【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。
【0045】
[実施例1]
(GSGG単結晶の製造)
予備実験により事前に求めたGSGG単結晶の成長に対応した「ホットゾーン条件」に従い、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が7℃/cm(7〜14℃/cmの範囲内)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が19℃/cm(19〜23℃/cmの範囲内)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長140mmのGSGG単結晶を育成した。
【0046】
得られたGSGG単結晶は、
図3の写真図に示すようにファセットや捩れの発生が見られず、
図1の製造装置に付設された自動直径制御装置により目標直径±1mmの精度で良好に制御され、かつ、クラックの発生もなかった。
【0047】
そして、得られたGSGG単結晶を1600℃、大気雰囲気にて40時間保持し、かつ、16時間かけて室温まで冷却する「アニール処理」を施した後、加工してGSGG単結晶から成る基板(GSGG単結晶基板:非磁性ガーネット基板)を得た。
【0048】
尚、
図2の結晶トップ部11と結晶ボトム部12に相当するGSGG単結晶基板を偏光顕微鏡で観察したところ無転位であった。
【0049】
(酸化物ガーネット単結晶膜の製造)
まず、原料として、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Gd
2O
3、Fe
2O
3、フラックスとして、PbO、B
2O
3それぞれを秤量し、かつ、所定量を白金ルツボに投入した後、1100℃に昇温して溶融させた。
【0050】
次いで、GSGG単結晶基板の片面がルツボ内の融液に浸漬するように設置した後、GSGG単結晶基板を回転させながらエピタキシャル成長させてGSGG単結晶基板上に(BiNdGd)
3Fe
5O
12で示される酸化物ガーネット単結晶膜を成長させた。
【0051】
そして、目視観察および顕微鏡観察によって上記酸化物ガーネット単結晶膜にピットが存在しないことを確認した。
【0052】
その後、得られた酸化物ガーネット単結晶膜について、11mm角のチップの切出しを行ったところ、クラックや細かい割れが発生せず、100%の収率で11mm角のチップを得ることができた。
【0053】
[実施例2]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が10℃/cm(7〜14℃/cmの範囲内)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が20℃/cm(19〜23℃/cmの範囲内)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長70mmのGSGG単結晶を育成した。
【0054】
得られたGSGG単結晶はファセットや捩れの発生が見られず、
図1の製造装置に付設された自動直径制御装置により目標直径±1mmの精度で良好に制御され、かつ、クラックの発生もなかった。
【0055】
そして、得られたGSGG単結晶を1600℃、大気雰囲気にて40時間保持し、かつ、16時間かけて室温まで冷却する「アニール処理」を施した後、加工してGSGG単結晶から成る基板(GSGG単結晶基板)を得た。
【0056】
尚、
図2の結晶トップ部11と結晶ボトム部12に相当するGSGG単結晶基板を偏光顕微鏡で観察したところ無転位であった。
【0057】
(酸化物ガーネット単結晶膜の製造)
まず、原料として、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Gd
2O
3、Fe
2O
3、フラックスとして、PbO、B
2O
3それぞれを秤量し、かつ、所定量を白金ルツボに投入した後、1100℃に昇温して溶融させた。
【0058】
次いで、GSGG単結晶基板の片面がルツボ内の融液に浸漬するように設置した後、GSGG単結晶基板を回転させながらエピタキシャル成長させてGSGG単結晶基板上に(BiNdGd)
3Fe
5O
12で示される酸化物ガーネット単結晶膜を成長させた。
【0059】
そして、目視観察および顕微鏡観察によって上記酸化物ガーネット単結晶膜にピットが存在しないことを確認した。
【0060】
その後、得られた酸化物ガーネット単結晶膜について、11mm角のチップの切出しを行ったところ、クラックや細かい割れが発生せず、100%の収率で11mm角のチップを得ることができた。
【0061】
[実施例3]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が14℃/cm(7〜14℃/cmの範囲内)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が23℃/cm(19〜23℃/cmの範囲内)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長70mmのGSGG単結晶を育成した。
【0062】
得られたGSGG単結晶はファセットや捩れの発生が見られず、
図1の製造装置に付設された自動直径制御装置により目標直径±1mmの精度で良好に制御され、かつ、クラックの発生もなかった。
【0063】
そして、得られたGSGG単結晶を1600℃、大気雰囲気にて40時間保持し、かつ、16時間かけて室温まで冷却する「アニール処理」を施した後、加工してGSGG単結晶から成る基板(GSGG単結晶基板)を得た。
【0064】
尚、
図2の結晶トップ部11と結晶ボトム部12に相当するGSGG単結晶基板を偏光顕微鏡で観察したところ無転位であった。
【0065】
(酸化物ガーネット単結晶膜の製造)
まず、原料として、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Gd
2O
3、Fe
2O
3、フラックスとして、PbO、B
2O
3それぞれを秤量し、かつ、所定量を白金ルツボに投入した後、1100℃に昇温して溶融させた。
【0066】
次いで、GSGG単結晶基板の片面がルツボ内の融液に浸漬するように設置した後、GSGG単結晶基板を回転させながらエピタキシャル成長させてGSGG単結晶基板上に(BiNdGd)
3Fe
5O
12で示される酸化物ガーネット単結晶膜を成長させた。
【0067】
そして、目視観察および顕微鏡観察によって上記酸化物ガーネット単結晶膜にピットが存在しないことを確認した。
【0068】
その後、得られた酸化物ガーネット単結晶膜について、11mm角のチップの切出しを行ったところ、クラックや細かい割れが発生せず、100%の収率で11mm角のチップを得ることができた。
【0069】
[比較例1]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が4℃/cm(7〜14℃/cmの範囲外)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が3℃/cm(19〜23℃/cmの範囲外)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長110mmのGSGG単結晶を育成した。
【0070】
得られたGSGG単結晶の上部には
図4の写真図に示すように捩れが発生し、かつ、自動直径制御装置による直径制御の乱れが大きかった。
【0071】
そして、得られたGSGG単結晶を1600℃、大気雰囲気にて40時間保持し、かつ、16時間かけて室温まで冷却する「アニール処理」を施した後、加工してGSGG単結晶から成る基板(GSGG単結晶基板)を得た。
【0072】
尚、
図2の結晶トップ部11と結晶ボトム部12に相当するGSGG単結晶基板を偏光顕微鏡で観察したところ、1cm
2当たり24個の転位が見られた。
【0073】
(酸化物ガーネット単結晶膜の製造)
まず、原料として、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Gd
2O
3、Fe
2O
3、フラックスとして、PbO、B
2O
3それぞれを秤量し、かつ、所定量を白金ルツボに投入した後、1100℃に昇温して溶融させた。
【0074】
次いで、GSGG単結晶基板の片面がルツボ内の融液に浸漬するように設置した後、GSGG単結晶基板を回転させながらエピタキシャル成長させてGSGG単結晶基板上に(BiNdGd)
3Fe
5O
12で示される酸化物ガーネット単結晶膜を成長させた。
【0075】
そして、目視観察および顕微鏡観察によって上記酸化物ガーネット単結晶膜にピットが存在することを確認した。
【0076】
その後、得られた酸化物ガーネット単結晶膜について、11mm角のチップの切出しを行ったところ、クラックや細かい割れによる不良が発生し、11mm角のチップの収率が100%である実施例1〜3と比較し、78%に低減してしまった。
【0077】
[比較例2]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が4℃/cm(7〜14℃/cmの範囲外)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が20℃/cm(19〜23℃/cmの範囲内)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長110mmのGSGG単結晶を育成した。
【0078】
得られたGSGG単結晶の上部には捩れが発生し、かつ、自動直径制御装置による直径制御の乱れが大きかった。
【0079】
そして、得られたGSGG単結晶を1600℃、大気雰囲気にて40時間保持し、かつ、16時間かけて室温まで冷却する「アニール処理」を施した後、加工してGSGG単結晶から成る基板(GSGG単結晶基板)を得た。
【0080】
尚、
図2の結晶トップ部11と結晶ボトム部12に相当するGSGG単結晶基板を偏光顕微鏡で観察したところ、1cm
2当たり63個の転位が見られた。
【0081】
(酸化物ガーネット単結晶膜の製造)
まず、原料として、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Gd
2O
3、Fe
2O
3、フラックスとして、PbO、B
2O
3それぞれを秤量し、かつ、所定量を白金ルツボに投入した後、1100℃に昇温して溶融させた。
【0082】
次いで、GSGG単結晶基板の片面がルツボ内の融液に浸漬するように設置した後、GSGG単結晶基板を回転させながらエピタキシャル成長させてGSGG単結晶基板上に(BiNdGd)
3Fe
5O
12で示される酸化物ガーネット単結晶膜を成長させた。
【0083】
そして、目視観察および顕微鏡観察によって上記酸化物ガーネット単結晶膜にピットが存在することを確認した。
【0084】
その後、得られた酸化物ガーネット単結晶膜について、11mm角のチップの切出しを行ったところ、クラックや細かい割れによる不良が発生し、11mm角のチップの収率が100%である実施例1〜3と比較し、67%に低減してしまった。
【0085】
[比較例3]
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が0.5℃/cm(7〜14℃/cmの範囲外)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が0.7℃/cm(19〜23℃/cmの範囲外)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mmのGSGG単結晶の育成を試行した。
【0086】
しかし、種結晶を融液に浸けた後、種結晶の融解が起こり、結晶育成ができなかった。
【0087】
[比較例4]
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が18℃/cm(7〜14℃/cmの範囲外)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が34℃/cm(19〜23℃/cmの範囲内)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長110mmのGSGG単結晶を育成した。
【0088】
しかし、GSGG単結晶にクラックが発生したため、GSGG単結晶基板の加工は断念した。
【0089】
[実施例4]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が7℃/cm(7〜14℃/cmの範囲内)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が23℃/cm(19〜23℃/cmの範囲内)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長70mmのGSGG単結晶を育成した。
【0090】
得られたGSGG単結晶はファセットや捩れの発生が見られず、
図1の製造装置に付設された自動直径制御装置により目標直径±1mmの精度で良好に制御され、かつ、クラックの発生もなかった。
【0091】
そして、得られたGSGG単結晶を1600℃、大気雰囲気にて40時間保持し、かつ、16時間かけて室温まで冷却する「アニール処理」を施した後、加工してGSGG単結晶から成る基板(GSGG単結晶基板)を得た。
【0092】
尚、
図2の結晶トップ部11と結晶ボトム部12に相当するGSGG単結晶基板を偏光顕微鏡で観察したところ無転位であった。
【0093】
(酸化物ガーネット単結晶膜の製造)
まず、原料として、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Gd
2O
3、Fe
2O
3、フラックスとして、PbO、B
2O
3それぞれを秤量し、かつ、所定量を白金ルツボに投入した後、1100℃に昇温して溶融させた。
【0094】
次いで、GSGG単結晶基板の片面がルツボ内の融液に浸漬するように設置した後、GSGG単結晶基板を回転させながらエピタキシャル成長させてGSGG単結晶基板上に(BiNdGd)
3Fe
5O
12で示される酸化物ガーネット単結晶膜を成長させた。
【0095】
そして、目視観察および顕微鏡観察によって上記酸化物ガーネット単結晶膜にピットが存在しないことを確認した。
【0096】
その後、得られた酸化物ガーネット単結晶膜について、11mm角のチップの切出しを行ったところ、クラックや細かい割れが発生せず、100%の収率で11mm角のチップを得ることができた。
【0097】
[実施例5]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が14℃/cm(7〜14℃/cmの範囲内)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が19℃/cm(19〜23℃/cmの範囲内)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長70mmのGSGG単結晶を育成した。
【0098】
得られたGSGG単結晶はファセットや捩れの発生が見られず、
図1の製造装置に付設された自動直径制御装置により目標直径±1mmの精度で良好に制御され、かつ、クラックの発生もなかった。
【0099】
そして、得られたGSGG単結晶を1600℃、大気雰囲気にて40時間保持し、かつ、16時間かけて室温まで冷却する「アニール処理」を施した後、加工してGSGG単結晶から成る基板(GSGG単結晶基板)を得た。
【0100】
尚、
図2の結晶トップ部11と結晶ボトム部12に相当するGSGG単結晶基板を偏光顕微鏡で観察したところ無転位であった。
【0101】
(酸化物ガーネット単結晶膜の製造)
まず、原料として、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Gd
2O
3、Fe
2O
3、フラックスとして、PbO、B
2O
3それぞれを秤量し、かつ、所定量を白金ルツボに投入した後、1100℃に昇温して溶融させた。
【0102】
次いで、GSGG単結晶基板の片面がルツボ内の融液に浸漬するように設置した後、GSGG単結晶基板を回転させながらエピタキシャル成長させてGSGG単結晶基板上に(BiNdGd)
3Fe
5O
12で示される酸化物ガーネット単結晶膜を成長させた。
【0103】
そして、目視観察および顕微鏡観察によって上記酸化物ガーネット単結晶膜にピットが存在しないことを確認した。
【0104】
その後、得られた酸化物ガーネット単結晶膜について、11mm角のチップの切出しを行ったところ、クラックや細かい割れが発生せず、100%の収率で11mm角のチップを得ることができた。
【0105】
[比較例5]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が6℃/cm(7〜14℃/cmの範囲外)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が19℃/cm(19〜23℃/cmの範囲内)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長110mmのGSGG単結晶を育成した。
【0106】
得られたGSGG単結晶の上部には捩れが発生し、かつ、自動直径制御装置による直径制御の乱れが大きかった。
【0107】
そして、得られたGSGG単結晶を1600℃、大気雰囲気にて40時間保持し、かつ、16時間かけて室温まで冷却する「アニール処理」を施した後、加工してGSGG単結晶から成る基板(GSGG単結晶基板)を得た。
【0108】
尚、
図2の結晶トップ部11と結晶ボトム部12に相当するGSGG単結晶基板を偏光顕微鏡で観察したところ、1cm
2当たり63個の転位が見られた。
【0109】
(酸化物ガーネット単結晶膜の製造)
まず、原料として、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Gd
2O
3、Fe
2O
3、フラックスとして、PbO、B
2O
3それぞれを秤量し、かつ、所定量を白金ルツボに投入した後、1100℃に昇温して溶融させた。
【0110】
次いで、GSGG単結晶基板の片面がルツボ内の融液に浸漬するように設置した後、GSGG単結晶基板を回転させながらエピタキシャル成長させてGSGG単結晶基板上に(BiNdGd)
3Fe
5O
12で示される酸化物ガーネット単結晶膜を成長させた。
【0111】
そして、目視観察および顕微鏡観察によって上記酸化物ガーネット単結晶膜にピットが存在することを確認した。
【0112】
その後、得られた酸化物ガーネット単結晶膜について、11mm角のチップの切出しを行ったところ、クラックや細かい割れによる不良が発生し、11mm角のチップの収率が100%である実施例1〜3と比較し、67%に低減してしまった。
【0113】
[比較例6]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が7℃/cm(7〜14℃/cmの範囲内)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が18℃/cm(19〜23℃/cmの範囲外)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長110mmのGSGG単結晶を育成した。
【0114】
得られたGSGG単結晶の上部には捩れが発生し、かつ、自動直径制御装置による直径制御の乱れが大きかった。
【0115】
そして、得られたGSGG単結晶を1600℃、大気雰囲気にて40時間保持し、かつ、16時間かけて室温まで冷却する「アニール処理」を施した後、加工してGSGG単結晶から成る基板(GSGG単結晶基板)を得た。
【0116】
尚、
図2の結晶トップ部11と結晶ボトム部12に相当するGSGG単結晶基板を偏光顕微鏡で観察したところ、1cm
2当たり63個の転位が見られた。
【0117】
(酸化物ガーネット単結晶膜の製造)
まず、原料として、Bi
2O
3、Nd
2O
3、Gd
2O
3、Fe
2O
3、フラックスとして、PbO、B
2O
3それぞれを秤量し、かつ、所定量を白金ルツボに投入した後、1100℃に昇温して溶融させた。
【0118】
次いで、GSGG単結晶基板の片面がルツボ内の融液に浸漬するように設置した後、GSGG単結晶基板を回転させながらエピタキシャル成長させてGSGG単結晶基板上に(BiNdGd)
3Fe
5O
12で示される酸化物ガーネット単結晶膜を成長させた。
【0119】
そして、目視観察および顕微鏡観察によって上記酸化物ガーネット単結晶膜にピットが存在することを確認した。
【0120】
その後、得られた酸化物ガーネット単結晶膜について、11mm角のチップの切出しを行ったところ、クラックや細かい割れによる不良が発生し、11mm角のチップの収率が100%である実施例1〜3と比較し、67%に低減してしまった。
【0121】
[比較例7]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が14℃/cm(7〜14℃/cmの範囲内)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が24℃/cm(19〜23℃/cmの範囲外)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長110mmのGSGG単結晶を育成した。
【0122】
しかし、GSGG単結晶にクラックが発生したため、GSGG単結晶基板の加工は断念した。
【0123】
[比較例8]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が15℃/cm(7〜14℃/cmの範囲外)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が23℃/cm(19〜23℃/cmの範囲内)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長110mmのGSGG単結晶を育成した。
【0124】
しかし、GSGG単結晶にクラックが発生したため、GSGG単結晶基板の加工は断念した。
【0125】
[比較例9]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が6℃/cm(7〜14℃/cmの範囲外)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が24℃/cm(19〜23℃/cmの範囲外)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長110mmのGSGG単結晶を育成した。
【0126】
しかし、GSGG単結晶にクラックが発生したため、GSGG単結晶基板の加工は断念した。
【0127】
[比較例10]
(GSGG単結晶の製造)
実施例1と同様の方法により、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が15℃/cm(7〜14℃/cmの範囲外)、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が18℃/cm(19〜23℃/cmの範囲外)の条件で、
図1に示す単結晶の製造装置を用い、かつ、従来の育成条件に従って、直径50mm、直胴長110mmのGSGG単結晶を育成した。
【0128】
しかし、GSGG単結晶にクラックが発生したため、GSGG単結晶基板の加工は断念した。