(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細胞特定手段は、前記候補細胞に対するピッキング作業が行われた場合、又は前記候補細胞がピッキングの対象とならなかった場合、ピッキングの次の候補となる候補細胞を特定する
ことを特徴とする請求項2の細胞ピッキング支援装置。
前記表示制御手段は、前記第2の表示領域に、前記候補細胞を他の細胞と識別可能に表現した画像、又は前記候補細胞の前記培養環境での観察方法に応じた画像を表示させる
ことを特徴とする請求項1の細胞ピッキング支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の細胞ピッキング作業支援の概要を説明する図である。
【0014】
図1に示すように、細胞培養観察装置10では、ウェルプレート111に収容された細胞等の試料の培養が行われているが、それらの細胞の播種によって、例えば、細胞のコロニー形成の最適化を図るためには、ウェルプレート111に形成されたウェルから、その一部をピペットにより摘み上げ(いわゆるピッキング)、ピッキングしたコロニー(細胞の塊)を他の培養容器に移すピッキング作業が行われる。
【0015】
このピッキング作業は、通常、
図1のクリーンベンチ40や無菌室(不図示)にウェルプレート111を搬送して行われる。クリーンベンチ40内で、ピッキング作業を行うことにより、無菌、無塵環境下での作業を行うことができる。そして、ピッキング作業によって、コロニーが移された培養容器は、細胞培養観察装置10に再搬送され、細胞の培養が再開されることになる。なお、ウェルプレート111は、細胞を培養するために、凹形状からなる培養漕(ウェル)が複数配列された透明な部材であって、それらのウェルに細胞等の試料を収容して培養が行われることになる。
【0016】
以上、ピッキング作業の基本的な作業工程について説明した。次に、
図1の細胞培養観察装置10、タブレット端末装置20、及びデータ解析サーバ30の詳細な構成について説明する。
【0017】
図1の細胞培養観察装置10においては、実線は外観に表れる部位の構造を示し、破線は外観に表れない内部の部位の構造を示している。細胞培養観察装置10の上側の筐体内部には、断熱材で覆われた恒温室101が形成される。この恒温室101は、その内部が細胞の培養中、細胞の培養環境を維持するために密封され、その内部に設けられた温度調整装置、噴霧装置、又はガス導入部等の室内環境を維持するための装置によって、一定の温度、湿度、又は二酸化炭素濃度に維持される。
【0018】
また、恒温室101内には、ストッカ102及び観察ユニット103が収納されている。ストッカ102は、複数の棚で上下に区画されており、ウェルプレート111を水平に収納できる。
【0019】
観察ユニット103は、容器搬送機構(不図示)によって搬送されてくるウェルプレート111に収容された細胞を観察するための装置であって、細胞を透過する光の位相差により細胞を観察する位相差観察と、細胞に含まれる蛍光物質が励起した光により細胞を観察する蛍光観察との2つの観察方法により細胞の観察を行う。観察ユニット103では、それらの観察時に得られる光の像が、撮像素子により撮像され、その画像信号に対して、所定の信号処理が施されることにより、ウェルプレート111の各ウェルに培養された細胞等の試料の観察画像が得られる。
【0020】
制御ユニット104は、細胞培養観察装置10の各部の動作を制御する。制御ユニット104は、記録部121及び通信部122を備える。記録部121は、観察ユニット103による位相差観察及び蛍光観察で得られた観察画像を蓄積する。通信部122は、無線通信に対応しており、記録部121に蓄積された観察画像や、タブレット端末装置20にてピッキング作業の支援を行う際に必要となる情報を、データ解析サーバ30に送信する。
【0021】
データ解析サーバ30は、細胞培養観察装置10にて培養観察された細胞に関する情報(以下、培養観察情報という)を、タブレット端末装置20に提供するためのサーバである。図示はしていないが、データ解析サーバ30は、記録部及び解析部のほか、無線通信に対応した通信部を備えており、通信部によって、細胞培養観察装置10から送信される観察画像等が受信され、記録部に記録される。
【0022】
そして、例えば、解析部は、位相差観察で得られた観察画像に対して、所定の画像解析処理を施すことにより、コロニー等の特定の細胞を抽出し、抽出された特定の細胞の位置を定めるための座標情報を算出する。すなわち、位相差観察では、透明な細胞を可視化して観察できるので、その観察画像から可視化された細胞を検出することにより、コロニー等の特定の細胞を抽出することが可能となる。例えば、長方形の形状を有するウェルプレート111の四隅のうちの一隅を基点の座標(基準位置)として、抽出されたコロニーの位置を定める2次元の座標(x,y)が算出され、当該コロニーを識別するための識別情報(以下、コロニーIDという)と対応付けられる。
【0023】
これにより、細胞培養観察装置10によっていわゆるタイムラプス観察が行われることで、データ解析サーバ30には、観察ユニット103により観察されるウェルプレート111の各ウェルに収容されたコロニー(コロニーID)ごとの座標情報が、時系列に順次蓄積されることになる。通信部は、タブレット端末装置20からの要求に応じて、観察画像や解析結果を含む培養観察情報を、タブレット端末装置20に送信する。
【0024】
タブレット端末装置20は、タッチパネルから構成される表示部を有する携帯可能なパーソナルコンピュータであって、平板状の外形からなるものである。また、タブレット端末装置20には、例えば、リチウムイオン2次電池等のバッテリを収納可能に構成されており、配線類がなく、容易に持ち運び可能となっている。
【0025】
タブレット端末装置20は、その表示部の画面上の所定の位置に、ウェルプレート111をアダプタ(不図示)により固定して、マウントする。なお、図示はしていないが、ウェルプレート111の載置面と表示部の画面との間には、絶縁シートが設けられる。
【0026】
また、タブレット端末装置20は、データ解析サーバ30から送信される培養観察情報を受信して記録する。そして、タブレット端末装置20は、培養観察情報に基づいて、コロニー等の特定の細胞の位置を示す位置情報や、特定の細胞に関する詳細情報を表示することで、作業者によって、クリーンベンチ40内で行われるピッキング作業を支援する。以下、タブレット端末装置20の具体的な構成について説明する。
【0027】
図2は、本発明を適用したタブレット端末装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【0028】
図2のタブレット端末装置20においては、実線は外観に表れる部位の構造を示し、破線は外観に表れない内部の部位の構造等を示している。すなわち、タブレット端末装置20には、その内部に、制御部201、通信部202、表示部203、及び記録部204が設けられている。また、
図2に示すように、表示部203の画面上の所定の位置には、ウェルプレート111が載置されている。
【0029】
制御部201は、タブレット端末装置20の各部の動作を制御する。通信部202は、制御部201からの制御に従い、データ解析サーバ30と無線通信を行い、培養観察情報を受信する。
【0030】
制御部201は、通信部202により受信された培養観察情報に基づき、ピッキング作業を支援するための各種の画面(以下、ピッキング支援用画面という)を、表示部203に表示させる。また、表示部203は、タッチパネルから構成されており、各種のGUI(Graphical User Interface)画像に対する作業者の指示を受け付け、当該指示に応じた操作信号を制御部201に供給する。制御部201は、表示部203からの操作信号に基づいて、タブレット端末装置20の各部の動作を制御する。
【0031】
図2に示すように、表示部203に表示されるピッキング支援用画面は、ピックエリア301とナビエリア302から構成される。
【0032】
ピックエリア301は、特定の細胞の存在する位置を示す位置情報を表示させるための表示領域である。すなわち、
図2に示すように、ピックエリア301上には、ウェルプレート111が載置されるので、この載置面側に配置される表示部203が、ピックエリア301に特定の細胞の存在する位置を表示させた場合、作業者は、透明な部材であるウェルプレート111を透過した表示位置を確認することができる。そして、作業者は、その表示位置を目印にして、その位置に存在する細胞のピッキング作業を行う。
【0033】
ナビエリア302は、特定の細胞に関する詳細情報を表示させるための表示領域である。ナビエリア302には、プレート選択ボタン311、サンプル選択ボタン312、細胞表示領域313、タブ314、設定ボタン315、及び十字ボタン316が表示される。
【0034】
プレート選択ボタン311は、ピックエリア301上に載置されるウェルプレート111を設定するためのボタンである。例えば、作業者によりプレート選択ボタン311がタップ操作された場合に、選択の対象となるウェルプレートのサムネイル画像や試料の名称などをナビエリア302に表示させることで、作業者に対し、ピックエリア301上に載置されたウェルプレート111を選択させる。ただし、「タップ操作」とは、タッチパネル上の所望の領域を指などで軽くたたくような操作をいう。
【0035】
サンプル選択ボタン312は、プレート選択ボタン311により選択されたウェルプレート111の各ウェルのうち、どのウェルに収容された試料をピッキング対象にするかを指定するためのボタンである。
【0036】
細胞表示領域313は、ピッキング対象となる特定の細胞を表示するための領域である。細胞表示領域313には、作業者によるタッチパネル操作に応じて、特定の細胞が、様々な形態で表示される。
【0037】
タブ314は、細胞表示領域313に表示される細胞の表示形態を切り替えるためのタブである。
図2に示すように、タブ314は、マスクタブ、Phタブ、Ch1タブ、Ch2タブ、及びCh3タブから構成される。
【0038】
マスクタブがタップ操作された場合、細胞表示領域313には、特定の細胞に、所定の色(例えば赤色)が重畳表示される。また、Phタブがタップ操作された場合、細胞表示領域313には、特定の細胞の位相差観察で得られた観察画像が表示される。
【0039】
Ch1タブ乃至Ch3タブがタップ操作された場合、細胞表示領域313には、チャンネルに応じた蛍光観察で得られた観察画像が表示される。ただし、各チャンネルは、細胞培養観察装置10にて行われた蛍光観察の種類に対応している。
【0040】
設定ボタン315は、各種の設定を行う際にタップ操作される。例えば、ピッキング作業の支援を行う際の動作モードとしては、オートモードとマニュアルモードがあるので、設定ボタン315がタップ操作された場合には、動作モードを設定するための設定画面が表示され、動作モードが設定される。ここで、オートモードは、ピッキングの候補となる候補細胞を自動で提示して、当該候補細胞をピッキング対象とするかを、作業者に判断させるモードである。また、マニュアルモードは、ピッキング対象となる細胞を作業者に手動で選択させるモードである。
【0041】
なお、ここでは、動作モード用の設定画面について説明したが、設定ボタン315がタップ操作された場合には、ピッキング作業の支援を行う際に必要となるその他の設定事項を設定するための設定画面を表示させることができる。
【0042】
十字ボタン316は、ピックエリア301上に載置され、アダプタ(不図示)により固定されたウェルプレート111の取り付け位置にオフセットがある場合に、当該オフセットを調整するためのボタンである。
【0043】
記録部204は、制御部201からの制御に従い、各種のデータを記録する。
【0044】
タブレット端末装置20は、以上のように構成される。
【0045】
図3は、制御部201により実行される制御プログラム251の構成を示す図である。
【0046】
制御プログラム251は、培養観察情報取得部261、記録制御部262、操作受付部263、細胞特定部264、表示制御部265、及び設定部266から構成される。
【0047】
培養観察情報取得部261は、通信部202を制御して、データ解析サーバ30から送信される培養観察情報を取得する。記録制御部262は、培養観察情報取得部261により取得された培養観察情報を、記録部204に記録させる。
【0048】
操作受付部263は、タッチパネルとして構成される表示部203からの操作信号に応じて、作業者による操作を受け付ける。記録制御部262は、操作受付部263により受け付けられた操作内容に応じて、各種のデータを、記録部204に記録させる。
【0049】
細胞特定部264は、動作モードがオートモードである場合、記録部204に記録された細胞観察情報に基づいて、あらかじめ定められた所定の条件に従い、ウェルプレート111に収容された細胞の中から、ピッキングの候補となる候補細胞を特定する。
【0050】
表示制御部265は、記録部204に記録された細胞観察情報に基づいて、ピッキング支援用画面を表示部203に表示させる。具体的には、表示制御部265は、ピックエリア301に、特定の細胞の位置情報を表示させ、ナビエリア302に、特定の細胞に関する詳細情報を表示させる。また、表示制御部265は、動作モードがオートモードである場合、細胞特定部264による候補細胞の特定の結果に基づいて、細胞表示領域313に候補細胞の拡大画像を表示させる。
【0051】
設定部266は、操作受付部263により受け付けられた設定画面に対する作業者の操作内容に応じて、各種の設定事項の設定を行う。
【0052】
制御プログラム251は、以上のように構成される。
【0053】
ところで、タブレット端末装置20は、ピッキング作業の支援を行う際に、オートモード又はマニュアルモードのいずれかの動作モードで動作することは前述した通りである。そこで、次に、タブレット端末装置20が、オートモードで動作する場合と、マニュアルモードで動作する場合について説明する。
【0054】
まず、
図4のフローチャートを参照して、オートモードにおける第1の細胞ピッキング作業支援処理について説明する。なお、
図4のフローチャートに示す処理は、動作モードとして、オートモードが設定されている場合に実行される。
【0055】
ステップS10において、培養観察情報取得部261は、データ解析サーバ30から送信される培養観察情報を取得する。これにより、記録部204には、ウェルプレート111に収容された細胞の培養観察情報が記録されることになる。
【0056】
ステップS11において、操作受付部263は、プレート選択ボタン311に対する作業者のタップ操作に応じて、ピッキング作業の対象となるプレートの選択を受け付ける。これにより、表示部203の画面上の所定の位置に載置されたウェルプレート111が特定される。
【0057】
ステップS12において、細胞特定部264は、記録部204に記録された培養観察情報に基づいて、候補細胞を特定するための所定の条件に従い、ピッキングする細胞の候補を特定する。
【0058】
この候補細胞の特定方法であるが、例えば、次の方法により特定することができる。すなわち、細胞培養観察装置10における蛍光観察で得られた観察画像に対して、データ解析サーバ30が、所定の画像解析処理を施すことにより、コロニー等の特定の細胞が抽出される。また、データ解析サーバ30は、抽出されたコロニーの中からiPS細胞等の発現細胞をさらに抽出し、その発現細胞の分類に関する細胞情報を取得する。つまり、蛍光観察では、発現した細胞が所定の色の蛍光を発するので、その観察画像から蛍光を検出することにより、発現細胞を抽出することが可能となる。そして、この細胞情報は、前述のコロニーIDと対応付けられるので、抽出されたコロニーごとに、その位置と発現の有無が求められることになる。これらの情報を含む培養観察情報によって、コロニーが存在しているか否か、さらには、コロニーが存在している場合には、それが発現しているか否かを判別可能となるので、細胞特定部264は、例えば、iPS細胞(発現した細胞)又は非iPS細胞(発現しない細胞)などを、候補細胞として特定することができる。
【0059】
ステップS13において、表示制御部265は、培養観察情報に基づいて、細胞特定部264により特定された候補細胞に対応する画像を、ナビエリア302の細胞表示領域313に拡大表示する。
【0060】
このとき、候補細胞の拡大画像には、所定の色(例えば赤色)が重畳表示される。ただし、この状態はタブ314のうち、マスクタブが選択されている状態であるので、作業者によって、Phタブがタップ操作された場合には、位相差観察で得られた候補画像の拡大画像が表示され、Ch1タブ乃至Ch3タブのいずれかがタップ操作された場合には、蛍光観察で得られた候補画像の拡大画像が表示される。
【0061】
ステップS14において、表示制御部265は、培養観察情報に基づいて、ピックエリア301における、候補細胞に対応する位置を所定の色(例えば赤色)で表示させる。
【0062】
これにより、例えば、
図5に示すように、ナビエリア302の細胞表示領域313には拡大された候補細胞C1に対応する画像I
C1が表示され、ピックエリア301の候補細胞C1に対応する位置P
C1が赤色で表示される。このとき、ピックエリア301において、候補細胞C1に対応する位置P
C1が赤色で表示され、その他の細胞の位置は例えば黄色等、候補細胞C1の位置P
C1と異なる色で表示されるので、作業者は、候補細胞C1の位置を即時に判断することができる。
【0063】
図4のフローチャートの説明に戻り、ステップS15において、操作受付部263は、候補細胞に対するピッキング作業が行われたか否かを判定する。
【0064】
例えば、
図5において、作業者は、細胞表示領域313に拡大表示された候補細胞C1に対応する画像I
C1を確認して、当該細胞C1のピッキング作業を行うと決めた場合、ピックエリア301の位置P
C1を目印にして、その位置に存在する候補細胞C1のピッキング作業を行うことになる。そして、実際にピッキング作業が行われた場合には、作業者がタッチパネル上のピックボタン317をタップ操作することで、候補細胞C1に対するピッキング作業が行われたと判定されることになる(S15の「YES」)。
【0065】
図4のフローチャートの説明に戻り、ステップS15において、候補細胞に対するピッキング作業が行われたと判定された場合、処理は、ステップS16に進められる。ステップS16において、記録制御部262は、候補細胞のピッキング履歴を、記録部204に記録する。
【0066】
ここで、ピッキング履歴は、例えば、ピッキングされた細胞のコロニーIDに対応付けられて記録される。すなわち、コロニーIDごとに、ピッキング対象とされたか否かが管理されることになる。また、順次蓄積されるピッキング履歴を解析することで、候補細胞とされた細胞がピッキングの対象となったかどうかがわかるため、例えば、候補細胞とされたがピッキング対象とされなかった細胞は候補細胞として誤っていたことになる。その場合には、細胞特定部264は、次に候補細胞を特定するに際に、当該解析結果をフィードバックさせて、より適切な候補細胞が特定されるように、候補を特定するための条件を変更するようにすればよい。
【0067】
これにより、タブレット端末装置20が細胞ピッキング作業支援処理を繰り返す度に、細胞特定部264による候補細胞の特定の精度を向上させることができる。また、ピッキング作業前及びピッキング作業時の対象の細胞の画像と、ピッキング作業終了後の対象の細胞の実験結果から、細胞特定部264による細胞の特定結果や作業者による判断が適切であったかを、後日検証することも可能となる。
【0068】
ステップS17においては、ピッキング作業を終了するか否かが判定され、当該作業を継続して行うと判定された場合、処理は、ステップS18に進められる。
【0069】
ステップS18において、細胞特定部264は、次にピッキングする細胞の候補を特定する。ステップS18が終了すると、処理は、ステップS13に戻り、それ以降の処理が繰り返される。例えば、
図5において、作業者によって次ボタン318がタップ操作された場合、次の候補細胞C2に対応する画像I
C2が細胞表示領域313に拡大表示され、ピックエリア301の候補細胞C2に対応する位置P
C2が赤色で表示される。作業者は、拡大表示された候補細胞C2の画像I
C2を確認し、当該候補細胞C2をピッキングすべきと判断すれば、ピックエリア301の位置P
C2を目印にして、その位置に存在する候補細胞C2のピッキング作業を行い、ピックボタン317をタップ操作する。一方、候補細胞C2をピッキングすべきではないと判断すれば、ピッキング作業は行われずに次ボタン318が操作されることになる。
【0070】
以上の動作が、ピッキング作業を終了すると判定されるまで(S17の「YES」)、繰り返され、候補細胞C1乃至Cn(n=1,2,・・・,N)に対するピッキング作業が行われることになる。なお、例えば、所望の細胞を見逃してしまった場合や、ある細胞をピッキング対象としなかったが思い直した場合など、既にナビエリア302に表示済みの候補細胞をピッキング対象とするときには、作業者は、次ボタン318又は前ボタン319をタップ操作して、表示済みの所望の候補細胞を再度表示させることができる。
【0071】
以上、オートモードにおける第1の細胞ピッキング作業支援処理について説明した。オートモードにおける第1の細胞ピッキング作業支援処理では、候補細胞の拡大画像がナビエリア302に自動的に順次表示されるので、作業者は、当該拡大画像を確認しながら候補細胞をピッキング対象とするかを判断することができる。そして、候補細胞がピッキング対象とされた場合には、その候補細胞の位置がピックエリア301に表示されるので、作業者は、当該表示位置を目印にして、その位置に存在する候補細胞のピッキング作業を行うことができる。
【0072】
これにより、iPS細胞(発現した細胞)又は非iPS細胞(発現しない細胞)のほか、例えば、心筋細胞(拍動している細胞)又は非心筋細胞(拍動していない細胞)などの特定の細胞のピッキング作業を行うに際し、作業効率を向上させることができる。また、それらの細胞の拡大画像を確認しながら、ピッキング対象とするかを判断することができるので、ピッキング作業の精度を向上させることができる。
【0073】
ところで、第1の細胞ピッキング作業支援処理では、候補細胞からピッキング対象の細胞を選択するためのピッキング対象選択作業と、ピッキング作業を一連の作業として、細胞単位で行ったが、オートモードにおいては、このようなピッキング対象選択作業と、ピッキング作業を独立した作業として捉えることもできる。そこで、次に、
図6のフローチャートを参照して、ピッキング対象選択作業とピッキング作業を独立させて、作業単位で行われるようにした、第2の細胞ピッキング作業支援処理について説明する。
【0074】
第2の細胞ピッキング作業支援処理では、先に、ピッキング対象選択作業が行われ、ピッキング対象選択作業が終了してからピッキング作業が行われる。すなわち、ステップS110乃至S113においては、
図4のステップS10乃至S13と同様に、対象のプレートにおける候補細胞が特定され、当該候補細胞が、細胞表示領域313に拡大表示される。
【0075】
ステップS114において、操作受付部263は、作業者のピックボタン317又は次ボタン318に対するタップ操作に応じて、候補細胞がピッキング対象に選択されたか否かを判定する。ステップS114において、ピックボタン317がタップ操作され、候補細胞がピッキング対象に選択されたと判定された場合、処理は、ステップS115に進められる。
【0076】
ステップS115において、記録制御部262は、選択されたピッキング対象の細胞に関する情報(以下、選択細胞情報という)を、記録部204に記録する。例えば、選択細胞情報としては、ピッキング対象とされた細胞のコロニーIDが記録される。ステップS115が終了すると、処理は、ステップS116に進められる。また、ステップS114において、ピックボタン317がタップ操作されずに次ボタン318がタップ操作され、候補細胞がピッキング対象に選択されていないと判定された場合、ステップS115の処理はスキップされ、処理は、ステップS116に進められる。
【0077】
ステップS116において、操作受付部263は、作業者の操作に応じて、ピッキング対象選択作業を終了するか否かを判定する。ステップS116において、ピッキング対象選択作業を終了しないと判定された場合、処理は、ステップS117に進められる。
【0078】
ステップS117において、細胞特定部264は、次にピッキングする細胞の候補を特定する。ステップS117が終了すると、処理は、ステップS113に戻り、それ以降の処理が繰り返される。例えば、作業者によって次ボタン318がタップ操作された場合、次の候補細胞が細胞表示領域313に拡大表示され、拡大表示された次の候補細胞がピッキング対象に選択されたかどうかの判定処理が行われ、ピッキング対象に選択された場合には、選択細胞情報が記録される。
【0079】
以上のピッキング対象選択作業に対する処理が、ピッキング対象選択作業を終了すると判定されるまで繰り返され(S116の「YES」)、拡大表示された候補細胞C1乃至Cn(n=1,2,・・・,N)のうち、例えば、ピックボタン317がタップ操作された候補細胞はピッキング対象とされる一方、ピックボタン317が操作されずに、次ボタン318がタップ操作された候補細胞はピッキング対象から外されることになる。
【0080】
ピッキング対象選択作業が終了すると、ステップS118において、操作受付部263は、作業者の操作に応じて、ピッキング作業を開始するか否かを判定する。ステップS118において、ピッキング作業を開始しないと判定された場合、ステップS118の判定処理が繰り返される。そして、ピッキング作業が開始されるのを待って、処理は、ステップS119に進められる。
【0081】
ステップS119において、記録制御部262は、記録部204に記録された選択細胞情報を読み出す。
【0082】
ステップS120において、細胞特定部264は、選択細胞情報に基づいて、ピッキング対象選択作業によって選択された細胞の中から、ピッキング対象の細胞を特定する。そして、ステップS121乃至S125においては、
図4のステップS14乃至S18と同様に、ピッキング対象の細胞に対応する位置が所定の色(例えば赤色)で表示され(S121)、当該細胞に対するピッキング作業が行われた場合(S122の「YES」)、ピッキング履歴が記録される(S123)。
【0083】
以上のピッキング作業に対する処理が、ピッキング作業を終了すると判定されるまで繰り返され、ピッキング対象選択作業にて選択されたピッキング対象の細胞のうち、ピックボタン317がタップ操作されたピッキング対象の細胞はピッキング履歴が記録される。一方、ピックボタン317が操作されずに、次ボタン318がタップ操作されたピッキング対象の細胞はピッキング作業が行われていないため、そのピッキング履歴は記録されないことになる。
【0084】
なお、ピッキング作業時に、ナビエリア302にピッキング対象の細胞に対応する画像を拡大表示させて、作業者にピッキング対象の細胞を確認させながらピッキング作業を行わせるようにしてもよい。これにより、例えば、仮に、ピッキング対象選択作業にてピッキング対象の細胞の選択を誤ったとしても、当該細胞のピッキング作業を中止することで、所望の細胞のみを確実にピッキングすることができる。
【0085】
以上、オートモードにおける第2の細胞ピッキング作業支援処理について説明した。オートモードにおける第2の細胞ピッキング作業支援処理では、ピッキング対象選択作業により、候補細胞からピッキング対象の細胞の選択を行ってから、ピッキング作業により、ピッキング対象選択作業にて選択された細胞のピッキングが行われる。
【0086】
これにより、例えば、iPS細胞や心筋細胞などの特定の細胞のピッキング作業を行うに際し、作業効率を向上させることができる。また、例えば、作業者によっては1つの作業を繰り返し行うという作業形態を好む場合も想定されるが、ピッキング対象選択作業とピッキング作業を独立した作業とすることができるので、柔軟な作業形態を提供することが可能となる。
【0087】
次に、
図7のフローチャートを参照して、マニュアルモードにおける細胞ピッキング作業支援処理について説明する。なお、
図7のフローチャートに示す処理は、動作モードとして、マニュアルモードが選択されている場合に実行される。
【0088】
ステップS210及びS211においては、
図4のステップS10及びS11と同様に、培養観察情報が取得され、作業者の操作に応じて、ピッキング作業の対象となるプレートが選択される。
【0089】
ステップS212において、表示制御部265は、培養観察情報に基づいて、選択されたウェルプレート111のウェルのうち選択されたウェルの全域に対応する画像を、ナビエリア302の細胞表示領域313に表示する。
【0090】
ステップS213において、操作受付部263は、作業者の操作に応じて、細胞表示領域313に表示された画像のうち所定の領域の拡大又は縮小が指示されたか否かを判定する。
【0091】
ステップS213において、所定の領域の拡大又は縮小が指示されたと判定された場合、処理は、ステップS214に進められる。ステップS214において、表示制御部265は、所定の領域の拡大が指示された場合には、培養観察情報に基づき、対象のウェルの所定の領域が拡大された画像を、細胞表示領域313に表示する。また、表示制御部265は、所定の領域の縮小が指示された場合には、培養観察情報に基づき、対象のウェルの所定の領域が縮小された画像を、細胞表示領域313に表示する。
【0092】
すなわち、
図8に示すように、マニュアルモードでは、最初に、対象のウェルの全域に対応する画像が細胞表示領域313に表示される。このとき、全域の画像に含まれる各細胞には、所定の色(例えば黄色)が重畳表示される。また、ピックエリア301において、各細胞に対応する位置は、所定の色(例えば黄色)で表示される。
【0093】
例えば、細胞表示領域313に表示される画像に対し、作業者によりピンチアウト操作が行われた場合、表示制御部265は、その操作量に応じた拡大率で表示中の画像を変倍させて表示させる。ただし、「ピンチアウト操作」とは、タッチパネル上の所望の領域に2本の指を載せてそれらの指の間隔を広げるような操作をいう。
【0094】
また、細胞表示領域313に表示される画像に対し、作業者によりピンチイン操作が行われた場合、表示制御部265は、その操作量に応じた縮小率で表示中の画像を変倍させて表示させる。ただし、「ピンチイン操作」とは、タッチパネル上の所望の領域に2本の指を載せてそれらの指の間隔を狭めるような操作をいう。
【0095】
すなわち、ピンチアウト操作又はピンチイン操作が行われた場合、細胞表示領域313に表示される画像の所定の領域が拡大又は縮小されるので、
図9に示すように、作業者は、所望の細胞に対応する拡大画像を細胞表示領域313に表示させて、ピッキング対象とするかどうかを判断することができる。
【0096】
図7のフローチャートの説明に戻り、ステップS215において、操作受付部263は、ピッキング対象の細胞が選択されたか否かを判定する。ステップS215において、ピッキング対象の細胞が選択されていないと判定された場合、処理は、ステップS213に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0097】
例えば、作業者のピンチアウト操作に応じて、細胞表示領域313に、所望の細胞の拡大画像が表示された場合に、拡大画像がロングタップ操作されたとき、当該細胞がピッキング対象に選択されたと判定することができる。ただし、「ロングタップ操作」とは、タッチパネル上の所望の領域を一定時間触れてから離すような操作をいう。つまり、上記の「タップ操作」に対して、いわゆる長押しに相当する操作である。また、ピッキング対象の選択は、ロングタップ操作に限らず、例えば、決定ボタンやキャンセルボタンを有する所定の操作画面を表示して、作業者により決定ボタンが操作されたときにピッキング対象が選択されるようにしてもよい。
【0098】
そして、ステップS215において、ピッキング対象の細胞が選択されたと判定された場合、処理は、ステップS216に進められる。ステップS216において、表示制御部265は、ピッキング対象の細胞の選択結果に応じて、ピックエリア301における、ピッキング対象の細胞に対応する位置を所定の色(例えば赤色)で表示させる。
【0099】
これにより、上記の
図5に示したオートモードの場合と同様に、例えば、ナビエリア302の細胞表示領域313には拡大されたピッキング対象の細胞C1に対応する画像I
C1が表示され、ピックエリア301のピッキング対象の細胞C1に対応する位置P
C1が赤色で表示される。そして、作業者は、位置P
C1を目印にして、その位置に存在する細胞C1のピッキング作業を行うことになる。
【0100】
図7のフローチャートの説明に戻り、ステップS217において、操作受付部263は、ピッキング対象の細胞に対するピッキング作業が行われたか否かを判定する。ステップS217において、作業者によりピックボタン317がタップ操作され、ピッキング対象の細胞に対するピッキング作業が行われたと判定された場合、処理は、ステップS218に進められる。
【0101】
ステップS218において、記録制御部262は、ピッキング対象の細胞のピッキング履歴を、記録部204に記録する。ピッキング履歴が記録されると、処理は、ステップS219に進められる。
【0102】
また、ステップS217において、作業者によりピックボタン317が操作されず、ピッキング対象の細胞に対するピッキング作業が行われていないと判定された場合、ステップS218はスキップされ、処理は、ステップS219に進められる。
【0103】
ステップS219においては、ピッキング作業を終了するか否かが判定され、例えば次ボタン318がタップ操作され、当該作業を継続して行うと判定された場合、処理は、ステップS212に戻される。そして、ステップS212以降の処理が繰り返される。なお、ステップS219において、ピッキング作業を継続して行うと判定された場合に、処理を、ステップS213に戻して、それ以降の処理が実行されるようにしてもよい。これにより、ウェルの全域が表示されるのではなく、作業者により指示された認識可能な拡大率のまま次の細胞(例えば隣のコロニー)が表示され、それを確認することができるので、操作の手間を省くことができる。
【0104】
また、ステップS219において、ピッキング作業を終了すると判定された場合、マニュアルモードにおける細胞ピッキング作業支援処理は終了する。
【0105】
以上、マニュアルモードにおける細胞ピッキング作業支援処理について説明した。マニュアルモードにおける細胞ピッキング作業支援処理では、作業者の操作に応じた細胞の拡大画像がナビエリア302に表示されるので、作業者は、当該拡大画像を確認しながら、当該細胞をピッキング対象とするかどうかを判断することができる。そして、当該細胞が所望の細胞である場合には、その細胞の位置がピックエリア301に表示されるので、作業者は、当該表示位置を目印にして、その位置に存在する所望の細胞のピッキング作業を行うことができる。
【0106】
これにより、例えば、iPS細胞又は心筋細胞などの特定の細胞のピッキング作業を行うに際し、作業効率を向上させることができる。また、作業者の操作に応じた細胞の拡大画像を確認しながら、ピッキング対象とするかを判断することができるので、ピッキング作業の精度を向上させることができる。
【0107】
次に、
図10のフローチャートを参照して、設定処理について説明する。なお、
図10のフローチャートに示す処理は、上記の細胞ピッキング作業支援処理とは別に、任意のタイミングで実行される。
【0108】
ステップS311において、操作受付部263は、作業者により十字ボタン316がタップ操作又はロングタップ操作されたか否かを判定する。ステップS311において、十字ボタン316が操作されたと判定された場合、処理は、ステップS312に進められる。
【0109】
ステップS312において、設定部266は、十字ボタン316に対する作業者のタップ操作又はロングタップ操作に応じて、オフセット調整を行う。これにより、ピックエリア301上に載置されたウェルプレート111の取り付け位置にオフセットがある場合には、当該オフセットが調整されることになる。
【0110】
また、ステップS311において、十字ボタン316がタップ操作されていないと判定された場合、ステップS312の処理はスキップされ、処理は、ステップS313に進められる。
【0111】
ステップS313において、操作受付部263は、作業者により設定ボタン315がタップ操作されたか否かを判定する。ステップS313において、設定ボタン315がタップ操作されたと判定された場合、処理は、ステップS314に進められる。
【0112】
ステップS314において、設定部266は、動作モードを設定するための設定画面に対する作業者のタップ操作に応じて、オートモード又はマニュアルモードを動作モードに設定する。これにより、作業者は、任意のタイミングで動作モードを切り替えることが可能となる。
【0113】
ステップS313において、設定ボタン315がタップ操作されていないと判定された場合、ステップS314の処理はスキップされ、処理は、ステップS315に進められる。そして、ステップS315において、設定を終了するか否かが判定され、設定を終了しないと判定された場合、処理はステップS311に戻され、それ以降の処理が繰り返される。また、設定を終了すると判定された場合には、設定処理は終了される。
【0114】
以上、設定処理について説明した。なお、上記の設定処理では、オフセット調整と動作モードの設定を例に説明したが、それに限らず、細胞ピッキング作業支援処理を行う際に必要となるその他の設定事項が設定されるようにすることができる。例えば、作業者の利き手に応じてピッキング支援用画面の表示形態を変更する場合には、設定画面により、右利き用と左利き用の画面表示を選択できるようにしてもよい。
【0115】
また、前述した説明では、主に、作業者によるGUI画像として表示されるボタン操作に応じて、細胞ピッキング作業支援処理が進行するとして説明したが、その他のタッチパネル操作や作業者による音声指示に応じて進行するようにしてもよい。
【0116】
具体的には、
図11に示すように、次ボタン318に対するタップ操作の代わりに、右フリック操作や「次」などの音声指示が行われるようにしてもよい。また、前ボタン319に対するタップ操作の代わりに、左フリック操作や、「前」などの音声指示が行われるようにしてもよい。ただし、「右フリック操作」とは、タッチパネル上の所望の領域に指を載せて、その指を右方向にスライドさせるような操作をいう。また、「左フリック操作」とは、「右フリック操作」とは逆に、タッチパネル上の指を左方向にスライドさせるような操作をいう。さらに、ピックボタン317に対するタップ操作の代わりに、ロングタップ操作や「決定」などの音声指示が行われるようにしてもよい。
【0117】
そして、このような操作パターンを変更する場合には、所定の設定画面を表示させて、上記の操作パターンのうちいずれかが選択されるようにすればよい。
【0118】
なお、前述したピッキング支援用画面の表示形態は一例であり、その他の表示形態を採用することも可能である。例えば、
図12に示すように、作業者がピッキング対象を選択するに際して、ナビエリア302に、細胞C1の拡大画像I
C1とともに、リファレンス用の参照画像I
Rを表示させることができる。これにより、作業者は、参照画像I
Rを見ながら、細胞の拡大画像の表示を切り替えて、所望の細胞を確実に探し出すことができる。
【0119】
また、前述した説明では、ピッキング対象の細胞(コロニー)に対して、データ解析サーバ30による画像解析結果(マスク)が表示されるものとして説明したが、画像解析結果が表示されない場合もある。この場合のピッキング作業の手順は、例えば、次の流れで行われる。すなわち、作業者は、動作モードとしてマニュアルモードを選択し、ピッキング対象が表示されていない状態で、ナビエリア302にて拡大表示される画像を確認していき、ピッキング対象にすると判断した細胞(コロニー)を選択(記録)した上で、ピッキングを行うことになる。また、この場合においても前述の細胞ピッキング作業支援処理と同様にして、ピッキング対象選択作業とピッキング作業を一連の作業として細胞単位で行うほか、ピッキング対象選択作業とピッキング作業を独立させて作業単位で行うようにしてもよい。
【0120】
また、前述した説明では、無線通信により培養観察情報を送受信する例を説明したが、それに限らず、例えば、有線通信や、メモリカード等の記録媒体を介して、培養観察情報が、タブレット端末装置20により取得されるようにしてもよい。なお、メモリカード等の記録媒体を介して培養観察情報の授受を行う場合には、タブレット端末装置20には、当該記録媒体に対応するインターフェースが設けられる。さらに、細胞培養観察装置10が、データ解析サーバ30で実行される解析処理を行うことにより、データ解析サーバ30を介さずに、細胞培養観察装置10からタブレット端末装置20に、培養観察情報が直接送られるようにしてもよい。
【0121】
また、前述した説明では、培養容器として、ウェルプレート111を例に説明したが、それに限らず、各種の培養容器を用いることができる。また、ピックエリア301上に載置される培養容器を識別するために、プレート選択ボタン311等による操作が行われるとして説明したが、例えば、培養容器を一意に識別するための容器IDに対応するバーコードや当該容器IDを記録したRF(Radio Frequency)タグ内蔵のICチップを培養容器に取り付けて、タブレット端末装置20が容器IDを読み出すことで、培養容器が識別されるようにしてもよい。
【0122】
さらに、前述した説明では、観察ユニット103において、培養観察情報を取得するに際し、位相差観察と蛍光観察の両方の観察を行うとして説明したが、その両方の観察を行う必要はなく、例えば、発現細胞に関する情報を必要とせず、コロニーの存在の有無に関する情報だけを得たい場合には、蛍光観察は行わずに、位相差観察のみを行えばよい。
【0123】
また、ピッキング作業に用いられるピペットの先端を、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルで検知可能な素材とすることで、作業者によりピッキングが行われると、それを、タブレット端末装置20側で検知することができるので、作業者による所定の操作が行われなくても、例えば、ピッキング履歴を記録するといった処理を行うことも可能となる。
【0124】
なお、前述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成する制御プログラム251(
図3)が、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0125】
図13は、前述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0126】
コンピュータ400において、CPU(Central Processing Unit)401,ROM(Read Only Memory)402,RAM(Random Access Memory)403は、バス404により相互に接続されている。
【0127】
バス404には、さらに、入出力インターフェース405が接続されている。入出力インターフェース405には、入力部406、出力部407、記録部408、通信部409、及びドライブ410が接続されている。
【0128】
入力部406は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部407は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部408は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部409は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ410は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア411を駆動する。
【0129】
以上のように構成されるコンピュータ400では、CPU401が、例えば、記録部408に記憶されているプログラムを、入出力インターフェース405及びバス404を介して、RAM403にロードして実行することにより、前述した一連の処理が行われる。
【0130】
コンピュータ400(CPU401)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア411に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0131】
コンピュータ400では、プログラムは、リムーバブルメディア411をドライブ410に装着することにより、入出力インターフェース405を介して、記録部408にインストールすることができる。また、プログラムは、有線又は無線の伝送媒体を介して、通信部409で受信し、記録部408にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM402や記録部408に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0132】
なお、コンピュータ400が実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0133】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。