特許第6175748号(P6175748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175748
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20060101AFI20170731BHJP
   G02B 7/34 20060101ALI20170731BHJP
   G03B 13/36 20060101ALI20170731BHJP
   G03B 7/08 20140101ALI20170731BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   G02B7/28 N
   G02B7/34
   G03B13/36
   G03B7/08
   H04N5/232 120
   H04N5/232 930
   H04N5/232 190
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-188816(P2012-188816)
(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-48329(P2014-48329A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】神林 秀樹
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−035474(JP,A)
【文献】 特開2004−309701(JP,A)
【文献】 特開2012−113248(JP,A)
【文献】 特開2003−227994(JP,A)
【文献】 特開2012−113272(JP,A)
【文献】 特開2011−022386(JP,A)
【文献】 特開2003−057533(JP,A)
【文献】 特開2010−049150(JP,A)
【文献】 特開2011−017739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28
G02B 7/34
G03B 7/08
G03B 13/36
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系からの光束を第1方向および第2方向に分割する光束分割部と、
第1の撮像用画素が二次元状に配列され前記第1方向の光束を受光する第1の撮像素子と、
第2の撮像用画素が二次元状に配列されると共に前記第2の撮像用画素の配列中に焦点検出用画素が配置され前記第2方向の光束を受光する第2の撮像素子と、
を備え、
前記第1の撮像素子における前記第1の撮像用画素の信号によって表示用及び記録用撮像を行い、
前記第2の撮像素子における前記焦点検出用画素の信号によって撮影条件決定を行い、
前記第1の撮像素子における表示用に信号を生成するための蓄積時間またはゲインは、前記第2の撮像素子における撮影条件決定の信号を生成するための蓄積時間またはゲインよりも変化幅を小さくし、変化頻度を低くする撮像装置。
【請求項2】
請求項に記載の撮像装置であって、
前記撮影条件決定のための情報は、焦点検出信号を用いた焦点検出情報を含む撮像装置。
【請求項3】
請求項に記載の撮像装置であって、
前記撮影条件決定には、前記第2の撮像用画素の信号を用いた情報を含む撮像装置。
【請求項4】
請求項に記載の撮像装置であって、
前記第2の撮像素子における、前記焦点検出用画素からの焦点検出信号取得時と、前記第2の撮像用画素からの撮影条件決定のための情報取得時とで、電荷蓄積動作が異なる撮像装置。
【請求項5】
請求項に記載の撮像装置であって、
前記第2の撮像素子における、焦点検出信号取得時と撮影条件決定のための情報取得時とは、電荷蓄積時間が異なる電荷蓄積動作を行なう撮像装置。
【請求項6】
請求項に記載の撮像装置であって、
前記第2の撮像素子における、焦点検出信号取得時と撮影条件決定のための情報取得時とは、ゲインが異なる電荷蓄積動作を行なう撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記第2の撮像素子における前記第2の撮像用画素からの撮影条件決定のための情報は、測光情報である撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記第2の撮像素子における前記第2の撮像用画素からの撮影条件決定のための情報は、色情報を用いた被写体追尾情報である撮像装置。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記第2の撮像素子における前記第2の撮像用画素からの撮影条件決定のための情報は、顔検出情報である撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
結像光学系からの光束を2方向に分割して、それぞれ撮像用画素の配列中に焦点検出用画素が配置された撮像素子に導き、各撮像素子における電荷蓄積動作を独立に制御する蓄積制御手段を備える撮像装置も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4858179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、好適な電荷蓄積制御を行うことのできる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、光学系からの光束を第1方向および第2方向に分割する光束分割部と、第1の撮像用画素が二次元状に配列され前記第1方向の光束を受光する第1の撮像素子と、第2の撮像用画素が二次元状に配列されると共に前記第2の撮像用画素の配列中に焦点検出用画素が配置され前記第2方向の光束を受光する第2の撮像素子と、を備え、前記第1の撮像素子における前記第1の撮像用画素の信号によって表示用及び記録用撮像を行い、前記第2の撮像素子における前記焦点検出用画素の信号によって撮影条件決定を行い、前記第1の撮像素子における表示用に信号を生成するための蓄積時間またはゲインは、前記第2の撮像素子における撮影条件決定の信号を生成するための蓄積時間またはゲインよりも変化幅を小さくし、変化頻度を低くする構成とした
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、好適な電荷蓄積制御を行うことのできる撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態を適用したカメラの概略図である。
図2】第1の撮像素子における撮像用画素配列の拡大図である。
図3】第2の撮像素子におけるAFエリアの配置を示す図である。
図4】第2の撮像素子における焦点検出用画素列の拡大図である。
図5】カメラ制御装置のブロック構成図である。
図6】撮像制御部による蓄積制御の説明図である。
図7】カメラ制御装置による撮影待機時および撮影時における制御のフローチャートである。
図8】カメラ制御装置による撮影待機時および撮影時における制御のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用したカメラ1の概略図である。
本実施形態におけるカメラ1は、結像光学系を備える撮影レンズ20によって結像された被写体像を電気的な画像情報として記録するデジタルカメラである。
カメラ1は、撮影レンズ20とカメラボディ10とから構成され、マウント部30を介して撮影レンズ20がカメラボディ10に装着される。
【0010】
撮影レンズ20は、ズーミングレンズ21、フォーカシングレンズ23、絞り24、レンズ駆動制御装置25等を備えている。
レンズ駆動制御装置25はマイクロコンピューターとメモリなどの周辺部品から構成され、フォーカシングレンズ23と絞り24の駆動制御、ズーミングレンズ21、フォーカシングレンズ23および絞り24の状態検出、後述するカメラ制御装置50との通信によりレンズ情報の送信とカメラ情報の受信等を行う。
【0011】
カメラボディ10は、ペリクルミラー11、第1の撮像素子41、第2の撮像素子42、EVF(Electric View Finder)12、メモリカード13、カメラ制御装置50等を備えている。
ペリクルミラー11は、反射皮膜面11Pを有し、その反射皮膜面11Pを撮影レンズ20から入射する光束光軸に対して45°の角度を有して配設されている。ペリクルミラー11は、撮影レンズ20から到来する光束を反射光束と透過光束に1:1に分割し、反射光束を入射光束に対して図中上側に90°の角度で屈曲する。
【0012】
第1の撮像素子41および第2の撮像素子42は、たとえばCCDやCMOS等の光電変換素子であって、その受光面に結像された被写体像を電気信号に変換する。
第1の撮像素子41は、ペリクルミラー11を透過した光束を受光する撮影レンズ20の予定結像面(撮像面)に配置される。この第1の撮像素子41は、専ら後述するEVF12における表示画像および記録画像の撮像を行う。
【0013】
第2の撮像素子42は、ペリクルミラー11の図中上側に、ペリクルミラー11で反射された光束を受光するように撮影レンズ20の他の予定結像面(撮像面)に配置される。この第2の撮像素子42は、オートフォーカス(AF)や自動露出(AE)等の制御情報を得るための撮像を行う。
なお、第1の撮像素子41および第2の撮像素子42については、後に詳述する。
【0014】
EVF12は、液晶表示装置駆動回路12A、液晶表示素子12B、接眼レンズ12C等により構成されている。EVF12は、第1の撮像素子41による撮像画像を液晶表示素子12Bに表示し、接眼レンズ12Cを介して撮影者に視認可能とする。
【0015】
カメラ制御装置50は、マイクロコンピューターとメモリなどの周辺部品から構成され、第1の撮像素子41および第2の撮像素子42からの画像信号の読出しと補正、レンズ駆動制御装置25との通信(レンズ情報の受信、デフォーカス量などのカメラ情報の送信)、撮影レンズ20の焦点調節状態(デフォーカス量)の検出、およびカメラ全体の動作制御を行う。
カメラ制御装置50とレンズ駆動制御装置25はマウント部30に設けられた電気接点31を介して通信を行い、レンズ情報、デフォーカス量、絞り情報などの各種情報の授受を行う。このカメラ制御装置50における詳細については後述する。
【0016】
上記構成のカメラ1は、図示しないシャッタボタンが押圧操作(レリーズ操作)されると、カメラ制御装置50によって制御され、第2の撮像素子42による撮像から制御情報を得、その制御情報に基づいて制御して第1の撮像素子41で被写体像光を電気信号に変換し、その撮像データをメモリカード13に記録する(撮影)する。
【0017】
つぎに、図2図6を参照して、第1の撮像素子41、第2の撮像素子42およびカメラ制御装置50について詳細に説明する。
図2は、第1の撮像素子41における撮像用画素配列の拡大図である。図3は、第2の撮像素子42におけるAFエリア42Aの配置を示す図である。図4は、第2の撮像素子42における焦点検出用画素列43の拡大図である。図5は、カメラ制御装置50のブロック構成図である。図6は、撮像制御部501による蓄積制御の説明図である。
【0018】
第1の撮像素子41は、図2に拡大図を示すように、撮像用画素41Pが2次元状に配置されている。撮像用画素41Pは、それぞれカラーフィルタを有する、緑画素41PG、赤画素41PR、青画素41PBの3種類の画素からなり、これらの画素がベイヤー配列で2次元配列されている。
第1の撮像素子41は、撮影レンズ20の結像光学系によって結像され、ペリクルミラー11を透過してその撮像面に結像した被写体像を光電変換し、カメラ制御装置50に出力する。
【0019】
第2の撮像素子42は、撮像用画素42Pが2次元状に配置されるとともに、図3に正面図示すAFエリア42Aに対応した部分に、焦点検出用画素列43が組み込まれている。図4は、AFエリア42A部分を拡大して示す。
撮像用画素42Pは、それぞれカラーフィルタを有する、緑画素42PG、赤画素42PR、青画素42PBの3種類の画素からなり、これらの画素が、AFエリア42A(焦点検出用画素列43)を除いて、ベイヤー配列で2次元配列されている。
【0020】
AFエリア42Aは、図3に示すように、第2の撮像素子42の撮像範囲内に、縦5カ所×横5カ所、計25ヶ所に設定されている。
図4に示すように、AFエリア42Aを構成する焦点検出用画素列43は、開口が左側の焦点検出用画素43Lと開口が右側の焦点検出用画素43Rとが交互に並び、各焦点検出用画素43L,43R上に配置されたマイクロレンズにより、撮影レンズ20の瞳の右側と左側を通った光を受光するようになっている。
これらの焦点検出用画素43L,43Rは、カラーフィルタを備えない。このような焦点検出用画素列43の検出信号に基づいて、後述する第2画像処理部520のデフォーカス演算部521が、瞳分割位相差方式の焦点検出を行う。これについては、後に詳述する。
【0021】
第2の撮像素子42は、撮影レンズ20の光学系によって結像され、ペリクルミラー11によって反射されてその撮像面に結像した被写体像を光電変換し、カメラ制御装置50に出力する。その撮像情報(検出信号)は、合焦制御のためのデフォーカス検出や、色追尾や顔検出、露出制御のための光量検出(測光)に用いられる。
【0022】
ここで、前述したように、第1の撮像素子41はEVF12における表示画像および記録画像の撮像を行い、第2の撮像素子42の撮像からは制御情報を取得するが、第1の撮像素子41と第2の撮像素子42の有効画素範囲は一致している。EVF12の被写体観察画像は、第1の撮像素子41の信号から生成されるため、第2の撮像素子42の有効画素範囲とも一致している。
【0023】
カメラ制御装置50は、図5に示すように、カメラ制御部500と、第1画像処理部510と、第2画像処理部520と、により構成されている。
カメラ制御部500は、撮像制御部501、エリア選択部502、EVF表示部503、レンズ制御部504等を備えている。
【0024】
撮像制御部501は、第1の撮像素子41および第2の撮像素子42に対する、電荷蓄積開始、終了、間引き、読出し、ゲインの制御等を行う。
ここで、第1の撮像素子41によるEVF表示用の蓄積と、第2の撮像素子42による制御情報検出(合焦制御のためのデフォーカス検出、色追尾や顔検出、露出制御のための光量検出)のための蓄積とは、その取得すべき情報によって、画素のカラーフィルタの有無、色による飽和レベル等に差異がある。このため、撮像制御部501は、取得する制御情報に応じて、電荷蓄積時間およびゲインをそれぞれの機能に適したレベルに制御する蓄積制御を行う。
【0025】
すなわち、第1の撮像素子41の撮像用画素41Pから撮像情報を取得するEVF表示用蓄積と、第2の撮像素子42のカラーフィルタを備えない焦点検出用画素列43(焦点検出用画素43L,43R)から検出情報を取得するデフォーカス検出用蓄積と、第2の撮像素子42のカラーフィルタ有り撮像用画素42Pから被写体追尾・顔検出を行うための色情報を取得する色追尾・顔検出用蓄積と、第2の撮像素子42のカラーフィルタ有り撮像用画素42Pから測光を行うための光量情報を取得する測光用蓄積とで、電荷蓄積時間およびゲインの最適値は異なる。
【0026】
そこで、図6に一例を示すように、EVF12に被写体像を表示するためのEVF表示用蓄積では、視認性の観点から蓄積制御の変化幅を小さく変化頻度を低く設定する。
一方、デフォーカス検出用蓄積、色追尾・顔検出用蓄積および測光用蓄積では、それぞれの機能に応じて蓄積制御の変化幅を大きく且つ変化頻度を高くして最適なレベルとし、精度の高い検出を可能とする。
【0027】
エリア選択部502は、後述の色追尾演算部、顔検出演算部の演算結果や、ユーザの指定に基づき、AFやAEに用いる画面内のエリアを選択する。
EVF表示部503は、後述する第1画像処理部510におけるEV画像生成部512が生成した画像を、EVF12における液晶表示装置駆動回路12Aを駆動して液晶表示素子12Bに表示させる。
【0028】
レンズ制御部504は、後述する第2画像処理部520におけるデフォーカス演算部521の演算結果に基づく撮影レンズ20におけるフォーカシングレンズ23の駆動、および測光演算部の演算結果に基づく絞り値の制御情報を、撮影レンズ20におけるレンズ駆動制御装置25に送信し、レンズ駆動制御装置25を介して撮影レンズ20を制御する。
【0029】
第1画像処理部510は、撮影画像生成部511と、EV(電子ビュー)画像生成部512と、を備えている。
撮影画像生成部511は、撮影時において、第一撮像素子41の信号から、撮影画像を生成する。
EV画像生成部512は、被写体観察時において、第一撮像素子41の信号から、EVF12に表示するための画像を生成する。
【0030】
第2画像処理部520は、デフォーカス演算部521と、測光演算部522と、色追尾演算部523と、顔検出演算部524と、AF画素補間部525と、を備えている。
デフォーカス演算部521は、第2の撮像素子42における焦点検出用画素列43の信号から、相関演算により撮影レンズ20のデフォーカス量を演算する。
【0031】
すなわち、デフォーカス演算部521は、焦点検出用画素列43における各焦点検出用画素43L,43Rの一対の光電変換部の出力を、左右に分割された各測距瞳に対応した出力グループにまとめることによって、各測距瞳を各々通過する焦点検出光束が焦点検出用画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報を得る。
これらの情報に対して像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことにより、いわゆる瞳分割型位相差検出方式で一対の像の像ズレ量を検出する。
さらに、像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を行うことにより、予定結像面に対する現在の結像面の偏差(デフォーカス量)を算出する。
【0032】
測光演算部522は、エリア選択部502が選択したエリアにおける、第2の撮像素子42の撮像用画素42Pの信号から、被写体撮影に最適な露出を演算し、シャッタスピードや絞りを決定する。また、ユーザの指定や色追尾、顔検出により、主要被写体が存在するAFエリアが特定できる場合は、そのエリアに重点を置いた測光演算を行う。
色追尾演算部523は、第2の撮像素子42の撮像用画素42Pの信号から、最初にユーザに指定された主要被写体の色を記憶し、色によるテンプレートマッチングにより、主要被写体の画面内の位置を追尾する。
【0033】
顔検出演算部524は、第2の撮像素子42の撮像用画素42Pの信号から、人物の顔が存在する画面内の位置を検出する。
AF画素補間部525は、カラーフィルタを持たず感度も異なるAF画素(焦点検出用画素列43における焦点検出用画素43L,43R)の位置における、色や光量の信号を、周辺のカラーフィルタを持つ撮像用画素42Pの信号から補間して求める。この信号は、測光演算部522、色追尾演算部523、顔検出演算部524が使用する。
【0034】
つぎに、図7および図8を参照して、カメラ制御装置50による撮影待機時および撮影時における撮像素子41,42に係る制御を説明する。
図7は、カメラ制御装置50による撮影待機時および撮影時における制御フローチャートである。図8は、カメラ制御装置50による撮影待機時および撮影時における制御のタイムチャートである。
【0035】
まず、図7に示すフローチャートに沿って、撮影待機時および撮影時における制御の全体の流れを説明する。なお、図中および以下の説明において「ステップ」を「S」とも略記する。
カメラ制御装置50は、カメラ1における電源が投入されると、第1の撮像素子を蓄積制御(EVF表示用蓄積)してEVF12による表示を開始し(S701)、図示しないシャッタボタンの押下(半押し)を待機する(S702)。
【0036】
そして、ステップ702においてシャッタボタンの半押しが判断されると、制御情報の取得とそれらの演算を行う(S703)。
ステップ703における制御情報の取得および演算は、デフォーカス検出用蓄積および演算、色追尾・顔検出用蓄積および演算、測光検出用蓄積および演算である。これら制御情報の取得は、前述したように、カメラ制御部500の撮像制御部501が第2画像素子を蓄積制御して行い、制御情報の演算は第2画像処理部520において行う。
【0037】
ついで、ステップ703におけるデフォーカス演算結果に基づいて、合焦制御を行う。すなわち、レンズ制御部504がデフォーカス情報をレンズ駆動制御装置25に送信し、レンズ駆動制御装置25によってフォーカシングレンズ23を駆動してユーザの指定または主要被写体が存在するAFエリア42Aにおいて合焦させる(S704)。
【0038】
そして、シャッタボタンの全押しによる撮影指令を待機する(S705)。
ステップ705において、シャッタボタンの全押しの判断が行われない場合(No)には、ステップ703の制御情報の取得および演算を繰り返す。ここで、色追尾演算および顔検出演算結果は、次回の合焦制御時におけるAFエリア42Aの選択に反映される。
【0039】
ステップ705において、シャッタボタンの全押しによる撮影指令が判断される(Yes)と、撮影制御する。すなわち、測光演算結果に基づいてレンズ駆動制御装置25を介して絞り24を駆動して絞り開口の大きさを制御し、第1の撮像素子41を蓄積制御(記録用蓄積)して、その撮像情報をメモリカード13に記録する(S706)。
【0040】
つぎに、図8に示すタイムチャートを参照し、時系列に沿ってカメラ制御装置50による制御をより詳細に説明する。図8では、ユーザがシャッタボタンを半押ししてから全押しされるまで何回か繰り返されるうちの、一部を示す。
(撮影前における第1の撮像素子41に係る制御)
T11:カメラ1の電源投入。第1の撮像素子41におけるEVF表示用蓄積開始。このEVF表示用蓄積時において、第1の撮像素子41の撮像用画素感度および被写体輝度に合わせて、蓄積時間やゲインを可変制御する蓄積制御を行う。ここでの蓄積制御は、被写体観察画像の明るさが頻繁に大きく変わらないようにする。
T12:EVF表示用蓄積終了。読出し開始。EVF表示用蓄積の読出しは、EVF表示解像度に見合った間引き読出しを行う。
【0041】
T13:EVF表示用蓄積信号の読出し終了。次フレームのEVF表示用蓄積開始。第1画像処理部510によるEVF画像表示用の画像生成処理開始。
T14:EVF画像表示用の画像処理終了。EVF12に表示。
上記EVF表示用蓄積、読出し、画像処理、表示は、所定時間毎に繰り返す。
【0042】
(撮影前における第2の撮像素子42に係る制御)
T21:シャッタボタンが半押しにより、第2の撮像素子42からデフォーカス検出用の信号を得るためのデフォーカス検出用蓄積開始。このレンズ制御用蓄積時、焦点検出用画素43L,43Rの感度、被写体輝度に合わせて蓄積時間やゲインを可変制御する蓄積制御を行う。
T22:デフォーカス検出用蓄積終了。読出し開始。このデフォーカス検出用蓄積信号の読出しは、焦点検出用画素43L,43Rが存在する行のみ間引き読出しを行う。
【0043】
T23:デフォーカス検出用蓄積信号の読出し終了。第2の撮像素子42から色追尾と顔検出用の信号を得るための色追尾・顔検出用蓄積開始。
色追尾・顔検出用蓄積時は、撮像用画素42Pの感度、主要被写体輝度に合わせて、なるべく主要被写体部分が飽和・黒つぶれしないよう、蓄積時間やゲインを可変制御する蓄積制御を行う。
また、ここで、読み出されたデフォーカス検出用蓄積信号に基づく合焦制御を開始する。
デフォーカス検出用蓄積信号に基づく合焦制御は、第2画像処理部520のデフォーカス演算部521によりデフォーカス演算を行い、レンズ駆動制御装置25を介してフォーカシングレンズ23を制御駆動してピントを合わせる。
【0044】
T24:色追尾・顔検出用蓄積終了。色追尾・顔検出用蓄積の読出し開始。
T25:色追尾・顔検出用蓄積信号の読出し終了。第2の撮像素子42から測光演算用の信号を得るための測光演算用蓄積開始。また、読み出された色追尾・顔検出用情報に基づく色追尾・顔検出用演算開始。この結果により、カメラ制御部が、次回AFを行うAFエリアを選択する。
測光演算用蓄積時は、撮像用画素42Pの感度、被写体輝度に合わせ、なるべく画面全体が飽和しないよう、蓄積時間やゲインを可変制御する蓄積制御を行う。
T26:測光演算用蓄積終了。読出し開始。
T27:測光演算用蓄積信号の読出し終了。読み出された測光演算用情報に基づく測光演算開始。この結果は、続いて撮影に入った場合には、シャッタスピード・絞りの制御に用いられる。撮影に入らなかった場合には、次回の第二撮像素子の蓄積時間とゲインの制御、シャッタスピードと絞りのユーザへの表示に用いられる。
その後、再びレンズ制御用蓄積を開始し、シャッタボタンが全押しされるまで、前述した蓄積を繰り返す。
【0045】
(撮影動作に係る制御)
T31:シャッタボタン全押しによる撮影指令。第1の撮像素子41の撮影用蓄積開始。
撮影用蓄積における蓄積時間は、前回の測光・色追尾・顔検出の結果から求められる露出値に基づいて制御する。蓄積開始前に撮影レンズ20におけるレンズ駆動制御装置25を介して絞り24を設定値に絞る。
T32:撮影用蓄積終了。読出し開始。
T33:撮影用蓄積信号の読出し終了。第1画像処理部510による画像処理、撮影画像生成開始。
T34:撮影画像生成終了。撮影画像をメモリカード13に記録。
【0046】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)カメラ1は、撮像用画素41Pのみを有する第1の撮像素子41と、撮像用画素42Pと焦点検出用画素43L,43Rを有する第2の撮像素子42とを備え、第1の撮像素子41でEVF12における表示画像および記録画像の撮像を行い、第2の撮像素子42の撮像からはデフォーカス検出、色追尾・顔検出および測光検出等の制御情報を取得する。
このため、頻繁に明暗を変えられない電子ビュー画像用の蓄積制御と、デフォーカス検出用、色追尾・顔検出用および測光検出用の蓄積制御を、それぞれ独立して行うことができ、各機能に最適な蓄積レベルで信号を取得できる。このため、画素出力飽和による性能劣化がなく、追従性および精度を向上できる。
(2)焦点検出用の画素を備えない第1の撮像素子によって記録画像を撮像するため、AF画素の補間処理による画質劣化がない。
【0047】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)上記実施形態は、本発明を、カメラ本体とレンズ鏡筒とが別体に構成されて結合可能なレンズ交換可能なカメラ1に適用したものである。しかし、本発明はこれに限らず、一体型のカメラに適用しても良い。
【0048】
(2)また、上記実施形態では、入射光束をペリクルミラー11によって2方向に分割しているが、この光束分割光学素子は光分割プリズム等、他の構成を用いても良い。また、光束の分割角度や分割比率は、本実施形態のものに限定されず、適宜設定可能である。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0049】
1:カメラ、10:カメラボディ、11:ペリクルミラー、12:EVF、41:第1の撮像素子、41P:撮像用画素、42:第2の撮像素子、42P:撮像用画素、43:焦点検出用画素列、43L,43R:焦点検出用画素、50:カメラ制御装置、500:カメラ制御部、501:撮像制御部、510:第1画像処理部、511:撮影画像生成部、512:EV画像生成部、520:第2画像処理部、521:デフォーカス演算部、522:測光演算部、523:色追尾演算部、524:顔検出演算部、525:AF画素補間部
図1
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