(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のポリマー除去工程後に、前記レジスト膜及び前記疎水性ポリマーをマスクとしてエッチング処理を行うエッチング処理工程をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
前記第2のポリマー除去工程後に、前記疎水性ポリマーをマスクとしてエッチング処理を行う他のエッチング処理工程をさらに有することを特徴とする、請求項2に記載の基板処理方法。
前記第1のポリマー分離工程と第1のポリマー除去工程との間に、前記基板にエネルギー線を照射し、その後、前記基板上に極性有機溶剤を供給することで、第1のポリマー除去工程における前記親水性ポリマーの選択的な除去を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などを順次行うフォトリソグラフィー処理が行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成される。そして、このレジストパターンをマスクとして、ウェハ上の被処理膜のエッチング処理が行われ、その後レジスト膜の除去処理などが行われて、被処理膜に所定のパターンが形成される。
【0003】
ところで、近年、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、上述した被処理膜のパターンの微細化が求められている。このため、レジストパターンの微細化が進められており、例えばフォトリソグラフィー処理における露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、2種類のポリマーから構成されたブロック共重合体を用いたウェハ処理方法が提案されている(非特許文献1)。かかる方法では、先ず、ウェハの反射防止膜上にレジストパターンを形成した後、反射防止膜とレジストパターン上に、親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する中性層を形成する。その後、レジストパターンをマスクとして、当該レジストパターン上の中性層を除去し、その後レジストパターンそのものも除去する。これによりウェハの反射防止膜上に中性層のパターンを形成し、その後、反射防止膜とパターン形成された中性層上にブロック共重合体を塗布する。そして、ブロック共重合体から親水性ポリマーと疎水性ポリマーを相分離させ、中性層上で親水性ポリマーと疎水性ポリマーを交互に規則的に配列させる。
【0005】
その後、例えば親水性ポリマーを除去することで、ウェハ上に疎水性ポリマーの微細なパターンが形成される。そして、疎水性ポリマーのパターンをマスクとして被処理膜のエッチング処理が行われ、被処理膜に所定のパターンが形成される。
【0006】
ところで、ブロック共重合体を用いたパターン形成は、デバイスを3次元に積層する3次元集積技術において、積層されたウェハ間に配線を施すための微細な貫通孔であるコンタクトホールを形成する際などにも用いられる。このコンタクトホールは、ウェハの上面に垂直な円柱状のホールパターンであり、ブロック共重合体を用いたいわゆるホールシュリンクプロセスにより形成される。
【0007】
ブロック共重合体を用いたホールシュリンクプロセスによりコンタクトホールを形成する場合は、例えば
図23に示すように、ウェハ上に先ずレジスト膜600により円柱状のホールパターン601を形成する。そして、当該ホールパターン601が形成されたウェハにブロック共重合体を塗布し、その後、ブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離する。そうすると、例えば
図24及び
図25に示すように、ウェハW上に形成されたレジスト膜600のホールパターン601内において、当該ホールパターン601に対して同心円状に、円柱形状の親水性ポリマー602と、円筒形状の疎水性ポリマー603とに相分離する。
【0008】
次いで、例えば同心円の内側に位置する親水性ポリマー602を除去することで、残った疎水性ポリマー603によりレジスト膜600のホールパターン601よりも直径の小さなホールパターンが形成される。そして、この疎水性ポリマー603をマスクとしてエッチング処理を行うことで、ウェハに微細な貫通孔であるコンタクトホールが形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで近年、DRAMなどの高性能化に伴い、DRAM内のキャパシタの高密度化が求められている。キャパシタは、上述のようなホールパターンにより形成されるため、キャパシタの高密度化のためにはホールパターン間の距離を狭める狭ピッチ化が求められる。
【0011】
しかしながら、上述のホールシュリンクプロセスでは、ホールパターンの直径を小さくすることはできるものの、ホールパターン間のピッチそのものはレジスト膜600のホールパターン601の配置に律速されるため、ホールパターンを狭ピッチ化することまではできない。そして、レジスト膜600によるホールパターン601のピッチは例えば90nm程度が限界であり、DRAMのキャパシタ高密度化に求められるピッチを満足することができない。
【0012】
そこで、所定のパターンのガイドを形成したウェハW上にブロック共重合体を塗布し、当該ブロック共重合体を相分離させることで、ガイドの間のスペースに例えば親水性ポリマーを相分離させ、この親水性ポリマーを除去することで、ホールパターンの狭ピッチ化をする手法が検討されている。狭ピッチ化の具体的な手法としては、先ず
図23に示すような円柱状の複数のホールパターン601を、ウェハW上にレジスト膜600により形成する。この際、各ホールパターン601は例えば等間隔の格子状に配置され、上下左右に隣接する各ホールパターン601の中心間のピッチPは約90nmである。また、各ホールパターン601の直径Qは例えば約45nmである。次いで、
図24に示すように、ALD(Atomic Layer Deposition)などを用いてレジスト膜600の表面の全面に酸化膜610を形成する。酸化膜610としては、例えばSiO2(酸化ケイ素)などが用いられる。この際、酸化膜610の膜厚は例えば約10nmであり、ホールパターン601の内径はこの酸化膜610により約25nmとなる。なお、
図24に示すように、ウェハWの上面には例えば被処理膜Kが形成されており、レジスト膜600はこの被処理膜Kの上面に形成されている。
【0013】
その後、例えば
図25に示すように、レジスト膜600をマスクとしてエッチング処理を行い、被処理膜Kにレジスト膜600のホールパターン601を転写する。なお、ホールパターン601には10nmの酸化膜610が形成されているため、被処理膜Kに転写されるホールパターンの直径も約25nmとなる。また、この際、レジスト膜600の上面及び被処理膜Kの上面の酸化膜も同時にエッチングされる。その後、アッシング処理によりレジスト膜600を除去する。そうすると、
図26及び
図27に示すように、10nmの膜厚の酸化膜610により、ウェハW上に内径25nm、外径45nmの円筒形状のパターンが形成される。
【0014】
その後、ウェハW上にブロック共重合体を塗布し、親水性ポリマー602と疎水性ポリマー603に相分離させる。この際、ブロック共重合体における親水性ポリマー602の分子量の比率は概ね20%〜40%であり、疎水性ポリマー603の分子量の比率は概ね80%〜60%である。そうすると、円筒形状の各酸化膜610をガイドとして、各酸化膜610から等間隔の位置に円柱状の親水性ポリマー602が相分離する。
図28に示される例の場合では、4つの円筒形状の酸化膜610により形成される正方形の対角線の交点の位置に、ウェハWの上面に垂直に円柱状の親水性ポリマー602が配置される。この際の親水性ポリマー602の直径は、酸化膜610の内径と同様に概ね25nmであり、ブロック共重合体611における各ポリマーの分子量は、相分離後の親水性ポリマー602の直径が所望の値となるように調整されている。なお、円筒形状の酸化膜610の内側はブロック共重合体611が相分離するためのスペースが存在しないため、相分離しないままのブロック共重合体611が残る。
【0015】
その後、親水性ポリマー602を選択的に除去することで、円柱状の親水性ポリマー602が形成されていた箇所に、疎水性ポリマー603によるホールパターンが形成される。そして、疎水性ポリマー603をマスクとして再度エッチング処理を行い、被処理膜Kに疎水性ポリマー603のホールパターンを転写する。疎水性ポリマー603のマスクにより被処理膜Kに転写されたホールパターンは、レジスト膜600のマスクにより形成されたホールパターンから45°斜めに位置しているため、ウェハW上には各ホールパターン間のピッチが、レジスト膜600によるホールパターン601のピッチのルート2分の1倍である、約63.6nmピッチの格子状のホールパターンが形成される。
【0016】
しかしながら、ホールパターンの狭ピッチ化のためのガイドとして
図28に示すように酸化膜610を用いた場合、当該酸化膜610が親水性を有するため、酸化膜610の表面(酸化膜610と疎水性ポリマー603の間)にも所定の厚みで親水性ポリマー602が相分離することが本発明者らにより確認されている。そのため、相分離後の親水性ポリマー602を選択的に除去すると、酸化膜610と疎水性ポリマーの間に隙間が形成され、疎水性ポリマー603をマスクとするその後のエッチング処理において、当該隙間も被処理膜Kに転写されてしまうという問題が生じる。
【0017】
そこで、ガイドとしての酸化膜610に対して表面処理を施し、酸化膜610の表面を疎水化することが考えられるが、そのための処理工程が増加してウェハW処理のスループットが低下してしまう。また、ガイドとして、酸化膜610以外の疎水性を有する材質を用いることも考えられるが、ガイドとして用いる膜にはレジスト膜600をアッシング処理する際の選択比が確保でき、且つ上述のような直径45nmの微細なホールパターンの側面に、均一な厚みで形成できることが求められる。そうすると、そのような膜はCVD(Chemical Vapor Deposition)などで形成することが困難であり、他に好ましい手段がないのが現状である。
【0018】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理において、基板上に所定のパターンを適切に形成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の目的を達成するため、本発明は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する方法であって、基板上にレジスト膜により円形状の
ホール部を複数形成するレジストパターン形成工程と、前記レジスト膜により円形状の
ホール部を形成した後の基板に対して第1のブロック共重合体を塗布する第1のブロック共重合体塗布工程と、
前記ホール部内において、前記第1のブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させ
、前記ホール部に対して同心円状に、円柱形状の前記親水性ポリマーと円筒形状の前記疎水性ポリマーを形成する第1のポリマー分離工程と、前記相分離した前記第1のブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去する第1のポリマー除去工程と、前記基板上から前記レジスト膜を選択的に除去するレジスト除去工程と、前記レジスト除去後の基板に対して第2のブロック共重合体を塗布する第2のブロック共重合体塗布工程と、
円筒形状の前記疎水性ポリマーの外側において、前記第2のブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させ
、円柱形状の前記親水性ポリマーを形成する第2のポリマー分離工程と、前記相分離した前記第2のブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去する第2のポリマー除去工程と、を有し、前記第1のブロック共重合体及び前記第2のブロック共重合体における前記親水性ポリマーの分子量の比率は、20%〜40%であることを特徴としている。なお、第1のブロック共重合体と第2のブロック共重合体の分子量や親水性ポリマーと疎水性ポリマーの分子量の比率は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
本発明によれば、親水性ポリマーの分子量の比率が20%〜40%であるブロック共重合体をレジスト膜によるホールパターン形成後の基板に対して塗布するので、その後の第1のポリマー分離工程と第1のポリマー除去工程により、レジスト膜のホールパターン内に円筒形状の疎水性ポリマーが形成される。そして、レジスト除去工程においてレジスト膜を選択的に除去することで、基板上には円筒形状の疎水性ポリマーのみが残る。そこで、レジスト除去後の基板に対して再度ブロック共重合体を塗布し、第2のポリマー分離工程を行うことで、疎水性ポリマーをガイドとして、各疎水性ポリマーから等間隔の位置に親水性ポリマーが相分離する。この際、ガイドとして疎水性ポリマーを用いているので、上述のように、親水性である酸化膜を用いた場合とは異なり、当該ガイドの表面に親水性ポリマーが相分離することがない。したがって、酸化膜をガイドに用いた場合のように、ガイドと疎水性ポリマーとの間に隙間が形成されてしまうことを防止し、例えばその後のエッチング処理において、基板上に不要な隙間のパターンが転写されることを防止できる。その結果、基板上に所定のパターンが適切に形成される。
【0021】
前記第1のポリマー除去工程後に、前記レジスト膜及び前記疎水性ポリマーをマスクとしてエッチング処理を行うエッチング処理工程をさらに有していてもよい。
【0022】
前記第2のポリマー除去工程後に、前記疎水性ポリマーをマスクとしてエッチング処理を行う他のエッチング処理工程をさらに有していてもよい。
【0024】
前記第1のポリマー分離工程と第1のポリマー除去工程との間に、前記基板にエネルギー線を照射し、その後、前記基板上に極性有機溶剤を供給することで、第1のポリマー除去工程における前記親水性ポリマーの選択的な除去を行ってもよい。
【0025】
前記親水性ポリマーはポリメタクリル酸メチルであり、前記疎水性ポリマーはポリスチレンであってもよい。
【0026】
前記レジスト膜による円形状のパターンは、格子状、三角形状または六角形状に配置されていてもよい。
【0027】
別な観点による本発明によれば、前記基板処理方法を基板処理システムによって実行させるように、当該基板処理システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0028】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0029】
さらに別な観点による本発明は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する基板処理システムであって、基板上に形成された露光処理後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像装置と、前記レジストパターン形成後の基板に対して第1のブロック共重合体及び第2のブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布装置と、前記第1のブロック共重合体及び前記第2のブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離装置と、前記相分離した前記第1のブロック共重合体及び前記第2のブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去装置と、前記基板上から前記レジスト膜を選択的に除去するレジスト除去装置と、
基板上にレジスト膜により円形状のホール部を複数形成するように前記現像装置を制御し、円形状の
ホール部が形成された後の基板に対して第1のブロック共重合体を塗布するように前記ブロック共重合体塗布装置を制御し、
前記ホール部内において、前記第1のブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させ
、前記ホール部に対して同心円状に、円柱形上の前記親水性ポリマーと円筒形状の前記疎水性ポリマーを形成するように前記ポリマー分離装置を制御し、前記相分離後の親水性ポリマーを選択的に除去するように前記ポリマー除去装置を制御し、前記基板上から前記レジスト膜を選択的に除去するようにレジスト除去装置を制御し、前記レジスト除去後の基板に対して第2のブロック共重合体を塗布するように前記ブロック共重合体塗布装置を制御し、
円筒形状の前記疎水性ポリマーの外側において、前記第2のブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させ
、円柱形状の前記親水性ポリマーを形成するように前記ポリマー分離装置を制御し、前記相分離した前記第2のブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するように前記ポリマー除去装置を制御する制御部と、を有し、前記第1のブロック共重合体及び前記第2のブロック共重合体における前記親水性ポリマーの分子量の比率は、20%〜40%であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理において、基板上に所定のパターンを適切に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本実施の形態にかかる基板処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【
図2】本実施の形態にかかる基板処理システムの構成の概略を示す側面図である。
【
図3】本実施の形態にかかる基板処理システムの構成の概略を示す側面図である。
【
図4】ブロック共重合体塗布装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【
図5】ブロック共重合体塗布装置の構成の概略を示す横断面図である。
【
図6】ウェハ処理の主な工程を説明したフローチャートである。
【
図7】ウェハ上に反射防止膜と中性層が形成された様子を示す縦断面の説明図である。
【
図8】中性層上にレジストパターンが形成された様子を示す平面視の説明図である。
【
図9】中性層上にレジストパターンが形成された様子を示す縦断面の説明図である。
【
図10】ウェハ上に第1のブロック共重合体が塗布された様子を示す縦断面の説明図である。
【
図11】第1のブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離した様子を示す縦断面の説明図である。
【
図12】第1のブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離した様子を示す平面の説明図である。
【
図13】相分離後のブロック共重合体から親水性ポリマーを選択的に除去した様子を示す縦断面の説明図である。
【
図14】被処理膜がエッチング処理された様子を示す縦断面の説明図である。
【
図15】被処理膜のエッチング処理後にレジストパターンを除去した様子を示す縦断面の説明図である。
【
図16】被処理膜のエッチング処理後にレジストパターンを除去した様子を示す平面の説明図である。
【
図17】ウェハ上に第2のブロック共重合体が塗布された様子を示す縦断面の説明図である。
【
図18】第2のブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離した様子を示す平面の説明図である。
【
図19】第2のブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離した様子を示す縦断面の説明図である。
【
図20】相分離後のブロック共重合体から親水性ポリマーを選択的に除去した様子を示す縦断面の説明図である。
【
図21】被処理膜がエッチング処理された様子を示す縦断面の説明図である。
【
図22】被処理膜に所定のパターンが形成された様子を示す平面の説明図である。
【
図23】従来のウェハ処理においてウェハ上にレジスト膜でホールパターンを形成した様子を示す平面の説明図である。
【
図24】従来のウェハ処理においてウェハ上に酸化膜を形成した様子を示す縦断面の説明図である。
【
図25】従来のウェハ処理においてウェハ上の被処理膜にレジスト膜のパターンを転写した様子を示す縦断面の説明図である。
【
図26】従来のウェハ処理においてレジスト膜を選択的に除去した様子を示す縦断面の説明図である。
【
図27】従来のウェハ処理においてレジスト膜を選択的に除去した様子を示す平面の説明図である。
【
図28】従来のウェハ処理においてブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離した様子を示す縦断面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる基板処理方法を実施する基板処理システム1の構成の概略を示す説明図である。
図2及び
図3は、基板処理システム1の内部構成の概略を示す側面図である。本実施の形態における基板処理システム1は、例えば塗布現像処理システムであり、本実施の形態では、ウェハWの上面に形成された被処理膜に所定のパターンを形成する場合を例にして説明する。
【0033】
基板処理システム1は、
図1に示すように複数枚のウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション10と、ウェハWに所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション11と、処理ステーション11に隣接する露光装置12との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション13とを一体に接続した構成を有している。
【0034】
カセットステーション10には、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20には、基板処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置するカセット載置板21が複数設けられている。
【0035】
カセットステーション10には、
図1に示すようにX方向に延びる搬送路22上を移動自在なウェハ搬送装置23が設けられている。ウェハ搬送装置23は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板21上のカセットCと、後述する処理ステーション11の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0036】
処理ステーション11には、各種装置を備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション11の正面側(
図1のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション11の背面側(
図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション11のカセットステーション10側(
図1のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション11のインターフェイスステーション13側(
図1のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0037】
例えば第1のブロックG1には、
図2に示すように複数の液処理装置、例えばウェハWを現像処理する現像装置30、ウェハW上に有機溶剤を供給する、ポリマー除去装置としての有機溶剤供給装置31、ウェハW上に反射防止膜を形成する反射防止膜形成装置32、ウェハW上に中性剤を塗布して中性層を形成する中性層形成装置33、ウェハW上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置34、ウェハW上にブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布装置35が下から順に重ねられている。
【0038】
例えば現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35の数や配置は、任意に選択できる。
【0039】
これら現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35では、例えばウェハW上に所定の塗布液を塗布するスピンコーティングが行われる。スピンコーティングでは、例えば塗布ノズルからウェハW上に塗布液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、塗布液をウェハWの表面に拡散させる。これら液処理装置の構成については後述する。
【0040】
なお、ブロック共重合体塗布装置35でウェハW上に塗布されるブロック共重合体は第1のモノマーと第2のモノマーが直鎖状に重合した、第1のポリマー(第1のモノマーの重合体)と第2のポリマー(第2のモノマーの重合体)とを有する高分子(共重合体)である。第1のポリマーとしては、親水性(極性)を有する親水性ポリマーが用いられ、第2のポリマーとしては、疎水性(非極性)を有する疎水性ポリマーが用いられる。本実施の形態では、親水性ポリマーとして例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)が用いられ、疎水性ポリマーとしては例えばポリスチレン(PS)が用いられる。また、ブロック共重合体における親水性ポリマーの分子量の比率は約20%〜40%であり、ブロック共重合体における疎水性ポリマーの分子量の比率は約80%〜60%である。そして、ブロック共重合体は、これら親水性ポリマーと疎水性ポリマーの共重合体を溶剤により溶液状としたものである。
【0041】
また、中性層形成装置33でウェハW上に形成される中性層は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する。本実施の形態では、中性層として例えばポリメタクリル酸メチルとポリスチレンとのランダム共重合体や交互共重合体が用いられる。以下において、「中性」という場合は、このように親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有することを意味する。
【0042】
例えば第2のブロックG2には、
図3に示すようにウェハWの熱処理を行う熱処理装置40、ウェハW上のブロック共重合体にエネルギー線として紫外線を照射して当該ブロック共重合体を改質処理する改質処理装置としての紫外線照射装置41、ウェハWを疎水化処理するアドヒージョン装置42、ウェハWの外周部を露光する周辺露光装置43、ブロック共重合体塗布装置35でウェハW上に塗布されたブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離装置44が上下方向と水平方向に並べて設けられている。熱処理装置40は、ウェハWを載置して加熱する熱板と、ウェハWを載置して冷却する冷却板を有し、加熱処理と冷却処理の両方を行うことができる。なお、ポリマー分離装置44もウェハWに対して熱処理を施す装置であり、その構成は熱処理装置40と同様である。紫外線照射装置41は、ウェハWを載置する載置台と、載置台上のウェハWに対して、例えば波長が172nmの紫外線を照射する紫外線照射部を有している。熱処理装置40、紫外線照射装置41、アドヒージョン装置42、周辺露光装置43、ポリマー分離装置44の数や配置は、任意に選択できる。
【0043】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置50、51、52、53、54、55、56が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置60、61、62が下から順に設けられている。
【0044】
図1に示すように第1のブロックG1〜第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有する、ウェハ搬送装置70が複数配置されている。ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0045】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置80が設けられている。
【0046】
シャトル搬送装置80は、例えばY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置80は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡し装置52と第4のブロックG4の受け渡し装置62との間でウェハWを搬送できる。
【0047】
図1に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側の隣には、ウェハ搬送装置100が設けられている。ウェハ搬送装置100は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置100は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置にウェハWを搬送できる。
【0048】
インターフェイスステーション13には、ウェハ搬送装置110と受け渡し装置111が設けられている。ウェハ搬送装置110は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置110は、例えば搬送アームにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置、受け渡し装置111及び露光装置12との間でウェハWを搬送できる。
【0049】
次に、上述したブロック共重合体塗布装置35の構成について説明する。ブロック共重合体塗布装置35は、
図4に示すように処理容器130を有している。処理容器130の側面には、ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成されている。
【0050】
処理容器130内には、ウェハWを保持して回転させるスピンチャック140が設けられている。スピンチャック140は、例えばモータなどのチャック駆動部141により所定の速度に回転できる。
【0051】
スピンチャック140の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ142が設けられている。カップ142の下面には、回収した液体を排出する排出管143と、カップ142内の雰囲気を排気する排気管144が接続されている。
【0052】
図5に示すようにカップ142のX方向負方向(
図5の下方向)側には、Y方向(
図5の左右方向)に沿って延伸するレール150が形成されている。レール150は、例えばカップ142のY方向負方向(
図5の左方向)側の外方からY方向正方向(
図5の右方向)側の外方まで形成されている。レール150には、例えば二本のアーム151、152が取り付けられている。
【0053】
第1のアーム151には、第1のブロック共重合体を供給する、第1の供給ノズル153が支持されている。第1のアーム151は、
図5に示すノズル駆動部154により、レール150上を移動自在である。これにより、第1の供給ノズル153は、カップ142のY方向正方向側の外方に設置された待機部155からカップ142内のウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、第1のアーム151は、ノズル駆動部154によって昇降自在であり、第1の供給ノズル153の高さを調整できる。
【0054】
第1の供給ノズル153には、
図4に示すように、第1のブロック共重合体供給源156に連通する第1のブロック共重合供給管157が接続されている。
【0055】
第2のアーム152には、第2のブロック共重合体を供給する、第2の供給ノズル160が支持されている。第2のアーム152は、
図5に示すノズル駆動部161によってレール150上を移動自在であり、第2の供給ノズル160を、カップ142のY方向負方向側の外方に設けられた待機部162からカップ142内のウェハWの中心部上方まで移動させることができる。また、ノズル駆動部161によって、第2のアーム152は昇降自在であり、第2の供給ノズル160の高さを調節できる。
【0056】
第2の供給ノズル160には、
図4に示すように第2のブロック共重合体供給源163に連通する第2のブロック共重合体供給管164が接続されている。なお、第1のブロック共重合体と第2のブロック共重合体については後述する
【0057】
他の液処理装置である現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33及びレジスト塗布装置34の構成は、ノズルから供給される液が異なる点以外は、上述したブロック共重合体塗布装置35の構成と同様であるので説明を省略する。
【0058】
以上の基板処理システム1には、
図1に示すように制御部300が設けられている。制御部300は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、基板処理システム1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、基板処理システム1における後述
の処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部300にインストールされたものであってもよい。
【0059】
次に、以上のように構成された基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。
図6は、かかるウェハ処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0060】
先ず、複数のウェハWを収納したカセットCが、基板処理システム1のカセットステーション10に搬入され、ウェハ搬送装置23によりカセットC内の各ウェハWが順次処理ステーション11の受け渡し装置53に搬送される。
【0061】
次にウェハWは、熱処理装置40に搬送されて温度調節された後、反射防止膜形成装置32に搬送され、
図7に示すようにウェハW上に反射防止膜400が形成される(
図6の工程S1)。なお、本実施の形態におけるウェハWには、既述の通り予め被処理膜KがウェハWの上面に形成されており、反射防止膜400はこの被処理膜Kの上面に形成される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、加熱され、温度調節される。
【0062】
次にウェハWは、中性層形成装置33に搬送され、
図7に示すようにウェハWの反射防止膜400上に中性剤が塗布されて、中性層401が形成される(
図6の工程S2)。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、加熱され、温度調節される。
【0063】
次にウェハWは、アドヒージョン装置42に搬送され、アドヒージョン処理される。その後ウェハWは、レジスト塗布装置34に搬送され、ウェハWの中性層401上にレジスト液が塗布されて、レジスト膜が形成される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送されて、プリベーク処理される。その後ウェハWは、周辺露光装置43に搬送され、周辺露光処理される。なお、本実施の形態におけるレジストは、例えばArFレジストである。
【0064】
次にウェハWは、インターフェイスステーション13のウェハ搬送装置110によって露光装置12に搬送され、露光処理される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、露光後ベーク処理される。その後ウェハWは、現像装置30に搬送され、現像処理される。現像終了後、ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、ポストベーク処理される。こうして、
図8、
図9に示すようにウェハWの中性層401上にレジスト膜による所定のレジストパターン402が形成される(
図6の工程S3)。本実施の形態におけるレジストパターン402は、平面視において直径Qの円形状のホール部402aが、格子状に複数並んだパターンである。また、上下左右に隣接する各ホール部402aの中心間の距離(
図8のピッチP)は同一である。即ち、各ホール部402aは、正方形状に設けられている。本実施の形態におけるピッチPは、例えば約90nmである。なお、ホール部402aの直径Qは、後述するようにホール部402aに親水性ポリマーと疎水性ポリマーが同心円状に相分離するように設定される。本実施の形態では、ホール部402aの直径Qは例えば約45nmである。
【0065】
次にウェハWは、ブロック共重合体塗布装置35に搬送される。ブロック共重合体塗布装置35では、第1の供給ノズル153からウェハ上に第1のブロック共重合体403が供給され、
図10に示すようにウェハW上に第1のブロック共重合体403が塗布される(第1のブロック共重合体塗布工程。
図6の工程S4)。
【0066】
次にウェハWは、ポリマー分離装置44に搬送され、所定の温度で熱処理が行われる。これにより、
図11及び
図12に示すように、ウェハW上の第1のブロック共重合体403が、親水性ポリマー404と疎水性ポリマー405に相分離される(第1のポリマー分離工程。
図6の工程S5)。ここで、上述したように、第1のブロック共重合体403において親水性ポリマー404の分子量の比率は20%〜40%であり、疎水性ポリマー405の分子量の比率は80%〜60%である。そうすると、工程S5において、
図11及び
図12に示すように、レジストパターン402のホール部402aの中心に円柱形状の親水性ポリマー404が相分離される。また、親水性ポリマー404外周を囲むように、円筒形状の疎水性ポリマー405が親水性ポリマー404に同心円状に相分離される。なお、円柱形状の親水性ポリマー404の直径は、第1のブロック共重合体403を構成する高分子である親水性ポリマーと疎水性ポリマーとの間の相互作用パラメータであるχ(カイ)パラメータや、各ポリマーの分子量により定まる。そのため、第1のブロック共重合体403は、円柱形状の親水性ポリマー404の直径、即ち、後述するエッチング処理工程で被処理膜Kに転写するホールパターンが所望の直径になるように、χ(カイ)パラメータや、各ポリマーの分子量が設定されている。本実施の形態では、例えば相分離後の円柱状の親水性ポリマー404の直径は、約25nmである。
【0067】
次にウェハWは、紫外線照射装置41に搬送される。紫外線照射装置41では、ウェハWに紫外線を照射することで、親水性ポリマー404であるポリメタクリル酸メチルの結合鎖を切断すると共に、疎水性ポリマー405であるポリスチレンを架橋反応させる(
図6の工程S6)。
【0068】
次にウェハWは、有機溶剤供給装置31に搬送される。有機溶剤供給装置31では、ウェハWに極性を有する有機溶剤が供給される。極性有機溶剤としては、例えばIPA(イソプロピルアルコール)などが用いられる。これにより、紫外線照射で結合鎖が切断された親水性ポリマー404が有機溶剤により溶解され、ウェハWから親水性ポリマー404が選択的に除去される(第1のポリマー除去工程。
図6の工程S7)。その結果、
図13に示すように、疎水性ポリマー405により内径25nmのホール状のパターン405aが形成される。なお、この工程S7は、ホール部402aの直径を小さくするいわゆるホールシュリンクプロセスでもある。
【0069】
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置50に搬送され、
その後カセットステーション10のウェハ搬送装置23によって所定のカセット載置板21のカセットCに搬送される。
【0070】
その後、カセットCは基板処理システム1の外部に設けられたエッチング処理装置(図示せず)に搬送され、レジスト膜(レジストパターン402)及び疎水性ポリマー405をマスクとして、中性層401、反射防止膜400及び被処理膜Kがエッチング処理される。これにより、
図14に示すように、被処理膜Kに所定のパターンとして、直径25nmのホールパターン406が転写される(
図6の工程S8)。なお、エッチング処理装置としては、例えばRIE(Reactive Ion Eching)装置が用いられる。すなわち、エッチング処理装置では、反応性の気体(エッチングガス)やイオン、ラジカルによって、親水性ポリマーや反射防止膜といった被処理膜をエッチングするドライエッチングが行われる。
【0071】
その後ウェハWは、レジスト除去装置であるアッシング処理装置(図示せず)に搬送され、ウェハW上からレジストパターン402が選択的に除去される(
図6の工程S9)。その結果、ウェハWの中性層401の上面には、例えば
図15、
図16に示されるように、正方形状のパターンで配列する、内部に円柱状のホールパターン(孔)406を有する疎水性ポリマー405からなる筒状体が形成される。換言すれば、ウェハWの中性層401の上面には、円筒形状の疎水性ポリマー405のみが残った状態となる。なお、このアッシング処理においては、レジストパターン402のホール部402aに残存する疎水性ポリマー405もアッシングされるが、一般にArFレジストはポリメタクリル酸メチルを基材としており、本発明者らによれば、疎水性ポリマー405であるポリスチレンとの選択比を確保できるため、疎水性ポリマー405は完全にアッシングされることなくウェハW上に残る。
【0072】
アッシング処理によりレジストパターン402が除去されたウェハWは、再び基板処理システム1に搬送される。次いで、ウェハWはブロック共重合体塗布装置35に搬送され、第2の供給ノズル160から中性層401の上面に円筒形状の疎水性ポリマー405のみが残った状態のウェハW上に第2のブロック共重合体410が供給され、
図17に示すように、ウェハW上に第2のブロック共重合体410が塗布される(第2のブロック共重合体塗布工程。
図6の工程S10)。この際、第2のブロック共重合体410はホールパターン406の内部にも塗布される。第2のブロック共重合体410における各ポリマーの分子量は、当該第2のブロック共重合体410を相分離させたときに、円柱状の親水性ポリマーの直径が約25nmとなるように設定されている。
【0073】
その後、ウェハWは、ポリマー分離装置44に搬送され、工程S5の場合と同様に、所定の温度で熱処理が行われる。これにより、ウェハW上の第2のブロック共重合体410が、
図18、
図19に示すように、親水性ポリマー411と疎水性ポリマー412に相分離される(第2のポリマー分離工程。
図6の工程S11)。なお、円筒形状の疎水性ポリマー405の内側に塗布された第2のブロック共重合体410は、円筒形状の疎水性ポリマー405の内側に相分離するためのスペースがないため、相分離することなくそのまま第2のブロック共重合体410として残る。
【0074】
相分離された親水性ポリマー411は、第1のポリマー分離工程(工程S5)において相分離された疎水性ポリマー405から等間隔の位置に配置される。本実施の形態では、疎水性ポリマー405が正方形状に配列しているため、親水性ポリマー411は、例えば
図18に示すように、各疎水性ポリマー405により形成される正方形の対角線(
図18中の一点鎖線)の交点の位置に配置され、それ以外の箇所には第2のポリマー分離工程で相分離した疎水性ポリマー412が配置される。この際、親水性ポリマー404のガイドとして、円柱状の疎水性ポリマー405を用いているため、第2のポリマー分離工程(工程S11)において相分離した疎水性ポリマー405は、第1のポリマー分離工程(工程S5)において相分離した疎水性ポリマー405に隣接して配置される。換言すれば、ガイドとして親水性の酸化膜610を用いた場合のように、第1のポリマー分離工程で相分離した疎水性ポリマー405の表面に隣接して親水性ポリマー404が配置されることがない。なお、第1のブロック共重合体403は、直径約45nmのホール部402aの内側で直径約25nmの親水性ポリマー404を相分離させるのに対して、第2のブロック共重合体410は、上述のように、疎水性ポリマー405の間に直径約25nmの円柱状の親水性ポリマー411を相分離させるので、第1のブロック共重合体403とは各ポリマーの分子量は異なるものとなる。
【0075】
その後、工程S6と同様に、紫外線照射装置41でウェハWに紫外線を照射して親水性ポリマー411であるポリメタクリル酸メチルの結合鎖を切断すると共に、疎水性ポリマー412であるポリスチレンを架橋反応させる(
図6の工程S12)。次に、ウェハWは有機溶剤供給装置31に搬送され、ウェハW上に極性有機溶剤が供給される。それにより、
図20に示すように、ウェハWから親水性ポリマー411が選択的に除去され(第2のポリマー除去工程。
図6の工程S13)、疎水性ポリマー412に内径25nmのホール状のパターン412aが形成される。この際、円筒形状の疎水性ポリマー405内側の第2のブロック共重合体410は除去されずにウェハW上に残る。
【0076】
その後、ウェハWは、基板処理システム1の外部に設けられたエッチング処理装置(図示せず)に再度搬送され、疎水性ポリマー405、412をマスクとして、中性層401、反射防止膜400及び被処理膜Kがエッチング処理される。これにより、
図21示すように、被処理膜Kにパターン412aと同じ直径を有するホールパターン406が転写される(
図6の工程S14)。
【0077】
その後、ウェハWが再度エッチング処理され、ウェハW上の疎水性ポリマー405、412、第2のブロック共重合体410、中性層401及び反射防止膜400が除去される。その結果、
図22に示すように、ウェハW上の被処理膜Kに、斜め45°方向に隣接する5つのホールパターン406が形成される。このホールパターン406間のピッチP1は、工程S3で形成されたレジストパターン402によるホール部402aのピッチのルート2分の1倍であり、ブロック共重合体を用いた狭ピッチ化が実現される。これにより、一連のウェハ処理が終了する
【0078】
以上の実施の形態によれば、親水性ポリマーの分子量の比率が20%〜40%である第1のブロック共重合体403をレジストパターン402形成後のウェハWに対して塗布し、その後、第1のポリマー分離工程(工程S5)と第1のポリマー除去工程(工程S7)を行うことで、レジストパターン402のホール部402a内に円筒形状の疎水性ポリマーが形成される。そして、工程S9においてレジストパターン402を選択的に除去することで、ウェハW上には円筒形状の疎水性ポリマー405のみが残る。そこで、レジスト除去後のウェハWに対して第2のブロック共重合体410を塗布し、第2のポリマー分離工程(工程S11)を行うことで、疎水性ポリマー405をガイドとして、各疎水性ポリマー405から等間隔の位置に親水性ポリマー411が相分離する。この際、ガイドとして疎水性ポリマー405を用いているので、例えば親水性の酸化膜610を用いた場合とは異なり、当該ガイドの表面に親水性ポリマー411が相分離することがない。その結果、酸化膜610をガイドに用いた場合のように、ガイドと疎水性ポリマー405、412との間に隙間が形成されてしまうことを防止できる。したがって、例えばその後のエッチング処理において、被処理膜K上に不要な隙間のパターンが転写されることなく、狭ピッチ化したホールパターン406を被処理膜Kに形成できる。
【0079】
また、第2のブロック共重合体410を相分離させる際のガイドとして例えばSiO2などの酸化膜610を用いる場合、無機物である当該酸化膜610は、有機物である親水性ポリマーや疎水性ポリマーとの間に高いエッチング選択比が生じる。そうすると、例えば
図28に示すように、酸化膜610をガイドとしてブロック共重合体611を相分離させ、疎水性ポリマー603をマスクとしてエッチング処理を行った後に、不要となった疎水性ポリマー603と酸化膜610とをウェハW上から除去するには、当該疎水性ポリマー603と酸化膜610とに対して別々のエッチング処理を行う必要がある。その場合、ウェハ処理のスループットが低下してしまう。それに対して本実施の形態では、疎水性ポリマー405をガイドとして用いるので、不要となった疎水性ポリマー405と疎水性ポリマー412を一度のエッチングで除去でき、そのような問題が生じることもない。
【0080】
また、第2のブロック共重合体410を相分離させる際のガイドとして酸化膜610を用いる場合、酸化膜610形成のために、一旦基板処理システム1の外部に搬出して、専用の成膜装置で成膜処理を行う必要があるが、本実施の形態のように第1のブロック共重合体403をガイドとして用いる場合、基板処理システム1内でガイド形成のための全ての処理を行うことができる。したがって、ウェハWにガイドを作成する際のスループットを向上させることもできる。
【0081】
以上の実施の形態では、親水性ポリマー404、411を選択的に除去するために、ウェハWに紫外線を照射し、その後極性有機溶剤を供給したが、親水性ポリマー404、411の除去方法については本実施の形態の内容に限定されるものではなく、例えばドライエッチングなどを用いて親水性ポリマー404、411を選択的に除去するようにしてもよい。
【0082】
また、以上の実施の形態では、工程S9においてレジストパターン402をアッシング処理して除去したが、レジストパターン402の除去方法についても本実施の形態の内容に限定されるものではない。本発明者らによれば、例えばレジストとして極性を有するものであれば、ネガ現像型またはポジ現像型のいずれを用いた場合であっても、工程S6でウェハWにエネルギー線として例えば波長172nmの紫外線を照射し、工程S7で極性有機溶剤に代えて酢酸を供給することで、親水性ポリマー404に加えてレジストパターン402も溶解され、中性
層401上には疎水性ポリマーのみが残ることが確認されている。したがって、基板処理システム1の例えば現像装置30や有機溶剤供給装置31を、ウェハWに対して酢酸を供給可能に構成しておき、工程S8においてレジストパターン402及び疎水性ポリマー405をマスクとして被処理膜Kをドライエッチング処理した後、ウェハWをアッシング処理装置ではなく基板処理システム1に搬送し、現像装置30や有機溶剤供給装置31で酢酸を供給するようにしてもよい。そうすることで、ドライエッチング以外の処理を全て基板処理システム1で行えるので、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。かかる場合、現像装置30や有機溶剤供給装置31は、レジスト膜を選択的に除去するレジスト除去装置として機能する。なお、工程S6で照射するエネルギー線としては、紫外線に代えて例えば電子線であってもよい。
【0083】
なお、以上の実施の形態では、被処理膜Kへのパターンの転写を、工程S8と工程S14の2回に分けて行ったが、例えば工程S8でのエッチング処理を省略して、工程S14において被処理膜Kへのホール状のパターン405aとパターン412aの転写を同時に行うようにしてもよい。パターン405aとパターン412aの転写を分けて行うのは、工程S10で円筒形状の疎水性ポリマー405内側に塗布された第2のブロック共重合体410が工程S13で除去できないことに起因している。即ち、中性層401も第2のブロック共重合体410も、親水性ポリマーと疎水性ポリマーにより構成されているものであるため、工程S14では共にエッチングされるものの、本発明者らによれは、選択比にはほとんど差がない。そのため、工程S14で中性層401をエッチング処理する際に、中性層401が露出しているパターン412aに対応する箇所と、第2のブロック共重合体410が残存しているパターン412aに対応する箇所とでは、均一にエッチングを行うことができなくなる。
【0084】
そこで、例えば工程S2で中性層401を形成する際の熱処理温度を、例えばブロック共重合体を相分離させる際の熱処理温度よりも高い温度(概ね300℃〜400℃程度)に設定し、中性層401を架橋反応させておくことで、中性層401と第2のブロック共重合体410とにエッチング選択比を持たせるようにすれば、例えば工程S14においてパターン405aとパターン412aに対応する箇所を同時にエッチングしても、中性層401のエッチングが不均一となることを緩和できる。
【0085】
また、中性層401の下地に例えばメタルハードマスクを設けておいてもよい。かかる場合、中性層401と第2のブロック共重合体410とで選択比が確保できていなくても、エッチングは一旦メタルハードマスクで止まる。したがって、中性層401と第2のブロック共重合体410を除去した後に、メタルハードマスクにパターンを転写すれば、当該メタルハードマスクを用いて引き続き被処理膜Kにパターンを転写できるので、工程S14でパターン405aとパターン412aに対応する箇所を同時にエッチング処理することが可能となる。
【0086】
以上の実施の形態では、第1のブロック共重合体403と第2のブロック共重合体410の各ポリマーの分子量を異なるものとしていたが、第1のブロック共重合体403と第2のブロック共重合体410は同一のものであってもよい。ブロック共重合体に含まれる各ポリマーの分子量は、例えば工程S5の第1のポリマー分離工程において形成する円柱状の親水性ポリマー404の直径と、工程S11の第2のポリマー分離工程において形成する円柱状の親水性ポリマー411の直径により定まるものであり、親水性ポリマー404、411と疎水性ポリマー405、412が適正に相分離する範囲内においては、任意に設定が可能である。
【0087】
以上の実施の形態では、ガイドとして機能する円筒形状の疎水性ポリマー405の配置を決定するためのホール部402aが、正方形状に配置されるようにレジストパターン402を形成した場合を例にして説明したが、ホール部402aの配置は本実施の形態の内容に限定されるものではなく、例えば三角形状に配置してもよいし、六角形状に配置してもよい。第2のブロック共重合体410における親水性ポリマー411の分子量の比率を約20%〜40%とすることで、円柱状の親水性ポリマー411はガイドの表面から等間隔の位置、即ちエネルギー的に安定した位置に自律的に相分離して配列する。したがって、ホール部402aの配置は、自律的に配列する親水性ポリマー411の位置を考慮して適宜設定される。
【0088】
また、以上の実施の形態では、4つのホール部402aから等間隔の位置に1つの親水性ポリマー411が相分離するように、各ホール部402a間のピッチが設定されていたが、各ホール部402a間のピッチについても本実施の形態の内容に限定されるものではなく、任意に設定が可能である。上述のように、親水性ポリマー411はエネルギー的に安定した位置に自律的に相分離するので、各ホール部402a間のピッチを広くすることで、当該ホール部402aに対応する位置に形成されるガイドとしての円筒形状の疎水性ポリマー405の間に、複数の親水性ポリマー411を相分離させることも可能である。
【0089】
また、従来のフォトリソグラフィー技術を用いてホールパターン406間のピッチPを狭める手法としては、露光処理及び現像処理を複数回行う、いわゆるダブルパターニングが知られているが、ダブルパターニングにおいては、2回目以降のパターニングの際に、1回目のパターニングに対するアライメントを正確に行う必要がある。それに対して、本実施の形態のように、ブロック共重合体を用いる場合、第2のブロック共重合体410の親水性ポリマー411は、自律的にエネルギー的に安定した場所、即ちガイドとなる複数の疎水性ポリマー405から等間隔の場所に相分離する。したがって、従来のダブルパターニングのようなアライメント調整が不要となり、また、露光処理もレジストパターン402のホール部402aを形成するための一度のみでよくなるため、非常に効率的にホールパターンの狭ピッチ化を図ることができる。
【0090】
なお、以上の実施の形態では、第1のブロック共重合体403の疎水性ポリマー405を相分離させる際のガイドとして、レジストパターン402のホール部402aを用いたが、ガイドとしては必ずしもレジストパターン402を用いる必要はなく、当該パターン内で同心円状に親水性ポリマー404と疎水性ポリマー405とに相分離させることができるものであれば、例えばレジストパターン402のホール部402aを転写した中性層401であったり、或いはポリスチレンの膜などであったりしてもよい。
【0091】
以上の実施の形態では、ウェハW上の被処理膜Kに対してホールパターン406を転写する場合を例に説明したが、例えばウェハWに対してエッチングを施し、ウェハW上にホールパターン406を転写する場合にも適用できる。
【0092】
また、以上の実施の形態では、レジストパターン402の下地膜として、反射防止膜400や中性層401を形成していたが、これらについても必ずしも必要ではない。特に、中性層401は、ブロック共重合体を相分離させた際に、ウェハWの法線方向に沿って親水性ポリマー404と疎水性ポリマー405を配列させるために用いられるため、中性層401を設けない場合でも、レジストパターン402の下地が親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中性か、或いは中性ではなくても、親水性ポリマー404と疎水性ポリマー405が適正に相分離するものであれば、中性層401は必ずしも設ける必要がない。かかる場合、レジストパターン402の下地、即ちブロック共重合体403が塗布される面は、例えば反射防止膜400であってもよい。
【0093】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。