【文献】
BERNA,M.,et al.,"Determination of Olanzapine in Human Plasma and Serum by Liquid Chromatography/Tandem Mass Spectrometry",JOURNAL OF MASS SPECTROMETRY,1998年,VOL.33,NO.10,PP.1003-1008
【文献】
GORJA,Dhilli Rao,et al.,"Novel N-indolylmethyl substituted olanzapine derivatives: their design, synthesis and evaluation as PDE4B inhibitors",ORGANIC & BIOMOLECULAR CHEMISTRY,2013年,VOL.11,NO.13,PP.2075-2079
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、抗精神病薬のレベルの決定を可能にする化合物及びコンジュゲートを提供する。かかる方法によって、臨床医は、診察の際に、患者の症状悪化の原因が、服薬アドヒアランスの欠如でありうる可能性がどの程度かを客観的に評価することが可能となる。あるいは、服薬が遵守されているのであれば、臨床医は異なる治療選択を検討することができる。かかる方法によって可能となる治療薬物モニタリングは、最も有効な治療選択肢を特定する上で鍵となる。更には、臨床医は、かかるTDMは、患者との関係が全く異なったものに移行する、すなわち、治療を遵守していないのではないかという仮定的な議論から、治療計画を最適化するうえで患者に積極的に主導権をもたせることによって、より協力的な関係へと移行するのに役立つと考える。
【0018】
この方法の開発には、タンパク質と連結する合成ハプテンを含む、いくつかの免疫原の合成が第一に必要である。ハプテンは、タンパク質などの大きな担体に結合すると、免疫応答を誘発することができる低分子である。ハプテンは、その大部分が低分子量であって、タンパク質を含まない物質であり、単独では抗体形成を刺激することはできないが、抗体と反応する。ハプテン−タンパク質コンジュゲートは、抗体の生成を刺激することができる。低分子に対して特異的な抗体の産生は、イムノアッセイの開発において有用である(Pharm Res.1992,9(11):1375〜9,Annali Dell’Istituto Superiore di Sanita.1991,27(1):167〜74,Annali Dell’Istituto Superiore di Sanita.1991,27(1):149〜54,Immunology Letters.1991,28(1):79〜83)。
【0019】
本発明は、以下の式Iの化合物を含む:
【0020】
【化7】
式I:(式中
R
1は、H、
【0021】
【化8】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
2は、H、
【0022】
【化9】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
3は、H、又はW−(Y)
p−Gであり(但し、R
1、R
2、R
3のうちの2つはHでなくてはならず、更に、R
1、R
2及びR
3は、全て同時にHであってはならない);
ここで:
Zは:
−N(R
4)−、−O−、−S−、−アルキル−、−アルコキシアルキル−、−アミノアルキル−、−チオアルキル−、−ヘテロアルキル−、−アルキルカルボニル−、
【0023】
【化10】
からなる群から選択され;
ここで:
Wは:
−C(O)−、−アルキル−、−アルコキシアルキル−、−アミノアルキル−、−チオアルキル−、−ヘテロアルキル−、−アルキルカルボニル−、
【0024】
【化11】
からなる群から選択され;
R
4は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アラアルキル基、又は置換若しくは非置換アリール基であり;
Yは有機スペーサ基であり;
Gは、担体と結合することができる官能性連結基であり;
pは0、又は1であり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5である)。
【0025】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物を含む:
(式中、
R
1は、H、
【0026】
【化12】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
2は、H、
【0027】
【化13】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなければならず、更に、R
1及びR
2の両方は、同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり;
ここで:
Zは:
−N(R
4)−、−O−、−S−、−アルキル−、−アルコキシアルキル−、−アミノアルキル−、−チオアルキル−、−ヘテロアルキル−、−アルキルカルボニル−、
【0028】
【化14】
からなる群から選択され;
R
4は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アラアルキル基、又は置換若しくは非置換アリール基であり;
Yは有機スペーサ基であり;
Gは、担体と結合することができる官能性連結基であり;
pは0、又は1であり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5である)。
【0029】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物を含む:
(式中、
R
1は、H、又はCH
2NH−(Y)
p−Gであり;
R
2は、H、又はCH
2NH−(Y)
p−Gであり(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなくてはならず、更に、R
1及びR
2の両方は、同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり、
ここで:
Yは有機スペーサ基であり;
Gは、担体と結合することができる官能性連結基であり;
pは1である)。
【0030】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物を含む:
(式中、
R
1は、H、
【0031】
【化15】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり;
R
2は、H、
【0032】
【化16】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなければならず、更に、R
1及びR
2は同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5である)。
【0033】
本発明の別の実施形態では、
R
1は、H、
【0034】
【化17】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり;
R
2は、H、
【0035】
【化18】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなければならず、更に、R
1及びR
2の両方は同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5である)。
【0036】
本発明の別の実施形態は、以下である式Iの化合物である:
【0038】
本発明の好ましい実施形態は、以下の化合物である:
【0040】
本発明の好ましい実施形態は、以下の化合物である:
【0042】
本発明は、本発明の化合物と免疫原性担体とのコンジュゲートを更に提供する。
【0043】
したがって、本発明の別の実施形態は、式Iの化合物のコンジュゲートである:
【0045】
【化23】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
2は、H、
【0046】
【化24】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
3は、H、又はW−(Y)
p−Gであり(但し、R
1、R
2、R
3のうちの2つはHでなくてはならず、更に、R
1、R
2及びR
3は、全て同時にHであってはならない);
ここで:
Zは:
−N(R
4)−、−O−、−S−、−アルキル−、−アルコキシアルキル−、−アミノアルキル−、−チオアルキル−、−ヘテロアルキル−、−アルキルカルボニル−、
【0047】
【化25】
からなる群から選択され;
ここで:
Wは:
−C(O)−、−アルキル−、−アルコキシアルキル−、−アミノアルキル−、−チオアルキル−、−ヘテロアルキル−、−ヘテロアルキル−、−アルキルカルボニル−、
【0048】
【化26】
からなる群から選択され;
R
4は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又は置換若しくは非置換アリール基であり;
Yは有機スペーサ基であり;
Gは、担体と結合することができる官能性連結基であり;
pは0、又は1であり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5であって、免疫原性担体である)。
【0049】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物のコンジュゲートである:
(式中、
R
1は、H、
【0050】
【化27】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
2は、H、
【0051】
【化28】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなければならず、更に、R
1及びR
2の両方は、同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり;
ここで:
Zは:
−N(R
4)−、−O−、−S−、−アルキル−、−アルコキシアルキル−、−アミノアルキル−、−チオアルキル−、−ヘテロアルキル−、−アルキルカルボニル−、
【0052】
【化29】
からなる群から選択され;
R
4は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又は置換若しくは非置換アリール基であり;
Yは有機スペーサ基であり;
Gは、担体と結合することができる官能性連結基であり;
pは0又は1であり、
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5であって、免疫原性担体である)。
【0053】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物のコンジュゲートである:
(式中、
R
1は、H、又はCH
2NH−(Y)
p−Gであり;
R
2は、H、又はCH
2NH−(Y)
p−Gであり(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなくてはならず、更に、R
1及びR
2の両方は、同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり;
ここで:
Yは有機スペーサ基であり;
Gは、担体と結合することができる官能性連結基であり;
pは1であって、免疫原性担体である。)
【0054】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物のコンジュゲートである:
(式中、
R
1は、H、
【0055】
【化30】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり;
R
2は、H、
【0056】
【化31】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり;(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなければならず、更に、R
1及びR
2は同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5であって、免疫原性担体である)。
【0057】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物のコンジュゲートである:
(式中、
R
1は、H、
【0058】
【化32】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり;
R
2は、H、
【0059】
【化33】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなければならず、更に、R
1及びR
2の両方は同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5であって、免疫原性担体である)。
【0061】
【化34】
からなる群から選択される化合物と免疫原性担体とのコンジュゲートである。
【0062】
本発明の好ましい実施形態は、上述のコンジュゲートであり、ここで免疫原性担体はタンパク質である。
【0063】
本発明のより好ましい実施形態は、上述のコンジュゲートであり、ここでタンパク質はキーホールリンペットヘモシアニン、ウシサイログロブリン、又はオボアルブミンである。
【0064】
本発明はまた、上述の化合物と免疫原性担体とを接触させるプロセスから生成される生成物を提供する。
【0065】
したがって、本発明の別の実施形態は、以下の式Iの化合物:
【0067】
【化36】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
2は、H、
【0068】
【化37】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
3は、H、又はW−(Y)
p−Gであり(但し、R
1、R
2、R
3のうちの2つはHでなくてはならず、更に、R
1、R
2及びR
3は、全て同時にHであってはならない);
ここで:
Zは:
−N(R
4)−、−O−、−S−、−アルキル−、−アルコキシアルキル−、−アミノアルキル−、−チオアルキル−、−ヘテロアルキル−、−アルキルカルボニル−、
【0069】
【化38】
からなる群から選択され;
ここで:
Wは:
−C(O)−、−アルキル−、−アルコキシアルキル−、−アミノアルキル−、−チオアルキル−、−ヘテロアルキル−、−アルキルカルボニル−、
【0070】
【化39】
からなる群から選択され;
R
4は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又は置換若しくは非置換アリール基であり;
Yは有機スペーサ基であり;
Gは、担体と結合することができる官能性連結基であり;
pは0、又は1であり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5である)と、免疫原性担体とを接触させるプロセスによって生成される生成物である。
本発明の別の実施形態は、以下の式Iの化合物:
(式中、
R
1は、H、
【0071】
【化40】
CH
2NH
2、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
2は、H、
【0072】
【化41】
CH
2NH
2CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2H、又はZ−(Y)
p−Gであり;
R
3は、Hであり(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなくてはならず、更に、R
1及びR
2の両方は、同時にHであってはならない);
ここで:
Zは:
−N(R
4)−、−O−、−S−、−アルキル−、−アルコキシアルキル−、−アミノアルキル−、−チオアルキル−、−ヘテロアルキル−、−アルキルカルボニル−、
【0073】
【化42】
からなる群から選択され;
R
4は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又は置換若しくは非置換アリール基であり;
Yは有機スペーサ基であり;
Gは、担体と結合することができる官能性連結基であり;
pは0、又は1であり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5である)と、免疫原性担体と接触させるプロセスによって生成される生成物である。
【0074】
本発明の別の実施形態は、以下の式Iの化合物:
(式中、
R
1は、H、又はCH
2NH−(Y)
p−Gであり;
R
2は、H、又はCH
2NH−(Y)
p−Gであり(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなくてはならず、更に、R
1及びR
2の両方は、同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり、
ここで:
Yは有機スペーサ基であり;
Gは、担体と結合することができる官能性連結基であり;
pは1である)と、免疫原性担体とを接触するプロセスによって生成される生成物である。
【0075】
本発明の別の実施形態は、以下の式Iの化合物:
(式中、
R
1は、H、
【0076】
【化43】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり;
R
2は、H、
【0077】
【化44】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり;(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなければならず、更に、R
1及びR
2は、同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5である)と、免疫原性担体と接触させるプロセスによって生成される生成物である。
本発明の別の実施形態は、以下の式Iの化合物:
(式中、
R
1は、H、
【0078】
【化45】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり;
R
2は、H、
【0079】
【化46】
CH
2NH
2、又はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hであり(但し、R
1若しくはR
2のいずれかはHでなければならず、更に、R
1及びR
2の両方は同時にHであってはならない);
R
3は、Hであり;
mは1、2、3、4、又は5であり;
nは1、2、3、4、又は5である)と、免疫原性担体とを接触させるプロセスによって生成される生成物である。
【0081】
【化47】
である化合物と免疫原性担体とを接触させるプロセスによって生成される生成物である。
【0083】
【化48】
である化合物と免疫原性担体とを接触させるプロセスによって生成される生成物である。
【0085】
【化49】
である化合物と免疫原性担体とを接触させるプロセスによって生成される生成物である。
【0087】
【化50】
である化合物と免疫原性担体とを接触させるプロセスによって生成される生成物である。
【0088】
本発明のより好ましい実施形態は、上述の化合物と免疫原性担体とを接触させるプロセスによって生成される生成物であって、ここで、タンパク質はキーホールリンペットヘモシアニン、ウシサイログロブリン、又はオボアルブミンである。
【0089】
略語
本明細書中及び本出願を通して、以下の略語が使用され得る。
【0091】
定義
用語「コンジュゲート」は、個別の部分が一緒に結合することで形成される任意の物質を指す。本発明による代表的なコンジュゲートとしては、式Iの化合物などの低分子と、担体又はポリアミンポリマー(特にタンパク質)などの高分子とを一緒に結合することで形成されるものが挙げられる。コンジュゲートにおいて、低分子は、高分子上の1つ以上の活性部位に結合し得る。
【0092】
用語「ハプテン」は、部分的又は不完全な抗原を指す。ハプテンは、タンパク質非含有物質であり、抗体形成を刺激することはできないが、抗体と反応する。抗体は、ハプテンと高分子量の免疫原性担体とをカップリングした後、このカップリングした生成物(すなわち、免疫原)をヒト又は動物被検体に注射することで形成される。
【0093】
用語「免疫原」は、生物において免疫応答を誘発、生成、又は産生させることができる物質を指す。
【0094】
本明細書で使用するとき、「免疫原性担体」は、ハプテンと1つ以上の位置で結合することによって、これらのハプテンに特異的に結合し得る抗体を生成できる、一般的にはタンパク質である免疫原性物質である。免疫原性担体物質の例としては、限定されないが、異物であると認識され、それによって宿主の免疫応答を誘発する、タンパク質、糖タンパク質、ポリアミノ−多糖類複合体、粒子、及び核酸が挙げられる。ポリアミノ−多糖類は、本調製においては従来の既知の任意の手段を使用して、多糖類から調製され得る。
【0095】
免疫原性担体として、アルブミン、血清タンパク質、リポタンパク質などの様々な種類のタンパク質を用い得るが、これらに限定されない。タンパク質の実例としては、ウシ血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、卵オボアルボミン、ウシサイログロブリン、フラクションVヒト血清アルブミン、ウサギアルブミン、パンプキンシードグロブリン、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、ボツリヌス毒素、サクシニル化タンパク質、及びポリリジンなどの合成ポリ(アミノ酸)が挙げられる。
【0096】
免疫原性担体はまた、単糖類の縮合を繰り返すことによって構築される高分子量ポリマーであるポリアミノ−多糖類も含み得る。多糖類の例は、デンプン、グリコーゲン、セルロース、アラビアゴムなどの炭水化物ガム、寒天などである。多糖類は、ポリ(アミノ酸)残基及び/又は脂質残基も含む。
【0097】
免疫原性担体は、ポリ(核酸)単体でありうるか、又は、上述のポリ(アミノ酸)又は多糖類のどちらか1つとコンジュゲートされていてもよい。
【0098】
免疫原性担体は、固体粒子を含んでもよい。粒子の直径は、一般的には少なくとも約0.02マイクロメートル(μm)かつ約100μm以下であり、通常約0.05μm〜10μmである。粒子は、有機又は無機、膨潤性又は非膨潤性で、多孔質又は非孔質、最適には水に近い密度、一般的には約0.7〜1.5g/mLの粒子でありえて、透明であるか、部分的に透明又は不透明であり得る材料から構成されうる。粒子は、限定されないが、赤血球、白血球、血小板、ハイブリドーマ、連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、及びウィルスのような細胞及び微生物などの生体物質であり得る。粒子は、有機又は無機ポリマー、リポソーム、ラテックス、リン脂質小胞、又はリポタンパク質からもなり得る。
【0099】
用語「誘導体」は、1つ以上の化学反応により親化合物から作製される化合物又は分子を指す。
【0100】
化合物の「類似体」という用語は、炭素原子の鎖及び参照化合物と同じ特定の官能基を含有する化合物を指すが、類似体の炭素鎖は、参照化合物の炭素鎖よりも長いか、又は短い。
【0101】
「標識」「検出分子」、又は「リポーター」は、検出可能なシグナルを生成するか、生成するのを誘導され得る。「標識」は、検体、免疫原、抗体、又はリガンド(特にハプテン)などの受容体と結合し得る受容体又は分子などの別の分子とコンジュゲートされ得る。標識の非限定的な例としては、放射能アイソトープ(例えば、
125I)、酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ)、酵素フラグメント、酵素基質、酵素インヒビター、コエンザイム、触媒、蛍光物質(例えば、ローダミン、フルオレセインイソチオシアネート又はFITC、又はDylight 649)、染料、化学発光物質及び発光物質(例えば、ジオキセタン、ルシフェリン)、又は増感剤が挙げられる。
【0102】
本明細書で使用するとき、「スペーサ」は、ハプテン、担体、免疫原、標識又は結合パートナーなどの下部構造のうちの2つ以上と、官能性連結基を介して連結する化学構造の一部分を指す。これらのスペーサは、典型的に有機化合物中で見られるような形で典型的に存在して組み立てられる原子によって構成されるため、「有機スペーシング基」とも称される。スペーサを組み立てるのに使用される化学的なビルディングブロックは、本出願中、以下で記載されるであろう。その中で、好ましいスペーサは、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の炭素鎖である。これらの炭素鎖は、鎖内に1つ以上のヘテロ原子を含んでもよく、1つ以上のヘテロ原子は、鎖中又は鎖の末端の任意の炭素原子における1つ以上の水素原子と代わる。「ヘテロ原子」は、酸素、窒素、リン及び硫黄からなる群から選択される、炭素以外の原子を意味しており、窒素、リン及び硫黄は、任意の酸化状態で存在してよく、炭素又は他のヘテロ原子が結合していてもよい。スペーサは、鎖の一部分として、又は鎖中の原子の1つにおける置換体として、環式基又は芳香族基を含んでもよい。
【0103】
スペーシング基中の原子数は、水素以外の原子を計数することで決定される。スペーシング基内の鎖中の原子数は、連結される下部構造間の最短ルートに沿った水素以外の原子数を計数することで決定される。好ましい鎖長は、1〜20原子である。
【0104】
「官能性連結基」は、ハプテン上に存在する反応基を指し、ハプテンと別の部分(標識又は担体など)とのコンジュゲートを生成するための共有化学結合を形成することで、ハプテン部分が別の部分と連結され得る使用可能な反応部位を提供するのに使用され得る。ハプテンは、このようにしてビオチンなどの部分と連結し、ハプテンの競合的結合パートナーを形成し得る。
【0105】
スペーサ基は、ハプテンを担体に結合させるのに使用され得る。スペーサの長さが異なることによって、抗体形成プロセスが最適となるように免疫される動物又はヒトの免疫系に提示されるように、担体から異なる距離でハプテンを結合させることが可能となる。ハプテン分子中の異なる位置で結合することで、ハプテン上の特異的部位を免疫系に提示する機会が与えられ、抗体認識に影響を及ぼす。スペーサは、水性媒体中でより可溶性が高いハプテン誘導体を作成するために、親水性可溶化基を含有し得る。親水性可溶化基の例としては、ポリオキシアルキルオキシ基、例えば、ポリエチレングリコール鎖、ヒドロキシル基、カルボキシレート基及びスルホネート基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
用語「求核基」又は「求核剤」は、反応において化学結合を形成する電子対を供与する種を指す。用語「求電子基」又は「求電子物質」は、反応において化学結合を形成する電子対を受容する種を指す。
【0107】
用語「置換された」は、親分子上の任意の位置で炭素原子上の水素原子の代わりに原子又は原子基が置換されることを指す。置換基の非限定的な例としては、ハロゲン原子、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、シアノ、アルコキシ、ニトロ、アルデヒド及びケトン基が挙げられる。
【0108】
用語「アルキル」は、別途記載のない限り、最大で12個の炭素原子の飽和又は不飽和の直鎖状及び分枝鎖状ラジカルを指し、特に、任意の度合い又はレベルの飽和を有するラジカルを含むことを意図している。アルキルとしては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルが挙げられる。
【0109】
用語「シクロアルキル」は、3〜10個の炭素原子から構成される、飽和又は部分的に飽和された単環式又は二環式の炭化水素環ラジカルを指す。アルキル置換基は、環上に任意で存在し得る。例としては、シクロプロピル、1,1−ジメチルシクロブチル、1,2,3−トリメチルシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘキセニルが挙げられる。
【0110】
用語「へテロ原子」は、任意の許容された酸化状態で存在しうる窒素原子、酸素原子、リン原子又は硫黄原子を指す。
【0111】
用語「ヘテロアルキル」は、鎖内に1つ以上のヘテロ原子を含むアルキル基を指し、1つ以上のヘテロ原子は、鎖中又は鎖の末端の任意の炭素原子における1つ以上の水素原子と代わる。用語「ヘテロシクリル」は、3〜7個の炭素原子、及びN、O又はSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子から構成される非芳香族(すなわち、飽和又は不飽和)環を指す。アルキル置換基は、環上に任意で存在し得る。例としては、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、ピペリジル、2,5−ジメチルピペリジル、モルホリニル、ピペラジニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、イミダゾリジニル及びイミダゾリニルが挙げられる。
【0112】
用語「ヒドロキシアルキル」は、アルキル鎖に沿った任意の炭素原子と結合する少なくとも1つのヒドロキシル基を指す。
【0113】
用語「アミノアルキル」は、アルキル鎖に沿った任意の炭素原子と結合する少なくとも1つの第一級又は第二級アミノ基を指す。
【0114】
用語「アルコキシアルキル」は、アルキル鎖に沿った任意の炭素原子と結合する少なくとも1つのアルコキシ基を指す。
【0115】
用語「アルコキシ」は、別途記載のない限り、酸素原子と結合する最大で12個の炭素原子の直鎖状又は分枝鎖状ラジカルを指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びブトキシが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0116】
用語「ポリアルコキシアルキル」は、長鎖アルコキシ化合物を指し、及び単一分子量(discreet)又は単分散サイズのポリエチレングリコールを含む。
【0117】
用語「チオアルキルは」、アルキル鎖に沿った任意の炭素原子と結合する少なくとも1つの硫黄基を指す。硫黄基は、任意の酸化状態であってよく、スルホキシド、スルホン及びサルフェートを含む。
【0118】
用語「アルキルカルボニル」は、アルキル鎖に沿って任意の炭素原子と結合するカルボニル基を有する基を指す。
【0119】
用語「カルボキシアルキル」は、アルキル鎖に沿った任意の炭素原子と結合する少なくとも1つのカルボキシレート基を指す。用語「カルボキシレート基」としては、カルボン酸及びアルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルカルボキシレートエステルが挙げられる。
【0120】
用語「ヘテロアリール」は、5〜7員の単環式、又は8〜10員の二環式芳香環ラジカルを指し、これらの環はいずれも、N、O、又はSから選択される1〜4個のヘテロ原子からなり、窒素及び硫黄原子は、許容される任意の酸化状態で存在し得る。例としては、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、フリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、チアゾリル及びチエニルが挙げられる。
【0121】
用語「アリール」は、環中に6〜12個の炭素を含有する単環式又は二環式の芳香環ラジカルを指す。アルキル置換基は、環上に任意で存在し得る。例としては、フェニル、ビフェニル及びナフタレンが挙げられる。
【0122】
用語「アラルキル」は、アリール置換基を含有するC
1〜6アルキル基を指す。例として、ベンジル、フェニルエチル又は2−ナフチルメチルが挙げられる。
【0123】
用語「アシル」は、−C(O)R
aを指し、式中、R
aは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、及びヘテロアリールである。「アシル化剤」は、分子に、−C(O)R
a基を付加する。
【0124】
用語「スルホニル」は、−S(O)
2R
bを指し、式中、R
bは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アリール、アラルキル、及びヘテロアリールである。「スルホニル化剤」は、分子に、−S(O)
2R
aを付加する。
【0125】
ハプテンの担体部分への結合において、反応性官能性連結基を担持するスペーサは、様々な方法によって調製され得る。スペーサは、いずれかの末端の基によって異なるように官能化されるか又は活性化され、これによってハプテン及び担体と選択的に連続反応することができる基を用いて形成されうるが、両端で同じ反応部分を使用してもよい。ハプテンと、担体に結合する官能性連結基との反応において選択される基は、ハプテンと、ハプテンが結合する担体における官能基の種類によって決定される。スペーサ並びにハプテン及び担体との結合方法は、Brinkley,M.,A.,Bioconjugate Chem.1992,3:2〜13,Hermanson,Greg T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press,London,Amsterdam,Burlington,MA,USA,2008及びThermo Scientific Pierce Crosslinking Technical Handbook;(Thermo Scientific 3747 N Meridian Rd,Rockford,IL USA 61101,ph 800−874−3723又は:http://www.piercenet.com/からのダウンロード又は印刷出力から入手可能)、及びその参考文献に記載されるものを含むが、これらに限定されない。スペーサ基の形成において、異なるように活性化される多くの分子は、例えば、Thermo Scientificなどの供給メーカーから市販されている。
【0126】
アミノ基を担持するハプテンにおいて、スペーサとハプテンとの結合様式は、ハプテン上のアミンと、ハロゲン化アシル又は活性エステルを担持するスペーサビルディングブロックとの反応を含む。「活性エステル」は、安定した結合を形成する穏やかな条件下で、例えばアミノ基のような求核基と反応するエステルとして定義される。安定した結合は、例えば、後に続く合成工程のような更なる使用条件、免疫原としての使用、又は生化学アッセイにおいて損傷を受けない結合として定義される。安定した結合の好ましい例は、アミド結合である。活性エステル及び形成方法は、Benoiton,N.L.によって、Houben−Weyl,Methods of Organic Chemistry,Thieme Stuttgart,New York,vol E22 section 3.2:443 and Benoiton,N.L.,Chemistry of Peptide Synthesis,Taylor and Francis,NY,2006に記載されている。好ましい活性エステルとしては、p−ニトロフェニルエステル(PNP)、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)及びテトラフルオロフェニルエステル(TFP)が挙げられる。ハロゲン化アシルは、例えば、カルボン酸と塩化チオニル又は塩化オキサリルとの反応(Fieser,L.F.and Fieser,M.Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons,NY,1967及びこの参考文献を参照のこと)のような、当業者に既知の多くの方法によって調製され得る。これらは、WuらによるOrganic Letters,2004,6(24):4407に記載されるように、活性二官能性スペーサにおいても使用され得るp−ニトロフェニルエステル(PNP)などの他の活性エステルに変換され得る。N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルは、国際特許第2012012595号の実施例35に記載されるように、無水条件下で、非プロトン性溶媒中トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下で、炭酸N,N−ジスクシンイミジル(CAS 74124−79−1)と化合物のカルボン酸との反応によって、又は、無水条件下で、N−ヒドロスクシンイミド及びジシクロヘキシカルボジイミド(DCC)又は他の脱水剤を使用することで調製され得る。テトラフルオロフェニルエステル(TFP)は、WilburらによってBioconjugate Chem.,2004,15(1):203で報告されるように、無水条件下で、非プロトン性溶媒中、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下で、カルボン酸と2,3,5,6−テトラフルオロフェニルトリフルオロ酢酸塩との反応により調製され得る。当業者は、表1に示されるスペーサは、特に、既知の方法を使用して得られ、反応条件のルーチンの最適化を用いてアミノ担持ハプテンと結合することができることを認識するであろう。これらのスペーサによって、ハプテンと担体上のチオール基の結合が可能となる。
【0128】
カップリング剤の存在下、ハプテン上のアミンとスペーサビルディングブロック上のカルボン酸官能基との直接的なカップリングは、1つの結合様式としても使用され得る。好ましい試薬は、典型的にはペプチド合成に使用される試薬である。ペプチドカップリング試薬としては、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU,CAS #125700−67−6)(Pruhs,S.,Org.Process.Res.Dev.2006,10:441を参照のこと);カルボジイミド脱水剤を含むN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT,CAS #2592−95−2)(例えば、N−N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、又は1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC))(Konig W.,Geiger,R.Chem.Ber.,1970,103(3):788を参照のこと);3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトラジン−4(3H)−オン(DEPBT,CAS#165534−43−0)(Liu,H.et.al.,Chinese Chemical Letters,2002,13(7):601を参照のこと);ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド;BOP−Cl(CAS 68641−49−6)(Diago−Meseguer,J et.al.Synthesis,1980,7:547〜51を参照のこと)、及び他の、BenoitonbによってChemistry of Peptide Synthesis,CRC Press,Boca Raton,FL,2005,Chapter 2に詳しく記載されており、技術告知は、Advanced Automated Peptide Protein Technologies(aapptec),6309 Shepardsville Rd.,Louisville KY 40228,ph 888 692 9111;www.aapptec.com,によって提供されるもの、及びこれらの参考文献が挙げられるが、限定されない。これらの方法は、ハプテンをスペーサに結合させる安定なアミド結合を生成する。既知の方法を使用して得られ、上述及び引用される方法を用いて反応条件のルーチンの最適化を利用してアミノ担持ハプテンに結合され得るスペーサの例を表2に示すが、表2に示されるものに限定されない。これらのスペーサによって、ハプテンと担体上のチオール基の結合が可能となる。
【0130】
スペーサはまた、担体への結合が可能である官能性連結基の形成工程などの、適切な化学基がハプテンに連続的に結合することによる、段階的な様式で構成され得る。以下の一般的な反応スキームにおいて実例を参照のこと。
【0131】
更に、ハプテンが、例えば、チオール基、アミノ基又はヒドロキシル基のような、スペーサとの結合位置になる求核基を有する際、スペーサは、チオール、アミン又はヒドロキシル基のアルキル化によっても構成され得る。アルキルハライド、又はスルホン酸エステル(p−トルエンスルホネートなど)のような、置換反応を受けることができる部分で適切に置換される任意のアルキル基は、スペーサを結合させるのに使用され得る。アルキル化反応の多くの例が当業者に既知であって、具体例は、一般的な化学文献中で見出され、ルーチンな実験を通して最適化され得る。多くの参考文献におけるアルキル化反応の議論は、March’s Advanced Organic Chemistry,Smith,M.B.,and March,J.,John Wiley & sons,Inc.NY,2001のチャプター10で見出すことができる。ハプテン上の例えばアミンのような求核部分とイソシアネートとの反応による尿素の形成、又はイソチオシアネートとの反応によるチオ尿素結合の形成などの他の結合も用いられ得る(Li,Z.,et.al.,Phosphorus,Sulfur and Silicon and the Related Elements,2003,178(2):293〜297を参照のこと)。イソシアネート基との反応を介して、ヒドロキシル基を担持するハプテンにスペーサを結合させて、カルバメート又はウレタン結合を形成してもよい。スペーサは、一方の末端上のイソシアネート官能基、及び担体と反応することができる官能性連結基によって異なるように活性化され得る(Annunziato,M.E.,Patel,U.S.,Ranade,M.and Palumbo,P.S.,Bioconjugate Chem.,1993,4:212〜218を参照のこと)。
【0132】
カルボン酸基を担持するハプテンにおいて、ハプテンへのスペーサ部分の結合様式には、その調製が前述されているハロゲン化アシル又は活性エステル(その例を表3で示す)としてのカルボン酸基の活性化の後に、スペーサ部分上のアミノ(−NH
2−)、ヒドラジノ(−NH−NH
2−)、ヒドラジド(−C(O)−NH−NH
2−)もしくはヒドロキシル基(−OH)との反応によるアミド、ヒドラジド、ジアシルヒドラジンもしくはエステル結合の形成、またはカルボン酸基とスペーサ部分上のアミノ基との直接カップリング、又は前述のペプチドカップリング試薬及び/又はカルボジイミド脱水試薬(その例を表4及び5で示す)による担体との直接カップリングが挙げられる。活性化エステルの形成及びペプチドカップリング剤の使用に関して上記で引用された参考文献で見られる手順は、反応条件のルーチンの最適化を用いて、カルボン酸担持ハプテンをスペーサビルディングブロック及び利用可能なアミノ基を含むタンパク質担体に結合させるために使用され得る。
【0136】
スペーサと結合させるために、他の求電子基、例えばハロゲン化スルホニル
【0137】
【化51】
又は求電子亜リン酸基、例えば:
【0139】
(Malachowski,William P.,Coward,James K.,Journal of Organic Chemistry,1994,59(25):7616を参照のこと)
又は:
【0140】
【化53】
R
cはアルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキルである求電子基がハプテン上に存在してもよい。
【0141】
Aliouane,L.,et.al,Tetrahedron Letters,2011,52(28):8681を参照のこと。
【0142】
アルデヒド基又はケトン基を担持するハプテンは、限定されないが、スペーサ上のヒドラジド基H
2N−NH−C(O)−との反応によるアシルヒドラゾンの形成を含む方法を使用してスペーサに結合され得る(Chamow,S.M.,Kogan,T.P.,Peers,D.H.,Hastings,R.C.,Byrn,R.A.and Askenaszi,A.,J.Biol.Chem.,1992,267(22):15916を参照のこと)。担体上でチオール基と結合することが可能な二官能性ヒドラジドスペーサの例が表6で示されている。
【0144】
ハプテンは、担体がチオールと反応しうる基を提供するように修飾されている場合には、担体と反応し得るチオール基を含有していてもよい。担体基は、担体上におけるアミノ基とマレイミド酢酸N−スクシンイミジル(AMAS,CAS# 55750−61−3)、ヨード酢酸スクシンイミジル(CAS# 151199−81−4)、又は表1で示される二官能性スペーサ基のいずれかとの反応によるマレイミド官能基を含有する基の結合、反応を受け得る基を組み込んでハプテンと担体との結合をもたらす方法によって変性され得るが、これに限定されない。
【0145】
担体との結合を形成することができる官能性連結基は、安定的な結合を形成することができる任意の基であってよく、担体上の多くの異なる基と反応性があってよい。官能性連結基は、好ましくは、担体上のアミノ基、カルボン酸基、又はチオール基、又はその誘導体と反応し得る。官能性連結基の非限定例としては、カルボン酸基、ハロゲン化アシル、活性エステル(上記で定義した通りである)、イソシアネート、イソチオシアネート、アルキルハライド、アミノ基、チオール基、マレイミド基、アクリレート基(H
2C=CH−C(O)−)又はビニルスルホン基H
2C=CH−SO
2−)があり、Park,J.W.,et.al.,Bioconjugate Chem.,2012,23(3):350を参照のこと。官能性連結基は、ハプテンと段階的に反応し得る異なるように活性化されたスペーサビルディングブロックの一部として存在してもよく、生じたハプテン誘導体が、その後に担体と反応し得る。あるいは、ハプテンは、後続反応によって官能性連結基に変換され得る前駆体基を担持するスペーサによって誘導体化され得る。スペーサ上の官能性連結基がアミン又はカルボン酸基である際、担体上のカルボン酸基又はアミンとのカップリング反応は、これらの試薬に関して上記で引用される参考文献における手順に従って、ペプチドカップリング試薬を用いることにより直接行われうる。
【0146】
特定のジスルフィド基(例えば、ピリジルジスルフィド)は、担体上でチオール基との交換がなされ得るスペーサ上の官能性連結基として使用され、混合ジスルフィド結合が形成され得る(Ghetie,V.,et al.,Bioconjugate Chem.,1990,1:24〜31を参照のこと)。これらのスペーサは、アミン担持ハプテンと、限定はされないが、その例が表7に示されるものであるピリジルジスルフィド基を担持するスペーサに結合する活性エステルとの反応によって結合し得る。
【0148】
ほとんどの場合、担体はタンパク質であり、リジン残基のε−アミノ基は、アミン反応性官能性連結基との反応によって直接、あるいは、チオール含有基(S−アセチルチオ酢酸N−スクシンイミジル(SATA,CAS 76931−93−6)又はこれらの誘導体など)による誘導化後に、アセテート基をヒドロキシルアミンで開裂し、ハプテン上で官能性連結基と反応させるためにチオール基を露出することで、結合のために用いられうる。チオール基は、また、タンパク質担体内のジスルフィド結合を、限定はしないが、2−メルカプトエチルアミンなどの中程度の還元剤で還元することで担体に導入され得る(Bilah,M.,et.al.,Bioelectrochemistry,2010,80(1):49を参照のこと、ホスフィン試薬に関してはKirley,T.L.,Analytical Biochemistry,1989,180(2):231 or dithioerythritol(DTT,CAS 3483−12−3)Cleland,W.,Biochemistry,1964,3:480〜482を参照のこと。
【0149】
一般的な反応スキーム
本発明の代表的な化合物は、以下に記載される一般的合成方法に従って合成することができる。式(I)の化合物は、当業者に既知の方法により調製することができる。以下の反応スキームは、本発明の実施例を表すことのみを意味し、決して本発明の限定であることを意味しない。
【0151】
式Iの化合物(式中、R
2は、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hである)は、スキーム1に従って生成され得る。実施例1の工程1に記載したように調製した(1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メタンアミンの反応は、ピリジンなどの溶媒中、室温〜60℃の範囲の温度で、約48時間、無水コハク酸又は無水グルタル酸などの環状無水化合物によって進行する。当業者は、式Iの化合物(式中、R
1は、CH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hである)を作製するのに、同じ化学反応が使用され得ることを認識するであろう。
【0154】
【化56】
である)は、スキーム2に従って生成され得る。スキーム1に記載したように調製した式Iの化合物(式中、R
2はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hである)は、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、シアノホスホン酸ジエチル、及び、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基で処理される。この反応は、ジクロロメタンなどの溶媒中、約2時間室温で行われる。ピペラジニル基の脱保護を、スキーム2で記載したように無水トリフルオロ酢酸によって行い、その後、ジイソプロピルエチルアミンなどの好適な塩基の存在下、無水コハク酸又は無水マレイン酸などの適切な無水物と反応させる。当業者は、式Iの化合物(式中、R
1は
【0155】
【化57】
である)を作製するのに、同じ化学反応が使用され得ることを認識するであろう。
【0158】
【化59】
である)は、スキーム3に従って生成され得る。マレイミドは、当該技術分野で既知の任意の方法によって組み込まれ得る。2,5−ジオキソピロリジン−1−イル2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)酢酸塩などのマレイミド官能化基(式中、mは1である)は、DM又はCH
2Cl
2などの溶媒、及びトリブチルアミン又はトリエチルアミンなどの塩基中で使用され得る。あるいは、スキーム2で記載した脱保護されたピペラジニル基を、スキーム3で記載したようにマレイミド官能基と合成して、式Iの化合物(式中、R
1は
【0159】
【化60】
である)を生じてもよい。当業者は、式Iの化合物(式中、R
2は
【0160】
【化61】
である)を作製するのに、同じ化学反応が使用され得ることを認識するであろう。
【0161】
スペーサ及び連結基がオランザピンのジアゼピン環の非置換第二級窒素に結合している化合物は、スキーム4〜8に示される反応によって得られ得る。窒素のアシル化は、Su,J.らによって、Bioorganic and Med.Chem.Letters,2006,16:4548で記載されている。非プロトン性溶媒中、無水条件下で、塩基の存在下、コハク酸のモノエステルモノ酸塩化物を使用することで、中間体がもたらされ、そのエステル官能性は、例えば水性塩基などの当業者に既知の標準的な条件を使用して加水分解され、本明細書で上述され、本開示の実施例によって図示される方法によって免疫原へと更に合成され得るハプテンがもたらされ得る。
【0163】
上記のSuらもスルホンアミドの調製を報告している。スキーム5で示されるように、非プロトン性溶媒中、無水条件下で、塩基の存在下、官能化された塩化スルホニルを使用することで、カルボキシハプテンが調製され、本明細書で上述され、本開示の実施例によって図示される方法によって免疫原へと変換され得る。
【0165】
上述のSuらは、スキーム6で示されるように、亜硝酸エステルで環窒素をジアゾ化した後、酢酸中で亜鉛で還元することによるヒドラジンの調製方法も教示している。生じたヒドラジンは、スキーム7で示されるように、多くの方法によって更に官能化され得る。本明細書の他の箇所で記載されるように、DMFなどの溶媒中、例えばトリブチルアミンのようなアミン塩基の存在下、例えば、AMASのような二官能性スペーサビルディングブロックとの反応によって、チオール基との反応により担体に結合し得るマレイミドハプテンがもたらされ得る。例えば、m−カルボキシベンゼンスルホニルクロリドのような官能化された塩化スルホニルを有する塩基の存在下でスルホニル化することによって、本明細書で上述され、本開示の実施例によって図示される方法によって担体に結合するカルボキシ基を担持するスルホニルヒドラジドがもたらされ得る。加えて、米国特許第4022780号に記載されるように、ヒドラジンを、例えば、官能化されたアルデヒド又はケトン(例えば、レプリン酸)と、縮合によって生じた水が除去される条件下で、触媒量の酸を用いて反応させると、スキーム7で示されるヒドラゾンがもたらされる。次いで、ヒドラゾンを、上記で参照されるSu,J.らの方法のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを使用して還元すると、飽和誘導体がもたらされ得る。
【0168】
スキーム8で示される環窒素の直接アルキル化はまた、アルキル基を直接オランザピンに付加するために、米国特許第6034078号で記載された方法を使用して行われうる。例えば、4−クロロ酪酸メチルのような官能化されたアルキルハライドを使用することで中間体を得てもよく、この中間体は当業者に既知の標準的な条件を使用する加水分解によってハプテンを提供し、これを、本明細書で上述され、本開示の実施例で図示される方法によって免疫原へと更に合成してもよい。
【0171】
マレイミド官能化ハプテン(式中、R
1又はR
2は
【0172】
【化68】
である)は、スキーム9に示される方法に従って、タンパク質とコンジュゲートされ得る。ε−窒素をS−アセチルチオ酢酸N−スクシンイミジル(SATA)でアシル化することによるタンパク質リジン残基の活性化後、次いでヒドロキシルアミンによるS−アセチル基の加水分解により、求核性スルフヒドリル基が生成される。スルフヒドリル活性化タンパク質とマレイミド誘導体化ハプテン(一般的なスキーム(3)で記載したように調製した)とのコンジュゲーションは、マイケル付加反応を介して進行する。好適なタンパク質は当業者に既知であり、キーホールリンペットヘモシアニン、ウシサイログロブリン、又はオボアルブミンが挙げられる。タンパク質をマレイミド官能化ハプテン(式中、R
1又はR
2は
【0173】
【化69】
である)にコンジュゲートするのに同じ方法論が使用され得る。
【0175】
カルボン酸官能化ハプテン(式中、R
1又はR
2はCH
2NHC(O)(CH
2)
mCO
2Hである)は、スキーム10で示される方法に従ってタンパク質とコンジュゲートされ得る。DMFなどの溶媒中、約20℃の温度で約18時間、N−ヒドロキシスクシンイミド及びジシクロヘキシルカルボジイミドなどの好適なカップリング剤、並びにトリブチルアミンなどの塩基を反応させることで、ヒドロキシピロリジ−2,5−ジオン遊離基を有するカルボン酸が活性化される。活性化リンカー及びハプテンは、次に、pH 7.5のリン酸塩緩衝液などの溶媒中で、約20℃で約2.5時間、タンパク質とコンジュゲートされ得る。好適なタンパク質は当業者に既知であり、キーホールリンペットヘモシアニン、ウシサイログロブリン、又はオボアルブミンが挙げられる。タンパク質をカルボン酸官能化ハプテン(式中、R
1又はR
2は
【0176】
【化71】
である)にコンジュゲートするのに同じ方法論が使用され得る。
【0177】
抗体生成
上述のコンジュゲートは、それらが産生される抗精神病薬(オランザピン)と結合する抗体の生成に有用である。これらの抗体は、患者サンプル中の抗精神病薬の存在及び/又は量を検出するアッセイに使用され得る。かかる検出によって、治療薬物モニタリングがその利点を全て受けることが可能となる。抗精神病薬のレベルの検出は:リスペリドン、パリペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、及びこれらの代謝産物からなる群から選択されるものなどである、他の抗精神病薬の検出と組み合わせた検出であって、かかる検出は、これらの抗精神病薬を同時に測定することが可能である;規定の療法に対する患者のアドヒアランス又は遵守の決定;患者を経口による抗精神病投薬計画から持続性注射剤による抗精神病投薬計画に変更すべきかどうかを決定する決定ツールとしての使用;有効又は安全な薬剤レベルを確実に達成又は維持するために、抗精神病薬抗精神病経口薬又は注射剤の投与レベル又は投与間隔を増加又は減少させるべきかを決定する決定ツールとしての使用;最小pKレベルが得られるという証拠を提供することで、抗精神病薬による療法の開始に役立つものとしての使用;複数の処方又は複数の源からの抗精神病薬の生物学的同等性を決定するための使用;多剤併用及び薬剤−薬剤間の潜在的な相互作用による影響を評価するための使用;並びに、患者を臨床治験から除外するか、又は参加させるかの指標としての使用、次いで臨床治験における投薬要求に対するアドヒアランスのモニタリングに役立つものとしての使用;などの多くの目的において有用であり得る。
【0178】
本明細書中の化合物及び免疫原性担体を含む、本発明のコンジュゲートを提供することで、例えば、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、及びヒト化抗体のような、抗精神病薬と結合する抗体が産生され得る。特に想定されるかかる抗体としては、モノクローナル及びポリクローナル抗体並びにこれらのフラグメント、例えば、抗原結合ドメイン及び/又はこれらの抗体に対する1つ以上の相補性決定領域を含有する組み換えタンパク質が挙げられる。好ましくは、抗体は薬剤及び所望の薬理学的活性代謝産物と結合するであろう。薬剤コンジュゲートにおいて、免疫原性担体の結合位置を変更することで、代謝産物及び/又は関連薬剤の選択性及び交差反応性を抗体に操作することができる。オランザピンにおいて、近縁の薬剤であるクロザピンとの交差反応性は妥当でありうるか、または妥当とは限らず、及び10−N−グルロニド又は4−N−デスメチルオランザピンなどのオランザピン代謝産物との交差反応性は妥当でありうるか、または妥当とは限らない。これらの薬剤及び/又は代謝産物のうちの複数のものを検出する抗体を産生してもよく、又は各々を別個に検出する抗体(つまり、「特異的結合」特性を有する抗体と定義する)を産生してもよい。抗体は、1つ以上の化合物の結合が等モル又は実質的に等モルで行われる場合、1つ以上の化合物に特異的に結合する。
【0179】
かかる抗体の生成方法には、本発明の特徴を具体化するコンジュゲート(化合物及び免疫原である免疫原性担体)を接種することを含む。好適な宿主としては、限定はされないが、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ロバ、ウマ、サル、チンパンジー、オランウータン、ゴリラ、ヒト、及び、成熟免疫応答を開始することができる任意の種が挙げられる。免疫手順は、当該技術分野において確立しており、多くの学術論文及びDavid Wildによって編集された(Nature Publishing Group,2000)「The Immunoassay Handbook(第2版)」などの刊行物及び本明細書で引用される参照文献に記述されている。
【0180】
好ましくは、本発明の特徴を具体化する免疫原は、アジュバントと組み合わせて、例えば、動物又はヒトのような宿主被検体に投与される。好適なアジュバンドとしては、限定されないが、フロイントアジュバント、粉末水酸化アルミニウム(ミョウバン)、百日咳菌を加えた水酸化アルミニウム、及びモノホスホリル脂質A合成トレハロースジコリノミコレート(MPL−TDM)が挙げられる。
【0181】
ポリクローナル抗体は、任意でアジュバントと一緒に投与され得る1回以上の免疫原の注射によって、哺乳類宿主中で作製され得る。典型的には、免疫原又は免疫原とアジュバントとの組み合わせを、1回又は複数回の皮下注射又は腹腔内注射によって哺乳類宿主に注射する。好ましくは、免疫プログラムは、少なくとも1週間にわたって、より好ましくは2週間以上にわたって実行される。このようにして生成されたポリクローナル抗体は、当該技術分野で周知の方法を用いて単離及び精製され得る。
【0182】
モノクローナル抗体は、Kohler及びMilsteinの確立されたハイブリドーマ法(例えば、Nature 256:495〜497(1975))によって生成され得る。ハイブリドーマ法は、典型的には、宿主又は宿主のリンパ球を免疫すること、モノクローナル抗体分泌リンパ球または分泌能を有するリンパ球を採取すること、リンパ球を不死化細胞に融合すること、及び所望のモノクローナル抗体を分泌する細胞を選択することを含む。
【0183】
宿主を免疫すると、免疫原に対して特異的な抗体を生成するか、又は生成することができるリンパ球を誘発することができる。あるいは、リンパ球をインビトロで免疫することができる。ヒト細胞が望ましい場合、末梢血リンパ球が使用され得るが、脾臓細胞又は他の哺乳類源からのリンパ球が好ましい。
【0184】
リンパ球を不死化細胞株と融合するとハイブリドーマ細胞を形成することができ、そのプロセスは、例えばポリエチレングリコールのような融合剤を使用することで促進され得る。実例として、形質転換によって不死化された変異体げっ歯類、ウシ、又はヒト骨髄腫細胞が使用され得る。非融合不死化細胞とは対照的に、実質的に純粋なハイブリドーマ細胞の集団が好ましい。したがって、融合後、例えば、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスファーゼ(HGPRT)を欠いた変異体骨髄腫細胞を使用することで、非融合の不死化細胞の成長又は生存を阻害する好適な培地で細胞は成長することができる。このような例において、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを培地(HAT培地)に添加すると、HGPRT−欠損細胞の成長が阻止されつつも、ハイブリドーマの成長は可能となる。
【0185】
好ましくは、効果的に融合した不死化細胞は、HATなどの培地中での選択によって混合集団から単離され、安定した高レベルでの抗体発現を支持することができる。好ましい不死化細胞株としては、American Type Culture Collection,Manassas,VAから入手可能な骨髄腫細胞株が挙げられる。
【0186】
ハイブリドーマ細胞は、典型的には抗体を細胞外に分泌することから、培地を抗精神病薬に対して特異的なモノクローナル抗体の存在に関してアッセイすることができる。例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)酵素結合のようなインビトロ結合アッセイによる免疫沈降は、モノクローナル抗体の結合特異性を測定するのに使用され得る。
【0187】
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマ細胞は、限界希釈法及び継代培養することで、単一クローンとして単離され得る。好適な培地としては、限定されないが、ダルベッコ変法イーグル培地、RPMI−1640、及び、例えばUltra DOMA PF又はHL−1のようなポリペプチド非含有、ポリペプチド還元された、又は無血清の培地(Biowhittaker,Walkersville,MDから入手可能)が挙げられる。又は、ハイブリドーマ細胞は、生体内で腹水として成長し得る。
【0188】
モノクローナル抗体は、限定はされないが、ポリペプチドA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析、硫酸アンモニウム沈殿、及びアフィニティクロマトグラフィなどの従来の免疫グロブリン(Ig)精製法によって培養培地又は腹水から単離及び/又は精製され得る。
【0189】
モノクローナル抗体は、米国特許第4,166,452号に記載されるような組み換え法によっても生成され得る。好ましくは、抗精神病薬に対して特異的な抗体を分泌するモノクローナル抗体ハイブリドーマ細胞株から単離されたDNAをプロービングするために、従来の手順を使用して、例えば、ネズミの重鎖及び軽鎖抗体遺伝子、と特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブを使用して、モノクローナル抗体をコードするDNAを単離及びシークエンスすることができる。
【0190】
イムノアッセイ
このようにして生成された抗体は、抗精神病薬を認識/結合し、それによって患者サンプル中の薬剤の存在及び/又は量を検出することができるイムノアッセイに使用され得る。好ましくは、アッセイフォーマットは、競合的イムノアッセイフォーマットである。かかるアッセイフォーマット及び他のアッセイは、他所でも記載されている(Hamptonら(Serological Methods,A Laboratory Manual,APS Press,St.Paul,MN 1990)及びMaddoxら(J.Exp.Med.158:12111,1983))。
【0191】
上述されるように、抗体を含む試薬キットも提供され得る。代表的な試薬キットは、抗精神病薬であるオランザピンに結合する抗体、標識部分に連結された抗精神病薬の類似体又はそれらの誘導体を含む複合体を含み、既知の量の抗精神病薬又は関連標準物質を含む1つ以上のキャリブレータを1つ以上含んでもよい。
【0192】
上述のように、試薬キットは、測定される既知量の検体を含むキャリブレータ及び/又は対照物質を含み得る。検体の濃度は、サンプルについて得られた結果と、標準物質について得られた結果とを比較することで算出され得る。較正曲線を作成して、これを用いて、一連の結果を関連付けて、サンプル中の検体の濃度を決定することができる。
【0193】
例えば、抗精神病薬のような検体を含有すると思われる任意のサンプルは、現状好ましい実施形態の方法に従って、分析され得る。所望であれば、サンプルは前処理されてよく、アッセイに影響を与えない任意の従来の培地で調製され得る。好ましくは、サンプルは、宿主からの体液などの水性媒体、最も好ましくは血漿または血清を含む。
【0194】
以下の同時継続出願:題目「Haptens of Aripiprazole」(代理人整理番号:PRD3265USPSP号、代表発明者名:Remmerie)、題目「Haptens of Olanzapine」(代理人整理番号:PRD3266USPSP号、代表発明者名:Remmerie)、題目「Haptens of Paliperidone」(代理人整理番号:PRD3267USPSP号、代表発明者名:Remmerie)、題目「Haptens of Quetiapine」(代理人整理番号:PRD3268USPSP号、代表発明者名:Remmerie)、題目「Haptens of Risperidone and Paliperidone」(代理人整理番号:PRD3269USPSP号、代表発明者名:Remmerie)、題目「Antibodies to Aripiprazole Haptens and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5128USPSP号、代表発明者名:Hryhorenko)、題目「Antibodies to Olanzapine Haptens and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5132USPSP号、代表発明者名:Hryhorenko)、題目「Antibodies to Paliperidone Haptens and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5126USPSP号、代表発明者名:Hryhorenko)、題目「Antibodies to Quetiapine Haptens and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5134USPSP号、代表発明者名:Hryhorenko)、題目「Antibodies to Risperidone Haptens and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5130USPSP号、代表発明者名;Hryhorenko)、題目「Antibodies to Aripiprazole and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5129USPSP号、代表発明者名:Hryhorenko)、題目「Antibodies to Olanzapine and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5133USPSP号、代表発明者名:Hryhorenko)、題目「Antibodies to Paliperidone and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5127USPSP号、代表発明者名:Hryhorenko)、題目「Antibodies to Quetiapine and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5135USPSP号、代表発明者名:Hryhorenko)、題目「Antibodies to Risperidone and Use Thereof」(代理人整理番号:CDS5131USPSP号、代表発明者名:Hryhorenko)は、全て本明細書と同時に出願され、その内容は全て本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0195】
本発明の代表的な化合物は、以下に記載される一般的合成方法に従って合成することができる。式(I)の化合物は、当業者に既知の方法により調製することができる。以下の実施例は、本発明の実施例を表すことのみを意味し、決して本発明を限定することを意図しない。
【0196】
(実施例1)
(1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メタンアミン
【0197】
【化72】
【0198】
工程A
tert−ブチル3−シアノピペラジン−1−カルボキシレート
【0199】
【化73】
【0200】
tert−ブチル3−シアノピペリジン−1−カルボキシレート(21.1g、0.1モル)及び水性ホルムアルデヒド(24g、37%(水中))のTHF溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(31.5g、0.5モル)を少しずつ加えた。反応混合物を周囲温度で熟成させた後、水で希釈して酢酸エチルで析出させた。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製し、表題の化合物を得た。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ 4.23−4.18(m,1H),4.01−3.97(br,1H),3.92−3.90(br,1H),2.92−2.89(br,1H),2.88−2.87(br,1H),2.65−2.62(m,1H),2.378(s,3H),2.36−2.33(m,1H),1.47(s,9H)。
【0201】
工程B
tert−ブチル3−(アミノメチル)−4−メチルピペラジン−1−カルボキシレート
【0202】
【化74】
【0203】
工程Aで記載されるように調製したtert−ブチル3−シアノ−4−メチルピペラジン−1−カルボキシレート(10.5g、47ミリモル)のメタノール溶液(200mL)に、金属ニッケル(10g)及びトリエチルアミン(5mL)を加えた。混合物を周囲温度で水素ガス雰囲気下(0.3MPa(50psi))で一晩撹拌した。tert−ブチル3−シアノ−4−メチルピペラジン−1−カルボキシレートが消費された後、混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮し、粗tert−ブチル3−(アミノメチル)−4−メチルピペラジン−1−カルボキシレートを得て、これを精製せずに次の工程で使用した。
【0204】
工程C
tert−ブチル3−((1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)メチル)−4−メチルピペラジン−1−カルボキシレート
【0205】
【化75】
【0206】
上記の工程で記載されるように調製したtert−ブチル3−(アミノメチル)−4−メチルピペラジン−1−カルボキシレート(5.5g、粗)と重炭酸ナトリウム(2.52g、30ミリモル)のテトラヒドロフラン(100mL)中の混合物に、周囲温度で、2H−イソインドール−2−カルボン酸、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−、エチルエステル(6.59g、30ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)を加えた。30分間の撹拌後、懸濁液を濾過し、濾液を濃縮して生じた粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製し、表題の化合物を得た。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ 7.87−7.85(m,2H),7.87−7.80(m,2H),3.94−3.90(m,1H),3.75−3.65(br,3H),3.43−3.41(br,1H),3.30−3.28(m,2H),3.49(s,3H),2.39−2.38(m,1H),2.30−2.28(m,1H),1.36(s,9H)。
【0207】
工程D
2−((1−メチルピペラジン−2−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン
【0208】
【化76】
【0209】
上記の工程で記載されるようにして調製したtert−ブチル3−((1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)メチル)−4−メチルピペラジン−1−カルボキシレート(8.6g)のメタノール性塩化水素溶液(20mL)を1時間室温で撹拌した。真空下で溶媒を除去し、2−((1−メチルピペラジン−2−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオンを得て、更に精製することなく次の工程で使用した。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ 7.88−7.86(m,2H),7.82−7.80(m,2H),3.99−3.95(m,1H),3.77−3.73(m,1H),3.24−3.23(m,1H),3.29−3.23(m,1H),3.17−3.14(m,1H),3.04−2.84(m,2H),2.81−2.78(m,1H),2.55(s,3H),2.46−2.40(m,1H)。
【0210】
工程E
5−メチル−2−((2−ニトリフェニル)アミノ)チオフェン−3−カルボニトリル
【0211】
【化77】
【0212】
2−アミノ−5−メチルチオフェン−3−カルボニトリル(13.8g、100ミリモル)及び1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(16.92g、120ミリモル)のジメチルスルホキシド溶液に、水酸化カリウム(11.2g、200ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温にて一晩撹拌した。混合物を水で希釈し、生じた懸濁液を濾過した。濾過ケークを乾燥させて、5−メチル−2−((2−ニトロフェニル)アミノ)チオフェン−3−カルボニトリルを赤色の固体として得て、これを更に精製することなく使用した。
1H NMR:(400MHz,CDCl
3)δ 9.69(s,1H),8.27−8.25(m,1H),7.56−7.52(m,1H),7.23−7.20(m,1H),7.0−6.96(m,1H),6.80(s,1H),2.49(s,3H)。
【0213】
工程F
2−((2−アミノフェニル)アミノ)−5−メチルチオフェン−3−カルボニトリル
【0214】
【化78】
【0215】
上記の工程で記載されるように調製された5−メチル−2−((2−ニトロフェニル)アミノ)チオフェン−3−カルボニトリル(43.3g、0.157モル)酢酸エチル溶液(500mL)に、10%のパラジウム炭素(8g)を加えた。黒色の混合物を、水素ガスの雰囲気下、室温で一晩撹拌した。LCMSにより、ほとんどの5−メチル−2−((2−ニトロフェニル)アミノ)チオフェン−3−カルボニトリルが完全に消費されたことが示された後、混合物を濾過し、濾液を濃縮して2−((2−アミノフェニル)アミノ)−5−メチルチオフェン−3−カルボニトリルを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.29−7.21(m,1H),7.11−7.10(m,1H),6.86−6.79(m,2H),6.48−6.47(m,1H),6.42(brs,1H),3.75−3.70(br,2H),2.28(s,3H)。
【0216】
工程G
2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−アミン
【0217】
【化79】
【0218】
イソプロパノール(150mL)中、上記の工程で記載されるように調製された2−((2−アミノフェニル)アミノ)−5−メチルチオフェン−3−カルボニトリル(22.9g、100ミリモル)と塩酸水溶液(50mL、18%)との混合物を80℃で3時間加熱した。生じた懸濁液を濾過し、濾過ケークを乾燥させて、表題の化合物を赤色固体として得た。
1H NMR(400MHz CDCl
3)δ 7.14−7.12(t,1H),7.7.12−7.10(t,1H),6.95−6.93(d,J=8MHz,1H),6.81−6.79(d,J=8MHz,1H),6.70(s,1H),2.30(s,3H)。
【0219】
工程H
2−((1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン
【0220】
【化80】
【0221】
工程Dで記載されるように調製された2−((1−メチルピペラジン−2−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン(100mg、0.38ミリモル)、工程Gで記載されるように調製された2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−アミン(150mg、0.52ミリモル)、及びジイソプロピルエチルアミン(0.49g、3.8ミリモル)のジメチルスルホキシド溶液(0.5mL)を170℃で2時間撹拌した。反応物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を濃縮し、残渣をカラムで精製して15mgの2−((1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオンを得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.76−7.73(m,1H),7.45−7.35(m,3H),7.18−7.17(m,1H),6.98−6.95(m,2H),6.75−6.73(m,1H),6.46(s,1H),4.28−4.25(m,1H),3.96−6.92(m,1H),3.71−3.64(m,3H),3.47−3.41(m,1H),3.29−3.28(m,1H),3.12−3.09(m,1H),2.87−2.86(m,1H),2.67−2.53(m,3H),2.28(s,3H)。
【0222】
工程I
(1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メタンアミン
【0223】
【化81】
【0224】
上記の工程で記載されるように調製された2−((1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン(1.0g)のエタノール性メチルアミン溶液(20mL)を周囲温度で一晩撹拌した。真空下で溶媒を除去し、残渣をHPLCで精製して、(1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メタンアミンの塩酸塩を赤色固体として得た。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ 7.46−7.44(m,1H),7.31−7.48(m,1H),7.19−7.15(m,1H),6.97−6.95(m,1H),6.74(s,1H),4.80−4.71(br,1H),4.28−4.20(br,2H),4.07−4.04(br,2H),3.82−3.70(br,3H),3.53−3.48(m,1H),3.18(s,3H),2.42(m,3H);ESI−MS(M+1):342(計算値)C18H23N5S精密重量:341.17。
【0225】
(実施例2)
2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−((1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メチル)アセトアミド
【0226】
【化82】
【0227】
実施例1で記載したように調製した(1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メタンアミン(10.3mg、30.2μモル)のDMF(570μL)及びトリブチルアミン(13.3μL)溶液に、N−(α−マレイミドアセトキシ)スクシンイミドエステル(AMAS、10mg/mL、7.6mg、30.2μモル)のDMF溶液(760μL)を加えた。生じた溶液を20℃で18時間撹拌した後、チオール活性化タンパク質とのコンジュゲーション反応に使用した。
【0228】
(実施例3)
(2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メタンアミン
【0229】
【化83】
【0230】
工程A
2−(4−シアノ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−5−メチル−チオフェン−3−カルボニトリル
【0231】
【化84】
【0232】
水素化ナトリウム(60%、0.58g)のTHF懸濁液(2mL)に、THF(10mL)中の4−フルオロ−3−ニトロ−ベンゾニトリル(1.33g、8.0ミリモル)及び2−アミノ−5−メチル−チオフェン−3−カルボニトリル(1.10g、8.0ミリモル)を滴加した。混合物を室温で一晩撹拌した。更に、水素化ナトリウムのバッチを2つ(60%、0.50g及び0.4g)をそこから6時間にわたって加えた。3日間の撹拌後、混合物を氷水(20mL)に加え、6N塩酸(7mL)でpH 3まで酸性化した。沈殿物を濾過し、水で洗浄した。ジクロロメタン(35mL)で固体を抽出した。溶液を固体になるまで濃縮し、更に精製することなく次の工程で使用した。LC−MS:m/z 285(M+1),307(M+23).
1H NMR(CDCl
3,400MHz):δ(ppm)9.76(s,1H),8.59(s,1H),7.70(d,1H),7.14(d,1H),6.87(s,1H),2.52(s,1H)。
【0233】
工程B
10−アミノ−2−メチル−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−カルボニトリル塩酸塩
【0234】
【化85】
【0235】
上記の工程に記載したように調製した2−(4−シアノ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−5−メチル−チオフェン−3−カルボニトリル(0.52g)のエタノール懸濁液(5mL)に、6N−HCl中の塩化スズ(1.36g、7.2ミリモル)を加えた。混合物を85℃の油浴で3時間加熱した後、氷浴で冷却した。固体を濾過し、水で洗浄し、茶色になるまで乾燥させて、無機塩を含有する茶色の固体として表題の化合物を得て、更に精製することなく、次の工程で使用した。LC−MS:m/z 255(遊離塩基のM+1)。
1H NMR(DMSO−d
6,400MHz):δ(ppm)11.18(br,1H),10.09(s,1H),9.35(br,1H),8.94(br,1H),7.54(d,1H),7.27(s,1H),6.95(d,1H),2.26(s,3H)。
【0236】
工程C
2−メチル−10−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−カルボニトリル
【0237】
【化86】
【0238】
上記の工程で記載したように調製した10−アミノ−2−メチル−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−カルボニトリル塩酸塩(0.6g)のDMSO(6mL)及びトルエン(6mL)の溶液に、1−メチルピペラジン(4mL)を加えた。混合物を130℃の油浴中で17時間加熱した。溶液を濃縮し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄した後、濃縮した。固体をジクロロメタン(10mL)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で処理した。明黄色の沈殿物として表題の化合物を収集し、水及びジクロロメタンで洗浄し、乾燥させて、更に精製することなく、次の工程で使用した。LC−MS:m/z 338(M+1)。
1H NMR(CD
3OD,400MHz):δ(ppm)7.19−7.15(m,2H),6.74(d,1H),6.37(s,1H),3.51(m,4H),2.53(m,4H),2.34(s,3H),2.32(s,3H)。
【0239】
工程D
(2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メタンアミン
【0240】
【化87】
【0241】
上記の工程で記載したように調製した2−メチル−10−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−カルボニトリル(0.25g)のメタノール溶液(90mL)に、濃HCl(0.4mL)及びパラジウムブラック(57mg)を加えた。0.3MPa(50psi)で1時間、水素添加を実行した。更に、パラジウムブラック(147mg)を加えた。0.3MPa(50psi)で22時間、混合物を撹拌した。触媒を濾過し、メタノールで洗浄した。濾液を濃縮し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(5mL)で処理し、濃縮乾固した。生成物をシリカカラムで精製した。LC−MS:m/z 342(M+1)。
1H NMR(CD
3OD,400MHz):δ(ppm)6.89−6.85(m,2H),6.64(d,1H),6.34(d,1H),3.66(s,2H),3.46(m,4H),2.54(m,4H),2.34(s,3H),2.30(d,3H)。
【0242】
(実施例4)
2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−(2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メチル)アセトアミド
【0243】
【化88】
【0244】
実施例3で記載したように調製した(2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メタンアミン(3.5mg、10.2μモル)のDMF(185μL)及びトリブチルアミン(4.5μL)の溶液に、N−(α−マレイミドアセトキシ)スクシンイミドエステル(AMAS、10mg/mL、2.6mg、10.2μモル)のDMF溶液(260μL)を加えた。生じた溶液を20℃で90分間撹拌した後、チオール活性化タンパク質とのコンジュゲーション反応にそのまま使用した。
【0245】
(実施例5)
6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−((2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メチル)ヘキサンアミド
【0246】
【化89】
【0247】
実施例3で記載したように調製した(2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メタンアミン(59mg、0.17ミリモル)のジクロロメタン溶液(4mL)に、ジクロロメタン(1mL)中のトリエチルアミン(0.048mL、0.34ミリモル)及び6−マレイミドヘキサン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(53mg、0.17ミリモル)を加えた。溶液を室温で40分間撹拌した後、シリカカラム上にロードして、トリエチルアミンを含む3〜5%メタノール/ジクロロメタンで溶出した。表題化合物を黄色固体として得た。LC−MS:m/z 535(M+1)。
【0248】
(実施例6)
N−[2−メチル−10−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−イルメチル]−スクシンアミド酸
【0249】
【化90】
【0250】
工程A
コハク酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステルメチルエステル
【0251】
【化91】
【0252】
1−ヒドロキシ−ピロリジン−2,5−ジオン(1.23mL、10ミリモル)の酢酸エチル溶液(50mL)に、3−クロロカルボニル−プロピオン酸メチルエステル(1.15g、10ミリモル)を加えた。混合物を氷浴中で冷却した。トリエチルアミン(1.4mL、10ミリモル)を滴加した。生じた懸濁液を氷浴で10分間撹拌し、氷浴なしで5分間撹拌した。白色固体を濾過によって除去し、酢酸エチルで洗浄した(3×3mL)。濾液を濃縮して白色固体を得た(2.32g)。
【0253】
工程B
N−[2−メチル−10−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−イルメチル]−スクシンアミド酸メチルエステル
【0254】
【化92】
【0255】
実施例3で記載したように調製した(2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メタンアミン(40mg、0.12ミリモル)のジクロロメタン溶液(2mL)に、トリエチルアミン(0.030mL、0.22ミリモル)、及び上述の工程で記載したように調製したコハク酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステルメチルエステル(31mg、0.13ミリモル)を加えた。溶液を室温で1時間撹拌し、濃縮した。粗濃縮液をシリカカラムにロードして、水酸化アンモニウムを含む3〜5%メタノール/ジクロロメタンで溶出して、表題の化合物を黄色固体として得た。LC−MS:m/z 456(M+1)。
【0256】
工程C
N−[2−メチル−10−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−イルメチル]−スクシンアミド酸
【0257】
【化93】
【0258】
上記の工程で記載したように調製したN−[2−メチル−10−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−イルメチル]−スクシンアミド酸メチルエステル(80mg、0.18ミリモル)のTHF溶液(1.5mL)に、LiOH(14mg)水溶液(0.5mL)を加えた。溶液を室温で3時間撹拌し、希HClで酸性化して、濃縮乾固した。LC−MS:m/z 442(親化合物のM+1)。
【0259】
(実施例7)
2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−((1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メチル)アセトアミド−キーホールリンペットヘモシアニン−コンジュゲート
【0260】
工程A
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH、15.2mg、0.152μモル)の100mMリン酸緩衝液溶液(0.46M塩化ナトリウム、pH 7.4)(3.19mL)に、S−アセチルチオ酢酸N−スクシンイミジル(SATA、25mg/mL、1.75mg、7.60μモル)のDMF溶液(70.3μL)を加えた。生じた溶液を20℃で1時間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液に、319μLの2.5Mヒドロキシルアミン(50mM EDTA、pH 7.0)を加え、生じた溶液を20℃で25分間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液を、100mMリン酸緩衝液(0.46M塩化ナトリウム、5mM EDTA、pH 6.0)を使用してSephadex G−25カラムで精製した。
【0261】
工程B
上記の工程で記載したように調製したKLH−SH(4.29mL、12.7mg、0.127μモル)に、実施例2で調製された溶液のアリコート(566.6μL、12.7μモル)を加えた。生じた混濁混合物を20℃で2時間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液を、20μmシリンジフィルターを通して濾過した後、100mMリン酸緩衝液(0.46M塩化ナトリウム、pH 7.4)を使用してSephadex G−25カラムで精製した。
【0262】
(実施例8)
2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−((1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メチル)アセトアミド−ウシサイログロブリン−コンジュゲート
【0263】
工程A
ウシサイログロブリン(BTG、20.0mg、0.03μモル)の100mMリン酸緩衝溶液(pH 7.5)(2.0mL)に、S−アセチルチオ酢酸N−スクシンイミジル(SATA、25mg/mL、6.9mg、30.0μモル)のDMF溶液(276.0μL)を加えた。生じた溶液を20℃で1時間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液に、2.5Mヒドロキシルアミン(50mM EDTA、pH 7.0)(230μL)を加えた。生じた溶液を20℃で15分間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液を、100mMリン酸緩衝液(5mM EDTA、pH 6.0)を使用して、Sephadex G−25カラムで精製した。
【0264】
工程B
上記の工程で記載したように調製したBTG−SH(4.73mL、14.3mg、0.022μモル)に、実施例2で調製された溶液のアリコート(969.6μL、21.7μモル)を加えた。生じた混濁混合物を20℃で3時間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液を、0.45μmシリンジフィルターを通して濾過した後、100mMリン酸緩衝液(0.14M塩化ナトリウム、pH 7.4)を使用してSephadex G−25カラムで精製した。
【0265】
(実施例9)
2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−((1−メチル−4−(2−メチル−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−4−イル)ピペラジン−2−イル)メチル)アセトアミド−オボアルブミン−コンジュゲート
工程A
オボアルブミン(12.0mg、0.27μモル)の100mMリン酸緩衝溶液(pH 7.5)(1.2mL)に、S−アセチルチオ酢酸N−スクシンイミジル(SATA、25mg/mL、1.25mg、5.42μモル)のDMF溶液(50.1μL)を加えた。生じた溶液を20℃で1時間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液に2.5Mヒドロキシルアミン(50mM EDTA、pH 7.0)(120μL)を加えた。生じた溶液を20℃で15分間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液を100mMリン酸緩衝液(5mM EDTA、pH 6.0)を使用して、Sephadex G−25カラムで精製した。
【0266】
工程B
上記の工程で記載したように調製したオボアルブミン−SH(4.2mL、8.0mg、0.18μモル)に、実施例2で調製された溶液のアリコート(200μL、4.5μモル)を加えた。生じた混合物を20℃で3時間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液を、100mMリン酸緩衝液(0.14塩化ナトリウム、pH 7.4)を使用して、Sephadex G−25カラムで精製した。
【0267】
(実施例10)
2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−((2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メチル)アセトアミド−キーホールリンペットヘモシアニン−コンジュゲート
実施例7工程Aで記載したように調製したKLH−SH(3.31mL、9.8mg、0.098μモル)に、実施例4で記載したように調製した2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−((2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メチル)アセトアミド溶液(6.9μモル)のアリコート(300μL)を加えた。生じた混濁混合物を20℃で2.5時間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液を、0.2μmシリンジフィルターを通して濾過した後、100mMリン酸緩衝液(0.46M塩化ナトリウム、pH 7.4)を使用してSephadex G−25カラムで精製した。
【0268】
(実施例11)
2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−((2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メチル)アセトアミド−オボアルブミン−コンジュゲート
実施例9工程Aで記載したように調製したオボアルブミン−SH(5.38mL、17.8mg、0.40μモル)に、実施例4で記載したように調製した2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)−N−((2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−10H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−7−イル)メチル)アセトアミド溶液(10.2μモル)のアリコート(200μL)を加えた。生じた混合物を20℃で3時間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液を、0.45μmシリンジフィルターを通して濾過した後、100mMリン酸緩衝液(0.14M塩化ナトリウム、pH 7.4)を使用してSephadex G−25カラムで精製した。
【0269】
(実施例12)
N−[2−メチル−10−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−イルメチル]−スクシンアミド酸ウシサイログロブリン−コンジュゲート
工程A
DMF溶液(500μL)及びトリブチルアミン(5μL)中の、実施例6で記載したように調製したN−[2−メチル−10−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−4H−3−チア−4,9−ジアザ−ベンゾ[f]アズレン−7−イルメチル]−スクシンアミド酸(7.9mg、18.0μモル)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS、8.3mg、72.0μモル)及びN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(14.9mg、72.0μモル)の溶液を、20℃で18時間撹拌した後、タンパク質とのコンジュゲーションにそのまま使用した。
【0270】
工程B
ウシサイログロブリン(BTG、14.9mg、0.023μモル)の100mMリン酸緩衝液溶液(pH 7.5)(2.98mL)に、工程Aで調製された溶液(18.0μモル)(500μL)を加えた。生じた混濁混合物を20℃で2.5時間、ローラー式攪拌機でインキュベートした。反応液を、0.45μmシリンジフィルターを通して濾過した後、100mMリン酸緩衝液(0.14M塩化ナトリウム、pH 7.4)を使用してSephadex G−25カラムで精製した。
【0271】
(実施例13)
オランザピンの競合的イムノアッセイ
オランザピン免疫原による一連の免疫後、マウス尾出血を、ELISAを使用して、反応性に関して試験した。ハイブリドーマ上清も試験を行い、以下の表1及び表2で示されるELISAのデータは、いくつかのハイブリドーマの反応性を示している(融合パートナーは、NSO細胞であった)。
【0272】
【表9】
【0273】
【表10】
【0274】
次に、競合的ELISAによって上清を試験し、シグナルが、オランザピンに特異的であるか否かを決定した。
図1〜3は、マウス融合体11.1から得られた3つの代表的なハイブリドーマから得られた結果を示す。データは、オランザピンに対して特異的反応性を示すが、クロザピンに対しては多様な反応性を示す。
【0275】
図4は、ラテラルフローアッセイデバイスに使用される競合的イムノアッセイフォーマットを示しており、このデバイスにおいて、捕捉抗体であるオランザピンクローンがフルオロフォアにコンジュゲートされたオランザピンからなる検出コンジュゲートと共にチップに入っている。表4で示されるようなこの競合的フォーマットにおいて、検体(オランザピン)のレベルが低いと高いシグナルを生じ、検体(オランザピン)のレベルが高いと低いシグナルを生じる。サンプル中のオランザピンの量は、薬剤が存在しない対照サンプルと比較した蛍光の喪失から算出され得る。オランザピンクローン35について得られた典型的な用量反応曲線を
図5に示し、オランザピンクローン61について得られた用量反応曲線を
図6に示し、及びオランザピンクローン3F11について得られた用量反応曲線を
図7に示す。