特許第6174803号(P6174803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6174803-共重合体およびこれを含む有機太陽電池 図000029
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174803
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】共重合体およびこれを含む有機太陽電池
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20170724BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20170724BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   C08G61/12
   H01L31/04 112A
   H01L31/04 152D
【請求項の数】14
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-531568(P2016-531568)
(86)(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公表番号】特表2016-525627(P2016-525627A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】KR2015001491
(87)【国際公開番号】WO2015122722
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2016年1月28日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0017223
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジンセク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソンリム・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェチョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ハンケン・イ
(72)【発明者】
【氏名】クン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ジウォン・バン
(72)【発明者】
【氏名】ジヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥファン・チェ
【審査官】 岸 智之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/124627(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/135339(WO,A1)
【文献】 特開2014−234390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/12
H01L 51/44
H01L 51/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される第1単位、
下記化学式2で表される第2単位、および
下記化学式3で表される第3単位を含む共重合体:
【化1】
【化2】
【化3】
化学式1〜3において、
aおよびbは各々1〜3の整数であり、
aが2以上である場合、2以上のL1は互いに同一であるかまたは異なり、
bが2以上である場合、2以上のL2は互いに同一であるかまたは異なり、
L1およびL2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、アリーレン基;N、O、S、Se、Te、GeおよびP原子のうち1つ以上を含む芳香族複素環基;または1または2以上のビニレン基を含む共役構造であり、
R1およびR2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、前記L1およびL2の共役構造に置換される置換基として、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;およびN、OおよびS原子のうち1つ以上を含む置換もしくは非置換の複素環基からなる群から1または2以上が選択され、
X1およびX2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立してCRR’、NR、O、SiRR’、PR、S、GeRR’、SeまたはTeであり、
R、R’およびR3〜R5は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;またはN、OおよびS原子のうち1つ以上を含む置換もしくは非置換の複素環基であり、
前記共重合体は下記化学式4で表される単位を含む:
【化4】
化学式4において、
a、b、L1、L2、X1、X2およびR1〜R5は上記で定義したものと同様であり、
X1’は前記X1と同一であるかまたは異なり、各々独立してX1の定義と同様であり、
R3’は前記R3と同一であるかまたは異なり、各々独立してR3の定義と同様であり、
lはモル分率で、0<l<1であり、
mはモル分率で、0<m<1であり、
l+m=1であり、
0<o<1,000の整数である
【請求項2】
R1およびR2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基である、請求項1に記載の共重合体。
【請求項3】
R3〜R5は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して水素;または置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基である、請求項1に記載の共重合体。
【請求項4】
前記第1単位、第2単位および第3単位のモル数の和に対し、前記第1単位と第3単位の和のモル比は0.5以上である、請求項1に記載の共重合体。
【請求項5】
前記共重合体の数平均分子量は500g/mol〜1,000,000g/molである、請求項1に記載の共重合体。
【請求項6】
前記共重合体の分子量分布は1〜100である、請求項1に記載の共重合体。
【請求項7】
前記共重合体はランダム共重合体である、請求項1に記載の共重合体。
【請求項8】
第1電極、前記第1電極と対向して備えられる第2電極、および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられ、光活性層を含む1層以上の有機物層を含み、前記有機物層のうち1層以上は請求項1〜のいずれか1項に記載の共重合体を含む有機太陽電池。
【請求項9】
前記有機物層は正孔輸送層、正孔注入層または正孔輸送と正孔注入を同時にする層を含み、
前記正孔輸送層、正孔注入層または正孔輸送と正孔注入を同時にする層は前記共重合体を含む、請求項に記載の有機太陽電池。
【請求項10】
前記有機物層は電子注入層、電子輸送層または電子注入と電子輸送を同時にする層を含み、
前記電子注入層、電子輸送層または電子注入と電子輸送を同時にする層は前記共重合体を含む、請求項に記載の有機太陽電池。
【請求項11】
前記光活性層は電子供与体および電子受容体からなる群から選択される1または2以上を含み、
前記電子供与体は前記共重合体を含む、請求項に記載の有機太陽電池。
【請求項12】
前記電子供与体および電子受容体はバルクヘテロ接合(BHJ)を構成する、請求項11に記載の有機太陽電池。
【請求項13】
前記光活性層はn型有機物層およびp型有機物層を含む2層薄膜(bilayer)構造であり、
前記p型有機物層は前記共重合体を含む、請求項に記載の有機太陽電池。
【請求項14】
前記有機太陽電池は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電荷発生層、電子遮断層、電子注入層および電子輸送層からなる群から選択される1または2以上の有機物層をさらに含む、請求項に記載の有機太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は2014年02月14日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2014−0017223号の出願日の利益を主張し、その内容の全て本明細書に含まれる。
【0002】
本明細書は共重合体およびこれを含む有機太陽電池に関する。
【背景技術】
【0003】
有機太陽電池は光起電力効果(photovoltaic effect)を応用することによって太陽エネルギーを直接電気エネルギーに変換できる素子である。太陽電池は薄膜を構成する物質に応じて無機太陽電池と有機太陽電池に分けることができる。典型的な太陽電池は無機半導体である結晶性シリコン(Si)をドーピング(doping)してp−n接合に作ったものである。光を吸収して生じられる電子と正孔はp−n接合点まで拡散し、その電界によって加速されて電極に移動する。この過程の電力変換効率は外部回路に与えられる電力と太陽電池に入った太陽電力の比で定義され、現在標準化された仮想太陽照射条件で測定した時に24%程度まで達成された。しかし、従来の無機太陽電池は既に経済性と材料上の需給に限界を示しているため、加工し易く安価で様々な機能性を有する有機物半導体太陽電池が長期的な代替エネルギー源として脚光を浴びている。
【0004】
太陽電池は太陽エネルギーから可能な限り多くの電気エネルギーを出力できるように効率を上げるのが重要である。このような太陽電池の効率を上げるためには、半導体の内部で可能な限り多くのエキシトンを生成するのも重要であるが、生成された電荷を失われることなく外部に引き出すことも重要である。電荷が失われる原因中の1つが生成された電子および正孔が再結合(recombination)によって消滅することである。生成された電子や正孔が失われることなく電極に伝達されるための方法として様々な方法が提示されているが、ほぼ追加工程が要求されており、そのために製造費用が上昇する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は共重合体およびこれを含む有機太陽電池を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、下記化学式1で表される第1単位、下記化学式2で表される第2単位、および下記化学式3で表される第3単位を含む共重合体を提供する。
【0007】
【化1】
【化2】
【化3】
【0008】
化学式1〜3において、
aおよびbは各々1〜3の整数であり、
aが2以上である場合、2以上のL1は互いに同一であるかまたは異なり、
bが2以上である場合、2以上のL2は互いに同一であるかまたは異なり、
L1およびL2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して共役構造であり、
R1およびR2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、前記L1およびL2の共役構造に置換される置換基として、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;およびN、OおよびS原子のうち1つ以上を含む置換もしくは非置換の複素環基からなる群から1または2以上が選択され、
X1およびX2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立してCRR’、NR、O、SiRR’、PR、S、GeRR’、SeまたはTeであり、
R、R’およびR3〜R5は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;またはN、OおよびS原子のうち1つ以上を含む置換もしくは非置換の複素環基である。
【0009】
また、本明細書は、第1電極、前記第1電極と対向して備えられる第2電極、および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられ、光活性層を含む1層以上の有機物層を含み、前記有機物層のうち1層以上は前述した共重合体を含む有機太陽電池を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本明細書の共重合体は有機太陽電池の有機物層の材料として用いられることができ、これを含む有機太陽電池は開放電圧と短絡電流の上昇および/または効率増加などに優れた特性を示すことができる。
【0011】
本明細書の一実施状態による共重合体は、深いHOMO準位、小さいバンドギャップ、高い電荷移動度を有して優れた特性を示すことができる。本明細書の一実施状態による重合体は有機太陽電池において単独または他の物質と混合して用いることができ、効率を向上させ、化合物の熱的安定性によって素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本明細書の一実施状態による有機太陽電池を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本明細書について詳細に説明する。
【0014】
本明細書において、「単位」とは共重合体の単量体に含まれた繰り返される構造であり、単量体が重合によって共重合体内に結合された構造を意味する。
【0015】
本明細書において、「単位を含む」という意味は重合体内の主鎖に含まれる意味である。
【0016】
本明細書の一実施状態による共重合体は、前記化学式1で表される第1単位、前記化学式2で表される第2単位、および前記化学式3で表される第3単位を含む。
【0017】
本明細書の一実施状態による共重合体は3つの単量体から製造される。この場合、合成スキーム(scheme)が簡単となって共重合体の合成が容易である。
【0018】
本明細書の一実施状態による共重合体はランダム共重合体である。ランダム共重合体の場合、結晶性(crystallinity)が減り、無定形(amorphous)の程度が大きくなって、熱に長期的な安定性を確保することができ、前記共重合体を含む素子およびモジュールの製作工程が容易になる。
【0019】
前記共重合体内において、第1単位、第2単位および第3単位の各々のモル比は特に限定されない。
【0020】
前記第1単位、第2単位および第3単位のモル数の合計に対し、第1単位と第3単位の和のモル比は0.5以上であっても良い。言い換えれば、第1単位、第2単位および第3単位のモル数の合計を1に定義する時、第1単位と第3単位のモル数の和のモル比は0.5以上であっても良い。
【0021】
また、ランダム共重合体内の共重合体間の比率を調節して、溶解度の調節が容易であるため、有機太陽電池の製造工程に好適な溶解度の提供が容易であるので高効率の有機太陽電池を製造することができる。
【0022】
本明細書の一実施状態において、前記第1単位、第2単位および第3単位を含む共重合体は深いHOMO(Highest occupied molecular orbital)エネルギー準位を有し、電荷移動度が高くて有機太陽電池の電子供与体物質として好適である。
【0023】
また、本明細書の一実施状態において、前記第1単位はL1およびL2に置換されて側鎖に共役構造を含む。この場合、本明細書の一実施状態による共重合体はバンドギャップの減少および/または光の吸収量の増加の効果を有することができる。
【0024】
有機太陽電池に用いられる側鎖の変化は全体電子供与体として用いられる高分子の溶解度などの物理的、化学的特性を変更させ、単独または電子受容体と混合された物質がコーティングされてフィルム形態で有機太陽電池に含まれる場合、フィルムのモルホロジーを調節して有機太陽電池の効率に大きな影響を及ぼし得る。
【0025】
前記内容は、Clement Cabanetos、Abdulrahman El Labban、Jonathan A.Bartelt、Jessica D.Douglas、William R.Mateker、Jean M.J.Frechet、Michael D.McGehee、and Pierre M.Beaujuge、J.Am.Chem.Soc.,2013、135(12)、pp4656−4659において、同一な主鎖の電子供与体高分子が側鎖(side chain)の変更に応じて最大200%の効率の差が生じることが確認できる。
【0026】
本明細書の一実施状態による共重合体は、側鎖に共役構造(L1およびL2)を導入して、バンドギャップの減少、電荷移動度の増加、可視光線領域の広い領域での光の吸収量の増加および/または分子の平面性(planarity)を増加させた。この場合、分子間の相互作用が増加し、スタッキング(stacking)が円滑になって有機太陽電池の効率が増加する。
【0027】
但し、主鎖の平面性が十分に考慮されていない他の位置に共役構造が置換される場合、立体障害によって主鎖の平面性が低下し得るし、効率が下がり得る。また、主鎖の平面性が十分に考慮されていない共重合体の側鎖に共役構造が導入される場合、全体的な共重合体の溶解度が下がって、有機太陽電池の電子供与体物質として好適でなくなる。
【0028】
本明細書の一実施状態による共重合体は、共重合体の立体障害(steric hinderance)による主鎖の平面性に影響を与えない化学式1のL1およびL2の位置に共役構造を導入して、素子に適用できる共重合体の適切な溶解度を維持しつつ、分子の平面性の増加および効率を増加させることができる。
【0029】
したがって、本明細書の一実施状態により、第1単位、第2単位および第3単位を含み、第1単位の側鎖に共役構造(L1およびL2)を含む共重合体は電子供与体物質として素子に含まれることができ、前記共重合体が含まれた素子は高効率を実現することができる。
【0030】
また、本明細書の一実施状態による共重合体は、高効率の実現と同時に適切な溶解度を有しているため、素子の製作時に時間および/または費用的に経済的な利点がある。
【0031】
本明細書の一実施状態による共重合体は、前記化学式1で表される第1単位、前記化学式2で表される第2単位、および前記化学式3で表される第3単位だけからなることができる。言い換えれば、前記共重合体は、前記化学式1で表される第1単位、前記化学式2で表される第2単位、および前記化学式3で表される第3単位に含まれない繰り返し単位をさらに含まなくても良い。
【0032】
本明細書の一実施状態において、前記共重合体は下記化学式4で表される単位を含む。
【0033】
【化4】
【0034】
化学式4において、
a、b、L1、L2、X1、X2およびR1〜R5は前記で定義したものと同様であり、
X1’は前記X1と同一であるかまたは異なり、各々独立してX1の定義と同様であり、
R3’は前記R3と同一であるかまたは異なり、各々独立してR3の定義と同様であり、
lはモル分率で、0<l<1であり、
mはモル分率で、0<m<1であり、
l+m=1であり、
0<o<1,000の整数である。
【0035】
前記置換基の例示は以下で説明するが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、
【0037】
【化5】
【0038】
は共重合体の主鎖に連結される部位または他の置換基に連結される部位を意味する。
【0039】
本明細書において、「置換もしくは非置換」という用語は、重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;シリル基;アリールアルケニル基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;ホウ素基;アルキルアミン基;アラルキルアミン基;アリールアミン基;ヘテロアリール基;アリールアミン基;アリール基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基およびN、OおよびS原子のうち1つ以上を含む複素環基からなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されたかまたはいかなる置換基も有しないことを意味する。
【0040】
前記置換基は追加の置換基で置換もしくは非置換されても良い。
【0041】
本明細書において、ハロゲン基はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であっても良い。
【0042】
本明細書において、イミド基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜25が好ましい。具体的には下記のような構造の化合物であっても良いが、これらに限定されるものではない。
【0043】
【化6】
【0044】
本明細書において、アミド基はアミド基の窒素が水素、炭素数1〜25の直鎖、分枝鎖または環状鎖アルキル基または炭素数6〜25のアリール基で1または2置換されることができる。具体的には下記構造式の化合物であっても良いが、これらに限定されるものではない。
【0045】
【化7】
【0046】
本明細書において、前記アルキル基は直鎖もしくは分枝鎖であっても良く、炭素数は特に限定されないが、1〜50が好ましい。具体的な例としてはメチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、1−メチル−ブチル、1−エチル−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n−オクチル、tert−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、1−エチル−プロピル、1,1−ジメチル−プロピル、イソヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3〜60が好ましく、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3−メチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、3,4,5−トリメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
本明細書において、前記アルコキシ基は直鎖、分枝鎖または環状鎖であっても良い。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜20が好ましい。具体的にはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、i−プロピルオキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、ベンジルオキシ、p−メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本明細書において、前記アルケニル基は直鎖もしくは分枝鎖であっても良く、炭素数は特に限定されないが、2〜40が好ましい。具体的な例としてはビニル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、1,3−ブタジニエル、アリル、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル、スチルベニル基、スチレニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本明細書において、アリール基は単環式アリール基もしくは多環式アリール基であっても良く、炭素数は特に限定されないが、6〜50であっても良い。前記アリール基が単環式アリール基である場合、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記アリール基が多環式アリール基である場合、具体的にはナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
本明細書において、アリール基は芳香族環を意味することができる。
【0052】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されることができ、隣接した置換基が互いに結合して環を形成することができる。
【0053】
前記フルオレニル基が置換される場合、
【0054】
【化8】
【0055】
などであっても良い。但し、これらに限定されるものではない。
【0056】
本明細書において、シリル基は具体的にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
本明細書において、アリールアミン基の例としては置換もしくは非置換のモノアリールアミン基、置換もしくは非置換のジアリールアミン基、または置換もしくは非置換のトリアリールアミン基が挙げられる。前記アリールアミン基中のアリール基は単環式アリール基であっても良く、多環式アリール基であっても良い。前記アリール基が2以上を含むアリールアミン基は、単環式アリール基、多環式アリール基、または単環式アリール基と多環式アリール基を同時に含んでも良い。
【0058】
アリールアミン基の具体的な例としてはフェニルアミン、ナフチルアミン、ビフェニルアミン、アントラセニルアミン、3−メチル−フェニルアミン、4−メチル−ナフチルアミン、2−メチル−ビフェニルアミン、9−メチル−アントラセニルアミン、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カルバゾールおよびトリフェニルアミン基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本明細書において、複素環基は異種元素としてO、NおよびSのうち1つ以上を含む複素環基であり、炭素数は特に限定されないが、炭素数2〜60が好ましい。複素環基の例としてはチオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリン基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基およびジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0060】
本明細書において、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、アリールスルホキシ基およびアラルキルアミン基中のアリール基は前述したアリール基の例示と同様である。具体的には、アリールオキシ基としてはフェノキシ、p−トリルオキシ、m−トリルオキシ、3,5−ジメチル−フェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、p−tert−ブチルフェノキシ、3−ビフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、4−メチル−1−ナフチルオキシ、5−メチル−2−ナフチルオキシ、1−アントリルオキシ、2−アントリルオキシ、9−アントリルオキシ、1−フェナントリルオキシ、3−フェナントリルオキシ、9−フェナントリルオキシなどが挙げられ、アリールチオキシ基としてはフェニルチオキシ基、2−メチルフェニルチオキシ基、4−tert−ブチルフェニルチオキシ基などが挙げられ、アリールスルホキシ基としてはベンゼンスルホキシ基、p−トルエンスルホキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
本明細書において、ヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基は前述した複素環基の例示の中から選択できる。
【0062】
本明細書において、アルキルチオキシ基、アルキルスルホキシ基中のアルキル基は前述したアルキル基の例示と同様である。具体的には、アルキルチオキシ基としてはメチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、オクチルチオキシ基などが挙げられ、アルキルスルホキシ基としてはメチルスルホキシ基、エチルスルホキシ基、プロピルスルホキシ基、ブチルスルホキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
本明細書の一実施状態において、前記共役構造はアリーレン基;N、O、S、Se、Te、GeおよびP原子のうち1つ以上を含む芳香族複素環基;または1または2以上のビニレン基を含む。
【0064】
本明細書において、前記芳香族複素環基は2価の単環もしくは多環の複素環であり、前述した複素環基の例示の中から選択することができ、それを限定するものではない。
【0065】
また、本明細書において、前記アリーレン基は2価の単環もしくは多環の炭化水素環であり、前述したアリール基の例示の中から選択することができ、それを限定するものではない。
【0066】
本明細書において、1または2以上のビニレン基を含むということは、ビニレン基が1以上を含む線状または環状の原子で1または2以上のビニレン基を含み、二重結合と単一結合が交互に表れる構造を含む。
【0067】
本明細書の一実施状態において、前記R1およびR2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基である。
【0068】
本明細書の一実施状態において、R3〜R5は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して水素;または置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基である。
【0069】
本明細書の一実施状態において、前記X1はSである。
また1つの一実施状態において、前記X1’はSである。
【0070】
本明細書の一実施状態において、X2はSである。
また1つの一実施状態において、前記R1は置換もしくは非置換のアルキル基である。
また1つの実施状態において、前記R1は置換もしくは非置換の分枝鎖のアルキル基である。
【0071】
本明細書の一実施状態において、前記R1は2−エチルヘキシル基である。
【0072】
本明細書の一実施状態において、前記R1は置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0073】
本明細書の一実施状態において、前記R1は分枝鎖のアルコキシ基である。
また1つの一実施状態において、前記R1は2−エチルヘキシルオキシ基である。
【0074】
本明細書の一実施状態において、前記R2は置換もしくは非置換のアルキル基である。
また1つの実施状態において、前記R2は置換または分枝鎖のアルキル基である。
また1つの実施状態において、前記R2は2−エチルヘキシル基である。
【0075】
本明細書の一実施状態において、前記R2は置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
また1つの実施状態において、前記R2は分枝鎖のアルコキシ基である。
【0076】
本明細書の一実施状態において、前記R2は2−エチルヘキシルオキシ基である。
【0077】
本明細書の一実施状態において、前記R3は置換もしくは非置換のアルキル基である。
また1つの実施状態において、前記R3は直鎖のアルキル基である。
【0078】
本明細書の一実施状態において、前記R3はドデカニル基である。
【0079】
本明細書の一実施状態において、前記R3はオクチル基である。
【0080】
本明細書の一実施状態において、R3’は置換もしくは非置換のアルキル基である。
また1つの実施状態において、R3’は直鎖のアルキル基である。
また1つの実施状態において、R3’はオクチル基である。
【0081】
本明細書の一実施状態において、R4は水素である。
また1つの実施状態において、R5は水素である。
【0082】
本明細書の一実施状態において、前記L1はアリーレン基である。
また1つの実施状態において、前記L1はフェニレン基である。
【0083】
本明細書の一実施状態において、前記L1はN、O、およびS原子中1以上を含む2価の芳香族複素環基である。
また1つの実施状態において、前記L1はS原子中1以上を含む2価の芳香族複素環基である。
また1つの一実施状態において、前記L1はチオフェン基である。
【0084】
本明細書の一実施状態において、前記L1は1または2以上のビニレン基を含む。
【0085】
本明細書の一実施状態において、前記L1はアルケニレン基である。
【0086】
本明細書の一実施状態において、前記L1はエテニレン基である。
【0087】
本明細書の一実施状態において、前記aは1である。
【0088】
本明細書の一実施状態において、前記aは3である。
【0089】
本明細書の一実施状態において、前記(L1)aはジ(チオフェン−2−イル)エテン基である。
【0090】
本明細書の一実施状態において、前記L2はアリーレン基である。
また1つの実施状態において、前記L2はフェニレン基である。
【0091】
本明細書の一実施状態において、前記L2はN、O、およびS原子中1以上を含む2価の芳香族複素環基である。
また1つの実施状態において、前記L2はS原子中1以上を含む2価の芳香族複素環基である。
また1つの一実施状態において、前記L2はチオフェン基である。
【0092】
本明細書の一実施状態において、前記L2は1または2以上のビニレン基を含む。
【0093】
本明細書の一実施状態において、前記L2はアルケニレン基である。
【0094】
本明細書の一実施状態において、前記L2はエテニレン基である。
【0095】
本明細書の一実施状態において、前記bは1である。
【0096】
本明細書の一実施状態において、前記bは3である。
【0097】
本明細書の一実施状態において、前記(L2)bはジ(チオフェン−2−イル)エテン基である。
【0098】
本明細書の一実施状態において、前記共重合体は下記化学式1−1〜1−5のうちいずれか1つで表される共重合体である。
【0099】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0100】
前記化学式1−1〜1−5において、l、mおよびoの定義は前記で定義したものと同様である。
【0101】
本明細書の一実施状態において、lは0.5である。
また1つの実施状態において、mは0.5である。
【0102】
本明細書の一実施状態において、前記共重合体の末端基としては複素環基またはアリール基である。
【0103】
本明細書の一実施状態において、前記共重合体の末端基は4−(トリフルオロメチル)フェニル基(4−(trifluoromethyl)phenyl)である。
【0104】
本明細書の一実施状態によれば、前記共重合体の数平均分子量は500g/mol〜1,000,000g/molが好ましい。好ましくは、前記共重合体の数平均分子量は10,000〜100,000が好ましい。本明細書の一実施状態において、前記共重合体の数平均分子量は30,000〜70,000である。
【0105】
本明細書の一実施状態によれば、前記共重合体は1〜100の分子量分布を有することができる。好ましくは前記共重合体は1〜3の分子量分布を有する。
【0106】
分子量分布が低いほど、数平均分子量が大きくなるほど、電気的特性と機械的特性がさらに良くなる。
【0107】
また、一定以上の溶解度を持って溶液塗布法の適用が有利になるようにするために、数平均分子量は100,000以下であることが好ましい。
【0108】
前記共重合体は後述する製造例に基づいて製造される。
【0109】
反応器に溶媒、化学式1〜3で表される第1単位〜第3単位に誘導される3種の単量体、触媒を入れ、鈴木カップリング反応(Suzuki coupling reaction)、スティルカップリング反応(stille coupling reaction)またはその他の様々な反応を通じて反応させ、エンドキャッピング(end capping)をする。
【0110】
反応後に混合物を室温にまで冷却し、メタノールに注いだ後、固体を濾過してメタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムにソックスレー抽出した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させ、固体を濾過して製造することができる。
【0111】
本明細書による共重合体は多段階の化学反応により製造することができる。アルキル化反応、グリニャール(Grignard)反応、鈴木(Suzuki)カップリング反応およびスティル(Stille)カップリング反応などを通じてモノマーを製造した後、スティルカップリング反応などの炭素−炭素カップリング反応を通じて最終共重合体を製造することができる。導入しようとする置換基がボロン酸(boronic acid)またはボロン酸エステル(boronic ester)化合物である場合は鈴木カップリング反応を通じて製造することができ、導入しようとする置換基がトリブチルスズ(tributyltin)化合物である場合はスティルカップリング反応を通じて製造することができるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
本明細書の一実施状態において、第1電極、前記第1電極と対向して備えられる第2電極、および前記第1電極と第2電極との間に備えられ、光活性層を含む1層以上の有機物層を含み、前記有機物層のうち1層以上は前記共重合体を含む有機太陽電池を提供する。
【0113】
本明細書の一実施例による有機太陽電池は、第1電極、光活性層および第2電極を含む。前記有機太陽電池は、基板、正孔輸送層および/または電子輸送層がさらに含まれることができる。
【0114】
本明細書の一実施状態において、前記有機太陽電池が外部光源から光子を受ければ、電子供与体と電子受容体との間に電子と正孔が発生する。発生した正孔は電子ドナー層を介して陽極に輸送される。
【0115】
本明細書の一実施状態において、前記有機物層は正孔輸送層、正孔注入層または正孔輸送と正孔注入を同時にする層を含み、前記正孔輸送層、正孔注入層または正孔輸送と正孔注入を同時にする層は前記共重合体を含む。
【0116】
また1つの一実施状態において、前記有機物層は電子注入層、電子輸送層または電子注入と電子輸送を同時にする層を含み、前記電子注入層、電子輸送層または電子注入と電子輸送を同時にする層は前記共重合体を含む。
【0117】
本明細書の一実施状態において、前記有機太陽電池が外部光源から光子を受ければ、電子供与体と電子受容体との間に電子と正孔が発生する。発生した正孔は電子ドナー層を介して陽極に輸送される。
【0118】
本明細書の一実施状態において、前記有機太陽電池は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電荷発生層、電子遮断層、電子注入層および電子輸送層からなる群から選択される1または2以上の有機物層をさらに含むことができる。
【0119】
本明細書の一実施状態において、前記有機太陽電池は付加的な有機物層をさらに含むことができる。前記有機太陽電池は色々な機能を同時に有する有機物を用いて有機物層数を減少させることができる。
【0120】
本明細書の一実施状態において、有機太陽電池はカソード、光活性層およびアノードの順に配列されても良く、アノード、光活性層およびカソードの順に配列されても良いが、これらに限定されるものではない。
【0121】
また1つの実施状態において、前記有機太陽電池はアノード、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層およびカソードの順に配列されても良く、カソード、電子輸送層、光活性層、正孔輸送層およびアノードの順に配列されても良いが、これらに限定されるものではない。
【0122】
また1つの実施状態において、バッファ層が光活性層と正孔輸送層との間または光活性層と電子輸送層との間に備えられることができる。この時、正孔注入層がアノードと正孔輸送層との間にさらに備えられることができる。また、電子注入層がカソードと電子輸送層との間にさらに備えられることができる。
【0123】
本明細書の一実施状態において、前記光活性層は電子供与体および受容体からなる群から選択される1または2以上を含み、前記電子供与体は前記共重合体を含む。
【0124】
本明細書の一実施状態において、前記電子受容体物質はフラーレン、フラーレン誘導体、バトクプロイン、半導体性元素、半導体性化合物およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。具体的には、PC61BM(phenyl C61−butyric acid methyl ester)またはPC71BM(phenyl C71−butyric acid methyl ester)であっても良い。
【0125】
本明細書の一実施状態において、前記電子供与体および電子受容体はバルクヘテロ接合(BHJ)を構成する。電子供与体物質および電子受容体物質は1:10〜10:1の比率(w/w)で混合されることができる。具体的には電子供与体物質および電子受容体物質は1:1〜1:10の比率(w/w)で混合されることができ、さらに具体的には電子供与体物質および電子受容体物質は1:1〜1:5の比率(w/w)で混合されることができる。必要に応じ、電子供与体物質および電子受容体物質は1:1〜1:3の比率(w/w)で混合されることができる。
【0126】
本明細書の一実施状態において、前記光活性層はn型有機物層およびp型有機物層を含む2層薄膜(bilayer)構造であり、前記p型有機物層は前記共重合体を含む。
【0127】
本明細書において、前記基板は透明性、表面平滑性、取り扱い容易性および防水性に優れたガラス基板または透明プラスチック基板であっても良いが、これらに限定されず、有機太陽電池に通常的に用いられる基板であれば特に制限されない。具体的にはガラスまたはPET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthalate)、PP(polypropylene)、PI(polyimide)、TAC(triacetyl cellulose)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
前記アノード電極は透明で導電性に優れた物質が好ましいが、これらに限定されるものではない。バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSNO:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0129】
前記アノード電極の形成方法は特に限定されないが、例えば、スパッタリング、E−ビーム、熱蒸着、スピンコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードまたはグラビア印刷法を利用して基板の一面に塗布されるか、フィルム形態でコーティングされることによって形成されることができる。
【0130】
前記アノード電極を基板上に形成する場合、これは、洗浄、水分除去および親水性改質過程を経ても良い。
【0131】
例えば、パターニングされたITO基板を洗浄剤、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次洗浄した後、水分除去のために加熱板において100〜150℃で1〜30分間、好ましくは120℃で10分間乾燥し、基板が完全に洗浄されれば、基板表面を親水性に改質する。
【0132】
前記のような表面改質を通じ、接合表面の電位を光活性層の表面電位に適したレベルに維持することができる。また、改質時、アノード電極上に高分子薄膜の形成が容易となり、薄膜の品質も向上する。
【0133】
アノード電極のための前処理技術としては、a)平行平板型放電を用いた表面酸化法、b)真空状態でUV紫外線を用いて生成されたオゾンを通じて表面を酸化する方法、およびc)プラズマによって生成された酸素ラジカルを用いて酸化する方法などが挙げられる。
【0134】
アノード電極または基板の状態に応じて前記方法のうち1つを選択することができる。但し、どの方法を利用しても、共通的にアノード電極または基板表面の酸素離脱を防止し、水分および有機物の残留を最大限に抑制するのが好ましい。この時、前処理の実質的な効果を極大化することができる。
【0135】
具体的な例として、UVを用いて生成されたオゾンを通じて表面を酸化する方法を利用することができる。この時、超音波洗浄後パターニングされたITO基板を加熱板(hot plate)においてベーキング(baking)してよく乾燥させた後、チャンバーに投入し、UVランプを作用させ、酸素ガスがUV光と反応して発生するオゾンによってパターニングされたITO基板を洗浄することができる。
【0136】
しかし、本明細書におけるパターニングされたITO基板の表面改質方法は特に限定させる必要はなく、基板を酸化させる方法であればいかなる方法も良い。
【0137】
前記カソード電極は仕事関数の小さい金属が好ましいが、これらに限定されるものではない。具体的にはマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属またはこれらの合金;LiF/Al、LiO/Al、LiF/Fe、Al:Li、Al:BaF、Al:BaF:Baのような多層構造の物質が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0138】
前記カソード電極は5x10−7torr以下の真空度を示す熱蒸着器の内部で蒸着形成されるが、この方法にのみ限定されるのではない。
【0139】
前記正孔輸送層および/または電子輸送層物質は光活性層から分離した電子と正孔を電極に効率的に伝達させる役割を果たし、物質は特に制限しない。
【0140】
前記正孔輸送層物質はPEDOT:PSS(Poly(3,4−ethylenediocythiophene)doped with poly(styrenesulfonic acid))、モリブデン酸化物(MoO);バナジウム酸化物(V);ニッケル酸化物(NiO);およびタングステン酸化物(WO)などが好ましいが、これらのみに限定されるものではない。
【0141】
前記電子輸送層物質は電子抽出金属酸化物(electron−extracting metal oxides)であっても良く、具体的には8−ヒドロキシキノリンの金属錯体;Alqを含む錯体;Liqを含む金属錯体;LiF;Ca;チタニウム酸化物(TiO);亜鉛酸化物(ZnO);およびセシウムカーボネート(CsCO)などが好ましいが、これらのみに限定されるものではない。
【0142】
光活性層は電子供与体および/または電子受容体のような光活性物質を有機溶媒に溶解させた後、溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、ドクターブレード、ブラシペインティングなどの方法により形成することができるが、これらの方法にのみ限定されるものではない。
【0143】
前記共重合体の製造方法およびこれを含む有機太陽電池の製造は以下の製造例および実施例で具体的に説明する。但し、下記の実施例は本明細書を例示するためのものであり、本明細書の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0144】
前記共重合体の製造方法およびこれを含む有機太陽電池の製造は以下の実施例で具体的に説明する。但し、下記の実施例は本明細書を例示するためのものであり、本明細書の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【0145】
「実施例1.共重合体1の合成」
【0146】
【化14】
【0147】
マイクロウェーブリアクターバイアル(Microwave reactor vial)にクロロベンゼン(Chlorobenzene)15ml、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(2−エチルヘキシル−2−チエニル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(2,6−Bis(trimethyltin)−4,8−bis(2−ethylhexyl−2−thienyl)−benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophene、0.7g、0.7738mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)thiophene、0.3171g、0.7738mmol)、1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(1,3−Dibromo−5−dodecylthieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione、0.7418g、1.548mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba):(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、28mg)、トリ−(o−トリル)ホスフィン(Tri−(o−tolyl)phosphine、37mg)を入れ、170℃条件下で1時間反応させた。混合物を室温にまで冷却してメタノールに注いだ後、固体を濾過してメタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムにソックスレー抽出(Soxhlet extraction)した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させて固体を濾過した。
【0148】
「実施例2.共重合体2の合成」
【0149】
【化15】
【0150】
マイクロウェーブリアクターバイアル(Microwave reactor vial)にクロロベンゼン(Chlorobenzene)15ml、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(3−((2−エチルヘキシル)オキシ)フェニル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(2,6−Bis(trimethyltin)−4,8−bis(3−((2−ethylhexyl)oxy)phenyl)−benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophene、0.7154g、0.7738mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)thiophene、0.3171g、0.7738mmol)、1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(1,3−Dibromo−5−dodecylthieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione、0.7418g、1.548mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba):(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、28mg)、トリ−(o−トリル)ホスフィン(Tri−(o−tolyl)phosphine、37mg)を入れ、170℃条件下で1時間反応させた。混合物を室温にまで冷却してメタノールに注いだ後、固体を濾過してメタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムにソックスレー抽出(Soxhlet extraction)した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させて固体を濾過した。
【0151】
「実施例3.共重合体3の合成」
【0152】
【化16】
【0153】
マイクロウェーブリアクターバイアル(Microwave reactor vial)にクロロベンゼン(Chlorobenzene)15ml、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(5−((E−2−(5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル)ビニル)チオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(2,6−Bis(trimethyltin)−4,8−bis(5−((E)−2−(5−(2−ethylhexyl)thiophen−2−yl)vinyl)thiophen−2−yl)−benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophene、0.8673g、0.7738mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)thiophene、0.3171g、0.7738mmol)、1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(1,3−Dibromo−5−dodecylthieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione、0.7418g、1.548mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba):(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、28mg)、トリ−(o−トリル)ホスフィン(Tri−(o−tolyl)phosphine、37mg)を入れ、170℃条件下で1時間反応させた。混合物を室温にまで冷却してメタノールに注いだ後、固体を濾過してメタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムにソックスレー抽出(Soxhlet extraction)した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させて固体を濾過した。
【0154】
「実施例4.共重合体4の合成」
【0155】
【化17】
【0156】
マイクロウェーブリアクターバイアル(Microwave reactor vial)にクロロベンゼン(Chlorobenzene)15ml、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(2−エチルヘキシル−2−チエニル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(2,6−Bis(trimethyltin)−4,8−bis(2−ethylhexyl−2−thienyl)−benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophene、0.7g、0.7738mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)セレノフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)selenophene、0.3533g、0.7738mmol)、1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(1,3−Dibromo−5−dodecylthieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione、0.7418g、1.548mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba):(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、28mg)、トリ−(o−トリル)ホスフィン(Tri−(o−tolyl)phosphine、37mg)を入れ、170℃条件下で1時間反応させた。混合物を室温にまで冷却してメタノールに注いだ後、固体を濾過してメタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムにソックスレー抽出(Soxhlet extraction)した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させて固体を濾過した。
【0157】
「実施例5.共重合体5の合成」
【0158】
【化18】
【0159】
マイクロウェーブリアクターバイアル(Microwave reactor vial)にクロロベンゼン(Chlorobenzene)15ml、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(2−エチルヘキシル−2−チエニル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(2,6−Bis(trimethyltin)−4,8−bis(2−ethylhexyl−2−thienyl)−benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophene、0.7g、0.7738mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)thiophene、0.3171g、0.7738mmol)、1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(1,3−Dibromo−5−octylthieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione、0.6549g、1.548mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba):(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、28mg)、トリ−(o−トリル)ホスフィン(Tri−(o−tolyl)phosphine、37mg)を入れ、170℃条件下で1時間反応させた。混合物を室温にまで冷却してメタノールに注いだ後、固体を濾過してメタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムにソックスレー抽出(Soxhlet extraction)した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させて固体を濾過した。
【0160】
「比較例1.共重合体6の合成」
【0161】
【化19】
【0162】
マイクロウェーブリアクターバイアル(Microwave reactor vial)にクロロベンゼン(Chlorobenzene)15ml、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(2,6−Bis(trimethyltin)−4,8−bis(2−ethylhexyloxy)benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophene、0.5976g、0.7738mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)thiophene、0.3171g、0.7738mmol)、1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(1,3−Dibromo−5−dodecylthieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione、0.7418g、1.548mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba):(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、28mg)、トリ−(o−トリル)ホスフィン(Tri−(o−tolyl)phosphine、37mg)を入れ、170℃条件下で1時間反応させた。混合物を室温にまで冷却してメタノールに注いだ後、固体を濾過してメタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムにソックスレー抽出(Soxhlet extraction)した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させて固体を濾過した。
【0163】
「比較例2.共重合体7の合成」
【0164】
【化20】
【0165】
マイクロウェーブリアクターバイアル(Microwave reactor vial)にクロロベンゼン(Chlorobenzene)15ml、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(2,6−Bis(trimethyltin)−4,8−bis(2−ethylhexyloxy)benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophene、0.5976g、0.7738mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)thiophene、0.3171g、0.7738mmol)、1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(1,3−Dibromo−5−dodecylthieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione、0.6550g、1.548mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba):(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、28mg)、トリ−(o−トリル)ホスフィン(Tri−(o−tolyl)phosphine、37mg)を入れ、170℃条件下で1時間反応させた。混合物を室温にまで冷却してメタノールに注いだ後、固体を濾過してメタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムにソックスレー抽出(Soxhlet extraction)した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させて固体を濾過した。
【0166】
「比較例3.共重合体8の合成」
【0167】
【化21】
【0168】
Round bottom flaskにクロロベンゼン(Chlorobenzene)5ml、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ジドデシル−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン(2,6−Bis(trimethyltin)−4,8−didodecyl−benzo[1,2−b:4,5−b’]−dithiophene、0.3410g、0.4000mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)thiophene、0.1639g、0.4000mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−エチルヘキシル)チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(1,3−Dibromo−5−(2−ethylhexyl)thieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione、0.3387g、0.8000mmol)、Pd(dba)(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、14.7mg)、トリ−(o−トリル)ホスフィン(Tri−(o−tolyl)phosphine、19.5mg)を入れ、140℃条件下で反応させた。
【0169】
反応はトリブチルフェニルスタンナン(tributyl−phenyl−stannane、0.26ml、0.8mmol)とブロモベンゼン(bromobenzene、0.13ml、1.2mmol)で140℃条件下で1時間反応させてend cappingした。反応を終わらせ、高分子は沈殿させた後、ソックスレー抽出(Soxhlet extraction)した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させて固体を濾過した。
【0170】
「比較例4.共重合体9の合成」
【0171】
【化22】
【0172】
マイクロウェーブリアクターバイアル(Microwave reactor vial)にクロロベンゼン(Chlorobenzene)15ml、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(2−エチルヘキシル−2−チエニル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(2,6−Bis(trimethyltin)−4,8−bis(2−ethylhexyl−2−thienyl)−benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophene、0.7g、0.7738mmol)、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)thiophene、0.3171g、0.7738mmol)、1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(1,3−Dibromo−5−octylthieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione、1.751g、1.548mmol)、Pd(dba)(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、28mg)、トリ−(o−トリル)ホスフィン(Tri−(o−tolyl)phosphine、37mg)を入れ、170℃条件下で1時間反応させた。混合物を室温にまで冷却してメタノールに注いだ後、固体を濾過してメタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムにソックスレー抽出(Soxhlet extraction)した後、クロロホルム部分を再びメタノールに沈殿させて固体を濾過した。
【0173】
「有機太陽電池の製造および特性測定」
「実験例1.有機太陽電池の製造−1」
前記実施例1で製造した共重合体1とPC61BMを1:2でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体1−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0174】
「実験例2.有機太陽電池の製造−2」
前記実施例2で製造した共重合体2とPC61BMを1:2でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体2−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0175】
「実験例3.有機太陽電池の製造−3」
前記実施例3で製造した共重合体3とPC61BMを1:2でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体3−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0176】
「実験例4.有機太陽電池の製造−4」
前記実施例4で製造した共重合体4とPC61BMを1:2でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体4−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0177】
「実験例5.有機太陽電池の製造−5」
前記実施例5で製造した共重合体5とPC61BMを1:2でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体5−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0178】
「比較実験例1.有機太陽電池の製造−6」
前記比較例1で製造した共重合体6とPC61BMを1:2でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体6−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0179】
「比較実験例2.有機太陽電池の製造−7」
前記比較例2で製造した共重合体7とPC61BMを1:2でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体7−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0180】
「比較実験例3.有機太陽電池の製造−8」
前記比較例3で製造した共重合体8とPC61BMを1:2でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体8−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0181】
「比較実験例4.有機太陽電池の製造−9」
前記比較例3で製造した共重合体8とPC61BMを1:3でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体8−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0182】
「比較実験例5.有機太陽電池の製造−10」
前記比較例4で製造した共重合体9とPC61BMを1:2でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composit solution)を製造した。この時、濃度は4.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/PEDOT:PSS/光活性層/Alの構造にした。ITOがコーティングされたガラス基板は蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した後、45nm厚さでPEDOT:PSS(baytrom P)をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためには、共重合体9−PC61BM複合溶液を0.45μmPP注射器フィルター(syringe filter)で濾過した後にスピンコーティングし、3×10−8torr真空下で熱蒸発器(thermal evaporator)を利用して200nm厚さでAlを蒸着し、有機太陽電池を製造した。
【0183】
<試験例1>
前記実験例1〜5および比較実験例1〜5で製造された有機太陽電池の光電変換特性を100mW/cm(AM1.5)条件で測定し、下記表1にその結果を示す。
【0184】
【表1】
【0185】
表1において、Vocは開放電圧を、Jscは短絡電流を、FFはフィルファクター(Fill factor)を、PCEはエネルギー変換効率を意味する。開放電圧と短絡電流は各々電圧−電流密度曲線の象限においてX軸とY軸切片であり、この2つの値が高いほど太陽電池の効率は望ましく高くなる。また、フィルファクター(Fill factor)は曲線内部に描ける長方形の広さを短絡電流と開放電圧の積で分けた値である。この3つの値を照射された光の強さで分ければ、エネルギー変換効率を求めることができ、高い値であるほど好ましい。
【0186】
実験例1〜5および比較実験例1〜4を比較すると、共重合体の主鎖の側鎖に共役構造を含む場合が共重合体の主鎖の側鎖に共役構造を含まない場合より有機太陽電池の効率が優れることが確認できる。
【0187】
また、実験例1〜5および比較実験例5を比較すると、本願の第1単位、第2単位および第3単位を全て含む場合が本願の第1単位および第3単位だけを含む場合より有機太陽電池の効率が優れることが確認できる。
【符号の説明】
【0188】
101 ・・・基板
102 ・・・第1電極
103 ・・・正孔輸送層
104 ・・・光活性層
105 ・・・第2電極
図1