(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置100の構成を示す図である。
図1に示すように、基板処理装置100は、帯状の基板(例えば、シート状のフィルム部材)Sを供給する基板供給部2と、基板Sの表面(被処理面)Saに対して処理を行う基板処理部3と、基板Sを回収する基板回収部4と、これらの各部を制御する制御部CONTと、を有している。基板処理部3は、基板供給部2から基板Sが送り出されてから、基板回収部4によって基板Sが回収されるまでの間に、基板Sの表面に各種処理を実行するための基板処理装置100を備える。この基板処理装置100は、基板S上に例えば有機EL素子、液晶表示素子等の表示素子(電子デバイス)を形成する場合に用いることができる。
【0012】
なお、本実施形態では、
図1に示すようにXYZ座標系を設定し、以下では適宜このXYZ座標系を用いて説明を行う。XYZ座標系は、例えば、水平面に沿ってX軸及びY軸が設定され、鉛直方向に沿って上向きにZ軸が設定される。また、基板処理装置100は、全体としてX軸に沿って、そのマイナス側(−側)からプラス側(+側)へ基板Sを搬送する。その際、帯状の基板Sの幅方向(短尺方向)は、Y軸方向に設定される。
【0013】
基板処理装置100において処理対象となる基板Sとしては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。
【0014】
基板Sは、例えば200℃程度の熱を受けても寸法が変わらないように熱膨張係数が小さい方が好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合して熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。
【0015】
基板Sの幅方向(短尺方向)の寸法は例えば1m〜2m程度に形成されており、長さ方向(長尺方向)の寸法は例えば10m以上に形成されている。勿論、この寸法は一例に過ぎず、これに限られることは無い。例えば基板SのY方向の寸法が50cm以下であっても構わないし、2m以上であっても構わない。また、基板SのX方向の寸法が10m以下であっても構わない。
【0016】
基板Sは、可撓性を有するように形成されている。ここで可撓性とは、基板に自重程度の力を加えても剪断したり破断したりすることはなく、該基板を撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、上記可撓性は、該基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、基板Sとしては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
【0017】
基板供給部2は、例えばロール状に巻かれた基板Sを基板処理部3へ送り出して供給する。この場合、基板供給部2には、基板Sを巻きつける軸部や当該軸部を回転させる回転駆動装置などが設けられる。この他、例えばロール状に巻かれた状態の基板Sを覆うカバー部などが設けられた構成であっても構わない。なお、基板供給部2は、ロール状に巻かれた基板Sを送り出す機構に限定されず、帯状の基板Sをその長さ方向に順次送り出す機構を含むものであればよい。
【0018】
基板回収部4は、基板処理部3が備える基板処理装置100を通過した基板Sを例えばロール状に巻きとって回収する。基板回収部4には、基板供給部2と同様に、基板Sを巻きつけるための軸部や当該軸部を回転させる回転駆動源、回収した基板Sを覆うカバー部などが設けられている。なお、基板処理部3において基板Sがパネル状に切断される場合などには例えば基板Sを重ねた状態に回収するなど、ロール状に巻いた状態とは異なる状態で基板Sを回収する構成であっても構わない。
【0019】
基板処理部3は、基板供給部2から供給される基板Sを基板回収部4へ搬送すると共に、搬送の過程で基板Sの被処理面Saに対して処理を行う。基板処理部3は、処理装置10及び搬送装置(搬送部)20を有している。
【0020】
処理装置10は、基板Sの被処理面Saに対して例えば有機EL素子を形成するための各種装置を有している。このような装置としては、例えば被処理面Sa上に隔壁を形成するための隔壁形成装置、電極を形成するための電極形成装置、発光層を形成するための発光層形成装置などが挙げられる。より具体的には、液滴塗布装置(例えばインクジェット型塗布装置など)、成膜装置(例えば鍍金装置、蒸着装置、スパッタリング装置)、露光装置、現像装置、表面改質装置、洗浄装置などが挙げられる。これらの各装置は、基板Sの搬送経路に沿って適宜設けられる。本実施形態では、処理装置10として、例えば塗布装置41、加熱装置51〜53、露光装置EX、現像装置42、洗浄装置43、鍍金装置44(以上、
図2以降で詳述)などが用いられた構成を例に挙げて説明する。
【0021】
搬送装置20は、基板処理部3内において基板Sを案内する複数の案内ローラー(案内部)R(
図1では、2つのローラのみを例示)を有している。案内ローラーRは、基板Sの搬送経路に沿って配置されている。複数の案内ローラーRのうち少なくとも一部の案内ローラーRには、回転駆動機構(不図示)が取り付けられている。本実施形態において、搬送装置20における搬送経路の長さは、例えば全長数百メートル程度となっている。
【0022】
図2は、基板処理部3の一部の構成を示す断面図である。
図2に示すように、基板処理部3は、3つの処理室11〜13を有している。処理室11〜13は、仕切り部14によって仕切られている。
【0023】
仕切り部14は、処理室11の床部を構成する仕切り部材14aと、処理室11の天井部及び処理室12の床部を構成する仕切り部材14bと、処理室12の天井部及び処理室13の床部を構成する仕切り部材14cと、処理室13の天井部を構成する仕切り部材14dとを備える。
【0024】
処理室11は、複数の処理室の中で、重力方向の最下部(最も−Z側)に配置されている。処理室11は、基板Sに対して液体を用いた処理(ウェット処理)を行う処理空間を形成している。処理室11には、例えば
図2に示すように、処理装置10として、基板Sに塗布するためのレジスト液を収容するレジスト液収容容器41aを備える塗布装置41と、基板Sに現像処理を行うための現像液を収容する現像液収容容器42aを備える現像装置42と、基板Sを洗浄する洗浄液を収容する洗浄液収容容器43aを備える洗浄装置43と、洗浄処理後の基板Sに対してパターンを形成するための鍍金液を収容する鍍金液収容容器44aを備える鍍金装置44と、が設けられている。なお、処理室11には、上述した液体に限らず、各種液体を使用する処理装置を収容することが可能である。
【0025】
塗布装置41は、当該塗布装置41の内部に配置され、基板Sを案内する案内ローラーR2及び塗布処理が終了した基板Sを塗布装置41内から処理室11に搬出する案内ローラーR3を有する。基板Sの搬送方向に関する案内ローラーR2の上流側には、基板供給部2から供給された基板Sを塗布装置41に案内する案内ローラーR1が配置されている。現像装置42には、当該現像装置42の内部に配置され、基板Sを案内する案内ローラーR20及び現像処理が終了した基板Sを現像装置42内から処理室11内に搬出する案内ローラーR21を有する。基板Sの搬送方向に関する案内ローラーR20の上流側には、処理室12の加熱装置52から案内ローラーR17を介して基板Sを現像装置42に案内する案内ローラーR18及びR19が配置されている。
【0026】
基板Sの搬送方向における案内ローラーR21の下流側には、基板Sを現像装置42から洗浄装置43へと案内する案内ローラーR22及びR23が配置されている。なお、これら案内ローラーR1、R18、R19、R22及びR23は、処理室11内に配置されている。
洗浄装置43には、当該洗浄装置43の内部に配置され、基板Sを案内する案内ローラーR24及び洗浄処理が終了した基板Sを洗浄装置43内から処理室11内に搬出する案内ローラーR25が備えられている。鍍金装置44には、当該鍍金装置44の内部に配置され、基板Sを案内する案内ローラーR28と、鍍金処理が終了した基板Sを鍍金装置44から処理室11内に搬出する案内ローラーR29とが備えられている。
【0027】
仕切り部材14aには、不図示の回収装置に接続された廃液回収流路の一部を構成する複数の回収管(廃液回収部、回収部)45が設けられている。回収管45の一端部は、塗布装置41、現像装置42及び洗浄装置43のそれぞれに接続され、他端部は、回収装置に接続された不図示の廃液回収流路に接続されている。各回収管45は、塗布装置41、現像装置42及び洗浄装置43において廃液となったレジスト液、現像液及び洗浄液を廃液回収流路を介して回収装置に排出する。回収管45には、不図示の開閉弁などが設けられている。制御部CONTは、当該開閉弁の開閉のタイミングを制御可能である。本実施形態では、重力方向の最下部の処理室11にウェット処理用の装置が設けられているため、これらの装置と回収装置との間の廃液回収流路の流路系の長さが抑えることができる。
【0028】
処理室12は、処理室11の上方(+Z側)に配置されている。処理室12は、基板Sに対して加熱処理を行う処理空間を形成している。処理室12には、処理装置10として、基板Sを加熱する加熱装置51〜53が設けられている。加熱装置51は、塗布装置41によってレジスト液が塗布された基板Sを加熱し、レジスト液を乾燥させる。加熱装置52は、処理室13の露光装置EXを通過した基板Sを再び加熱し、レジスト液を乾燥させる。加熱装置52は、加熱装置51の加熱温度と異なる温度、例えば、加熱装置51の加熱温度よりも高い温度で基板Sを加熱している。加熱装置53は、現像装置42によって現像処理が行われ、かつ洗浄装置43によって洗浄された後の基板Sを加熱し、基板Sの表面を乾燥させる。
【0029】
基板Sの搬送方向に関する加熱装置51の上流側には、処理室11内の塗布装置41を通過した基板Sを当該加熱装置51へ案内する案内ローラーR4が配置されている。基板Sの搬送方向に関する加熱装置51の下流側には、案内ローラーR5、R6及びR7が搬送経路に沿って配置されており、これら案内ローラーR5、R6及びR7によって処理室13内の露光装置EXに基板Sを案内している。
【0030】
基板Sの搬送方向に関する加熱装置52の上流側には、処理室13の露光装置EXを通過した基板Sを案内ローラーR13を介して当該加熱装置52へ案内する案内ローラーR14、R15及びR16が搬送経路に沿って配置されている。基板Sの搬送方向に関する加熱装置52の下流側には、処理室11の現像装置42に、案内ローラーR18及びR19を介して基板Sを案内する案内ローラーR17が配置されている。
【0031】
基板Sの搬送方向に関する加熱装置53の上流側には、洗浄装置43を通過した基板Sを当該加熱装置53へ基板Sを案内する案内ローラーR26が配置されている。また、基板Sの搬送方向に関する加熱装置53の下流側には、処理室11内の鍍金装置44に基板Sを案内する案内ローラーR27が配置されている。また、案内ローラーR27の+X側には、次の工程に基板Sを案内する案内ローラーR30が配置されている。これら案内ローラーR4、R5、R6、R7、R14、R15、R16、R17、R26、R27及びR30は、処理室12内に配置されている。
【0032】
仕切り部材14bには、処理室11と処理室12との間で、基板Sを通過させるための複数の接続部15〜19が設けられている。接続部15〜19は、例えば、仕切り部材14bをZ方向に貫通する貫通穴である。各接続部15〜19は、基板Sが通過可能な寸法に形成されている。基板Sは、接続部15〜19を通過することによって処理室11と処理室12との間に跨って移動する。
【0033】
案内ローラーR3及び案内ローラーR4は、基板Sが接続部15を通過するように案内する。案内ローラーR17及び案内ローラーR18は、基板Sが接続部16を通過するように案内する。案内ローラーR25及び案内ローラーR26は、基板Sが接続部17を通過するように案内する。案内ローラーR27及び案内ローラーR28は、基板Sが接続部18を通過するように案内する。案内ローラーR29及び案内ローラーR30は、基板Sが接続部19を通過するように案内する。このように、搬送装置20は、基板Sが接続部15〜19を通過するように当該基板Sを案内する。
【0034】
なお、接続部15〜19を挟んで配置された上記の案内ローラーR3、R4、R17、R18、R25〜R30が、例えば基板Sの温度を調整する温調装置を有する構成であっても構わない。この構成により、加熱装置51〜53の前後で基板Sの温度を調整可能となる。
【0035】
次に加熱装置51〜53の詳細な構成について説明する。加熱装置51〜53は、それぞれ一つ又は複数の加熱ユニット50を有している。
図3は、加熱ユニット50の構成を示す側断面図である。
図4は、加熱ユニット50の構成を示す斜視図である。
図3及び
図4に示すように、加熱ユニット50は、筐体60及び筐体60内を加熱する加熱部70を有している。
【0036】
筐体60は、一対の第一壁部(右側壁部60d及び左側壁部60c)と、一対の第二壁部(上壁部60f及び下壁部60e)とによって、内部空間を形成する矩形の環状である。そして、筐体60に形成された内部空間は、基板収容室(収容室)62として機能する。筐体60の一方の第一壁部(左側側壁部)60cには、基板搬入口(搬入口)61が形成され、筐体60の他方の第一壁部(右側側壁部)60dには、基板搬出口(搬出口)63が形成されている。また、筐体60の一方の端面(−Y側の端面)を第一の開口端60aとし、筐体60の他方の端面(Y側の端面)を第二の開口端60bとする。筐体60の第一の開口端60a及び第二の開口端60bには、複数の加熱ユニット50を連結させるための連結部(不図示)が設けられている。
【0037】
筐体60の第一の開口端60a及び第二の開口端60bは、基板収容室62を密閉する蓋部が取り付け可能となっている。このため、加熱ユニット50を一つのみ用いる場合には開口端60a及び60bの端面を塞ぐことによって密閉空間を形成することが可能である。また、複数の加熱ユニット50を連結することによって、単体の加熱ユニット50を用いる場合に比べて大きな密閉空間を形成することができる。この場合には連結方向の端に配置される加熱ユニット50の端面を蓋部で塞ぐことが可能となっている。
【0038】
基板搬入口61及び基板搬出口63は、基板Sが通過可能な寸法に形成されている。すなわち、基板搬入口61及び基板搬出口63のZ方向の寸法は、基板Sの厚さよりも大きく形成されている。また、基板搬入口61及び基板搬出口63のY方向の寸法は、基板Sの短手方向の寸法よりも大きく形成されている。
【0039】
基板収容室62には、基板Sを案内する折り返しローラー(折り返し部)64〜67が設けられている。折り返しローラー64〜67は、不図示の支持部材によって筐体60に回転可能に支持されている。折り返しローラー64及び66は、基板収容室62の+X側の端部、すなわち右側側壁部60d側に配置されている。折り返しローラー65及び67は、基板収容室62の−X側の端部、すなわち左側側壁部60c側に配置されている。折り返しローラー64、65、66及び67は、この順序で筐体60の上部(+Z側)から下部(−Z側)に向けて配置されている。
【0040】
折り返しローラー64は、基板搬入口61から搬入され+X方向に進行する基板Sを−X方向に折り返す。折り返しローラー65は、折り返しローラー64で折り返されて−X方向に進行する基板Sを+X方向に折り返す。折り返しローラー66は、折り返しローラー64で折り返されて+X方向に進行する基板Sを−X方向に折り返す。折り返しローラー65は、折り返しローラー64で折り返されて−X方向に進行する基板Sを+X方向に折り返す。
【0041】
したがって、折り返しローラー64〜67によって案内される基板Sは、Z方向に見たときに当該基板Sの折り返し片(一部)同士が重なると共に、当該折り返し片同士が非接触となった状態で配置される。このため、基板Sの被処理面Saの状態を維持しつつ、基板収容室62に基板Sが効率的に収容される。
【0042】
折り返しローラー64〜67のうち少なくとも1つには、例えばモーターなどの不図示の回転駆動機構が接続されている。制御部CONTは、当該回転駆動機構の回転数及び回転のタイミングを調整可能である。したがって、加熱ユニット50ごとに基板Sの搬送速度を調整可能となっている。
【0043】
また、折り返しローラー64〜67のうち少なくとも1つをX方向、Y方向及びZ方向のいずれかに移動可能としても構わない。この場合、制御部CONTが折り返しローラー64〜67の移動を制御することにより、加熱ユニット50ごとに基板Sの搬送経路を調整可能となる。なお、本実施形態では、筐体60内に4つの折り返しローラーを配置したが、基板Sの加熱時間に応じて、その数を増減することも可能である。
【0044】
図5は、加熱装置51〜53の構成を例示する図である。
図5に示すように、加熱装置51〜53は、Y方向に複数並んで配置された複数の加熱ユニット50を有している。当該複数の加熱ユニット50は、隣接する加熱ユニット50同士が連結された状態となっている。なお、
図5では、加熱ユニット50の第一の開口端60aの蓋部を省略している。
【0045】
加熱ユニット50を連結することによって、基板収容室62同士が連通することになる。したがって、加熱ユニット50が連結することによって、基板Sの搬送経路が複数設けられた一つの加熱炉を構成することが可能になる。加熱部70は、複数の加熱ユニット50に対して共通して設けられる構成としても良いし、加熱ユニット50のそれぞれについて個別に設けられる構成としても良い。
【0046】
加熱部70が複数の加熱ユニット50に対して共通して設けられる場合、加熱部70は、一つの加熱炉として形成された複数の基板収容室62をまとめて加熱することができる。このため、異なる搬送経路を介して搬送される複数の基板Sが一つの加熱炉で加熱部70によってまとめて加熱されることになる。このため、加熱処理の効率化を図ることができる。なお、加熱部70を加熱ユニット50ごとにそれぞれ設ける構成の場合、加熱ユニット50ごとに加熱温度や加熱のタイミングを調整するようにしても構わない。また、加熱部70としては、発熱機構や、電磁波を照射する照射部(不図示)などを用いることができる。
【0047】
図6は、処理室12における加熱装置51及び52の配置を示す図である。
図6に示す構成では、処理室12において複数の加熱ユニット50を連結させた加熱装置51がY方向に複数(3つ)並んで配置された構成となっている。このように、加熱ユニット50あるいは加熱装置51をY方向に並べて配置させることで、
図7に示すような加熱ユニット50をX方向に並べて配置させた構成に比べて、処理室12のスペースを節約することができる。
【0048】
図2に戻って、処理室13は、処理室12の上方(+Z側)に配置されている。処理室13は、基板Sに対して露光処理を行う処理空間である。処理室13には、処理装置10として、露光装置EXが設けられている。露光装置EXは、塗布装置41において基板Sに塗布されたレジスト層に、マスクのパターンを介した露光光を照射する。処理室13には、露光装置EXの露光光が照射される位置に基板Sを案内する案内ローラーR10及びR11が配置されている。
【0049】
仕切り部材14cには、開口部90が形成されている。開口部90は、仕切り部材14cをZ方向に貫通して形成されている。基板Sは、案内ローラーR8及びR9により、当該開口部90を介して処理室12から処理室13へ案内される。また、基板Sは、案内ローラーR12及びR13により、当該開口部90を介して処理室13から処理室12へ案内される。このように、開口部90は、基板Sが通過する部分である。
【0050】
開口部90の内部には、搬送装置20(例えば、案内ローラーR8〜R13など)によって案内される基板Sの振動を除去する振動除去装置(調整機構)91が設けられている。振動除去装置91は、基板Sの張力を解消し、基板Sの振動伝達性を低下させることで、基板Sに伝達された振動を除去する構成となっている。そこで、本実施形態における振動除去装置91は、基板Sの張力を解消するための張力解消機構92及び93を有している。なお、振動除去装置91は、基板Sの振動を完全になくさずに、処理装置が許容できる程度に振動が低減できればよい。従って、張力解消機構は、張力低減機構と称することもできる。
【0051】
張力解消機構92は、露光装置EX(案内ローラーR10)よりも基板Sの搬送方向の上流側に配置されている。より具体的には、張力解消機構92は、案内ローラーR8と案内ローラーR9との間に配置されている。張力解消機構93は、露光装置EX(案内ローラーR11)よりも基板Sの搬送方向の下流側に配置されている。より具体的には、張力解消機構93は、案内ローラーR12と案内ローラーR13との間に配置されている。
【0052】
図8は、張力解消機構92及び93の構成を示す図である。
図8に示すように、張力解消機構92及び93は、方向転換ローラー94a及び94b(方向転換部94)と、ニップローラー95a及び95b(ニップ部95)とを有している。方向転換ローラー94a及び94bは、基板Sが重力方向(−Z方向)に弛むように基板Sの搬送方向を転換する。具体的には、基板Sのうち方向転換ローラー94aと方向転換ローラー94bとの間の部分Sbが弛んだ状態となる。また、方向転換ローラー94aには温度調整機構(基板温調部)94cが設けられている。温度調整機構94cにより、基板Sのうち方向転換ローラー94aに接触する部分の温度が調整されることになる。なお、当該温度調整機構94cは、省略可能である。
【0053】
ニップローラー95aは、方向転換ローラー94aとの間で基板Sを挟む位置に設けられている。ニップローラー95bは、方向転換ローラー94bとの間で基板Sを挟む位置に設けられている。ニップローラー95a及び95bは、回転駆動部96に接続されている。回転駆動部96は、ニップローラー95a及び95bの回転のタイミングや回転数を個別に調整する。このため、弛み部分Sbが形成された状態で基板Sを搬送することができる。
【0054】
また、基板Sのうち方向転換ローラー94aとニップローラー95aとで挟まれた部分と、基板Sのうち方向転換ローラー94bとニップローラー95bとで挟まれた部分との間で、搬送速度が異なるように基板Sを搬送することができる。したがって、弛み部分Sbの寸法を調整しつつ基板Sを搬送することができる。
【0055】
このように張力解消機構92及び93が弛み部分Sbを形成して基板Sの張力を解消させることで、方向転換ローラー94a及びニップローラー95aの上流側からの振動は低減されることとなる。このため、張力解消機構92及び93を挟んだ処理室12と処理室13との間においては、基板Sの振動の伝達が抑制されることになる。したがって、処理室13に配置された露光装置EXでは、処理室11や処理室12における振動の影響を受けることなく露光処理が行われることになる。このような張力解消機構92及び93が仕切り部材14cに配置されているため、基板処理部3の処理室11〜13のスペースを効率的に利用することができる。
【0056】
次に、上記のように構成された基板処理装置100を用いて有機EL素子、液晶表示素子などの表示素子(電子デバイス)を製造する工程を説明する。基板処理装置100は、制御部CONTの制御に従って、当該表示素子を製造する。
【0057】
まず、不図示のローラーに巻き付けられた基板Sを基板供給部2に取り付ける。制御部CONTは、この状態から基板供給部2から当該基板Sが送り出されるように、不図示のローラーを回転させる。そして、基板処理部3を通過した当該基板Sを基板回収部4に設けられた不図示のローラーで巻き取らせる。
【0058】
制御部CONTは、基板Sが基板供給部2から送り出されてから基板回収部4で巻き取られるまでの間に、基板処理部3の搬送装置20によって基板Sを当該基板処理部3内で適宜搬送させる。制御部CONTは、まず基板Sを基板処理部3の処理室11に搬入させる。以下、制御部CONTによる動作を説明する。
【0059】
処理室11に搬入された基板Sは、
図2に示す案内ローラーR1を経由して塗布装置41に搬入される。塗布装置41では、基板Sは案内ローラーR2によって+X方向に搬送される。搬送の過程で、基板Sの被処理面Saには感光剤の塗布膜が形成される。塗布装置41において処理が行われた基板Sは、案内ローラーR3の案内によって接続部15を介して処理室12へと搬送される。
【0060】
処理室12に搬入された基板Sは、案内ローラーR4を経て加熱装置51の基板搬入口61から基板収容室62に搬入される(
図3参照)。基板収容室62では、基板Sが複数回折り曲げられた状態で基板Sが加熱され、この搬送状態で基板Sの加熱が行われる。このため、基板収容室62のスペースを効率的に利用した加熱処理が行われることになる。加熱装置51では、加熱により基板Sに形成された塗布膜を乾燥させる。加熱処理が行われた後、基板搬出口63から搬出された基板Sは、案内ローラーR5、R6及びR7を介して開口部90へ搬送される。
【0061】
開口部90に到達した基板Sは、案内ローラーR8によって張力解消機構92に搬入される。張力解消機構92では、方向転換ローラー94aとニップローラー95aとで挟まれる部分と、方向転換ローラー94bとニップローラー95bとで挟まれる部分との間で搬送速度を異ならせることにより、基板Sに弛み部分Sbが形成される。
【0062】
弛み部分Sbが形成された後、方向転換ローラー94a及び94bとニップローラー95a及び95bとによる基板Sの搬送速度を等しくする。この動作により、弛み部分Sbが形成された状態で基板Sが張力解消機構92から搬出される。当該基板Sは、案内ローラーR9を経て処理室13へ搬送される。
【0063】
処理室12側から基板Sを介して伝達される振動は、基板Sの弛み部分Sbにおいて振動が除去される。このため、基板Sを介して処理室13に振動が伝達されるのが抑制されることになる。なお、方向転換ローラー94aに温度調整機構94cが設けられている場合には、当該方向転換ローラー94aにおいて基板Sの温度調整が行われる。ここでは、例えば露光処理に適した温度に調整される。
【0064】
処理室13へ搬入された基板Sは、案内ローラーR10及びR11によって搬送される。当該基板Sに対しては、露光装置EXによって露光処理が行われる。露光処理により、基板Sの被処理面Saに形成された塗布膜のうち所定の領域が感光する。露光処理が完了した基板Sは、開口部90に挿入された後、案内ローラーR12を経て張力解消機構93に搬入される。
【0065】
張力解消機構93では、上記の張力解消機構92と同様、基板Sに弛み部分Sbが形成される。従って、処理室12側から基板Sを介して伝達される振動は、基板Sの弛み部分Sbにおいて振動が除去される。一方、前述したように、張力解消機構92においても弛み部分Sbが形成されている。このため、基板Sのうち処理室13に配置される部分は、張力解消機構92及び張力解消機構93の両方において、処理室12からの振動の伝達が除去された状態となる。
【0066】
案内ローラーR8〜R13や加熱装置51、52などの振動が基板Sに伝わると、露光装置EXの露光光照射位置において基板Sや他の部位が振動する場合があり、露光精度が低下する可能性がある。このため、振動除去装置91を用いて露光装置EXを跨ぐ部分における基板Sの振動を除去することで、露光精度の低下が抑制される。
【0067】
処理室13から処理室12へ搬送された基板Sは、案内ローラーR14、R15及びR16を介して加熱装置52に搬入される。加熱装置52では、感光された塗布膜に対する加熱処理が行われる。加熱処理が行われた後、加熱装置52から搬出された基板Sは、案内ローラーR17を介して接続部16に挿入され、接続部16を経由して処理室11へ搬送される。
【0068】
処理室11に搬送された基板Sは、案内ローラーR18及びR19を経由して現像装置42に搬入される。現像装置42では、基板Sは現像液に浸されながら案内ローラーR20によって搬送され、搬送の過程で現像処理が行われる。現像処理が行われた基板Sは、案内ローラーR21によって現像装置42から搬出され、案内ローラーR22及びR23を介して洗浄装置43へ搬入される。
【0069】
洗浄装置43では、基板Sは洗浄液に浸されながら案内ローラーR24によって搬送され、搬送の過程で洗浄処理が行われる。洗浄処理が行われた基板Sは、案内ローラーR25によって洗浄装置43から搬出された後、接続部17を介して処理室12へと搬送される。
【0070】
処理室12に搬送された基板Sは、案内ローラーR26を介して加熱装置53へ搬入される。加熱装置52では、洗浄された基板Sを乾燥させるための加熱処理や、塗布膜を加熱するための加熱処理などが行われる。当該加熱処理が行われた後、加熱装置53から搬出された基板Sは、案内ローラーR27の案内によって、接続部18を経由して処理室11へ搬送される。
【0071】
処理室11へ搬送された基板Sは、鍍金装置44に搬入される。鍍金装置44では、基板Sは鍍金液に浸されながら案内ローラーR28によって搬送され、搬送の過程で鍍金処理が行われる。鍍金処理が行われた基板Sには、所定のパターンが形成される。鍍金処理後の基板Sは、案内ローラーR29によって鍍金装置44から搬出され、接続部19を介して処理室12へ搬送される。処理室12では、案内ローラーR30を介して不図示の加熱装置に搬入され、加熱処理が行われる。
【0072】
以上のように、本実施形態によれば、基板Sに対してそれぞれ異なる種類の処理を行う処理部3を配置し、かつ、この処理部3のうち、互いに共通する処理工程(共通サブプロセス)を有する処理部3を同じ処理室内に配置するようにした。さらに、基板Sが各処理室11〜13内を跨って搬送可能となるように、かつ、基板Sがそれぞれの処理室11〜13に対して複数回ずつ出入りするように、当該基板Sを搬送する搬送装置20を備えるため、基板処理部3のスペースを効率的に利用することが可能となる。
【0073】
例えば、本実施形態のように、表示素子の構成要素を形成する場合、加熱処理が頻繁に行われるため、加熱装置の台数が多数設けられることになる。本実施形態のように一つの処理室12に加熱装置をまとめて配置させる場合、熱エネルギーを効率的に利用することができる。また、加熱装置が配置される処理室12をZ方向の中央の階層に配置させ、当該処理室12を挟んで処理室11(ウェット処理)及び処理室13(露光処理)を配置させる構成としたので、加熱装置にアクセスしやすい構成となる。このため、装置全体の基板Sの搬送経路を短縮させることができる。また、処理室12において、加熱装置がX方向及びY方向に重なるように複数並んで配置されているため、処理室12のスペースを節約することができる。このため、基板処理装置100を設置するために要する敷地の面積を抑えることができる。
また、
図2では、処理装置10として、塗布装置、加熱装置、露光装置、現像装置、洗浄装置、鍍金装置の組合せを例に説明したが、この組合せに限定されない。また、この処理装置10をX方向又はY方向に複数配置させてもよい。すなわち、案内ローラーR30を介して、他の処理装置10の塗布装置に基板Sを搬送させて、上記の動作を繰り返し行うことにより、基板Sに表示素子の構成要素が順次形成される。この場合、複数の処理装置10を複数配置させた場合、複数の露光装置EXの露光精度や解像度を互いに異なるものにしてもよい。
この処理装置10をY方向に複数配置した場合、上述したように、
図5に示すような複数の加熱ユニット50、すなわち、隣接する加熱ユニット50を連結した構成を用いることができる。
【0074】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、振動除去装置91の構成としては、
図8に示すような張力解消機構92及び93を用いた構成としたが、これに限られることは無い。振動除去装置91として、例えば
図9〜
図11にそれぞれ示すような構成であっても構わない。
図9は、振動除去装置91における張力解消機構92及び93の別の構成例としての、振動吸収機構192及び193を示している。
振動吸収機構192及び193は、方向転換ローラー194a及び194b(方向転換部194)と、振動吸収部196とを有している。
【0075】
振動吸収部196は、ローラー196aと、ローラー支持部196bと、バネ部材196cと、壁部196dとを有している。
【0076】
ローラー196aは、方向転換ローラー194aと方向転換ローラー194bとの間に配置されている。このローラー196aには、基板Sのうち方向転換された一部分Scが掛けられている。ローラー196aは、ローラー支持部196b及びバネ部材196cを介して壁部196dに取り付けられている。このため、基板Sの振動は、当該一部分Scにおいて、ローラー196a及びバネ部材196cによって吸収される。
【0077】
図10は、振動除去装置91における張力解消機構92及び93の別の構成例としての、振動吸収機構292及び293を示している。
当該振動吸収機構292及び293は、方向転換ローラー294a及び294b(方向転換部294)と、振動吸収部297とを有している。振動吸収部297は、ローラー297aと、当該ローラー297aの円筒面に形成された振動吸収層297bとを有している。
【0078】
ローラー297aは、方向転換ローラー294aと方向転換ローラー294bとの間に配置されている。このローラー297aには、基板Sのうち方向転換された一部分Scが掛けられている。振動吸収層297bは、例えばソルボセインなどの振動吸収性材料が用いられている。
図10に示す構成においては、ローラー297aに形成された振動吸収層297bによって基板Sの振動が吸収されるため、簡単な構成で済むことになる。
【0079】
図11は、振動除去装置91における張力解消機構92及び93の別の構成例としての、振動付与機構392及び393を示している。
振動付与機構392及び393は、方向転換ローラー394a及び394b(方向転換部394)と、振動発生部398とを有している。振動発生部398は、ローラー398aと、当該ローラー398aを振動させる振動調整部398bと、基板Sのうちローラー398aの下流側の位置における振動を検出するセンサ398cとを有している。
【0080】
ローラー398aは、方向転換ローラー394aと方向転換ローラー394bとの間に配置されている。このローラー398aには、基板Sのうち方向転換された一部分Scが掛けられている。振動調整部398bは、センサ398cの検出結果に基づいて、基板Sの振動を打ち消すような振動を発生させる。したがって、
図11に示す構成においては、ローラー398aにおいて基板Sの振動を打ち消すことにより、基板Sの振動の伝達を抑制することができる。
【0081】
なお、
図12に示すように、例えば、上記張力解消機構92の構成においては、方向転換ローラー94aとニップローラー95aとが処理室12に配置され、方向転換ローラー94bとニップローラー95bとが処理室13に配置され、上記張力解消機構93の構成においては、方向転換ローラー94aとニップローラー95aとが処理室13に配置され、方向転換ローラー94bとニップローラー95bとが処理室12に配置された構成であっても構わない。
【0082】
同様に、
図9に示す振動吸収機構192の構成において、例えば方向転換ローラー194aとローラー196aとが処理室12に配置され、方向転換ローラー194bが処理室13に配置され、振動吸収機構193の構成において、方向転換ローラー194aが処理室13に配置され、ローラー196aと方向転換ローラー194bとが処理室12に配置された構成であっても構わない。また、壁部196dとしては、例えば仕切り部材14bなどを用いることができる。
また、
図10に示す振動吸収機構292の構成において、例えば方向転換ローラー294aとローラー297aとが処理室12に配置され、方向転換ローラー294bが処理室13に配置され、振動吸収機構293の構成において、方向転換ローラー294aが処理室13に配置され、ローラー297aと方向転換ローラー294bとが処理室12に配置された構成であっても構わない。
更に、
図11に示す振動付与機構392の構成において、例えば方向転換ローラー394aとローラー398aとが処理室12に配置され、方向転換ローラー394bが処理室13に配置され、振動吸収機構393の構成において、方向転換ローラー394aが処理室13に配置され、ローラー398aと方向転換ローラー394bとが処理室12に配置された構成であっても構わない。
【0083】
また、
図8に示す張力解消機構92及び93の構成においては、方向転換ローラー94a及びニップローラー95aと、方向転換ローラー94b及びニップローラー95bと、が処理室12及び処理室13のうち少なくとも一方に配置された構成であっても構わない。
図13には、方向転換ローラー94a及び94bと、ニップローラー95a及び95bとが処理室13に配置された構成を示す。
【0084】
また、上記実施形態においては、処理室12と処理室13との間に振動除去装置91が設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
例えば、処理室12と処理室13との間には、
図14に示すように、振動除去装置91に加え、異物の移動を抑制する異物移動抑制装置84や、気体及び液体の移動を規制する流体移動規制装置85、基板Sの温度を調整する温調装置(基板温調部)86などが設けられた構成であっても構わない。
図14では、基板Sの搬送方向の上流側から下流側へ、異物移動抑制装置84、流体移動規制装置85、温調装置86及び振動除去装置91の順で配置されている。また、上記の振動除去装置91、異物移動抑制装置84、流体移動規制装置85、温調装置86の少なくとも1つは、処理室11と処理室12との間に配置されても構わない。
【0085】
異物移動抑制装置84は、エアカーテン形成部84a及びステージ84bを有している。異物移動抑制装置84は、ステージ84bによって支持された基板Sに対してエアカーテン形成部84aによってエアカーテンを形成する。当該エアカーテンにより、基板S上の異物が除去される。
【0086】
また、流体移動規制装置85は、上流側ローラー85a、下流側ローラー85b及び気体噴射部85cを有している。
図15は、流体移動規制装置85の構成を示す平面図である。
図14及び
図15に示すように、流体移動規制装置85は、上流側ローラー85aと下流側ローラー85bとに掛けられた状態で搬送される基板Sに対して、気体噴射部85cから気体を噴射する。
【0087】
気体噴射部85cは、例えば上流側ローラー85aと下流側ローラー85bとに掛けられた状態の基板Sに対して、−Y側の位置、+X側の位置、及び、−Y方向と+X方向との間の位置、の少なくとも1つに配置されている。基板Sに対して気体を噴射することにより、当該気体によって基板Sの表面に付着した液体、あるいは基板の表面に漂う気体を除去することができる。
【0088】
また、
図14に示すように、温調装置86は、流体が除去された基板Sの温度調整を行う。温調装置86は、ローラー86a及び温調機構86bを有している。上記実施形態では方向転換ローラー94aに温度調整機構94cが設けられた構成を例に挙げて説明したが、これとは別に、基板Sの温度調整が可能となる。
【0089】
なお、異物移動抑制装置84、流体移動規制装置85、温調装置86、振動除去装置91のそれぞれは、処理室12と処理室13との間に配置される構成に限られず、処理室11と処理室12との間に配置される構成であっても構わない。
【0090】
また、上記実施形態においては、処理室11〜13をZ方向に階層的に配置する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、処理室11〜13がX方向又はY方向に並べて配置された構成であっても構わない。また、処理室11〜13のそれぞれが独立した装置あるいは工場として形成された場合であっても、本発明の適用は可能である。
【0091】
また、上記実施形態においては、基板Sの被処理面Saが重力方向に垂直な方向(XY平面に平行な方向)を向くように基板Sを搬送させる構成としたが、これに限られることは無く、基板Sの被処理面Saが重力方向に平行な方向を向いた状態(基板Sを立てた状態)で基板Sを搬送させる構成としても構わない。この場合、張力解消機構92及び93において、基板Sを重力方向に撓ませる場合、基板Sの被処理面Saを部分的に重力方向に垂直な方向に向ける構成とすることができる。
また、
図2では、処理装置10として、塗布装置、加熱装置、露光装置、現像装置、洗浄装置、鍍金装置の組合せを例に説明したが、この組合せに限定されない。また、この処理装置10をX方向又はY方向に複数配置させてもよい。すなわち、案内ローラーR30を介して、他の処理装置10の塗布装置に基板Sを搬送させて、上記の動作を繰り返し行うことにより、基板Sに表示素子の構成要素が順次形成される。この場合、複数の処理装置10を複数配置させた場合、複数の露光装置EXの露光精度や解像度を互いに異なるものにしてもよい。この処理装置10をY方向に複数配置した場合、上述したように、
図5に示すような複数の加熱ユニット50、すなわち、隣接する加熱ユニット50を連結した構成を用いることができる。
本実施形態においては、処理室11〜13の室内の圧力をそれぞれ独立に調整する構成にしてもよい。
例えば、露光装置EXを収容する処理室13には、光学系の表面に付着する異物(パーティクル)が他の処理室、例えば処理室12から侵入しないように、処理室13の室内の圧力を処理室12の圧力より高くしておくことが望ましい。また、処理室11では、複数の液体を使用するので、これら液体が処理室12内に浸入しないように、処理室13の室内の圧力を処理室12の圧力より高くしておくことが望ましい。
また、3つの処理室の圧力は、3つの処理室のうち、処理室13の圧力を最も高くし、処理室11の圧力を最も低くし、処理室12を処理室13と処理室11の間の圧力に設定してもよい。