特許第6175003号(P6175003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175003
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】大豆油含有油脂組成物
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20170724BHJP
   A23D 9/007 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   A23D9/00 506
   A23D9/007
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-556207(P2013-556207)
(86)(22)【出願日】2012年11月22日
(86)【国際出願番号】JP2012080275
(87)【国際公開番号】WO2013114711
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2015年11月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-18982(P2012-18982)
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J−オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100106448
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 伸介
(72)【発明者】
【氏名】川原雅典
(72)【発明者】
【氏名】徳地隆宏
(72)【発明者】
【氏名】小崎仁美
(72)【発明者】
【氏名】野上竜一郎
(72)【発明者】
【氏名】山田祐三
【審査官】 小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−322819(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/105399(WO,A1)
【文献】 特開平09−224547(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/046353(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/054415(WO,A1)
【文献】 特開2009−284859(JP,A)
【文献】 国際公開第03/094633(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 9/00− 9/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
WPIDS/WPIX(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆油を25重量%以上90重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物であって、アラキドン酸及び/又はそのエステル体をアラキドン酸として0.1重量%以上重量%以下含有し、明所臭が抑制されたことを特徴とする前記大豆油含有油脂組成物。
【請求項2】
さらに、コーン油、綿実油、及び、ヨウ素価57以上80以下のパームオレインのいずれか1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の大豆油含有油脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の大豆油含有油脂組成物で調理することを特徴とする食品の調理方法。
【請求項4】
大豆油を25重量%以上90重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物に、アラキドン酸及び/又はそのエステル体をアラキドン酸として0.1重量%以上重量%以下含有させることを特徴とする大豆油含有油脂組成物の明所臭抑制方法。
【請求項5】
さらに、コーン油、綿実油、及び、ヨウ素価57以上80以下のパームオレインのいずれか1種又は2種以上を含有させることを特徴とする請求項4に記載の大豆油含有油脂組成物の明所臭抑制方法。
【請求項6】
大豆油を25重量%以上90重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物であって、アラキドン酸及び/又はそのエステル体の酸化処理物を酸化処理前のアラキドン酸として0.0005重量%以上0.3重量%以下含有し、明所臭が抑制されたことを特徴とする前記大豆油含有油脂組成物。
【請求項7】
さらに、コーン油、綿実油、及び、ヨウ素価57以上80以下のパームオレインのいずれか1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項6に記載の大豆油含有油脂組成物。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の大豆油含有油脂組成物で調理することを特徴とする食品の調理方法。
【請求項9】
大豆油を25重量%以上90重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物に、アラキドン酸及び/又はそのエステル体の酸化処理物を酸化処理前のアラキドン酸として0.0005重量%以上0.3重量%以下含有させることを特徴とする大豆油含有油脂組成物の明所臭抑制方法。
【請求項10】
さらに、コーン油、綿実油、及び、ヨウ素価57以上80以下のパームオレインのいずれか1種又は2種以上を含有させることを特徴とする請求項9に記載の大豆油含有油脂組成物の明所臭抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆油を含有する食用油脂の明所保存時の臭い(大豆油の明所臭)、及び加熱調理時の加熱臭、特に大豆油由来の刺激臭が抑制された大豆油含有油脂組成物及び大豆油含有油脂組成物の明所臭抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食用油脂は、光や熱等によって劣化し、風味上問題になる臭いが発生する。特に大豆油は、光の存在下で「明所臭(あるいは「曝光臭」)」と呼ばれる特有の臭いを発生する。近年、ペットボトル等の無色透明容器が軽量で取り扱いやすいため、油脂製品の容器として普通に用いられるようになってきた。そのため、スーパー等の陳列棚の蛍光灯の光で、上記明所臭が発生することがあり、大豆油を高い割合で含む食用油脂は、賞味に耐えうる品質を保証することができないとの指摘がある(特許文献1)。
【0003】
大豆油の明所臭を抑制する先行技術として、大豆油に所定ヨウ素価のパームオレインを配合する技術がある(特許文献1)。しかしながら、その効果はあるものの、後述の比較例で示すように改善の余地があった。
【0004】
また、容器を改善する試みもなされている(特許文献2、3)。しかしながら、この技術では光により大豆油特有の不快な明所臭が発生する問題点は全く改善されていない。
【0005】
一方、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤に関する発明が開示されている(特許文献4)。しかしながら、当該文献には、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体が、大豆油の明所臭を抑制することについての記載も開示もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4290222号公報
【特許文献2】特開2004−292052号公報
【特許文献3】特開2005−027505号公報
【特許文献4】特許第3729272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、大豆油を含有する食用油脂の明所保存時の臭い(以下、「大豆油の明所臭」という)及び加熱調理時の加熱臭、特に大豆油由来の刺激臭を抑制する大豆油含有油脂組成物及び大豆油含有油油脂組成物の明所臭抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、大豆油を含有する油脂組成物に所定量のn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体又はその酸化処理物を含有させることで大豆油の明所臭を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、大豆油を25重量%以上90重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物であって、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体をn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸として0.1重量%以上5重量%以下含有することを特徴とする前記油脂組成物である。
【0010】
さらに、コーン油、綿実油、及び、ヨウ素価57以上80以下のパームオレインのいずれか1種又は2種以上を含有することが好ましい。
【0011】
前記n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸がアラキドン酸であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、大豆油を25重量%以上90重量%以下含有し、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体をn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸として0.1重量%以上5重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物で調理された食品である。
【0013】
また、本発明は、大豆油を25重量%以上90重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物に、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体をn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸として0.1重量%以上5重量%以下含有させることを特徴とする大豆油含有油脂組成物の明所臭抑制方法である。
【0014】
また、本発明は、大豆油を25重量%以上90重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物であって、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の酸化処理物を酸化処理前のn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸として0.0005重量%以上0.3重量%以下含有することを特徴とする油脂組成物である。
【0015】
さらに、コーン油、綿実油、及び、ヨウ素価57以上80以下のパームオレインのいずれか1種又は2種以上を含有することが好ましい。
【0016】
前記n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸がアラキドン酸であることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、大豆油を25重量%以上90重量%以下含有し、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の酸化処理物を酸化処理前のn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸として0.0005重量%以上0.3重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物で調理された食品である。
【0018】
また、本発明は、大豆油を25重量%以上90重量%以下含有する大豆油含有油脂組成物に、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の酸化処理物を酸化処理前のn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸として0.0005重量%以上0.3重量%以下含有させることを特徴とする大豆油含有油脂組成物の明所臭抑制方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の油脂組成物は、従来の大豆油を含有する油脂組成物と異なり、大豆油特有の不快な明所臭を抑制し、加熱調理時の加熱臭、特に大豆油由来の刺激臭を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明をさらに詳細に説明すると、本発明の油脂組成物中の大豆油の含有量の下限は、25重量%以上であり、好ましくは30重量%であり、より好ましくは33重量%以上である。また、上限は90重量%以下であり、好ましくは85重量%以下であり、より好ましくは75重量%以下である。大豆油が少ない場合には、明所臭の問題はほとんどない。大豆油が多い場合には、明所臭の抑制効果が十分でない場合がある。
【0021】
本発明に使用される大豆油以外の食用油脂は、その種類には特に限定がなく食用油として用いられているものであればよい。具体例として、菜種油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、紅花油、ひまわり油、綿実油、米油、落下生油、パーム核油、ヤシ油などの植物油脂並びに牛脂、豚脂等の動物脂、並びにこれらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂の単品又は、これらの二種類以上のブレンドでも良い。特に、パーム分別油であるパームオレイン(ヨウ素価57以上80以下、好ましくは58以上68以下)、コーン油、綿実油のいずれか1種又は2種以上を含む油脂で効果が高い。さらにコーン油及び綿実油を含む油脂で効果が顕著である。
【0022】
また、前記コーン油、綿実油、及び、ヨウ素価57以上80以下のパームオレインのいずれか1種又は2種以上の食用油脂の含有量の下限は、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、25重量%以上がさらに好ましい。また、上限は、75重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましく、68重量%以下がさらに好ましい。所定量含有することで、大豆油の明所臭抑制がより効果的に得られる。
【0023】
さらに、コーン油及び綿実油を含有する場合には、コーン油と綿実油の重量比は20:80〜80:20であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましく、25:75〜70:30であることがさらに好ましい。
【0024】
本発明で「n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸」とは、炭素数が18以上かつ二重結合を3つ以上有する脂肪酸を意味する。特に、炭素数が20〜24かつ二重結合を4〜6有する長鎖高度不飽和脂肪酸が好ましい。n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸の例としてアラキドン酸(AA)及びドコサテトラエン酸(DTA)を挙げることが出来、特に、アラキドン酸が好適である。
【0025】
アラキドン酸等の本発明で使用するn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及びそのエステル体の由来に特に制限はなく、各種動植物、微生物、藻類等から得られたものが市販されており、これら当業者には公知のものを適宜使用することが出来る。例えば、特開平10−70992及び特開平10−191886に記載されたアラキドン酸をトリグリセリドの形で豊富に含有する微生物由来の食用油脂を使用することが出来る。エステル体の構造及びその製造方法に特に制限はなく、これを構成するアルコール類としては、一価及び多価アルコールを使用することが出来る。多価アルコールの中でも、安全性やコストの点からグリセロールが好ましい。この場合にエステル体としてトリグリセリド、ジグリセリド及びモノグリセリドを構成する。これらのエステル体を構成する脂肪酸中に本発明の長鎖高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸が含まれていても良い。
【0026】
本発明の油脂組成物中のn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体は、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸として0.1重量%以上5重量%以下含有することが必須である。好ましくは0.1重量%以上3重量%以下であり、より好ましくは0.18重量%以上3重量%以下である。n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の含有量が少ないと、大豆油の明所臭抑制効果が充分でない場合があり、多いとn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸由来の特有な臭いが生じてしまう場合がある。
【0027】
また、アラキドン酸等の本発明で使用するn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及びそのエステル体の酸化処理物とは、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及びそのエステル体を酸化処理したもののことである。この酸化処理物のn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸の含有量は酸化処理前の含有量で規定する。酸化処理の方法に特に制限はないが、その一例として加熱処理があげられる。加熱処理の方法に特に制限はないが、通常、40℃〜200℃において0.1時間〜240時間加熱する方法があり、好ましくは、80℃〜180℃において0.5時間〜72時間加熱する方法がある。
【0028】
本発明の油脂組成物中のn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の酸化処理物は、酸化処理前のn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸として0.0005重量%以上0.3重量%以下含有することが必須である。好ましくは0.0008重量%以上0.3重量%以下であり、より好ましくは0.001重量%以上0.08重量%以下である。n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の含有量が少ないと、大豆油の明所臭抑制効果が充分でない場合があり、多いとn−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸由来の特有な臭いが生じてしまう場合がある。
【0029】
また、本発明の油脂組成物には、本発明の効果を妨害しない程度であれば、抗酸化剤、乳化剤、香料、シリコン等を添加したものでも良い。
【0030】
本発明の食品には、例えば、天ぷら、コロッケ、とんかつ、唐揚げ、魚フライ、ポテトフライ、揚げ豆腐、揚げ米菓、スナック菓子、ドーナッツ、インスタントラーメンがある。
【0031】
また、本発明の大豆油の明所臭抑制方法をおこなうことで、大豆油を含有する油脂組成物の明所保管時の大豆油特有の臭いを抑制することができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。また、「%」は、「重量%」を意味する。
【0033】
以下において、使用油脂等は次のものを使用した。
【0034】
大豆油(株式会社J−オイルミルズ社製、大豆白絞油)
菜種油(株式会社J−オイルミルズ社製、菜種白絞油)
パームオレイン(株式会社J−オイルミルズ社製、ヨウ素価 67)
コーン油(株式会社J−オイルミルズ社製)
綿実油(株式会社J−オイルミルズ社製)
アラキドン酸含有油脂(日本水産株式会社製「SUNTGA40S」、微生物由来、アラキドン酸とし40重量%)
【0035】
〔AA油〕
アラキドン酸含有油脂をコーン油で1/4になるように希釈したものを使用した(アラキドン酸として10重量%含有(AA含有量10重量%))。
【0036】
〔酸化処理したAA油(酸化AA油)〕
アラキドン酸含有油脂を120℃で3時間酸化処理したのち、コーン油で1/4になるように希釈したものを使用した(酸化処理前のアラキドン酸として10重量%含有(AA含有量10重量%))。
【0037】
また、大豆油の明所臭抑制の効果は以下のように評価をおこなった。
【0038】
油脂組成物100gを容量120mLの透明ガラス容器に入れ密栓し、24℃の明所箱に入れ、1000ルクス、10日(照射条件1)、もしくは、7000ルクス、1日(照射条件2)、照射した。その後、専門パネラー2名で開栓時の大豆油由来の青臭さを評価した(青臭さ評価)。また、180℃に加熱した際の刺激臭も評価した(刺激臭評価)。
<評価基準>
5:非常に弱い
4:弱い
3:やや弱い
2:強い
1:非常に強い
【0039】
表1に示す油脂組成物を調製し、照射条件2で照射した後、青臭さ評価、及び、刺激臭評価をおこなった。その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
大豆油を含有する油脂組成物に酸化処理したアラキドン酸を添加することで、青臭さ、刺激臭ともに抑制されることが判った。
【0042】
表2及び表3に示す油脂組成物を調製し、照射条件1で照射した後、青臭さ評価、及び、刺激臭評価をおこなった。その結果を表2及び表3に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
大豆油の含有量が40重量%以上80重量%以下で効果があることが確認できた。また、パームオレインと綿実油の両方を含有するよりも、コーン油と綿実油の両方を含有することで、さらに抑制効果を高めることができた。
【0046】
表4に示す油脂組成物を調製し、照射条件2で照射した後、青臭さ評価、及び、刺激臭評価をおこなった。その結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
大豆油が30重量%以上でも効果があることが確認できた。
【0049】
表5に示す油脂組成物を調製し、照射条件2で照射した後、青臭さ評価、及び、刺激臭評価をおこなった。その結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
酸化処理物では、アラキドン酸の含有量が0.001〜0.1重量%で青臭さ及び刺激臭の抑制効果が得られた。特に含有量が0.05重量%以上0.1重量%以下で効果が高かったが、含有量が0.1重量%では、アラキドン酸由来の特有な臭いが生じていた。
【0052】
表6に示す油脂組成物を調製し、照射条件2で照射した後、青臭さ評価、及び、刺激臭評価をおこなった。その結果を表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
アラキドン酸の含有量が0.2〜2重量%で青臭さ及び刺激臭の抑制効果が得られた。アラキドン酸の含有量が0.4重量%以上では、アラキドン酸含有油脂由来の特有な臭いが生じていた。
【0055】
大豆油含有油脂(重量比:大豆油:コーン油:酸化AA油=50:49.9:0.1)を180℃に加熱し、さつま芋の天ぷらを調理した。問題なく天ぷらを食することができた。