特許第6169679号(P6169679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169679
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】電極及びそれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/131 20100101AFI20170713BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20170713BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20170713BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20170713BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20170713BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H01M4/131
   H01M4/62 Z
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/485
   H01M4/66 A
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-503136(P2015-503136)
(86)(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公表番号】特表2015-515722(P2015-515722A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】KR2013003282
(87)【国際公開番号】WO2013157863
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年9月25日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0040519
(32)【優先日】2012年4月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】テ・ジン・パク
(72)【発明者】
【氏名】デホン・キム
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/121950(WO,A1)
【文献】 特開2011−081931(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0097719(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1120437(KR,B1)
【文献】 国際公開第2010/068651(WO,A2)
【文献】 特表2012−512505(JP,A)
【文献】 特表2013−538427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/131
H01M 4/485
H01M 4/505
H01M 4/525
H01M 4/62
H01M 4/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質、バインダー及び導電材を含む電極合剤が集電体に塗布されている二次電池用電極であって、集電体上に電気伝導性物質が30〜60μmの厚さでコーティングされ、前記電気伝導性物質のコーティング層上に電極合剤が塗布されて、電気伝導度を向上させ、前記電気伝導性物質が、黒鉛、カーボンナノチューブ及びグラフェンからなる群から選択される一つまたは二つ以上であり、
前記集電体が金属ホイルであり、
前記電極が正極であり、
前記正極が、正極活物質として、下記化学式1で表されるスピネル構造のリチウム金属酸化物を含むことを特徴とする、二次電池用電極
LiMn2−y4−z(1)
上記式中、0.9≦x≦1.2、0<y<2、0≦z<0.2であり、
Mは、Al、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Ti、Cu、B、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、W、Ti及びBiからなる群から選択される一つ以上の元素であり、
Aは、−1価または−2価の一つ以上のアニオンである。
【請求項2】
前記リチウム金属酸化物が、下記化学式2で表されることを特徴とする、請求項に記載の二次電池用電極:
LiNiMn2−y(2)
上記式中、0.9≦x≦1.2、0.4≦y≦0.5である。
【請求項3】
前記リチウム金属酸化物が、LiNi0.5Mn1.5またはLiNi0.4Mn1.6であることを特徴とする、請求項に記載の二次電池用電極。
【請求項4】
電極活物質、バインダー及び導電材を含む電極合剤が集電体に塗布されている二次電池用電極であって、集電体上に電気伝導性物質が30〜60μmの厚さでコーティングされ、前記電気伝導性物質のコーティング層上に電極合剤が塗布されて、電気伝導度を向上させ、前記電気伝導性物質が、黒鉛、カーボンナノチューブ及びグラフェンからなる群から選択される一つまたは二つ以上であり、
前記集電体が金属ホイルであり、
前記電極が負極であり、
前記負極が、負極活物質として、下記化学式3で表されるリチウム金属酸化物を含むことを特徴とする、二次電池用電極:
LiM’4−c(3)
上記式中、M’が、Ti、Sn、Cu、Pb、Sb、Zn、Fe、In、Al及びZrからなる群から選択される一つ以上の元素であり、
a及びbが、0.1≦a≦4、0.2≦b≦4の範囲でM’の酸化数によって決定され、
cが、0≦c<0.2の範囲で酸化数によって決定され、
Aが、−1価または−2価の一つ以上のアニオンである。
【請求項5】
前記リチウム金属酸化物が、下記化学式4で表されることを特徴とする、請求項に記載の二次電池用電極:
LiTi(4)
上記式中、0.5≦a≦3、1≦b≦2.5である。
【請求項6】
前記リチウム金属酸化物が、Li1.33Ti1.67またはLiTiであることを特徴とする、請求項に記載の二次電池用電極。
【請求項7】
前記電気伝導性物質のコーティング層が、集電体の全面積を基準として40〜90%のコーティング面積で塗布されることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の二次電池用電極を含むことを特徴とする、二次電池。
【請求項9】
前記二次電池がリチウム二次電池であることを特徴とする、請求項に記載の二次電池。
【請求項10】
請求項に記載の二次電池を単位電池として含むことを特徴とする、電池モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載の電池モジュールを含むことを特徴とする、電池パック。
【請求項12】
請求項11に記載の電池パックを含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項13】
前記デバイスが、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵用システムであることを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極活物質、バインダー及び導電材を含む電極合剤が集電体に塗布されている二次電池用電極及びそれを含む二次電池に係り、集電体上に伝導性物質が1〜80μmの厚さでコーティングされ、伝導性物質のコーティング層上に電極合剤が塗布されて、電気伝導度を向上させる二次電池用電極及びそれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発及び需要が増加するに伴い、エネルギー源としての二次電池に対する需要が急増しており、そのような二次電池の中でも、高いエネルギー密度と作動電位を示し、サイクル寿命が長く、自己放電率の低いリチウム二次電池が商用化されて広く使用されている。
【0003】
また、最近は、環境問題への関心が高まるにつれて、大気汚染の主要原因の一つであるガソリン車両、ディーゼル車両などの化石燃料を使用する車両を代替し得る電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などに対する研究が多く行われている。このような電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの動力源としては、主にニッケル水素金属(Ni−MH)二次電池が使用されているが、高いエネルギー密度、高い放電電圧及び出力安定性のリチウム二次電池を使用する研究が活発に行われており、一部は商用化されている。
【0004】
従来のリチウムイオン二次電池は、正極としてリチウムコバルト複合酸化物を使用し、負極として黒鉛系材料を使用することが一般的であるが、最近は、従来使用していた材料を超えて、スピネル構造のリチウムニッケル系金属酸化物を正極として使用するか、またはリチウムチタン酸化物などを負極活物質として使用することに対する研究が多く行われている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、正極のリチウムイオンが負極に挿入及び脱離される過程を繰り返しながら、充電及び放電が進行する。電極活物質の種類によって電池の理論容量は差があるが、一般的にサイクルが進行するにつれて充電及び放電容量が低下するという問題が発生するようになる。
【0006】
このような現象は、電池の充電及び放電が進行するにつれて発生する電極の体積変化によって、電極活物質間または電極活物質と集電体との間が分離されて、活物質がその機能を果たすことができなくなることに最も大きな原因がある。また、挿入及び脱離される過程において、負極に挿入されたリチウムイオンが十分に抜け出ることができず、負極の活性点が減少するようになり、これによって、サイクルが進行するにつれて電池の充放電容量及び寿命特性が減少することもある。
【0007】
したがって、活物質と集電体との間の接着力を確保して電池の容量を向上させながらも、優れた電気伝導性を示すことで、電池の諸性能を向上させることができる技術に対する必要性が非常に高い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0009】
本出願の発明者らは、鋭意研究と様々な実験を重ねた結果、後述するように、集電体上に所定の厚さを有する伝導性物質をコーティングした後、伝導性物質のコーティング層上に電極合剤を塗布する場合、所望の効果を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、電極活物質、バインダー及び導電材を含む電極合剤が集電体に塗布されている二次電池用電極であって、集電体上に伝導性物質が1〜80μmの厚さでコーティングされ、前記伝導性物質のコーティング層上に電極合剤が塗布されて、電気伝導度を向上させることを特徴とする二次電池用電極を提供する。
【0011】
本発明に係る二次電池用電極は、集電体上に伝導性物質が先にコーティングされた後、電極合剤が塗布されて、伝導性物質が、集電体と電極活物質との間の電子移動が円滑になされるように助けるので、電気伝導度を向上させて電池の内部抵抗が減少できるだけでなく、レート特性もまた向上させることができる。
【0012】
このような伝導性物質は、電気伝導度を向上させることができる物質として当業界に知られているものであれば制限がないが、詳細には、黒鉛、カーボンナノチューブ、グラフェン(graphene)、及び導電性高分子からなる群から選択される一つまたは二つ以上であってもよい。
【0013】
この場合、前記導電性高分子は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン;p−phenylene vinylene)、ポリ(p−フェニレン;p−phenylene)、ポリ(チエニレンビニレン;thienylene vinylene)、ポリ(エチレンジオキシチオフェン;ethylenedioxythiophene)、ポリイソチアナフテン(polyisothianaphthence)、ポリ(p−フェニレンスルフィド;p−phenylenesulfide)からなる群から選択される一つまたは二つ以上であってもよいが、詳細には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン及びポリチオフェンからなる群から選択される一つまたは二つ以上であってもよい。
【0014】
前記コーティング層の厚さは、上述したように、1〜80μmであってもよいが、詳細には20〜70μmであってもよく、より詳細には30〜60μmであってもよい。コーティング層は、集電体全体の面積を基準として40〜90%のコーティング面積で塗布することができ、詳細には、50〜80%の面積で塗布することができる。このようなコーティング層の厚さが薄すぎたり、コーティング面積が小さすぎたりすると、導電性高分子層の形成による結合力の向上を期待しにくく、逆に、コーティング層が厚すぎたり、コーティング面積が大きすぎたりすると、内部抵抗上昇の幅が大きくなり、電池の性能が低下することがある。
【0015】
一つの例において、前記コーティング層は、導電性高分子を含む混合物を集電体上に塗布した後、乾燥することで形成することができる。このとき、コーティング層の塗布方法は、特に制限されず、様々な方法を用いることができる。代表的な例としては、スプレーコーティング法を挙げることができる。また、前記混合物は、導電性高分子以外に、導電性高分子が集電体の表面に容易に密着できるように界面活性剤などを含むことができ、前記導電性高分子と界面活性剤などを、例えば、NMPなどの溶液に溶かすことにより製造することができる。
【0016】
前記電極は、正極活物質を含む正極及び/または負極活物質を含む負極であってもよい。
【0017】
二次電池用正極は、正極集電体上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物を塗布した後、乾燥及びプレスして製造され、必要によっては、前記混合物に充填剤をさらに添加することもある。
【0018】
前記正極集電体は、一般に3〜500μmの厚さで製造される。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使用することができる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態が可能である。
【0019】
前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や、1つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2−x(ここで、xは0〜0.33である。)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1−x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01〜0.3である。)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2−x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01〜0.1である。)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;LiNiMn2−xで表されるスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどを挙げることができるが、詳細には、下記化学式1で表されるスピネル構造のリチウム金属酸化物を含むことができる。
【0020】
LiMn2−y4−z(1)
【0021】
上記式中、0.9≦x≦1.2、0<y<2、0≦z<0.2であり、Mは、Al、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Ti、Cu、B、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、W、Ti及びBiからなる群から選択される一つ以上の元素であり;Aは、−1価または−2価の一つ以上のアニオンである。
【0022】
前記リチウム金属酸化物は、より詳細には、下記化学式2で表すことができる。
【0023】
LiNiMn2−y(2)
【0024】
上記式中、0.9≦x≦1.2、0.4≦y≦0.5である。
【0025】
前記リチウム金属酸化物は、より詳細には、LiNi0.5Mn1.5またはLiNi0.4Mn1.6であってもよい。
【0026】
前記導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物全体の重量を基準として1〜50重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0027】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物全体の重量を基準として1〜50重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルローズ(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルローズ、再生セルローズ、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などを挙げることができる。
【0028】
前記充填剤は、正極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0029】
反面、負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥及びプレスして製造され、必要に応じて、上述したような導電材、バインダー、充填剤などを選択的にさらに含むことができる。
【0030】
前記負極集電体は、一般に3〜500μmの厚さで製造される。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などを使用することができる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用することができる。
【0031】
前記負極活物質は、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Biなどの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料;などを使用することができるが、詳細には、下記化学式3で表されるリチウム金属酸化物を使用することができる。
【0032】
LiM’4−c(3)
【0033】
上記式中、M’は、Ti、Sn、Cu、Pb、Sb、Zn、Fe、In、Al及びZrからなる群から選択される一つ以上の元素であり;a及びbは、0.1≦a≦4;0.2≦b≦4の範囲でM’の酸化数(oxidation number)によって決定され;cは、0≦c<0.2の範囲で酸化数によって決定され;Aは、−1価または−2価の一つ以上のアニオンである。
【0034】
前記化学式3の酸化物は、下記化学式4で表すことができる。
【0035】
LiTi(4)
【0036】
より詳細には、前記リチウム金属酸化物は、Li1.33Ti1.67またはLiTiであってもよい。
【0037】
一つの例において、前記負極活物質としてリチウムチタン酸化物(LTO)を使用する場合、LTO自体の電子伝導度が低いので、上記のような電極構造であり得る。また、この場合、LTOの高い電位によって、相対的に高電位を有するLiNiMn2−x(x=0.01〜0.6である。)のスピネルリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質として使用することができる。
【0038】
また、本発明は、前記正極と負極との間に分離膜が介在した構造の電極組立体に、リチウム塩含有電解液が含浸されている構造からなる二次電池を提供する。
【0039】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。一般に、分離膜の気孔径は0.01〜10μmで、厚さは5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0040】
前記リチウム塩含有電解液は電解液及びリチウム塩からなっており、前記電解液としては、非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0042】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0043】
前記無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiS−SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0044】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0045】
また、電解液には、充放電特性、難燃性などの改善の目的で、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもでき、FEC(Fluoro−Ethylene Carbonate)、PRS(Propene sultone)などをさらに含ませることができる。
【0046】
一つの例において、LiPF、LiClO、LiBF、LiN(SOCFなどのリチウム塩を、高誘電性溶媒であるECまたはPCの環状カーボネートと、低粘度溶媒であるDEC、DMCまたはEMCの線状カーボネートとの混合溶媒に添加して、リチウム塩含有非水系電解質を製造することができる。
【0047】
本発明はまた、前記二次電池を単位電池として含む電池モジュールを提供し、前記電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0048】
前記電池パックは、高温安定性、長いサイクル特性及び高いレート特性などが要求される中大型デバイスの電源として使用することができる。
【0049】
前記中大型デバイスの例としては、電気的モータによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug−in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E−bike)、電気スクーター(E−scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】実験例1に係る二次電池の放電時のSOC(state of charge)による抵抗の変化率を測定したグラフである。
図2】実験例2に係る二次電池の充電時のSOC(state of charge)による抵抗の変化率を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
<実施例1>
炭素をアルミニウム集電体の全面積に塗布して、30nmの厚さの炭素層を形成した。その後、リチウムチタン酸化物(負極活物質)95重量%、Super−P(導電材)2.5重量%及びPVdF(結合剤)2.5重量%をNMPに添加して負極合剤を製造し、炭素層が形成された集電体上に塗布して、二次電池用負極を製造した。
【0052】
<実施例2>
炭素をアルミニウム集電体上に塗布して、50nmの厚さの炭素層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で二次電池用負極を製造した。
【0053】
<比較例1>
アルミニウム集電体上に炭素層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で二次電池用負極を製造した。
【0054】
<実験例1>
上記実施例1、2及び比較例1で製造された負極と、LiNi0.5Mn1.5(正極活物質)90重量%、Super−P(導電材)5重量%及びPVdF(結合剤)5重量%をNMPに添加して製造した正極合剤をコーティングした正極と、ポリプロピレンで製造された多孔性分離膜とを使用して電極組立体を製造した。その後、電極組立体をパウチに入れ、リード線を連結した後、1MのLiPF塩が溶けている体積比1:1のエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)溶液を電解質として注入した後、密封して、リチウム二次電池を組み立てた。このような二次電池の放電時のSOC(state of charge)による抵抗の変化率を測定して、図1に示した。
【0055】
図1によれば、実施例1及び2の電池は、比較例1の電池と比較して、SOC50%基準抵抗が減少したことがわかる。
【0056】
<実験例2>
上記実施例1、2及び比較例1で製造された負極と、LiNi0.5Mn1.5(正極活物質)90重量%、Super−P(導電材)5重量%及びPVdF(結合剤)5重量%をNMPに添加して製造した正極合剤をコーティングした正極と、ポリプロピレンで製造された多孔性分離膜とを使用して電極組立体を製造した。その後、電極組立体をパウチに入れ、リード線を連結した後、1MのLiPF塩が溶けている体積比1:1のエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)溶液を電解質として注入した後、密封して、リチウム二次電池を組立てた。このような二次電池の充電時のSOC(state of charge)による抵抗の変化率を測定して、図2に示した。
【0057】
図2によれば、実施例1及び2の電池は、比較例1の電池と比較して、SOC50%基準抵抗が減少したことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明に係る二次電池用電極は、集電体上に伝導性物質が所定の厚さにコーティングされ、伝導性物質のコーティング層上に電極活物質、バインダー及び導電材を含む電極合剤が塗布されるので、電気伝導度が向上して電池の内部抵抗が減少するので、優れたレート特性を示すことができる。
【0059】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
図1
図2