(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記骨肉分離用処理部のうち最終位置に設けられた骨肉分離用処理部は、前記昇降装置で前記クランプ装置を上昇させる時、前記押え部材の位置を検出する位置検出器と、該位置検出器の検出値から前記骨付き腿肉の脱落有無を判定する第2判定手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の脱骨装置の監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動脱骨装置の普及と共に、自動脱骨装置のメンテナンスを効率良く行う必要が高まっている。即ち、自動脱骨装置の運転状況をリアルタイムに把握し、骨付き腿肉の骨折や脱臼が発生したら、その原因を素早く突き止め対策を講じることで、稼動率の低下を防止する必要がある。また、多数の自動化装置を集中監視することで、メンテナンスの省力化を図る必要がある。
【0006】
本発明は、前記の問題点に鑑みなされたものであり、自動脱骨装置の稼動状態をリアルタイムに把握し、不具合いが発生したら、その原因を素早く突き止め、対策を講じることで、稼動率の低下を防止することを目的とする。また、多数の自動化装置を集中監視することで、メンテナンスの省力化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の脱骨装置の監視装置は、本発明者等が先に開発したもので、特許文献1及び2に開示された自動脱骨装置、即ち、下腿部と大腿部とからなる骨付き腿肉を足首を介して吊下するクランプ装置と、骨付き腿肉をクランプ装置を介して断続搬送する送り機構と、骨付き腿肉の搬送路に設けられ、順々に脱骨処理の一工程を行う複数の処理部とを備え、複数の処理部は、骨付き腿肉の肉部を押える押え部材と、クランプ装置を昇降させる昇降装置とを有し、押え部材で肉部を押えながらクランプ装置を上昇させ、骨付き腿肉の骨部と肉部とを引き剥がす骨肉分離用処理部を含む脱骨装置に適用される。
【0008】
本発明の監視装置において、各骨肉分離用処理部は、昇降装置でクランプ装置を上昇させる時、昇降装置を駆動するサーボモータの電流値を検出する電流値検出器と、該電流値検出器の検出値から骨付き腿肉のクランプ装置からの脱落有無を判定する第1判定手段とを備えている。
【0009】
本発明が適用される脱骨装置において、クランプ装置及び昇降装置は、例えば、特許文献1に開示された構成を有している。即ち、クランプ装置は昇降軸の下端に装着され、該昇降軸には昇降ローラが設けられている。また、昇降装置は、サーボモータの出力軸に連結されたネジ軸と、該ネジ軸に螺合した昇降台とで構成されている。前記昇降ローラは、骨肉分離用処理部間にクランプ装置の移動方向に向かって下降するように形成されたガイド溝に案内されて下降し、昇降台はサーボモータの稼動で上昇する。クランプ装置は、昇降ローラと共に下降し、昇降台と共に上昇する。
【0010】
本発明では、骨肉分離用処理部で行われる骨付き腿肉の骨部と肉部とを引き剥がす工程において、サーボモータの電流値を検出することで、クランプ装置に骨付き腿肉が吊下されているかどうかを判定する。骨付き腿肉がクランプ装置に吊下されていれば、クランプ装置の上昇時サーボモータに大きな負荷が作用し、骨付き腿肉がクランプ装置に吊下されていなければ、負荷は小さくなる。この負荷の違い、即ち、サーボモータの電流値の違いから、骨付き腿肉のクランプ装置からの脱落有無を判定できる。負荷が小さいとき、即ち、サーボモータの電流値が小さいとき、前工程で骨付き腿肉がクランプ装置から外れたことを意味する。
【0011】
本発明の一態様として、骨肉分離用処理部のうち最終位置に設けられた骨肉分離用処理部は、昇降装置でクランプ装置を上昇させる時、セパレータの位置を検出する位置検出器と、該位置検出器の検出値から骨付き腿肉のクランプ装置からの脱落有無を判定する第2判定手段とを備えることができる。
【0012】
また、骨肉分離用処理部で、昇降装置でクランプ装置を上昇させた時、押え部材の位置を検出することで、骨付き腿肉がクランプ装置にクランプされているかどうかを判定できる。即ち、骨付き腿肉の脱落の有無で、押え部材の位置が異なっているので、正常位置に押え部材がなければ、骨付き腿肉がクランプ装置にクランプされていないことがわかる。この態様によれば、最終位置にある骨肉分離用処理部で骨付き腿肉が正常に吊下されているかどうかを確認することで、脱骨処理が最終的に正常に行われたかどうかを確認できる。
【0013】
本発明の一態様として、第1判定手段は、昇降装置でクランプ装置を上昇させた時、サーボモータの電流値の増加量が第1設定値を超えれば、骨付き腿肉の脱落無しと判定し、該電流値の増加量が第1設定値以下のとき、骨付き腿肉の脱落有りと判定するものとすることができる。本態様では、第1設定値という閾値を設定することで、脱落有無の判定を客観的かつ正確に行うことができる。
【0014】
本発明の一態様として、第1判定手段は、昇降装置でクランプ装置を上昇させた時、サーボモータの電流値の増加量が第1設定値を超えた後、該電流値の減少量が第2設定値を超えたとき、異常発生と判定するものとすることができる。クランプ装置の上昇時、サーボモータの電流値が一旦増加し、その後減少すれば、クランプ装置の上昇時に骨付き腿肉がクランプ装置から外れたことを意味する。本態様では、第1設定値及び第2設定値を設定したことで、脱落発生有無の判定を客観的かつ正確に行うことができる。
【0015】
さらに、骨付き腿肉に脱落が発生した時のサーボモータの電流値に関する過去のデータを蓄積し、これらの蓄積データに基づいて、第1設定値又は第2設定値を設定すれば、脱落有無の判定をさらに精度良く行うことができる。
【0016】
本発明の一態様として、脱骨装置の運転状態値を表示する監視盤を備え、該監視盤は、骨付き腿肉の脱落発生の頻度を骨肉分離用処理部毎に表示する脱落発生率表示手段を有することができる。これによって、骨肉分離用処理部毎の脱落発生率をリアルタイムで把握できる。
【0017】
本発明の一態様として、前記監視盤は、複数の脱骨装置の運転状態値を表示し、複数の脱骨装置を遠隔監視するものとすることができる。これによって、離れた場所にある複数の脱骨装置を一括して集中監視することができる。
【0018】
前記構成に加え、さらに、監視盤は、脱落発生率表示手段で表示された脱落発生の頻度が閾値を超えた骨肉分離用処理部があるとき、監視盤に警報を表示する警報表示手段と、この警報表示手段が警報を表示した時、骨付き腿肉の脱落発生の頻度が閾値を超えた骨肉分離用処理部毎に対応した脱落発生防止対策を表示する対策表示手段とを有するようにすることができる。これによって、脱落発生に対し早期に対策を講じることができ、脱骨装置の稼動率低下を防止できる。
【0019】
あるいは、監視盤は、脱骨装置の稼動時間を計測する稼動時間検出器と、この稼動時間検出器の検出値に基づいて、脱骨装置を構成する部品のメンテナンス要否及びメンテナンス手順を表示するメンテナンス表示手段とを有するようにすることができる。これによって、メンテナンス時期を逃すことなく、メンテナンスを的確に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、骨肉分離用処理部に設けられた昇降装置を駆動するサーボモータの電流値を検出することで、骨付き腿肉のクランプ装置からの脱落有無を正確に把握でき、タイムリーな処置を講じることで、脱骨装置の稼動率低下を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0023】
次に、本発明の一実施形態に係る脱骨装置の集中監視装置を
図1〜
図12により説明する。本実施形態の脱骨装置は、食鳥屠体の下腿部と大腿部とからなる骨付き腿肉(以下「ワーク」と言う。)を骨部と肉部とに解体するものである。本実施形態の集中監視装置20は、多数台の脱骨装置を集中監視するものである。
図1は、集中監視装置20の概略構成を示すブロック線図である。
【0024】
図1において、一つの場所に6台の脱骨装置12A〜12Fが並置された脱骨ライン10Aが設けられ、脱骨ライン10Aと別の場所に、6台の脱骨装置12G〜12Lが並置された脱骨ライン10Bが設けられている。脱骨ライン10Aには、脱骨装置12A〜12Fにワークを送るオートローダ14Aが設けられ、脱骨ライン10Bには、脱骨ライン10Bの脱骨装置12G〜12Lにワークを送るオートローダ14Bが設けられている。オートローダ14Aの操作盤16Aから、ワークの移載信号及び運転状態を示すデータ等が脱骨装置12A〜12Fに送られ、同様に、該データがオートローダ14Bの操作盤16Bから脱骨装置12G〜12Lに送られる。各脱骨装置は手元操作盤18A〜18Lを有している。
【0025】
本実施形態の集中監視装置20を構成するものとして、脱骨ライン10A及び10Bから離れた監視室21に、脱骨装置12A〜12Lの運転状態を監視する集中監視盤22が設けられている。集中監視盤22には、脱骨装置12A〜12Lの各種運転状態値の信号が入力される。集中監視盤22は外部のパソコン24やタブレット端末26と接続され、集中監視盤22で見られる情報は、これらのパソコン24やタブレット端末26で見ることができるようになっている。
【0026】
脱骨装置12A〜12Lは夫々同一構成のものである。以下、脱骨装置12Aを例に取って脱骨装置の構成を
図2〜
図7に基づいて説明する。
図2に示すように、脱骨装置12Aは、ワーク投入から骨部Bと肉部Mの最終分離までの各処理工程を行う第1から第10までの処理ステーションが、中心点Oを中心に円形に配置された1個の組立体で構成されている。脱骨装置12Aは左足用脱骨装置であり、各処理ステーションは、第1処理ステーション1STから順々に矢印a方向回りに配置される。右足用脱骨装置の場合は矢印b方向回りに配置される。
【0027】
図3は、各処理ステーションで行われる脱骨処理を第1処理ステーション1STから順に示している。
図3の第1処理ステーション1STに示すように、脱骨処理前のワークWは、足首f、下腿骨k及び大腿骨jからなる骨部Bと、骨部を取り巻く肉部Mとからなる。下腿骨kと上腿骨jとは膝関節hで結合されている。
【0028】
図4に示すように、クランプ装置30は昇降軸32の下端部に取り付けられて昇降する。昇降軸32は2本のガイドバー36と回動軸34とで構成され、ガイドバー36の上下両端は水平に設けられた円形の送り環38及び40に結合されている。送り環38及び40は、駆動装置(図示省略)によって脱骨装置12Aの中心点Oを中心に矢印a方向へ断続的に回転する。クランプ装置30は中心点Oを中心に円軌道を描きながら処理ステーション間を移動し、各処理ステーションで一時停止し、一時停止中に脱骨処理が行われる。
【0029】
各処理ステーションにおけるクランプ装置30の昇降は、各処理ステーションに設けられたサーボモータ42によって行われる。クランプ装置30は、回動軸34の下端に取り付けられ、ワークwの足首が挿入される溝30bを有するクランプ部30aと、溝30bを開閉するチャック30cとで構成されている。チャック30cの開閉動作は、手元操作盤18Aに内蔵され、脱骨装置12Aの運転を制御する制御装置(図示省略)によって制御される。脱骨装置12Aの上部及び下部には、円形の支持桁44及び46が設けられ、支持桁44に支持フレーム48を介して外板50が取り付けられている。
【0030】
図5に示すように、外板50はガイド溝50aを有し、昇降軸32に設けられた昇降ローラ52がガイド溝50aを走行する。クランプ装置30が処理ステーション間を移動するとき、昇降ローラ52がガイド溝50aに案内され、ガイド溝50aの上下方向位置によって、クランプ装置30の上下方向位置が規定される。
【0031】
図6及び
図7に示すように、昇降軸32は、前記2本のガイドバー36に遊嵌され、ガイドバー36に沿って摺動可能な摺動ブラケット54と、摺動ブラケット54の中心孔に遊嵌され、摺動ブラケット54に対して回動可能な回動軸34とを有している。回動軸34は摺動ブラケット54と共にガイドバー36にガイドされ上下方向に共動する。ガイドバー36の下端は、固定具56を介して送り環40に固定されている。
【0032】
図2に示すように、第1処理ステーション1STから第10処理ステーション10STまでの各処理ステーションは、中心点Oに対して等角度に配置されている。
図4には、第2処理ステーション2STに設けられたクランプ装置30のみ図示されている。実際には、送り環38及び40に複数の昇降軸32が等間隔に取り付けられ、各処理ステーションに夫々1個のクランプ装置30が配置されている。
【0033】
図6及び
図7において、回動軸34の上端にはコイルバネ58が巻装され、コイルバネ58の一端は、摺動ブラケット54に形成された止め金64に結合されている。回動軸34には、一定の周方向角度を保持するようにコイルバネ58の弾性力が付勢されている。コイルバネ58の直下で、回動軸34にアーム60を介して搖動ローラ62が回動自在に取り付けられ、搖動ローラ62の下方に、昇降ローラ52が摺動ブラケット54に回動自在に取り付けられている。
【0034】
図7に示すように、送り環40の上面に軸受66が固定され、軸受66に、ブレーキシュー68がピン68aを中心に回動自在に取り付けられている。ブレーキシュー68はコイルバネ70の弾性力によって回動軸34の表面に押し付けられ、ブレーキシュー68の押付力で、クランプ装置30の落下を防止している。
【0035】
図4に示すように、各処理ステーションでワークWを上昇させる手段は、サーボモータ42と、サーボモータ42によって回動するネジ軸74と、ネジ軸74に螺合した昇降ブロック76とで構成されている。ネジ軸74の回動によって昇降ブロック76が昇降する。ガイド溝50aを走行して昇降ブロック76の上面に達した昇降ローラ52は、昇降ブロック76と共に上昇し、これによって、クランプ装置30及びワークWが上昇する。サーボモータ42の回転数に応じてワークWの昇降量が決まる。
【0036】
ブレーキシュー68の一端にローラ72が設けられている。ガイド溝50aがクランプ装置30の移動方向(矢印a方向)に向かって下降する方向に形成された領域では、支持桁46にガイドレール78が取り付けられている(
図5参照)。この領域ではローラ76がガイドレール78の下面に当たり、ローラ72はガイドレール78によって下方へ押し下げられ、ブレーキシュー68が回動軸34の表面から離れる。これによって、回動軸34の下降が自由になり、昇降ローラ52がガイド溝50aを走行可能になる。
【0037】
次に、各処理ステーションにおけるワークWの脱骨処理工程を簡単に説明する(詳しくは特許文献1を参照)。
図2及び
図3において、ワークWは、第1処理ステーション1ST(ワーク投入)に設けられた投入装置80を介してクランプ装置30に吊下される。投入装置80は、垂直軸82aを中心に90°毎に断続回転する回転体82を有し、回転体82の外周面に90°間隔で設けられた4個の懸垂ブラケット84が設けられている。
【0038】
回転体82の断続回転は送り環34及び36の断続回転と同期し、懸垂ブラケット84にはオートローダ14AからワークWが連続的に懸垂される。ワークWが懸垂された懸垂ブラケット84がクランプ装置30に対面する位置に達した時、ワークWはプッシャ86によりクランプ装置30の溝30bに向かって押し出されクランプ装置30に吊下される。次に、前述した制御装置によってチャック30cが作動して溝30bの入口が閉じられ、その後、クランプ装置30は第2処理ステーション2STへ移動して停止する。
【0039】
第2処理ステーション2ST(筋入れ)では、ワークWを上昇させ、上昇中に筋入れナイフをワークWの骨部Bに沿わせ、骨部Bと肉部Mとを切断する筋入れ工程が行われる。同時にワークWの全長が測定される。この算出値から、後述する第9処理ステーション9ST(最終引き剥がし)におけるクランプ装置30の上昇ストロークを決定する。
【0040】
第3処理ステーション3ST(足首カット)には、一対の丸刃カッタ90が設けられ、外板50にカム板92が設けられている。前述のように、第2処理ステーション2ST(筋入れ)でワークWの上昇中に筋入れが行われる。クランプ装置30が第3処理ステーション3STに向かって移動し始めた時、ローラ72(
図7参照)がガイドレール78の下面に入り、ブレーキシュー68が回動軸34を離れる。これで回動軸34の下降が自由になり、昇降ローラ52がガイド溝50aを走行し、クランプ装置30が下降する。
【0041】
第3処理ステーション3STでは、搖動ローラ62がカム板92に接して押され、搖動ローラ62と一体の回動軸34が所定角度回動する。この動作でワークWの足首fの腱付着部位が丸刃カッタ90に対面し、この状態で丸刃カッタ90がワークWに接近し、該腱付着部位を切断する。
次に、第4処理ステーション4ST(内分離小骨金カット)では、ミートセパレータ94を構成する固定セパレータ96と可動セパレータ98とで肉部Mを両側から押え、クランプ装置30を引き上げながら、丸刃カッタ100で下腿骨kに付着している小骨筋を切断する。
【0042】
次に、第5処理ステーション5ST(膝関節露出)では、固定セパレータ104と可動セパレータ106とからなるミートセパレータ102で、肉部Mを押えながらワークWを引き上げ、膝関節hを露出させる。
次に、ワークWが第6処理ステーション6ST(膝関節位置測定・X筋カット)に到達後ワークWを引き上げ、この動作中に測定具108で膝関節hの位置を測定すると共に、カッタ110でX筋(膝関節hにある筋)を切断する。X筋の切断は、第6処理ステーション6STで膝関節hの位置測定を行った後、第7処理ステーション7STへの移動中に行う。
【0043】
次に、第7処理ステーション7ST(膝関節筋カット)では、膝関節hに付着した筋肉を切断する。第6処理ステーション6STで測定した膝関節hの位置から、ワークWの引き上げ量を決定する。そして、固定セパレータ114及び可動セパレータ116からなるミートセパレータ112で、肉部Mを押えながらワークWを引き上げる。こうして膝関節hを露出させ、露出した膝関節hに付着した筋肉を3枚の丸刃カッタ118で切断する。
【0044】
第8処理ステーション8ST(軟骨カット)では、固定セパレータ122及び可動セパレータ124からなるミートセパレータ120で肉部Mを押えながら、ワークWを引き上げる。この引き上げ量は第6処理ステーション6STで測定した膝関節hの位置に基づいて決定する。次に3枚の丸刃カッタ126で膝関節hの直下にある軟骨を切断する。
第9処理ステーション9ST(最終引き剥がし)では、固定セパレータ130及び可動セパレータ132からなるミートセパレータ128で、肉部Mを押えながらワークWを引き上げる。これによって、大腿骨jから肉部Mを引き剥がすことができる。
【0045】
第9処理ステーション9STと第10処理ステーション10STとの間の領域には、外板50にカム板136が設けられている。カム板136に搖動ローラ62が接触し、第3処理ステーション3STと同様に、クランプ装置30を90°回転させた後、コイルバネ58の弾性力で元の状態に逆回転する。この動作中に丸刃カッタ134で大腿骨jの骨頭末端に付着した腱を切断する。こうして、骨部Bから肉部Mを分離させ、分離された肉部Mは排出路(図示省略)に落下して排出される。
【0046】
第10処理ステーション10ST(最終分離)では、前述の制御装置でクランプ装置30のチャック30cを解放し、残った骨部Bをクランプ装置30から落下させる。骨部Bは肉部Mとは別な排出路に落下する。
【0047】
図8は、本実施形態の集中監視装置20の構成を示す。
図8において、ミートセパレータを有し、肉部Mの引き剥がしを行う処理ステーション、即ち、第4、第5、第7、第8及び第9の処理ステーションでは、夫々クランプ装置30を上昇させるためのサーボモータ42a〜42eと、各サーボモータの電流値を検出するための電流値検出器140a〜200eを有している。各電流値検出器の検出値は集中監視盤22に内蔵された第1判定部142に入力される。
【0048】
また、第9処理ステーション9STには、ワーク引き上げ時の可動セパレータ132の位置を検出する非接触センサ138が設けられている。クランプ装置30にワークWが吊下されているときと吊下されていないときとでは、可動セパレータ132の位置は異なってくる。非接触センサ138は、ワークWが正常にクランプ装置30に吊下されている時にオフとなり、ワークWがクランプ装置30に吊下されていないときオンとなるように動作する。非接触センサ138の検出信号は、集中監視盤22に内蔵された第2判定部144に入力される。
【0049】
各脱骨装置12A〜12Lの運転を開始させるスィッチ146がオンとなった時、その運転開始信号は、集中監視盤22に内蔵された稼動時間検出器148に入力される。稼動時間検出器148は、稼動スィッチ146がオンとなっている時間をカウントし、稼動時間として表示画面148aに表示する。また、肉部Mの引き剥がしを行う前記処理ステーションで、過去にワークWがクランプ装置30から脱落したとき、即ちミスが発生したときのサーボモータの電流値を蓄積したデータが記憶部150に記憶されている。
【0050】
以下、第1判定部142及び第2判定部144による制御手順を説明する。
図9において、第2処理ステーション2STでワークWが正常にクランプ装置30に吊下されているものとする(S10)。ワークWの引き剥がし工程を行う第4処理ステーション4ST以降の前記各処理ステーションにおいて、第1判定部142により次の2段階の電流値判定ステップを行う。
<電流値判定第1ステップ>
ワーク引き上げ時にサーボモータの電流値の増加量が第1設定値S
1を超えれば、ワーク脱落無し(ミス無し)と判定し、該増加量が第1設定値S
1以下であれば、ワーク脱落有り(ミス有り)と判定する。ミス有りのとき、前の処理ステーション以前でワーク脱落発生(ミス発生)と判定し、この判定結果及び電流値を記憶部150に記憶させる。
<電流値判定第2ステップ>
ワーク引き上げ時にサーボモータの電流値の増加量が第1設定値S
1を超えた後、該電流値の減少量が第2設定値S
2を超えたならば、ワーク引き上げ時にワーク脱落発生(ミス発生)と判定する。そして、この判定結果及び電流値を記憶部150に記憶させる。
【0051】
まず、第4処理ステーション4STで、電流値判定第1ステップ(S12)及び電流値判定第2ステップ(S16)を行う。電流値判定第1ステップでワーク無し(ミス有り)と判定したとき、第3処理ステーション3ST以前でミス発生と判定し、この判定結果及び電流値を記憶部150に記憶させる(S14)。ワーク有り(ミス無し)のとき、次のステップに進む。
次に、ワーク引き上げ時、サーボモータ42aの電流値の増加量が第1設定値S
1を超えた後、該電流値の減少量が第2設定値S
2を超えたならば、ワーク脱落発生(ミス発生)と判定し(S16)、第4処理ステーション4STでミス発生と判定し、この判定結果及び電流値を記憶部150に記憶させる(S18)。ミス無しのとき第5処理ステーション5STでの判定に移行する。
【0052】
第5処理ステーション5STでも同様に、電流値判定第1ステップ(S20)及び電流値判定第2ステップ(S22)を行う。電流値判定第1ステップ(S20)でワーク無し(ミス有り)と判定したとき、第5処理ステーション5STでミス有りと判定し、この判定結果及び電流値を記憶部150に記憶する(S18)。
以下、同様の手順で、第7処理ステーション7ST(S26〜S30)、第8処理ステーション8ST及び第9処理ステーションで、電流値判定第1ステップ及び電流値判定第2ステップを行う。
【0053】
最後に、第9処理ステーション9STでは、第2判定部144により、非接触センサ138を用いた判定を行う(S48)。ここでは、非接触センサ138がオフのとき、かつ前ステップでミス無しのとき、正常処理完了とし(S50)、脱骨処理を完了する(S54)。非接触センサ138がオンのとき、ミス有りと判定し、この判定結果を記憶部150に記憶させる(S52)。
【0054】
記憶部150に記憶されたミス発生データは、集中監視盤22のミス発生率表示画面152に表示される。ミス発生率表示画面152では、各脱骨装置の処理ステーション毎にミス発生率が表示される。
集中監視盤22には、ミス発生率表示画面152の他に、警報表示画面154、対策表示画面156及びメンテナンス表示画面158が設けられている。
【0055】
図10に示すように、集中監視盤22は、記憶部150に記憶されたミス発生データから、ミス発生率表示画面152に、脱骨装置毎及び各脱骨装置の処理ステーション毎のミス発生率を算出し、これらの算出値をミス発生率表示画面152に表示させるミス発生率算出部160を内蔵している。
また、警報表示画面154に警報を表示する警報発信部162を有している。警報発信部162は、ミス発生率算出部160で算出したミス発生率が閾値を超えた脱骨装置12A〜12Lの処理ステーション毎に警報表示画面154に警報を表示させる。
【0056】
さらに、集中監視盤22は、警報発信部162で警報を発信対象となった処理ステーションに対し、対策表示画面156に対策を表示させる対策表示部164を有している。
図10に示すように、対策表示部164では、記憶部150に記憶された過去のミス発生データから、例えば、第3処理ステーション3ST及び第4処理ステーション4STでの足首折れは、第2処理ステーション2STの筋入れ工程でミス発生と判定するように構成されている。オペレータは、ミスが発生したワークWを目視で確認しながら、画面216aを選択する。これによって、対策を表示した対策表示画面156bが表示される。
【0057】
また、第5処理ステーション5STから第9処理ステーション9STまでのどこかでミス発生率が増加したときは、対策表示部164は、足首折れ又は下腿骨kと大腿骨j間の脱臼のどちらかが起ったと判定するように構成されている。そして、オペレータが目視でミス有りワークを確認しながら、画面156cの中で足首折れ又は脱臼のどちらかを選択する。画面156dでは種々の足首折れ状態が表示され、画面156eでは種々の脱臼状態が表示される。オペレータは、ミス有りワークの状態に最も合った画面を選択する。画面156f又は画面156gでは、ミス有りワークの状態に最適な詳細対策モードが表示される。
【0058】
また、
図12に示すように、集中監視盤22は、稼動時間検出器148の検出値からメンテナンス必要時期及びメンテナンス手順を算出し、それをメンテナンス表示画面158に表示させるメンテナンス表示部166を内蔵している。
【0059】
本実施形態の集中監視装置20によれば、ワークWの肉部引き剥がし工程を行う処理ステーションにおいて、サーボモータ42a〜42eの電流値を検出することで、クランプ装置30にワークWの脱落有無を判定できる。また、第9処理ステーション9ST(最終引き剥がし)で、非接触センサ138によりワークWの脱落有無を検出することで、脱骨処理が正常に行われたかどうかを確認できる。
また、ワークWの肉部引き剥がし工程を行う処理ステーションで、電流値判定第1ステップ及び電流値判定第2ステップを両方行うことで、どこの処理ステーションでワークWの脱落が起ったかを客観的かつ正確に判定できる。
【0060】
また、過去のミス発生データを記憶部150に記憶させ、これらの記憶データに基づいて、第1設定値S
1及び第2設定値S
2を設定しているので、ミス発生有無の判定をさらに正確に行うことができる。
また、ミス発生率算出部160を有し、脱骨装置12A〜12L毎及び処理ステーション毎にミス発生率を算出して集中監視盤22に表示させているので、各処理ステーションのミス発生率をリアルタイムで監視できる。
【0061】
また、ミス発生率が閾値を超えた処理ステーションがあるとき、警報発信部162で警報表示画面214に警報を表示するので、オペレータが早期にミス発生を認識できる。
また、警報が表示された処理ステーションに対して、対策表示画面156に対策を表示する対策表示部164を有しているので、早期に必要な対策を講じることができる。そのため、脱骨装置12A〜12Lの稼動率低下を防止できる。
【0062】
また、稼動時間検出器148によって、脱骨装置12A〜12Lの稼動時間を検出し、この稼動時間からメンテナンス要否及びメンテナンス手順を決定し、必要なメンテナンスをメンテナンス表示画面158に表示するメンテナンス表示部164を有しているので、メンテナンス時期及びメンテナンス手順を的確に把握できる。
さらに、多数の脱骨装置の運転状態及び異常発生有無を集中監視盤22によって一括監視できる。