(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
精神病性の障害および病態、不安障害、運動障害、薬物乱用、気分障害、神経変性障害、認知障害、疼痛、自閉性障害の群から選択される中枢神経系障害;ならびに代謝障害の治療または予防に使用するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物もしくはその立体異性形態、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または請求項6に記載の医薬組成物。
前記精神病性の障害および病態が、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性情動障害、妄想性障害、物質誘発性精神病性障害、妄想型人格障害、および統合失調型人格障害の群から選択され;
前記不安障害が、パニック障害、広場恐怖症、特定恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス反応、および全般性不安障害の群から選択され;
前記運動障害が、ハンチントン病、ジスキネジア、パーキンソン病、下肢不安症候群、本態性振戦、トゥーレット症候群、および他のチック障害の群から選択され;
前記物質関連の障害が、アルコール乱用、アルコール依存症、アルコール禁断症状、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン依存症、アンフェタミン禁断症状、コカイン依存症、コカイン禁断症状、ニコチン依存症、ニコチン禁断症状、オピオイド依存症、およびオピオイド禁断症状の群から選択され;
前記気分障害が、鬱病、躁病、双極性障害I、双極性障害II、気分循環性障害、気分変調性障害、大鬱病性障害、治療抵抗性鬱病、および物質誘発性気分障害の群から選択され;
前記神経変性障害が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、多発梗塞性認知症、エイズ関連認知症、または前頭側頭認知症の群から選択され;
前記認知障害が、せん妄、物質誘発性持続性せん妄、認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、HIV疾患による認知症、頭蓋内腫瘍、脳外傷、または頭部外傷による認知症、脳卒中による認知症、パーキンソン病による認知症、ハンチントン病による認知症、ピック病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、レビー小体病による認知症、物質誘発性持続性認知症、複数の病因による認知症、他に記載されていない認知症、軽度認知障害、加齢性認知障害、老化現象、健忘障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、学習障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、およびダウン症候群の群から選択され;
疼痛が、急性および慢性状態、激痛、難治性疼痛、神経障害性疼痛、および外傷後疼痛を含み、
前記代謝障害が、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、耐糖能異常、空腹時血糖、妊娠性糖尿病、若年成人発症型糖尿病(MODY)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、関連糖尿病性脂質異常症、高血糖、高インスリン血症、脂質異常症、高トリグリセリド血症、およびインスリン抵抗性の群から選択される、
請求項8に記載の化合物または医薬組成物。
精神病性の障害および病態、不安障害、運動障害、薬物乱用、気分障害、神経変性障害、認知障害、疼痛、自閉性障害の群から選択される中枢神経系障害;または代謝障害を治療または予防するための医薬組成物であって、治療有効量の請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物もしくはその立体異性形態、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、医薬組成物。
前記精神病性の障害および病態が、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性情動障害、妄想性障害、物質誘発性精神病性障害、妄想型人格障害、および統合失調型人格障害の群から選択され;
前記不安障害が、パニック障害、広場恐怖症、特定恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス反応、および全般性不安障害の群から選択され;
前記運動障害が、ハンチントン病、ジスキネジア、パーキンソン病、下肢不安症候群、本態性振戦、トゥーレット症候群、および他のチック障害の群から選択され;
前記物質関連の障害が、アルコール乱用、アルコール依存症、アルコール禁断症状、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン依存症、アンフェタミン禁断症状、コカイン依存症、コカイン禁断症状、ニコチン依存症、ニコチン禁断症状、オピオイド依存症、およびオピオイド禁断症状の群から選択され;
前記気分障害が、鬱病、躁病、双極性障害I、双極性障害II、気分循環性障害、気分変調性障害、大鬱病性障害、治療抵抗性鬱病、および物質誘発性気分障害の群から選択され;
前記神経変性障害が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、多発梗塞性認知症、エイズ関連認知症、または前頭側頭認知症の群から選択され;
前記認知障害が、せん妄、物質誘発性持続性せん妄、認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、HIV疾患による認知症、頭蓋内腫瘍、脳外傷、または頭部外傷による認知症、脳卒中による認知症、パーキンソン病による認知症、ハンチントン病による認知症、ピック病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、レビー小体病による認知症、物質誘発性持続性認知症、複数の病因による認知症、他に記載されていない認知症、軽度認知障害、加齢性認知障害、老化現象、健忘障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、学習障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、およびダウン症候群の群から選択され;
疼痛が、急性および慢性状態、激痛、難治性疼痛、神経障害性疼痛、および外傷後疼痛を含み、
前記代謝障害が、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、耐糖能異常、空腹時血糖、妊娠性糖尿病、若年成人発症型糖尿病(MODY)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、関連糖尿病性脂質異常症、高血糖、高インスリン血症、脂質異常症、高トリグリセリド血症、およびインスリン抵抗性の群から選択される、
請求項14に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の化合物の化学名は、Advanced Chemical Development,Inc.,ソフトウェア(ACD/Name製品バージョン10.01;Build 15494、2006年12月1日)を使用して、Chemical Abstracts Service(CAS)により合意された命名法に従って作成した。
【0026】
定義
単独でまたは他の基の一部として本明細書で使用される「C
1〜4アルキル」という用語は、他に記載がない限り、メチル、エチル、1−プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチル−プロピル、2−メチル−1−プロピル,1,1−ジメチルエチル等の1〜4個の炭素原子を有する飽和直鎖または分枝鎖炭化水素基を定義する。
【0027】
単独でまたは他の基の一部として本明細書で使用される「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード、好ましくはフルオロまたはクロロを指す。
【0028】
本明細書で使用される「被験体」という用語は、治療、観察、または実験の対象であるかまたは対象であった動物、好ましくは哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、霊長類、もしくはヒト)、最も好ましくはヒトを指す。
【0029】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、治療される疾患または障害の症状の軽減または回復を含む、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医によって求められている、組織系、動物、またはヒトにおける生物学的または医薬的応答を引き出す活性化合物または医薬品の量を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、所定量の指定成分を含む生成物および所定量の指定成分の組合せから直接的または間接的に生じる任意の生成物を包含することを意図する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、疾患の進行の遅延、中断、阻止、または停止となり得るあらゆる過程を指すことを意図するものであるが、すべての症状の完全な除去を必ずしも指すものではない。
【0032】
「本発明の化合物」という用語は、式(I)の化合物、その立体異性体ならびに塩および溶媒和物を定義する。
【0033】
医薬で使用される場合、本発明の化合物の塩は、無毒の「薬学的に許容される塩」を指す。しかしながら、他の塩が、本発明による化合物またはその薬学的に許容される塩の調製に有用となることがある。化合物の適切な薬学的に許容される塩としては、例えば、化合物の溶液を、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、またはリン酸などの薬学的に許容される酸の溶液と混合することにより形成させることができる酸付加塩が挙げられる。
【0034】
逆に、前記塩形態は、適切な塩基による処理により遊離塩基形態に変換することができる。
【0035】
さらに、本発明の化合物が酸部分を有する場合、その適切な薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩;および適切な有機リガンドと形成される塩、例えば、第四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0036】
薬学的に許容される塩の調製に使用することができる代表的な酸としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−樟脳酸、カンファースルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルコロン酸(D−glucoronic acid)、L−グルタミン酸、ベータ−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロット酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、およびウンデシレン酸。
【0037】
薬学的に許容される塩の調製に使用することができる代表的な塩基としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン(benethamine)、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン(hydrabamine)、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン、および水酸化亜鉛。
【0038】
逆に、前記塩形態は、適切な酸による処理により遊離酸形態に変換することができる。
【0039】
溶媒和物という用語は、式(I)の化合物が形成することができる溶媒付加形態およびその塩を含む。このような溶媒付加形態の例としては、例えば、水和物、アルコラート等が挙げられる。
【0040】
本出願の枠組みにおいて、具体的には、式(I)による化合物に関連して記述される場合、元素は、天然に豊富であるか同位体として濃縮された形態であるかにかかわらず、天然に存在するか合成的に生成されたかにかかわらず、この元素のすべての同位体および同位体混合物を含む。式(I)の放射性標識化合物は、
3H、
11C、
18F、
122I、
123I、
125I、
131I、
75Br、
76Br、
77Br、および
82Brの群から選択される放射性同位体を含むことができる。好ましくは、放射性同位体は、
3H、
11C、および
18Fの群から選択される。
【0041】
本明細書で式(I’)の化合物と称される、本明細書に定義される式(I)の化合物[式中、R
1はHであり、かつR
2は、
【化8】
である]は、以下の
【化9】
[式中、不斉炭素原子は
*により識別される]に示されるように、1個の不斉炭素原子を有する。
【0042】
したがって、本明細書で式(I’)の化合物と称される、本明細書に定義される式(I)の化合物[式中、R
1はHであり、かつR
2は
【化10】
である]は、2つの異なる鏡像異性体、すなわち、重ね合わせることができない互いの鏡像である立体異性体を形成することができ、純粋な鏡像異性体としてかまたはそれらの混合物として存在することができる。
【0043】
したがって、「式(I)の化合物」の定義は、純粋な鏡像異性体として、または2つの鏡像異性体の混合物として式(I)の化合物の鏡像異性体を含む。本発明による特定の混合物は、ラセミ体またはラセミ混合物とも称され、鏡像異性体対の1:1混合物である。
【0044】
絶対配置は、カーン・インゴルド・プレローグ則に従って指定される。不斉原子における配置は、RまたはSのいずれかによって指定される。絶対配置が不明である分割化合物は、平面偏光を回転させる方向に応じて(+)または(−)によって示すことができる。特定の鏡像異性体が同定される場合、これは、前記鏡像異性体が他の鏡像異性体を実質的に含まない、すなわち50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、さらにより好ましくは5%未満、特に2%未満、最も好ましくは1%未満の他の鏡像異性体しか伴わないことを意味する。
【0045】
したがって、式(I)の化合物が、例えば(R)として指定される場合、これは、この化合物が(S)鏡像異性体を実質的に含まないことを意味し;式(I)の化合物が、例えば(+)として指定される場合、これは、この化合物が(−)鏡像異性体を実質的に含まないことを意味する。
【0046】
式(I)の化合物の絶対立体化学配置およびそれらの調製に使用される中間体の絶対立体化学配置は、例えばX線回折などの公知の方法を使用しながら、当業者により決定され得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、他に指示がない限り、「RS」という表記はラセミ混合物を示し;「
*R」または「
*S」という表記は、化合物自体は、単一立体異性体として単離されており、鏡像異性的に純粋であるが、絶対立体化学が未決定である場合に使用される。
【0048】
したがって、特定の実施形態では、本発明は、式(I’)の化合物
【化11】
もしくはその立体異性形態
[式中、
ビシクル
【化12】
は、式a)
【化13】
のビシクル、または式b)
【化14】
のビシクルである]、
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0049】
したがって、さらなる特定の実施形態では、本発明は、以下に定義される式(I’−a)および(I’−b)の化合物:
【化15】
から選択される式(I’)の化合物もしくはその立体異性形態、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0050】
さらなる実施形態では、本発明は、実質的に純粋な鏡像異性体(+)−(I’−a)([α]
20D=+40.8°(c=0.5、DMF))の形態もしくは実質的に純粋な鏡像異性体(−)−(I’−a)([α]
20D=−44.7°(c=0.5、DMF))の形態における式(I’−a)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。鏡像異性体のそれぞれに対する別の表記は、
*R−(I’−a)または
*S−(I’−a)
旋光度[α]=−44.7°(589nm、c 0.5g/100mL、DMF、20℃)を有する
【化16】
;または旋光度[α]=+40.8°(589nm、c 0.5g/100mL、DMF、20℃)を有する
【化17】
である。
【0051】
さらなる実施形態によれば、本発明は、本明細書に定義される式(I)の化合物[式中、R
1およびR
2は、それらが結合する炭素原子と共に互いに結合して、式
【化18】
の基を形成する](本明細書では以下に示す式(I’’)
【化19】
[式中、ビシクル
【化20】
は、式a)
【化21】
のビシクルまたは式b)
【化22】
のビシクルである]の化合物と称される)、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0052】
したがって、さらなる特定の実施形態では、本発明は、以下に定義される式(I’’−a)および(I’’−b)の化合物:
【化23】
から選択される式(I’’)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0053】
調製
本発明の化合物は、一般に、それぞれが当業者に公知の一連のステップにより調製することができる。具体的には、化合物は以下の合成方法によって調製することができる。
【0054】
式(I)の化合物は、適切な場合は常に、当技術分野で公知の分割手順により相互に分離することができる鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成することができる。式(I)のラセミ化合物は、適切なキラル酸との反応により、対応するジアステレオマー塩形態に変換することができる。次いで、前記ジアステレオマー塩形態は、例えば選択的結晶化または分別結晶化により分離することができ、鏡像異性体はアルカリによりそれから遊離される。式(I)の化合物の鏡像異性形態を分離する別の方法では、キラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーが含まれる。前記純粋な立体化学的異性体形態はまた、反応が立体特異的に起こるならば、対応する純粋な立体化学的異性体形態の適切な出発物質から誘導することができる。
【0055】
実験手順1
式(I)による最終化合物は、式(II)の中間化合物[式中、ハロはブロモまたはヨードを示す]を、式(III)[式中、R
3およびR
4は、それぞれ独立して水素またはC
1〜4アルキルから選択することができるか、または互いに結合して、例えば式−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−、または−C(CH
3)
2C(CH
3)
2−の二価基を形成することができる]のボロン酸またはボロン酸エステルと、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0)などの適切な触媒の存在下、炭酸ナトリウムなどの適切な塩基の存在下、1,4−ジオキサンと水の混合物などの適切な不活性溶媒中、通常の加熱またはマイクロ波照射のいずれかによる、好都合な温度での加熱など適切な反応条件下、反応の完了を確実にする時間、反応させることによって、Suzukiカップリングにより調製することができる。
【化24】
【0056】
実験手順1a
本明細書で式(I’)の化合物と称される、式(I)による最終化合物[式中、置換基−CR
1R
2(OH)は
【化25】
である]は、実験手順1で記載された基本手順に従って調製することができ、ここで、式(III)の化合物は、式(IIIa)[式中、R
3およびR
4は、上記に式(III)の化合物について定義されたとおりである]を有する。
【化26】
【0057】
実験手順1b
本明細書で式(I’’)の化合物と称される、式(I)による最終化合物[式中、置換基−CR
1R
2(OH)は
【化27】
である]は、実験手順1で記載された基本手順に従って調製することができ、ここで、式(III)の化合物は、式(IIIb)[式中、R
3およびR
4は、上記に式(III)の化合物について定義されたとおりである]を有する。
【化28】
【0058】
実験手順2a
本明細書で(IIa)と称される、式(II)による中間化合物[式中、
【化29】
は式a)
【化30】
のビシクルである]は、以下の反応スキーム(2a)に示される、国際公開第2011/051342号パンフレットに記載の反応工程に従って調製することができる。
【化31】
【0059】
上記反応スキーム(2a)における式(II)の化合物は、5工程(工程A〜E)の手順を介して市販物質から調製することができる。
【0060】
工程Eにおいて、式(IIa)の化合物は、式A4の中間体を、N−ブロモ−またはN−ヨードスクシンイミドと、ジクロロメタンなどの適切な不活性溶媒中、酢酸などの適切な酸触媒の存在下、典型的には−10℃〜40℃の間の範囲にある好都合な温度などの適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。工程Eの特定の例は、中間体A5の合成に関し、本明細書の下記に記載されている。
【0061】
実験手順2b
本明細書で式(IIb)と称される、式(II)による中間化合物[式中、
【化32】
は、式b)
【化33】
のビシクルである]は、以下の反応スキーム(2b)に示される、国際公開第2011/110545号パンフレットに記載の反応工程に従って調製することができる。
【化34】
【0062】
上記反応スキーム(2b)における式IIbの化合物は、3工程(工程F〜H)の手順を介して市販物質から調製することができる。
【0063】
工程F−Hは、国際公開第2011/051342号パンフレットに詳述される反応条件下で実施することができる。工程Gでは、8−クロロ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピラジンを、N−ブロモ−またはN−ヨードスクシンイミドと、DCMなどの適切な不活性溶媒中、典型的には−10℃〜60℃の間の範囲にある好都合な温度などの適切な反応条件下で、反応の完了を確実にする時間、反応させる。工程Hは、式(IV)の化合物を、モルホリンと、CH
3CNなどの適切な不活性溶媒中、通常の加熱またはマイクロ波照射のいずれかによる、好都合な温度での加熱など適切な反応条件下、反応の完了を確実にする時間、反応させることにより実施することができる。工程Hの特定の例は、中間体A8の合成に関し、本明細書の下記に記載されている。
【0064】
実験手順3
式(IIIa)による中間化合物は、以下の反応スキーム(3)に示される反応工程に従って調製することができる。
【化35】
【0065】
上記反応スキーム(3)における式(IIIa)の化合物[式中、R
3およびR
4は、水素またはC
1〜4アルキルであっても、互いに結合して、例えば式−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−、または−C(CH
3)
2C(CH
3)
2−の二価基を形成してもよい]は、本明細書の以下に記載される3工程(工程J、K、L)を介して市販物質から調製することができる。
【0066】
工程Jにおいて、式A10の化合物は、式(V)の化合物を、5−ブロモ−2−ヨード−ピリジンおよび例えばイソプロピルマグネシウムクロライドなどの例えばC
1〜4アルキルマグネシウムハライド試薬から誘導されるグリニャール試薬などの適切な試薬と、不活性雰囲気下0℃でTHF中など、当業者に公知の反応条件下で、反応させることにより調製することができる。式(V)の化合物[式中、R
5は、例えば、置換されていてもよい−O−C
1〜4アルキル、−N(C
1〜4アルキル)(OC
1〜4アルキル)、−O−アリールから選択することができ、(C=O)と一緒になって、例えばWeinrebアミドなど例えばエステルまたはアミドなどの活性化カルボニル化合物を形成する]は、商業的に入手可能であるか、または中間体A9の合成で以下に記載されるものなど、当業者に公知の反応条件に従って調製することができる。
【0067】
工程Kにおいて、式A11の化合物は、式A10の中間体を、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤と、メタノールなどの適切な不活性溶媒中、典型的には−10℃〜25℃の間の範囲にある好都合な温度などの適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。工程Kの特定の例は、中間体A11の合成に関し、本明細書の下記に記載されている。
【0068】
工程Lにおいて、式(IIIa)の化合物は、式A11の中間体を、トリイソプロピルボレートなどの適切なトリ−C
1〜4アルキルボレートと、n−ブチルリチウムなどの適切な塩基の存在下、Et
2Oなどの適切な不活性溶媒中、典型的には−78℃〜25℃の間の範囲にある好都合な温度などの適切な反応条件下で反応させることにより調製することができ、あるいは、式(IIIa)の化合物は、式A8の中間体を、例えば4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロランなどの適切なジオキサボロラン誘導体と、酢酸カリウムなどの適切な塩基の存在下、1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム触媒の存在下、60℃〜100℃の範囲にある好都合な温度などの適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。工程Lの特定の例は、中間体A12の合成に関し、本明細書の下記に記載されている。
【0069】
実験手順4
式(IIIb)による中間化合物は、以下の反応スキーム(4)に示される反応工程に従って調製することができる。
【化36】
【0070】
上記反応スキーム(4)における式(IIIb)の化合物[式中、R
3およびR
4は、水素またはC
1〜4アルキルであっても、互いに結合して、例えば式−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−、または−C(CH
3)
2C(CH
3)
2−の二価基を形成してもよい]は、本明細書の下記に記載される一工程手順を介して市販物質から調製することができる。
【0071】
工程Mにおいて、式(IIIb)の化合物は、式A13の中間体を、トリイソプロピルボレートなどの適切なトリ−C
1〜4アルキルボレートと、n−ブチルリチウムなどの適切な塩基の存在下、Et
2Oなどの適切な不活性溶媒中、典型的には−78℃〜25℃の間の範囲にある好都合な温度などの適切な反応条件下で反応させることにより調製することができ、あるいは、式(IIIb)の化合物は、式A13の中間体を、例えば4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロランなどの適切なジオキサボロラン誘導体と、酢酸カリウムなどの適切な塩基の存在下、1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム触媒の存在下、60℃〜100℃の範囲にある好都合な温度などの適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。工程Lの特定の例は、中間体A14の合成に関し、本明細書の下記に記載されている。
【0072】
式A13の化合物[CAS 1206912−74−4]およびそのボロン酸[CAS 1207759−01−0]は当技術分野で公知である。2,5−ジブロモピリジンとテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンとの反応によるA13の合成についての例示的な手順は、本明細書の下記に記載されている。
【0073】
実験手順5a
上記から、本明細書で(I’−a)と称される、式(I)の特定の化合物[式中、置換基−CR
1R
2(OH)は、
【化37】
であり、
【化38】
は式a)
【化39】
のビシクルである]は、式(IIa)の化合物と式(IIIa)の化合物を、実験手順1において、本明細書の上記に記載される反応条件下で反応させることにより調製することができることになる。
【化40】
【0074】
実験手順5b
同様に、本明細書で(I’−b)と称される、式(I)の化合物[式中、置換基−CR
1R
2(OH)は、
【化41】
であり、
【化42】
は、式b)
【化43】
のビシクルである]は、式(IIb)の化合物と式(IIIa)の化合物を、実験手順1において、本明細書の上記に記載される反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【化44】
【0075】
実験手順5c
上記から、本明細書で(I’’−a)と称される、式(I)の特定の化合物[式中、置換基−CR
1R
2(OH)は、
【化45】
であり、
【化46】
は、式a)
【化47】
のビシクルである]は、式(IIa)の化合物と式(IIIb)の化合物を、実験手順1において、本明細書の上記に記載される反応条件下で反応させることにより調製することができることになる。
【化48】
【0076】
実験手順5d
上記から、本明細書で(I’’−b)と称される、式(I)の特定の化合物[式中、置換基−CR
1R
2(OH)は、
【化49】
であり、
【化50】
は、式b)
【化51】
のビシクルである]は、式(IIb)の化合物と式(IIIb)の化合物を、実験手順1において、本明細書の上記に記載される反応条件下で反応させることにより調製することができることになる。
【化52】
【0077】
薬理学
本発明による化合物は、PDE10酵素活性、具体的にはPDE10A酵素活性を阻害し、その結果、PDE10を発現する細胞内のcAMPまたはcGMPのレベルを上昇させる。したがって、PDE10酵素活性の阻害は、細胞内のcAMPまたはcGMPの量が不足することにより引き起こされる疾患の治療に有用となり得る。PDE10阻害剤はまた、正常レベルを超えてcAMPまたはcGMPの量を上昇させることが、治療効果をもたらす場合に有益となり得る。したがって、PDE10の阻害剤は、末梢および中枢の神経系の障害、心臓血管疾患、癌、胃腸疾患、内分泌または代謝の疾患、ならびに泌尿器疾患を治療するために使用することができる。
【0078】
したがって、本発明は、医薬として使用するための、本発明による化合物に関し、また薬剤の製造のための、本発明による化合物または本発明による医薬組成物の使用に関する。本発明はまた、その治療または予防がホスホジエステラーゼ10酵素の阻害により影響を受けるかまたは容易になる、ヒトを含む哺乳動物における病態の治療または予防、特に治療に使用するための、本発明による化合物または本発明による医薬組成物に関する。本発明はまた、その治療または予防がホスホジエステラーゼ10酵素の阻害により影響を受けるかまたは容易になる、ヒトを含む哺乳動物における病態の治療または予防、特に治療のための薬剤を製造するための、本発明による化合物または本発明による医薬組成物の使用に関する。
【0079】
本発明はまた、その治療または予防がホスホジエステラーゼ10酵素の阻害により影響を受けるかまたは容易になる、ヒトを含む哺乳動物における、ホスホジエステラーゼ10の機能障害と関連する種々の神経、精神、および代謝の障害の治療、予防、寛解、制御、またはそのリスクの軽減に使用するための、本発明による化合物または本発明による医薬組成物に関する。
【0080】
さらに、本発明は、その治療または予防がホスホジエステラーゼ10酵素の阻害により影響を受けるかまたは容易になる、ヒトを含む哺乳動物における、ホスホジエステラーゼ10の機能障害と関連する種々の神経および精神の障害を治療、予防、寛解、制御、またはそのリスクを軽減するための薬剤を製造するための、本発明による化合物または本発明による医薬組成物の使用に関する。
【0081】
本発明が、例えば、哺乳動物、具体的にはヒトなどの被験体を治療するための薬剤を製造するための、本発明による化合物または組成物の使用に関すると記述される場合、そのような使用は、有効量の本発明の化合物または組成物をそのような、例えば治療の必要のある被験体に投与することを含む、例えば哺乳動物、具体的にはヒトなどの被験体を治療する方法として、特定の管轄下で解釈されるべきであると理解される。
【0082】
具体的には、PDE10阻害剤を単独でまたは他の薬物と組み合わせて用いて治療することができる適応症としては、これらに限定されないが、基底核、前頭前野皮質、および海馬により部分的に媒介されると考えられる疾患が挙げられる。
【0083】
これらの適応症としては、精神病性の障害および病態;不安障害;運動障害;薬物乱用;気分障害;神経変性障害;認知障害;疼痛;自閉性障害;および代謝障害から選択される神経障害および精神障害が挙げられる。
【0084】
具体的には、PDE10の機能障害に関連した精神病性の障害および病態としては、以下の病態または疾患の1つまたは複数が挙げられる:例えば、妄想型、破瓜型、緊張型、鑑別不能型、残遺型の統合失調症;統合失調症様障害;妄想型または抑鬱型などの統合失調性情動障害;妄想性障害;アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、またはフェンシクリジンによって誘発される精神病などの物質誘発性精神病性障害;妄想型人格障害;および統合失調型人格障害。
【0085】
具体的には、不安障害としては、パニック障害;広場恐怖症;特定恐怖症;対人恐怖症;強迫性障害;心的外傷後ストレス障害;急性ストレス障害;および全般性不安障害が挙げられる。
【0086】
具体的には、運動障害としては、ハンチントン病およびジスキネジア;パーキンソン病;下肢不安症候群、および本態性振戦が挙げられる。加えて、トゥーレット症候群および他のチック障害を挙げることができる。
【0087】
具体的には、中枢神経系障害は、アルコール乱用、アルコール依存症、アルコール禁断症状、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン依存症、アンフェタミン禁断症状、コカイン依存症、コカイン禁断症状、ニコチン依存症、ニコチン禁断症状、オピオイド依存症、およびオピオイド禁断症状の群から選択される物質関連障害である。
【0088】
具体的には、気分障害および気分エピソードとしては、鬱病、躁病および双極性障害が挙げられる。好ましくは、気分障害は、双極性障害(IおよびII)、気分循環性障害、鬱病、気分変調性障害、大鬱病性障害、治療抵抗性鬱病、および物質誘発性気分障害の群から選択される。
【0089】
具体的には、神経変性障害としては、パーキンソン病;ハンチントン病;例えばアルツハイマー病などの認知症;多発梗塞性認知症;エイズ関連認知症、または前頭側頭認知症が挙げられる。神経変性障害または病態は、線条体中型有棘細胞応答の機能障害を含む。
【0090】
具体的には、中枢神経系障害は、せん妄、物質誘発性持続性せん妄、認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、HIV疾患による認知症、頭蓋内腫瘍、脳外傷、または頭部外傷による認知症、脳卒中による認知症、パーキンソン病による認知症、ハンチントン病による認知症、ピック病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、レビー小体病による認知症、物質誘発性持続性認知症、複数の病因による認知症、他に記載されていない認知症、軽度認知障害、加齢性認知障害、老化現象、健忘障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、学習障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、およびダウン症候群の群から選択される認知障害である。
【0091】
具体的には、疼痛としては、急性および慢性状態、激痛、難治性疼痛、神経障害性疼痛、および外傷後疼痛が挙げられる。
【0092】
具体的には、中枢神経系障害は、自閉性障害または自閉症である。
【0093】
具体的には、代謝障害としては、糖尿病、具体的にはI型またはII型糖尿病、および肥満症などの関連障害が挙げられる。さらなる関連障害としては、X症候群、耐糖能異常、空腹時血糖異常、妊娠性糖尿病、若年成人発症型糖尿病(MODY)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、関連糖尿病性脂質異常症、高血糖、高インスリン血症、脂質異常症、高トリグリセリド血症、およびインスリン抵抗性が挙げられる。
【0094】
加えて、一部の癌細胞の増殖は、cAMPおよびcGMPにより阻害され、本発明の化合物は、腎癌および乳癌などの癌の治療に有用となり得る。
【0095】
好ましくは、精神病性障害は、統合失調症、妄想性障害、統合失調性情動障害、統合失調症様障害、および物質誘発性精神病性障害の群から選択される。
【0096】
好ましくは、中枢神経系疾患は、強迫性人格障害および統合失調症、統合失調症性障害の群から選択される人格障害である。
【0097】
好ましくは、中枢神経系疾患は、双極性障害(IおよびII型)、気分循環性障害、鬱病、気分変調性障害、大鬱病性障害、治療抵抗性鬱病、および物質誘発性気分障害の群から選択される気分障害である。
【0098】
好ましくは、中枢神経系障害は、注意欠陥多動障害である。
【0099】
好ましくは、中枢神経系障害は、せん妄、物質誘発性持続性せん妄、認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、HIV疾患による認知症、頭部外傷による認知症、脳卒中による認知症、パーキンソン病による認知症、ハンチントン病による認知症、ピック病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、レビー小体病による認知症、物質誘発性持続性認知症、複数の病因による認知症、他に記載されていない認知症、軽度認知障害、老化現象、およびダウン症候群の群から選択される認知障害である。
【0100】
他の中枢神経系障害としては、統合失調症性不安障害、および鬱病と不安障害の併存症、具体的には、全般性不安障害、社会不安障害、またはパニック障害と併存する大鬱病性障害が挙げられ;鬱病と不安障害の併存症はまた、不安鬱病、混合型不安鬱病、混合型不安鬱病性障害、または不安症候を伴う大鬱病性障害という用語(これらは、本明細書によって区別なく使用される)によっても称され得ることが理解される。
【0101】
好ましくは、本発明の化合物により治療される障害は、統合失調症、強迫性障害、全般性不安障害、ハンチントン病、ジスキネジア、パーキンソン病、鬱病、双極性障害、アルツハイマー病などの認知症、注意欠陥多動障害、薬物乱用、疼痛、糖尿病、および肥満症から選択される。
【0102】
上述の障害のうち、不安、強迫性障害、統合失調症、鬱病、注意欠陥多動障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、および糖尿病の治療が、特に重要である。
【0103】
好ましくは、本発明の化合物により治療される障害は、統合失調症(その陽性症状および陰性症状を含む)、および注意障害または記憶障害などの認知障害である。
【0104】
現在、米国精神医学協会(American Psychiatric Association)のDiagnostic & Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV)の第4版に、本明細書に記載される障害を同定するための診断手法が提供されている。当業者は、本明細書に記載される神経障害および精神障害の代替的な名称、疾病分類学、および分類体系が存在すること、およびこれらが医療および科学の進歩と共に発展することを認識するであろう。
【0105】
したがって、本発明はまた、本明細書の上記に記述された疾患のいずれか1つの治療に使用するための、本発明による化合物に関する。
【0106】
本発明はまた、本明細書の上記に記述された疾患のいずれか1つを治療するのに使用するための、本発明による化合物に関する。
【0107】
本発明はまた、本明細書の上記に記述された疾患のいずれか1つの治療または予防、特に治療のための、本発明による化合物に関する。
【0108】
本発明はまた、本明細書の上記に記述された疾患病態のいずれか1つの治療または予防のための薬剤を製造するための、本発明による化合物の使用に関する。
【0109】
本発明はまた、本明細書の上記に記述された疾患病態のいずれか1つの治療のための薬剤を製造するための、本発明による化合物の使用に関する。
【0110】
本発明の化合物は、本明細書の上記に記述された疾患病態のいずれか1つの治療または予防のために、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。
【0111】
本発明による化合物の有用性を考慮すると、本明細書の上記に記述された疾患のいずれか1つに罹患している、ヒトを含む温血動物を治療する方法、およびヒトを含む温血動物において、本明細書の上記に記述された疾患のいずれか1つを予防する方法が提供される。
【0112】
前記方法は、治療有効量の本発明による化合物のヒトを含む温血動物への投与、すなわち、全身投与または局所投与、好ましくは経口投与を含む。
【0113】
したがって、本発明はまた、本明細書の上記に記述された疾患を治療または予防する方法であって、治療有効量の本化合物のいずれかまたは治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法に関する。
【0114】
本明細書に記載の本発明による化合物は、単独で、組み合わせて、または統合失調症および双極性障害などの精神病、強迫性障害、パーキンソン病、認知障害、および/または記憶喪失の治療に使用される他の薬剤、例えばニコチン性α−7アゴニストおよび正のアロステリック調節剤、PDE4阻害剤、他のPDE10阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、ムスカリン性M1およびM2調節剤、アデノシン受容体調節剤、アンパキン(ampakine)、NMDA−R調節剤、mGluR調節剤、ドーパミン調節剤、セロトニン調節剤、カンナビノイド調節剤、およびコリンエステラーゼ阻害剤(例えばドネペジル、リバスチグミン、およびガランタミン)などの他の医薬品と組み合わせて使用することができる。このような組合せにおいて、本発明の化合物は、式(I)の化合物およびその立体異性形態、ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、または他の薬物が有用性を有する疾患または病態の治療、予防、制御、またはそのリスクの軽減に、これらの薬物を一緒に組み合わせることがいずれの薬物単独よりも安全または効果的である場合には、1種または複数の薬物と組み合わせて使用することができる。
【0115】
当業者は、本発明の化合物の治療有効量がPDE10酵素を阻害するのに十分な量であること、およびこの量が、とりわけ、疾患の種類、治療製剤中の化合物濃度、および患者の病態に応じて異なることを認識するであろう。一般に、本明細書に記載される障害など、PDE10酵素の阻害が有益である疾患を治療するための治療剤として投与されるPDE10阻害剤の量は、主治医によって個々の症例に応じて決定される。
【0116】
一般に、適切な用量は、PDE10阻害剤の濃度を、0.5nM〜200μM、より一般的には5nM〜50μMの範囲で治療部位にもたらす用量である。
【0117】
このような疾患の治療における当業者は、本明細書の以降に提示される試験結果から1日治療有効量を決定することができよう。1日治療有効量は、約0.005mg/kg〜50mg/kg、具体的には0.01mg/kg〜50mg/kg体重、より具体的には0.01mg/kg〜25mg/kg体重、好ましくは約0.01mg/kg〜約15mg/kg、より好ましくは約0.01mg/kg〜約10mg/kg、より好ましくは約0.01mg/kg〜約2.50mg/kg、より一層好ましくは約0.01mg/kg〜約1mg/kg、より好ましくは約0.05mg/kg〜約1mg/kg体重、および最も好ましくは約0.1mg/kg〜約0.5mg/kg体重になるであろう。本明細書で有効成分とも称される、本発明による化合物の、治療効果を達成するために必要とされる量は、当然のことながら、個々の症例に応じて異なり、特定の化合物、投与経路、レシピエントの年齢および病態、ならびに治療される特定の障害または疾患によって異なる。治療方法にはまた、1日当たり1〜4回の摂取のレジメンで有効成分を投与することも含まれ得る。これらの治療方法では、本発明による化合物は、好ましくは入院前に処方される。本明細書で以下に記載されるように、適切な医薬製剤は、周知でかつ容易に入手可能な成分を使用して、公知の手順によって調製される。
【0118】
医薬組成物
本発明はまた、本明細書に記載の疾患など、PDE10酵素の阻害が有益となり得る疾患を予防または治療するための組成物を提供する。有効成分を単独で投与することは可能であるが、それを医薬組成物として提供することが好ましい。したがって、本発明はまた、薬学的に許容される担体または希釈剤、および有効成分として、治療有効量の本発明による化合物、具体的には式(I)による化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、またはその立体化学的異性形態を含む医薬組成物に関する。担体または希釈剤は、組成物の他の成分と適合し、そのレシピエントに対して有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0119】
本発明による化合物、具体的には式(I)による化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、およびその立体化学的異性形態、またはそれらの任意のサブグループもしくは組合せは、投与を目的とする種々の医薬形態に製剤化することができる。適切な組成物として、全身投与薬物のために通常使用されるあらゆる組成物を挙げることができる。
【0120】
本発明の医薬組成物は、薬学分野で周知の任意の方法によって、例えば、Gennaro et al.Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版、Mack Publishing Company,1990、特にPart 8:Pharmaceutical preparations and their Manufactureを参照されたい)に記載される方法などを使用して調製することができる。本発明の医薬組成物を調製するために、任意選択的に塩形態にある有効成分としての特定の化合物の治療有効量を、投与にとって望ましい調製物の形態に応じて多種多様な形態を取り得る薬学的に許容される担体または希釈剤と徹底的に混合して合わせる。これらの医薬組成物は、具体的には、注射剤または鼻用スプレーなどの吸入による、経口、局所(例えば、鼻用スプレー、点眼剤による、もしくはクリーム、ゲル、シャンプー等による)、経腸、または経皮投与に適した単一投与剤形であることが望ましい。例えば、経口投与剤形の組成物を調製する際には、例えば懸濁液、シロップ、エリキシル、エマルジョン、および溶液などの経口液体製剤の場合には、例えば水、グリコール、油、アルコール等;または粉末、丸剤、カプセル、および錠剤の場合には、例えばデンプン、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等の固体担体など、通常の任意の医薬媒体を使用することができる。投与が容易であるため、経口投与が好ましく、錠剤およびカプセル剤が、最も有利な経口投与単位形態であり、この場合、固体医薬担体が使用される。非経口組成物の場合、担体は、通常、少なくとも大部分が滅菌水で構成されるが、例えば、溶解性を補助するための他の成分、例えば界面活性剤を含むこともできる。例えば、注射用溶液を調製することができるが、この場合、担体は、生理食塩水、グルコース溶液、または生理食塩水とグルコース溶液との混合物を含む。注射用懸濁液も調製することができるが、この場合、適切な液体担体、懸濁化剤等を使用することができる。さらに、使用直前に液体形態製剤に変換することを意図した固体形態製剤も含まれる。経皮投与に適した組成物では、担体は、任意選択的に、浸透促進剤および/または適切な湿潤剤を、任意選択的に皮膚に顕著な有害作用をもたらさない、割合が少ない任意の性質の適切な添加剤と組み合わせて含む。前記添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができ、かつ/または所望の組成物を調製する手助けとなり得る。これらの組成物は、種々の方法で、例えば、経皮パッチとして、スポットオン処置として、または軟膏として投与することができる。
【0121】
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、単位投与形態で上述の医薬組成物を製剤化することが特に有利になる。本明細書で使用する単位投与剤形は、単一投与量として適切な物理的に別個の単位であり、各単位は、必要とされる医薬担体と結合して所望の治療効果をもたらすと計算される所定量の有効成分を含有する。このような単位投与剤形の例としては、錠剤(分割錠剤またはコーティング錠剤を含む)、カプセル、丸剤、粉末パケット、オブラート、坐剤、注射液、または懸濁液等、小さじ1杯、大さじ1杯、およびそれらを複数に分割したものがある。
【0122】
本発明による化合物が有力な経口投与可能化合物であるので、前記化合物を含む経口投与用医薬組成物が特に有利である。
【0123】
医薬組成物中の式(I)の化合物の溶解性および/または安定性を増強するために、α−、β−、もしくはγ−シクロデキストリン、またはそれらの誘導体、具体的には、ヒドロキシアルキル置換シクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチル−β−シクロデキストリンを使用することが有利となり得る。さらに、アルコールなどの共溶媒は、医薬組成物中の本発明による化合物の溶解性および/または安定性を改善することができる。
【0124】
正確な投与量および投与頻度は、当業者に周知のように、使用される式(I)の特定の化合物もしくはその立体異性形態、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、治療される特定の病態、治療される病態の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、障害の程度、および全身健康状態、ならびに個体が摂取する可能性のある他の薬剤に依存する。さらに、前記1日有効量が、治療される被験体の応答に応じて、かつ/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて減量されることも増量されることもあることは明らかである。
【0125】
投与方法に応じて、医薬組成物は、有効成分を、0.05〜99重量%、好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは0.1〜50重量%、また薬学的に許容される担体を、1〜99.95重量%、好ましくは30〜99.9重量%、より好ましくは50〜99.9重量%含むことになる。ここで、パーセントはすべて組成物の全重量を基準にしたものである。
【0126】
担体材料と組み合わせて単一投与剤形を生成することができる、式(I)の化合物もしくはその立体異性形態、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の量は、治療される疾患、哺乳動物種、および特定の投与方法に応じて異なることになる。しかしながら、一般的な指針として、本発明の化合物に適した単位用量には、例えば、好ましくは、活性化合物が0.1mg〜約1000mgの間で含有され得る。好ましい単位用量は、1mg〜約500mgの間である。より好ましい単位用量は、1mg〜約300mgの間である。さらにより好ましい単位用量は、1mg〜約100mgの間である。このような単位用量を、70kgの成人の合計投与量が、1回の投与につき、被験体の体重1kg当たり0.001〜約15mgの範囲になるように、1日2回以上、例えば、1日2回、3回、4回、5回、または6回投与することができるが、好ましくは1日1回または2回である。好ましい投与量は、1回の投与につき、被験体の体重1kg当たり0.01〜約1.5mgであり、このような治療は、数週間または数カ月、任意選択的に数年間にわたることがある。しかしながら、当業者に十分理解されているように、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルが、使用される特定の化合物の活性;治療される個体の年齢、体重、健康状態、性別、および食事;投与時間および投与経路;排泄速度;以前に投与されたことのある他の薬物;治療を受けている特定の疾患の重症度を含む種々の要因に依存することになることは理解されよう。
【0127】
典型的な投与量は、1日1回または1日複数回摂取される1mg〜約100mgまたは1mg〜約300mgの1個の錠剤であっても、あるいは1日1回摂取され、それに比例してより高い含量の有効成分を含有する1個の徐放性カプセル剤または錠剤であってもよい。徐放性効果は、異なるpH値で溶解するカプセル材料によって、浸透圧によって徐々に放出するカプセル剤によって、または制御放出の他の任意の公知手段によって得ることができる。
【0128】
当業者に明らかであるように、任意選択的にこれらの範囲外の投与量を使用することが必要となることがある。さらに、臨床医または治療医が、個々の患者の応答に合わせて治療を開始、中断、調整、または終了する方法および時期を認識することになることに留意されたい。
【0129】
既述のように、本発明はまた、薬剤として使用するための、あるいは式(I)の化合物およびその立体異性形態、ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、または他の薬物が同様に有用性を有し得る疾患または病態の治療、予防、制御、寛解、またはそのリスクの軽減に使用するための、本発明による化合物および1種または複数の他の薬物を含む医薬組成物に関する。薬物の製造のためにこのような組成物を使用すること、ならびに式(I)の化合物およびその立体異性形態、およびその薬学的に許容される塩および溶媒和物、または他の薬物が有用性を有し得る疾患または病態の治療、予防、制御、寛解、またはそのリスクの軽減における薬剤を製造するためにこのような組成物を使用することも企図される。本発明はまた、本発明による化合物と追加の医薬品との組合せに関する。本発明はまた、医薬として使用するためのそのような組合せに関する。本発明はまた、(a)本発明による化合物、その薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物と、(b)追加の医薬品とを、その治療または予防がPDE10阻害剤、具体的にはPDE10A阻害剤の効果により影響を受けるかまたは容易になる、ヒトを含む哺乳動物における病態の治療または予防において、同時に、別個に、または逐次的に使用するための組合せ調製物として含む製品に関する。このような組合せまたは製品の中の異なる薬物を、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に単一調製物中に混ぜることも、またはそれぞれを薬学的に許容される担体または希釈剤と共に別個の調製物中に存在させることもできる。
【0130】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することではなく、説明することを意図するものである。
【実施例】
【0131】
化学
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法を、以下の実施例において説明する。特に明記しない限り、出発物質はすべて、商業的な供給業者から入手したものであり、さらに精製することなく使用した。
【0132】
本明細書の以下において、「DCM」は、ジクロロメタンを意味し、「DIPE」は、ジイソプロピルエーテルを意味し、「DMF」は、N,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「Et
2O」は、ジエチルエーテルを意味し、「h」は、時間を意味し、「LCMS」は、液体クロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「MeCN」は、アセトニトリルを意味し、「MeOH」は、メタノールを意味し、「min」は、分を意味し、「mp」は、融点を意味し、「MS」は、質量分析法を意味し、「Pd(PPh
3)
4」は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を意味し、「RT」または「r.t」は、室温を意味し、「sat.」は、飽和を意味し、「SFC」は、超臨界流体クロマトグラフィーを意味し、「THF」は、テトラヒドロフランを意味する。
【0133】
薄層クロマトグラフィー(TLC)を、試薬グレードの溶媒を使用して、シリカゲル60 F254プレート(Merck)で実施した。オープンカラムクロマトグラフィーを、標準手法を使用して、シリカゲル、粒径60Å、メッシュ=230〜400(Merck)上で実施した。自動フラッシュカラムクロマトグラフィーを、Armen Instrument製のSPOTシステム上で、粒径15〜40μmの不規則なシリカゲル(順相用の使い捨てフラッシュカラム)にて、Merck製の接続が容易なカートリッジを使用して実施した。
【0134】
A.中間体の調製
実施例A1
中間体1
【化53】
3−アミノ−6−クロロピリダジン([CAS 5469−69−2](200g、1538mmol)およびNaHCO
3(258g、3076mmol)のCH
3OH(2000mL)溶液に、Br
2([CAS 7726−95−6]、369g、2308mmol)を0℃で滴下して加え、この混合物を室温で一晩撹拌した。
【0135】
次いで、水(2000mL)を加え、固体沈殿を濾過し、水で洗浄した。この固体を真空乾燥して中間体1(260g、81.7%)を得た。
【0136】
実施例A2
中間体2
【化54】
中間体1(225g、1082mmol)およびクロロ−2−プロパノン([CAS 78−95−5]、478g、5410mmol)を、DMF(1500mL)中に加え、100℃で2時間撹拌した。次いで、この反応混合物を減圧濃縮した。水(2000mL)を加え、CH
2Cl
2(3×2000mL)で混合物を抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧蒸発させて、250gの中間体2を得、これをさらに精製することなく使用した。
【0137】
実施例A3
中間体3
【化55】
CH
3CN(2000mL)中の中間体2(250g)、モルホリン([CAS 110−91−8]、103g、1190mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン([CAS 7087−68−5]、208.7g、1623mmol)の混合物を5時間還流した。次いで、この反応混合物を減圧濃縮し、残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル、3/1)により精製して、70g(22.4%)の中間体3を黄色固体として得た。
【0138】
実施例A4
中間体4
【化56】
中間体3(70g、277mmol)のCH
3OH(1000mL)溶液に、炭素担持パラジウム(7g)を加え、この混合物を水素(30psi;206.84kPa)下、室温で10時間撹拌した。水素(1当量)を取り込ませた後、触媒を濾別し、溶媒を減圧蒸発させた。次いで、残渣をCH
2Cl
2(500mL)に溶解し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。有機層を分離し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧蒸発させて、49g(81%)の中間体4を得た。融点=137.2〜138.3℃
【0139】
実施例A5
中間体5
【化57】
N−ヨードスクシンイミド([CAS 516−12−1]、97.413g、432.973mmol)を、中間体4(90g、412.355mmol)、CH
2Cl
2(3840mL)、および酢酸(153mL)の混合物に0℃で少量ずつ加え、得られた混合物を0℃で1時間にわたり撹拌した。その結果得られた混合物を、Na
2S
2O
3水溶液(10%)およびNa
2CO
3飽和水溶液で洗浄し、水層をCH
2Cl
2でさらに抽出した。有機層を合わせて乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、真空蒸発させた。粗生成物をMeOHと共に粉砕し、沈殿を濾過し、Et
2Oで洗浄して、108.279g(76.3%)の中間体5を白色固体として得た。
【0140】
実施例A6
中間体6
【化58】
3−クロロ−ピラジン−2−イルアミン(48.7g、375.8mmol)およびクロルアセトン(120ml、1504.5mmol)の混合物を、光を遮蔽した密封管中、90℃で16時間撹拌した。室温に冷却した後、Et
2Oを加え、形成された固体を濾過し、さらなるEt
2Oで洗浄し、炭酸ナトリウムの飽和溶液中に懸濁し、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、溶媒を真空蒸発させた。粗生成物をEt
2Oから沈殿させて、中間体6(43.2g、68%)を白色固体として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。融点133.5〜138.6℃(WR−2A)。
【0141】
実施例A7
中間体7
【化59】
N−ヨードスクシンイミド(14.1g、62mmol)を、DCMおよび酢酸の混合物中の中間体6(9.58g、57mmol)の撹拌溶液に0℃で加えた。この混合物を室温に加温した後、16時間撹拌した。混合物をさらなるDCMで希釈し、炭酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、溶媒を真空蒸発させた。粗生成物をジイソプロピルエーテルから沈殿させて、中間体7(16g、97%)を淡褐色固体として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0142】
実施例A8
中間体8
【化60】
モルホリン(19.79mL、224.877mmol)を、中間体7(33g、112.439mmol)およびDIPEA(48.963mL、281.097mmol)のアセトニトリル(300mL)溶液に加え、この反応混合物を一晩還流(100℃ drysyn(商標)ヒーター)撹拌した。次いで、この混合物を氷浴中で冷却し、沈殿した生成物を濾過し、アセトニトリルですすぎ、乾燥して、33.8g(87%)の中間体8を得た。融点135.3〜136.7℃(WRS−2A)。
【0143】
実施例A9
中間体9
【化61】
CH
2Cl
2(6000mL)中のメトキシ酢酸([CAS 625−45−6]、200g、2220.30mmol)、N−メトキシ−メタンアミン塩酸塩([CAS 6638−79−5]、216.577g、2220.30mmol)、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(300.014g、2220.30mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(344.682g、2220.300mmol)、およびEt
3N(336.742g、3330.450mmol)の混合物を、室温で一晩撹拌した。次いで、飽和NaHCO
3水溶液および10%クエン酸水溶液でこの混合物を洗浄した。
【0144】
有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、真空濃縮して、150g(50.1%)の中間体9を得た。
【0145】
実施例A10
中間体10
【化62】
5−ブロモ−2−ヨード−ピリジン([CAS 223463−13−6]、140g、493.145mmol)およびTHF(2500mL)の混合物を、N
2下、0℃で撹拌した。次いで、イソプロピルマグネシウムクロライド溶液(THF中2.0M、[CAS 1068−55−9]、246.572mL、493.145mmol)を、0℃で加え、得られた混合物を0℃で0.5時間撹拌した。次いで、中間体9(72.226g、542.460mmol)を滴下して加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。HCl(1M)を加えてpH2にすることにより反応をクエンチし、0.5時間撹拌した。次いで、この混合物にNaOH(1M)を加えてpH11にし、酢酸エチルで混合物を抽出した。有機層を真空濃縮し、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル、8/1)により精製した。所望の画分を集め、溶媒を蒸発させて、49g(43.2%)の中間体10を得た。
【0146】
実施例A11
中間体11
【化63】
中間体10(98g、425.978mmol)のCH
3OH(700mL)撹拌溶液に、NaBH
4(16.200g、425.978mmol)を少量ずつ加え、この混合物を0℃で20分間攪拌した。次いで、反応を酢酸エチルでクエンチし、溶媒を真空除去し、得られた残渣に、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を真空濃縮して、87.9g(87.5%)の中間体11を得た。
【0147】
実施例A12
中間体12
【化64】
1,4−ジオキサン(750.532mL)中の中間体11(37.5g、161.584mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン([CAS 73183−34−3]、65.653g、258.535mmol)、および酢酸カリウム(55.504g、565.545mmol)の混合物をN
2で数分間フラッシュした。次いで、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(11.823g、16.158mmol)を加え、反応混合物を85℃で55分間撹拌した。得られた混合物はさらに操作することなく、次の反応工程に使用した。
【0148】
実施例A13
中間体13
【化65】
ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、20.262mL、50.656mmol)を、2,5−ジブロモピリジン([CAS 624−28−2]、10g、42.213mmol)のトルエン(400mL)撹拌溶液に、窒素下、−78℃で滴下して加えた。この混合物を−78℃で2時間攪拌した。次いで、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン([CAS 29943−42−8]、4.869mL、52.766mmol)を滴下して加え、混合物を−78℃で1時間撹拌した。混合物を飽和NH
4Cl水溶液でクエンチし、室温に加温した。有機層を分離し、飽和NaHCO
3、飽和NaClで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、真空濃縮した。残渣を、2つの異なるバッチにおいて、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;ヘプタン中のEtOAc 0/100〜30/70)により精製した。所望の画分を集め、溶媒を真空濃縮して、5.21g(48%)の中間体13を白色固体として得た。
【0149】
実施例A14
中間体14
【化66】
[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)([CAS 72287−26−4]、70.871mg、0.0969mmol)を、1,4−ジオキサン(4.47mL)中の中間体13、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン([CAS 73183−34−3]、639.492mg、2.518mmol)、および酢酸カリウム(570.3mg、5.8mmol)の撹拌懸濁液に窒素下で加えた。この混合物を85℃で30分間撹拌して、中間体14を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0150】
B.最終化合物の調製
実施例B1
2−メトキシ−1−[5−(2−メチル−8−モルホリン−4−イルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)ピリジン−2−イル]エタノール(化合物1)
【化67】
1,4−ジオキサン(750mL)中の粗中間体12(45g、161.207mmol)の混合物(実施例A12で得られた混合物)に、中間体5(66.576g、193.449mmol)および飽和Na
2CO
3水溶液(52mL)を加え、N
2で数分間フラッシュした。Pd(PPh
3)
4(0.03当量)を加え、反応混合物を85℃で24時間撹拌した。次いで、さらなるPd(PPh
3)
4(0.01当量)および飽和Na
2CO
3水溶液(20mL)を加え、反応混合物を85℃で24時間撹拌した。次いで、混合物をCH
2Cl
2と水との間で分配し抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、蒸発させた。粗製物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;7Mアンモニアのメタノール溶液/EtOAc中のCH
2Cl
2(10%)、0/100〜80/20)により精製した。所望の画分を集め、溶媒を真空蒸発させた。生成物をCH
3CNと共に粉砕し、濾過して、37.3g(62.6%)の化合物1を得た。
【0151】
実施例B2
2−メトキシ−1−[5−(2−メチル−8−モルホリン−4−イルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル)ピリジン−2−イル]エタノール(化合物2)
【化68】
1,4−ジオキサン(4mL)および飽和Na
2CO
3(0.85mL)中の中間体8(295.894mg、0.86mmol)および中間体12(240mg、0.86mmol)の混合物をN
2で数分間フラッシュした。次いで、Pd(PPh
3)
4(29.806mg、0.0258mmol)を加え、この混合物を85℃で16時間撹拌した。混合物を水で希釈し、CH
2Cl
2で抽出した。有機層を分離し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、真空濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;EtOAc 100%、次いで7Mアンモニアのメタノール溶液/CH
2Cl
2 10/90)により精製した。所望の画分を集め、真空濃縮した。粗生成物をEt
2Oと共に粉砕して、95mg(30%)の化合物2を淡褐色固体として得た。
【0152】
実施例B3
4−[5−(2−メチル−8−モルホリン−4−イルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)ピリジン−2−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール(化合物3)
【化69】
1,4−ジオキサン(4.5mL)および飽和Na
2CO
3水溶液(2mL)中の中間体5(733.12mg、2.13mmol)および中間体14(591mg、1.937mmol)の混合物をN
2で数分間フラッシュした。次いで、Pd(PPh
3)
4(40.293mg、0.0349mmol)を加え、混合物を85℃で16時間撹拌した。混合物を水で希釈し、CH
2Cl
2で抽出した。有機層を分離し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、真空濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;7Mアンモニアのメタノール溶液/CH
2Cl
2 0/100〜4/96)により精製した。所望の画分を集め、真空濃縮した。粗生成物をDIPEと共に粉砕し、334mg(44%)の化合物3を白色固体として得た。
【0153】
実施例B4
4−[5−(2−メチル−8−モルホリン−4−イルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル)ピリジン−2−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール(化合物4)
【化70】
1,4−ジオキサン(4.5mL)および飽和Na
2CO
3水溶液(1mL)中の中間体8(400mg、1.162mmol)および中間体14(591mg、1.937mmol)の混合物をN
2で数分間フラッシュした。次いで、Pd(PPh
3)
4(40.293mg、0.0349mmol)を加え、混合物を85℃で16時間撹拌した。混合物を水で希釈し、CH
2Cl
2で抽出した。有機層を分離し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、真空濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;7Mアンモニアのメタノール溶液/CH
2Cl
2 0/100〜5/95)により精製した。所望の画分を集め、真空濃縮した。粗生成物をMeCNと共に粉砕して、202mg(44%)の化合物4を淡灰色固体として得た。
【0154】
分析の部
LCMS:
本発明の化合物を(LC)MSにより特性評価するために、以下の方法を使用した。
【0155】
基本手順A:
UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)測定は、サンプラーオーガナイザー、脱気装置付き二連ポンプ、4カラムオーブン、ダイオードアレー検出器(DAD)、およびそれぞれの方法で指定されるカラムを含むAcquity UPLC(Waters)システムを使用して実施した。カラムからの流れを、MSスペクトロメーターに送った。MS検出器はエレクトロスプレーイオン化源で構成された。質量スペクトルを、0.08秒のチャネル間遅延を使用して、0.1秒で100〜1000の範囲を走査することにより、単一四極子型SQD検出器で取得した。キャピラリー針電圧を3.0kVとした。コーン電圧を、正のイオン化モードの場合25V、負のイオン化モードの場合30Vとした。イオン化源温度を140℃に維持した。ネブライザーガスとして窒素を使用した。データ収集を、MassLynx−Openlynxソフトウェアを用いて行った。
【0156】
方法1:
基本手順Aに加えて:逆相UPLCを、Agilent製のRRHD Eclipse Plus−C18(1.8μm、2.1×50mm)上で流速1.0ml/分にて、50℃で実施した。使用した勾配条件は次のとおりである:3.8分で95%A(H
2O中の6.5mM NH
4AcO/MeCN 95/5)、5%B(MeCN)から40%A、60%Bにし、4.6分に5%A、95%Bにして、それを5.0分まで保持した。注入量を2μlとした。
【0157】
基本手順B
HPLC測定は、脱気装置付き二連ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、ダイオードアレー検出器(DAD)、および以下のそれぞれの方法で指定されるカラムを含むHP 1100(Agilent Technologies)システムを使用して実施した。カラムからの流れを分割して、MSスペクトロメーターに送った。MS検出器(TOF)はエレクトロスプレーイオン化源で構成された。質量スペクトルを、0.3秒の滞留時間を使用して0.5秒で100から750の範囲を走査することにより、飛行時間型(TOF、Waters)検出器で取得した。キャピラリー針電圧を、正のイオン化モードの場合2.5kV、負のイオン化モードの場合2.9kVとした。正負のイオン化モードに対するコーン電圧をいずれも20Vとした。イオン化源温度を140℃に維持した。ネブライザーガスとして窒素を使用した。データ収集を、MassLynx−Openlynxソフトウェアを用いて行った。
【0158】
方法2:
基本手順Bに加えて:逆相HPLCを、Agilent製のEclipse Plus−C18カラム(3.5μm、2.1×30mm)上で流速1.0ml/分にて、60℃で実施した。使用した勾配条件は次のとおりである:5.0分で95%A(H
2O中の6.5mM NH
4AcO/MeCN 95/5)から100%Bにしてそれを5.15分まで保持し、5.3分に初期条件にして7.0分まで平衡化した。注入量を2μlとした。
【0159】
融点:
値はピーク値または融解範囲であり、得られた値は、この分析法に通常付随する実験的不確定性を伴っている。
【0160】
いくつかの化合物について、Mettler FP62またはMettler FP81HT−FP90装置のいずれかでオープンキャピラリーチューブ中にて融点を測定した。3または10℃/分の温度勾配を用いて融点を測定した。最高温度を300℃とした。デジタル表示から融点を読み取った。
【0161】
いくつかの化合物について、融点(m.p.)をWRS−2A融点測定装置(Shanghai Precision and Scientific Instrument Co.Ltd.)で測定した。0.2〜5.0℃/分の直線的加熱速度を用いて融点を測定した。報告する値は融解範囲である。最高温度を300℃とした(WRS−2Aによる表示)。
【0162】
【表1】
【0163】
SFC−MS方法:
基本手順
SFC測定は、二酸化炭素(CO
2)およびモディファイアーを送達するためのFCM−1200複式ポンプ流体制御モジュール、CTC Analytics自動液体サンプラー、室温〜80℃のカラム加熱用TCM−20000熱制御モジュールを備えるBerger instrument製のAnalytical SFCシステムを使用して実施した。最大400バールに耐える高圧フローセルを装着したAgilent 1100 UVフォトダイオードアレイ検出器を使用した。カラムからの流れを分割して、MSスペクトロメーターに送った。MS検出器は大気圧イオン化源で構成された。WatersZQ質量分光光度計に関するイオン化パラメーターは次のとおりである:コロナ:9μa、イオン化源温度:140℃、コーン:30V、プローブ温度450℃、抽出器3V、脱溶媒ガス400L/時間、コーンガス70L/時間。ネブライザーガスとして窒素を使用した。データ収集を、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて行った。
【0164】
方法1:
基本手順に加えて:SFCでのキラル分離を、CHIRALCEL OD−H DAICELカラム(5μm、4.6×250mm)上で、3.0ml/分の流速を用いて、35℃で実施した。移動相は、70%CO
2、30%iPrOH(+0.3%iPrNH
2)とし、定組成方式で7分保持する。
【0165】
【表2】
【0166】
旋光度:
旋光度は、ナトリウムランプを装着したPerkin−Elmer 341旋光計で測定し、以下のように報告した:[α]°(λ、c g/100ml、溶媒、T℃)。
【0167】
温度T(℃)およびλ(nm単位)における試料について、[α]
λT=(100α)/(l×c)(式中、lはdm単位の光路長であり、cはg/100ml単位の濃度である)。使用した光の波長が589nm(ナトリウムD線)である場合には、記号Dを代りに使用することができる。旋光度(+または−)の符合は常に与えられるべきである。この式を使用する場合、濃度および溶媒は常に、旋光度の後の括弧内に示される。旋光度は度数を用いて報告され、濃度の単位は示されない(g/100mlと仮定される)。
【0168】
【表3】
【0169】
核磁気共鳴(NMR)
いくつかの化合物について、
1H NMRスペクトルを、400MHzおよび500MHzでそれぞれ作動し、標準パルスシーケンスを用いるBruker DPX−400またはBruker AV−500分光計のいずれかで記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用したテトラメチルシラン(TMS)から低磁場側で百万分率(ppm)にして報告する。
【0170】
化合物1
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 2.55(s,3H),3.45(s,3H),3.67(dd,J=9.7,6.7Hz,1H),3.75(dd,J=9.9,4.4Hz,1H),3.89〜4.02(m,8H),4.06(d,J=4.9Hz,1H),4.98(dt,J=6.7,4.6Hz,1H),6.11(d,J=5.5Hz,1H),7.57(d,J=8.3Hz,1H),7.99(d,J=5.5Hz,1H),8.08(dd,J=8.1,2.3Hz,1H),8.83(dd,J=2.1,0.7Hz,1H)。
【0171】
化合物1a
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ ppm 2.54(s,3H),3.45(s,3H),3.67(dd,J=9.8,6.9Hz,1H),3.75(dd,J=9.8,4.3Hz,1H),3.87〜4.00(m,8H),4.04(br.s.,1H),4.98(dd,J=6.1,4.6Hz,1H),6.11(d,J=5.8Hz,1H),7.57(d,J=8.1Hz,1H),7.99(d,J=5.5Hz,1H),8.08(dd,J=8.1,2.0Hz,1H),8.83(d,J=1.4Hz,1H)。
【0172】
化合物1b
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ ppm 2.55(s,3H),3.45(s,3H),3.67(dd,J=9.5,6.6Hz,1H),3.75(dd,J=9.8,4.3Hz,1H),3.88〜4.00(m,8H),4.03(br.s.,1H),4.98(dd,J=6.5,4.5Hz,1H),6.11(d,J=5.5Hz,1H),7.57(d,J=8.1Hz,1H),7.99(d,J=5.5Hz,1H),8.08(dd,J=8.1,2.0Hz,1H),8.83(d,J=1.7Hz,1H)。
【0173】
化合物2
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 1.71(br.s.,1H),2.45(s,3H),3.47(s,3H),3.71(dd,J=9.7,6.5Hz,1H),3.79(dd,J=9.7,4.2Hz,1H),3.90(t,J=4.9Hz,4H),4.28(t,J=4.6Hz,4H),5.01(dd,J=6.5,4.6Hz,1H),7.36(d,J=4.6Hz,1H),7.39(d,J=4.9Hz,1H),7.64(d,J=7.9Hz,1H),7.80(dd,J=8.1,2.3Hz,1H),8.65(d,J=1.6Hz,1H)。
【0174】
化合物3
1H NMR(500MHz,DMSO−d
6)δ ppm 1.54(d,J=12.4Hz,2H),2.25(td,J=12.6,5.2Hz,2H),2.46(s,3H),3.72〜3.87(m,8H),3.91〜4.06(m,4H),5.34(s,1H),6.37(d,J=5.5Hz,1H),7.82(d,J=8.1Hz,1H),8.05〜8.15(m,2H),8.81(d,J=1.7Hz,1H)。
【0175】
化合物4
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 1.65(br.d,J=12.0Hz,2H),2.21(td,J=12.6,5.5Hz,2H),2.46(s,3H),3.90(dd,J=5.1,4.6Hz,4H),3.94〜4.09(m,4H),4.28(t,J=4.6Hz,4H),4.99(s,1H),7.36(d,J=4.4Hz,1H),7.39(d,J=4.6Hz,1H),7.57(dd,J=8.2,0.8Hz,1H),7.83(dd,J=8.2,2.2Hz,1H),8.64(dd,J=2.1,0.9Hz,1H)。
【0176】
薬理学的実施例
本発明において提供される化合物は、PDE10、具体的にはPDE10Aの阻害剤である。in vitroにおける、またアポモルフィン誘発性帯同症モデルを使用するin vivoにおける、式(I)によるPDE10阻害剤の作用を表4に示す。
【0177】
A)in vitroアッセイ PDE10A
ヒトまたはラット組換えPDE10A(hPDE10A2またはrPDE10A2)を、組換えhPDE10AまたはrPDE10Aバキュロウイルス構築物を使用して、Sf9細胞中に発現させた。感染48時間後に細胞を回収し、Ni−セファロース6FFの金属キレートクロマトグラフィーによりhPDE10AまたはrPDE10Aタンパク質を精製した。試験化合物を100%DMSOに溶解し、アッセイ中の最終濃度の100倍濃度に希釈した。希釈化合物(0.4μl)を、384ウェルプレート中で、インキュベーション緩衝液(50mM Tris pH7.8、8.3mM MgCl
2、1.7mM EGTA)20μlに加えた。インキュベーション緩衝液中のhPDE10AまたはrPDE10A酵素10μlを加え、最終濃度が60nM cAMPおよび0.008μCi
3H−cAMPになるように基質10μlを加えて、反応を開始させた。反応物を室温で60分間インキュベートした。インキュベーション後、17.8mg/ml PDE SPA(シンチレーション近接アッセイ)ビーズからなる停止液20μlを用いて、反応を停止させた。30分間ビーズを沈降させた後、Perkin Elmer Topcountシンチレーションカウンターで放射能を測定し、結果をcpmとして表した。ブランク値については、反応物から酵素を除外し、インキュベーション緩衝液で置き換えた。化合物の代わりに最終濃度1%のDMSOを加えることにより対照値を得た。ブランク値を差し引いた対照値の%対化合物濃度のプロットに対して、最小二乗法により最良適合曲線を求めて、最大の半分を阻害する濃度(IC
50)の値をこの曲線から得た。結果の概要を、以下の表4に示す。
【0178】
B)ラットにおけるアポモルフィン誘発性帯同症(APO)
アポモルフィン(1.0mg/kg、i.v.)誘発性帯同症(強制的嗅ぎ動作、舐め動作、咀嚼動作)について、試験化合物による1時間前の前処置に続くアポモルフィン注入後の最初の1時間にわたり、5分ごとにスコアを付けた。スコア化は次のようにした:(3)顕著、(2)中程度、(1)軽度、および(0)なし。帯同症の薬物誘発性抑制の基準は次のようにした:3のスコアが6個未満(0.16%偽陽性)、2以上のスコアが6個未満(0.0%偽陽性)、または1以上のスコアが7個未満(0.81%偽陽性)。この試験の結果を以下の表4に示す。
【0179】
【表4】
【0180】
C)本発明による化合物1aおよび1bの血漿タンパク質結合
試験システム
血漿タンパク質結合および血液分布を、健常ヒト被験体で検討した。新鮮血を採取し、遠心分離した(約1700gで10分間、室温、Hettich Rotixa AP遠心分離機)。血液採取後4時間以内に実験を開始した。
【0181】
スパイク溶液および最終濃度
次のスパイク溶液を使用した。
【0182】
【表5】
【0183】
血漿タンパク質結合実験
二つ組で試験する、3人の健常男性被験体由来の個々のブランク血漿試料に、化合物1aまたは化合物1bを種々の濃度で添加した(表5を参照)。血漿試料に試料1ml当たりスパイク溶液10μl(1%エタノール(v/v))を添加した。
【0184】
添加された血漿を、同一のmacro−1 TefronセルおよびSpectra/Por(登録商標)RC 2透析膜(MWカットオフ12〜14kDa)を備えたDianormシステムにおいて、0.067Mリン酸緩衝液、pH7.17に対して、37℃で4時間、平衡透析(ED)に供した。透析後、透析セルの2つのコンパートメントの内容物を別々に回収した。緩衝液試料は、リン酸緩衝液0.05M、pH7.5中の5%ウシ血清アルブミン1mLで希釈した。
【0185】
血漿試料(平衡透析の前後)および緩衝液試料について、API4000質量分析計(Applied Biosystems)上で、認定済みキラルLC−MS/MSアッセイを使用して、化合物1aまたは化合物1bを分析した。
【0186】
データ分析
結合していない試験化合物の割合(f
u)を、透析セルの緩衝液コンパートメント中の結合していない濃度(C
u)と、タンパク質コンパートメント中の全濃度(C
ED)との比として算出した。遊離試験化合物のパーセントは、f
u×100として算出した。
【数1】
【0187】
結果および考察
血漿タンパク質に対する化合物1aおよび化合物1bの0.1および13μg/mlにおける結合を、平衡透析法により試験した(表6)。
【0188】
【表6】
【0189】
化合物1aおよび化合物1bの血漿タンパク質結合において、該当する濃度依存性は、試験された濃度範囲内(0.1〜13μg/ml)で検出されなかった。
【0190】
血漿中の遊離化合物のパーセントの平均は、次のとおりであった(表7)。
【0191】
【表7】
【0192】
D)本発明による化合物1および国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1の経口マイクロドーズの薬物動態
方法
本発明による化合物1および国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1の経口マイクロドーズの薬物動態を、単回投与、非盲検、並行群、無作為化の薬物動態(PK)試験により研究した。各処置群は6被験体で構成した(18〜30kg/m
2(両端を含む)の間の肥満度指数(BMI)および50kg以上の体重を有する18〜55歳の間の健常男性)。被験体を無作為化して、国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1または化合物1(本発明による)のいずれかの処置を受けさせた。
【0193】
国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1および本発明による化合物1を、精製水中にHP−β−CDおよびクエン酸を含有する0.1mg/mLの経口溶液として供与した。溶液のpHは、塩酸を使用してpH2.0に調整した。被験体を1日前に臨床試験施設に収容した。少なくとも10時間の一晩絶食の後、午前7:00と午前10:30の間の1日目の午前に、無作為化どおりに、非炭酸の水240mLと共に、100μg/mLの国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1または本発明による化合物1の単一経口水溶液を被験体に投与した。薬物投与の1時間前から1時間後まで、飲食は許可されなかった。血液試料を指定時間に採取し、国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1または化合物1(本発明による)の血漿濃度を測定した。48時間のPK試料を採取した後、3日目に被験体を解放した。72時間のPK血液試料のために、4日目の午前に臨床ユニットに被験体は戻った。
【0194】
薬理ゲノミクス用血液試料(9mL)を、登録被験体全員から1日目に採取した。これについては、被験体は個々に同意していた。
【0195】
被験体は全員、経過観察のために臨床ユニットに戻った(投与後または初期の投与中止の7日以内)。
【0196】
各被験体の全試験期間は約4週間であった(経過観察訪問を含む、21日間のスクリーニングフェーズおよび7日間の非盲検処置フェーズを含む)。
【0197】
薬物動態学的評価
国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1または本発明による化合物1の血漿濃度を測定するために、6mlの静脈血試料を指定時間に採取した。
【0198】
血漿試料を、認定済み液体クロマトグラフィー/質量分析/質量分析(LC−MS/MS)法を使用して分析し、国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1または本発明による化合物1の濃度を決定した。
【0199】
標本サイズの決定
この探索試験の場合、標本サイズは正式な統計計算に基づいたものではない。1処置当たりの被験体の数は、初期開発試験で使用される通例の標本サイズであり、PKプロファイルの評価を可能にするものと推測した。以前の試験に基づいて、末端半減期の推定値は、90%信頼度をもって、真値の71%と140%の範囲内に入ると予想した。
【0200】
薬物動態学的分析
薬物動態学的分析は、国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1および本発明による化合物1の用量を投与されたすべての被験体データについて実施した。血漿濃度対時間のプロファイルを各被験体についてプロットした。平均濃度対時間のプロファイルを、計画した血液サンプリング時間に基づいて、各化合物についてプロットした。算術平均、標準偏差、CV、幾何平均、中央値、最小値、および最大値を含む記述統計を、各サンプリング時間における血漿濃度ならびに国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1および本発明による化合物1のすべてのPKパラメーターについて算出した。
【0201】
薬物動態の結果
二相性の濃度時間曲線が観察された。吸収は迅速であり、個々のt
maxは0.5〜1時間の範囲であった。
【0202】
【表8】
【0203】
V
d/Fについては、本発明よる化合物1(333±117L)は、国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1(1181±174L)に比較して約1/3.5であり、Cl/Fについては、本発明による化合物1(47.9±24.6L/時)は、国際公開第2011/051342号パンフレットの化合物1(183±90.8L/時)に比較して約1/3.8であった。
【0204】
想定される組成物実施例
これらの実施例全体を通して使用される「有効成分」は、式(I)の最終化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物および立体化学的異性体形態に関するものである。
【0205】
本発明の製剤の処方の典型例は以下のとおりである。
1.錠剤
有効成分 5〜50mg
リン酸二カルシウム 20mg
ラクトース 30mg
滑石 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
ジャガイモデンプンを加えて200mgにする
【0206】
この実施例では、有効成分は、同量の本発明による化合物のいずれか、具体的には、同量の例示された化合物のいずれかに置き換えることができる。
【0207】
2.懸濁剤
水性懸濁剤は、各1ミリリットルに、活性化合物の1つを1〜5mg、カルボキシメチルセルロースナトリウム50mg、安息香酸ナトリウム1mg、ソルビトール500mgを含有し、水で1mlになるように経口投与用に調製する。
【0208】
3.注射剤
非経口組成物は、水中10容量%のプロピレングリコール中で、本発明の有効成分1.5重量%を撹拌することにより調製する。
【0209】
4.軟膏
有効成分 5〜1000mg
ステアリルアルコール 3g
ラノリン 5g
白色ワセリン 15g
水を加えて100gにする
【0210】
この実施例では、有効成分は、同量の本発明による化合物のいずれか、具体的には、同量の例示された化合物のいずれかに置き換えることができる。
【0211】
合理的な変更は本発明の範囲から逸脱するものとみなされるべきではない。このように記載される本発明が当業者によって多くの方法で変更され得るものであることは明らかであろう。
本願発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
式(I)の化合物
【化71】
もしくはその立体異性形態
[式中、
R1はHであり、かつR2は
【化72】
であるか;またはR1およびR2は、それらが結合する炭素原子と共に互いに結合して、
式
【化73】
の基を形成し;
ビシクル
【化74】
は、式a)
【化75】
のビシクルであるか、または式b)
【化76】
のビシクルである]、
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
[2]
式(I’)
【化77】
を有する上記[1]に記載の化合物もしくはその立体異性形態、またはその塩もしくは溶媒和物。
[3]
式(I’’)
【化78】
を有する上記[1]に記載の化合物もしくはその立体異性形態、またはその塩もしくは溶媒和物。
[4]
【化79】
からなる群から選択される、上記[1]に記載の化合物もしくはその立体異性形態、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
[5]
旋光度[α]=−44.7°(589nm、c 0.5g/100mL、DMF、20℃)を有する
【化80】
;または旋光度[α]=+40.8°(589nm、c 0.5g/100mL、DMF、20℃)を有する
【化81】
から選択される、上記[1]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
[6]
治療有効量の上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。
[7]
薬剤として使用するための、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物または上記[6]に記載の医薬組成物。
[8]
精神病性の障害および病態、不安障害、運動障害、薬物乱用、気分障害、神経変性障害、認知障害、疼痛、自閉性障害の群から選択される中枢神経系障害;ならびに代謝障害の治療または予防に使用するための、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物または上記[6]に記載の医薬組成物。
[9]
前記精神病性の障害および病態が、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性情動障害、妄想性障害、物質誘発性精神病性障害、妄想型人格障害、および統合失調型人格障害の群から選択され;
前記不安障害が、パニック障害、広場恐怖症、特定恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス反応、および全般性不安障害の群から選択され;
前記運動障害が、ハンチントン病、ジスキネジア、パーキンソン病、下肢不安症候群、本態性振戦、トゥーレット症候群、および他のチック障害の群から選択され;
前記物質関連の障害が、アルコール乱用、アルコール依存症、アルコール禁断症状、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン依存症、アンフェタミン禁断症状、コカイン依存症、コカイン禁断症状、ニコチン依存症、ニコチン禁断症状、オピオイド依存症、およびオピオイド禁断症状の群から選択され;
前記気分障害が、鬱病、躁病、双極性障害I、双極性障害II、気分循環性障害、気分変調性障害、大鬱病性障害、治療抵抗性鬱病、および物質誘発性気分障害の群から選択され;
前記神経変性障害が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、多発梗塞性認知症、エイズ関連認知症、または前頭側頭認知症の群から選択され;
前記認知障害が、せん妄、物質誘発性持続性せん妄、認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、HIV疾患による認知症、頭蓋内腫瘍、脳外傷、または頭部外傷による認知症、脳卒中による認知症、パーキンソン病による認知症、ハンチントン病による認知症、ピック病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、レビー小体病による認知症、物質誘発性持続性認知症、複数の病因による認知症、他に記載されていない認知症、軽度認知障害、加齢性認知障害、老化現象、健忘障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、学習障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、およびダウン症候群の群から選択され;
疼痛が、急性および慢性状態、激痛、難治性疼痛、神経障害性疼痛、および外傷後疼痛を含み、
前記代謝障害が、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、耐糖能異常、空腹時血糖、妊娠性糖尿病、若年成人発症型糖尿病(MODY)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、関連糖尿病性脂質異常症、高血糖、高インスリン血症、脂質異常症、高トリグリセリド血症、およびインスリン抵抗性の群から選択される、
上記[8]に記載の化合物または医薬組成物。
[10]
上記[8]または[9]に挙げられた病態の治療または予防に使用するための追加の医薬品と組み合わせた、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物。
[11]
薬学的に許容される担体が、治療有効量の上記[1]〜[5]のいずれか一項に定義される化合物と徹底的に混合されることを特徴とする、上記[6]に定義される医薬組成物を調製するための方法。
[12]
(a)上記[1]〜[5]のいずれか一項に定義される化合物;および
(b)追加の医薬品
を、上記[8]または[9]に挙げられた病態の治療または予防に同時に、別個に、または逐次的に使用するための組合せ調製物として含む製品。
[13]
R1およびR2が上記[1]〜[5]のいずれか一項に定義されるものである、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物を調製するための方法であって、式(II)の化合物[式中、ハロはブロモまたはヨードを表す]を、ボロン酸または式(III)の化合物[式中、R3およびR4は、それぞれ独立して水素またはC1〜4アルキルから選択することができるか、または互いに結合して、式−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−、もしくは−C(CH3)2C(CH3)2−の二価基を形成することができる]と、適切な触媒および適切な塩基の存在下、適切な不活性溶媒中で、加熱下にて反応させる工程
【化82】
を含む方法。
[14]
精神病性の障害および病態、不安障害、運動障害、薬物乱用、気分障害、神経変性障害、認知障害、疼痛、自閉性障害の群から選択される中枢神経系障害;または代謝障害を治療または予防する方法であって、治療有効量の上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物または治療有効量の上記[6]に記載の医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法。
[15]
前記精神病性の障害および病態が、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性情動障害、妄想性障害、物質誘発性精神病性障害、妄想型人格障害、および統合失調型人格障害の群から選択され;
前記不安障害が、パニック障害、広場恐怖症、特定恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス反応、および全般性不安障害の群から選択され;
前記運動障害が、ハンチントン病、ジスキネジア、パーキンソン病、下肢不安症候群、本態性振戦、トゥーレット症候群、および他のチック障害の群から選択され;
前記物質関連の障害が、アルコール乱用、アルコール依存症、アルコール禁断症状、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン依存症、アンフェタミン禁断症状、コカイン依存症、コカイン禁断症状、ニコチン依存症、ニコチン禁断症状、オピオイド依存症、およびオピオイド禁断症状の群から選択され;
前記気分障害が、鬱病、躁病、双極性障害I、双極性障害II、気分循環性障害、気分変調性障害、大鬱病性障害、治療抵抗性鬱病、および物質誘発性気分障害の群から選択され;
前記神経変性障害が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、多発梗塞性認知症、エイズ関連認知症、または前頭側頭認知症の群から選択され;
前記認知障害が、せん妄、物質誘発性持続性せん妄、認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、HIV疾患による認知症、頭蓋内腫瘍、脳外傷、または頭部外傷による認知症、脳卒中による認知症、パーキンソン病による認知症、ハンチントン病による認知症、ピック病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、レビー小体病による認知症、物質誘発性持続性認知症、複数の病因による認知症、他に記載されていない認知症、軽度認知障害、加齢性認知障害、老化現象、健忘障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、学習障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、およびダウン症候群の群から選択され;
疼痛が、急性および慢性状態、激痛、難治性疼痛、神経障害性疼痛、および外傷後疼痛を含み、
前記代謝障害が、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、耐糖能異常、空腹時血糖、妊娠性糖尿病、若年成人発症型糖尿病(MODY)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、関連糖尿病性脂質異常症、高血糖、高インスリン血症、脂質異常症、高トリグリセリド血症、およびインスリン抵抗性の群から選択される、
上記[14]に記載の方法。