(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
脂環式オレフィン樹脂からなる基材フィルム、前記基材フィルムの一方の面側に設けられた保護フィルム、及び前記基材フィルムのもう一方の面側に設けられた無機層を含む積層フィルムの製造方法であって、
前記保護フィルムの表面を活性化処理する第一の工程と、
前記基材フィルムの一方の面側に、前記保護フィルムを、前記活性化処理を施した面が接するように貼合する第二の工程と、
前記基材フィルムのもう一方の面側に無機層を形成する第三の工程と
を含み、
前記第一の工程、前記第二の工程、及び前記第三の工程は、この順で行われ、
前記保護フィルムは、熱可塑性樹脂からなり、140℃以上の熱変形温度を有し、且つ厚みが75μm以上200μm以下である樹脂層を含む、製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態及び例示物等を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
【0013】
〔積層フィルム:概要〕
本発明の積層フィルムは、基材フィルム、基材フィルムの一方の面側に設けられた保護フィルム、及び基材フィルムのもう一方の面側に設けられた無機層を含む。
【0014】
〔基材フィルム〕
基材フィルムは、脂環式オレフィン樹脂からなる。脂環式オレフィン樹脂は、脂環式オレフィン重合体と、必要に応じてその他の任意の成分とを含有する樹脂である。
【0015】
脂環式オレフィン重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する非晶性の熱可塑性重合体である。脂環式オレフィン重合体は、通常、脂環式オレフィンの重合により得られる構造を有する。
基材フィルムとして、脂環式オレフィン樹脂からなるものを用いることにより、バリア性能の高い積層フィルムを得ることができる。つまり、脂環式オレフィン樹脂は吸湿性が低いため、基材としての機械的強度と高い水蒸気バリア性能とを発揮し、積層フィルムのバリア性能を高めることができる。
【0016】
脂環式オレフィン重合体中の脂環構造は、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造であってもよく、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造であってもよい。機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。脂環構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
【0017】
脂環式オレフィン重合体全体における、脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式オレフィン重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、透明性および耐熱性の観点から好ましい。
【0018】
脂環式オレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及び、これらの水素化物等が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン重合体は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
【0019】
ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体、又はそれらの水素化物;などを挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適である。ここで「(共)重合体」とは、重合体及び共重合体のことをいう。
【0020】
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.1
2,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.1
2,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。また、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0021】
極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン酸基などが挙げられる。
【0022】
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類およびその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンおよびその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0023】
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
【0024】
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素原子数2〜20のα−オレフィンおよびこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィンおよびこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0025】
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
【0026】
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、及び、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素添加物は、例えば、これらの重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素添加触媒の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。
【0027】
脂環式オレフィン樹脂に含まれる脂環式オレフィン重合体の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサンを用いて(但し、重合体がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上であり、通常100,000以下、好ましくは80,000以下、より好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあることにより、得られる基材フィルムの機械的強度及び成型加工性などが高度にバランスされるため好ましい。
【0028】
脂環式オレフィン樹脂は、脂環式オレフィン重合体として、これらの重合体のうち1種類のみを単独で含有してもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含有してもよい。また、基材フィルムは、複数の、脂環式オレフィン樹脂の層からなっていてもよく、各層を構成する脂環式オレフィン樹脂は、他の層と同一であってもよく異なっていてもよい。
【0029】
脂環式オレフィン樹脂が含有しうる任意の成分としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を挙げることができる。
これらの添加剤の量は、本発明の効果を損なわない範囲とすることができる。例えば、脂環式オレフィン樹脂に含まれる脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、通常0〜50重量部、好ましくは0〜30重量部である。
【0030】
脂環式オレフィン樹脂は、高い透明性を有するものに必ずしも限られないが、本発明の積層体フィルムを表示装置や光源装置において光を透過することが求められる部分に用いうる有用なものとするという観点から、高い透明性を有するものが好ましい。例えば、脂環式オレフィン樹脂を厚み1mmの試験片として測定した全光線透過率が、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である透明性を有するものが好ましい。
【0031】
脂環式オレフィン樹脂を成形して基材フィルムにする方法は、特に限定されない。例えば、溶融成形法、溶液流延法などにより、樹脂をフィルム状に成形することにより、基材フィルムを製造しうる。又は、市販の脂環式オレフィン樹脂のフィルムを用いうる。
【0032】
基材フィルムの厚みは、特に限定されない。例えば、厚みの下限を、好ましくは25μm以上、より好ましくは50μm以上としうる。厚みの上限は、好ましくは188μm以下、より好ましくは125μm以下としうる。
【0033】
〔保護フィルム〕
保護フィルムは、所定の樹脂層を含む。樹脂層は、熱可塑性樹脂からなる。かかる熱可塑性樹脂の例としては、ポリエステル樹脂、及びポリカーボネート樹脂(PC)を挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂を用いることが、保護フィルムの所望の物性を得ることができる等の理由により好ましい。
【0034】
樹脂層は、140℃以上の熱変形温度を有する。熱変形温度は、160℃以上であることが好ましい。一方、熱変形温度の上限は特に規定されないが、例えば300℃以下としうる。前記下限以上の熱変形温度を有することにより、無機層の成膜に際して保護フィルムが剥離することを抑制することができる。
【0035】
熱可塑性樹脂を成形して樹脂層用のフィルムを得る方法は、特に限定されない。例えば、溶融成形法、溶液流延法などにより、樹脂をフィルム状に成形することにより、樹脂層用のフィルムを製造しうる。又は、市販の熱可塑性樹脂のフィルムを用いうる。
【0036】
樹脂層の厚みは、75μm以上であり、好ましくは100μm以上であり、より好ましくは120μm以上であり、一方200μm以下であり、好ましくは188μm以下であり、より好ましくは150μm以下である。保護フィルムが、複数層の樹脂層を含む場合は、当該複数層の合計厚みが当該範囲内となる。樹脂層の厚みが前記下限以上であることにより、無機層の成膜に際して保護フィルムが剥離することを抑制することができる。また、樹脂層の厚みが前記上限以下であることにより、無機層の成膜に際してフィルムを容易に搬送することができる。具体的には例えば、フィルムの搬送を支持するロールからのフィルムの浮きの発生を抑制しうる。
【0037】
保護フィルムは、樹脂層に加えて、任意の層を含みうる。好ましい態様において、保護フィルムは、樹脂層及び粘着層を含みうる。保護フィルムが、樹脂層及び粘着層を有する場合、粘着層が表面に存在する側の面を、基材フィルムと接する側の面としうる。そのような構成をとることにより、良好な粘着を達成し、無機層の成膜に際して保護フィルムが剥離することを抑制することができる。粘着層の材料は、特に限定されず、アクリル粘着剤、シリコーン粘着剤等の既知の粘着剤の材料としうる。粘着層の厚みは、10μm〜50μmとしうる。
【0038】
本発明の積層フィルムにおいて、保護フィルムの、基材フィルムと接する側の面は、活性化処理された面である。即ち、保護フィルムの、基材フィルムと接する側の面は、基材フィルムの面と貼合する前に活性化処理された面である。このような活性化処理された面を有することにより、良好な粘着を達成し、無機層の成膜に際して保護フィルムが剥離することを抑制することができる。
【0039】
保護フィルムが、樹脂層のみからなる場合、そのどちらか一方の面を活性化処理し、活性化処理された面としうる。保護フィルムが、樹脂層及び粘着層を有する場合、粘着層が表面に存在する側の面を活性化処理し、活性化処理された面としうる。活性化処理の例としては、常圧プラズマ処理及び真空プラズマ処理等のプラスマ処理、コロナ処理、UVオゾン処理、イトロ処理等が挙げられる。特に常圧プラズマ処理、コロナ処理が、処理時間が短く生産性に優れる点で好ましい。
【0040】
〔無機層〕
無機層は、無機材料から実質的になる層としうる。無機層は、1層以上のバリア層(即ち水分及び酸素の透過を妨げるバリア機能を有する層)のみからなっていてもよく、1層以上のバリア層と、それ以外の機能を有する1層以上の任意の層とを有していてもよい。かかる任意の層の例としては、導電性を有する導電膜が挙げられる。
【0041】
〔バリア層〕
バリア層の材料の例としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物、及びこれらの混合物を含む材料が挙げられる。金属酸化物、金属窒化物、及び金属酸化窒化物を構成する金属の例としては、珪素、アルミニウムが挙げられ、特に珪素が好ましい。より具体的には、金属酸化物、金属窒化物、及び金属酸化窒化物の組成の例としては、それぞれSiOx(1.5<x<1.9)、SiNy(1.2<y<1.5)、及びSiOxNy(1<x<2および0<y<1)で表される組成が挙げられる。このような材料を用いることにより、透明性及びバリア性等の特性を良好なものとしうる。
【0042】
バリア層の厚さは、3〜2000nmであることが好ましく、10〜1000nmであることがより好ましい。無機バリア層の水蒸気透過率は、その上限が1.0g/m
2・day以下であることが好ましく、0.2g/m
2・day以下であることがより好ましい。一方水蒸気透過率の下限は、0g/m
2・dayであることが最も好ましいが、それ以上の値であっても、上記上限以下の範囲内であれば、好ましく機能しうる。
【0043】
バリア層の形成方法は、特に限定されないが、好ましくは、基材フィルムの面上に、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト蒸着、アーク放電プラズマ蒸着、熱CVD、プラズマCVD法等の成膜方法により形成することが好ましい。アーク放電プラズマを用いると適度なエネルギーを有する蒸発粒子が生成され高密度の膜を形成することができる。複数種類の成分を含むバリア層を形成する場合、これらを同時に蒸着又はスパッタリングすることができる。
【0044】
〔導電膜〕
導電膜は、導電性材料の膜である。導電膜を有することにより、得られる積層フィルムに電極としての機能を付与しうる。導電膜の具体例としては、ITO(インジウム錫オキサイド)、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、ZnO(酸化亜鉛)、IWO(インジウムタングステンオキサイド)、ITiO(インジウムチタニウムオキサイド)、AZO(アルミニウム亜鉛オキサイド)、GZO(ガリウム亜鉛オキサイド)、XZO(亜鉛系特殊酸化物)、IGZO(インジウムガリウム亜鉛オキサイド)の膜を挙げることができる。導電膜の形成方法は、特に限定されないが、バリア層の面上に、スパッタリング、蒸着等の成膜方法により形成することが好ましい。本発明の積層体では、特定の保護フィルムなどの他の構成要素を有することにより、製造において高出力での成膜を行うことができるので、バリア層に加えてこれらの導電膜についても、良好な成膜を迅速に行うことができる。
【0045】
導電膜の厚みは、特に限定されない。例えば、厚みの下限を、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上としうる。厚みの上限は、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下としうる。
【0046】
〔その他の任意の層〕
本発明の積層フィルムは、上記各層に加えて、他に任意の層を備えうる。かかる任意の層の例としては、帯電防止層、ハードコート層、及び汚染防止層等が挙げられる。かかる任意の層は、例えば無機層上にかかる任意の層の材料を塗布し硬化させる方法、又は、熱圧着により貼付する方法などの方法により設けることができる。
【0047】
〔積層フィルムの物性等〕
本発明の積層フィルム全体の水蒸気透過率は、1×10
−6〜1×10
−2g/m
2・dayとすることができる。このような積層フィルム体全体の水蒸気透過率は、基材フィルム、バリア層及びその他の層の材質及び厚さを適宜選択することにより達成しうる。本発明の積層フィルム全体のヘイズは、特に限定されないが、光を拡散させることを特段意図しない光学的用途に用いる場合、ヘイズは一般的には低い方が好ましく、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下とすることができる。
積層フィルムの使用に際して、保護フィルムを剥離し、残余の層(基材フィルム、無機層、及びあれば任意の層)のみを用いる場合は、かかる残余の層が、上記の特性を有することが好ましい。
【0048】
本発明の積層フィルムは、長尺のフィルムとして製造しうる。具体的には、長さ方向の寸法が、幅方向の寸法の10倍以上であることが好ましく、50倍以上であることがより好ましく、100倍以上であることがより好ましい。このような長尺のフィルムは、ロール状の形状(ロール体)として保管及び運搬することができる。本発明の積層フィルムでは、特定の保護フィルムなどの他の構成要素を有することにより、高出力でのバリア層の形成などを、ロールトゥロール(即ち、繰り出しロールから繰り出すフィルムに連続的に処理を行い、処理されたフィルムを巻取り、製品のロール体として巻き取る態様)で行うことができ、したがって効率的な製造を行うことができる。長尺のフィルムとして製造した積層フィルムは、必要に応じて所望の形状に切断することができる。
【0049】
〔製造方法及び積層フィルムの具体例〕
本発明の積層フィルムの製造方法の好ましい例として、保護フィルムの表面を活性化処理する第一の工程と、基材フィルムの一方の面側に、保護フィルムを、活性化処理を施した面が接するように貼合する第二の工程と、基材フィルムのもう一方の面側に無機層を形成する第三の工程とを含む方法が挙げられる。以下において、この方法を本発明の製造方法として説明する。
【0050】
図1は、本発明の積層フィルムの層の構成の一例を模式的に示す断面図である。以下において、この例における積層フィルムの製造方法を例にとり、本発明の製造方法を説明する。
図1において、積層フィルム10は、基材フィルム101と、基材フィルム101の一方の面101D側に設けられた保護フィルム102と、基材フィルム101のもう一方の面101U側に設けられた無機層111とを備える。この例において、無機層111は、バリア層のみからなる層である。また、保護フィルム102は、必要に応じて、その一方の面102U上に粘着層又は易接着層(不図示)を有するものとしうる。
【0051】
本発明の製造方法による積層フィルム10の製造においては、まず、保護フィルム102の一方の表面102Uを活性化処理する(第一の工程)。なお、製造方法の説明においては、「保護フィルム」は、説明の便宜上、活性化処理される前のもの及び活性化処理された後のものの両方を包含する文言として用いる。ここで用いる保護フィルムは、既に説明した通り、熱可塑性樹脂からなり、140℃以上の熱変形温度を有し、且つ厚みが75μm以上200μm以下である樹脂層を含むフィルムである。
【0052】
続いて、基材フィルム101の一方の面101D側に、保護フィルム102を、活性化処理を施した面102Uが接するように貼合する(第二の工程)。かかる貼合は、これらのフィルムを、必要に応じて加熱した状態で圧着させる等の方法により行ないうる。第二の工程により、基材フィルム101及び保護フィルム102からなる複層物100が得られる。複層物100は、好ましくはロールトゥロールの操作により長尺の製品として製造し、これをロール体の状態としてから次の工程に供することができる。複層物100をロール体の状態とすることにより、次の減圧下での操作を行なう装置に長尺の形状のまま容易に供給をすることができる。
【0053】
続いて、複層物100中の基材フィルム101のもう一方の面101U側に、無機層111を形成する(第三の工程)。無機層111の形成は、CVD等の蒸着法及びスパッタリング等の操作により行ないうる。
【0054】
第三の工程のより具体的な例を、それを行う装置の例を参照して説明する。
図2は、無機層をCVDにより成膜する装置の一例を示す断面図である。
図2において、成膜装置200は、フィルム巻き取り式のプラズマCVD装置であり、第二の工程で得た複層物100のロール体201から繰り出される複層物100に、CVDにて無機層を連続的に成膜して積層フィルム10とし、これをロール体202として巻き取る一連の操作を行なう。
【0055】
成膜装置200は、ガイドロール211、キャンロール212、及びガイドロール213を有し、これにより、繰り出された複層物100を矢印A21で示される向きに導き、製造工程に供することができる。ガイドロール211、キャンロール212、及びガイドロール213の位置及びこれらが複層物100に賦与する張力を適宜調整することにより、複層物100は、キャンロール212により導かれる間、キャンロール212に密着した状態とされる。
【0056】
キャンロール212は、矢印A22で示す方向に回転し、その上の複層物100は、反応管221に近づいた状態で搬送される。その際、電源223から電極222に電力を印加し、一方、キャンロール212を適切な接地手段(不図示)により接地し、かつガス導入口224から矢印A23の方向に無機層111の材料のガスを導入する。これにより、複層物100の面上に無機層111を連続的に形成することができる。かかる一連の操作は、真空槽290で囲繞された空間内で行なわれる。真空槽290内の圧力は、真空排気装置230を操作することにより減圧し、CVDに適した圧力に調整しうる。
【0057】
このような工程を高出力で実施した場合、従来技術においてはキャンロール212からの複層物100の浮きが発生し易く、良好な無機層111の連続的な形成が困難であった。加えて、光学的性能が高い基材フィルムは通常表面が平滑であるため、ブロッキング(ロール体として巻き取られた複層物又は積層フィルム中において、接触した面同士が付着する現象)が発生し易かった。しかしながら本発明の製造方法では、基材フィルムの面上に所定の保護フィルムを設けることにより、これらの不所望な現象を抑制し、良好な無機層の連続的な形成を効率よく達成することが可能である。
【0058】
図3は、本発明の積層フィルムの層の構成の別の一例を模式的に示す断面図である。
図3において、積層フィルム30は、基材フィルム101と、基材フィルム101の一方の面101D側に設けられた保護フィルム102と、基材フィルム101のもう一方の面101U側に設けられた無機層110とを備える。この例において、無機層110は、バリア層111及び導電膜112からなる層である。また、保護フィルム102は、必要に応じて、その一方の面102U上に粘着層又は易接着層(不図示)を有するものとしうる。
【0059】
図3に示す積層フィルム30は、既に述べた積層フィルム10の製造方法に、さらに導電膜112を形成する工程を加えた製造方法により製造しうる。即ち、既に述べた製造方法により、基材フィルム101、保護フィルム102及びバリア層111を備えた複層物を形成し、当該複層物のバリア層111側の面である、バリア層の面111U上に、スパッタリング法等の方法により導電膜112を形成し、積層フィルム30を得ることができる。
【0060】
〔用途〕
本発明の積層フィルムの用途は、特に限定されないが、有機EL素子を有する表示装置、液晶表示装置及び電子ペーパー等の各種表示装置、照明用光源装置等の光源装置、及び太陽電池等の装置において、装置を構成する素子の保護などの目的で、水分及び酸素の透過を妨げるバリア機能を有する層として用いうる。本発明の積層フィルムは、それ自体をそのまま、上記のものなどの装置の部材として使用することもできるが、使用に先立ち保護フィルムを剥離し、残余の層(基材フィルム、無機層、及びあれば任意の層)のみを上記のものなどの装置の部材として用いることもできる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。下記において、sccmは気体の流量の単位であり、1分間当たりに流れる気体の量を、その気体が25℃、1atmである場合の体積(cm
3)で示す。
【0062】
<実施例1>
(1−1.基材フィルムの調製)
ノルボルネン系樹脂(商品名「ZEONOR1600」、日本ゼオン社製、Tg163℃、屈折率1.53)のペレットを100℃で5時間乾燥した。得られたペレットを押し出し機に供給し、押し出し機内で溶融させてから押出成形することにより、厚み100μmの基材フィルムを製膜した。
【0063】
(1−2.保護フィルムの活性化処理と貼合)
保護フィルム(商品名「DT−8200S−125T」、日立化成社製、厚み125μmのPETフィルム及び粘着層からなる製品)の粘着層側の面をプラズマ処理した。プラズマ処理は、プラズマ表面処理装置を用いて、出力1.5kw、周波数25kHz、窒素ガス流量50L/min、搬送速度1.0m/minの条件で行った。
その後、保護フィルムのプラズマ処理面と、(1−1)で得た基材フィルムの一方の面とを対面させて、ラミネータ装置を用いてこれらを貼り合わせ、複合フィルム(1−2)を得た。
【0064】
(1−3.バリア層の製膜(CVD法))
(1−2)で得られた複合フィルム(1−2)の、基材フィルム側の面側に、CVD法によりバリア層を成膜した。成膜の操作は、
図2に概略的に示す成膜装置(フィルム巻き取り式プラズマCVD装置)を用いて行った。成膜の条件は、テトラメチルシラン(TMS)流量10sccm、酸素(O
2)流量100sccm、出力0.8kW、全圧5Pa、フィルム搬送速度0.5m/minとし、RFプラズマ放電させて成膜を行った。その結果、SiOxからなる厚さ300nmのバリア層を製膜し、(バリア層)/(基材フィルム)/(保護フィルム)の層構成を有する複合フィルム(1−3)を得た。
【0065】
成膜の工程が行われる状態及び巻き取られた複合フィルム(1−3)のロール体を観察し、ロールトゥロール適性(搬送ロールからのフィルムの浮きの有無)、及び成膜適性(保護フィルムの剥離の有無)を、下記の評価基準に従って評価した。
・ロールトゥロール(R2R)適性
良・・・ブロッキングも、搬送ロールからの浮きも無い。
不良・・・ブロッキングが発生するか、又は搬送ロールからの浮きが発生して搬送が困難になる。
・成膜適性
良・・・CVD時の高温に曝されても保護フィルムが剥離しない。
不良・・・CVD時の高温に曝された際に保護フィルムが剥離する。
【0066】
(1−4.導電膜の製膜(スパッタ法))
(1−3)で得られた複合フィルム(1−3)のバリア層側の面上に、導電膜を製膜した。成膜の操作は、フィルム巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置を用いて行った。スパッタリングのターゲットとしては、In
2O
3−SnO
2セラミックターゲットを用いた。成膜のその他の条件は、アルゴン(Ar)流量150sccm、酸素(O
2)流量10sccm、出力4.0kw、真空度0.3Pa、フィルム搬送速度0.5m/minとした。その結果、ITOからなる厚さ100nmの導電膜を成膜し、(導電膜)/(バリア層)/(基材フィルム)/(保護フィルム)の層構成を有する、積層フィルムを得た。
【0067】
成膜の工程が行われる状態及び巻き取られた積層フィルムのロール体を観察し、ロールトゥロール適性(搬送ロールからのフィルムの浮きの有無)、及び成膜適性(保護フィルムの剥離の有無)を、下記の評価基準に従って評価した。
・ロールトゥロール(R2R)適性
良・・・ブロッキングも、搬送ロールからの浮きも無い。
不良・・・ブロッキングが発生するか、又は搬送ロールからの浮きが発生して搬送が困難になる。
・成膜適性
良・・・スパッタリング時の高温に曝されても保護フィルムが剥離しない。
不良・・・スパッタリング時の高温に曝された際に保護フィルムが剥離する。
【0068】
<実施例2>
(2−1.基材フィルムの調製)
ノルボルネン−エチレン共重合体樹脂(商品名「TOPAS」、TOPAS Advanced Polymers社製、Tg180℃、屈折率1.53)のペレットを100℃で10時間乾燥した。得られたペレットを押し出し機に供給し、押し出し機内で溶融させてから押出成形することにより、厚み100μmの基材フィルムを製膜した。
【0069】
(2−2.積層フィルムの製造及び評価)
基材フィルムとして、実施例1の(1−1)で得た基材フィルムに代えて、(2−1)で得た基材フィルムを用いた他は、実施例1の(1−2)〜(1−4)と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価した。
【0070】
<実施例3>
実施例1の(1−2)において、プラズマ処理に代えて、コロナ処理を行った他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価した。コロナ処理は、出力0.6kW、処理速度5m/minの条件で行った。
【0071】
<実施例4>
実施例1の(1−2)において、プラズマ処理に代えて、イトロ処理を行った他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価した。イトロ処理は、ケイ酸化炎処理装置(株式会社イトロ技術研究所製、イトロ処理装置、バーナー幅325mm)を用い、シラン化合物である1,2−ジクロロテトラメチルシランを含む燃料ガスの火炎により表面処理した。その際、空気流量;130L/分、LPG流量;6.0L/分、シラン化合物流量;1.5L/分、処理速度;1000mm/秒、透明基板原板と燃焼ノズルとの距離を20mmに設定し、透明基板原板を炎に2回通す条件で行った。
【0072】
<実施例5>
実施例1の(1−2)において、保護フィルムを、別のフィルム(商品名「EM−C50」、東山フィルム社製、厚み75μmのPETフィルム及びアクリル系微粘着層からなる製品)に変更し、微粘着層を有する側の面をプラズマ処理した他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価した。
【0073】
<実施例6>
(6−1.粘着剤の製造)
アクリル系粘着剤(サイデン化学株式会社製、商品名「OC−3447」、固形分30%)100重量部に対して、硬化剤(三菱化学株式会社製、商品名「NY−260A」)0.2重量部を加えて15分攪拌し、粘着剤組成物を得た。
【0074】
(6−2.粘着層の形成)
(6−1)で得られた粘着剤組成物を、PETフィルム(商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡社製、両面に易接着処理が施されたPETフィルム、厚み200μm)の片面に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、80℃で5分乾燥させて粘着層を形成し、PETフィルム及び粘着層からなる保護フィルムを作製した。
【0075】
(6−3.積層フィルムの製造及び評価)
実施例1の(1−2)において、保護フィルムを、(6−2)で得た保護フィルムに変更した他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価した。
【0076】
<実施例7>
(7−1.粘着層の形成)
実施例6の(6−1)で得られた粘着剤組成物を、PCフィルム(商品名「パンライトシートPC−2151」、帝人社製、厚み125μm)の片面に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、80℃で5分乾燥させて粘着層を形成し、PCフィルム及び粘着層からなる保護フィルムを作製した。
【0077】
(7−2.積層フィルムの製造及び評価)
実施例1の(1−2)において、保護フィルムを、(7−1)で得た保護フィルムに変更した他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価した。
【0078】
<実施例8>
実施例7の(7−2)において、PCフィルムを、別のフィルム(商品名「パンライトシートPC−2151」、帝人社製、厚み75μm)に変更した他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価した。
【0079】
<比較例1>
実施例1の(1−2)において、プラズマ処理を行わなかった他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価することを試みたが、(1−3)において良好なバリア層が得られず、その上に導電膜を形成することができなかったので、(1−3)における評価までを行い、(1−4)は行わなかった。
【0080】
<比較例2>
(C2−1.粘着層の形成)
実施例6の(6−1)で得られた粘着剤組成物を、PETフィルム(商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡社製、両面に易接着処理が施されたPETフィルム、厚み50μm)の片面に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、80℃で5分乾燥させて粘着層を形成し、PETフィルム及び粘着層からなる保護フィルムを作製した。
【0081】
(C2−2.積層フィルムの製造及び評価)
実施例1の(1−2)において、保護フィルムを、(C2−1)で得た保護フィルムに変更した他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価することを試みたが、(1−3)において良好なバリア層が得られず、その上に導電膜を形成することができなかったので、(1−3)における評価までを行い、(1−4)は行わなかった。
【0082】
<比較例3>
(C3−1.粘着層の形成)
実施例6の(6−1)で得られた粘着剤組成物を、PETフィルム(商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡社製、両面に易接着処理が施されたPETフィルム、厚み250μm)の片面に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、80℃で5分乾燥させて粘着層を形成し、PETフィルム及び粘着層からなる保護フィルムを作製した。
【0083】
(C3−2.積層フィルムの製造及び評価)
実施例1の(1−2)において、保護フィルムを、(C3−1)で得た保護フィルムに変更した他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価することを試みたが、(1−3)において良好なバリア層が得られず、その上に導電膜を形成することができなかったので、(1−3)における評価までを行い、(1−4)は行わなかった。
【0084】
<比較例4>
実施例1の(1−2)において、保護フィルムを、別のフィルム(商品名「トレテック7332」、東レフィルム加工社製、厚み125μmのポリオレフィン系保護フィルム及び粘着層からなる製品)に変更した他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価することを試みたが、(1−3)において良好なバリア層が得られず、その上に導電膜を形成することができなかったので、(1−3)における評価までを行い、(1−4)は行わなかった。
【0085】
<比較例5>
実施例1の(1−2)において、保護フィルムを、別のフィルム(商品名「トレテック7332」、東レフィルム加工社製、厚み50μmのポリオレフィン系保護フィルム及び粘着層からなる製品)に変更した他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価することを試みたが、(1−3)において良好なバリア層が得られず、その上に導電膜を形成することができなかったので、(1−3)における評価までを行い、(1−4)は行わなかった。
【0086】
<比較例6>
実施例1の(1−2)において、保護フィルムを、別のフィルム(商品名「トレテック7332」、東レフィルム加工社製、厚み250μmのポリオレフィン系保護フィルム及び粘着層からなる製品)に変更した他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価することを試みたが、(1−3)において良好なバリア層が得られず、その上に導電膜を形成することができなかったので、(1−3)における評価までを行い、(1−4)は行わなかった。
【0087】
<比較例7>
実施例1の(1−3)において、複合フィルム(1−2)に代えて、(1−1)で得られた基材フィルムをそのまま用いた他は、実施例1と同様に操作し、積層フィルムを製造して評価することを試みたが、(1−3)において良好なバリア層が得られず、その上に導電膜を形成することができなかったので、(1−3)における評価までを行い、(1−4)は行わなかった。
【0088】
実施例及び比較例の概要及び評価結果を、表1にまとめて示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表中の略語の意味は、以下の通りである。
COP:ノルボルネン系樹脂(シクロオレフィンポリマー)
COC:ノルボルネン系樹脂−エチレン共重合体(シクロオレフィンコポリマー)
PET:ポリエチレンテレフタレート
PC:ポリカーボネート
PE:ポリオレフィン
【0091】
表1の結果から明らかな通り、実施例1〜8においては、高出力のCVD及びスパッタリングを良好に行うことができ、したがって、バリア性能が高い積層フィルムを容易に製造することができた。一方、保護フィルムについて本願の要件を満たさないものを用いた比較例1〜6及び保護フィルムを用いなかった比較例7においては、CVDにおいて、ブロッキング、搬送ロールからの浮き、及び保護フィルムの剥離の一以上が発生し、高出力のCVDを良好に行うことができなかった。