(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1ステージに支持された前記複数の基板が前記第1ステージと前記第2ステージとの間に挟持される前に、前記第1ステージの速度を減少させるように制御する請求項9に記載の加圧装置。
前記第2押圧部材を予め定められた速度以上の速さで移動させるときには前記第1の制御弁を制御し、前記予め定められた速度未満の速さで移動させるときには前記第2の制御弁を制御する請求項12から15のいずれか1項に記載の加圧装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、基板貼り合わせ装置の全体構成図である。基板貼り合わせ装置10は、2枚の基板90、90を貼り合わせて、重ね合わせ基板92を製造する。尚、基板貼り合わせ装置10が、3枚以上の基板90を貼り合わせて、重ね合わせ基板92を製造するように構成してもよい。
【0016】
図1に示すように、基板貼り合わせ装置10は、大気環境部14と、真空環境部16と、制御部18とを備える。
【0017】
大気環境部14は、環境チャンバ12と、複数の基板カセット20、20、20と、基板ホルダラック22と、ロボットアーム24と、プリアライナ26と、仮接合部28と、ロボットアーム30とを有する。環境チャンバ12は、大気環境部14を囲むように形成されている。
【0018】
基板カセット20、20、20は、基板貼り合わせ装置10において結合されて貼り合わされる基板90を収容する。また、基板カセット20、20、20は、基板貼り合わせ装置10において結合されて貼り合わされた重ね合わせ基板92を収容する。基板カセット20、20、20は、環境チャンバ12の外面に脱着可能に装着されている。これにより、複数の基板90を基板貼り合わせ装置10に一括して装填できる。また、複数組の重ね合わせ基板92を一括して回収できる。基板貼り合わせ装置10によって貼り合わされる基板90は、単体のシリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、ガラス基板等の他、それらに素子、回路、端子等が形成されていてもよい。また、装填された基板90が、既に複数のウエハが積層された重ね合わせ基板92であってもよい。
【0019】
基板ホルダラック22は、一対の基板90が重ね合わされた重ね合わせ基板92を上下方向から保持する基板ホルダ94を収容する。基板ホルダ94は、各組の重ね合わせ基板92の2枚の基板90を静電吸着により保持する。
【0020】
ロボットアーム24は、環境チャンバ12の内部であって、基板カセット20、20、20の近傍に配置されている。ロボットアーム24は、基板カセット20、20、20に装填されている基板90をプリアライナ26に搬送する。ロボットアーム24は、プリアライナ26の基板90を、後述する仮接合部28の移動ステージ38に載置された基板ホルダ94へと搬送する。ロボットアーム24は、結合されて移動ステージ38まで搬送された重ね合わせ基板92を基板カセット20、20、20の何れかに搬送する。
【0021】
プリアライナ26は、環境チャンバ12の内部であって、ロボットアーム24の近傍に配置されている。プリアライナ26は、仮接合部28に基板90を装填する場合に、高精度であるがゆえに、狭い仮接合部28の調整範囲にそれぞれの基板90が装填されるように、個々の基板90の位置を仮合わせする。これにより、仮接合部28における基板90の位置決めが、迅速且つ正確にできる。
【0022】
仮接合部28は、位置合わせ部の一例である。仮接合部28は、ロボットアーム24とロボットアーム30との間に配置されている。仮接合部28は、枠体34と、固定ステージ36と、移動ステージ38と、一対のシャッタ40及びシャッタ42とを有する。
【0023】
枠体34は、固定ステージ36及び移動ステージ38を囲むように形成されている。枠体34の基板カセット20、20、20側の面と、真空環境部16側の面は、基板90及び重ね合わせ基板92を搬入及び搬出可能に、開口されている。
【0024】
固定ステージ36は、枠体34の内側であって、基板カセット20、20、20の近傍に固定されている。固定ステージ36の下面は、基板90を保持した状態で、ロボットアーム30により移動ステージ38から搬送される基板ホルダ94を真空吸着する。
【0025】
移動ステージ38は、枠体34の内側であって、真空環境部16側に配置されている。移動ステージ38の上面は、基板90及び基板ホルダ94を真空吸着する。移動ステージ38は、枠体34の内部を水平方向及び鉛直方向に移動する。これにより、移動ステージ38が移動することによって、固定ステージ36に保持された基板90及び基板ホルダ94と、移動ステージ38に保持された基板90及び基板ホルダ94とが位置合わせされ、仮接合される。基板90と基板90は、接着剤によって仮接合してもよく、プラズマによって仮接合してもよい。
【0026】
シャッタ40は、枠体34の基板カセット20側の開口を開閉する。シャッタ42は、枠体34の真空環境部16側の開口を開閉する。枠体34及びシャッタ40、42に囲まれた領域は、空気調整機等に連通されて、温度管理される。これにより、基板90と基板90との位置合わせの精度が向上する。
【0027】
ロボットアーム30は、環境チャンバ12の内部であって、真空環境部16と仮接合部28との間に配置されている。ロボットアーム30は、基板ホルダラック22に収容されている基板ホルダ94を移動ステージ38へと搬送する。移動ステージ38に載置された基板ホルダ94は、ロボットアーム24によってプリアライナ26から搬送された基板90を静電吸着により保持する。ロボットアーム30は、移動ステージ38上に載置され、基板90を保持する基板ホルダ94を、裏返して固定ステージ36へと搬送する。固定ステージ36の下面は、ロボットアーム30によって搬送された基板ホルダ94を基板90とともに真空吸着する。ロボットアーム30は、移動ステージ38によって位置合わせされた一対の基板90を含む重ね合わせ基板92及び基板ホルダ94を真空吸着して、真空環境部16へと搬送する。ロボットアーム30は、真空環境部16において、結合されて貼り合わされた重ね合わせ基板92を真空環境部16から移動ステージ38へと搬送する。
【0028】
真空環境部16は、基板貼り合わせ装置10の貼り合わせ工程において、高温且つ真空状態に設定される。真空環境部16は、ロードロック室48と、一対のアクセスドア50及びゲートバルブ52と、ロボットアーム54と、3個の収容室55と、3個の加熱加圧装置56と、ロボットアーム58と、冷却室59とを備える。尚、加熱加圧装置56の個数は、3個に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0029】
ロードロック室48は、大気環境部14と真空環境部16とを連結する。ロードロック室48は、真空状態及び大気圧に設定できる。ロードロック室48の大気環境部14側及び真空環境部16側は、一対の基板ホルダ94に保持された一対の基板90を含む重ね合わせ基板92を搬送可能に開口されている。
【0030】
アクセスドア50は、ロードロック室48の大気環境部14側の開口を開閉する。アクセスドア50は、図示しないポートを介してロードロック室48に空気が導入、即ち大気開放されて、圧力ゲージによって大気圧とロードロック室48の気圧が等しくなったと確認された後に開けられる。これにより、ロードロック室48が大気環境部14と連通される。この状態で、ロボットアーム30は、ロードロック室48と仮接合部28との間で、重ね合わせ基板92を搬送する。
【0031】
ゲートバルブ52は、ロードロック室48の真空環境部16側の開口を開閉する。ゲートバルブ52が、ポートを介してロードロック室48から空気が排気、即ち真空引きされて、ロボットチャンバ53と略同じ気圧の真空状態になると、開けられる。これにより、ロードロック室48は、真空環境部16と連通される。尚、貼り合わせ工程において、アクセスドア50及びゲートバルブ52の両方が開状態になることはない。
【0032】
ロボットアーム54は、ロボットチャンバ53の内部に収容されている。ロボットアーム54は、ロボットアーム30によりロードロック室48に搬入された重ね合わせ基板92を何れかの加熱加圧装置56へと搬入するとともに、ゲートバルブ52が閉められる。
【0033】
収容室55は、中空状に形成されている。収容室55は、ゲートバルブ57を介してロボットチャンバ53と連結されている。ゲートバルブ57は、メンテナンス時に大気圧に戻した収容室55を封止する。収容室55は、加熱加圧装置56の主要部を収容して包囲する。収容室55は、重ね合わせ基板92を搬入及び搬出するために、ゲートバルブ57を開閉する。収容室55は、重ね合わせ基板92が搬入された後、加熱による発生ガスがロボットチャンバ53に漏れることを抑制するためにゲートバルブ57を閉めて密閉される。重ね合わせ基板92の加熱状態では、収容室55が真空状態に設定されて、加熱による熱が断熱される。
【0034】
3個の加熱加圧装置56は、ロボットアーム54を各加熱加圧装置56に届かせることを目的として、ロボットアーム54を中心として放射状に配置されている。加熱加圧装置56は、ロードロック室48から搬入された、互いに重なり合った複数の半導体基板を含む重ね合わせ基板92を接合して加圧することにより、貼り合わせる機能を実現することを目的として、重ね合わせ基板92を加熱及び加圧可能な構成となっている。
【0035】
ロボットアーム58は、重ね合わせ基板92を加熱加圧装置56から冷却室59へと搬送する機能、及び、重ね合わせ基板92を冷却室59からロードロック室48へと搬送する機能を実現することを目的として、ロボットチャンバ53の中心の回動可能に配置されている。
【0036】
冷却室59は、ロボットアーム58によって結合された高温の重ね合わせ基板92を冷却する機能を実現することを目的として、冷却機能を有する。冷却室59は、真空状態に設定可能に構成されている。冷却室59は、ゲートバルブ57を介してロボットチャンバ53と連結されている。
【0037】
制御部18は、基板貼り合わせ装置10の全体の動作を制御する。制御部18は、基板貼り合わせ装置10の電源投入、各種設定等をする場合に、ユーザが外部から操作する操作部を有する。更に、制御部18は、半導体工場のホストコンピュータのレシピ、工程進捗管理を目的として、オンライン接続されている。
【0038】
図2から
図7は、貼り合わせ装置による重ね合わせ基板の貼り合せ工程を説明する図である。貼り合わせ工程では、まず、ロボットアーム24が、基板カセット20の何れかから基板90をプリアライナ26へと搬送する。次に、
図2に示すように、ロボットアーム30が、基板ホルダラック22から基板ホルダ94を移動ステージ38へと搬送する。移動ステージ38は、基板ホルダ94を真空吸着する。ロボットアーム24は、プリアライナ26によって位置が調整された基板90を、移動ステージ38に載置された基板ホルダ94の上方へと搬送する。
【0039】
次に、
図3に示すように、ロボットアーム24は、基板ホルダ94上に基板90を載置する。基板ホルダ94は、載置された基板90を静電吸着する。ロボットアーム30は、基板90を保持する基板ホルダ94を移動ステージ38から固定ステージ36へと裏返して搬送する。
図4に示すように、固定ステージ36は、基板90とともに基板ホルダ94をロボットアーム30から受け取った後、基板ホルダ94を真空吸着により保持する。
【0040】
次に、同様の動作によって、ロボットアーム30が移動ステージ38に基板ホルダ94を搬送した後、ロボットアーム24が移動ステージ38上の基板ホルダ94に基板90を搬送する。これにより、
図5に示すように、移動ステージ38は、基板90を上側にして、基板90及び基板ホルダ94を保持するとともに、固定ステージ36は、基板90を下側にして、基板90及び基板ホルダ94を保持する。シャッタ40、42が閉状態となった後、移動ステージ38は、基板90及び基板ホルダ94を保持しつつ、基板90及び基板ホルダ94を保持する固定ステージ36の下方へと移動する。これにより、移動ステージ38の基板90と、固定ステージ36の基板90とが位置合わせされる。
【0041】
次に、
図6に示すように、移動ステージ38が、上方へと移動して、移動ステージ38の基板90の上面と固定ステージ36の上面とが合わされる。固定ステージ36が基板ホルダ94の真空吸着を解除した後、移動ステージ38が重ね合わせ基板92を保持する基板ホルダ94を真空吸着した状態で、ロボットアーム30の方向へと移動する。
【0042】
次に、アクセスドア50が開状態となり、ロードロック室48と大気環境部14とが連通される。尚、ゲートバルブ52は閉状態であり、ロボットチャンバ53、収容室55、冷却室59の真空状態は維持されている。この状態で、ロボットアーム30が、移動ステージ38上の重ね合わせ基板92をロードロック室48へと搬送する。この後、アクセスドア50を閉状態にして、ロードロック室48を真空引きした後、ゲートバルブ52を開状態にして、ロードロック室48が大気環境部14から遮断されるとともに、真空環境部16と連通される。この状態で、ロボットアーム54が、重ね合わせ基板92をロードロック室48から加熱加圧装置56へと搬入するとともに、ゲートバルブ52が閉められる。
【0043】
次に、加熱加圧装置56は、重ね合わせ基板92、92を結合温度まで加熱した後、結合温度を維持しつつ、重ね合わせ基板92を上下方向から加圧する。これにより、重ね合わせ基板92の基板90、90が、結合されて貼り合わされる。この後、ロボットアーム58が、貼り合わされた重ね合わせ基板92を冷却室59へと搬入する。冷却室59は重ね合わせ基板92を冷却する。
【0044】
次に、ロードロック室48の内部を真空引きした後、ゲートバルブ52を開ける。ロボットアーム58は冷却された重ね合わせ基板92を基板ホルダ94とともに、冷却室59からロードロック室48へと搬送する。
【0045】
次に、ロードロック室48を大気開放した後、アクセスドア50を開ける。この状態で、ロボットアーム30が、重ね合わせ基板92をロードロック室48から移動ステージ38へと搬送する。
図7に示すように、移動ステージ38上にて、ロボットアーム30により、重ね合わせ基板92が基板ホルダ94から分離される。この後、ロボットアーム24が、重ね合わせ基板92を基板カセット20、20、20の何れかに搬出する。これにより、基板貼り合わせ装置10による重ね合わせ基板92の貼り合わせ工程が終了して、重ね合わせ基板92が完成する。
【0046】
図8は、加圧装置の全体構造を示す正面図である。
図8に示すように、加熱加圧装置56は、床面側に配置される下部モジュール60と、天井側に配置される上部モジュール62とを有する。
【0047】
下部モジュール60は、可動装置の一例である昇降部66と、下部加熱モジュール70と、下部トッププレート72と、プッシュアップピン73とを有する。
【0048】
昇降部66は、一対の基板90を挟持すべく、下部加熱モジュール70及び下部トッププレート72を後述する上部トッププレート82に向けて移動させて、昇降させる。また、昇降部66は、予め定められた位置まで下部トッププレート72が達したときである、上部モジュール62の下面に基板90が接触した後、下部トッププレート72に押圧力を与え、下部トッププレート72及び上部トッププレート82との間で一対の基板90を加圧する。
【0049】
下部加熱モジュール70は、昇降部66の上部に配置されている。下部加熱モジュール70は、一対の基板90を加熱または冷却可能に構成されている。尚、基板90を加熱することなく貼り合わせる場合、下部加熱モジュール70は、省略してもよい。
【0050】
下部トッププレート72は、第1ステージ及び可動ステージの一例である。下部トッププレート72は、下部加熱モジュール70の上面に配置されている。下部トッププレート72は、基板90よりも直径の大きい円板状に形成されている。下部トッププレート72の上面は、積層された一対の基板90を支持する。下部トッププレート72は、昇降部66によって往復移動される。
【0051】
プッシュアップピン73は、載置部の一例であって、ロボットアーム54と基板90を受け渡しするときに、下部トッププレート72よりも上方に突出して、基板90を保持する。
【0052】
上部モジュール62は、上部加熱モジュール80と、上部トッププレート82とを有する。上部加熱モジュール80は、下部加熱モジュール70と略同様の構成である。上部加熱モジュール80は、上部トッププレート82の上面に固定されている。上部加熱モジュール80は、重ね合わせ基板92を加熱するヒータを有する。上部トッププレート82は、収容室55の上部に固定されている。上部トッププレート82は、下部トッププレート72と対向する位置に配置され、下部トッププレート72との間で一対の基板90を挟持して加圧する。上部トッププレート82の下面は、上部加熱モジュール80の熱によって重ね合わせ基板92を加熱するとともに、重ね合わせ基板92の上面を加圧する加圧面として機能する。
【0053】
図9、
図10、
図11は、加熱加圧装置の縦断面図である。
図12は、ステージ装置の平面図である。
図9は、
図12のVIII−VIII線に沿った縦断面図である。
図10は、
図12のIX−IX線に沿った縦断面図である。
図11は、
図12のX−X線に沿った縦断面図である。尚、
図9から
図11の断面において、説明の便宜上、空間にハッチングを図示した。また、
図12では、
図9から
図11と同じ方向のハッチングを同じ空間に図示した。
【0054】
図9から
図12に示すように、昇降部66は、外周筐体116と、内部筐体118と、シリンダ蓋120と、第2ピストン下部122と、移動ステージ部材124と、上部封止部材126と、駆動力伝達部128と、案内ロッド130と、下部加熱モジュール70と、一対の第2作動油Aポート134、134と、一対の第1作動油Aポート136、136と、一対の第1作動油Bポート138、138と、主排気部140と、エア抜きポート142とを備える。
【0055】
外周筐体116は、昇降部66の外周を覆うように配置されている。外周筐体116は、第2シリンダ146と、外周底部148とを備える。第2シリンダ146は、上下方向に延びる円筒形状に形成されている。これにより、第2シリンダ146の内側は、中空状に形成される。外周底部148は、第2シリンダ146と一体に形成されている。外周底部148は、第2シリンダ146の下端から内側に延びて、リング状に形成されている。
【0056】
内部筐体118の略全体は、外周筐体116の内側に配置されている。内部筐体118は、第1シリンダ150と、上円板部152と、下環状板部154とを備える。
【0057】
第1シリンダ150は、上下方向に延びる円筒形状に形成されている。これにより、第1シリンダ150の内側は、中空状に形成される。第1シリンダ150の外面は、第2シリンダ146の内周面と対向する。第1シリンダ150の外径は、第2シリンダ146の内径よりも小さいので、第1シリンダ150の外面と、第2シリンダ146の内面との間には、第2ピストンロッド178が収容される空間が形成される。
【0058】
上円板部152は、第1シリンダ150と一体に形成されている。上円板部152は、第1シリンダ150の上端から内側に延びる円板状に形成されている。上円板部152は、第1シリンダ150の内側の中空部の上面を覆う。上円板部152の中心部には、駆動力伝達部128が挿通されるピストンロッド穴156が貫通されている。上円板部152の上面から第1シリンダ150の途中部まで貫通する3本のガイド凹部158が形成されている。ガイド凹部158の内部には、円筒状のガイド部材160が設けられている。ガイド部材160の中央部には、上下方向に延びるガイド穴162が形成されている。
【0059】
下環状板部154は、第1シリンダ150と一体に形成されている。下環状板部154は、第1シリンダ150の下端から外側に延びる。これにより、第1シリンダ150の下側は開口される。下環状板部154は、リング板状に形成されている。下環状板部154の内径は、第1シリンダ150の内径と略等しい。下環状板部154の外側の上面は、外周筐体116の外周底部148の下面と対向する。下環状板部154の外周部は、外周筐体116の外周底部148の下面にボルトによって固定されている。下環状板部154の外側の上面と外周底部148の下面との間には、2個のOリングが設けられている。これにより、内部筐体118の外周面と外周筐体116の内周面との間に形成された空間の下部が封止される。
【0060】
シリンダ蓋120は、第1シリンダ150の下側の開口を塞ぐように設けられている。シリンダ蓋120は、底円板部164と、立設リング部166とを有する。
【0061】
底円板部164は、円板状に形成されている。底円板部164の外周は、第1シリンダ150の内周よりも大きい。シリンダ蓋120の外周部の上面は、内部筐体118の下環状板部154の内周部の下面と接している。これにより、底円板部164は、内部筐体118の内側の中空部の下面を塞ぐ。尚、底円板部164は、図示しないボルト等の固定具によって、内部筐体118に固定されている。
【0062】
立設リング部166は、底円板部164の上面に立設されている。立設リング部166は、上下方向に延びる円筒形状に形成されている。立設リング部166の外径は、第1シリンダ150及び下環状板部154の内径と略等しい。これにより、立設リング部166が、第1シリンダ150及び下環状板部154の内側に挿入されると、立設リング部166の外周面が、第1シリンダ150及び下環状板部154の内周面と略接する。立設リング部166の外周面には、上下方向に離間された2個のOリングが、内部筐体118の中空部を封止して作動油の漏れを抑制するために設けられている。
【0063】
第2ピストン下部122は、移動ステージ部材124の下端部に固定されている。第2ピストン下部122は、リング状に形成されている。第2ピストン下部122の外径は、第2シリンダ146の内径と略等しい。第2ピストン下部122は、内部筐体118の外周面と移動ステージ部材124の内周面との間に形成される中空部の外周を封止する。これにより、第2ピストン下部122と、内部筐体118の外周面と、移動ステージ部材124と、第2シリンダ146の内周面とによって囲まれた、第2中空部176が形成される。第2中空部176には、移動ステージ部材124を上下方向に移動するための作動油が充填される。第2中空部176に供給される作動油は、主に、下部トッププレート72を介して、基板を加圧する機能を有する。作動油の一例は、油、グリコール系の液体、防食材を含む水である。第2ピストン下部122は、ともに樹脂で形成された下部Oリング168と下部板状リング170とを含む下部スリッパーシール172を有する。下部スリッパーシール172は、第1密閉部材の一例である。下部スリッパーシール172は、第2ピストン下部122の外周部に形成された凹部174に設けられている。下部板状リング170は、下部Oリング168の内周に設けられ、第2シリンダ146の内周と接する。これにより、第2ピストン下部122は、第1シリンダ150と移動ステージ部材124との間に形成される中空部の下端部を封止する。尚、第2ピストン下部122と第2シリンダ146との間隔が0.4mmの場合、下部板状リング170の厚みの一例は、1.5mmである。
【0064】
移動ステージ部材124は、第2ピストンロッド178と、第2ピストン上部180とを有する。第2ピストン上部180と第2ピストン下部122とによって第2ピストンが形成される。
【0065】
第2ピストンロッド178は、上下方向に延びる円筒形状に形成されている。これにより、第2ピストンロッド178の内側は、中空状に形成される。第2ピストンロッド178の外径は、第2シリンダ146の内径よりも小さい。第2ピストンロッド178の内径は、第1シリンダ150の外径よりも大きい。第2ピストンロッド178は、第2シリンダ146の内周面と第1シリンダ150との間に挿入される。
【0066】
第2ピストン上部180は、下部トッププレート72と間接的に連結されている。第2ピストン上部180は、第2ピストンロッド178の上端部に一体に連結されている。第2ピストン上部180は、円板状に形成されている。第2ピストン上部180の上面は、平坦に形成されている。これにより、第2ピストン上部180は、対象物の一例である重ね合わせ基板92を支持するとともに、下部加熱モジュール70を介して基板ホルダ94を押圧する加圧部として機能する。第2ピストン上部180の下面は、第2中空部176に充填された作動油によって押圧されて、第2上押圧面182として機能する。第2ピストン上部180は、第2中空部176に充填された作動油によって押圧されて、下部トッププレート72を押圧する。
【0067】
内部筐体118の外周部、及び、移動ステージ部材124の内周部の少なくとも一部は、第1シリンダ150の外周を囲って配される。また、ガイド部材160は、第1シリンダ150と第2シリンダ146の間に配置される。下部スリッパーシール172は、第2シリンダ146の内側に形成された第2中空部176と外部との間に配置される。
【0068】
上部封止部材126は、外周筐体116の上端部に固定されている。上部封止部材126は、リング状に形成されている。上部封止部材126の内径は、第2ピストンロッド178の外径と略等しい。上部封止部材126は、ともに樹脂によりリング状に形成された上部Oリング188と上部板状リング190とを含む上部スリッパーシール192を有する。上部スリッパーシール192は、第2密閉部材の一例である。上部スリッパーシール192は、上部封止部材126の内周部の全周にわたって形成された凹部194に設けられている。これにより、上部スリッパーシール192は、第2シリンダ146の内側の第2中空部176と外部との間であって、下部スリッパーシール172よりも外部側に配置される。上部板状リング190は、上部Oリング188の内周に設けられ、第2ピストンロッド178の外周と接する。上部封止部材126は、第2シリンダ146と第2ピストンロッド178との間に形成される中空部の上端部を封止する。尚、上部封止部材126と第2ピストンロッド178との間隔が0.4mmの場合、上部板状リング190の厚みの一例は、1.5mmである。第2ピストン下部122と、第2シリンダ146の内周と、移動ステージ部材124の外周と、上部封止部材126とによって囲まれた気体室196が、第2ピストン下部122と上部封止部材126との間に形成される。気体室196には、空気等の気体が充填される。上部封止部材126は、樹脂で形成されたスポンジ状の補助シール198を有する。補助シール198は、上部封止部材126の内周部であって、凹部194の上方に形成された補助凹部200に設けられている。
【0069】
駆動力伝達部128は、ピストンロッド202と、第1ピストン204と、着脱部材の一例であるナット208とを備える。
【0070】
ピストンロッド202は、第1ピストン204の推力を伝達するための円柱軸(=ロッド)であって、第2ピストン上部180に接続されている。ピストンロッド202は、上円板部152のピストンロッド穴156に挿通されている。ピストンロッド202の上端部は、第2ピストン上部180の下面の中央部に連結されている。これにより、ピストンロッド202は、移動ステージ部材124の重心を押圧する。ピストンロッド202の下端は、段210がついた円柱軸であって、ナット208と段210との間で第1ピストン204を締結する。段210の面積は、ナット208の締結力に合わせて適切な面積に設計されている。段210は、第1ピストン204の上方への移動を規制する。
【0071】
第1ピストン204は、ピストンロッド202及び移動ステージ部材124等を介して下部トッププレート72と間接的に連結されている。第1ピストン204は、円盤状に形成されている。第1ピストン204の中央部には、ピストンロッド202が嵌合する穴212が形成されている。第1シリンダ150の内径に対して、第1ピストン204は、略一致した外径を有するので、第1シリンダ150の内部の空間は、第1下中空部214及び第1上中空部216に分離される。第1下中空部214及び第1上中空部216は、下部トッププレート72の下の空間で、下部トッププレート72の移動方向において、第2中空部176と少なくとも一部が重なるように、第2中空部176の内側に配置されている。第1上中空部216のピストンロッド穴156は、パッキンによって封止され、気密性が保たれており、第1下中空部214の下方側は、上述したシリンダ蓋120によって閉じられているので、同様に気密性が保たれている。第1下中空部214及び第1上中空部216は、互いに分離された第1中空部及び第2中空部の一例である。第1下中空部214と第1上中空部216とには、駆動力伝達部128を介して移動ステージ部材124を上下方向に往復移動させるための液体の一例である作動油が充填される。第1下中空部214及び第1上中空部216に供給される作動油は、主に、下部トッププレート72を昇降させる機能を有する。
【0072】
第1下中空部214に作動油が供給されると、第1ピストン204の第1下押圧面218が作動油によって押圧されて、駆動力伝達部128は上方へと移動する。第1上中空部216に作動油が供給されると、第1ピストン204の第1上押圧面220が作動油によって押圧されて、駆動力伝達部128は下方へと移動する。この結果、駆動力伝達部128は、第1シリンダ150によって上下方向に往復移動される。ここで、第1ピストン204が最下端まで移動した状態においても、後述するスリッパーシール226の破損を抑制するために、第1ピストン204の外周に形成された凹部227が、第1下中空部214と連結される第1作動油Aポート136の開口137よりも上方に位置する。ここで、駆動力伝達部128において、第2中空部176の作動油によって垂直上方に押圧される面積は、第1下中空部214及び第1上中空部216の作動油によって垂直上方に押圧される面積よりも大きい。さらに、
図9から
図12に示す実施形態において、第2中空部176の作動油によって押圧される第2上押圧面182の面積は、第1下中空部214及び第1上中空部216の作動油によって押圧される第1下押圧面218及び第1上押圧面220の面積よりも大きい。これにより、第2ピストン上部180が下部トッププレート72に与える押圧力は、ピストンロッド202が下部トッププレート72に与える押圧力よりも大きい。
【0073】
第1ピストン204は、Oリング222と、シールリング224とを有するスリッパーシール226を有する。スリッパーシール226は、凹部227に設けられている。シールリング224は、Oリング222よりも外周に設けられている。これにより、シールリング224は、内部筐体118の第1シリンダ150の内周面と接する。
【0074】
図13、
図14は、移動ステージ部材が傾斜した状態における作用する力を説明する図である。第2シリンダ146によって押圧される移動ステージ部材124の第2上押圧面182は、第1シリンダ150の作動油によって押圧される第1ピストン204の第1下押圧面218よりも第2ピストン上部180に近い。ここで、
図13に示すように第1下押圧面218にかかる圧力P1で移動ステージ部材124を押圧しようとすると、移動ステージ部材124が傾いている場合に、圧力P1による合力F1が移動ステージ部材124の重心を通らず、かつ、移動ステージ部材124の面方向の成分F3が生じて、実際に対象物を押圧する力F2が小さくなるおそれがある。これに対して、
図14に示すように移動ステージ部材124の第2上押圧面182によって移動ステージ部材124を圧力P2で押圧することにより、合力F4が移動ステージ部材124の重心を通りかつ傾きに応じて移動ステージ部材124の面方向に垂直に押圧することができる。また、第2上押圧面182は、ピストンロッド202によって押される領域よりも大きい領域で移動ステージ部材124を押圧する。従って、移動ステージ部材124の中心近傍のみを押圧するピストンロッド202に大きい駆動力を作用させると、移動ステージ部材124の中央部が突状になる場合があるが、押圧領域の大きい第2上押圧面182に大きな駆動力を作用させることによって、移動ステージ部材124を平面状に保ちつつ、基板90を押圧することができる。
【0075】
オネジ部206は、ピストンロッド202の第2ピストン上部180の反対側の端部に形成されている。
【0076】
ナット208は、ピストンロッド202の下端部に形成されたオネジ部206に螺合される。これにより、第1ピストン204は、段210とナット208とによって上下に固定される。ナット208の下端は、シリンダ蓋120の上面から許容距離以上、離間されている。許容距離の一例は、ナット208が、緩み下方へ移動しても、移動ステージ部材124の往復移動に支障のない距離である。従って、ナット208が緩み下方へ移動した状態で、移動ステージ部材124が最下端まで移動して、ナット208の下面または第1ピストン204の下面がシリンダ蓋120に接すると、異常と判定される。これは、移動ステージ部材124が最下端まで移動できなくなったことに基づいて異常と判定される。
【0077】
案内ロッド130は、下部トッププレート72と間接的に連結されている。3本の案内ロッド130は、第2ピストン上部180の中心の周りに120°間隔で配置されている。尚、案内ロッド130の本数は、適宜変更してよいが、第2ピストン上部180の中心の周りに等角度間隔で配置することが好ましい。案内ロッド130は、略円柱形状に形成されている。案内ロッド130の上端部は、第2ピストン上部180の下面に連結されている。案内ロッド130は、ガイド部材160に形成されたガイド穴162に挿入されている。これにより、案内ロッド130は、第1下中空部214及び第1上中空部216と第2中空部176との間に配置される。案内ロッド130の外径は、ガイド穴162の内径と略等しい。これにより、案内ロッド130が移動ステージ部材124とともに上下方向に往復移動すると、案内ロッド130は、ガイド部材160によって往復移動に沿った上下方向にガイドされる。また、第2上押圧面182は、ガイド部材160が案内ロッド130をガイドする位置よりも第2ピストン上部180に近い。これにより、
図13及び
図14を用いて説明したように、移動ステージ部材124の面方向に大きな合力を作用させることができる。
【0078】
下部加熱モジュール70は、移動ステージ部材124の上面に固定されている。下部加熱モジュール70は、重ね合わせ基板92を加熱するヒータを有する。下部加熱モジュール70の上面は、重ね合わせ基板92を加熱するとともに、重ね合わせ基板92の下面を加圧する加圧面として機能する。
【0079】
一対の第2作動油Aポート134、134は、第2中空部176と外部とを接続する。第2作動油Aポート134、134は、第2中空部176に作動油を供給、または、第2中空部176から作動油を排出する。これにより、移動ステージ部材124が、作動油の供給及び排出に伴って上下方向に移動する。一対の第2作動油Aポート134及び第2作動油Aポート134は、移動ステージ部材124の中心を挟み反対側に配置されている。
【0080】
一対の第1作動油Aポート136、136は、第1下中空部214と外部とを接続する。第1作動油Aポート136、136は、第1下中空部214に作動油を供給、または、第1下中空部214から作動油を排出する。一対の第1作動油Bポート138、138は、第1上中空部216と外部とを接続する。第1作動油Bポート138、138は、第1上中空部216に作動油を供給、または、第1上中空部216から作動油を排出する。これにより、駆動力伝達部128が、移動ステージ部材124とともに上下方向に移動する。ここで、一対の第1作動油Aポート136、136及び一対の第1作動油Bポート138、138は、第1下中空部214及び第1上中空部216のそれぞれに設けられ、第1下中空部214及び第1上中空部216に充填された作動油に混入された気体を外部へ排出する第1排出部の一例である。例えば、一方の第1作動油Aポート136を介して作動油を第1下中空部214に供給するとともに、他方の第1作動油Aポート136を介して第1下中空部214から気体が混入した作動油を排出する。同様に、第1作動油Bポート138、138によって、第1上中空部216の作動油に混入した気体を排気する。
【0081】
主排気部140は、排気路228と、排気口230とを有する。排気路228は、上部封止部材126の内部に形成されている。排気路228は、第2シリンダ146と第2ピストンロッド178との間に形成される気体室196と外部とを接続する。排気口230は、排気路228の外部側の端部に設けられている。排気口230は、図示しないポンプに接続されている。これにより、主排気部140は、気体室196の気体を排気するとともに、第2中空部176から気体室196に漏れた作動油を排出する。
【0082】
エア抜きポート142は、第2排出部の一例である。エア抜きポート142は、上部気体除去路232と、下部気体除去路234とを有する。上部気体除去路232は、第2ピストン上部180の外周部の下面から側面まで形成されている。これにより、上部気体除去路232は、第2中空部176と外部とを接続する。上部気体除去路232は、第2中空部176に充填された作動油に混入して、上部に溜まった気体を外部へと排出する。下部気体除去路234は、上円板部152の外周部の上面から下環状板部154の下面まで形成されている。これにより、下部気体除去路234は、上部気体除去路232よりも下方を経由する。下部気体除去路234は、図示しないポンプに接続されている。これにより、下部気体除去路234は、第2中空部176に充填された作動油に混入して、上部に溜まった気体を外部へと排出する。上部気体除去路232は、昇降部66を完全に組立てる前であって、最初に第2中空部176に作動油が供給された状態での排気に使用される。一方、下部気体除去路234は、加熱加圧装置56が組立てられ、上部気体除去路232からの排気が困難な場合に使用される。尚、図示しないが、第1上中空部216及び第1下中空部214にもそれぞれエア抜きポートが設けられている。
【0083】
基板貼り合わせ装置10の制御部18は、昇降部66を制御する。換言すれば、昇降部66は、制御部18を備える。例えば、制御部18は、第2ピストン上部180による押圧時に、下部トッププレート72及び上部トッププレート82の少なくとも一方の圧力分布が予め定められた分布となるように第2ピストン上部180の押圧力を制御する。また、制御部18は、下部トッププレート72が、プッシュアップピン73に載置された一対の基板90をプッシュアップピン73から取るときに、下部トッププレート72の速度を減少させるように制御する。制御部18は、下部トッププレート72に支持された一対の基板90が下部トッププレート72と上部トッププレート82との間に挟持される前に、前下部トッププレート72の速度を減少させるように制御する。制御部18は、第1漏れ検出部、第2漏れ検出部、異常判定部の一例である。
【0084】
制御部18は、第2中空部176、第1下中空部214及び第1上中空部216に供給される作動油の量を検出する。制御部18は、移動ステージ部材124及び駆動力伝達部128の上下方向の移動量を検出する。そして、制御部18は、供給された作動油の量と、移動ステージ部材124及び駆動力伝達部128の移動量とを比較して、作動油の量と移動量とが対応していない場合、第2中空部176、第1下中空部214及び第1上中空部216の何れかから作動油が漏れていると判定して検出する。また、制御部18は、作動油を供給及び排出していない状態で、移動ステージ部材124が上下方向に移動すると、第1下中空部214及び第1上中空部216との間で作動油が漏れて流れていると判定する。これにより、スリッパーシール226の破損が検出される。
【0085】
また、制御部18は、ナット208または第1ピストン204がシリンダ蓋120に接することによって、ナット208の緩みを検出して、ナット208の位置が異常であると判定する。例えば、制御部18は、移動ステージ部材124を最下端へと移動する作動油の量を供給または排出した場合に、移動ステージ部材124が最下端まで移動しない場合に、ナット208が異常であると判定する。これは、ナット208が緩み、許容距離以上、ナット208がピストンロッド202に対して下方へと移動しているので、ナット208または第1ピストン204がシリンダ蓋120に接して、下方への移動が規制されているからである。
【0086】
次に、上述した加熱加圧装置56による加熱加圧動作について説明する。まず、基板ホルダ94、94に保持された重ね合わせ基板92が、ロボットアーム54によって下部加熱モジュール70の上面に搬入される。この後、ロボットアーム54が戻り、重ね合わせ基板92が下部加熱モジュール70を介して、第2ピストン上部180に支持される。
【0087】
次に、第2作動油Aポート134と、図示しない装置内タンクとの間の経路に接続されているバルブが開かれる。尚、装置内タンクは、昇降部66の直下に設定され、作動油を蓄えている。これにより、装置内タンクの作動油が、装置内タンクと第2中空部176との間で自由に流通できる状態となる。この状態において、第1作動油Aポート136、136へ圧力をかけて作動油を導入して、第1下中空部214に作動油を供給するとともに、第1作動油Bポート138、138を介して、第1上中空部216から作動油を排出する。これにより、駆動力伝達部128が、上方へと移動される。これに伴って、移動ステージ部材124が、駆動力伝達部128とともに上方へと移動する。併せて、作動油が、第2作動油Aポート134を介して、装置内タンクから第2中空部176に流入する。尚、第1作動油Aポート136、136の作動油の導入圧力及び流量を調整することによって、移動ステージ部材124の上昇速度を制御できる。
【0088】
図15は、移動ステージ部材が最上位まで達した状態の図である。
図15に示すように、移動ステージ部材124が、最上位まで達すると、上側の基板ホルダ94の上面が、上部加熱モジュール80の下面に接する。この状態で、下部加熱モジュール70及び上部加熱モジュール80が、重ね合わせ基板92の加熱を開始する。そして、下部加熱モジュール70及び上部加熱モジュール80は、重ね合わせ基板92の基板90、90同士が結合可能な結合温度まで重ね合わせ基板92を昇温させた後、保温する。また、第2作動油Aポート134と装置内タンクとの間の経路上のバルブを閉じる。これにより、第2中空部176の作動油が密閉された状態となる。この状態において、上述の経路に設けられた分岐管より別の油圧供給源の減圧弁を介して所定の圧力を加圧する。これにより、移動ステージ部材124が、基板ホルダ94、94の全体に面圧を作用させて、加熱されている重ね合わせ基板92を本加圧する。この加熱加圧状態を継続することにより、重ね合わせ基板92の基板90、90同士が結合される。
【0089】
この後、本加圧を終了する場合、減圧弁の圧力を減少させて重ね合わせ基板92に作用している圧力を開放する。第2シリンダ146による圧力が全部開放されたら、第2作動油Aポート134と装置内タンクとの間の経路上のバルブを開き、第2中空部176の作動油が装置内タンクへと自由に流通できる状態にする。その後、第1作動油Bポート138へ圧力をかけて作動油を導入するとともに、第1作動油Aポート136から作動油を排出する。これにより、移動ステージ部材124が、下方へと移動する。移動ステージ部材124が
図9に示す初期位置まで移動すると、ロボットアーム58が重ね合わせ基板92を基板ホルダ94とともに冷却室59へと搬送する。
【0090】
次に、昇降部66の保守方法について説明する。尚、ここでいう保守方法とは、第2中空部176、第1下中空部214及び第1上中空部216の作動油に混入した気体の排出、及び、気体室196に混入した作動油の排出である。
【0091】
気体が第2中空部176に混入すると、準備として、配管を介して排出用容器をエア抜きポート142に接続する。気体が、エア抜きポート142によって排気される。例えば、昇降部66が完全に組立てられる前では、エア抜きポート142の上部気体除去路232を介して、気体が排気用容器へと排気される。この場合、第1下中空部214に作動油を供給して、移動ステージ部材124を最上位まで移動させて固定した状態で、気体が排出される。気体は、作動油の上部に溜まるので、容易に且つ確実に排気される。一方、昇降部66が組立てられて完成すると、上部気体除去路232を介して気体を排気することが困難になる。この場合、上部気体除去路232を塞ぐとともに、第1上中空部216に作動油を供給して、移動ステージ部材124を最下位まで移動させて固定する。この状態で、第2作動油Aポート134を介して作動油を供給しつつ、下部気体除去路234から作動油を排出する。これにより、下部気体除去路234から排出される作動油とともに、作動油に混入した気体が排出される。
【0092】
気体が第1下中空部214に混入すると、準備として、配管を介して排出用容器を第1作動油Aポート136に接続する。第1作動油Bポート138を介して第1下中空部214に作動油を供給して圧力を作用させる。これにより、圧力が作用していない低圧の作動油が、第1作動油Aポート136を介して、第1下中空部214から排出する。これにより、作動油に混入した気体が、他方の第1作動油Aポート136を介して、作動油とともに排出用容器へと排出される。排出される作動油に気体がなく、作動油のみになれば、エア抜きを終了する。この後、排出用容器及び配管を第1作動油Aポート136から取り外して終了する。同様に、気体が第1上中空部216の作動油に混入すると、第1作動油Bポート138、138を介して、気体が排気される。
【0093】
作動油が、気体室196に混入すると、主排気部140から気体を排気することにより、気体とともに作動油が排出される。ここで、気体室196は、加熱加圧動作時などにおいて、主排気部140の経路以外は密閉されている。これにより、気体室196に混入した作動油が、昇降部66の外部に排出されて、基板貼り合わせ装置10の内部を汚染することを抑制する。
【0094】
次に、昇降部66の異常検出について説明する。尚、ここでいう異常検出とは、ナット208の緩み、作動油の漏れを含む。
【0095】
ナット208が緩むと、ナット208がピストンロッド202に対して下方へ移動する。ピストンロッド202に対するナット208の移動距離が、許容距離の範囲内であると、移動ステージ部材124が最下端まで移動しても、ナット208の下端はシリンダ蓋120の上面に接しない。この状態では、制御部18は、ナット208の緩みを検出しない。一方、ナット208の移動距離が許容距離の範囲を超えると、移動ステージ部材124が最下端まで移動する前に、ナット208の下端がシリンダ蓋120の上面に接する。これにより、第2中空部176及び第1下中空部214から作動油を排出しても、移動ステージ部材124は、下方への移動を規制されるので、制御部18は、ナット208の緩みに起因する異常と判定する。
【0096】
移動ステージ部材124を上方へ移動させる場合、第1下中空部214への作動油の供給量に比べて、移動ステージ部材124の移動量が小さい場合、スリッパーシール226等を通過して作動油が漏れていることになるので、制御部18は、スリッパーシール226が破損していると判定する。また、この状態では、作動油が、第2作動油Aポート134を介して、第2中空部176に供給される。ここで、第2中空部176への作動油の供給量に比べて、移動ステージ部材124の移動量が小さい場合、下部スリッパーシール172を通過して作動油が漏れていることになるので、制御部18は、下部スリッパーシール172等の何れかが破損していると判定する。
【0097】
移動ステージ部材124を下方へ移動させる場合、第1上中空部216への作動油の供給量に比べて、移動ステージ部材124の移動量が小さい場合、スリッパーシール226等を通過して作動油が漏れていることになるので、制御部18は、スリッパーシール226等の何れかが破損していると判定する。
【0098】
第1下中空部214及び第1上中空部216に作動油を溜めた後、第1作動油Aポート136、136及び第1作動油Bポート138、138を閉めて作動油の供給を停止する。この状態で、制御部18は、移動ステージ部材124の移動を検出すると、スリッパーシール226が破損していると判定する。これは、スリッパーシール226が破損して、作動油が第1下中空部214と第1上中空部216との間に流れることに起因する移動ステージ部材124の移動だからである。
【0099】
上述したように本実施形態による基板貼り合わせ装置10の昇降部66は、移動ステージ部材124の第2上押圧面182の面積と異なる第1下押圧面218及び第1上押圧面220を有する駆動力伝達部128を備える。これにより、面積の小さい第1下押圧面218及び第1上押圧面220を有する駆動力伝達部128によって、移動ステージ部材124の移動速度を速くさせるとともに、面積の大きい第2上押圧面182を有する移動ステージ部材124によって重ね合わせ基板92を高い圧力で加圧することができる。
【0100】
昇降部66では、面積の大きい第2上押圧面182を有する移動ステージ部材124の第2ピストンロッド178を駆動力伝達部128の外側に配置しているので、内側に配置される駆動力伝達部128の第1下押圧面218及び第1上押圧面220を大きくする場合に比べて、昇降部66の小型化を実現できる。また、昇降部66は、第2上押圧面182と、第1下押圧面218及び第1上押圧面220とを重ねることにより、更に、小型化を実現できる。
【0101】
昇降部66では、移動ステージ部材124の第2上押圧面182が、駆動力伝達部128の第1下押圧面218及び第1上押圧面220よりも第2ピストン上部180に近い位置に配置されている。これにより、第2ピストン上部180が傾斜しても、駆動力伝達部128の傾斜と比較して、重ね合わせ基板92の傾斜を小さくすることができる。この結果、圧力の大きい加圧時の傾斜の影響を小さくすることができるので、重ね合わせ基板92へ作用する圧力の面内の均一化を向上させて、重ね合わせ基板92の結合不良を低減することができる。
【0102】
昇降部66では、移動ステージ部材124の第2上押圧面182が、ガイド部材160が案内ロッド130をガイドする位置よりも第2ピストン上部180に近い位置に配置されている。これにより、第2ピストン上部180が傾斜しても、案内ロッド130の傾斜に比べて、重ね合わせ基板92の傾斜を小さくすることができる。この結果、重ね合わせ基板92の結合不良を低減できる。
【0103】
昇降部66では、第2中空部176と外部との間に下部スリッパーシール172及び上部スリッパーシール192を設けている。これにより、第2中空部176の作動油が外部へ漏れることを低減できる。ここで、下部スリッパーシール172及び上部スリッパーシール192の不良率がそれぞれ1×10
-4とする。この場合、2個の下部スリッパーシール172及び上部スリッパーシール192を通過して、第2中空部176の作動油が外部に流出する可能性は1×10
-8となる。これにより、第2中空部176の作動油による外部の汚染が低減される。また、下部スリッパーシール172及び上部スリッパーシール192との間に空気が充填された気体室196を形成することにより、第2中空部176から漏れた作動油を一時的に溜めることができる。これにより、漏れた作動油を気体室196から除去できるので、外部への作動油の漏れをより低減できる。
【0104】
昇降部66では、下部板状リング170及び上部板状リング190を有する下部スリッパーシール172及び上部スリッパーシール192によって第2中空部176を密閉している。これにより、移動ステージ部材124が外周筐体116に対して移動しても、面接触によって摺動に強い下部板状リング170及び上部板状リング190によって、下部スリッパーシール172及び上部スリッパーシール192の破損を抑制できる。
【0105】
昇降部66は、第2中空部176、第1下中空部214及び第1上中空部216のそれぞれに作動油に混入された気体を排気する一対の第1作動油Aポート136、136、一対の第1作動油Bポート138、138、及び、エア抜きポート142を有する。これにより、作動油に混入した気体を排出することができるので、作動油に混入した気体に起因する作動油の供給量または排出量と、移動ステージ部材124の移動量との誤差を低減することができる。この結果、移動ステージ部材124の移動量及び加圧力の精度を向上させることができる。
【0106】
昇降部66では、制御部18が移動ステージ部材124の移動量と、作動油の供給量とを比較して、作動油の漏れを検出することができる。これにより、昇降部66は、第2中空部176、第1下中空部214及び第1上中空部216の作動油の漏れを、早期に、且つ、稼働中に検出することができる。
【0107】
昇降部66では、オネジ部206が緩み、ピストンロッド202に対して許容距離以上、下方へ移動してシリンダ蓋120に接すると、制御部18が、オネジ部206とシリンダ蓋120との接触を検出して、異常と判定することができる。これにより、内部に配置され異常の検出が難しい駆動力伝達部128の異常を早期に検出して、駆動力伝達部128の第1ピストン204の離脱等の大きい事故を未然に防ぐことができる。
【0108】
上述した実施形態の一部を変更した実施形態について説明する。
図16及び
図17は、密閉部材を変更した例を説明する図である。例えば、スリッパーシールの代わりに、
図16及び
図17に示すように、板状リング370と、U字状のリップパッキン368とを有する密閉部材372、または、板状リング470と、X字状のリップパッキン468とを有する密閉部材472を採用してもよい。板状リング370は、リップパッキン368、468よりも外側に配置される。板状リング370は、他の部材と摺動しつつ移動することになる。この密閉部材372は、下部スリッパーシール172、上部スリッパーシール192及びスリッパーシール226の何れかの代わりに採用することができる。
【0109】
また、押圧部の一例である第1シリンダ150のシリンダ蓋120の上面に、押圧検出部の一例である圧力検出センサを設けてもよい。これにより、制御部18は、オネジ部206の下端部によるシリンダ蓋120の押圧量を検出することができる。ここでいう押圧量とは、圧力及び距離を含む。
【0110】
ピストンロッド202と第1シリンダ150によって形成される第1上中空部216または第1下中空部214の一方に流体を出入させる第1の制御弁とを有し、第2ピストン上部180と第2シリンダ146によって形成される第2中空部176に流体を出入させる第2の制御弁とを設けてもよい。第2中空部176が、第1上中空部216または第1下中空部214の一方より大きくてもよい。
【0111】
制御部18は、第1の制御弁を制御してピストンロッド202を移動させることにより下部トッププレート72を移動させるときには、第2の制御弁を開放してもよい。制御部18は、第2の制御弁を制御して第2ピストン上部180を移動させるときには、第1の制御弁を開放してもよい。制御部18は、第2ピストン上部180を予め定められた速度以上の速さで移動させるときには第1の制御弁を制御し、予め定められた速度未満の速さで移動させるときには第2の制御弁を制御してもよい。
【0112】
下部トッププレート72の上面である押圧面または移動ステージ部材124の上面に加えられる圧力を検出する圧力センサを更に設けてもよい。制御部18は、圧力センサにより、予め定められた圧力以上の圧力を検出したときには、第2の制御弁を制御してもよい。圧力センサを設けた場合、例えば、下部トッププレート72の上面に作用する圧力の分布を圧力センサで検出し、その検出値に基づいて、下部トッププレート72の中央部分の圧力がそれ以外の領域の圧力に近づくように、第1上中空部216および第1下中空部214への流体の流入出を制御してもよい。これにより、第2シリンダ146の駆動によって上面に生じる加圧分布を第2シリンダ146により補正することができる。この場合、圧力センサの値と第1上中空部216および第1下中空部214の内圧との関係と、第1上中空部216および第1下中空部214の内圧検出値とに基づいて制御してもよい。また、圧力センサを設けた場合、第2シリンダ146内の内圧と第1シリンダ150内の内圧との関係を予め用意しておき、第2シリンダ146および第1シリンダ150の内圧をそれぞれ検出し、第1シリンダ150内の内圧が第2シリンダ146内の内圧に近づくように制御してもよい。さらに、圧力センサを設けた場合、移動ステージ部材124の移動により上側の基板ホルダ94の上面が上部加熱モジュール80の下面に接したことを圧力センサの値に基づいて検出し、その後、第1シリンダ150の制御を速度および位置制御から圧力制御に切り替えてもよい。この場合、制御を切り替えるタイミングを、上側の基板ホルダ94の上面が上部加熱モジュール80の下面に近接したときでもよい。
【0113】
第1シリンダ150内に、第1上中空部216または第1下中空部214の他方を第3の空間として、第1の制御弁と共に協調制御され、第1上中空部216または第1下中空部214の他方に流体を出入させる第3の制御弁を更に設けてもよい。第2中空部176が、第1上中空部216と第1下中空部214とを合わせた空間より大きいことが好ましい。
【0114】
制御部18は、第2ピストン上部180を移動させるときには少なくとも第1の制御弁を制御し、複数の半導体基板を接合するときには少なくとも第2の制御弁を制御する。予め定められた位置は、下部トッププレート72に支持された一対の基板90が下部トッププレート72と上部トッププレート82との間に挟持される位置であってもよい。予め定められた位置は、下部トッププレート72に支持された一対の基板が上部トッププレート82に挟持される直前の位置であってもよい。
【0115】
図18は、昇降部1066の縦断面図である。
図18に示すように、昇降部1066は、ベース部材1102と、外側筐体1104と、内側筐体1106と、底部材1108と、可動部1110と、一対の流出入管1112、1114とを備える。外側筐体1104及び内側筐体1106が、固定部の一例である。
【0116】
ベース部材1102は、床等に固定される。ベース部材1102は、外側筐体1104と、内側筐体1106と、底部材1108と、可動部1110と、一対の流出入管1112、1114とを直接的または間接的に保持して固定する。
【0117】
外側筐体1104は、昇降部1066の外周を覆うように設けられている。外側筐体1104は、ベース部材1102に固定されている。外側筐体1104は、上封止部材1120と、外周壁部1122と、下環状部1124とを備える。
【0118】
上封止部材1120は、リング状に形成されている。上封止部材1120は、外周壁部1122の上端に固定されている。上封止部材1120は、外周壁部1122の内側に形成される流体溜り1126の上側を封止する。
【0119】
外周壁部1122は、上下方向に延びる円筒状に形成されている。外周壁部1122の直径は、上封止部材1120の直径と略等しい。
【0120】
下環状部1124は、流動抵抗部材の一例である。下環状部1124は、リング状に形成されている。下環状部1124は、外周壁部1122の下端の内周から内側へと突出する。下環状部1124の内周面は、後述する内側筐体1106の内周壁部1136の外周面との間に、流体に抵抗を作用させるリング状の抵抗流路1129を形成する。抵抗流路1129の上端には、後述する主中空部1158と流路1144とを連通する開口1128が形成されている。開口1128は、下環状部1124の内周面の全周にわたって形成されている。開口1128は、リング状に形成されている。下環状部1124の内端部の下面には、テーパ面1130が形成されている。テーパ面1130は、上下方向から傾斜している。テーパ面1130は、上方に向かって狭まる。抵抗流路1129は、開口1128の上端からテーパ面1130の下端にわたって形成される。
【0121】
内側筐体1106は、外側筐体1104の内側に嵌め込まれている。内側筐体1106は、ベース部材1102に固定されている。内側筐体1106は、上円板部1134と、内周壁部1136と、下外周部1138とを有する。
【0122】
上円板部1134は、円板状に形成されている。上円板部1134の中心には、軸穴1142が形成されている。軸穴1142は、上円板部1134を上下方向に貫通している。
【0123】
内周壁部1136は、上円板部1134の外周部の下面から下方へ延びる。内周壁部1136は、上円板部1134と一体的に形成されている。内周壁部1136は、円筒形状に形成されている。内周壁部1136の外径は、外周壁部1122の内径よりも小さい。これにより、内周壁部1136と外周壁部1122との間には、空間が形成される。
【0124】
下外周部1138は、内周壁部1136の外周を囲むように全周にわたって形成されている。また、下外周部1138は、内周側が開口した中空状に形成されている。これにより、下外周部1138の内周と内周壁部1136の外周との間には、流路1144が形成される。流路1144は下外周部1138の全周にわたって形成されている。これにより、流路1144は流体を全周にわたって流す。下外周部1138の内端部の上面は、全周にわたって開口されている。これにより、下外周部1138の流路1144は、抵抗流路1129を介して、下環状部1124の内周面と内周壁部1136の外周面との間の開口1128と連通される。下外周部1138の外周の一部には、流出入管1112、1114を介して外部から流体を流出入させる2個の流出入口1139、1141が形成されている。一方の下流出入口1139は、上円板部1134の中心を挟み、他方の下流出入口1141と反対側に配置されている。流出入口1139、1141は、水平方向に延びる円柱状に形成されている。流出入口1139、1141の外端部は開口されている。
【0125】
底部材1108は、平面視において、円板状に形成されている。底部材1108は、内側筐体1106の内周壁部1136の下端の開口を塞ぐ。これにより、底部材1108、内周壁部1136及び上円板部1134の内側に下副中空部1146及び上副中空部1147が形成される。下副中空部1146及び上副中空部1147には、可動部1110を往復移動させる流体が流出入される。
【0126】
可動部1110は、外側筐体1104及び内側筐体1106に対して上下方向に往復移動可能に設けられている。可動部1110は、ステージ部1148と、円筒脚部1150と、下封止部材1152と、複数の被ガイド部1154と、ピストン部1156とを備える。
【0127】
ステージ部1148は、円板状に形成されている。ステージ部1148は、内側筐体1106の上円板部1134を覆う。ステージ部1148と上円板部1134との間には、空間が形成されている。
【0128】
円筒脚部1150は、ステージ部1148の下面から下方へと延びる。円筒脚部1150は、外周壁部1122と内周壁部1136との間に嵌入されている。円筒脚部1150の内径は、内周壁部1136の外径よりも大きい。これにより、内周壁部1136と外周壁部1122との間には、空間が形成される。この結果、上円板部1134とステージ部1148との間の空間が、内周壁部1136と円筒脚部1150及び下環状部1124との間の空間と、抵抗流路1129とを介して、流路1144へと連通される。可動部1110のステージ部1148及び円筒脚部1150と、内側筐体1106の上円板部1134及び内周壁部1136と、外側筐体1104の外周壁部1122及び下環状部1124との間には、可動部1110を往復移動させる流体が流出入する主中空部1158が形成される。主中空部1158は、流体が流出入する空間の一例である。主中空部1158と下副中空部1146及び上副中空部1147は、互いに絶縁されている。即ち、流体は、主中空部1158と下副中空部1146及び上副中空部1147との間で流通しない。ここで、主中空部1158の容量は、下副中空部1146及び上副中空部1147の容量よりも大きい。従って、可動部1110を高速で移動させる場合、下副中空部1146及び上副中空部1147の流体を主に制御する。一方、可動部1110を高圧で動作させる場合、主中空部1158の流体を主に制御する。
【0129】
円筒脚部1150の外径は、上封止部材1120の内径と略等しい。これにより、円筒脚部1150の外周面は、摺動可能に、上封止部材1120の内周面と接する。円筒脚部1150の外径は、外周壁部1122の内径よりも小さい。これにより、円筒脚部1150の外周と外周壁部1122の内周との間には、流体溜り1126として機能する空間が形成される。流体溜り1126の上部は、上封止部材1120によって封止されている。
【0130】
下封止部材1152は、円筒脚部1150の下端部に固定されている。下封止部材1152は、リング状に形成されている。下封止部材1152の外径は、外周壁部1122の内径と略等しい。これにより、下封止部材1152の外周面は、摺動可能に外周壁部1122の内周面と接する。また、下封止部材1152は、上円板部1134と、内周壁部1136と、ステージ部1148と、円筒脚部1150とによって囲まれる主中空部1158を封止する。これにより、下封止部材1152は、主中空部1158に充填された流体の漏れを抑制する。尚、下封止部材1152と外周壁部1122との間を通過して漏れた流体は、流体溜り1126に達する。ここで、流体溜り1126は、上封止部材1120によって封止されている。従って、上封止部材1120は、主中空部1158から漏れた流体が昇降部1066の外部に漏れることを抑制する。
【0131】
被ガイド部1154は、ステージ部1148の下面に固定されている。被ガイド部1154は、上下方向に延びる円柱形状に形成されている。被ガイド部1154は、円筒脚部1150に形成された上下方向に延びるガイド穴1160に摺動可能に嵌入されている。これにより、被ガイド部1154は、ガイド穴1160によって上下方向にガイドされる。
【0132】
ピストン部1156は、円柱部1162と、分離部1164とを有する。
【0133】
円柱部1162は、ステージ部1148の下面の中心に固定されている。円柱部1162は、上下方向に延びる円柱形状に形成されている。円柱部1162は、上円板部1134の軸穴1142に摺動可能に嵌入されている。円柱部1162と軸穴1142との間は、封止されている。円柱部1162の下端は、下副中空部1146及び上副中空部1147に達する。
【0134】
分離部1164は、円柱部1162の途中部の外周に固定されている。分離部1164の外径は、円筒脚部1150の内径と略等しい。分離部1164は、円筒脚部1150に対して摺動可能に設けられている。また、分離部1164は、下副中空部1146及び上副中空部1147を上下に分離する。これにより、下副中空部1146に流体が供給されると、分離部1164は上方への押圧力を流体から受ける。この結果、ピストン部1156は、可動部1110とともに上方へと移動する。一方、上副中空部1147に流体が供給されると、分離部1164は下方への押圧力を流体から受ける。これにより、ピストン部1156は、可動部1110とともに下方へと移動する。この結果、可動部1110は、外側筐体1104及び内側筐体1106に対して往復移動する。
【0135】
一対の流出入管1112、1114は、流路1144及び開口1128を介して、主中空部1158に流体を供給、または、主中空部1158から流体を排出させる。流出入管1112、1114は、下外周部1138に形成された流出入口1139、1141に連結される。
【0136】
図19は、流出入管1112の近傍の開口1128を説明する縦断面図である。
図20は、流出入管1112から離れた領域の開口1128を説明する縦断面図である。
図21は、開口1128を説明する概略平面図である。
図19は、
図21のA−A線に沿った縦断面図である。
図20は、
図21のB−B線に沿った縦断面図である。
【0137】
図19及び
図20に示すように、下環状部1124は、主中空部1158と流出入口1139、1141との間に配されている。抵抗流路1129が、下環状部1124の内周面と内周壁部1136の外周面との間に形成される。抵抗流路1129は、流出入口1139、1141から流入した流体が流れる流路1144から主中空部1158に流れる流体への抵抗である流動抵抗を作用させる。流出入口1139、1141の近傍の開口1128の径方向の幅は、流出入口1139、1141から離れた開口1128の径方向の幅よりも小さい。また、
図21に示すように、開口1128の径方向の幅は、流路1144に沿って流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて、徐々に大きくなる。これにより、下環状部1124は、流入した流体の流量を調節して、可動部1110の傾きを抑制する流量制御部として機能する。例えば、下環状部1124は、可動部1110の往復移動方向に直交する主中空部1158の単位断面積あたりの流体の流量を均一化して、可動部1110の傾きを抑制する。
【0138】
図22は、昇降部1066の可動部1110が上方へ移動した図である。
図18から
図22を参照して、可動部1110の往復移動について説明する。
【0139】
まず、
図18の状態において、流体が主中空部1158よりも容量の小さい下副中空部1146に供給されるとともに、上副中空部1147の流体が排出される。これにより、可動部1110の分離部1164が流体から上方への圧力を受けて、
図22に示すように、可動部1110が上方へと移動する。この上方への移動によって、主中空部1158の容量が増加するので、流体が、開口1128を介して、流路1144及び流出入管1112、1114から引き込まれる。ここで、
図19から
図21に示すように、開口1128は、流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて、徐々に大きくなる。これにより、流出入口1139、1141の近傍の開口1128は、流出入口1139、1141から離れた開口1128と比べて、流体への流動抵抗が大きい。換言すれば、流出入口1139、1141の近傍の開口1128を流れる流体の圧力損失は、流出入口1139、1141から離れた開口1128を流れる流体の圧力損失よりも大きい。
【0140】
従って、流出入口1139、1141の近傍の領域では、リング形状の流路1144に沿って周方向に流れる流体の流量が、流出入口1139、1141から離れた領域における周方向に流れる流体の流量よりも多い。これにより、流出入口1139、1141の近傍の領域では、開口1128を通過して引き込まれる流体の流量と、流出入口1139、1141から離れた領域における開口1128を通過して引き込まれる流体の流量とが、均一化される。この結果、可動部1110の上下の移動方向に直交する主中空部1158の単位断面積あたりの流体の流量が均一化されて、主中空部1158の流体から円筒脚部1150の底面に作用する圧力が周方向において均一化される。このため、ステージ部1148は水平状態を保ちつつ、上方に移動する。この後、下部トッププレート72が保持する一対の基板90が上部トッププレート82と接すると、容量の大きい主中空部1158に流体が供給されて、ステージ部1148が、下部トッププレート72を介して、基板90を大きい加圧力により押圧する。
【0141】
可動部1110を下方に移動させる場合、上副中空部1147に流体が供給されるとともに、下副中空部1146から流体が排出される。可動部1110が下方に移動することにより、主中空部1158から流体が排出される。ここで、上述したように、開口1128は、流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて、徐々に大きくなる。従って、流体の排出は、流路の周方向において、略均一となる。これにより、ステージ部1148は、水平状態を保ちつつ、下方に移動する。また、流出入口1139および流出入口1141の流入量に差が生じたとしても、流出入口1139付近における流路1144と流出入口1141付近における流路1144との間に生じる負圧力の差を小さくすることができる。これにより、負圧力の差すなわち流入量の差によって可動部1110が傾くことを防止することができる。
【0142】
上述したように昇降部1066では、開口1128が流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて、徐々に大きくなる。これにより、昇降部1066は、可動部1110の上下の移動方向に直交する主中空部1158の単位断面積あたりの流体の流量を均一化することができる。この結果、昇降部1066は、ステージ部1148を水平に保ちつつ上下に往復移動させることができる。
【0143】
図23は、開口を変形した実施形態を説明する概略平面図である。
図23に示す実施形態では、下環状部1124と内周壁部1136との間に流動抵抗部材の一例であるパンチング部材1170が埋め込まれている。パンチング部材1170の外周は、全周にわたって下環状部1124の内周と接触している。パンチング部材1170の内周は、全周にわたって内周壁部1136の外周と接触している。尚、パンチング部材1170は、下環状部1124または内周壁部1136と一体化させてもよい。パンチング部材1170は、リング板状に形成されている。パンチング部材1170には、円形状の複数の開口1178が形成されている。各開口1178は、同じ開口面積を有する。開口1178は、パンチング部材1170を上下方向に貫通している。これにより、開口1178は、流路1144と主中空部1158とを連通する。複数の開口1178は、互いに分割されている。換言すれば、開口1178は、隣接する開口1178と互いに不連続に形成されている。ここで、開口1178の単位面積あたりの個数は、流出入口1139、1141から遠ざかるに連れて、多くなる。換言すれば、隣接する開口1178と開口1178との距離は、流出入口1139、1141から遠ざかるに連れて、短くなる。従って、単位面積当たりの開口1178の開口面積は、流出入口1139、1141から遠ざかるに連れて、大きくなる。これにより、本実施形態は、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。尚、本実施形態では、各開口1178の開口面積を等しくして開口1178の個数によって単位面積あたりの開口面積を設定したが、各開口1178の開口面積を、流出入口1139、1141から遠ざかるに連れて、大きくすることにより、上述のように単位面積あたりの開口面積を設定してもよい。
【0144】
図24は、開口を変形した実施形態を説明する概略平面図である。
図24に示す実施形態では、下環状部1124と内周壁部1136との間に流動抵抗部材の一例である多孔質部材1180が埋め込まれている。多孔質部材1180の外周は、全周にわたって下環状部1124の内周と接触している。多孔質部材1180の内周は、全周にわたって内周壁部1136の外周と接触している。尚、多孔質部材1180は、下環状部1124または内周壁部1136と一体化させてもよい。多孔質部材1180には、複数の連通孔1188が形成されている。多孔質部材1180は、複数の連通孔1188によって、上下方向に貫通している。これにより、複数の連通孔1188が、流路1144と主中空部1158とを連通する。ここで、連通孔1188の密度は、流路1144に沿って流出入口1139、1141から遠ざかるに連れて、多くなる。これにより、本実施形態は、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0145】
図25及び
図26は、開口を変形した実施形態を説明するための開口近傍の縦断面図である。尚、
図25は、
図19と同じ位置の縦断面図であって、
図26は
図20と同じ位置の縦断面図である。
【0146】
図25及び
図26に示すように、下環状部1124の内周面と内側筐体1106の内周壁部1136の外周面との間には開口1228が形成されている。開口1228は、内周壁部1136の外周の全周にわたって連続して形成されている。開口1228は、平面視において、リング状に形成されている。開口1228の内周及び外周は、正円であって、互いに同心に形成されている。従って、開口1228の径方向の幅は、全周にわたって、一定である。可動部1110の移動方向において、下環状部1224の抵抗流路1129に平行な厚みは、流路1144に沿って流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて、徐々に小さくなる。換言すれば、抵抗流路1129を流れる流体の流れに沿った長さは、流路1144に沿って流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて、徐々に短くなる。これにより、開口1228によって形成される抵抗流路1129の長さが、流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて、徐々に短くなる。この結果、流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて、流体への抵抗が小さくなるので、本実施形態は、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。尚、上述したパンチング部材1170及び多孔質部材1180の厚みを同様に設定してもよい。
【0147】
図27は、開口を変形した実施形態を説明するための概略平面図である。
図27に示す実施形態では、流出入管1312が、流出入口1319を流れる流体の流れる方向と平行に連結されている。この場合、開口1328は、流出入口1319から途中部まで流体の流路1144に沿って遠ざかるにつれて、径方向の幅が大きくなり、途中部から流出入口1319まで流体の流路1144に沿って遠ざかるにつれて、径方向の幅が小さくなる。従って、開口1328の径方向の幅は途中部で最大になる。これにより、本実施形態は、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0148】
図28及び
図29は、補助流路を形成した実施形態を説明する縦断面図である。尚、
図28は、
図19と同じ位置の縦断面図であって、
図29は
図20と同じ位置の縦断面図である。
図28及び
図29に示すように、流路1144の内端部の下面には、補助流路の一例である溝1445が形成されている。溝1445は、流路1144を挟み、主中空部1158とは反対側に配置されている。溝1445は、流路1144と連なって形成されている。溝1445は、流路1144と同心のリング状に形成されている。溝1445は、流路1144に沿って、流路1144の全周にわたって連続して形成されている。溝1445の縦断面積は、流出入口1139、1141近傍では遠ざかるにつれて小さくなる。尚、ここでいう溝1445の縦断面積とは、周方向と直行する断面である。これにより、流体が溝1445から受ける流動抵抗は、流出入口1139、1141近傍では小さく遠ざかるにつれて大きくなる。このため、流出入口1139、1141近傍では周方向の流体の流動を促し、垂直方向の流動を妨げる。一方、流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて周方向の流体の流動を妨げ、垂直方向の流動を促す効果を持つ。この結果、本実施形態は、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。尚、昇降部1066の外部の大気圧、開口1128の圧力、可動部1110に作用する圧力、溝1445の圧力の関係は、「昇降部1066の外部の大気圧>>開口1128の圧力≧可動部1110に作用する圧力≧溝1445の圧力」となることが好ましい。また、本実施形態において、開口1128の径方向の幅を流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて大きくしたが、流出入口1139、1141からの距離に関わらず開口1128の径方向の幅を一定にしてもよい。また、溝1445の縦断面積を流出入口1139、1141からの距離に関わらず一定にしてもよい。
【0149】
図30は、補助流路を変形した実施形態を説明する縦断面図である。
図30に示す実施形態では、補助流路の一例である溝1545が、流路1144の内端部に形成されている。溝1545は、流出入管1112、1114から流入する流体の流入方向の延長線上に配置されている。溝1545の縦断面積は、流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて小さくすることが好ましいが、一定でもよい。
【0150】
図31及び
図32は、テーパ面を変更した実施形態を説明する縦断面図である。尚、
図31は、
図19と同じ位置の縦断面図であって、
図32は
図20と同じ位置の縦断面図である。
図31及び
図32に示す実施形態では、下環状部1124が、主中空部1158と流出入口1139、1141との間に配されたリング状のテーパ面1530を有する。テーパ面1530の主中空部1158側の開口面積は、テーパ面1530の流出入口1139、1141側の開口面積よりも小さい。テーパ面1530の傾斜は、流路1144に沿って流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて大きくなる。ここでいう、テーパ面1530の傾斜とは、可動部1110の移動方向である上下方向からの傾斜である。これにより、流体が、テーパ面1530から受ける流動抵抗が流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて小さくなる。この結果、本実施形態は、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。尚、本実施形態では、開口1528の径方向の幅は流出入口1139、1141から遠ざかるにつれて大きくしてもよく、一定でもよい。
【0151】
図33は、昇降部の別の実施形態を説明する概略構成図である。
図33に示す昇降部1666は、固定部の一例である筐体1604と、可動部1610と、流出入管1612と、分散部材の一例である分散板1628とを有する。
【0152】
筐体1604の上部の中央部には、主中空部1658が形成されている。主中空部1658には、可動部1610を往復移動させる流体が充填される。筐体1604の下部には、流体を流しつつ溜める流路1644として機能する中空部が形成されている。流路1644の一部には、流出入口1639として機能する開口が形成されている。流路1644は、主中空部1658と流出入口1639との間に形成されている。主中空部1658と流路1644は、複数の連通管1629によって連通されている。流出入管1612は、流出入口1639の外端に接続される。
【0153】
分散板1628は、流出入口1639の内側の延長線上に配置されている。分散板1628は、流出入口1639の端部から間隔を空けて配置されている。分散板1628の平面積は、流出入口1639より大きく、流路1644の縦断面積よりも小さい。これにより、分散板1628と流路1644の内面との間には、間隔が形成される。これにより、分散板1628は、流出入口1639から引き込まれる流体及び流入する流体を遮断して、自己の外周側へと流体の流れを変える。従って、分散板1628は、流路1644の流体を分散させて流路1644の内部を流す。このため、流体は、連通管1629を介して、横断面において略均一に主中空部1658へと引き込まれ、または、流入する。この結果、昇降部1066は、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0154】
図34は、昇降部の別の実施形態を説明する概略構成図である。
図34に示す昇降部1766は、中心部の下部に中空部が形成された可動部1710を有する。可動部1710の形状の変更に伴って、主中空部1658は、
図33の実施形態よりも大きくなる。本実施形態においても、分散板1628を設けることによって、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0155】
上述した実施形態の一部を変更した実施形態について説明する。上述した各実施形態において、各構成の形状、個数、配置等は適宜変更してよい。また、上述した実施形態を組み合わせてもよい。
【0156】
例えば、入出力管の本数は、3本以上であってもよい。入出力管の配置は、本数に関わらず、流路の中心の周りに点対称の配置が好ましい。
【0157】
上述の実施形態では、開口1128が変形しない例について説明したが、開口1128をモータ等によって開閉させる開閉部を設けてもよい。開閉部は、可動部1110の移動に伴って、開口1128を開閉させて、開口1128の径方向の幅及び開口面積を変動させる。一例として、可動部1110の上昇速度が大きくなると、流体の流量が大きくなるので、開口1128を小さくすることを提案できる。開口1128を変動させる構成として、下環状部1124の直径が変動可能に構成することを提案できる。
【0158】
上述の実施形態では、溝1445、1545が変形しない例について説明したが、溝1445、1545が変形するように構成してもよい。例えば、可動部1110の速度に対応して溝1445、1545の縦断面積をさせてもよい。
【0159】
開口1128の径方向の幅は、特に限定されるものではない。一例として、流量制御のために設定する開口1128の径方向の幅は、主中空部1158の中心と可動部1110の中心との間のずれ量である公差よりも大きくすることが好ましい。これにより、偏心を吸収することができる。開口1128の径方向の幅は、可動部1110の上昇速度が最大となる状態に対応させて設定してもよい。
【0160】
流出入管1112、1114が流出入させる流体の流量が互いに異なる場合、流量の差によって、開口及び溝を形成することが好ましい。例えば、流量が多い流出入管の近傍の開口は小さく、または、溝は小さくすることが好ましい。これは、流出入管が、3本以上の場合も同様である。
【0161】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0162】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。