(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、換気を行いつつ断熱性能を向上させられる二重
窓の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による二重窓は、
室内を室外に対して正圧及び/又は負圧に調整できる部屋の屋外に面した開口部に設置されるものであって、外窓と内窓と
整流体とを備え、外窓と内窓は通気部を有し、通気部のいずれかに空気の流れに抵抗を与える抵抗部が設けてあり、
整流体は、外窓と内窓の間の中間層に設けてあり、中間層内の空気の流れを外窓と内窓に沿うように迂回させるものであり、外窓の通気部と中間層と内窓の通気部を通じて室内外を空気が流れるようにしたことを特徴とする。本発明は、外窓と内窓を同時に新設する場合の他、既存の単体のサッシ(外窓)が取付けられた窓に、後から内窓を増設して二重窓とする場合も含まれる。
【0005】
請求項2記載の発明による二重窓は、
室内を室外に対して正圧及び/又は負圧に調整できる部屋の屋外に面した開口部に設置されるものであって、外窓と内窓と整流体とを備え、外窓と内窓は通気部を有し、
通気部のいずれかに空気の流れに抵抗を与える抵抗部が設けてあり、抵抗部は、抵抗の強さを調節可能であり、整流体は、外窓と内窓の間の中間層に設けてあり、中間層内の空気の流れを外窓と内窓に沿うように迂回させるものであり、外窓の通気部と中間層と内窓の通気部を通じて室内外を空気が流れるようにしたことを特徴とする。本発明は、外窓と内窓を同時に新設する場合の他、既存の単体のサッシ(外窓)が取付けられた窓に、後から内窓を増設して二重窓とする場合も含まれる。
【0006】
請求項3記載の発明による二重
窓は、
請求項1又は2記載の発明の構成に加え、外窓と内窓の一方が単板ガラスで他方が複層ガラスであることを特徴とする。
本発明は、外窓と内窓を同時に新設する場合の他、既存の単体のサッシ(外窓)が取付けられた窓に、後から内窓を増設して二重窓とする場合も含まれる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による二重窓は、
室内を室外に対して正圧及び/又は負圧に調整すると、外窓の通気部と中間層と内窓の通気部を通じて室内外を空気が流れることで換気が行え、冬期においては室内から室外に伝わる熱を中間層の空気の流れによって回収し室内に戻すことで、夏期においては室外から室内に伝わる熱を中間層の空気の流れによって回収し室外に放出することで、空気の流入する方向とは逆方向の熱移動が妨げられ、断熱性能が向上する。通気部のいずれかに空気の流れに抵抗を与える抵抗部が設けてあることで、空気が逆流するのを防止できる。
中間層に設けた整流体により中間層内の空気の流れを外窓と内窓に沿うように迂回させることで、中間層の空気の流れによって効率良く熱を回収できる。
【0008】
請求項2記載の発明による二重窓は、
室内を室外に対して正圧及び/又は負圧に調整すると、外窓の通気部と中間層と内窓の通気部を通じて室内外を空気が流れることで換気が行え、冬期においては室内から室外に伝わる熱を中間層の空気の流れによって回収し室内に戻すことで、夏期においては室外から室内に伝わる熱を中間層の空気の流れによって回収し室外に放出することで、空気の流入する方向とは逆方向の熱移動が妨げられ、断熱性能が向上する。
通気部のいずれかに空気の流れに抵抗を与える抵抗部が設けてあることで、空気が逆流するのを防止できる。中間層に設けた整流体により中間層内の空気の流れを外窓と内窓に沿うように迂回させることで、中間層の空気の流れによって効率良く熱を回収できる。
抵抗部は、抵抗の強さを調節可能なため、通気量を調整することができ、例えば広い部屋には抵抗の小さいものを用い、狭い部屋には抵抗の大きいものを用いることで、各部屋に部屋の広さに応じた適正な換気量を確保することができる。
【0009】
請求項3記載の発明による二重窓
は、室内を室外に対して正圧及び/又は負圧に調整すると、外窓の通気部と中間層と内窓の通気部を通じて室内外を空気が流れることで換気が行え、冬期においては室内から室外に伝わる熱を中間層の空気の流れによって回収し室内に戻すことで、夏期においては室外から室内に伝わる熱を中間層の空気の流れによって回収し室外に放出することで、空気の流入する方向とは逆方向の熱移動が妨げられ、断熱性能が向上する。通気部のいずれかに空気の流れに抵抗を与える抵抗部が設けてあることで、空気が逆流するのを防止できる。中間層に設けた整流体により中間層内の空気の流れを外窓と内窓に沿うように迂回させることで、中間層の空気の流れによって効率良く熱を回収できる。さらに本発明の二重窓は、外窓と内窓の一方が単板ガラスで他方が複層ガラスであることで、特に冬期に効果を発揮するもの、又は、特に夏期に効果を発揮するものとなる。すなわち、外窓を単板ガラス、内窓を複層ガラスとすると、室内の熱が中間層に伝わりにくくなるため、特に冬期に効果を発揮するものとなり、外窓を複層ガラス、内窓を単板ガラスとすると、室外の熱が中間層に伝わりにくくなるため、特に夏期に効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜5は、本発明の二重窓の第1実施形態を示している。この二重窓は、
図1に示すように、建物の窓開口部10の室外側に外窓1が設置してあり、窓開口部10の室内側に内窓2が設置してあり、外窓1と内窓2の間の中間層3にハニカムブラインド7が上方から吊り下げて設置してある。
【0012】
外窓1は、窓開口部10に固定される枠11と、枠11内に引違い状に開閉自在に収めた外障子12a及び内障子12bとを備えている。枠11は、上枠13と下枠14と左右の竪枠15,15とを枠組みして構成されている。外障子12a及び内障子12bは、上框16と下框17と戸先框18と召合せ框19とを框組みし、その内側にガラス20を嵌め込んで構成されている。枠11と障子12a,12bの框16,17,18,19は、アルミ製である。
上框16は、
図2,4に示すように、室外側と室内側の見付面に多数の通気孔21a,21bを設け、室内外に連通する通気部4が構成されている。上框16の内部には、上框16の長手方向にスライド自在に設けられ、室外側の通気孔21aを開閉自在な蓋体22が設けてある。上框16の室内側の見付面には、室内側の通気孔21bをカバーするようにフィルター23が着脱自在に設けてある。
【0013】
内窓2は、窓開口部10に固定される枠24と、枠24内に引違い状に開閉自在に収めた外障子25a及び内障子25bとを備えている。枠24は、上枠26と下枠27と左右の竪枠48,48とを枠組みして構成されている。外障子25a及び内障子25bは、上框28と下框29と戸先框30と召合せ框31とを框組みし、その内側にガラス(複層ガラス)45を嵌め込んで構成されている。枠24と障子25a,25bの框28,29,30,31は、樹脂製である。
上枠26は、
図2,5に示すように、室外側と室内側の見付面に多数の通気孔32a,32bを設け、室内外に連通する通気部5が構成されている。上枠26の内部には、通気部5を流れる空気に抵抗を与えるポーラス材6が埋め込んである。ポーラス材6としては、グラスウールやウレタンフォーム等を用いている。上枠26の室外側と室内側の見付面には、通気孔32a,32bをカバーするようにフィルター33,33が着脱自在に設けてある。
【0014】
ハニカムブラインド7は、
図1に示すように、ポリエステルの不織布を用いてダブル・ハニカム(蜂の巣)構造のスクリーン状に構成され、このスクリーンが二重の空気層を作り、高い断熱効果を発揮する。またハニカムブライド7の両側の側部は、
図3に示すように、額縁に沿って取付けた樹脂製のレール34に案内してあり、気密性を高めている。したがって、中間層3内はハニカムブラインド7により室外側と室内側に仕切られ、ハニカムブラインド7の室外側の空気は室外の気温に近付き、ハニカムブライド7の室内側の空気は室内側の気温に近付き、ハニカムブラインド7の室外側と室内側で温度差が生じる。
図1に示すように、ハニカムブライド7の下端と窓枠の下面との間には、数センチ程度の隙間35を設けている。ハニカムブラインド7は、操作部36を操作することで上下に伸縮自在となっている。操作部36は、内窓2の上枠26の端部に室内外方向に貫通して設けた挿通部49に挿通して室内側に出してあり、内窓2の障子25a,25bを開けなくても室内側からハニカムブラインド7の操作が行えようにしている。
【0015】
本二重窓の施工手順を説明すると、まず窓開口部10の室外側に外窓1を設置する。次に、外窓1の室内側の窓開口部10にハニカムブラインド7を設置する。その後、外窓の1の室内側に一定の間隔をあけて、窓開口部10の室内側に内窓2を設置する。なお、ハニカムブラインド7は、内窓2を設置した後に設置することもできる。
【0016】
図6は、この二重窓が組み込まれた建物を示しており、床38と壁39と天井40とで室内が仕切られ、床38と壁39と天井40には断熱材を埋め込んで断熱性を高めてある。一方の壁39には窓開口部10を設けて二重窓を取付けてあり、他方の壁39には換気用の開口部41を設けて送風機42が取付けてある。冬期においては、送風機42を運転して室内の空気を屋外に吸い出すことで室内を負圧に調整し、それに伴い室外の空気を外窓1の通気部4と中間層3と内窓2の通気部5を通じて室内に取り込み、24時間換気を行っている。
また、建物には公知の冷暖房設備を備え、冷暖房設備により室内の気温を20℃前後の快適な温度に保っている。
図6は、冷暖房設備としてヒートポンプ43を採用した場合を示している。ヒートポンプ43は、室内側ユニット43aと室外側ユニット43bとを備え、内蔵する熱交換器と冷媒回路により室内外の空気間で熱交換を行い、室内側ユニット43aの送風口43cより冬季には温風を、夏季には冷風を室内に噴き出す。なおヒートポンプ43は、冬季には送風機42から排出される室内の空気をダクト44を通して室外側ユニット43bに送り、その空気から熱を回収することで、暖房コストを節約できるようにしている。
【0017】
本二重窓は、樹脂製の枠24及び框28,29,30,31と複層ガラス45を用いた内窓2を設けたことと、外窓1と内窓2の間の中間層3にハニカムブラインド7を設けたことによる断熱効果に加え、外窓1の通気部4と中間層3と内窓2の通気部5を通じて室内外を空気が流れることで、空気の流入する方向とは逆方向の熱移動が妨げられ、より一層の断熱効果を発揮する。
冬期の場合について説明すると、
図1に示すように、外窓1の障子12a,12bの上框16に設けた通気部4より流入した冷たい室外の空気は、ハニカムブラインド7と外窓1の障子12a,12bの間を通っていったん下降し、その後、ハニカムブラインド7と内窓2の障子25a,25bの間を通って上昇する。この間に、内窓2の障子25a,25bより室内の熱が伝わり、空気が暖められる。その後、空気は内窓2の上枠26の通気部5内に流入し、その内部に設けたポーラス材6により空気の流れの勢いが弱められ、室内の熱で暖められたポーラス材6や上枠26の熱が空気に伝わり、室内の気温と略同じ温度に暖められて室内側の通気孔32bより室内に流入する。このように、中間層3内を外窓1と内窓2に沿うように迂回して空気が流れること、内窓2の通気部5内で空気の流れに抵抗を与えることで、室内から室外に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室内に戻すことで、室内から室外への熱の損失がほとんどなくなるので、非常に高い断熱性が得られる。また、外気を暖めて室内に採り込めるので、室内に居る人が冷たい風を感じることがなく、暖房効率も良い。なお、図中の矢印は空気の流れを示している。
【0018】
また、内窓2の通気部5内にポーラス材6が設けてあることで、窓の上部と下部での温度差や室外の風の影響等により、空気が室内側から室外側に逆流するのを防止できる。内窓2の通気部5を、内窓2の上部(上枠26)に設けたことで、中間層3内で内窓2に沿って上昇した空気を室内に効率よく採り込むことができ、室内に流入する空気の温度を高くできる。ハニカムブラインド7は、中間まで上げた状態や一番上まで上げた状態であっても、外窓1の通気部4から流入した空気はハニカムブラインド7に当たって外窓1に沿うように下向きに迂回するため、断熱性能を向上する効果がある。
【0019】
内窓2の通気部5内に設けるポーラス材6等の抵抗部は、空気の流れに与える抵抗の強さが異なるものを何種類か準備しておき、その中から選択して用いることで、通気量を調節することができる。例えば、一つの建物に本発明の二重窓が設置された部屋が複数あり、トイレ等に設置された一つの換気扇により各部屋の換気を行う場合に、広い部屋には抵抗の小さいものを用い、狭い部屋には抵抗の大きいものを用いることで、各部屋に部屋の広さに応じた適正な換気量を確保することができる。
【0020】
図7は、本発明の二重窓の第2実施形態を示している。この実施形態では、外窓1と内窓2の間の中間層3に、通常のブラインド8を設けている。ブラインド8自体の断熱性や気密性は、ハニカムブラインド7と比べると劣るが、ブラインド8によって空気の流れを外窓1と内窓2に沿うように迂回させる作用はあるので、第1実施形態のものと同様に、室内から室外に伝わる熱を空気の流れによって回収して室内に戻すことで、断熱性能を向上することができる。なおブラインド8は、フィン46を縦にしてブラインド8を閉じた方が断熱効果は高まる。ハニカムブラインド7の場合と同様に、ブラインド8を中間まで上げた状態や一番上まで上げた状態であっても、外窓1の通気部4から流入した空気はブラインド8に当たって外窓1に沿うように下向きに迂回するため、断熱性能を向上する効果がある。
【0021】
図8は、本発明の二重窓の第3実施形態を示している。この実施形態では、外窓1と内窓2の間の中間層3の上部に、整流ガイド9を設けている。整流ガイド9は、室外側に向けて湾曲して垂下する入口側ガイド片47aと、入口側ガイド片47aの下端より連続する垂直な部分とその下方に室内側に屈曲した部分を有する逆流防止片47bと、室内側に傾斜した出口側ガイド片47cとを有し、これらの片47a,47b,47cにより中間層3内の空気の流れを外窓1と内窓2に沿うように迂回させている。入口側ガイド片47aは、外窓1の通気部4から流入した空気を外窓1に沿うように下向きに迂回させる働きがあり、逆流防止片47bは内窓2に沿って上昇した空気が室外側に逆流するのを防ぐ働きがあり、出口側ガイド片47cは内窓2に沿って上昇した空気を内窓2の通気部5へと誘導する働きがある。本実施形態によっても、第1・第2実施形態と同様に、室内から室外に伝わる熱を空気の流れによって回収して室内に戻すことで、断熱性能を向上することができる。また本実施形態の二重窓では、室内側から見たときに整流ガイド9が内窓2の上枠26と上框28に大部分が隠れるので、ハニカムブラインド7やブラインド8を設けたときのように、視界が邪魔されない利点がある。
【0022】
図9は、本発明の二重窓の第4実施形態を示している。この実施形態では、外窓1と内窓2の間の中間層3には何も設けていない。このように中間層3内に空気の流れを妨げるものがない場合でも、中間層3内の空気は外窓1寄りは室外の気温によって冷やされ、内窓2寄りは室内の気温によって暖められ、また冷たい空気は下降し、暖かい空気は上昇しようとするため、中間層3内に外窓1と内窓2に沿った自然な空気の流れが生じ、中間層3内を流れる空気に室内の熱が伝わり、且つ内窓2の上枠26の通気部5内に設けたポーラス材6の作用により空気が室内側から室外側に逆流するのが防がれるため、室内から室外に伝わる熱を空気の流れによって回収して室内に戻し、断熱性能を向上することができる。
【0023】
第1〜第4実施形態の二重窓について、室外側の気温が0℃、室内側の気温が20℃で、室外から室内に流入する空気の流量を変化させたときの内外圧力差、屋外側への熱量、フレームの熱貫流率Uf、ガラスの熱貫流率Ug、窓全体の熱貫流率Uwを、解析によって求めた。比較のために、通気部のない二重窓の熱貫流率Uwも求めた。解析結果を
図10に示す。また、換気流量と窓全体の熱貫流率Uwとの関係を
図11に示す。なお、ブラインド8を設置する第2実施形態については、ブラインド8のフィン46を縦にした状態で解析した。
【0024】
図10,11より明らかなように、換気を行わない二重窓では熱貫流率Uwが2.12であったのに対して、第1〜第4実施形態の二重窓は熱貫流率Uwが0.24〜1.58と大幅に小さい値となった。熱貫流率Uwは、流量が大きくなるほど小さくなる。特に、ハニカムブラインド7を設置した第1実施形態は、熱貫流率Uwが0.24〜0.73と非常に小さい値となり、ブラインド8を設置した第2実施形態と整流ガイド9を設置した第3実施形態も、1前後の小さい値となった。また、中間層3内に何も設置しない第4実施形態でも、十分断熱性能を向上する効果があることが確認された。
【0025】
図12は、本発明の二重窓の第5実施形態を示している。この実施形態では、外窓1と内窓2の間の中間層3に、第1実施形態と同様にハニカムブラインド7を設置しており、ハニカムブラインド7は室外側の表面7aを黒色や褐色等の暗色としている。ハニカムブラインド7の室外側の表面7aを暗色とするには、例えば暗色の生地を使用してもよいし、暗色のフィルムを貼ったり、暗色の塗装を施したものでもよい。
このように、ハニカムブラインド7の室外側の表面7aを暗色とすることで日射吸収率が向上し、日射により暖められた空気を室内に取り込める利点がある。
【0026】
図13は、本発明の二重窓の第6実施形態を示している。この実施形態では、外窓1と内窓2の間の中間層3に、透明ロールスクリーン49を設置している。透明ロールスクリーン49の巻取り軸50の室外側には,板状の気流止め51が取付けてあり、これにより外窓1の通気部4より流入した空気が透明ロールスクリーン49に沿って下向きに流れるようにしている。
このように、中間層3に透明ロールスクリーン49を設置した場合には、透明ロールスクリーン49を下したままにして外窓1と内窓2に沿った空気の流れを確保しながら、窓からの眺望が阻害されない利点がある。
【0027】
図14は、本発明の二重窓の第7実施形態を示している。この実施形態では、外窓1と内窓2の間の中間層3に、透明ロールスクリーン49を設置し、さらにその室内側に並べて透明でない一般ロールスクリーン52を設置している。
本実施形態によれば、透明ロールスクリーン49は常に下げた状態としておき、昼間は一般ロールスクリーン52を上げることで窓から外の景色を見たり日光を取り入れたりでき、夜間は一般ロールスクリーン52を下げることで外からの視線を遮ることができる。また、透明ロールスクリーン49と一般ロールスクリーン52の間に形成される空気層により、断熱性能のさらなる向上が期待できる。
【0028】
図15,16は、本発明の二重窓の第8実施形態を示している。この実施形態では、外窓1と内窓2の間の中間層3に、外障子53aと内障子53bとからなる引違い戸54を設けている。外障子53aと内障子53bは、框55を組んだ枠にガラスや樹脂板よりなる透光性パネル56を嵌め込んで構成され、上額縁に取付けたレール57に吊り戸車58にて支持され、左右にスライドして開閉できるようにしている。
このように、中間層3に透光性パネル56を用いた障子53a,53bが設置してあると、台風のような強い雨風のときに外窓1の通気部4から雨水が浸入しても、障子53a,53bにより雨水を遮断できる。また、透光性パネル56を用いているため、窓からの眺望が阻害されない。なお障子53a,53bは、透光性パネル56の上部と下部のみにアルミフレームを取付けたものや、透光性パネル56だけの簡易的なものであってもよい。
【0029】
これまで冬季の場合について説明したが、本発明の二重窓は夏季においても冬季と同様に優れた断熱性能を発揮する。夏季の場合は、送風機42により室内を正圧に調整し、通気部4,5と中間層3を通して空気が室内側から室外側に流れるようにする。室内の空気の温度は室外よりも低いので、通気部4,5と中間層3内を空気が室内側から室外側に流れる間に空気に外窓1やハニカムブラインド7等の熱が伝わり、空気と一緒に熱が室外に放出されるため、空気が流出する方向とは逆方向である室外側から室内側への熱輸送が妨げられ、優れた断熱効果を発揮して、室内が涼しく保たれる。なお、整流ガイド9を設ける第3実施形態については、夏期には整流ガイド9の向きを冬期とは室内外逆にする。
【0030】
以上に述べたように本発明の二重窓は、中間層3内の空気の流れを外窓1と内窓2に沿うように迂回させること、通気部5内を流れる空気に抵抗を与えることにより、空気が流れる方向と逆方向の熱移動が妨げられ、極めて高い断熱性能が得られる。中間層3内にハニカムブラインド等を設けて中間層3内の空気の流れを迂回させること、通気部5内を流れる空気に抵抗を与えることのいずれか一方のみでも、断熱性能を向上する効果がある。また本発明の二重窓は、換気を行いながら断熱性を高められるので、24時間換気を行う建物に好適である。
【0031】
外窓1と内窓2のガラス20,45は、単板ガラスでも複層ガラスでもよいが、実施形態のように外窓1のガラス20を単板ガラス、内窓2のガラス45を複層ガラスにすると、室内の熱が中間層3に伝わりにくくなるため、特に冬期に効果を発揮する。反対に外窓1のガラス20を複層ガラス、内窓2のガラス45を単板ガラスにすると、室外の熱が中間層3に伝わりにくくなるため、特に夏期に効果を発揮する。両方とも複層ガラスにすると、冬期・夏期ともに効果を発揮する。もっとも両方とも単板ガラスにした場合でも、中間層3内の空気の流れにより熱を回収することで、冬期・夏期ともに断熱性能を向上する効果がある。
【0032】
また、外窓1と内窓2のガラス20,45のどちらか一方又は両方を低放射性の表面処理を施したガラス(low−eガラス)にするか、外窓1のガラス20の室内側の面と内窓2のガラス45の室外側の面のどちらか一方又は両方に低放射性のフィルム(low−eフィルム)を貼ると、ガラス面からの輻射による熱移動が軽減されるため、断熱性能をより一層高めることができる。中間層3内に何も設置しない場合や、整流ガイド9を設けた場合、ハニカムブラインド7やブラインド8を上げた状態のときには、輻射による影響が大きくなるため、このような対策は効果的である。
また、中間層3に設けるハニカムブラインド7やブラインド8、ロールスクリーン49,52等に低放射性のフィルムを貼ることもでき、これによっても断熱性能を高める効果がある。
【0033】
本発明の二重窓、二重窓の内窓及び二重窓の形成方法は、新築の建物に外窓1と内窓2を同時に設置する場合に限らず、既存の単体のサッシ(外窓1)が取付けられた窓に、後から内窓2を増設して二重窓とする場合にも適用できる。既存の外窓を利用することで、コストが抑えられる。
【0034】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。外窓と内窓の形態は任意であり、引違い窓に限らず、嵌め殺し窓や開き窓等であってもよい。外窓と内窓の通気部は、必ずしも上框に孔を開けるなどして設けたものでなくてもよく、例えば上框と上枠との隙間を通気部とし、その隙間から空気が流入・流出するものであってもよい。外窓の通気部は、竪枠や下枠等に設けることもできる。空気の流れに抵抗を与える抵抗部は、通気部のうちの何れに設けてあってもよく、外窓の通気部に設けることもできる。また、抵抗部としてグラスウールやウレタンフォーム等のポーラス材を用いる以外に、アルミ等のパンチングパネルや、通気部内の対向する面に互い違いに突設した櫛歯状のフィンを抵抗部とすることもできる。