特許第6169848号(P6169848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6169848塩、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169848
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】塩、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 381/12 20060101AFI20170713BHJP
   C07C 309/17 20060101ALI20170713BHJP
   C07D 307/00 20060101ALI20170713BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20170713BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20170713BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   C07C381/12CSP
   C07C309/17
   C07D307/00
   G03F7/004 503A
   G03F7/039 601
   H01L21/30 502R
【請求項の数】11
【全頁数】116
(21)【出願番号】特願2013-4506(P2013-4506)
(22)【出願日】2013年1月15日
(65)【公開番号】特開2013-166748(P2013-166748A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】特願2012-9041(P2012-9041)
(32)【優先日】2012年1月19日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸司
(72)【発明者】
【氏名】宮川 貴行
(72)【発明者】
【氏名】安江 崇裕
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/108667(WO,A1)
【文献】 特開2012−006907(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0117495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 381/12
C07C 309/01−309/62
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸に不安定な基を有するアニオンと、アルカリ現像液の作用により開裂する基を有するカチオンとからなる塩であって、
酸に不安定な基を有するアニオンが、式(A−1)で表されるアニオン又は式(A−2)で表されるアニオンであり、
【化1】
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[式(A−1)及び式(A−2)中、
及びQは、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
01は、単結合、式(b1−1)〜式(b1−7)のいずれかで表される基、又は、式(A−1−L01)で表される基である。
【化2】
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[式(b1−1)〜式(b1−7)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜18の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜16の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb3及びLb4の合計炭素数の上限は16である。
b5は、単結合又は炭素数1〜17の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b6は、炭素数1〜18の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb5及びLb6の合計炭素数の上限は18である。
b7は、単結合又は炭素数1〜18の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b8は、炭素数1〜19の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb7及びLb8の合計炭素数の上限は19である。
b9は、単結合又は炭素数1〜16の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b10は、炭素数1〜17の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は17である。
b11及びLb12は、単結合又は炭素数1〜14の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b13は、炭素数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb11、Lb12及びLb13の合計炭素数の上限は15である。
b14及びLb15は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜16の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b16は、炭素数1〜17の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb14、Lb15及びLb16の合計炭素数の上限は17である。
*は結合手を表し、左側の*は、C(Q)(Q)の炭素原子との結合手を表す。]
【化3】
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[式(A−1−L01)中、
02は、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
03は、単結合又は炭素数1〜8のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
環W02は、炭素数3〜12の飽和炭化水素環を表し、該飽和炭化水素環に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
vは、0〜2の整数を表す。
A4は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
wは、0〜2の整数を表す。wが2である場合、複数のRA4は同じであっても異なっていてもよい。]
A3は、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表す。該アルキル基又は該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
環Wは、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の炭化水素環を表し、該炭化水素環を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
A1’及びRA2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、RA3’は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表すか、RA2’及びRA3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置き換わってもよい。]
アルカリ現像液の作用により開裂する基を有するカチオンが、トリアリールスルホニウムカチオン(但し、該カチオンを構成する三つのアリール基のうち一つのアリール基が、パラ位にアルカリ現像液の作用により開裂する基を一つ有する)であり、
アルカリ現像液の作用により開裂する基が、式(Ba)で表される基又は式(Bb)で表される基である塩。
【化4】
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[式(Ba)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。
*は結合手を表す。]
【化5】
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[式(Bb)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。
*は結合手を表す。]
【請求項2】
式(A−1)及び式(A−2)中のL上記式(A−1−L01)で表される基である、請求項1記載の塩
【請求項3】
酸に不安定な基を有するアニオンが、式(A−1)で表されるアニオンであり、
式(A−1)中のL01は、単結合である、請求項1記載の塩。
【請求項4】
酸に不安定な基を有するアニオンが、式(A−1)で表されるアニオンであり、
式(A−1)で表されるアニオンは、式(b1−s−2)、式(b1−s−4)、式(b1−s−17)、式(b1−s−24)、式(b1−s−51)、式(b1−s−52)又は式(b1−s−71)で表されるアニオンである、請求項1記載の塩。
【化6】
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【化7】
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【請求項5】
酸に不安定な基を有するアニオンが、式(A−2)で表されるアニオンであり、
式(A−2)で表されるアニオンは、式(b1−s−81)又は式(b1−s−83)で表されるアニオンである、請求項1記載の塩。
【化8】
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【請求項6】
前記アルカリ現像液の作用により開裂する基が、式(Ba)で表される基である、請求項1〜3のいずれか記載の塩。
【請求項7】
前記トリアリールスルホニウムカチオンは、式(b2−c−3)である、請求項1〜6のいずれか記載の塩。
【化9】
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【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の塩を有効成分として含有する酸発生剤。
【請求項9】
請求項8記載の酸発生剤と樹脂とを含有し、該樹脂は酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂であるレジスト組成物。
【請求項10】
さらに塩基性化合物を含有する請求項9記載のレジスト組成物。
【請求項11】
(1)請求項9又は10記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸発生剤用の塩、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、酸発生剤用の塩として、下記式で表される塩を酸発生剤として含有するレジスト組成物が記載されている。
【化1】
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【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−69146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレジスト組成物では、レジストパターン製造時のCD均一性(CDU)が必ずしも十分に満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕酸に不安定な基を有するアニオンと、アルカリ現像液の作用により開裂する基を有するカチオンとからなる塩。
【0006】
〔2〕酸に不安定な基が、式(Aa)で表される基又は式(Ab)で表される基である前記〔1〕記載の塩。
【化2】
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[式(Aa)中、
A1、RA2及びRA3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表すか、RA1及びRA2は互いに結合して置換基を有していてもよい炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該アルキル基、該脂環式炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。]
【化3】
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[式(Ab)中、
A1’及びRA2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、RA3’は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表すか、RA2’及びRA3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置き換わってもよい。]
【0007】
〔3〕酸に不安定な基が、式(Aa)で表される基又は式(Ab)で表される基である前記〔1〕記載の塩。
【化4】
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[式(Aa)中、
A1、RA2及びRA3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、RA1及びRA2は互いに結合して置換基を有していてもよい炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該アルキル基、該脂環式炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。]
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
[式(Ab)中、
A1’及びRA2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、RA3’は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表すか、RA2’及びRA3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置き換わってもよい。]
【0008】
〔4〕式(Aa)で表される基が、式(Aa−1)で表される基である前記〔2〕又は〔3〕記載の塩。
【化6】
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[式(Aa−1)中、
A3は、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表す。該アルキル基又は該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
環Wは、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂肪族環を表す。該脂肪族環を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。]
【0009】
〔5〕酸に不安定な基を有するアニオンが、式(A−1)で表される前記〔4〕記載の塩。
【化7】
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[式(A−1)中、
及びQは、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
01は、単結合又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子はフッ素原子又はヒドロキシ基で置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
A3は、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表す。該アルキル基又は該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
環Wは、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の炭化水素環を表し、該炭化水素環を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。]
【0010】
〔6〕カチオンが、トリアリールスルホニウムカチオン(但し、該カチオンを構成する三つのアリール基のうち少なくとも一つは、アルカリ現像液の作用により開裂する基を有する)である前記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の塩。
【0011】
〔7〕アルカリ現像液の作用により開裂する基が、式(Ba)で表される基又は式(Bb)で表される基である前記〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の塩。
【化8】
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[式(Ba)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
[式(Bb)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。]
【0012】
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれか記載の塩を有効成分として含有する酸発生剤。
〔9〕前記〔8〕記載の酸発生剤と樹脂とを含有し、該樹脂は酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂であるレジスト組成物。
〔10〕さらに塩基性化合物を含有する前記〔9〕記載のレジスト組成物。
〔11〕(1)前記〔9〕又は〔10〕記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の塩を酸発生剤として含有するレジスト組成物を用いれば、優れたCD均一性(CDU)で、レジストパターンを製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、以下の置換基の例示は、同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。脂肪族炭化水素基のうち、アルキル基のように直鎖状又は分岐状をとることができるものは、そのいずれをも含む。立体異性体が存在する場合は、全ての立体異性体を包含する。以下の置換基の例示において、「C」に付して記載した数値は、各々の基の炭素数を示すものである。
さらに、本明細書において、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH=CH−CO−」又は「CH=C(CH)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」並びに「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0015】
炭化水素基とは、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する。
脂肪族炭化水素基は、鎖式及び環式の双方を含み、特に定義しない限り、鎖式及び脂環式の脂肪族炭化水素基が組み合わせられたものをも包含する。また、これら脂肪族炭化水素基は、その一部に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよいが、飽和の基(脂肪族飽和炭化水素基)が好ましい。
【0016】
鎖式の脂肪族炭化水素基のうち1価のものとしては、典型的にはアルキル基が挙げられる。該アルキル基の具体例は、メチル基(C)、エチル基(C)、プロピル基(C)、ブチル基(C)、ペンチル基(C)、ヘキシル基(C)、ヘプチル基(C)、オクチル基(C)、デシル基(C10)、ドデシル基(C12)、テトラデシル基(C14)、ペンタデシル基(C15)、ヘキサデシル基(C16)、ヘプタデシル基(C17)及びオクタデシル基(C18)などである。
【0017】
鎖式の脂肪族炭化水素基のうち2価のものとしては、アルキル基から水素原子を1個取り去ったアルカンジイル基が挙げられる。アルカンジイル基の具体例は、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基などである。
【0018】
環式の脂肪族炭化水素基(以下、場合により「脂環式炭化水素基」という。)は、典型的には、シクロアルキル基であり、以下に示す単環式及び多環式のいずれをも包含する。
【0019】
脂環式炭化水素基のうち1価のものとして、単環式の脂肪族炭化水素基は、以下の式(KA−1)〜(KA−7)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基である。
【化10】
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【0020】
多環式の脂肪族炭化水素基は、以下の式(KA−8)〜(KA−22)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基である。
【化11】
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【0021】
脂環式炭化水素基のうち2価のものとしては、式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基が挙げられる。
【0022】
脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、そのつど定義するが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基などが挙げられる。
【0023】
アルコキシ基としては、メトキシ基(C)、エトキシ基(C)、プロポキシ基(C)、ブトキシ基(C)、ペンチルオキシ基(C)、ヘキシルオキシ基(C)、ヘプチルオキシ基(C)、オクチルオキシ基(C)、デシルオキシ基(C10)及びドデシルオキシ基(C12)などが挙げられる。
アシル基としては、アセチル基(C)、プロピオニル基(C)、ブチリル基(C)、バレイル基(C)、ヘキサノイル基(C)、ヘプタノイル基(C)、オクタノイル基(C)、デカノイル基(C10)及びドデカノイル基(C12)などのアルキル基とカルボニル基とが結合したもの並びにベンゾイル基(C)などのアリール基とカルボニル基とが結合したものが挙げられる。
【0024】
アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基及びイソブチリルオキシ基などが挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基(C)、フェネチル基(C)、フェニルプロピル基(C)、ナフチルメチル基(C11)及びナフチルエチル基(C12)などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基(C)、ナフチルオキシ基(C10)、アントリルオキシ基(C14)、ビフェニルオキシ基(C12)、フェナントリルオキシ基(C14)及びフルオレニルオキシ基(C13)などのアリール基と酸素原子とが結合したものが挙げられる。
【0025】
1価の芳香族炭化水素基としては、典型的には、アリール基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基(C)、ナフチル基(C10)、アントリル基(C14)、ビフェニル基(C12)、フェナントリル基(C14)及びフルオレニル基(C13)などが挙げられる。2価の芳香族炭化水素基は例えば、ここに例示したアリール基から、さらに水素原子1個と取り去ったアリーレン基を挙げることができる。
【0026】
芳香族炭化水素基も置換基を有することがある。このような置換基はそのつど定義するが、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アルキル基及びアリールオキシ基を挙げることができる。これらのうち、アルキル基は、鎖式脂肪族炭化水素基として例示したものと同じであり、芳香族炭化水素基に任意に有する置換基のうち、アルキル基以外のものは、脂肪族炭化水素基の置換基として例示したものと同じものを含む。
【0027】
飽和炭化水素基とは、上述した脂肪族炭化水素基のうち飽和のもの、つまり、上述した鎖式及び環式の脂肪族炭化水素基のうち飽和のものを意味する。また、飽和炭化水素基も、脂肪族炭化水素基と同様の置換基を有していてもよい。
【0028】
また、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH=CH−CO−」又は「CH=C(CH)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0029】
以下、本レジスト組成物の構成成分を説明する。
【0030】
<酸に不安定な基を有するアニオンと、アルカリ現像液の作用により開裂する基を有するカチオンとからなる塩>
本発明の塩は、酸に不安定な基を有するアニオンと、アルカリ現像液の作用により開裂する構造を有するカチオンからなる。以下この塩を「塩(I)」という場合がある。
【0031】
まず、塩(I)を構成するアニオンから説明する。
酸に不安定な基を有するアニオンとしては、酸に不安定な基を有するスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン及びヒドロキシドアニオンであることが好ましく、スルホン酸アニオン及びカルボン酸アニオンであることがより好ましく、スルホン酸アニオンであることがさらに好ましい。なかでも、式(A−1)で表されるスルホン酸アニオンであることが特に好ましい。
【0032】
酸に不安定な基としては、式(Aa)で表される基又は式(Ab)で表される基であるであることが好ましい。
【化12】
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[式(Aa)中、
A1、RA2及びRA3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表すか、RA1及びRA2は互いに結合して置換基を有していてもよい炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該アルキル基、該脂環式炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。]
【化13】
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[式(Ab)中、
A1’及びRA2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、RA3’は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表すか、RA2’及びRA3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置き換わってもよい。]
【0033】
A1、RA2及びRA3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
【0034】
酸不安定基(1)のRA1〜RA3のアルキル基及び脂環式炭化水素基は、各々の炭素数の範囲において、すでに例示したものを含む。ただし、該脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜16の範囲である。
【0035】
式(Aa)で表される基としては、式(Aa−1)で表される基であるであることが好ましい。
【化14】
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[式(Aa−1)中、
A3は、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表す。該アルキル基又は該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
環Wは、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂肪族環を表す。該脂肪族環を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。]
【0036】
式(Aa−1)で表される基のうち
【化15】
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で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【化16】
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【0037】
式(Aa)で表される基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(Aa)中、RA1〜RA3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブチルオキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(Aa)中、RA1及びRA2が結合することで、アダマンタン環を形成し、RA3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(Aa)中、RA1及びRA2がアルキル基であり、RA3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0038】
式(Ab)で表される基のRA1’及びRA2’の炭化水素基は、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基などである。これらの基もすでに例示したもののうち、炭素数20以下の範囲で同じものを含む。ただし、RA1’及びRA2’のうち少なくとも1つは水素原子であると好ましい。
【0039】
式(Ab)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【化17】
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【0040】
酸に不安定な基を有するアニオンは、上述した酸に不安定な基を有するアニオンが好ましく、なかでも、式(A−1)又は式(A−2)で表されるアニオンであることがより好ましい。
【化18】
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[式(A−1)及び式(A−2)中、
及びQは、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
01は、単結合又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子はフッ素原子又はヒドロキシ基で置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
A3は、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表す。該アルキル基又は該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
環Wは、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の炭化水素環を表し、該炭化水素環を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
A1’及びRA2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、RA3’は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表すか、RA2’及びRA3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置き換わってもよい。]
【0041】
及びQはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。このペルフルオロアルキル基としては、すでに例示した炭素数1〜6のアルキル基において、当該アルキル基に含まれる全ての水素原子がフッ素原子に置き換わったものが挙げられる。具体的にいえば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基及びペルフルオロヘキシル基などである。ここでは、ペルフルオロアルキル基を、その具体例を挙げて説明したが、Q及びQはそれぞれ独立に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基が好ましく、Q及びQはともにフッ素原子がさらに好ましい。
【0042】
01における置換基を有してもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルカンジイル基又は式(A−1−L01)で表される2価の基が好ましい。
【化19】
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[式(A−1−L01)中、
02は、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。L03は、単結合又は炭素数1〜8のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
環W02は、炭素数3〜12の飽和炭化水素環を表し、該飽和炭化水素環に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
vは、0〜2の整数を表す。
A4は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
wは、0〜2の整数を表す。wが2である場合、複数のRは同じであっても異なっていてもよい。]
【0043】
02は、*−CO−O−L04−、*−CO−O−L05−O−又は*−CO−O−L06−CO−O−(L04は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、L05は、炭素数1〜5のアルカンジイル基を表し、L06は、炭素数1〜4のアルカンジイル基を表し、*は−C(Q)(Q)−との結合手を表す。)であることが好ましい。
03は、単結合、*−O−L07−又は*−CO−O−L08−(L07は、炭素数1〜7のアルカンジイル基を表し、L08は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、*は環W02との結合手を表す。)であることが好ましい。
【0044】
式(A−W02)で表される基としては、下記の基が挙げられる。
【化20】
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[式(A−W02)中、W02、RA4、v及びwは、上記と同じ意味を表す。
*は、隣接する基との結合手を表す。]
【0045】
飽和炭化水素環とは、不飽和結合を含まない、炭素及び水素のみからなる環をいう。飽和炭化水素環としては、例えば、シクロヘキサン環、アダマンタン環等が挙げられ、アダマンタン環が好ましい。
式(A−W02)で表される2価の基としては、例えば、以下で表される2価の基などが挙げられる。
【化21】
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【0046】
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0047】
01において炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基の具体例としては、例えば、以下の式(b1−1)〜式(b1−7)のいずれかで示される基が挙げられる。L01は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで示される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)又は式(b1−3)で示される基である。なお、式(b1−1)〜式(b1−7)における結合手を示す*は、その左右を式(A−1)に合わせて記載しており、左側の結合手は、C(Q)(Q)の炭素原子と結合している。以下に示す式(b1−1)〜式(b1−7)の具体例も同様である。
【化22】
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[式(b1−1)〜式(b1−7)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜18の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜16の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb3及びLb4の合計炭素数の上限は16である。
b5は、単結合又は炭素数1〜17の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b6は、炭素数1〜18の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb5及びLb6の合計炭素数の上限は18である。
b7は、単結合又は炭素数1〜18の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b8は、炭素数1〜19の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb7及びLb8の合計炭素数の上限は19である。
b9は、単結合又は炭素数1〜16の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b10は、炭素数1〜17の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は17である。
b11及びLb12は、単結合又は炭素数1〜14の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b13は、炭素数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb11、Lb12及びLb13の合計炭素数の上限は15である。
b14及びLb15は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜16の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b16は、炭素数1〜17の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb14、Lb15及びLb16の合計炭素数の上限は17である。]
【0048】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化23】
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【0049】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化24】
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【0050】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化25】
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【0051】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化26】
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【0052】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化27】
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【0053】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化28】
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【0054】
式(b1−7)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化29】
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【0055】
水素原子がフッ素原子又はヒドロキシ基で置換されたL01としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【化30】
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【0056】
中でも、L01は、式(b1−1)で表される2価の基であると好ましく、Lb2が炭素数1〜6の飽和炭化水素基である式(b1−1)で表される2価の基であると、より好ましく、*−CO−O−(*は、C(Q)(Q)の炭素原子との結合手を表す。)で表される基であると、さらに好ましい。
A3としては、アルキル基が好ましく、特に、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
【0057】
環Wにおける炭化水素環としては、炭素数3〜12の炭化水素環が好ましい。なかでも、飽和の炭化水素環がより好ましく、シクロヘキサン環及びアダマンタン環がさらに好ましい。式(A―W)で表される基としては、下記の基がより好ましい。*は−O−との結合手を表す。
【化31】
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【化32】
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【0058】
環Wにおける炭化水素環が有する置換基としては、RA3以外に、ハロゲン原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、式(II−1)〜式(II−4)で表される基等が挙げられる。なかでも、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、式(II−1)〜式(II−4)で表される基が好ましく、さらに、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、式(II−1)〜式(II−4)で表される基がより好ましい。*は環Wとの結合手を表す。
【0059】
【化33】
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[式(II−1)中、Aは、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
A5は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【化34】
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[式(II−2)中、RA6、RA7及びRA8は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【化35】
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[式(II−3)中、RA9、RA10及びRA11は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【化36】
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[式(II−4)中、
04は、炭素数1〜10のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
環Wは、炭素数3〜18の飽和炭化水素環を表し、該飽和炭化水素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
A12は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルコキシ基を表す。
tは、0〜3の整数を表す。tが2又は3である場合、複数のRA12は同一又は相異なる。]
【0060】
ハロゲン原子置換アルキル基及びハロゲン原子置換アルコキシ基としては、フッ素原子で置換されているアルキル基及びアルコキシ基が好ましい。
ヒドロキシ基置換アルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
ヒドロキシ基置換アルコキシ基としては、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシプロポキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基などが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシ基にカルボニル基が結合した基が挙げられる。
飽和炭化水素環としては、上述した脂環式炭化水素環と同様のものが挙げられる。
【0061】
環Wにおける炭化水素環の置換基においては、アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
04は、*−O−L−CO−O−、*−O−L−CO−O−L−O−、*−CO−O−L10−CO−O−、*−O−CO−L11−O−又は*−O−L12−O−であることが好ましく、*−O−L−CO−O−又は*−CO−O−L10−CO−O−がより好ましく、*−O−CH−CO−O−又は*−O−CH−CO−O−C−O−が特に好ましい。ここで、L〜L12は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表し、*は環Wとの結合手を表す。
【0062】
式(II−1)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【化37】
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【0063】
式(II−2)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【化38】
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【0064】
式(II−3)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【化39】
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【0065】
式(II−4)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【化40】
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式(II−4)で表される基のなかでも、式(II−4−1)及び式(II−4−2)で表される基が好ましい。
【0066】
塩(I)を構成するアニオンとしては、例えば、以下のアニオンが挙げられる。
【化41】
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【0067】
【化42】
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【0068】
【化43】
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【0069】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0070】
【化45】
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【0071】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0072】
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
【0073】
【化48】
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【0074】
【化49】
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【0075】
次に、塩(I)を構成するカチオンについて説明する。
アルカリ現像液の作用により開裂する基を有するカチオンとしては、アルカリ現像液の作用により開裂する基を有する有機カチオンであることが好ましい。
アルカリ現像液の作用により開裂する基とは、レジストパターンを製造するための現像工程において、アルカリ現像液の作用により開裂する基をいう。言い換えると、アルカリの作用により分解し、アルカリ可溶性基に変換する塩基解離性基をいう。
塩(I)を構成するカチオンは、現像工程において、アルカリ現像液と接触すると、この基が開裂して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する。
なお、本願でいう「開裂」とは、結合が切断されて複数の分子に分かれることを意味し、開環反応は含まれない。
【0076】
アルカリ現像液の作用により開裂する基は、式(Ba)で表される基又は式(Bb)で表される基であることが好ましい。
【化50】
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[式(Ba)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【化51】
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[式(Bb)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。]
【0077】
式(Ba)及び式(Bb)においては、フッ素原子を有するアルキル基は、上述したフッ化アルキル基と同様のものが挙げられ、例えば、1,1,1−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等が好ましい。
【0078】
例えば、式(Ba)で表される基は、アルカリの作用により開裂してヒドロキシ基を発生する。また、式(Bb)で表される基は、アルカリの作用により開裂してカルボキシ基を発生する。
【化52】
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【0079】
このような塩基解離性基を有する塩(I)を構成するカチオンは、以下の方法で、開裂したことを確認できる。
例えば、塩(I)を、溶剤に溶解し、アルカリ溶液を添加し、加熱する。これによって、塩基解離性基を、ヒドロキシ基又はカルボキシ基に変換させることができる。ヒドロキシ基又はカルボキシ基の確認方法としては、生成した化合物の酸性度測定、NMR測定及びMS測定などが挙げられる。
溶剤としては、ジメチルホルムアミドが好ましい。
アルカリとしては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
【0080】
塩(I)を構成するカチオンとしては、アルカリ現像液の作用により開裂する基を有する有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン及び有機ホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらの中でも、有機スルホニウムカチオン及び有機ヨードニウムカチオンが好ましく、アリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
【0081】
さらに好ましくは、塩(I)を構成するカチオンは、以下の式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表される有機カチオン(以下、場合により、各式の番号に応じて、「カチオン(b2−1)」、「カチオン(b2−2)」、「カチオン(b2−3)」及び「カチオン(b2−4)」という。〕が挙げられる。但し、アルカリ現像液の作用により開裂する基を置換基として、少なくとも一つ有する。
【0082】
【化53】
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【0083】
[式(b2−1)において、
b4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基を表す。該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基で置換されていてもよく、該飽和環状炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基で置換されていてもよい。また、Rb4とRb5が一緒になってヘテロ原子を有してもよい環を形成してもよい。但し、アルカリ現像液の作用により開裂する基を置換基として、少なくとも一つ有する。
【0084】
式(b2−2)において、
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基を表す。但し、アルカリ現像液の作用により開裂する基を置換基として、少なくとも一つ有する。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。m2が2以上の整数である場合、複数のRb7は互いに同一であっても異なっていてもよく、n2が2以上の整数である場合、複数のRb8は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0085】
式(b2−3)において、
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基を表す。
b11は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基を表す。
b9〜Rb11において、該アルキル基の炭素数は1〜12が好ましい。該脂環式炭化水素基の炭素数は4〜12が好ましい。
b12は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基を表し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基、炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基で置換されていてもよい。
b9とRb10、及び/又は、Rb11とRb12は、それぞれ独立に、互いに結合して、それらが結合している原子とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、これらの環に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
但し、アルカリ現像液の作用により開裂する基を置換基として、少なくとも一つ有する。
【0086】
式(b2−4)において、
b13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基を表す。
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2、及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上の整数である場合、複数のRb13は互いに同一であっても異なっていてもよく、p2が2以上の整数である場合、複数のRb14は互いに同一であっても異なっていてもよく、s2が2以上の整数である場合、複数のRb17は互いに同一であっても異なっていてもよく、t2が2以上の整数である場合、複数のRb18は互いに同一であっても異なっていてもよく、q2が2以上の整数である場合、複数のRb15は互いに同一であっても異なっていてもよく、r2が2以上の整数である場合、複数のRb16は互いに同一であっても異なっていてもよい。
但し、アルカリ現像液の作用により開裂する基を置換基として、少なくとも一つ有する。]
【0087】
b12におけるアルキルカルボニルオキシ基としては、すでに例示したアシル基と酸素原子とが結合したものである。
b9〜Rb12のアルキル基の好適例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基などである。
b9〜Rb11の脂環式炭化水素基の好適例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキル基及びイソボルニル基などである。
b12の芳香族炭化水素基の好適例は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基などである。
b12の芳香族炭化水素基とアルキル基が結合したものは、典型的にはアラルキル基である。
【0088】
b9とRb10との組み合わせが結合して形成する環としては例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
b11とRb12との組み合わせが結合して形成する環としては例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0089】
式(b2−1)〜式(b2−4)でそれぞれ表される有機カチオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたカチオンの誘導体が挙げられる。これらの中でも、カチオン(b2−1)、カチオン(b2−2)及びカチオン(b2−3)が好ましく、カチオン(b2−1)がより好ましい。以下、カチオン(b2−2)及びカチオン(b2−3)の具体例を挙げる。なお、カチオン(b2−1)の具体例はより好ましいカチオン(b2−1−1)の具体例を後述することにする。
【0090】
カチオン(b2−2)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0091】
カチオン(b2−3)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【化55】
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【0092】
上述のように、塩(I)を構成するカチオンの中では、カチオン(b2−1)が好ましく、トリアリールスルホニウムカチオン(但し、該カチオンを構成する三つのアリール基のうち少なくとも一つは、アルカリ現像液の作用により開裂する基を有する)がより好ましい。かかるトリアリールスルホニウムカチオンとしては、以下の式(b2−1−1)で表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1−1)」という。〕が挙げられる。
【化56】
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[式(b2−1−1)中、
b19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基を表す。また、Rb19〜Rb21から選ばれる2つが一緒になってヘテロ原子を有してもよい環を形成してもよい。
この脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜12であると好ましく、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数4〜18の脂環式炭化水素基がより好ましく、さらには置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基を有していてもよい。但し、アルカリ現像液の作用により開裂する基を置換基として、少なくとも一つ有する。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は同一でも異なっていてもよく、w2が2以上のとき、複数のRb20は同一でも異なっていてもよく、x2が2以上のとき、複数のRb21は同一でも異なっていてもよい。
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又はアルカリ現像液の作用により開裂する基である。但し、アルカリ現像液の作用により開裂する基を置換基として、少なくとも一つ有する。]
【0093】
b19〜Rb21のアルキル基は、炭素数1〜12の範囲が好ましく、当該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に置換されていてもよい。
また、Rb19〜Rb21の脂環式炭化水素基は、炭素数4〜18の範囲が好ましく、脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよい。
なかでも、Rb19〜Rb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0094】
カチオン(b2−1−1)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【化57】
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【0095】
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
【0096】
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0097】
以上、塩(I)を、それを構成する酸に不安定な基を有するアニオン及びアルカリ現像液の作用により開裂する基を有するカチオンに分けて説明したが、該塩(I)は、酸に不安定な基を有するアニオン及びアルカリ現像液の作用により開裂する基を有するカチオンの組合せである。これらアニオンとカチオンとは任意に組み合わせることができる。
この組み合わせを具体的に例示すると、例えば、表1〜表7記載のものが挙げられる。
【0098】
【表1】
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【0099】
【表2】
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【0100】
【表3】
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【0101】
【表4】
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【0102】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0103】
【表6】
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【0104】
【表7】
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【0105】
表1〜表7により、スルホン酸アニオン及び有機カチオンの組み合わせで示した塩(I)の中でも、さらに好ましい塩(I)を具体的に示すと、以下のとおりである。
【0106】
【化60】
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【0107】
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
【0108】
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【0109】
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
【0110】
塩(I)は、例えば、以下の方法及びそれに準じた方法によって製造することができる。なお、以下の式における置換基の定義は、上記と同義である。
例えば、式(IA)で表される塩を例にとって説明する。
【化64】
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[式中、Q、Q、W、RA3及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0111】
まず、式(IA−a)で表される化合物と式(IA−b)で表される化合物とを、塩基性触媒下で反応させることにより、式(IA−c)で表される塩を製造することができる。溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。塩基触媒としては、N−メチルピロリジン等が挙げられる。
【化65】
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式(IA−b)で表される化合物としては、ヘプタフルオロブチリルクロリドなどが挙げられる。
【0112】
式(IA−c)で表される塩と式(IA−d)で表される化合物とを、酸触媒の存在下、反応させることにより、式(IA−e)で表される塩を製造することができる。溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。酸触媒としては、塩酸などが挙げられる。
【化66】
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【0113】
式(IA−e)で表される塩と式(IA−f)で表される化合物とを反応させることにより、式(IA−g)で表される塩を得ることができる。
【化67】
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【0114】
式(IA−g)で表される塩と、式(IA−f)で表される化合物とを反応させることにより、式(IA)で表される塩を製造することができる。
溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
【化68】
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【0115】
また、式(IB)で表される塩を例にとって説明する。
【化69】
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[式中、Q、Q、W、RA3、L、W、R12、t及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0116】
式(IB−a)で表される化合物と式(IB−b)で表される化合物を塩基性触媒下で、反応させることにより、式(IB−c)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基触媒としては、ピリジン等が挙げられる。
【化70】
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[式中、X及びXは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。]
【0117】
式(IB−c)で表される化合物と式(IB−d)で表される化合物とを触媒下で反応させることにより、式(IB−e)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。触媒としては、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
【化71】
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【0118】
式(IB−e)で表される化合物と式(IA−g)で表される塩とを溶剤中で反応させることにより、式(IB)で表される塩を得ることができる。溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
【化72】
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【0119】
式(I)で表される基は、酸の作用により分解し、カルボン酸を発生することが好ましい。
式(Ia)で表される基を有する酸発生剤は、以下の方法で、酸の作用により分解し、アルカリ可溶基に変換したかどうか確認できる。
例えば、式(Ia)で表される基を有する酸発生剤を、溶剤に溶解し、酸添加後、加熱することにより、式(Ia)で表される基がカルボキシル基及びビニル化合物に変換する。
溶剤としては、ジメチルホルムアミドが好ましい。
酸としては、塩酸が好ましい。
【化73】
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[式中、RA3は、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、RA3’は、水素原子又は炭素数1〜11の炭化水素基を表す。]
【0120】
また、式(IC)で表される塩を例にとって説明する。
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、Q、Q、W02、RA4、v、w、W、RA3及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0121】
式(ID−a)で表される化合物と式(ID−b)で表される化合物を塩基性触媒下で、反応させることにより、式(ID−c)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基触媒としては、ピリジン等が挙げられる。
【化75】
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[式中、X及びXは、上記と同じ意味を表す。]
【0122】
式(IC−c)で表される化合物と式(IC−d)で表される化合物とを触媒下で反応させることにより、式(IC−e)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。触媒としては、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
【0123】
式(IC−e)で表される化合物と式(IA−g)で表される塩とを、溶剤中で反応させることにより、式(IC)で表される塩を得ることができる。溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
【化77】
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【0124】
また、式(ID)で表される塩を例にとって説明する。
【化78】
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[式中、Q、Q、W02、RA4、v、w、W、RA3及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0125】
式(ID−a)で表される化合物と式(ID−b)で表される化合物とを触媒下で反応させることにより、式(ID−c)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。触媒としては、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
【0126】
式(ID−c)で表される化合物と式(IA−g)で表される塩とを、溶剤中で反応させることにより、式(ID)で表される塩を得ることができる。溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
【化80】
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【0127】
また、式(IE)で表される塩を例にとって説明する。
【化81】
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[式中、Q、Q、W、RA3及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0128】
式(IE−a)で表される化合物と式(IE−b)で表される化合物を塩基性触媒下で、反応させることにより、式(IE−c)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基触媒としては、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【化82】
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【0129】
式(IE−c)で表される化合物を触媒下、分子内反応させることにより、式(IE−d)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。触媒としては、m−クロロ過安息香酸等が挙げられる。
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
【0130】
式(IE−d)で表される化合物と式(IA−g)で表される塩とを溶剤中で反応させることにより、式(IE)で表される塩を得ることができる。溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
【化84】
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【0131】
また、式(IF)で表される塩を例にとって説明する。
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、Q、Q、RA1’、RA2’、RA3’及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0132】
式(IF−a)で表される化合物と式(IF−b)で表される化合物とを塩基触媒の存在下、溶媒中で、反応させることにより、式(IF−c)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。塩基触媒としては、トリエチルアミン等が挙げられる。
【化86】
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式(IF−b)で表される化合物としては、以下で表される化合物などが挙げられる。
【化87】
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【0133】
また、式(IF−c)で表される化合物は、式(IF−a)で表される化合物と式(IF−b’)で表される化合物とを、酸触媒の存在下、溶媒中で、反応させることによっても得ることができる。溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。酸触媒としては、カンファースルホン酸等が挙げられる。
【化88】
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[上式中、RA1”は、RA1’で表されるアルキル基から水素原子を1つ除いたアルキリデン基を表す。]
式(IF−b’)で表される化合物としては、以下で表される化合物等が挙げられる。
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【0134】
式(IF−a)で表される化合物に替えて、式(IF−a1)で表される化合物を用いて上記反応を行った後、還元することによって式(IF−c)で表される化合物を得ることもできる。
【化90】
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【0135】
式(IF−d)で表される化合物と式(IA−g)で表される塩とを溶剤中で反応させることにより、式(IF)で表される塩を得ることができる。溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
【化91】
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【0136】
<塩(I)以外の酸発生剤>
本レジスト組成物は、単独種又は複数種の塩(I)を酸発生剤として含有することを特徴とするが、本レジスト組成物は、酸発生剤として、塩(I)以外の公知の酸発生剤をさらに含有していてもよい。塩(I)以外の酸発生剤としては、イオン性酸発生剤でも、非イオン性酸発生剤でもよいが、イオン性酸発生剤であると好ましい。該イオン性酸発生剤は、それを構成するカチオン及びアニオンがともに、塩(I)とは異なるものはもちろん、
塩(I)を構成する有機カチオンと同じカチオンと、塩(I)を構成するスルホン酸アニオン以外の公知のアニオンとの組み合わせからなるイオン性酸発生剤であっても、
塩(I)を構成するスルホン酸アニオンと同じアニオンと、塩(I)を構成する有機カチオン以外の公知のカチオンとの組み合わせからなるイオン性酸発生剤であってもよい。
以下、本レジスト組成物に含有される、塩(I)以外の酸発生剤を場合により、「酸発生剤(B)」という。
【0137】
酸発生剤(B)としては、例えば、式(B1−1)〜式(B1−24)で表されるものが挙げられる。中でもトリアリールスルホニウムカチオンを含むものが好ましく、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)、式(B1−14)、式(B1−18)、式(B1−19)、式(B1−20)、式(B1−21)、式(B1−22)、式(B1−23)及び式(B1−24)でそれぞれ表される塩がさらに好ましい。
【0138】
【化92】
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【0139】
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
【0140】
【化94】
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【0141】
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
【0142】
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
【0143】
<樹脂(A)>
樹脂(A)は上述のとおり、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる特性(以下、場合により「酸作用特性」という。)を有するものである。なお、「酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る」とは、「酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にはアルカリ水溶液に可溶となる」ことを意味する。
【0144】
酸作用特性を有する樹脂(A)は、その分子内に酸に不安定な基(以下、場合により「酸不安定基」という。)を有する。このような樹脂(A)は、酸不安定基を有するモノマー(以下、このモノマーを場合により「モノマー(a1)」といい、該モノマー(a1)由来の構造単位を「構造単位(a1)」という。)を重合することによって製造できる。酸作用特性を有する樹脂(A)を製造する際には、モノマー(a1)を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0145】
<酸不安定基>
「酸不安定基」とは、酸と接触すると脱離基が開裂して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸不安定基としては、例えば、式(1)で表される基(酸不安定基(1))、式(2)で表される基(酸不安定基(2))などが挙げられる。
【化97】
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[式(1)中、
a1、Ra2及びRa3(Ra1〜Ra3)は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]
【0146】
【化98】
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[式(2)中、
a1’及びRa2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置き換わってもよい。*は結合手を表す。]
【0147】
酸不安定基(1)のRa1〜Ra3のアルキル基及び脂環式炭化水素基は、各々の炭素数の範囲において、すでに例示したものを含む。ただし、該脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜16の範囲である。
【0148】
a1及びRa2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合とは、−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)で表される基が、以下のいずれかの基となる場合である。該2価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜12の範囲である。
【化99】
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【0149】
酸不安定基(1)としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブチルオキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2が結合することで、アダマンタン環を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0150】
酸不安定基(2)のRa1’及びRa2’の炭化水素基は、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基などである。これらの基もすでに例示したもののうち、炭素数20以下の範囲で同じものを含む。ただし、Ra1’及びRa2’のうち少なくとも1つは水素原子であると好ましい。
【0151】
酸不安定基(2)の具体例としては、以下の基が挙げられる。
【化100】
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【0152】
モノマー(a1)は、酸不安定基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマーが好ましく、酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーがより好ましい。
【0153】
なかでも、酸不安定基(1)及び/又は酸不安定基(2)を有するモノマー(a1)が好ましく、酸不安定基(1)及び/又は酸不安定基(2)を有する(メタ)アクリル系モノマーがより好ましい。
【0154】
酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するモノマー(a1)が好ましい。このようなモノマー(a1)を用いて得られる樹脂(A)は、脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有するものとなるので、該樹脂(A)を含有する本レジスト組成物の解像度が一層良好となる傾向がある。
【0155】
<好適な構造単位(a1)>
かかる脂環式炭化水素基を有するモノマー(a1)を用いて得られる好適な構造単位(a1)を有する樹脂(A)について、さらに詳述する。該樹脂(A)の中でも、式(a1−1)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a1−1)」という。)又は式(a1−2)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a1−2)」という。)を有する樹脂(A)が好ましい。かかる樹脂(A)には、構造単位(a1−1)を単独種で有していてもよく、複数種有していてもよく、構造単位(a1−2)を単独種で有していてもよく、複数種有していてもよく、構造単位(a1−1)と構造単位(a1−2)とを合わせて有していてもよい。
【化101】
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[式(a1−1)中、
a1は、酸素原子又は*−O−(CHk1−CO−O−(k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基との結合手を表す。)で表される基を表す。
a4は、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
式(a1−2)中、
a2は、酸素原子又は*−O−(CHk1−CO−O−(k1は前記と同義である。)で表される基を表す。
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
a7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0156】
a1及びLa2は、好ましくは、−O−又は*−O−(CHk1−CO−O−であり、La1及びLa2は、好ましくは、酸素原子又は、k1が1〜4の整数である*−O−(CHk1−CO−O−で表される基であり、より好ましくは酸素原子又は*−O−CH−CO−O−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7の脂肪族炭化水素基のうち、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基であり、この炭素数の上限以下の範囲で、すでに例示したものと同じものを含む。Ra6及びRa7の脂肪族炭化水素基はそれぞれ独立に、好ましくは炭素数8以下のアルキル基又は炭素数8以下の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数6以下のアルキル基又は炭素数6以下の脂環式炭化水素基である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は、好ましくは0又は1である。
【0157】
構造単位(a1−1)としては、以下の式(a1−1−1)〜式(a1−1−8)のいずれかで表される構造単位が好ましく、式(a1−1−1)〜(a1−1−4)のいずれかで表される構造単位がより好ましい。
【化102】
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【0158】
これらの構造単位(a1−1)を誘導し得るモノマー(a1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたものなどが挙げられる。
【0159】
一方、構造単位(a1−2)としては、以下の式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)のいずれかで表される構造単位が好ましい。これらのなかでも、式(a1−2−3)、(a1−2−4)及び式(a1−2−9)、式(a1−2−10)のいずれかで表される構造単位がより好ましく、式(a1−2−3)又は式(a1−2−9)で表される構造単位がさらに好ましい。
【化103】
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【0160】
構造単位(a1−2)を誘導し得るモノマー(a1)としては、例えば、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート及び1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0161】
樹脂(A)が構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を有する場合、これらの合計含有割合は、該樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲が一層好ましく、20〜60モル%の範囲が特に好ましい。また、構造単位(a1)として、アダマンチル基を有する構造単位(a1)(特に好ましくは、構造単位(a1−1))を有する場合には、樹脂(A)中の構造単位(a1)の合計(100モル%)に対して、アダマンチル基を有する構造単位(a1)が15モル%以上であることが好ましい。このような含有割合で、アダマンチル基を有する構造単位(a1)を有する樹脂(A)は、該樹脂(A)を含有するレジスト組成物から製造されるレジストパターンのドライエッチング耐性が良好となる傾向がある。なお、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)の合計含有割合を、上述の範囲にするためには、樹脂(A)を製造する際に、全モノマーの使用量に対する、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマーの使用量を調整すればよい。
【0162】
樹脂(A)が有する構造単位のうち、該樹脂(A)が酸作用特性を有するうえで好ましい構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)について詳述したが、これらの中でも構造単位(a1−1)を樹脂(A)が有していると特に好ましい。
【0163】
樹脂(A)は、好適な構造単位(a1)である構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)以外の構造単位(a1)を有していてもよい。以下、構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)以外の構造単位(a1)を、当該構造単位(a1)を誘導するモノマー(a1)を示すことで説明する。
【0164】
樹脂(A)は、以下の式(a1−3)で表されるモノマー(以下、場合により「モノマー(a1−3)」という。)に由来する構造単位(a1)を有していてもよい。該モノマー(a1−3)に由来する構造単位(a1)を有する樹脂(A)は、その主鎖に剛直なノルボルナン環を含むものとなるので、このような樹脂(A)を含有する本レジスト組成物は、ドライエッチング耐性に優れたレジストパターンを製造できる傾向がある。
【化104】
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[式(a1−3)中、
a9は、水素原子、置換基(例えばヒドロキシ基)を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基、シアノ基、又は−COORa13で表される基を表し、Ra13は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子はヒドロキシ基などで置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。Ra10、Ra11及びRa12は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基を表すか、或いはRa10及びRa11は互いに一緒になってこれらが結合している炭素原子と共に環を形成する。該脂肪族炭化水素基及に含まれる水素原子はヒドロキシ基などで置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。]
【0165】
a9の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基は典型的には、置換基を有していてもよいアルキル基であり、かかるアルキル基のうち、置換基を有さないアルキル基は、その炭素数が1〜8の範囲ですでに例示したものを含む。置換基、特にヒドロキシ基を有する脂肪族炭化水素基(アルキル基)としては例えば、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などである。Ra13としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基及び2−オキソ−オキソラン−4−イル基などが挙げられる。
【0166】
a10〜Ra12の脂肪族炭化水素基も典型的には、アルキル基であり、その具体例はRa9の場合と同じである。Ra10とRa11とが一緒になってこれらが結合する炭素原子とともに形成される環は、シクロへキサン環及びアダマンタン環などである。
【0167】
モノマー(a1−3)としては例えば、特開2010−204646号公報に記載されたものが用いられる。これらの中でも、以下の式(a1−3−1)〜式(a1−3−4)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a1−3−2)又は(a1−3−4)で表されるモノマーがより好ましく、式(a1−3−2)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【化105】
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【0168】
樹脂(A)が、モノマー(a1−3)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0169】
樹脂(A)は以下の式(a1−4)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−4)」という場合がある。)に由来する構造単位(a1)を有していてもよい。
【化106】
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[式(a1−4)中、
10は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
は0〜4の整数を表す。
11は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、lが2以上である場合、複数のR11は互いに同一であっても異なってもよい。
12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
a2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基又は単結合を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は−N(R)−(ただし、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す)で表される基に置き換わっていてもよい。
a3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表す。]
【0170】
「ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基」のうち、アルキル基としては、炭素数が1〜6の範囲ですでに例示したものを含む。ハロゲン原子を有するアルキル基としては、フッ素原子を有するアルキル基が好ましく、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基及びペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、R10としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0171】
11のアルコキシ基は、炭素数1〜6の範囲において、すでに例示したものを含むが、中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
11のアシル基及びアシルオキシ基も、その炭素数が2〜4の範囲において、すでに例示したものを含む。
12及びR13の炭化水素基は、その炭素数が1〜12の範囲において、Ya3の炭化水素基は、その炭素数が1〜18の範囲において、すでに例示した脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれかを含む。
a2の脂肪族炭化水素基は2価の鎖式炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基又は、鎖式炭化水素基と脂環式炭化水素基とが組み合わさった2価の基であり、炭素数1〜17の範囲ですでに例示した基を適宜組み合わせた基を挙げることができる。
【0172】
モノマー(a1−4)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、以下の式(a1−4−1)〜式(a1−4−7)のいずれかで表されるいずれかのモノマーが好ましく、式(a1−4−1)〜式(a1−4−5)のいずれかで表されるモノマーがより好ましい。
【化107】
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【0173】
樹脂(A)がモノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲が特に好ましい。
【0174】
他のモノマー(a1)としては、例えば、酸不安定基(2)を有する(メタ)アクリル系モノマーである式(a1−5)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−5)」という場合がある)を用いてもよい。
【化108】
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[式(a1−5)中、
31は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
〜Lは、オキシ基、チオキシ基又は*−O−(CHk1−CO−O−で表される基を表す。ここで、k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基中に含まれるメチレン基は、オキシ基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
s1及びs2は、それぞれ独立して、0〜4の整数を表す。]
【0175】
式(a1−5)においては、R31は、水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基が好ましい。
は、酸素原子が好ましい。
及びLは、一方が酸素原子、他方が硫黄原子であると好ましい。
s1は、1が好ましい。
s2は、0〜2の整数が好ましい。
は、単結合又は−CH−CO−O−が好ましい。
【0176】
モノマー(a1−5)としては、以下のモノマーが挙げられる。
【化109】
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【0177】
樹脂(A)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜95モル%の範囲が好ましく、3〜90モル%の範囲がより好ましく、5〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0178】
<酸安定構造単位>
樹脂(A)は、酸不安定基を含む構造単位(a1)に加え、酸不安定基を有さない構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位」といい、該酸安定構造単位を誘導し得るモノマーを、「酸安定モノマー」という。)を有していると好ましい。該樹脂(A)中、酸安定構造単位は1種のみを有していてもよく、複数種を有していてもよい。
【0179】
樹脂(A)が酸安定構造単位を有する場合、構造単位(a1)の含有割合を基準にして、酸安定性構造単位の含有割合を定めるとよい。構造単位(a1)の含有割合と酸安定性構造単位の含有割合との比は、〔構造単位(a1)〕/〔酸安定構造単位〕で表して、好ましくは10〜80モル%/90〜20モル%であり、より好ましくは20〜60モル%/80〜40モル%である。このようにすると、樹脂(A)を含有する本レジスト組成物から得られるレジストパターンのドライエッチング耐性がより一層良好になる傾向がある。
【0180】
次に、酸安定構造単位のうち、好ましいものを説明する。
酸安定構造単位は、ヒドロキシ基又はラクトン環を有する構造単位が好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位(a2)」という。)及び/又はラクトン環を有する酸安定構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位(a3)」という。)を有する樹脂(A)は、当該樹脂(A)を含有する本レジスト組成物を基板に塗布したとき、基板上に形成される塗布膜、又は塗布膜から得られる組成物層が基板との間に優れた密着性を発現し易くなり、この本レジスト組成物は良好な解像度で、レジストパターンを製造することができる。なお、ここでいう本レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法に関しては後述する。まず、酸安定構造単位として好適な、酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)に関して具体例を挙げつつ説明する。
【0181】
<酸安定構造単位(a2)>
酸安定構造単位(a2)を樹脂(A)に導入する場合、当該樹脂(A)を含有する本レジスト組成物からレジストパターンを製造する際の露光源の種類によって、各々、好適な酸安定構造単位(a2)を選択することができる。すなわち、本レジスト組成物を、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)を露光源とする露光、電子線あるいはEUV光などの高エネルギー線を露光源とする露光に用いる場合には、酸安定構造単位(a2)として、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位(a2−0)を樹脂(A)に導入することが好ましい。短波長のArFエキシマレーザ(波長:193nm)を露光源とする露光を用いる場合は、酸安定構造単位(a2)として、後述の式(a2−1)で表される酸安定構造単位を樹脂(A)に導入することが好ましい。このように、樹脂(A)が有する酸安定構造単位(a2)は各々、レジストパターンを製造する際の露光源によって好ましいものを選ぶことができるが、樹脂(A)が有する酸安定構造単位(a2)は、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)1種のみを有していてもよく、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)2種以上を有していてもよく、或いは、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)と、それ以外の酸安定構造単位(a2)とを組み合わせて有していてもよい。
【0182】
酸安定構造単位(a2)の具体例の1つは、以下の式(a2−1)で表されるもの(以下、場合により「酸安定構造単位(a2−1)」という。)である。
【化110】
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[式(a2−1)中、
a3は、酸素原子又は*−O−(CHk2−CO−O−(k2は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手を表す。)で表される基を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。]
【0183】
a3は、好ましくは、酸素原子又は、k2が1〜4の整数である−O−(CHk2−CO−O−で表される基であり、より好ましくは、酸素原子又は、−O−CH−CO−O−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0184】
酸安定構造単位(a2−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【化111】
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【0185】
以上、例示した酸安定構造単位(a2−1)は、例えば、特開2010−204646号公報に記載された酸安定モノマーから誘導される。これらの中でも、式(a2−1−1)〜式(a2−1−6)のいずれかで表される酸安定構造単位がより好ましく、式(a2−1−1)又は(a2−1−3)で表される酸安定構造単位がさらに好ましい。
【0186】
樹脂(A)が酸安定構造単位(a2−1)を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜45モル%の範囲が好ましく、1〜40モル%の範囲がより好ましく、2〜35モル%の範囲がさらに好ましい。
【0187】
次に、ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位のうち、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位について説明する。該酸安定構造単位は、以下の式(a2−0)で表されるもの(以下、場合により「酸安定構造単位(a2−0)」という。)が好ましい。
【化112】
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[式(a2−0)中、
a30は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRa31は同一でも異なっていてもよい。]
【0188】
a30の「ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基」における「炭素数1〜6のアルキル基」の具体例は、炭素数がこの範囲において、すでに例示したものを含む。「ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のアルキル基」とは、該炭素数1〜6のアルキル基に含まれる水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換されたものである。なお、ハロゲン原子の具体例もすでに説明したとおりである。これらのうち、Ra30は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a31のアルコキシ基の具体例は、炭素数1〜6の範囲で、すでに例示したものを含む。これらのうち、Ra31は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
【0189】
酸安定構造単位(a2−0)の中でも、以下の式(a2−0−1)〜式(a2−0−4)のいずれかで表されるものが好ましい。かかる構造単位を誘導し得る酸安定モノマーは、例えば、特開2010−204634号公報に記載されている。
【化113】
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【0190】
p−ヒドロキシスチレンやp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンといった酸安定構造単位(a2−0)を誘導し得る酸安定モノマー[以下、場合により「酸安定モノマー(a2)」という。]を、樹脂(A)製造に用いることにより、式(a2−0−1)又は式(a2−0−2)で表される酸安定構造単位を、樹脂(A)に導入することができるが、該酸安定モノマー(a2)にあるフェノール性ヒドロキシ基を例えば、アセチル基のような保護基で保護し、保護化酸安定モノマー(a2)とした後、この保護化酸安定モノマー(a2)を用いて樹脂(A)を製造することもできる。保護化酸安定モノマー(a2)に由来する構造単位を有する樹脂を脱保護処理して、保護基を脱離することにより、酸安定構造単位(a2−0)を有する樹脂(A)を製造できる。ただし、脱保護処理を実施する際には、他の構造単位(a1)を著しく損なわないようにして、該脱保護処理を実施する必要がある。
【0191】
樹脂(A)が酸安定構造単位(a2−0)を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜85モル%の範囲がより好ましく、15〜80モル%の範囲がさらに好ましい。
【0192】
<酸安定構造単位(a3)>
酸安定構造単位(a3)が有するラクトン環は例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環及びδ−バレロラクトン環のような単環式でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
【0193】
酸安定構造単位(a3)は好ましくは、以下の式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表されるものである。樹脂(A)は、これらのうち1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。なお、以下の説明においては、式(a3−1)で示されるものを「酸安定構造単位(a3−1)」といい、式(a3−2)で示されるものを「酸安定構造単位(a3−2)」といい、式(a3−3)で示されるものを「酸安定構造単位(a3−3)」という。
【化114】
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[式(a3−1)中、
a4は、酸素原子又は*−O−(CHk3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a18は、水素原子又はメチル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a21は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、p1が2以上の場合、複数のRa21は同一でも異なっていてもよい。
式(a3−2)中、
a5は、酸素原子又は*−O−(CHk3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
q1は、0〜3の整数を表す。
a22は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、q1が2以上の場合、複数のRa22は同一でも異なっていてもよい。
式(a3−3)中、
a6は、酸素原子又は*−O−(CHk3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a20は、水素原子又はメチル基を表す。
r1は、0〜3の整数を表す。
a23は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、r1が2以上の場合、複数のRa23は同一でも異なっていてもよい。]
【0194】
式(a3−1)〜式(a3−3)において、La4〜La6は、式(a2−1)のLa3で説明したものと同じものが挙げられる。
a4〜La6は、それぞれ独立に、酸素原子又は、k3が1〜4の整数である*−O−(CHk3−CO−O−で表される基が好ましく、酸素原子及び、*−O−CH−CO−O−がより好ましく、さらに好ましくは酸素原子である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。なお、p1が2である場合、2つのRa21は互いに同一でも異なっていてもよく、q1が2である場合、2つのRa22は互いに同一でも異なっていてもよく、r1が2である場合、2つのRa23は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0195】
以下、酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)の各々の好適例を示す。
【0196】
酸安定構造単位(a3−1)の好適例は、以下の式(a3−1−1)〜式(a3−1−4)のいずれかで表されるものである。
【化115】
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【0197】
酸安定構造単位(a3−2)の好適例は、以下の式(a3−2−1)〜式(a3−2−4)のいずれかで表されるものである。
【化116】
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【0198】
酸安定構造単位(a3−3)の好適例は、以下の式(a3−3−1)〜式(a3−3−4)のいずれかで表されるものである。
【化117】
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【0199】
酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)は、特開2010−204646号公報に記載された酸安定モノマーにより誘導できる。上記の酸安定構造単位(a3)の具体例の中でも、式(a3−1−1)、式(a3−1−2)、式(a3−2−3)、式(a3−2−4)のいずれかで表される酸安定構造単位がより好ましく、式(a3−1−1)又は式(a3−2−3)で表される酸安定構造単位がさらに好ましい。
【0200】
樹脂(A)が、酸安定構造単位(a3)を有する場合、その含有割合は、該樹脂(A)の全構造単位に対して、5〜70モル%の範囲が好ましく、10〜65モル%の範囲がより好ましく、10〜60モル%の範囲がさらに好ましい。
【0201】
<その他の酸安定構造単位>
樹脂(A)が有する酸安定構造単位として、好適な酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)を説明したが、当該樹脂(A)は酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)以外の酸安定構造単位を有していてもよい。ここで、酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)以外の酸安定構造単位(a4)という。以下、この酸安定構造単位(a4)を、当該酸安定構造単位(a4)を誘導し得る酸安定モノマー(以下、場合により「酸安定モノマー(a4)」という。)を示すことで説明する。
【0202】
酸安定モノマー(a4)の具体例は例えば、以下の式(a4−1)で表されるモノマー(以下、場合により「モノマー(a4−1)」という。)である。このモノマー(a4−1)は、後述するように、フッ素原子を有するものであると好ましい。
【化118】
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[式(a4−1)中、
a41は、炭素数1〜12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の1価の芳香族炭化水素基を表し、該1価の脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。Aa41は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基又は式(a−g1)
【化119】
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(式(a−g1)中、
sは0又は1を表す。
a42及びAa44は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表す。
a43は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は単結合を表す。
a41及びXa42は、それぞれ独立に、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
ただし、Aa42、Aa43、Aa44、Xa41及びXa42の炭素数の合計は6以下である。)
で表される基を表す。
a42は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基は部分的に、炭素炭素不飽和結合を有していてもよいが、炭素炭素不飽和結合を有さない脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。該脂肪族飽和炭化水素基としては、アルキル基(当該アルキル基は直鎖でも分岐していてもよい)及び脂環式炭化水素基、並びに、アルキル基及び脂環式炭化水素基を組み合わせた脂肪族炭化水素基などが挙げられる。]
【0203】
a41の脂肪族炭化水素基のうち、アルキル基と及び芳香族炭化水素基は、その炭素数がそれぞれの範囲ですでに例示したものを含む。
【0204】
また、Ra42の脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよいが、Ra42は置換基を有する脂肪族炭化水素基であると好ましい。かかる置換基としては、ハロゲン原子及び式(a−g3)で表される基が好ましい。
【化120】
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[式(a−g3)中、
a43は、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
a45は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜17の脂肪族炭化水素基を表す。]
【0205】
つまり、Ra42は、以下の式(a−g2)で表される基であることが好ましい。
【化121】
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[式(a−g2)中、
a46は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜17の脂肪族炭化水素基を表す。
a44は、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
a47は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜17の脂肪族炭化水素基を表す。
ただし、Aa46、Aa47及びXa44の炭素数の合計は18以下である。]
【0206】
好適なRa42である、ハロゲン原子及び式(a−g3)で表される基からなる群より選ばれる置換基を有する脂肪族炭化水素基(式(a−g2)で表される基)について詳述する。
【0207】
まず、ハロゲン原子を有する脂肪族炭化水素基について説明する。かかる脂肪族炭化水素基は典型的には、ハロゲン原子を有するアルキル基、及びハロゲン原子を有する脂環式炭化水素基(好ましくは、ハロゲン原子を有するシクロアルキル基)である。ハロゲン原子を有するアルキル基とは、該アルキル基を構成する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子に置換されたものである。同様に、ハロゲン原子を有する脂環式炭化水素基とは、該脂環式炭化水素基を構成する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子に置換されたものである。ハロゲン原子を有するアルキル基及びハロゲン原子を有する脂環式炭化水素基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、或いはこれらを組み合わせた形式でもよいが、フッ素原子が特に好ましい。
【0208】
a42が、フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であるモノマー(a4−1)を、Aa41が好ましいエチレン基である場合の具体例で示すと、以下の式(a4−1−1)〜式(a4−1−22)で表されるモノマー(a4−1)が挙げられる。
【化122】
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【0209】
【化123】
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【0210】
a42がハロゲン原子を有する脂肪族炭化水素基である場合、アルキル基を構成する水素原子の全部がフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基や、シクロアルキル基を構成する水素原子の全部がフッ素原子に置換されたペルフルオロシクロアルキル基がより好ましい。Ra42が、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロシクロアルキル基であるモノマー(a4−1)は、上述の具体例の中では、式(a4−1−3)、式(a4−1−4)、式(a4−1−7)、式(a4−1−8)、式(a4−1−11)、式(a4−1−12)、式(a4−1−15)、式(a4−1−16)、式(a4−1−19)、式(a4−1−20)、式(a4−1−21)及び式(a4−1−22)のいずれかで表されるものが該当する。さらに、Ra42はペルフルオロアルキル基が好ましく、当該ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基及びペルフルオロオクチル基などが例示される。さらに好ましくは、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基であり、特に好ましくは、炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基である。
【0211】
a42が、式(a−g3)で表される基を有する脂肪族炭化水素基である場合を、次に説明する。この脂肪族炭化水素基には、式(a−g3)で表される基を1個又は複数個有していてもよいが、式(a−g3)で表される基に含まれる炭素原子の数を含めて、脂肪族炭化水素基の総炭素数は、15以下が好ましく、12以下がより好ましい。このような好ましい総炭素数を満たすためには、式(a−g3)で表される基を1個有する基がRa42として好ましい。
【0212】
a42が、式(a−g2)で表される基を1個有する脂肪族炭化水素基であるモノマー(a4−1)は具体的には、以下の式(a4−1’)で表されるもの(以下、場合により「モノマー(a4−1’)」という)である。
【化124】
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[式(a4−1’)中、すべての符号はいずれも、前記と同義である。]
【0213】
モノマー(a4−1’)において、Aa46及びAa47はともにハロゲン原子を有することもあるが、Aa46が、ハロゲン原子を有する脂肪族炭化水素基であるか、または、Aa47が、ハロゲン原子を有する脂肪族炭化水素基であると好ましい。さらには、Aa46がハロゲン原子を有する脂肪族炭化水素基であると好ましく、中でも、Aa46はフッ素原子を有するアルカンジイル基であると一層好ましく、ペルフルオロアルカンジイル基であると特に好ましい。なお、この「ペルフルオロアルカンジイル基」とは、水素原子の全部がフッ素原子に置換されたアルカンジイル基をいう。
【0214】
a46がペルフルオロアルカンジイル基である化合物(a4−1’)を、Aa41がエチレン基である場合で例示すると、以下の式(a4−1’−1)〜式(a4−1’−22)で表されるモノマー(a4−1’)が挙げられる。
【化125】
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【0215】
【化126】
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【0216】
a46及びAa47は炭素数の合計が17以下である範囲で、任意に選択されるが、Aa46の炭素数は1〜6の範囲が好ましく、1〜3の範囲がさらに好ましい。
一方、Aa47の炭素数は4〜15の範囲が好ましく、5〜12の範囲がさらに好ましい。特に好ましいA14は、炭素数6〜12の脂環式炭化水素基であり、当該脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基及びアダマンチル基が特に好ましい。
【0217】
a46及びAa47の組み合わせのうち、より好ましいものを、*−Aa46−Xa44−Aa47で表される部分構造(*はカルボニル基との結合てである)で表すと、以下の構造が挙げられる。
【化127】
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このような構造を有するモノマー(a4−1’)は、前記の具体例の中では、式(a4−1’−9)〜式(a4−1’−20)で表される化合物が該当する。
【0218】
樹脂(A)が、モノマー(a4−1)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜20モル%の範囲が好ましく、2〜15モル%の範囲がより好ましく、3〜10モル%の範囲がさらに好ましい。
【0219】
以上、樹脂(A)が有する構造単位(a1)として好適な構造単位(a1−1)、構造単位(a1−2)、及びその他の構造単位(a1)、ならびに、酸安定構造単位として好適な酸安定構造単位(a2)、酸安定構造単位(a3)及び酸安定構造単位(a4)について詳述したが、これら以外の構造単位を有していてもよく、かかる構造単位としては、当技術分野で周知の構造単位を挙げることができる。また、ここでは、分子内に酸不安定基を有する樹脂(A)を説明したが、本レジスト組成物には、樹脂(A)以外に、酸不安定基を有さない樹脂を含有していてもよい。
【0220】
<樹脂(A)の製造方法>
樹脂(A)は、構造単位(a1)を誘導するモノマー(a1)を、さらに好ましくは、該モノマー(a1)と、酸安定モノマーとを共重合させたものであり、より好ましくは、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマー(a1)と、酸安定構造単位(a2)及び/又は酸安定構造単位(a3)を誘導する酸安定モノマーとを共重合させたものである。なお、本レジスト組成物を例えば、EUV露光用とするうえでは、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマー(a1)と、酸安定構造単位(a2−0)を誘導する酸安定モノマーとを共重合させたものを挙げることができる。
樹脂(A)は、構造単位(a1)として、アダマンチル基を有する構造単位(a1−1)を有することがさらに好ましい。樹脂(A)は、上述したようなモノマーを公知の重合法(例えばラジカル重合法)に供し、重合(共重合)することにより製造できる。
【0221】
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下)である。なお、ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである。この分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
【0222】
<塩基性化合物(C)>
本レジスト組成物は、塩基性化合物(C)を含有していると好ましい。かかる塩基性化合物(C)は当技術分野でクエンチャーと呼ばれるものである。塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物及び式(C1−1)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0223】
【化128】
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[式(C1)中、
c1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0224】
【化129】
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[式(C1−1)中、
c2及びRc3は、前記と同義である。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は、互いに同一でも異なってもよい。]
【0225】
【化130】
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[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、
c5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同義である。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は、互いに同一でも異なってもよい。]
【0226】
【化131】
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[式(C5)及び式(C6)中、
c10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同義である。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同義である。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のRc14は互いに同一でも異なってもよい。p3が2以上であるとき、複数のRc15は互いに同一でも異なってもよい。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0227】
【化132】
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[式(C7)及び式(C8)中、
c18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同義である。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18は互いに同一でも異なってもよい。r3が2以上であるとき、複数のRc19は互いに同一でも異なってもよい。s3が2以上であるとき、複数のRc20は互いに同一でも異なってもよい。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0228】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなどが挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0229】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジンなどが挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリンなどが挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール及び4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン及び4−メチルピリジンなどが挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン及びビピリジンなどが挙げられる。
【0230】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリンなどが挙げられる。
【0231】
<溶剤(D)>
本レジスト組成物は、溶剤(D)を含有してもよい。溶剤(D)は、塩(I)や樹脂(A)などの種類及びその量に応じ、さらに後述するレジストパターンの製造において、基板上に本レジスト組成物を塗布する際の塗布性が良好となるという点から適宜、最適なものを選ぶことができる。
【0232】
溶剤(D)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。溶剤(D)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0233】
<その他の成分>
本レジスト組成物は、塩(I)を含む酸発生剤及び樹脂(A)、好ましくは、塩(I)を含む酸発生剤、樹脂(A)並びに必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)及び溶剤(D)を含有するものであるが、必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)及び溶剤(D)以外の構成成分を含有していてもよい。この構成成分を「成分(F)」という。かかる成分(F)としては、本技術分野で公知の添加剤であり、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料などである。
【0234】
<本レジスト組成物の調製方法>
続いて、本レジスト組成物の調製方法を説明する。
本レジスト組成物は、塩(I)及び樹脂(A)並びに必要に応じて用いられる溶剤(D)、酸発生剤(B)、塩基性化合物(C)及び/又は成分(F)を混合することで調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂(A)などの種類や樹脂(A)などの溶剤(D)に対する溶解度などに応じて適切な温度範囲を選べばよく、混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間が好ましい。なお、混合手段は特に限定されず、攪拌混合などを用いることができる。
【0235】
本レジスト組成物における酸発生剤の含有割合は、本レジスト組成物の固形分に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下であり、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。なお、ここでいう固形分とは、本レジスト組成物から溶剤(D)を取り除いたものの合計をいう。該固形分は、本レジスト組成物を液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどの分析に供することにより求めることができる。
【0236】
塩(I)の含有量は、酸発生剤全量100質量部に対して、好ましくは、10質量部以上であり、より好ましくは30質量部以上である。本レジスト組成物には、実質的に塩(I)のみを酸発生剤として用いることもできる。なお、塩(I)以外の酸発生剤としては前記酸発生剤(B)が好ましいものである。
【0237】
本レジスト組成物における樹脂(A)の含有割合は、本レジスト組成物の固形分を基準に好ましい範囲が定められる。具体的は、該固形分の質量を基準として、樹脂(A)は80質量%以上であることが好ましい。
【0238】
本レジスト組成物に塩基性化合物(C)を含有させる場合、その含有割合は、本レジスト組成物の固形分に対して、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0239】
本レジスト組成物中の溶剤(D)の含有割合は、本レジスト組成物の総質量に対して、90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。
【0240】
本レジスト組成物に成分(F)を含有させる場合、該成分(F)の種類に応じて、適切な含有量を定めることができる。
【0241】
このように、塩(I)を含む酸発生剤及び樹脂(A)並びに必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)、溶剤(D)又は成分(F)の各々を好ましい含有量で混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過などすることにより、本レジスト組成物は調製できる。
【0242】
<レジストパターンの製造方法>
本レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法を具体的に示すと、
(1)本レジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程
を含む方法を挙げることができる。以下、ここに示す工程の各々を、「工程(1)」〜「工程(5)」のようにいう。
【0243】
工程(1)における本レジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーター等、半導体の微細加工のレジスト材料塗布用として広く用いられている塗布装置によって行うことができる。かくして基板上にレジスト組成物からなる塗布膜が形成される。当該塗布装置の条件(塗布条件)を種々調節することで、該塗布膜の膜厚は調整可能であり、適切な予備実験等を行うことにより、所望の膜厚の塗布膜になるように塗布条件を選ぶことができる。本レジスト組成物を塗布する前の基板は、微細加工を実施しようとする種々のものを選ぶことができる。なお、本レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜の形成には例えば、市販の有機反射防止膜用組成物を用いることができる。
【0244】
工程(2)においては、基板上に塗布された本レジスト組成物、すなわち塗布膜から溶剤(D)を除去する。このような溶剤除去は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段(いわゆるプリベーク)、又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて、該塗布膜から溶剤を蒸発させることにより行われる。加熱手段や減圧手段の条件は、本レジスト組成物に含まれる溶剤(D)の種類等に応じて選択でき、例えばホットプレートの場合、該ホットプレートの表面温度を50〜200℃程度の範囲にすることが好ましい。また、減圧手段では、適当な減圧機の中に、塗布膜が形成された基板を封入した後、該減圧機の内部圧力を1〜1.0×10Pa程度にすればよい。かくして塗布膜から溶剤を除去することにより、該基板上には組成物層が形成される。
【0245】
工程(3)は該組成物層を露光する工程であり、好ましくは、露光機を用いて該組成物層を露光するものである。この際には、微細加工を実施しようとする所望のパターンが形成されたマスク(フォトマスク)を介して露光が行われる。露光機の露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、Fエキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。また、該露光機は液浸露光機であってもよい。また、露光機は、電子線、超紫外光(EUV)を照射するものであってもよい。本明細書において、これらの放射線を照射することを総称して「露光」という場合がある。露光光源が電子線の場合は、フォトマスクを使用せずに、所望のパターンを直接描画してもよい。
【0246】
上述のとおり、マスクを介して露光することにより、該組成物層には露光された部分(露光部)及び露光されていない部分(未露光部)が生じる。露光部の組成物層では該組成物層に含まれる塩(I)及び酸発生剤(B)が露光エネルギーを受けて酸を発生し、さらに発生した酸との作用により、「アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂」が有する樹脂(A)にある酸不安定基が脱保護反応により親水性基を生じ、結果として露光部の組成物層にある上記樹脂(A)はアルカリ水溶液に可溶なものとなる。一方、未露光部では露光エネルギーを受けていないため、上記樹脂(A)はアルカリ水溶液に対して不溶又は難溶のままとなる。かくして、露光部にある組成物層と未露光部にある組成物層とは、アルカリ水溶液に対する溶解性が著しく相違するため、アルカリ水溶液による現像によりレジストパターンを形成することができる。
【0247】
工程(4)においては、露光部で生じうる脱保護基反応を、さらにその進行を促進するための加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)が行われる。かかる加熱処理は前記工程(2)で示したホットプレートを用いる加熱手段等が好ましい。なお、工程(4)におけるホットプレート加熱を行う場合、該ホットプレートの表面温度は50〜200℃程度が好ましく、70〜150℃程度がより好ましい。加熱処理により、上記脱保護反応が促進される。
【0248】
工程(5)は、加熱後の組成物層を、通常、現像装置を用いて、現像液を利用して現像する工程である。現像方法としては、ディップ法、パドル法、スプレー法、ダイナミックディスペンス法等が挙げられる。現像温度は、例えば、5〜60℃が好ましく、現像時間は、例えば、5〜300秒間が好ましい。
【0249】
現像液の種類を選択することにより、ポジ型レジストパターン又はネガ型レジストパターンを製造できる。
本発明のレジスト組成物からポジ型レジストパターンを製造する場合は、現像液としてアルカリ現像液を用いる。アルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。アルカリ現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。
現像後レジストパターンを超純水で洗浄し、次いで、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0250】
本発明のレジスト組成物からネガ型レジストパターンを製造する場合は、現像液として有機溶剤を含む現像液(以下「有機系現像液」という場合がある)を用いる。
有機系現像液に含まれる有機溶剤としては、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル溶剤;酢酸ブチル等のエステル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤;アニソール等の芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
有機系現像液中、有機溶剤の含有率は、90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に有機溶剤のみであることがさらに好ましい。
中でも、有機系現像液としては、酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンを含む現像液が好ましい。有機系現像液中、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンの合計含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンのみであることがさらに好ましい。
有機系現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。また、有機系現像液には、微量の水分が含まれていてもよい。
現像の際、有機系現像液とは異なる種類の溶剤に置換することにより、現像を停止してもよい。
【0251】
現像後のレジストパターンをリンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができ、好ましくはアルコール溶剤又はエステル溶剤である。
洗浄後は、基板及びパターン上に残ったリンス液を除去することが好ましい。
【0252】
以上のような工程(1)〜工程(5)を含むレジストパターン製造方法によれば、本レジスト組成物の効果により、優れたCD均一性でレジストパターンを製造することができる。
【0253】
<用途>
本レジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)照射用のレジスト組成物又はEUV露光機用のレジスト組成物として好適であり、半導体の微細加工に利用できる。
【実施例】
【0254】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
実施例及び比較例中、含有量及び使用量を表す「%」及び「部」は、特記ないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8120GPC型、カラムは”TSKgel Multipore HXL−M”3本、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0255】
化合物の構造は、質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型)を用い、分子ピークを測定することで確認した。以下の実施例ではこの分子ピークの値を「MASS」で示す。
【0256】
実施例1:式(I−62)で表される塩の合成
【化133】
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式(I−62−a)で表される塩1.57部、クロロホルム30部及びN−メチルピロリジン0.85部を仕込み、0℃で30分間攪拌した。その後、ここに、式(I−62−b)で表される化合物1.74部を仕込み、0℃で3時間攪拌した。得られた反応物に、クロロホルム150部及び5%シュウ酸水溶液40部を仕込み、攪拌、分液を行った。回収された有機層に、イオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。この水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、酢酸エチル20部を加えて攪拌した後、上澄液を除去した。残渣にtert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌した後、上澄液を除去した。残渣をクロロホルムに溶解した後、濃縮して、式(I−62−c)で表される塩1.48部を得た。
【0257】
【化134】
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式(I−62−d)で表される化合物0.50部に、アセトニトリル10部及びイオン交換水10部を加えた。さらに、式(I−62−c)で表される塩1.28部、アセトニトリル5部及びイオン交換水5部を添加した。得られた混合物を15時間撹拌した後、ろ過することにより式(I−62−e)で表される塩1.18部を得た。
【0258】
【化135】
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式(I−62−e)で表される塩1.00部及びアセトニトリル10部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−62−f)で表される化合物0.30部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−62−g)で表される塩を含む溶液を得た。
【0259】
【化136】
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得られた式(I−62−g)で表される塩を含む溶液に、式(I−62−b)で表される化合物0.28部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I−62)で表される塩0.96部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 475.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 337.1
【0260】
実施例2:式(I−64)で表される塩の合成
【化137】
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式(I−64−a)で表される化合物26.44部、ジオキサン80.00部を仕込み、23℃で攪拌下、水酸化ナトリウム4.40部をイオン交換水80.00部に溶解した水溶液を30分かけて滴下し、90℃で36時間攪拌した。反応マスを冷却し、イオン交換水400部、酢酸エチル500部及び塩化ナトリウム200部を添加し、攪拌し、分液を行った。得られた有機層に3N塩酸塩化ナトリウム400部を添加し、攪拌し、分液を行った。得られた有機層にイオン交換水400部を添加し、攪拌し、分液を行った。この水洗を3回行った。回収された有機層を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(I−64−b)で表される化合物7.89部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)
【0261】
【化138】
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式(I−62−e)で表される塩1.00部及びアセトニトリル10部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−62−f)で表される化合物0.30部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−62−g)で表される塩を含む溶液を得た。
【0262】
【化139】
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得られた式(I−62−g)で表される塩を含む溶液に、式(I−64−b)で表される化合物0.30部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I−64)で表される塩0.98部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 475.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 353.1
【0263】
実施例3:式(I−77)で表される塩の合成
【化140】
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1,3−アダマンタンジオール250部及びテトラヒドロフラン2000部を仕込み、室温で攪拌し、ピリジン142部を仕込み、40℃に昇温した。さらに、クロロアセチルクロリド254部及びテトラヒドロフラン500部の混合溶液を80分かけて滴下した。その後、40℃で8時間攪拌し、5℃に温度を下げた。5℃に冷却したイオン交換水1000部を添加、攪拌し、分液により水層を回収した。回収された水層に酢酸エチル600部を添加し、分液して有機層を回収した。回収された有機層に、5℃の10%炭酸カリウム水溶液600部を添加して洗浄し、分液して有機層を回収した。回収された有機層にさらに、イオン交換水600部を添加して水洗し、分液を行って有機層を回収した。この水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮後、以下の条件でカラム分取することにより、式(I−77−a)で表される化合物75部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)
【0264】
【化141】
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式(I−77−a)で表される化合物4.88部及びN,N’−ジメチルホルムアミド25.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム1.66部及びヨウ化カリウム0.84部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物を、40℃まで冷却し、式(I−64−b)で表される化合物3.93部をN,N’−ジメチルホルムアミド25.00部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、75℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム60.00部及び1N塩酸60.00部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水60.00部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(I−77−b)で表される化合物2.54部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:酢酸エチル
【0265】
【化142】
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式(I−62−e)で表される塩1.00部及びアセトニトリル10部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−62−f)で表される化合物0.30部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−62−g)で表される塩を含む溶液を得た。
【0266】
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
得られた式(I−62−g)で表される塩を含む溶液に、式(I−77−b)で表される化合物0.62部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮した後、得られた濃縮物をカラム(メルク シリカゲル60−200メッシュ 展開溶媒:クロロホルム/メタノール=5/1)分取することにより、式(I−77)で表される塩0.32部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 475.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 561.2
【0267】
実施例4:式(I−84)で表される塩の合成
【化144】
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式(I−84−a)で表される化合物4.61部及びN,N’−ジメチルホルムアミド25.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム1.66部及びヨウ化カリウム0.84部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物を、40℃まで冷却し、式(I−64−b)で表される化合物3.93部をN,N’−ジメチルホルムアミド25部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、75℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム60部及び1N塩酸60部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水60部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(I−84−b)で表される化合物2.24部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:酢酸エチル
【0268】
【化145】
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式(I−62−e)で表される塩1.00部及びアセトニトリル10部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−62−f)で表される化合物0.30部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−62−g)で表される塩を含む溶液を得た。
【0269】
【化146】
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得られた式(I−62−g)で表される塩を含む溶液に、式(I−84−b)で表される化合物0.60部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I−84)で表される塩1.21部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 475.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 547.2
【0270】
実施例5:式(I−87)で表される塩の合成
【化147】
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式(I−87−a)で表される化合物16.42部及びテトラヒドロフラン53.29部を仕込み、23℃で攪拌溶解した。得られた混合物に、23℃でジメチルアミノピリジン2.44部を添加した後、50℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、さらに、2−メチル−2−アダマンタノール16.63部及びテトラヒドロフラン53.29部の混合溶液を1時間かけて滴下し、50℃で10時間攪拌した。得られた混合物にイオン交換水30部及び酢酸エチル60部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層にイオン交換水30部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。この分液水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮後、以下の条件でカラム分取することにより、式(I−87−b)で表される化合物25.2部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=20/1(容量比)
【0271】
【化148】
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【0272】
式(I−87−b)で表される化合物16.50部及びクロロホルム200.00部を仕込み、23℃で攪拌し、式(I−87−b)で表される化合物を溶解した後、23℃でm−クロロ過安息香酸17.30部を添加し、23℃で6時間攪拌した。得られた混合物にイオン交換水30部及び酢酸エチル60部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層にイオン交換水30部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。この分液水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮した後、以下の条件でカラム分取することにより、式(I−87−c)で表される化合物14.7部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=20/1(容量比)
【0273】
【化149】
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式(I−62−e)で表される塩1.00部及びアセトニトリル10部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−62−f)で表される化合物0.30部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−62−g)で表される塩を含む溶液を得た。
【0274】
【化150】
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得られた式(I−62−g)で表される塩を含む溶液に、式(I−87−c)で表される化合物0.53部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I−87)で表される塩1.06部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 475.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 503.1
【0275】
実施例6:式(I−89)で表される塩の合成
【化151】
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2−メチル−2−アダマンタノール25.00部及びテトラヒドロフラン200部を仕込み、室温で攪拌し、2−メチル−2−アダマンタノールの溶解確認後、ピリジン14.27部を仕込み、40℃に昇温した。さらに、クロロアセチルクロリド25.47部及びテトラヒドロフラン50部の混合溶液を1時間かけて滴下した。滴下後、40℃で8時間攪拌し、5℃に温度を下げた。5℃に冷却したイオン交換水100部を添加、攪拌し、分液により水層を回収した。回収された水層に酢酸エチル65部を添加し、分液して有機層を回収した。回収された有機層に、5℃の10%炭酸カリウム水溶液65部を添加して洗浄し、分液して有機層を回収した後、回収された有機層にさらに、イオン交換水65部を添加して水洗し、分液を行って有機層を回収した。この水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮し、得られた濃縮物にn−ヘプタン40.00部を添加し、攪拌した後、ろ過後、乾燥して、式(I−89−a)で表される化合物17.62部を得た。
【0276】
【化152】
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式(I−89−b)で表される化合物15.00部及びN,N’−ジメチルホルムアミド75部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム6.40部及びヨウ化カリウム1.92部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物に、式(I−89−a)で表される化合物16.87部をN,N’−ジメチルホルムアミド33.74部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、50℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、酢酸エチル300部及びイオン交換水150部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水150部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層を濃縮し、得られた濃縮物にn−ヘプタン150部を添加し、攪拌した後、ろ過後、乾燥して、式(I−89−c)で表される化合物22.67部を得た。
【0277】
【化153】
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式(I−89−c)で表される化合物15.00部及びアセトニトリル75部を仕込み、23℃で30分間攪拌した後、5℃まで冷却した。得られた混合物に、水素化ホウ素ナトリウム0.71部及びイオン交換水10.63部を仕込み、5℃で3時間攪拌した。得られた混合物に、イオン交換水50部及び酢酸エチル100部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水50.00部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層を濃縮した後、以下の条件でカラム(シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製 展開溶媒:酢酸エチル)分取することにより、式(I−89−d)で表される化合物12.43部を得た。
【0278】
【化154】
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式(I−62−e)で表される塩1.00部及びアセトニトリル10部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−62−f)で表される化合物0.30部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−62−g)で表される塩を含む溶液を得た。
【0279】
【化155】
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得られた式(I−62−g)で表される塩を含む溶液に、式(I−89−d)で表される化合物0.62部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I−89)で表される塩1.24部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 475.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 559.2
【0280】
実施例7:式(I−88)で表される塩の合成
【化156】
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式(I−88−a)で表される化合物16.42部及びテトラヒドロフラン53.29部を仕込み、23℃で攪拌溶解した。得られた混合物に、23℃でジメチルアミノピリジン2.44部を添加した後、50℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、さらに、2−エチル−2−アダマンタノール18.03部及びテトラヒドロフラン54.09部の混合溶液を1時間かけて滴下し、50℃で10時間攪拌した。得られた混合物にイオン交換水30部及び酢酸エチル60部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層にイオン交換水30部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。この分液水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮後、以下の条件でカラム分取することにより、式(I−88−b)で表される化合物25.62部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=20/1(容量比)
【0281】
【化157】
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【0282】
式(I−88−b)で表される化合物17.20部及びクロロホルム200部を仕込み、23℃で攪拌し、式(I−88−b)で表される化合物を溶解した後、23℃でm−クロロ過安息香酸17.30部を添加し、23℃で6時間攪拌した。得られた混合物にイオン交換水30部及び酢酸エチル60部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層にイオン交換水30部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。この分液水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮した後、以下の条件でカラム分取することにより、式(I−88−c)で表される化合物14.88部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=20/1(容量比)
【0283】
【化158】
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式(I−62−e)で表される塩1.00部及びアセトニトリル10部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−62−f)で表される化合物0.30部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−62−g)で表される塩を含む溶液を得た。
【0284】
【化159】
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得られた式(I−62−g)で表される塩を含む溶液に、式(I−88−c)で表される化合物0.55部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I−88)で表される塩1.12部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 475.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 517.1
【0285】
実施例8:式(I−189)で表される塩の合成
【化160】
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式(I−189−a)で表される化合物5.00部及びジメチルホルムアミド25部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した後、トリエチルアミン3.87部を滴下し、さらに、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、式(I−189−b)で表される化合物6.14部をジメチルホルムアミド6.14部に溶解した溶液を30分かけて滴下し、さらに、23℃で2時間攪拌した。得られた反応液に、イオン交換水25部及び酢酸エチル150部を加え、23℃で30分間攪拌した後、分液し、有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水75部を仕込み23℃で30分間攪拌した後、分液し、有機層を回収した。この水洗の操作をさらに5回行った。得られた有機層を濃縮し、得られた濃縮物に、n−ヘプタン92.20部を添加して攪拌した後、ろ過することにより、式(I−189−c)で表される化合物2.69部を得た。
【0286】
【化161】
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式(I−62−e)で表される塩1.00部及びアセトニトリル10部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−62−f)で表される化合物0.30部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−62−g)で表される塩を含む溶液を得た。
【0287】
【化162】
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得られた式(I−62−g)で表される塩を含む溶液に、式(I−189−c)で表される化合物0.55部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I−189)で表される塩1.23部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 475.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 517.2
【0288】
実施例9:式(I−191)で表される塩の合成
【化163】
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式(I−191−a)で表される化合物5.00部及びジメチルホルムアミド25部を仕込み、23℃で30分間攪拌した後、トリエチルアミン3.87部を滴下し、さらに、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、式(I−191−b)で表される化合物6.57部をジメチルホルムアミド6.57部に溶解した溶液を30分かけて滴下し、さらに、23℃で2時間攪拌した。得られた反応マスに、イオン交換水23.50部及び酢酸エチル140.99部を加え、23℃で30分間攪拌した後、分液し、有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水70.50部を仕込み23℃で30分間攪拌した後、分液し、有機層を回収した。この水洗の操作をさらに6回行った。得られた有機層を濃縮し、得られた濃縮物に、n−ヘプタン92.20部を添加して攪拌した後、ろ過することにより、式(I−191−c)で表される塩2.85部を得た。
【0289】
【化164】
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式(I−62−e)で表される塩1.00部及びアセトニトリル10部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−62−f)で表される化合物0.30部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−62−g)で表される塩を含む溶液を得た。
【0290】
【化165】
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得られた式(I−62−g)で表される塩を含む溶液に、式(I−191−c)で表される化合物0.57部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I−191)で表される塩1.15部を得た。
MS(ESI(+)Spectrum):M 475.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 531.2
【0291】
樹脂(A)の合成
樹脂(A)の合成に使用した化合物を下記に示す。
【化166】
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以下、これらの化合物をその式番号に応じて、「モノマー(a1−1−2)」などという。
【0292】
合成例1〔樹脂A1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−3)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−2−3)及びモノマー(a3−1−1)を用い、そのモル比(モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−3):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−2−3):モノマー(a3−1−1))が、30:14:6:20:30となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.0×10の樹脂A1(共重合体)を収率60%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有するものである。
【化167】
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【0293】
合成例2〔樹脂A2の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−5−1)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−2−3)及びモノマー(a3−1−1)を用い、そのモル比(モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−5−1):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−2−3):モノマー(a3−1−1))が、30:14:6:20:30となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.4×10の樹脂A2(共重合体)を収率62%で得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有するものである。
【化168】
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【0294】
合成例3:〔樹脂A3の合成〕
モノマー(1−1−2)、モノマー(a2−1−1)及びモノマー(a3−1−1)を、そのモル比〔モノマー(1−1−2):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1)〕が、50:25:25となるように混合し、さらに、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%との割合で添加し、これを80℃で約8時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収した。再度、得られた樹脂を、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を3回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が約9.2×10である共重合体を収率60%で得た。この共重合体は、モノマー(1−1−2)、モノマー(a2−1−1)及びモノマー(a3−1−1)に各々由来する、以下の各モノマーから導かれる構造単位を有するものであり、これを樹脂A3とする。
【化169】
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【0295】
合成例4〔樹脂A4の合成〕
モノマーとして、モノマー(a4−1−7)を用い、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.8×10の樹脂A4(共重合体)を収率77%で得た。この樹脂A4は、以下の構造単位を有するものである。
【化170】
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【0296】
実施例10〜27、比較例1
<レジスト組成物の調製>
表8に示すように、各成分を混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0297】
<酸発生剤>
I−62:式(I−62)で表される塩
【化171】
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酸発生剤I−62の50mgをジメチルスルホキサイド0.80部gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、1時間攪拌したあと、酸発生剤I−62の分解物を確認したところ、開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。
【化172】
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【0298】
酸発生剤I−62 50mgを重ジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、20%塩酸0.02gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤I−62の分解物を、H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0299】
I−64:式(I−64)で表される塩
【化173】
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酸発生剤I−64の50mgをジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、1時間攪拌したあと、酸発生剤I−64の分解物を確認したところ、開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。
【化174】
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【0300】
酸発生剤I−64 50mgを重ジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、20%塩酸0.02gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤I−64の分解物を、H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0301】
I−77:式(I−77)で表される塩
【化175】
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酸発生剤I−77の50mgをジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、1時間攪拌したあと、酸発生剤I−77の分解物を確認したところ、開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。
【化176】
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【0302】
酸発生剤I−77 50mgを重ジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、20%塩酸0.02gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤I−77の分解物を、H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0303】
I−84:式(I−84)で表される塩
【化177】
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酸発生剤I−84の50mgをジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、1時間攪拌したあと、酸発生剤I−84の分解物を確認したところ、開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。
【化178】
[この文献は図面を表示できません]
【0304】
酸発生剤I−84 50mgを重ジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、20%塩酸0.02gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤I−84の分解物を、H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0305】
I−87:式(I−87)で表される塩
【化179】
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酸発生剤I−87の50mgをジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、1時間攪拌したあと、酸発生剤I−87の分解物を確認したところ、開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。
【化180】
[この文献は図面を表示できません]
【0306】
酸発生剤I−87 50mgを重ジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、20%塩酸0.02gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤I−87の分解物を、H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0307】
I−89:式(I−89)で表される塩
【化181】
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酸発生剤I−89の50mgをジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、1時間攪拌したあと、酸発生剤I−89の分解物を確認したところ、開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。
【化182】
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【0308】
酸発生剤I−89 50mgを重ジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、20%塩酸0.02gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤I−89の分解物を、H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0309】
I−88:式(I−88)で表される塩
【化183】
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酸発生剤I−88の50mgをジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、1時間攪拌したあと、酸発生剤I−88の分解物を確認したところ、開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。
【化184】
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【0310】
酸発生剤I−88 50mgを重ジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、20%塩酸0.02gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤I−189の分解物を、H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0311】
I−189:式(I−189)で表される塩
【化185】
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酸発生剤I−189の50mgをジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、1時間攪拌したあと、酸発生剤I−189の分解物を確認したところ、開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。
【化186】
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【0312】
酸発生剤I−189 50mgを重ジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、20%塩酸0.02gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤I−189の分解物を、H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基に帰属するピークが確認された。
【0313】
I−191:式(I−191)で表される塩
【化187】
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酸発生剤I−191の50mgをジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、1時間攪拌したあと、酸発生剤I−191の分解物を確認したところ、開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。
【化188】
[この文献は図面を表示できません]
【0314】
酸発生剤I−191 50mgを重ジメチルスルホキサイド0.80gに溶解し、20%塩酸0.02gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤I−191の分解物を、H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基に帰属するピークが確認された。
【0315】
酸発生剤B1−3:
【化189】
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【0316】
酸発生剤Z1:
【化190】
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【0317】
<樹脂>
A1:樹脂A1
A2:樹脂A2
A3:樹脂A3
A4:樹脂A4
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン
【0318】
【表8】
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【0319】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
2−ヘプタノン 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0320】
<レジスト組成物の液浸露光後のCD均一性(Critical Dimension Uniformity)評価>
シリコンウェハに、有機反射防止膜用組成物(ARC−29;日産化学(株)製)を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、ウェハ上に膜厚78nmの有機反射防止膜を形成した。
次いで、この有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるように塗布(スピンコート)した。塗布後、シリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表8の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークし、組成物層を形成した。
組成物層が形成されたシリコンウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー(XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光)で、コンタクトホールパターン(ホールピッチ100nm/ホール径70nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、前記シリコンウェハを、ホットプレート上にて、表8の「PEB」欄に記載された温度で60秒間、加熱(ポストエキスポジャーベーク処理)した。
次いで、このシリコンウェハを、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
現像後に得られたレジストパターンにおいて、前記マスクを用いて形成したホール径が55nmとなる露光量を実効感度とした。
【0321】
実効感度において、ホール径70nmのマスクで形成したパターンのホール径を、一つのホールにつき24回測定し、その平均値を一つのホールの平均ホール径とした。同一ウェハ内の、ホール径70nmのマスクで形成したパターンの平均ホール径を400箇所測定したものを母集団として標準偏差を求め、
標準偏差が1.85nm未満の場合を「○」、
標準偏差が1.85nmより大きい場合を「×」として判断した。
【0322】
その結果を表9に示す。なお、括弧内の数値は標準偏差(nm)を示す。
【表9】
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【産業上の利用可能性】
【0323】
本発明の塩を酸発生剤として含有するレジスト組成物を用いれば、優れたCD均一性(CDU)でレジストパターンを製造することができる。