(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0018】
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置の構成を示す概略断面図である。
図1に示すプラズマ処理装置10は、容量結合型平行平板プラズマエッチング装置であり、略円筒状の処理容器12を備えている。処理容器12の内壁面は、陽極酸化処理されたアルミニウムから構成されている。この処理容器12は保安接地されている。
【0019】
処理容器12の底部上には、絶縁材料から構成された略円筒上の支持部14が配置されている。支持部14は、処理容器12内において、処理容器12の底部から鉛直方向に延在している。支持部14は、処理容器12内に設けられた載置台18を支持している。具体的には、
図1に示すように、支持部14は、当該支持部14の内壁面において載置台18を支持し得る。
【0020】
載置台18は、ベース部18a及び静電チャック18bを備えている。ベース部18aは、例えばアルミニウムといった金属から構成されており、略円盤形状をなしている。ベース部18aは、下部電極として構成されている。静電チャック18bは、ベース部18aの上に設けられている。静電チャック18bは、より詳細には後述するが、導電膜である電極を一対の絶縁層又は絶縁シート間に配置した構造を有している。静電チャック18bの電極には、直流電源22が電気的に接続されている。この静電チャック18bは、直流電源22からの直流電圧により生じたクーロン力等の静電力によりウェハWを吸着保持することができる。静電吸着された状態では、ウェハWの裏面は、静電チャック18bの上面である載置面19と接触することになる。
【0021】
載置台18のベース部18aの周縁部上には、絶縁体からなるスペーサ部16が設けられている。スペーサ部16の上には、ウェハWの周縁及び静電チャック18bを囲むようにフォーカスリングFRが配置されている。フォーカスリングFRは、エッチングの均一性を向上させるために設けられている。フォーカスリングFRは、エッチング対象の膜の材料によって適宜選択される材料から構成されており、例えば、石英から構成され得る。
【0022】
ベース部18aの内部には、冷媒用の流路24が設けられている。流路24には、外部に設けられたチラーユニットから配管26a,26bを介して所定温度の冷媒が循環供給される。冷媒は、絶縁性の溶液であり、例えば、ガルデン(登録商標)溶液であり得る。このように循環される冷媒の温度を制御することにより、載置台18上に支持されたウェハWの温度が制御される。
【0023】
また、プラズマ処理装置10には、ガス供給ライン28が設けられている。ガス供給ライン28は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック18bの上面とウェハWの裏面との間に供給する。
【0024】
また、載置台18には、複数、例えば3つのリフターピン用孔200が設けられており(図には1つのみ示す。)、これらのリフターピン用孔200の内部には、夫々リフターピン61が配設されている。リフターピン61は、駆動機構62に接続されており、駆動機構62により上下動される。
【0025】
また、処理容器12内には、上部電極30が設けられている。この上部電極30は、載置台18の上方において、当該載置台18と対向配置されている。上部電極30とベース部18aとは、互いに略平行に設けられている。これら上部電極30とベース部18aとの間には、ウェハWにプラズマ処理を行うための処理空間Sが画成されている。
【0026】
上部電極30は、絶縁性遮蔽部材32を介して、処理容器12の上部に支持されている。上部電極30は、電極板34及び電極支持体36を含み得る。電極板34は、処理空間Sに面しており、複数のガス吐出孔34aを画成している。この電極板34は、ジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から構成され得る。
【0027】
電極支持体36は、電極板34を着脱自在に支持するものであり、例えばアルミニウムといった導電性材料から構成され得る。この電極支持体36は、水冷構造を有し得る。電極支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。このガス拡散室36aからは、ガス吐出孔34aに連通する複数のガス通流孔36bが下方に延びている。また、電極支持体36には、ガス拡散室36aに処理ガスを導くガス導入口36cが形成されており、このガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。ガス供給管38には、バルブ群42及び流量制御器群44を介して、ガスソース群40が接続されている。
【0028】
プラズマ処理装置10は、接地導体12aを更に備え得る。接地導体12aは、略円筒状をなしており、処理容器12の側壁から上部電極30の高さ位置よりも上方に延びるように設けられている。
【0029】
また、プラズマ処理装置10では、処理容器12の内壁に沿ってデポシールド46が着脱自在に設けられている。デポシールド46は、支持部14の外周にも設けられている。デポシールド46は、処理容器12にエッチング副生物(デポ)が付着することを防止するものであり、アルミニウム在にY
2O
3等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。
【0030】
処理容器12の底部側においては、支持部14と処理容器12の内壁との間に排気プレート48が設けられている。排気プレート48は、例えば、アルミニウム材にY
2O
3等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。この排気プレート48の下方において処理容器12には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、処理容器12内を所望の真空度まで減圧することができる。また、処理容器12の側壁にはウェハWの搬入出口12gが設けられており、この搬入出口12gはゲートバルブ54により開閉可能となっている。
【0031】
処理容器12の内壁には、導電性部材(GNDブロック)56が設けられている。導電性部材56は、高さ方向においてウェハWと略同じ高さに位置するように、処理容器12の内壁に取り付けられている。この導電性部材56は、グランドにDC的に接続されており、異常放電防止効果を発揮する。なお、導電性部材56はプラズマ生成領域に設けられていればよく、その設置位置は
図1に示す位置に限られるものではない。
【0032】
また、プラズマ処理装置10は、ベース部18aに高周波電力を供給するための給電棒58を更に備えている。給電棒58は、同軸二重管構造を有しており、棒状導電部材58a及び筒状導電部材58bを含んでいる。棒状導電部材58aは、処理容器12外から処理容器12の底部を通って処理容器12内まで略鉛直方向に延在しており、当該棒状導電部材58aの上端は、ベース部18aに接続されている。また、筒状導電部材58bは、棒状導電部材58aの周囲を囲むように当該棒状導電部材58aと同軸に設けられており、処理容器12の底部に支持されている。これら棒状導電部材58a及び筒状導電部材58bの間には、略環状の2枚の絶縁部材58cが介在して、棒状導電部材58aと筒状導電部材58bとを電気的に絶縁している。
【0033】
また、プラズマ処理装置10は、整合器MUを更に備え得る。整合器MUには、棒状導電部材58a及び筒状導電部材58bの下端が接続されている。この整合器MUには、電源システムPSが接続されている。また、電源システムPSには、上部電極30も接続されている。電源システムPSは、ベース部18aに二つの異なる高周波電力を供給し、上部電極30に直流電圧を印加し得る。
【0034】
また、プラズマ処理装置10は、制御部Cntを更に備え得る。この制御部Cntは、プロセッサ、記憶部、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置10の各部、例えば電源系やガス供給系、駆動系、及び電源システムPS等を、制御する。この制御部Cntでは、入力装置を用いて、オペレータがプラズマ処理装置10を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができ、また、表示装置により、プラズマ処理装置10の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、制御部Cntの記憶部には、プラズマ処理装置10で実行される各種処理をプロセッサにより制御するための制御プログラムや、処理条件に応じてプラズマ処理装置10の各構成部に処理を実行させるためのプログラム、即ち、処理レシピが格納される。
【0035】
次に、プラズマ処理装置10の載置台18について、従来の載置台と対比しつつ、詳細に説明する。
図2は
図1に示すプラズマ処理装置の一実施形態の載置台を示す概略断面図であり、
図3は従来の載置台を示す概略断面図である。
図4は、
図2の載置台における静電チャックの載置面を示す平面図である。
図2に示すように、載置台18のベース部18aは、下面18d及び上面18uを有している。下面18dは略平坦な面であり、上面18uは、第1上面18u1及び第2上面18u2を含んでいる。第1上面18u1は、円形の面であり、第2上面18u2の内側に位置している。第2上面18u2は、第1上面の外方において環状に延在している。この第2上面18u2は、第1上面18u1よりも低い位置に設けられている。即ち、第2上面18u2と下面18dとの間の距離は、第1上面18u1と下面18dとの間よりも小さくなっている。かかる構成のベース部18aは、第1上面18u1と第2上面18u2との間を接続するよう略鉛直方向に延在する環状の側面18sを更に含む。
【0036】
ベース部18aは、中央部18c及び周縁部18eを有している。第1上面18u1を中心領域と周縁領域とに分けた場合、中央部18cの上面は、第1上面18u1の中心領域となる。一方、周縁部18eの上面は、第1上面18u1の周縁領域及び第2上面18u2となる。周縁部18e及び中央部18cの内部には、冷媒用の流路24が形成されている。例えば、流路24は、ベース部18aの周縁部18eから螺旋状に延在してベース部18aの中央部18cの中心付近に至り、更に、ベース部18aの中央部18cの中心付近から螺旋状に延在してベース部18aの周縁部18eに至るように形成されている。
【0037】
載置台18の第1上面18u1上には静電チャック18bが設けられている。静電チャック18bは、一対の絶縁膜21a,21b、及び、絶縁膜21aと絶縁膜21bとの間に設けられた電極20を有している。静電チャック18bは、ウェハWを載置する載置面19を有している。載置面19には、複数の凸部19dがドット状に設けられている。一実施形態においては、複数の凸部19dは、それぞれ同一形状且つ同じ大きさを呈している。ウェハWが静電吸着された状態では、複数の凸部19dの上面が、それぞれウェハWの裏面と接触することになる。また、第1上面18u1よりも低い位置に設けられた第2上面18u2上にはスペーサ部16を介してフォーカスリングFRが設けられている。これにより、フォーカスリングFRは、静電チャック18b上に載置されたウェハWを取り囲む。
【0038】
以上説明した載置台18の構成は、
図3に示す従来の載置台180においても同様であるが、載置台18と載置台180とでは、冷媒用の流路24及び載置面19の構成が異なっている。
【0039】
まず、冷媒用の流路24の構成について説明する。
図3に示すように、従来の載置台180の流路24は、中央流路24c及び周縁流路24pを含んでいる。周縁流路24pは、ウェハWの端部領域の下方に設けられている。この周縁流路24pは、第1上面18u1の周縁領域及び第2上面18u2の下方において延在している。
【0040】
周縁流路24pの上方には上述したように第2上面18u2が位置しているため、周縁流路24pの上側内壁面(上端)は、中央流路24cの上側内壁面(上端)よりも下方に位置している。したがって、周縁流路24pと第1上面18u1との間の最短距離D2は、中央流路24cと第1上面18u1との間の最短距離D1よりも大きくなっている。その結果、従来の載置台180では、周縁流路24pの抜熱能力、即ちウェハWからの熱を吸熱する能力は、中央流路24cの抜熱能力よりも低くなっている。また、載置台180では、載置台180内部の側面18s側へプラズマからの熱が伝わるが、当該側面18sの側方に周縁流路24pが存在していないため、ウェハWのエッジ領域からの抜熱が不十分となり得る。したがって、従来の載置台180を有するプラズマ処理装置におけるプラズマ処理では、ウェハWのエッジ領域において、エッジに向かうにつれて温度が上昇する温度分布が生じる。
【0041】
一方、一実施形態の載置台18の流路24は、
図2に示すように、従来の載置台180の周縁流路24pとは異なる周縁流路24eを含んでいる。この周縁流路24eは、第1上面18u1の周縁領域及び第2上面18u2の下方において延在している。周縁流路24eの断面は、略L字状に形成されている。すなわち、周縁流路24eは、側面18sに沿って、第1上面18u1が設けられた方向に延在している。これにより、載置台18内部の側面18s側へ伝わる熱に対する流路24の抜熱能力が向上されている。周縁流路24eの上端には、側面18sに沿って周縁流路24eの上端から下端に向けて延びるフィン部25が形成されている。周縁流路24eがこのような形状を有するので、当該周縁流路24eの表面積は、従来の周縁流路24pの表面積よりも大きくなっており、その結果、ウェハWの端部領域からの流路24の抜熱能力が向上されている。なお、周縁流路24eは、第2上面18u2の全面の下方に位置するように、載置台18の径方向外側へ拡がっていてもよい。
【0042】
次に、載置面の構成について説明する。
図3に示すように、従来の載置台180の載置面19には、複数の凸部19dが、載置面19上において均一に設けられている。換言すると、凸部19dの上面とウェハWの裏面とが接触する面積の単位面積当たりの大きさが、載置面19の領域によらず一定になるように凸部19dが形成されている。
【0043】
一方、一実施形態の載置台18の載置面19は、
図2及び
図4に示すように、載置面19の領域に応じて凸部19dの密度が変化している。載置面19は、ウェハWの中央部領域と接触する中央部領域19c及びウェハWの端部領域と接触する端部領域19eを含んでいる。端部領域19eは、中央部領域19cを取り囲むように位置している。複数の凸部19dの単位面積当たりの数は、端部領域19eの方が中央部領域19cよりも多くなるように形成されている。換言すると、複数の凸部19dは、端部領域19eの複数の凸部19dとウェハWの裏面とが接触する面積の単位面積当たりの大きさ(以下、「接触面積率」という)が、中央部領域19cの複数の凸部19dとウェハWの裏面とが接触する面積の単位面積当たりの大きさよりも大きくなるように形成されている。
【0044】
また、
図4に示すように、中央部領域19cには、複数(本実施形態では3つ)のリフターピン用孔200及び複数(本実施形態では6つ)のガス孔29が形成されている。ガス孔29は、ガス供給ライン28を介してHeガスを載置面19とウェハWの裏面との間に供給するためのものである。一実施形態においては、複数の凸部19dがそれぞれ形成されている間隔D4が、リフターピン用孔200の口径D3よりも広くなっている。
【0045】
図5は、従来の載置台においてプラズマ処理を行った場合のウェハWの中心からの距離と温度との関係を説明するグラフである。その横軸はウェハWの中心からの距離、縦軸は温度である。ウェハWの熱は、複数の凸部19d、載置台18及び流路24と順に伝わることにより、抜熱される。ウェハWの端部領域では、載置台18からはみ出した部分があり、十分な冷却をすることができないため、ウェハWの中央部領域と比べて温度が高くなっている。一実施形態の載置台18によれば、中央部領域19cにおける載置面19とウェハWとが接触する面積の単位面積当たりの大きさが、端部領域19eにおけるものよりも小さくなっている。よって、中央部領域19cの方が、端部領域19eよりも熱抵抗が大きくなっている。その結果、中央部領域19cの方が、端部領域19eよりも熱が伝わりにくくなっている。このため、ウェハWの中央部領域の温度をウェハWの端部領域の温度に合うように
図5の矢印の向きへと上昇させることができる。
【0046】
次に、従来の載置台180を用いた場合におけるウェハWのエッジ領域の温度上昇の要因、及び、当該要因に対する一実施形態に係る載置台18及びプラズマ処理装置10の作用及び効果について、詳細に説明する。なお、以下の説明において、ウェハWの半径は150mmとしている。
【0047】
(ウェハWのエッジ領域における温度上昇の要因)
上述のように、従来の載置台180において、ウェハWのエッジ領域における温度上昇が生じる要因は主に二つある。第1の要因は、フォーカスリングFR側からの入熱(第2上面18u2への入熱)が載置台180の内部又は側面を介して第1上面18u1側へ伝導することである。第2の要因は、ウェハWの端部領域の一部が載置台18からはみ出していることにより、当該部分が載置台180の載置面19と非接触となり、十分に冷却されないことである。
【0048】
(第1の要因)
まず、第1の要因によって生じる温度分布についてシミュレーションした結果を説明する。
図6は、従来の載置台180を用いた場合のウェハWのエッジ領域における温度分布を、第2上面18u2への入熱の有無によって比較したシミュレーション結果を示すグラフである。ここでは、ウェハWは入熱された状態であるとして、第2上面18u2への入熱の有無による温度分布の違いを確認した。
【0049】
図6の(a)は、ウェハW表面の温度分布を、第2上面18u2への入熱が有る場合と第2上面18u2への入熱が無い場合とで比較するためのグラフである。横軸はウェハWの中心(原点)からの距離、縦軸はウェハW表面の温度を示している。
図6の(a)において、実線は第2上面18u2への入熱が有る場合のグラフであり、二点鎖線は第2上面18u2への入熱が無い場合のグラフである。
図6の(a)に示すように、第2上面18u2への入熱の有無に関わらず、ウェハWの中心から離れるに従って、ウェハWの温度は、中心の温度と比べて大きくなった。第2上面18u2への入熱が無い場合には、中心から130mm程度離れた位置から温度が大きく上昇し始めた。すなわち、130mm〜150mmの範囲の領域において、中心における温度との温度差が大きいことが確認された。一方、第2上面18u2への入熱が有る場合には、中心から70mm〜80mm程度離れた位置から温度がなだらかに上昇し始め、中心から130mm程度離れた位置から温度が大きく上昇し始めた。すなわち、70mm〜150mmの範囲の領域において、中心における温度との温度差が大きいことが確認された。このように、第2上面18u2への入熱が有る場合の方が、第2上面18u2への入熱が無い場合よりも、中心の温度との差が生じ始める位置がより中心側へ移動していることが確認された。すなわち、第2上面18u2への入熱が有る場合の方が、第2上面18u2への入熱が無い場合よりも、ウェハW表面の温度が広い範囲で上昇する結果となった。
【0050】
図6の(b)は、従来の載置台180の第1上面18u1における温度分布を、第2上面18u2への入熱が有る場合と第2上面18u2への入熱が無い場合とで比較するためのグラフである。横軸は載置台180の第1上面18u1の中心(原点)からの距離、縦軸は載置台180の第1上面18u1の温度を示している。
図6の(b)において、実線は第2上面18u2への入熱が有る場合のグラフであり、二点鎖線は第2上面18u2への入熱が無い場合のグラフである。
図6の(b)に示すように、第2上面18u2への入熱が無い場合には、中心の温度と他の位置の温度とは略同様であった。一方、第2上面18u2への入熱が有る場合には、中心から50mm程度離れた位置から温度がなだらかに上昇し始め、中心から130mm程度離れた位置から温度が大きく上昇し始めた。このように、ウェハWだけでなく載置台180においても、第2上面18u2への入熱が有る場合の方が、第2上面18u2への入熱が無い場合よりも、中心の温度との差が顕著に生じることが確認された。
【0051】
第2上面18u2への入熱が有る場合の方が、第2上面18u2への入熱が無い場合よりも、ウェハW表面の温度が広い範囲で上昇する原因は、第2上面18u2への入熱により載置台180の温度が上昇したことに起因していると考えられる。
図6の(c)は、従来の載置台180を用いた場合のウェハW及び第1上面18u1のそれぞれの温度分布について、第2上面18u2への入熱が有る場合の温度と第2上面18u2への入熱が無い場合の温度との差分(以下、「第2上面18u2への入熱の有無による温度差」という)を示すグラフである。
図6の(c)において、実線はウェハWの結果を示すグラフであり、破線は第1上面18u1の結果を示すグラフである。すなわち、
図6の(c)の実線のグラフは、
図6の(a)に示した第2上面18u2への入熱の有無による2つのグラフの差分であり、ウェハWにおける、第2上面18u2への入熱の有無による温度差を示す。同様に、
図6の(c)の破線のグラフは、
図6の(b)に示した第2上面18u2への入熱の有無による2つのグラフの差分であり、載置台180の第1上面18u1における、第2上面18u2への入熱の有無による温度差を示す。
図6の(c)に示すように、ウェハWと第1上面18u1とで、第2上面18u2への入熱の有無による温度差は略一致している。つまり、第2上面18u2への入熱によって載置台180の第1上面18u1のエッジ領域で温度が上昇することに対応して、ウェハW表面の温度が広い範囲で上昇することが示された。
【0052】
以上、従来の載置台180においては、第2上面18u2への入熱が、ウェハWのエッジ領域における温度上昇の要因であることが確認された(第1要因)。
【0053】
(一実施形態に係る載置台18の作用及び効果)
続いて、一実施形態に係る載置台18及びプラズマ処理装置10の作用及び効果について、シミュレーション結果を用いて説明する。
【0054】
まず、シミュレーションに用いた構成を説明する。
図7は、従来の載置台180における周縁流路24pと、一実施形態の載置台18における周縁流路24eとを示す図である。
図7の(a)は、従来の載置台180における周縁流路24pを示し、
図7の(b)及び(c)は、一実施形態に係る略L字状の周縁流路24eを示している。ここで、
図7の(c)で示す周縁流路24eは、
図7の(b)で示す周縁流路24eよりも、載置台18の第1上面18u1、第2上面18u2、及び側面18sに近い位置に配置されている。ここでは一例として、
図7の(c)で示す周縁流路24eは、
図7の(b)で示す周縁流路24eよりも、載置台18の第1上面18u1、第2上面18u2、及び側面18sに対してそれぞれ2mmほど近い位置に配置されている。
図7の(b)と
図7の(c)との違いは、断熱位置における厚さの違いになる。断熱位置とは、フォーカスリングFR側からの入熱を断熱する位置である。
図8は、一実施形態の載置台18における断熱位置を示す図である。
図8に示すように、断熱位置18xは、載置台18の第1上面18u1と周縁流路24eとの間、断熱位置18yは載置台18の側面18sと周縁流路24eとの間、断熱位置18zは載置台18の第2上面18u2と周縁流路24eとの間である。
図7の(b)で示す載置台18における各断熱位置18x,18y,18zの厚みは、後述の通り5mm以下であればよく、ここでは約3mmとしている。
【0055】
図9は、
図8の断熱位置18yの厚みに対するウェハWの端部(ウェハWの中心(原点)からの距離が150mmの位置)の温度上昇値を示すグラフである。
図9において、横軸は断熱位置18yの厚み、縦軸はウェハWの端部の温度上昇値を示している。一点破線は、従来の載置台180におけるウェハWの端部の温度上昇値である約6.6℃の値を示している。
図9に示すように、断熱位置18yの厚みが5mm以下である場合には、ウェハWの端部の温度上昇値が従来の載置台180における場合に比して下がる。したがって、断熱位置18yの厚みが5mm以下であれば、ウェハWの温度の上昇値を抑えることができる。さらに、ウェハWの端部の温度上昇値は従来の載置台180における場合に比して、断熱位置18yの厚みが3mmの場合では約25%、断熱位置18yの厚みが1mmの場合では約50%低減することが確認された。なお、図示は省略するが、断熱位置18xの厚みに対するウェハWの温度上昇値及び断熱位置18zの厚みに対するウェハWの端部の温度上昇値も、
図9と同様である。したがって、
図8に示す各断熱位置の厚みは、5mm以下とすることができる。なお、
図7の(b)及び(c)においては、一実施形態における周縁流路24eのフィン部25の形状を簡略化している。以下、
図7に示すような従来の周縁流路24e及び一実施形態の周縁流路24pを有する載置台を用いて、第2上面18u2のみへ入熱された場合、ウェハWのみへ入熱された場合、及び、第2上面18u2及びウェハWへ入熱された場合のシミュレーション結果について、それぞれ説明する。
【0056】
最初に、第2上面18u2へ入熱された場合のシミュレーション結果について説明する。
図10は、
図7の(a)〜(c)で示す周縁流路を有する載置台のそれぞれについて、ウェハWへ入熱せずに第2上面18u2のみへ入熱された場合におけるウェハWの温度分布を示すグラフである。
図10において、横軸はウェハWの中心(原点)からの距離、縦軸はウェハWの温度上昇値を示している。ここで、ウェハWの温度上昇値とは、ウェハWの表面の温度と、
図7の(a)で示す従来の周縁流路24pを有する載置台180におけるウェハWの中心(原点)の温度との差分である。
図10において、グラフ300aは、
図7の(a)で示す周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合の温度上昇値、グラフ300bは
図7の(b)で示す略L字状の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合の温度上昇値、グラフ300cは
図7の(c)で示す略L字状の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合の温度上昇値を示している。
【0057】
図10に示すように、
図7の(a)の従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合では、ウェハWの端部(ウェハWの中心(原点)からの距離が150mmの位置)における温度上昇値が6.6℃であった。これに対して、
図7の(b)の一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合では、ウェハWの端部におけるウェハWの温度上昇値が5.2℃であった。すなわち、一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合は、従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合と比べてウェハWの温度上昇値が1.4℃低減された。従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合を基準とすると21%の温度低減効果が確認された。更に、
図7の(c)の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合では、ウェハWの端部におけるウェハWの温度上昇値が3.3℃であった。すなわち、一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合は、従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合と比較してウェハWの温度上昇値が3.3℃低減された。従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合を基準とすると50%の温度上昇値の低減効果が確認された。
【0058】
図11は、
図10の縦軸値を規格化し、縦軸を対数軸で示したグラフである。
図11は、
図10の(a)の縦軸値を、
図7の(a)で示す従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合のウェハWの温度差で規格化した値(以下、「温度上昇率」という)として示すグラフである。
図11において、グラフ300aは、
図7の(a)で示す周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合の温度上昇率を示している。グラフ300bは、
図7の(b)で示す略L字状の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合の温度上昇率を示している。グラフ300cは、
図7の(c)で示す略L字状の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合の温度上昇率を示している。
図11に示すように、
図7の(a)の従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合には、ウェハWの温度上昇率が10%を超える領域(図中の縦軸0.1よりも大きい温度上昇率となる領域)が、ウェハWの端部から中心へ約71mmの位置に至るまでの範囲であった。すなわち、ウェハWの中心(原点)からの距離が79mm〜150mmの範囲の領域であった。これに対し、
図7の(b)の一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、ウェハWの温度上昇率が10%を超える領域が、ウェハWの端部から中心へ約62mmの位置に至るまでの範囲であった。すなわち、ウェハWの中心(原点)からの距離が88mm〜150mmの範囲の領域であった。上記結果より、
図7の(b)で示す一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、ウェハWの中心(原点)の温度に対して温度上昇率が10%を超える領域が従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合と比較して約13%狭くなった。更に、
図7の(c)の一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、ウェハWの温度上昇率が10%を超える領域がウェハWの端部から中心へ約60mmの位置に至るまでの範囲であった。即ち、
図7の(c)で示す一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、温度上昇率が10%を超える領域が周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合に比して約14%狭くなった。なお、
図11における61mmとは、
図7の(b)載置台18を用いた場合の温度上昇率が10%を超える領域と、
図7の(c)の載置台18を用いた場合の温度上昇率が10%を超える領域との平均値を示している。
【0059】
以上、一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、第2上面18u2への入熱すなわちフォーカスリングFR側からの入熱による温度上昇値を低減することができる効果、及び、温度上昇するウェハWの領域を狭くすることができる効果が確認された。
【0060】
続いて、ウェハWのみへ入熱された場合のシミュレーション結果について説明する。
図12は、従来の周縁流路24pを有する載置台180の場合と一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18の場合とで、ウェハWのエッジ領域における温度分布を比較するグラフである。すなわち、第2上面18u2への入熱は行われず、ウェハWのみ入熱された状態とした。
図12の(a)は、ウェハW表面の温度分布を、
図7の(a)で示す従来の周縁流路24pを有する載置台180の場合と
図7の(b)で示す一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18の場合とで比較するグラフである。
図12において、横軸はウェハWの中心(原点)からの距離を示し、縦軸はウェハWの温度上昇値(ウェハW表面の温度を、
図7の(a)で示す従来の周縁流路24pを有する載置台180におけるウェハWの中心(原点)の温度で差分した値)を示している。また、実線は
図7の(a)で示す周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合のグラフ、破線は
図7の(b)で示す一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合のグラフである。
図12の(b)は、
図12の(a)における、実線で示す値から破線で示す値を差分した値を示すグラフである。
図12の(b)において、横軸はウェハWの中心(原点)からの距離を示し、縦軸は
図7の(a)で示す従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合におけるウェハW表面の温度と
図7の(b)で示す一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合におけるウェハW表面の温度との差分を示している。
図12に示すように、
図7の(b)で示す一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合は、
図7の(a)で示す従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合に比してウェハWの温度上昇値が2.1℃低減された。
【0061】
図13は、
図12の(a)の縦軸値を規格化したグラフである。即ち、
図13は、
図12の(a)の縦軸値を、温度上昇率として示すグラフである。
図13において、実線は
図7の(a)で示す周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合のグラフ、破線は
図7の(b)で示す一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合のグラフである。
図13に示すように、
図7の(a)の従来の周縁流路24pの場合には、温度上昇率が10%を超える領域(図中の縦軸0.1よりも大きい温度上昇率となる領域)が、ウェハWの端部から中心へ約18mmの位置に至るまでの範囲であった。これに対して、
図7の(b)の一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、ウェハWの温度上昇率が10%を超える領域がウェハWの端部から中心へ約10mmの位置へ至るまでの範囲であった。つまり、一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、ウェハWの中心(原点)の温度に対して温度上昇率が10%を超える領域が従来の周縁流路24pの場合に比して約45%狭くなった。
【0062】
以上、一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、ウェハWへの入熱による温度上昇値を低減することができる効果、及び、温度上昇するウェハWの領域を狭くすることができる効果が確認された。
【0063】
続いて、第2上面18u2及びウェハWへ入熱された場合について説明する。
図14は、
図7の(a)〜(c)で示す周縁流路を有する載置台のそれぞれについて、第2上面18u2及びウェハWへの入熱をいずれも行った場合におけるウェハWの温度分布を示すグラフである。
図14において、横軸はウェハWの中心(原点)からの距離、縦軸はウェハWの温度上昇値(ウェハW表面の温度を、
図7の(a)で示す従来の周縁流路24pを有する載置台180におけるウェハWの中心(原点)の温度で差分した値)を示している。また、グラフ300aは
図7の(a)で示す従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合の温度上昇値、グラフ300bは
図7の(b)で示す一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合の温度上昇値、グラフ300cは
図7の(c)で示す一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合の温度上昇値を示している。
【0064】
図14に示すように、
図7の(a)の従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合では、ウェハWの端部における温度上昇値が約18.6℃であるのに対し、
図7の(b)の一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合では、ウェハWの端部におけるウェハWの温度上昇値が約15.2℃であり、従来の周縁流路24pに比してウェハWの温度上昇値が約3.4℃(約18%)低減された。更に、
図7の(c)の一実施形態に係る周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合では、ウェハWの端部におけるウェハWの温度上昇値が約13.4℃であり、従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合に比してウェハWの温度上昇値が約5.2℃(28%)低減された。
【0065】
また、
図14に示すように、
図7の(a)の従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合には、ウェハWの温度上昇率が10%を超える領域が、がウェハWの端部から中心へ約56mmの位置に至るまでの範囲であった。これに対し、
図7の(b)の一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、ウェハWの温度上昇率が10%を超える領域がウェハWの端部から中心へ約30mmの位置に至るまでの範囲であった。即ち、
図7の(b)で示す一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、温度上昇率が10%を超える領域が従来の周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合に比して約46%狭くなった。更に、
図7の(c)の一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、ウェハWの温度上昇率が10%を超える領域がウェハWの端部から中心へ約28mmの位置に至るまでの範囲であった。即ち、
図7の(c)で示す一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、温度上昇率が10%を超える領域が周縁流路24pを有する載置台180を用いた場合に比して約50%狭くなった。なお、
図14における29mmとは、
図7の(b)載置台18を用いた場合の温度上昇率が10%を超える領域と、
図7の(c)の載置台18を用いた場合の温度上昇率が10%を超える領域との平均値を示している。
【0066】
以上、一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、ウェハWへの入熱を考慮した場合であっても、フォーカスリングFR側からの入熱による温度上昇値を低減することができる効果、及び、温度上昇するウェハWの領域を狭くすることができる効果が確認された。フォーカスリングFR側からの入熱によるウェハWの温度不均一性を改善する手法として、フォーカスリングFR側の載置台部分を載置台本体とは別体の構造とすることでフォーカスリングFR側からの入熱を伝熱させない手法も考えられる。しかしながら、別体構造にした場合には、フォーカスリングFR側の載置台部分を冷却する機構が必要になる。また、フォーカスリングFRと第2上面18u2との間に断熱層を介在させる手法も考えられる。しかしながら、この手法では、温度を制御することはできない。さらに、フォーカスリングFRの直下に流路を形成する手法も考えられる。しかしながら、この手法では、フォーカスリングFRの直下にフォーカスリングFR特有の構成を設けることが困難となる場合がある。一実施形態の周縁流路24eを有する載置台18を用いた場合には、上述した課題を解決することができる。
【0067】
(第2の要因)
次に、第2の要因によって生じる温度分布についてシミュレーションした結果を説明する。
図15は、ウェハWの端部が載置台180の載置面19に接触している場合のウェハWの温度と、ウェハWの端部が載置台180の載置面19に接触していない場合のウェハWの温度とを比較するグラフである。
図15において、横軸はウェハWの中心(原点)からの距離、縦軸はウェハWの温度を示している。また、実線はウェハWの端部が載置台180の載置面19と接触している場合の温度分布を示すグラフ、一点鎖線はウェハWの端部が載置台180の載置面19と接触していない場合の温度分布を示すグラフである。
図15に示すように、ウェハWの端部が載置台180の載置面19と接触している場合にはウェハWの端部の温度が上昇しないが、ウェハWの端部が載置台180の載置面19と接触していない場合にはウェハWの端部の温度が上昇した。つまり、従来の載置台180においては、ウェハWの端部が載置台180の載置面19に接していないことに起因して、ウェハWの端部の温度が上昇することが確認された。上記結果は、ウェハWと載置台との接触面積が温度制御に大きく寄与することを示唆している。
【0068】
(一実施形態に係る載置台18の作用及び効果)
続いて、一実施形態に係る載置台18及びプラズマ処理装置10の作用及び効果について、シミュレーション結果を用いて説明する。
【0069】
載置面19の中央部領域19cの接触面積率が3%、端部領域19eの接触面積率が15%の載置台18を用いた場合を例にシミュレーションした。ここでは、載置面19における中央部領域19cと端部領域19eとの境界位置が異なる複数の載置台18を用いた場合における、ウェハWの温度分布をシミュレーションした。結果を
図16に示す。
図16において、横軸はウェハWの中心(原点)からの距離、縦軸はウェハWの温度上昇値を示している。
図16に示すウェハWの温度上昇値は、載置面19における中央部領域19cと端部領域19eとの境界位置(以下、「境界位置r
C/E」という。)が、ウェハWの中心(原点)から100〜145mmの範囲に位置した場合をシミュレーションした結果である。
図17は、載置面19における中央部領域19cと端部領域19eとの境界位置に応じた温度分布の変化幅ΔTの低減率を示す表である。ここで、温度分布の変化幅ΔTとは、それぞれの境界位置r
C/Eにおける、ウェハWの温度上昇値の最小値と最大値との差分である。また、接触面積率が一様とは、載置面19全面で接触面積率が同一の場合を意味する。ここでは、載置面19全面の接触面積率が15%とした。
【0070】
図16及び
図17に示すように、ウェハWの中心(原点)からの距離が110mmよりも大きい境界位置r
C/Eの場合には、接触面積率を一様とした場合を基準とすると、温度分布の変化幅ΔTが15%以上低減された。したがって、ウェハWの端部よりも内側に40mm以上内側の位置で接触面積率を小さくすると、接触面積率を一様とした場合に比して温度分布の変化幅ΔTを15%以上低減することが確認された。また、120〜145mmの範囲では、20%以上の低減が確認され、135〜140mmの範囲では、40%以上の低減が確認された。
【0071】
温度分布の変化幅ΔTを効果的に低減するための、中央部領域19cの接触面積率(以下、「接触面積率S
C」という)及び端部領域19eの接触面積率(以下、「接触面積率S
E」という)の数値範囲は、He圧によって異なる。ウェハWと載置面19との間の熱抵抗は、Heガスによる熱伝達と、載置面19への固体接触による熱伝達で決定される。想定されるHe圧の使用領域(10〜50Torr:1.33×10
3〜6.66×10
3Pa)において、高He圧(50Torr(6.66×10
3Pa))の場合には、低He圧(10Torr(1.33×10
3Pa))の場合に比べて、接触面積率S
Cと接触面積率S
Eとに大きな差を与えなければ、中央部領域19cの熱抵抗と端部領域19eの熱抵抗との間に適切な差を与えることができない。すなわち、高He圧の条件において、中央部領域19cの熱抵抗と端部領域19eの熱抵抗との間に適切な差を与えることが可能な接触面積率S
Cと接触面積率S
Eとの差の最大値を決定することができる。これに対し、低He圧の場合には、中央部領域19cの接触面積率S
Cと端部領域19eの接触面積率S
Eとの差が小さくても中央部領域19cの熱抵抗と端部領域19eの熱抵抗との間に適切な差を与えることができる。すなわち、低He圧の条件において、中央部領域19cの熱抵抗と端部領域19eの熱抵抗との間に適切な差を与えることが可能な接触面積率S
Cと接触面積率S
Eとの差の最小値を決定することができる。なお、接触面積率S
Cと接触面積率S
Eとの差が0の場合とは、載置面19全面において一様な接触面積率となっている場合である。
【0072】
上記知見に基づいて、高He圧の場合及び低He圧の場合のそれぞれについて、接触面積率S
C,S
Eを一様とした場合よりも温度分布の変化幅ΔTを改善することができる接触面積率についてシミュレーションした。結果を
図18に示す。
図18は、温度分布の変化幅ΔTを効果的に低減することが可能な接触面積率S
C,S
Eの最大領域を示す図である。
図18に示すように、下限を示す線320a、上限を示す線320b、及び、座標軸で規定される領域Aにおいては、He圧を調整することで、接触面積率S
C,S
Eを一様とした場合に比して温度分布の変化幅ΔTを15%以上低減することが確認された。ここで、下限である線320aは、He圧が低He圧、載置面19と非接触となるウェハW端部の長さが1.8mm、境界位置r
C/EがウェハWの中心(原点)から110mmの位置となる条件で求められ、以下の式1で示される。
【数1】
【0073】
一方、上限である線bは、He圧が高He圧、載置面19と非接触となるウェハW端部の長さが2.8mm、境界位置r
C/EがウェハWの中心(原点)から144.2mmの位置となる条件で算出された。
【0074】
以上、一実施形態に係る載置台18及びプラズマ処理装置10では、その内部に形成された周縁流路24eが、載置台18の側面18sに沿って第1上面18u1が設けられた方向に延びる部分を有している。これにより、載置台18内部の側面18s側への入熱に対する流路24の抜熱能力が向上されている。このため、フォーカスリングFRからの熱をウェハWに伝達させ難くすることができる。よって、ウェハWの端部の温度の上昇が抑制できる。そして、この載置台18では、静電チャック18bの載置面19に複数の凸部19dがドット状に設けられ、当該複数の凸部19dとウェハWの裏面とが接触する面積の単位面積当たりの大きさが、端部領域19eの方が中央部領域19cよりも大きくなるように形成されている。よって、中央部領域19cの方が、端部領域19eよりも熱抵抗が大きくなっている。その結果、中央部領域19cの方が、端部領域19eよりも熱が伝わりにくくなっている。ウェハWの熱は、複数の凸部19d、載置台18及び流路24と順に伝わることにより、抜熱される。このため、中央部領域19cの方が、端部領域19eよりもウェハWからの熱を抜熱する能力(ウェハWの冷却性)が低くなっている。すなわち、載置面19の中央部領域19cにおけるウェハWの冷却性を低減し、ウェハWの中央部領域の温度を、ウェハWの端部領域の温度に合うよう上昇させることができる。以上より、ウェハWの温度の調整が、流路24を流れる冷媒及び複数の凸部19dによって行われることとなり、ウェハWの中央部領域と端部領域とにおける温度の不均一を抑制することが可能となる。
【0075】
また、一実施形態に係る載置台18では、複数の凸部19dのそれぞれが、同一形状且つ同じ大きさを呈し、端部領域19eの複数の凸部19dの単位面積当たりの数が、中央部領域19cの複数の凸部19dの単位面積当たりの数よりも多くなっている。このため、載置面19の中央部領域19cにおけるウェハWの冷却性を低減し、ウェハWの中央部領域の温度を、ウェハWの端部領域の温度に合うよう上昇させることができる。
【0076】
また、一実施形態に係る載置台18では、周縁流路24eの上端には、側面18sに沿って該周縁流路24eの上端から下端に向けて延びるフィン部25が形成されている。この形態によれば、周縁流路24eの一部にフィン部25が形成されているので、当該周縁流路24eの表面積が、従来の周縁流路24pの表面積よりも大きくなっている。その結果、ウェハWの端部領域からの流路24の抜熱能力を向上することができ、ウェハWの中央部領域と端部領域とにおける温度の不均一を一層抑制することが可能となる。
【0077】
また、一実施形態に係る載置台18では、周縁流路24eの上端と第1上面18u1との間の最短距離D2が、中央流路24cの上端と第1上面18u1との間の最短距離D1よりも小さくなっている。この形態によれば、周縁流路24eは、中央流路24cよりもベース部18aの第1上面18u1の近くに設けられることとなる。その結果、周縁流路24eの抜熱能力を、中央流路24cの抜熱能力よりも高めることができ、ウェハWの中央部領域と端部領域とにおける温度の不均一を一層抑制することが可能となる。
【0078】
また、一実施形態に係る載置台18では、載置面19には、ウェハWを支持するためのリフターピン61を通過させるリフターピン用孔200が形成され、複数の凸部19dが形成される間隔D4がリフターピン用孔200の口径D3よりも広くなっている。この形態によれば、リフターピン用孔200が形成される位置に依存せずに複数の凸部19dを形成することができる。その結果、リフターピン用孔200の位置に依存することなく、ウェハWの温度調整を行うことが可能となる。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0080】
例えば、周縁流路24eの上端には、フィン部25が形成されていなくてもよく、フィン部25の代わりに種々の形状を設けてもよい。
図19は、一実施形態に係る載置台18の変形例に係る載置台の周縁流路24eの形状を示す図である。
図19に示すように、周縁流路24eの表面の全体又は外周側面部に、伝熱促進のための凹凸を有する形状を設けてもよい。
【0081】
また、最外周の周縁流路24eは、中央流路24cとは別のチラーユニットを用いて冷媒を循環供給してもよい。この場合、周縁流路24eにおける冷媒の温度を中央流路24cにおける冷媒の温度とは独立して制御することができる。
【0082】
また、複数の凸部19dは、同一形状でなくてもよく、同じ大きさでなくてもよい。
【0083】
また、プラズマ処理装置は、マイクロ波を用いてプラズマを生成するマイクロ波プラズマ処理装置を用いてもよい。
【0084】
[実施例]
以下、上記効果を説明すべく本発明者が実施した実施例及び比較例について述べるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0085】
(フィン部が形成された流路の冷却効果の確認)
プラズマ処理装置の載置台において、周縁流路の上端に、フィン部が形成された流路を有する載置台と、フィン部が形成されていない流路を有する載置台とを用いて、プラズマ処理を行い、ウェハの温度を計測した。処理条件は、以下に示す。
【0086】
(処理条件1)
処理空間Sの圧力:20mTorr(2.67Pa)
プラズマ生成用電力:8300W
処理ガスの流量:500sccm(処理ガスの主成分はAr)
処理時間:120秒
He圧:40Torr(5.33×10
3Pa)
【0087】
上記の処理条件1でプラズマ処理されたウェハの温度を測定した結果を
図20に示す。
図20は、処理条件1でプラズマ処理された場合におけるウェハの中心からの距離とウェハの温度との関係を示すグラフである。横軸はウェハの中心(原点)からの距離、縦軸はウェハの温度を示している。
図20の(a)は、フィン部が形成されていない流路を有する載置台を用いた結果である。
図20の(b)は、フィン部が形成された流路を有する載置台を用いた結果である。
図20の(a)に示すように、フィン部が形成されていない流路を有する載置台では、ウェハの中央部領域(0〜110mm)の平均温度と比較して、ウェハの端部(147mm)において上昇した温度は15.2℃であった。一方、
図20の(b)に示すように、フィン部が形成されている流路を有する載置台では、ウェハの中央部領域(0〜110mm)の平均温度と比較して、ウェハの端部(147mm)において上昇した温度は9.3℃であった。このように、フィン部が形成されている流路を有する載置台は、フィン部が形成されていない流路を有する載置台に比べて、ウェハの端部領域の温度上昇を抑制することが確認された。
【0088】
(接触面積率と温度との関係性の確認)
プラズマ処理装置の載置台において、静電チャックの載置面に設けられた複数の凸部がウェハの裏面と接触している面積と接触していない面積との比(以降、接触面積率という。)を変化させて、プラズマ処理を行い、ウェハの温度を測定した。He圧は40Torr、20Torr及び10Torr(5.33×10
3Pa、2.67×10
3Pa及び1.33×10
3Pa)とした。その他の処理条件は、以下に示す。
【0089】
(処理条件2)
処理空間Sの圧力:20mTorr(2.67Pa)
プラズマ生成用電力:8300W
処理ガスの流量:500sccm(処理ガスの主成分はAr)
処理時間:120秒
【0090】
上記の処理条件2によりプラズマ処理されたウェハの温度を測定した結果を
図21に示す。
図21は、載置面の接触面積率とウェハの温度との関係をHe圧毎に示すグラフである。その横軸は載置面の接触面積率であり、縦軸はウェハの温度である。
図21に示すように、接触面積率が大きくなるほどウェハの温度は下降し、接触面積率が小さくなるほどウェハの温度が上昇した。よって、載置面の接触面積率を低減させると、ウェハに対する冷却性を低減できることが確認された。また、He圧が小さくなるほど、接触面積率が最も小さい部分におけるウェハの温度の立ち上がり方が大きくなった。よって、He圧が小さくなるほど、接触面積率の低減がウェハの温度調整に与える影響が大きくなることが確認された。
【0091】
(フィン部を有する流路及び接触面積率の変化の組合せによる温度均一効果の確認)
実施例1〜3では、フィン部が形成された流路を有し、且つ、載置面の接触面積率を低減させた載置台を用いて、プラズマ処理を行い、ウェハの温度を測定した。比較例1では、フィン部が形成されていない流路を有し、且つ、載置面の接触面積率を従来のものとする載置台を用いて、プラズマ処理を行い、ウェハの温度を測定した。実施例1〜3については、He圧は40Torr、30Torr、20Torr及び10Torr(5.33×10
3Pa、4.00×10
3Pa、2.67×10
3Pa及び1.33×10
3Pa)とした。比較例1については、He圧は、40Torr、20Torr及び10Torr(5.33×10
3Pa、2.67×10
3Pa及び1.33×10
3Pa)とした。その他の処理条件は、以下に示す。以降、接触面積率は100mm
2を基準面積(単位面積)としたものとして述べる。
【0092】
(処理条件3)
処理空間Sの圧力:20mTorr(2.67Pa)
プラズマ生成用電力:8300W
処理ガスの流量:500sccm(処理ガスの主成分はAr)
処理時間:120秒
【0093】
上記の処理条件3によりプラズマ処理を行い、ウェハの温度を測定した実施例1〜3及び比較例1の実験結果を
図22に示す。
図22は、実施例1〜3及び比較例1で測定されたウェハの中心からの距離と温度との関係をHe圧毎に示すグラフである。横軸はウェハの中心(原点)からの距離、縦軸はウェハの温度である。
図22の(a)は、比較例1で測定されたものであり、フィン部が形成されていない流路を有し、且つ、単位面積当たりの接触面積率が17%の載置台を用いた結果である。
図22の(b),(c)は、実施例1及び2で測定されたものであり、フィン部が形成されている流路を有し、且つ、接触面積率を比較例1より小さくした載置台を用いた結果である。より具体的には、
図22の(b)は、実施例1で測定されたものであり、載置面の全体領域において単位面積当たりの接触面積率を3%とした載置台を用いた結果である。
図22の(c)は、実施例2で測定されたものであり、載置面の中央部領域、すなわち載置面の中心を原点として、載置面の中心から外周端より10mm中心側の位置までの長さを半径とする円の領域(例えば載置面の直径が300mmの場合、0〜140mm)のみ単位面積当たりの接触面積率を3%とし、端部領域、すなわち載置面の中心を原点として、載置面の中心から外周端までの長さを半径とする円の領域から中央部領域を差分した領域(例えば載置面の直径が300mmの場合、140〜146mm)においては単位面積当たりの接触面積率を17%とした載置台を用いた結果である。
【0094】
図22の(a)で示すように、比較例1においては、He圧が10Torrの場合、ウェハの中心からの距離が0〜147mmの間におけるウェハの温度差が33.6℃であった。同様に、比較例1においては、He圧が20Torr及び40Torrの場合、ウェハの中心からの距離が0〜147mmの間におけるウェハの温度差が、それぞれ26.0℃及び23.9℃であった。また、ウェハの平均温度はHe圧が小さくなるほど大きくなったが、その違いに大差はなく、グラフはほぼ重なった。
【0095】
図22の(b)で示すように、実施例1においては、He圧が10Torrの場合、ウェハの中心からの距離が0〜147mmの間におけるウェハの温度差が12.6℃であった。同様に、実施例1においては、He圧が20Torr、30Torr及び40Torrの場合、ウェハの中心からの距離が0〜147mmの間におけるウェハの温度差が、それぞれ9.2℃、8.3℃、及び7.2℃であった。また、ウェハの平均温度はHe圧が小さくなるほど大きくなり、He圧が10Torrの場合には平均96.6℃であったのに対し、He圧が40Torrの場合には81.9℃であった。よって、比較例1とは異なりグラフが重ならなかった。
【0096】
図22の(c)で示すように、実施例2においては、He圧が10Torrの場合、ウェハの中心からの距離が0〜147mmの間におけるウェハの温度差が9.3℃であった。同様に、実施例2においては、He圧が20Torr、30Torr及び40Torrの場合、ウェハの中心からの距離が0〜147mmの間におけるウェハの温度差が、それぞれ7.4℃、8.7℃、及び8.2℃であった。また、ウェハの平均温度はHe圧が小さくなるほど大きくなり、実施例1同様、グラフは重ならなかった。
【0097】
以上に述べたように、ウェハの中心からの距離が0〜147mmの間におけるウェハの温度差は、いずれのHe圧においても、実施例1及び2の方が比較例1よりも小さくなることが確認された。このように、載置面の接触面積率を実施例1及び2のように低減させることで、ウェハの中央部領域と端部領域とにおける温度の不均一を抑制できることが確認された。すなわち、フィン部が形成された流路を有し、且つ、載置面の接触面積率を上記実施例1及び2のように低減させた載置台によって、ウェハの端部における温度上昇を抑制し、且つ、ウェハの中央部における冷却性を低減させることができ、結果としてウェハの中央部領域と端部領域とにおける温度の不均一を抑制できるという効果が示唆された。また、実施例1及び2では、比較例1とは異なり、He圧毎にウェハの平均温度が相違することが確認された。これにより、実施例1及び2の載置台によれば、Heによるウェハの温度に対する制御性が拡大できることが示唆された。
【0098】
(接触面積率低減による温度特異点に対する効果)
実施例3〜5では、リフターピン用孔とヘリウム穴とを有する載置台において、載置面の中央部領域における接触面積率を従来よりも低減させた載置台を用いて、プラズマ処理を行った。比較例2では、当該接触面積率を従来のままとした載置台を用いて、プラズマ処理を行った。そして、ウェハの方位に対応するエッチングレートを測定した。被エッチング材はポリシリコンとした。He圧は40Torr、20Torr及び10Torr(5.33×10
3Pa、2.67×10
3Pa及び1.33×10
3Pa)とした。その他の処理条件は、以下に示す。
【0099】
(処理条件4)
処理空間Sの圧力:20mTorr(2.67Pa)
プラズマ生成用電力:8300W
処理ガスの流量:500sccm(処理ガスの主成分はAr)
処理時間:300秒
【0100】
上記の処理条件4によりプラズマ処理を行い、エッチングレートを測定した比較例2及び実施例3〜5の実験結果を
図23〜
図26に示す。
図23〜
図26は、それぞれ比較例2及び実施例3〜5で測定されたウェハの方位とエッチングレートとの関係をHe圧毎に示すグラフである。その横軸はウェハの方位、縦軸はエッチングレートである。
図23は、比較例2で測定されたものであり、載置面の中央部領域(0〜130mm)における単位面積当たりの接触面積率が17%の載置台を用いた結果である。
図24は、実施例3で測定されたものであり、載置面の中央部領域(0〜130mm)における単位面積当たりの接触面積率を3%とした載置台を用いた結果である。
図25は、実施例4で測定されたものであり、載置面の中央部領域(0〜140mm)における単位面積当たりの接触面積率を0.52%としたものである。
図26は、実施例5で測定されたものであり、載置面の中央部領域(0〜130mm)における単位面積当たりの接触面積率を0.2%とした載置台を用いた結果である。
【0101】
図23で示すように、比較例2においては、エッチングレートが安定しておらず、図中の矢印で示す6つの特異点が測定された。これら6つの特異点は、載置面においてリフターピン用孔が位置する方位とちょうど重なった。これは、接触面積率が高い場合、リフターピン用孔の口径よりも凸部同士の間隔の方が小さくなるため、リフターピン用孔の位置と凸部が設けられるべき位置とが重なってしまい、接触できない部分が特異点として現れることを示している。一方、
図24〜26で示すように、載置面の中央部領域における単位面積当たりの接触面積率が比較例2の12.3%よりも小さい場合には、特異点が目立たなくなり、エッチングレートが安定することが確認された。
【0102】
また、
図23で示すように、比較例2においては、He圧に依存せず、エッチングレートは同じ傾向を示し、グラフはほぼ重なった。一方、
図24〜26で示すように、実施例3〜5においては、エッチングレートはHe圧が小さくなるほど大きくなり、グラフは重ならなかった。よって、実施例3〜5では、比較例2とは異なり、He圧毎にエッチングレートが相違することが確認された。これにより、実施例3〜5の載置台によれば、エッチングレートに対する制御性が拡大できることが示唆された。