1つにおける前記製品長手方向の前方側端部は、前記ギャザーにおける前記製品長手方向の後方側端部よりも、前記製品長手方向の前方側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記後方フラップには、圧搾部が、前記粘着領域と重複しないように形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記後方フラップには、前記製品長手方向の後方側に向かうに連れて、前記製品幅方向の内側から前記製品幅方向の外側に向かって延びるように構成されている圧搾部が形成されており、
前記粘着領域は、前記圧搾部よりも、前記製品長手方向の後方側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関し、特に、着用者の臀部を覆うための後方フラップ部を備える吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品として、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に設けられる吸収体とを備える吸収性本体を備え、かかる吸収性本体の両側部において、フラップが設けられている吸収性物品が知られている。
【0003】
具体的には、製品幅方向の外側に延出する折返しフラップと、かかる折返しフラップよりも製品長手方向の後方側において、製品幅方向の外側に延出する後方フラップとを設けた吸収性物品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
折返しフラップ及び後方フラップは、下着側表面に粘着剤を塗布した長方形状の粘着領域を有しており、かかる粘着領域によって、かかる吸収性物品は、着用者の下着に固定される。
【0005】
具体的に、着用者は、かかる吸収性物品を下着に装着する際、折返しフラップを、下着のクロッチ部の非肌当接面側に折返して、折返しフラップに設けられている粘着領域を介して下着に固定する。
【0006】
また、着用者は、後方フラップを、後方フラップに設けられている粘着領域を介して下着の後身頃の肌当接面側に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−177087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来技術に係る吸収性物品では、後方フラップは、製品長手方向の中央から後方に向かって製品幅方向に大きく広がる形状を有している。
【0009】
一般的に、かかる吸収性物品の製造工程では、搬送されている資材に対する粘着剤の塗布を、所定場所における粘着剤の塗出のON/OFFのコントロールによって行うことが容易であるため、粘着剤が塗布されている粘着領域の形状は、長方形となるケースが多い。
【0010】
ここで、製品長手方向の中央から後方に向かって製品幅方向に大きく広がる形状を有している後方フラップに対して、長方形の粘着領域を形成すると、後方フラップの製品幅方向の外側或いは製品長手方向の前方側に、粘着剤が塗布されていない領域が形成されてしまうため、後方フラップが下着に十分に固定されず、吸収性物品が下着からずれやすくなるという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、製品長手方向の中央から後方に向かって製品幅方向に大きく広がる形状を有している後方フラップが設けられている場合であっても、より確実に下着に装着することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の特徴は、製品長手方向と、前記製品長手方向と直交する製品幅方向とを有し、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性本体と、前記吸収本体の前記製品幅方向の外側縁部から延出し、着用者の臀部を覆うように構成されている後方フラップとを具備している吸収性物品であって、前記後方フラップの下着側表面には、粘着剤を有する複数の粘着領域が設けられており、前記複数の粘着領域の各々は、前記製品長手方向に延びており、前記複数の粘着領域には、前記製品長手方向の長さの異なる少なくとも2種類の粘着領域が含まれることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の特徴によれば、製品長手方向の中央から後方に向かって製品幅方向に大きく広がる形状を有している後方フラップが設けられている場合であっても、より確実に下着に装着することができる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の非肌当接面側から見た平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の非肌当接面側から見た平面図における領域Aの拡大図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の非肌当接面側から見た平面図における領域Aの拡大図におけるX-X断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の非肌当接面側から見た平面図における領域Aの拡大図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の非肌当接面側から見た平面図における領域Aの拡大図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の非肌当接面側から見た平面図における領域Aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。
【0016】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0017】
したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0018】
図1に、本実施形態に係る吸収性物品1の肌当接面側から見た平面図を示し、図2に、本実施形態に係る吸収性物品1の非肌当接面側から見た平面図を示し、図3図5乃至図7に、図2における領域Aの拡大図を示し、図4に、図3におけるX-X断面図を示す。
【0019】
本実施形態に係る吸収性物品1は、例えば、パンティライナーや失禁パッドや生理用ナプキン(昼用及び夜用)等である。以下、本実施形態では、吸収性物品1として、夜用の生理用ナプキンを例に挙げて説明するが、本発明は、かかる例に限定されるものではない。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1は、製品長手方向L、及び、製品長手方向Lに直交する製品幅方向Wを有している。
【0021】
また、図1に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1は、吸収性本体3と、一対の折り返しフラップ(ウィング)40と、一対の後方フラップ(ヒップフラップ)50とを具備している。
【0022】
吸収本体3は、液透過性の表面シート11と、液不透過性の裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12との間に配置される吸収体7とを有する。
【0023】
表面シート11としては、織布、不織布或いは有孔プラスチックシート等の液体を透過する構造のシート状材料であれば、特に限定することなく使用することができる。
【0024】
織布及び不織布の素材としては、天然繊維及び化学繊維のいずれも使用することができる。ここで、天然繊維の例としては、粉砕パルプやコットン等のセルロースが挙げられる。一方、化学繊維の例としては、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、若しくは、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維が挙げられる。
【0025】
熱可塑性疎水性化学繊維としては、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)等の単繊維、PE及びPPをグラフト重合してなる繊維、芯鞘構造等の複合繊維が挙げられる。
【0026】
なお、不織布におけるウェブフォーミングは、乾式(カード法やスパンポンド法やメルトブローン法やエアレイド法等)や湿式等のいずれか又は複数を組み合わせたものによって行われてもよい。また、不織布におけるボンディングの方法としては、サーバルボンディングやニードルパンチやケミカルボンディング等の方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。また、不織布として、水流交絡法によりシート状に形成されたスパンレースを用いてもよい。
【0027】
有孔プラスチックシートとしては、PEやPPやPETといった熱可塑性樹脂の有孔シートや、多孔質の発泡材等を用いることができる。また、これらについては、必要に応じて、酸化チタンや炭酸カルシウム等からなるフィラーを0.5〜10%の範囲で混入することにより、白濁化させて使用することも好ましい。また、熱可塑性樹脂からなるフィルムを、ヒートエンボス加工や機械加工等により開孔した有孔フィルムを使用してもよい。有孔フィルムは、不織布との複合シートとして使用されてもよい。
【0028】
裏面シート12としては、PE(融点130度近辺)を主体としたフィルムや、炭酸カルシウムや硫酸バリウムを含む通気フィルム等を用いることができる。
【0029】
吸収体7は、吸収体コアを、例えば、ティッシュ又はSMS等の不織布からなるコアラップシートによって挟み込むことによって構成されている。
【0030】
吸収体コアの材料としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロース、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、若しくは、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維、ケミカルボンド処理が施されたエアレイドパルプ等を、単独又は混合して用いることができる。
【0031】
これらの材料から吸収体コアに成形する方法は、特に限定されるものではないが、かかる方法として、例えば、エアレイド法やメルトブローン法やスパンレース法や抄紙法等によってシート化する方法が挙げられる。
【0032】
また、吸収体コアの材料として、セルロース発泡体、合成樹脂の連続発泡体等を用いることもできる。さらに、吸収体コア2Aの材料として、上述の発泡体又はシート化された材料を粉砕した後に成形したものを用いることもできる。
【0033】
さらに、吸収体7として、厚さが0.3〜5mmの吸収シートやポリマーシートによって構成されている薄型吸収体を用いることもできる。ここで、かかる吸収シートやポリマーシートとしては、通常の生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられるものを特に制限することなく用いることができる。
【0034】
例えば、吸収シートとしては、吸収紙、不織布、繊維をバインダー等でシート化したパルプシート等が挙げられ、ポリマーシートとしては、粉砕パルプ、繊維に粒子状ポリマーを混合してシート状に形成したもの等が挙げられる。なお、繊維に粒子状ポリマーを混合してシート状に形成したものとしては、粒子状ポリマーが層状に分配されているもの、粒子状ポリマーが三次元上に分散されているもののいずれも用いることができる。
【0035】
ここで、吸収シートを形成する材料及びポリマーシートに用いられる繊維としては、木材パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維やポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維、若しくは、界面活性剤等で繊維表面を親水化したポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート複合繊維を用いることが好ましく、親水性が良好に維持される点から、セルロース繊維を用いることがより好ましい。
【0036】
ポリマーシートに用いられる粒子状ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収及び保持でき且つゲル化し得るものを用いることが好ましい。かかる粒子状ポリマーの例としては、デンプンや架橋カルボキシメチル化セルロース、ポリアクリル酸及びその塩、並びに、ポリアクリル酸塩グラフト重合体等を挙げることができる。
【0037】
また、図1及び図4に示すように、吸収本体3において、表面シート11及び吸収体7を圧搾して一体化するように構成されている圧搾部5が形成されている。
【0038】
折り返しフラップ40の各々は、吸収本体3の製品幅方向Wの外側縁部3Eから延出するように構成されている。かかる折り返しフラップ40の各々は、下着に巻き込まれて固定されるように構成されている。
【0039】
また、後方フラップ50の各々は、折り返しフラップ40の各々よりも製品長手方向Lの後方Bに位置しており、吸収本体3の製品幅方向Wの外側縁部3Eから延出するように構成されている。
【0040】
かかる後方フラップ50の各々は、下着に固定されて着用者の臀部を覆うように構成されている。具体的には、図1乃至図3に示すように、後方フラップ50は、製品幅方向Wの外側に向けて湾曲するように形成されている。
【0041】
また、図1に示すように、後方フラップ50において、圧搾部21/22/23が形成されている。圧搾部21/22/23は、図1に示すように、連続する線状のパターンを有していてもよいし、点状のパターン等の間欠のパターンを有していてもよい。
【0042】
なお、吸収性物品1の外周を囲むように、圧搾部が設けられていてもよい(図示せず)。
【0043】
ここで、圧搾部21の製品幅方向Wの外側端部は、折り返しフラップ40の製品長手方向Lの後方側Bの根元部分に該当する括れ部61の周辺に位置するように構成されている。
【0044】
また、圧搾部22の製品幅方向Wの外側端部は、後方フラップ50において形成されている括れ部62の周辺に位置するように構成されており、圧搾部23の製品幅方向Wの外側端部は、後方フラップ50において形成されている括れ部63の周辺に位置するように構成されている。
【0045】
図1に示すように、圧搾部22/23は、製品長手方向Lの後方側Bに向かうに連れて、製品幅方向Wの内側から製品幅方向Wの外側に向かって延びるように構成されていてもよい。
【0046】
かかる構成によれば、吸収性物品1が、着用者の両脚で挟まれた際に、後方フラップ50の変形が、吸収性物品1全体に伝わりにくくなる。
【0047】
ここで、折り返しフラップ40及び後方フラップ50の各々は、図4に示すように、サイドシート13と、裏面シート12と、サイドシート13と裏面シート12との間に配置される中間シート14とによって形成されている。
【0048】
ここで、サイドシート13は、例えば、表面シート11や中間シート14と同様の材料によって構成されていてもよい。ただし、サイドシート13を乗り越えて吸収性物品1の製品幅方向Wの外側に経血が流れ出ることを防止するために、サイドシート13は、疎水性又は撥水性を有する材料によって構成されることが好ましい。
【0049】
具体的には、サイドシート13として、スパンボンド不織布やSMS不織布やエアスルー不織布等を用いることができる。ここで、エアスルー不織布は、比較的低い目付で嵩高であるため、サイドシート13としてエアスルー不織布を用いた場合、風合いが良くなる(すなわち、使用感が良くなる)。また、エアスルー不織布では、主に繊維が芯鞘構造であり、鞘がPEによって構成されているため、比較的低い温度でエンボス加工を施すことができる。
【0050】
中間シート14は、折り返しフラップ40及び後方フラップ50のほぼ全面を覆うように配置されている。また、中間シート14の製品幅方向Wの内側端部は、吸収体7の製品幅方向Wの外側端部よりも、製品幅方向Wの外側に配置されるように構成されている。
【0051】
ここで、中間シート14は、裏面シート12とは融点の異なる繊維(例えば、SMS不織布)によって構成されている。
【0052】
例えば、中間シート14は、PP(融点160度近辺)主体のSMSやSBによって構成されていてもよい。ここで、かかるSMSやSBは、柔軟性やコストの面で優れており、表面をエンボスで平滑になされているので、表面シート11や裏面シート12と樹脂の異なる材料で形成されていても、粘着剤にて表面シート11や裏面シート12に接合されやすい。
【0053】
或いは、中間シート14は、PET(ポリエチレンテレフタレート、融点260度近辺)やレーヨン(融点無し)等の繊維からなるスパンレース不織布や、エアレイドパルプによって構成されていてもよい。
【0054】
また、中間シート14は、吸収体7と同様に、粉砕したパルプを積層することによって構成されていてもよいし、セルロース繊維を主とした抄紙された紙であってもよい。
【0055】
ここで、本実施形態に係る吸収性物品1では、表面シート11及び吸収体7、裏面シート12及び中間シート14、サイドシート13及び中間シート14は、ホットメルト型接着剤(HMA:Hot Melt Adhesive)等の接着剤によって接合されている。また、表面シート11及び裏面シート12を接合することによって、吸収体2を内封するように構成されていてもよい。
【0056】
例えば、一方の基材(例えば、表面シート11や裏面シート12や吸収体7やサイドシート13や中間シート14)に対して、スパイラル塗工やコーター塗工やカーテンコータ塗工やサミットガン塗工等の塗工方法によってホットメルト型接着剤を塗工し、その上に伸縮材及び他方の基材を重ね合わせて接合してもよい。ここで、伸縮材が基材から外れにくくするために、予め伸縮材に対して、スリット塗工やコントロールシーム塗工等の塗工方法によって、ホットメルト型接着剤を塗工しておいてもよい。
【0057】
ホットメルト型接着剤として、SEBS(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体)等のゴム系や直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤や感熱性接着剤、水溶性高分子からなるポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースやゼラチン等、又は、水膨潤性高分子からなるポリビニルアセテートやポリアクリル酸ナトリウム等の感水性接着剤等が例として挙げられる。
【0058】
その中でも、万が一、外面にホットメルト型接着剤が滲み出てしまったとしても、その時点ではタック性を有しない点から、感熱型接着剤を用いることが好ましい。例えば、SEBSを5〜25%、脂環族飽和炭化水素を40〜60%、芳香族変性テルペンを1〜10%、添加剤を15〜30%で溶融混合したものを用いてもよい。
【0059】
また、サイドシート13及び表面シート11は、ヒートエンボス加工によって接合されている。
【0060】
また、これらの接合は、ホットメルト型接着剤等の接着剤やヒートエンボス加工や超音波等を単独で又は組み合わせて用いることによって実現されるように構成されていてもよい。
【0061】
また、図2に示すように、吸収体本部3の非肌当接面側の表面には、吸収性物品1を下着に固定するために、粘着剤が塗布されている複数の粘着領域6が設けられている。ここで、複数の粘着領域6の各々は、製品長手方向Lに延びている。なお、複数の粘着領域6の各々は、製品幅方向Wに離間して設けられている。
【0062】
また、図2に示すように、折り返しフラップ40の各々の非肌当接面側の表面には、粘着剤が塗布されている複数の粘着領域9が設けられている。ここで、複数の粘着領域9の各々の製品幅方向Wの長さ及び位置関係は、複数の粘着領域8の各々の製品幅方向Wの長さ及び位置関係と同一である。
【0063】
同様に、図2乃至図4に示すように、後方フラップ50の非肌当接面側S2の表面には、粘着剤が塗布されている複数の粘着領域8が設けられている。ここで、複数の粘着領域8の各々は、製品長手方向Lに延びている。
【0064】
なお、吸収性物品1には、かかる粘着領域8を覆うように構成されている離型紙(図示せず)が設けられている。例えば、かかる離型紙としては、PEやPP等のフィルム又は紙にコーティングが施されたフィルム等にシリコンをコーティングした素材が用いられる。
【0065】
ここで、上述の粘着剤としては、例えば、熱可塑性高分子としてスチレン系ブロックポリマー、粘着付与剤樹脂として天然樹脂や合成樹脂系、可塑性材料としてパラフィン系オイル等を用いることができる。
【0066】
スチレン系ブロックポリマーとしては、SEBS、SBS、SIS、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体)等が挙げられる。また、合成樹脂としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素添加石油樹脂、DCPD系石油樹脂、ピュアーモノマー系石油樹脂等が挙げられる。さらに、天然樹脂としては、αピネン、βピネン又はジペンテンの共重合体であるテルペン系樹脂、ガムロジン、トール油ロジン又はウッドロジンであるロジン系樹脂、若しくは、これらの水添物やエステル等が挙げられる。また、可塑性材料は、粘度を下げるパラフィンオイル系、タック性を挙げるナフテンオイル、凝集力を下げたり色や匂いを付与したりするアロマオイル等が挙げられる。
【0067】
また、上述の粘着剤の塗布坪量は、10〜100g/mであり、好ましくは、20〜50g/mである。ここで、粘着剤230/240の塗布坪量が、10g/m以下であると、吸収性物品1を下着にしっかりと貼り付けることができず、使用時に落ちたりずれたりしてしまい着用者に不快感を与えてしまう。一方、上述の粘着剤の塗布坪量が、100g/m以上であると、下着から吸収性物品1を剥がす際に、吸収性物品1が破れてしまい、下着を使いものにならなくしてしまう恐れがある。
【0068】
図2及び図3に示すように、複数の粘着領域8には、製品長手方向Lの長さの異なる少なくとも2種類の粘着領域81/82が含まれている。
【0069】
かかる特徴によれば、後方フラップ50の形状に沿って粘着領域8を配置することができるため、後方フラップ50上の粘着領域8の面積が大きくなり、吸収性物品1を下着に固定し易くなる。
【0070】
例えば、図2及び図3に示すように、複数の粘着領域8のうち、粘着領域81の製品長手方向Lにおける長さL1は、粘着領域81よりも製品幅方向Wの外側に設けられている粘着領域82の製品長手方向Lにおける長さL2よりも長くなるように構成されている。
【0071】
かかる特徴によれば、後方フラップ50は、上述の括れ部61から製品長手方向Lの後方側Bに向かうに連れて製品幅方向Wに広がる形状を有しているため、粘着領域81の製品長手方向Lにおける長さL1を粘着領域82の製品長手方向Lにおける長さL2よりも長くすることで、より適切に、吸収性物品1を下着に固定することができる。
【0072】
ここで、複数の粘着領域8の少なくとも2つは、製品幅方向Wに離間して設けられていてもよい。
【0073】
かかる特徴によれば、吸収性物品1の装着時に、運動等によって下着が伸縮しても、複数の粘着領域8の少なくとも2つが製品幅方向Wに離間していることによって、吸収性物品1への影響を緩衝することができ、吸収性物品1がよれにくくなる。
【0074】
図2に示すように、複数の粘着領域8は、後方フラップ50において吸収性物品1を折り畳むための折り線100が形成されている領域以外の領域に設けられていてもよい。
【0075】
図2の例では、複数の粘着領域8は、かかる折り線100よりも製品長手方向Lの前方側Fに設けられている。なお、複数の粘着領域8は、上述の折り線100よりも製品長手方向Lの後方側Bにのみ設けられていてもよい。
【0076】
かかる特徴によれば、複数の粘着領域8が、折り線100が形成されている領域に配置されていない、また、折り線100に対して製品長手方向Lに対称な位置に配置されていないため、後方フラップ50の折り癖によって、複数の粘着領域8同士がくっついてしまう可能性が低くなり、吸収性物品1を下着に装着し易くなる。
【0077】
また、図2に示すように、粘着領域8は、圧搾部22/23よりも、製品長手方向Lの後方側Bに配置されていてもよい。
【0078】
かかる構成によれば、吸収性物品1が、着用者の両脚で挟まれた際に、後方フラップ50の変形が、圧搾部22/23よりも製品長手方向Lの前方側Fに留まり易いので、下着に貼り付けられた粘着領域8が、よれ難くなり、下着から外れ難くなる。
【0079】
粘着領域82の目付は、粘着領域81の目付よりも高くなるように構成されていてもよい。
【0080】
かかる特徴によれば、粘着領域82の面積は、粘着領域81の面積よりも小さいが、粘着領域82の目付を粘着領域81の目付よりも高くすることで、粘着領域82の下着に対する接着強度が向上し、吸収性物品1を下着から剥がれ難くすることができる。
【0081】
また、吸収性本体3には、伸縮性を有する伸縮部材を備える一対のギャザー70が、製品長手方向Lに沿って延びるように設けられている。
【0082】
図4に示すように、一対のギャザー70は、それぞれサイドシート13によって形成されており、製品長手方向Lに延びるように形成された接合部71aによりサイドシート14に接合されており、製品長手方向Lに延びるように形成された接合部71bにより表面シート11に接合されている。
【0083】
一対のギャザー70には、それぞれ複数の弾性部材70aが配置されている。複数の弾性部材70aは、サイドシート13の表面又は内部に、製品長手方向Lに沿うように所定間隔を空けて配置されている。かかる弾性部材70aは、伸張状態でホットメルト型接着剤によってサイドシート13に接合されている。
【0084】
なお、弾性部材70aとしては、細長く伸び縮みする材料であればよく、天然ゴムからなる糸状ゴムや平ゴム等や、ウレタンやエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)やPE等の熱可塑性エラストマー等を用いることができる。
【0085】
ここで、図2に示すように、複数の粘着領域8のうちの少なくとも1つにおける製品長手方向Lの前方側端部81Eは、ギャザー70における製品長手方向Lの後方側端部よりも、製品長手方向Lの前方側Fに位置するように構成されていてもよい。
【0086】
すなわち、複数の粘着領域8のうちの少なくとも1つにおける製品長手方向Lの前方側端部81Eは、ギャザーの有効長Lg内に位置するように構成されている。
【0087】
ここで、ギャザーの有効長Lgは、吸収性物品1を平らな台の上に自然状態にして置いた際に、弾性部材70aが収縮してサイドシート13に皺ができる範囲である。
【0088】
かかる特徴によれば、ギャザー70の収縮によって、後方フラップ50が下着から離れてしまう可能性を低減することができる。
【0089】
また、図2に示すように、後方フラップ50に形成されている圧搾部61〜63は、上述の粘着領域8と重複しないように形成されていてもよい。
【0090】
かかる特徴によれば、圧搾部21〜23への粘着領域8の配置に起因する糊残りの発生を回避することができる。
【0091】
さらに、図2に示すように、複数の粘着領域8の中で製品幅方向Wの最も外側に配置されている粘着領域(図2の例では、粘着領域82)は、後方フラップ部50において製品幅方向Wにおける長さが最も長い部分である最大幅部90の製品幅方向Wの内側に設けられていてもよい。
【0092】
かかる特徴によれば、上述の最大幅部90は、装着中に最もよれやすい部分であるが、かかる最大幅部90に粘着領域82を設けることで、装着中における最大幅部90のよれを防止することができる。
【0093】
また、図5に示すように、粘着領域81の製品幅方向Wにおける長さW1は、粘着領域82の製品幅方向Wにおける長さW2よりも長くなるように構成されていてもよい。
【0094】
かかる特徴によれば、後方フラップ50は、製品幅方向Wの外側に向かうに連れて製品長手方向Lの長さが短くなる形状を有しているため、粘着領域81の製品幅方向Wにおける長さW1を粘着領域82の製品幅方向Wにおける長さW2よりも長くすることで、粘着領域8の面積をより広くすることで、吸収性物品1を下着から剥がれ難くすることができる。
【0095】
さらに、図6に示すように、複数の粘着領域8として、3種類以上の粘着領域81〜83が含まれていてもよい。
【0096】
なお、図7に示すように、複数の粘着領域8は、上述の折り線100に対して製品長手方向Lの両側に設けられていてもよい。図7の例では、粘着領域81a/82aは、上述の折り線100よりも製品長手方向Lの後方側Bに設けられており、粘着領域81a/82aは、上述の折り線100よりも製品長手方向Lの前方側Fに設けられている。
【0097】
以下、本実施形態に係る吸収性物品1の製造方法について簡単に示す。
【0098】
第1に、表面シート11に、ギャザー70を形成したサイドシート13を接合した後、吸収体7を接合し、圧搾部5を形成する。
【0099】
第2に、中間シート14及び裏面シート12を接合した後、圧搾部21/22/23を形成する。
【0100】
第3に、ノズルによってホットメルト型接着剤を剥離紙に塗布した後、かかるホットメルト型接着剤を、製品長手方向Lに沿って搬送されている吸収性物品1の非肌当接面側に転写することによって、それぞれ2列の粘着領域8/9を生成する。
【0101】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0102】
1…吸収性物品
3…吸収本体
5…圧搾部
7…吸収体
8、81、82…粘着領域
11…表面シート
12…裏面シート
13…サイドシート
40…折り返しフラップ
50…後方フラップ
70…ギャザー
100…折り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7