(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。
図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
【0029】
接合システム1では、
図3に示すように例えば2枚の基板としてのウェハW
U、W
Lを接合する。以下、上側に配置されるウェハを、第1の基板としての「上ウェハW
U」といい、下側に配置されるウェハを、第2の基板としての「下ウェハW
L」という。また、上ウェハW
Uが接合される接合面を「表面W
U1」といい、当該表面W
U1と反対側の面を「裏面W
U2」という。同様に、下ウェハW
Lが接合される接合面を「表面W
L1」といい、当該表面W
L1と反対側の面を「裏面W
L2」という。そして、接合システム1では、上ウェハW
Uと下ウェハW
Lを接合して、重合基板としての重合ウェハW
Tを形成する。
【0030】
接合システム1は、
図1に示すように例えば外部との間で複数のウェハW
U、W
L、複数の重合ウェハW
Tをそれぞれ収容可能なカセットC
U、C
L、C
Tが搬入出される搬入出ステーション2と、ウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0031】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、水平方向のX方向(
図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットC
U、C
L、C
Tを搬入出する際に、カセットC
U、C
L、C
Tを載置することができる。このように、搬入出ステーション2は、複数の上ウェハW
U、複数の下ウェハW
L、複数の重合ウェハW
Tを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に設定することができる。また、カセットの1つを異常ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で上ウェハW
Uと下ウェハW
Lとの接合に異常が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハW
Tと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットC
Tのうち、1つのカセットC
Tを異常ウェハの回収用として用い、他のカセットC
Tを正常な重合ウェハW
Tの収容用として用いている。
【0032】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットC
U、C
L、C
Tと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間でウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tを搬送できる。
【0033】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(
図1のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(
図1のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(
図1のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
【0034】
例えば第1の処理ブロックG1には、ウェハW
U、W
Lの表面W
U1、W
L1を改質する表面改質装置30が配置されている。表面改質装置30では、例えば減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガス又は窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオン又は窒素イオンが表面W
U1、W
L1に照射されて、表面W
U1、W
L1がプラズマ処理され、改質される。
【0035】
例えば第2の処理ブロックG2には、例えば純水によってウェハW
U、W
Lの表面W
U1、W
L1を親水化すると共に当該表面W
U1、W
L1を洗浄する表面親水化装置40、ウェハW
U、W
Lを接合する接合装置41が、搬入出ステーション2側からこの順で水平方向のY方向に並べて配置されている。
【0036】
表面親水化装置40では、例えばスピンチャックに保持されたウェハW
U、W
Lを回転させながら、当該ウェハW
U、W
L上に純水を供給する。そうすると、供給された純水はウェハW
U、W
Lの表面W
U1、W
L1上を拡散し、表面W
U1、W
L1が親水化される。なお、接合装置41の構成については後述する。
【0037】
例えば第3の処理ブロックG3には、
図2に示すようにウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tのトランジション装置50、51が下から順に2段に設けられている。
【0038】
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。
【0039】
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置にウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tを搬送できる。
【0040】
以上の接合システム1には、
図1に示すように制御部70が設けられている。制御部70は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1におけるウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述のウェハ接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部70にインストールされたものであってもよい。
【0041】
次に、上述した接合装置41の構成について説明する。接合装置41は、
図4に示すように内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、ウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tの搬入出口101が形成され、当該搬入出口101には開閉シャッタ102が設けられている。
【0042】
処理容器100の内部は、内壁103によって、搬送領域T1と処理領域T2に区画されている。上述した搬入出口101は、搬送領域T1における処理容器100の側面に形成されている。また、内壁103にも、ウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tの搬入出口104が形成されている。
【0043】
搬送領域T1のX方向正方向側には、ウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tを一時的に載置するためのトランジション110が設けられている。トランジション110は、例えば2段に形成され、ウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tのいずれか2つを同時に載置することができる。
【0044】
搬送領域T1には、ウェハ搬送機構111が設けられている。ウェハ搬送機構111は、
図4及び
図5に示すように例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、ウェハ搬送機構111は、搬送領域T1内、又は搬送領域T1と処理領域T2との間でウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tを搬送できる。
【0045】
搬送領域T1のX方向負方向側には、ウェハW
U、W
Lの水平方向の向きを調節する位置調節機構120が設けられている。位置調節機構120は、ウェハW
U、W
Lを保持して回転させる保持部(図示せず)を備えた基台121と、ウェハW
U、W
Lのノッチ部の位置を検出する検出部122と、を有している。そして、位置調節機構120では、基台121に保持されたウェハW
U、W
Lを回転させながら検出部122でウェハW
U、W
Lのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節してウェハW
U、W
Lの水平方向の向きを調節している。なお、基台121においてウェハW
U、W
Lを保持する方式は特に限定されるものではなく、例えばピンチャック方式やスピンチャック方式など、種々の方式が用いられる。
【0046】
また、搬送領域T1には、上ウェハW
Uの表裏面を反転させる反転機構130が設けられている。反転機構130は、上ウェハW
Uを保持する保持アーム131を有している。保持アーム131は、水平方向(Y方向)に延伸している。また保持アーム131には、上ウェハW
Uを保持する保持部材132が例えば4箇所に設けられている。
【0047】
保持アーム131は、例えばモータなどを備えた駆動部133に支持されている。この駆動部133によって、保持アーム131は水平軸周りに回動自在である。また保持アーム131は、駆動部133を中心に回動自在であると共に、水平方向(Y方向)に移動自在である。駆動部133の下方には、例えばモータなどを備えた他の駆動部(図示せず)が設けられている。この他の駆動部によって、駆動部133は鉛直方向に延伸する支持柱134に沿って鉛直方向に移動できる。このように駆動部133によって、保持部材132に保持された上ウェハW
Uは、水平軸周りに回動できると共に鉛直方向及び水平方向に移動できる。また、保持部材132に保持された上ウェハW
Uは、駆動部133を中心に回動して、位置調節機構120から後述する上チャック140との間を移動できる。
【0048】
処理領域T2には、上ウェハW
Uを下面で吸着保持する第1の保持部としての上チャック140と、下ウェハW
Lを上面で載置して吸着保持する第2の保持部としての下チャック141とが設けられている。下チャック141は、上チャック140の下方に設けられ、上チャック140と対向配置可能に構成されている。すなわち、上チャック140に保持された上ウェハW
Uと下チャック141に保持された下ウェハW
Lは対向して配置可能となっている。
【0049】
上チャック140は、当該上チャック140の上方に設けられた上チャック支持部150に支持されている。上チャック支持部150は、処理容器100の天井面に設けられている。すなわち、上チャック140は、上チャック支持部150を介して処理容器100に固定されて設けられている。
【0050】
上チャック支持部150には、下チャック141に保持された下ウェハW
Lの表面W
L1を撮像する上部撮像部151が設けられている。すなわち、上部撮像部151は上チャック140に隣接して設けられている。上部撮像部151には、例えばCCDカメラが用いられる。
【0051】
下チャック141は、当該下チャック141の下方に設けられた第1の下チャック移動部160に支持されている。第1の下チャック移動部160は、後述するように下チャック141を水平方向(Y方向)に移動させるように構成されている。また、第1の下チャック移動部160は、下チャック141を鉛直方向に移動自在、且つ鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
【0052】
第1の下チャック移動部160には、上チャック140に保持された上ウェハW
Uの表面W
U1を撮像する下部撮像部161が設けられている。すなわち、下部撮像部161は下チャック141に隣接して設けられている。下部撮像部161には、例えばCCDカメラが用いられる。
【0053】
第1の下チャック移動部160は、当該第1の下チャック移動部160の下面側に設けられ、水平方向(Y方向)に延伸する一対のレール162、162に取り付けられている。そして、第1の下チャック移動部160は、レール162に沿って移動自在に構成されている。
【0054】
一対のレール162、162は、第2の下チャック移動部163に配設されている。第2の下チャック移動部163は、当該第2の下チャック移動部163の下面側に設けられ、水平方向(X方向)に延伸する一対のレール164、164に取り付けられている。そして、第2の下チャック移動部163は、レール164に沿って移動自在に構成され、すなわち下チャック141を水平方向(X方向)に移動させるように構成されている。なお、一対のレール164、164は、処理容器100の底面に設けられた載置台165上に配設されている。
【0055】
次に、接合装置41の上チャック140と下チャック141の詳細な構成について説明する。
【0056】
上チャック140には、
図6及び
図7に示すようにピンチャック方式が採用されている。上チャック140は、平面視において少なくとも上ウェハW
Uより大きい径を有する本体部170を有している。本体部170の下面には、上ウェハW
Uの裏面W
U2に接触する複数のピン171が設けられている。また、本体部170の下面には、複数のピン171の外側において環状のリブ172が設けられている。リブ172は、少なくとも上ウェハW
Uの裏面W
U2の外縁部を支持するように、当該裏面W
U2の外周部を支持する。
【0057】
さらに、本体部170の下面には、リブ172の内側において別のリブ173が設けられている。リブ173は、リブ172と同心円状に環状に設けられている。そして、リブ172の内側の領域174(以下、吸引領域174という場合がある。)は、リブ173の内側の第1の吸引領域174aと、リブ173の外側の第2の吸引領域174bとに区画されている。
【0058】
本体部170の下面には、第1の吸引領域174aにおいて、上ウェハW
Uを真空引きするための第1の吸引口175aが形成されている。第1の吸引口175aは、例えば第1の吸引領域174aにおいて2箇所に形成されている。第1の吸引口175aには、本体部170の内部に設けられた第1の吸引管176aが接続されている。さらに第1の吸引管176aには、継手を介して第1の真空ポンプ177aが接続されている。
【0059】
また、本体部170の下面には、第2の吸引領域174bにおいて、上ウェハW
Uを真空引きするための第2の吸引口175bが形成されている。第2の吸引口175bは、例えば第2の吸引領域174bにおいて2箇所に形成されている。第2の吸引口175bには、本体部170の内部に設けられた第2の吸引管176bが接続されている。さらに第2の吸引管176bには、継手を介して第2の真空ポンプ177bが接続されている。
【0060】
このように上チャック140は、第1の吸引領域174aと第2の吸引領域174b毎に上ウェハW
Uを真空引き可能に構成されている。なお、吸引口175a、175bの配置は、本実施の形態に限定されず、任意に設定することができる。
【0061】
そして、上ウェハW
U、本体部170及びリブ172に囲まれて形成された吸引領域174a、174bをそれぞれ吸引口175a、175bから真空引きし、吸引領域174a、174bを減圧する。このとき、吸引領域174a、174bの外部の雰囲気が大気圧であるため、上ウェハW
Uは減圧された分だけ大気圧によって吸引領域174a、174b側に押され、上チャック140に上ウェハW
Uが吸着保持される。
【0062】
かかる場合、リブ172が上ウェハW
Uの裏面W
U2外周部を支持するので、上ウェハW
Uはその外周部まで適切に真空引きされる。このため、上チャック140に上ウェハW
Uの全面が吸着保持され、当該上ウェハW
Uの平面度を小さくして、上ウェハW
Uを平坦にすることができる。
【0063】
しかも、複数のピン171の高さが均一なので、上チャック140の下面の平面度をさらに小さくすることができる。このように上チャック140の下面を平坦にして(下面の平面度を小さくして)、上チャック140に保持された上ウェハW
Uの鉛直方向の歪みを抑制することができる。
【0064】
また、上ウェハW
Uの裏面W
U2は複数のピン171に支持されているので、上チャック140による上ウェハW
Uの真空引きを解除する際、当該上ウェハW
Uが上チャック140から剥がれ易くなる。
【0065】
上チャック140において、本体部170の中心部には、当該本体部170を厚み方向に貫通する貫通孔178が形成されている。この本体部170の中心部は、上チャック140に吸着保持される上ウェハW
Uの中心部に対応している。そして貫通孔178には、後述する押動部材180におけるアクチュエータ部181の先端部が挿通するようになっている。
【0066】
上チャック140の上面には、上ウェハW
Uの中心部を押圧する押動部材180が設けられている。押動部材180は、アクチュエータ部181とシリンダ部182とを有している。
【0067】
アクチュエータ部181は、電空レギュレータ(図示せず)から供給される空気により一定方向に一定の圧力を発生させるもので、圧力の作用点の位置によらず当該圧力を一定に発生させることができる。そして、電空レギュレータからの空気によって、アクチュエータ部181は、上ウェハW
Uの中心部と当接して当該上ウェハW
Uの中心部にかかる押圧荷重を制御することができる。また、アクチュエータ部181の先端部は、電空レギュレータからの空気によって、貫通孔178を挿通して鉛直方向に昇降自在になっている。
【0068】
アクチュエータ部181は、シリンダ部182に支持されている。シリンダ部182は、例えばモータを内蔵した駆動部によってアクチュエータ部181を鉛直方向に移動させることができる。
【0069】
以上のように押動部材180は、アクチュエータ部181によって押圧荷重の制御をし、シリンダ部182によってアクチュエータ部181の移動の制御をしている。そして、押動部材180は、後述するウェハW
U、W
Lの接合時に、上ウェハW
Uの中心部と下ウェハW
Lの中心部とを当接させて押圧することができる。
【0070】
下チャック141には、上チャック140と同様に、
図6及び
図8に示すようにピンチャック方式が採用されている。下チャック141は、平面視において少なくとも下ウェハW
Lより大きい径を有する本体部190を有している。
【0071】
本体部190の上面には、下ウェハW
Lの裏面W
L2に接触する複数のピン191が設けられている。これら複数のピン191のうち、本体部190の中心部に設けられたピン191aの先端位置は、本体部190の外周部に設けられたピン191bの先端位置よりも高い。そして、複数のピン191は、中心部から外周部に向けて、その高さが徐々に低くなるように設けられている。
【0072】
また、本体部190の上面には、複数のピン191の外側において環状のリブ192が設けられている。リブ192は、少なくとも下ウェハW
Lの裏面W
L2の外縁部を支持するように、当該裏面W
L2の外周部を支持する。
【0073】
さらに、本体部190の上面には、リブ192の内側において別のリブ193が設けられている。リブ193は、リブ192と同心円状に環状に設けられている。そして、リブ192の内側の領域194(以下、吸引領域194という場合がある。)は、リブ193の内側の第1の吸引領域194aと、リブ193の外側の第2の吸引領域194bとに区画されている。
【0074】
本体部190の上面には、第1の吸引領域194aにおいて、下ウェハW
Lを真空引きするための第1の吸引口195aが形成されている。第1の吸引口195aは、例えば第1の吸引領域194aにおいて2箇所に形成されている。第1の吸引口195aには、本体部190の内部に設けられた第1の吸引管196aが接続されている。さらに第1の吸引管196aには、継手を介して第1の真空ポンプ197aが接続されている。
【0075】
また、本体部190の上面には、第2の吸引領域194bにおいて、下ウェハW
Lを真空引きするための第2の吸引口195bが形成されている。第2の吸引口195bは、例えば第2の吸引領域194bにおいて2箇所に形成されている。第2の吸引口195bには、本体部190の内部に設けられた第2の吸引管196bが接続されている。さらに第2の吸引管196bには、継手を介して第2の真空ポンプ197bが接続されている。
【0076】
このように下チャック141は、第1の吸引領域194aと第2の吸引領域194b毎に下ウェハW
Lを真空引き可能に構成されている。なお、吸引口195a、195bの配置は、本実施の形態に限定されず、任意に設定することができる。
【0077】
そして、下ウェハW
L、本体部190及びリブ192に囲まれて形成された吸引領域194a、194bをそれぞれ吸引口195a、195bから真空引きし、吸引領域194a、194bを減圧する。このとき、吸引領域194a、194bの外部の雰囲気が大気圧であるため、下ウェハW
Lは減圧された分だけ大気圧によって吸引領域194a、194b側に押され、下チャック141に下ウェハW
Lが吸着保持される。
【0078】
かかる場合、リブ192が下ウェハW
Lの裏面W
L2の外周部を支持するので、下ウェハW
Lはその外周部まで適切に真空引きされる。そして、下ウェハW
Lは下チャック141の上面に沿って保持される。すなわち、下チャック141において複数のピン191の高さが中心部から外周部に向けて徐々に低くなっているので、下ウェハW
Lもその中心部が外周部に比べて突出するように保持される。
【0079】
また、下ウェハW
Lの裏面W
L2は複数のピン191に支持されているので下チャック141による下ウェハW
Lの真空引きを解除する際、当該下ウェハW
Lが下チャック141から剥がれ易くなる。
【0080】
下チャック141において、本体部190の中心部付近には、当該本体部190を厚み方向に貫通する貫通孔198が例えば3箇所に形成されている。そして貫通孔198には、第1の下チャック移動部160の下方に設けられた昇降ピンが挿通するようになっている。
【0081】
本体部190の外周部には、ウェハW
U、W
L、重合ウェハW
Tが下チャック141から飛び出したり、滑落するのを防止するガイド部材199が設けられている。ガイド部材199は、本体部190の外周部に複数個所、例えば4箇所に等間隔に設けられている。
【0082】
なお、接合装置41における各部の動作は、上述した制御部70によって制御される。
【0083】
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われるウェハW
U、W
Lの接合処理方法について説明する。
図9は、かかるウェハ接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0084】
先ず、複数枚の上ウェハW
Uを収容したカセットC
U、複数枚の下ウェハW
Lを収容したカセットC
L、及び空のカセットC
Tが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットC
U内の上ウェハW
Uが取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。
【0085】
次に上ウェハW
Uは、ウェハ搬送装置61によって第1の処理ブロックG1の表面改質装置30に搬送される。表面改質装置30では、所定の減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガス又は窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオン又は窒素イオンが上ウェハW
Uの表面W
U1に照射されて、当該表面W
U1がプラズマ処理される。そして、上ウェハW
Uの表面W
U1が改質される(
図9の工程S1)。
【0086】
次に上ウェハW
Uは、ウェハ搬送装置61によって第2の処理ブロックG2の表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40では、スピンチャックに保持された上ウェハW
Uを回転させながら、当該上ウェハW
U上に純水を供給する。そうすると、供給された純水は上ウェハW
Uの表面W
U1上を拡散し、表面改質装置30において改質された上ウェハW
Uの表面W
U1に水酸基(シラノール基)が付着して当該表面W
U1が親水化される。また、当該純水によって、上ウェハW
Uの表面W
U1が洗浄される(
図9の工程S2)。
【0087】
次に上ウェハW
Uは、ウェハ搬送装置61によって第2の処理ブロックG2の接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された上ウェハW
Uは、トランジション110を介してウェハ搬送機構111により位置調節機構120に搬送される。そして位置調節機構120によって、上ウェハW
Uの水平方向の向きが調節される(
図9の工程S3)。
【0088】
その後、位置調節機構120から反転機構130の保持アーム131に上ウェハW
Uが受け渡される。続いて搬送領域T1において、保持アーム131を反転させることにより、上ウェハW
Uの表裏面が反転される(
図9の工程S4)。すなわち、上ウェハW
Uの表面W
U1が下方に向けられる。
【0089】
その後、反転機構130の保持アーム131が、駆動部133を中心に回動して上チャック140の下方に移動する。そして、反転機構130から上チャック140に上ウェハW
Uが受け渡される。上ウェハW
Uは、上チャック140にその裏面W
U2が吸着保持される(
図9の工程S5)。具体的には、真空ポンプ177a、177bを作動させ、吸引領域174a、174bにおいて吸引口175a、175bを介して上ウェハW
Uを真空引きし、上ウェハW
Uが上チャック140に吸着保持される。
【0090】
上ウェハW
Uに上述した工程S1〜S5の処理が行われている間、当該上ウェハW
Uに続いて下ウェハW
Lの処理が行われる。先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットC
L内の下ウェハW
Lが取り出され、処理ステーション3のトランジション装置50に搬送される。
【0091】
次に下ウェハW
Lは、ウェハ搬送装置61によって表面改質装置30に搬送され、下ウェハW
Lの表面W
L1が改質される(
図9の工程S6)。なお、工程S6における下ウェハW
Lの表面W
L1の改質は、上述した工程S1と同様である。
【0092】
その後、下ウェハW
Lは、ウェハ搬送装置61によって表面親水化装置40に搬送され、下ウェハW
Lの表面W
L1が親水化される共に当該表面W
L1が洗浄される(
図9の工程S7)。なお、工程S7における下ウェハW
Lの表面W
L1の親水化及び洗浄は、上述した工程S2と同様である。
【0093】
その後、下ウェハW
Lは、ウェハ搬送装置61によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された下ウェハW
Lは、トランジション110を介してウェハ搬送機構111により位置調節機構120に搬送される。そして位置調節機構120によって、下ウェハW
Lの水平方向の向きが調節される(
図9の工程S8)。
【0094】
その後、下ウェハW
Lは、ウェハ搬送機構111によって下チャック141に搬送され、下チャック141にその裏面W
L2が吸着保持される(
図9の工程S9)。工程S9では、先ず、第1の真空ポンプ197aを作動させ、
図10に示すように第1の吸引領域194aにおいて第1の吸引口195aから下ウェハW
Lを真空引きする。そうすると、下ウェハW
Lの水平方向の位置が固定される。その後、第1の真空ポンプ197aを作動させた状態でさらに第2の真空ポンプ197bを作動させ、
図11に示すように吸引領域194a、194bにおいて吸引口195a、195bから下ウェハW
Lを真空引きする。そして、下ウェハW
Lが全面で下チャック141に吸着保持される。このとき、上述したように下チャック141の上面に沿って、下ウェハW
Lはその中心部が外周部に比べて突出するように保持される。
【0095】
次に、上チャック140に保持された上ウェハW
Uと下チャック141に保持された下ウェハW
Lとの水平方向の位置調節を行う。具体的には、第1の下チャック移動部160と第2の下チャック移動部163によって下チャック141を水平方向(X方向及びY方向)に移動させ、上部撮像部151を用いて、下ウェハW
Lの表面W
L1上の予め定められた基準点を順次撮像する。同時に、下部撮像部161を用いて、上ウェハW
Uの表面W
U1上の予め定められた基準点を順次撮像する。撮像された画像は、制御部70に出力される。制御部70では、上部撮像部151で撮像された画像と下部撮像部161で撮像された画像に基づいて、上ウェハW
Uの基準点と下ウェハW
Lの基準点がそれぞれ合致するような位置に、第1の下チャック移動部160と第2の下チャック移動部163によって下チャック141を移動させる。こうして上ウェハW
Uと下ウェハW
Lの水平方向位置が調節される(
図9の工程S10)。
【0096】
その後、第1の下チャック移動部160によって下チャック141を鉛直上方に移動させて、上チャック140と下チャック141の鉛直方向位置の調節を行い、当該上チャック140に保持された上ウェハW
Uと下チャック141に保持された下ウェハW
Lとの鉛直方向位置の調節を行う(
図9の工程S11)。
【0097】
次に、上チャック140に保持された上ウェハW
Uと下チャック141に保持された下ウェハW
Lの接合処理が行われる。
【0098】
先ず、
図12に示すように押動部材180のシリンダ部182によってアクチュエータ部181を下降させる。そうすると、このアクチュエータ部181の下降に伴い、上ウェハW
Uの中心部が押圧されて下降する。このとき、電空レギュレータから供給される空気によって、アクチュエータ部181には、所定の押圧荷重がかけられる。そして、押動部材180によって、上ウェハW
Uの中心部と下ウェハW
Lの中心部を当接させて押圧する(
図9の工程S12)。このとき、第1の真空ポンプ177aの作動を停止して、第1の吸引領域174aにおける第1の吸引口175aからの上ウェハW
Uの真空引きを停止すると共に、第2の真空ポンプ177bは作動させたままにし、第2の吸引領域174bを第2の吸引口175bから真空引きする。そして、押動部材180で上ウェハW
Uの中心部を押圧する際にも、上チャック140によって上ウェハW
Uの外周部を保持することができる。
【0099】
そうすると、押圧された上ウェハW
Uの中心部と下ウェハW
Lの中心部との間で接合が開始する(
図12中の太線部)。すなわち、上ウェハW
Uの表面W
U1と下ウェハW
Lの表面W
L1はそれぞれ工程S1、S6において改質されているため、先ず、表面W
U1、W
L1間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該表面W
U1、W
L1同士が接合される。さらに、上ウェハW
Uの表面W
U1と下ウェハW
Lの表面W
L1はそれぞれ工程S2、S7において親水化されているため、表面W
U1、W
L1間の親水基が水素結合し(分子間力)、表面W
U1、W
L1同士が強固に接合される。
【0100】
この工程S12では、上ウェハW
Uの中心部が押圧されて下降しつつ、その外周部が上チャック140に保持され、上ウェハW
Uは下方に凸に反って伸びる。一方、下ウェハW
Lは、下チャック141の上面に沿って中心部が外周部に比べて突出し、上方に凸に反って伸びる。そうすると、上ウェハW
Uと下ウェハW
Lを略上下対称の形状にすることができ、これら上ウェハW
Uと下ウェハW
Lの伸び量をほぼ同じにできる。このため、上ウェハW
Uと下ウェハW
Lが接合される際の水平方向の位置ずれ(スケーリング)を抑制することができる。
【0101】
その後、
図13に示すように押動部材180によって上ウェハW
Uの中心部と下ウェハW
Lの中心部を押圧した状態で第2の真空ポンプ177bの作動を停止して、第2の吸引領域174bにおける第2の吸引管176bからの上ウェハW
Uの真空引きを停止する。そうすると、上ウェハW
Uが下ウェハW
L上に落下する。このとき、上ウェハW
Uの裏面W
U2は複数のピン171に支持されているので、上チャック140による上ウェハW
Uの真空引きを解除した際、当該上ウェハW
Uが上チャック140から剥がれ易くなっている。そして上ウェハW
Uが下ウェハW
L上に順次落下して当接し、上述した表面W
U1、W
L1間のファンデルワールス力と水素結合による接合が順次拡がる。こうして、
図14に示すように上ウェハW
Uの表面W
U1と下ウェハW
Lの表面W
L1が全面で当接し、上ウェハW
Uと下ウェハW
Lが接合される(
図9の工程S13)。
【0102】
ここで、上述した工程S12において下チャック141によって下ウェハW
Lは上方に凸に保持されるので、押動部材180によって上ウェハW
Uの中心部と下ウェハW
Lの中心部を確実に当接させることができる。そうすると、工程S13において上ウェハW
Uと下ウェハW
Lを中心部から外周部に向けて順次当接させる際、これら上ウェハW
U、W
L間の空気を中心部から外周部に確実に流出させることができ、接合後の重合ウェハW
Tにボイドが発生するのを抑制することができる。
【0103】
その後、
図15に示すように押動部材180のアクチュエータ部181を上チャック140まで上昇させる。また、真空ポンプ197a、197bの作動を停止し、吸引領域194における下ウェハW
Lの真空引きを停止して、下チャック141による下ウェハW
Lの吸着保持を停止する。このとき、下ウェハW
Lの裏面W
L2は複数のピン191に支持されているので、下チャック141による下ウェハW
Lの真空引きを解除した際、当該下ウェハW
Lが下チャック141から剥がれ易くなっている。
【0104】
上ウェハW
Uと下ウェハW
Lが接合された重合ウェハW
Tは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットC
Tに搬送される。こうして、一連のウェハW
U、W
Lの接合処理が終了する。
【0105】
以上の実施の形態によれば、下チャック141において下ウェハW
Lは上方に凸に保持される。このため、工程S12において、押動部材180によって上ウェハW
Uの中心部が押圧され、上ウェハW
Uの中心部が下方に凸に反って伸びても、当該上ウェハW
Uと略上下対称の形状で下ウェハW
Lも上方に凸に反って伸びる。このため、上ウェハW
Uと下ウェハW
Lの伸び量を同じにでき、上ウェハW
Uと下ウェハW
Lの水平方向の位置ずれ(スケーリング)を抑制することができる。
【0106】
しかも、下チャック141がリブ192によって第1の吸引領域194aと第2の吸引領域194bに区画されているので、工程S9において、下チャック141で下ウェハW
Lを2段階で保持できる。すなわち、先ず、第1の吸引領域194aで下ウェハW
Lを真空引きして、当該下ウェハW
Lの水平方向の位置を固定するので、その後、吸引領域194a、194bで下ウェハW
Lを真空引きする際、当該下ウェハW
Lの水平方向の位置がずれることがない。したがって、下チャック141の適切な位置に下ウェハW
Lを吸着保持することができ、上述したスケーリングをさらに抑制することができる。
【0107】
なお、上ウェハW
Uと下ウェハW
Lは、デバイスウェハとサポートウェハのいずれであってもよい。デバイスウェハは製品となる半導体ウェハであって、例えばその表面に複数の電子回路等を備えたデバイスが形成されている。また、サポートウェハはデバイスウェハを支持するウェハであり、その表面にデバイスは形成されていない。そして、本発明はデバイスウェハとサポートウェハの接合処理と、デバイスウェハ同士の接合処理のいずれにも適用可能である。但し、デバイスウェハ同士を接合する場合、接合後の重合ウェハW
Tを製品として適切に機能させるためには、上ウェハW
Uの電子回路と下ウェハW
Lの電子回路を適切に対応させる必要がある。このため、上述のようにスケーリングを抑制することは、デバイスウェハ同士の接合処理に特に有用となる。
【0108】
また、下チャック141において下ウェハW
Lは上方に凸に保持されるので、工程S12において押動部材180によって上ウェハW
Uの中心部と下ウェハW
Lの中心部を確実に当接させることができる。このため、工程S13において上ウェハW
Uと下ウェハW
Lを当接させる際、これら上ウェハW
Uと下ウェハW
L間の空気を中心部から外周部に確実に流出させることができ、接合後の重合ウェハW
Tにボイドが発生するのを抑制することができる。
【0109】
以上のように本実施の形態によれば、上ウェハW
Uと下ウェハW
Lの水平方向の位置を適切に調節しつつ、重合ウェハW
Tのボイドの発生を抑制して、当該上ウェハW
Uと下ウェハW
Lの接合処理を適切に行うことができる。
【0110】
また、本実施の形態の接合システム1は、接合装置41に加えて、ウェハW
U、W
Lの表面W
U1、W
L1を改質する表面改質装置30と、表面W
U1、W
L1を親水化すると共に当該表面W
U1、W
L1を洗浄する表面親水化装置40も備えているので、一のシステム内でウェハW
U、W
Lの接合を効率よく行うことができる。したがって、ウェハ接合処理のスループットをより向上させることができる。
【0111】
次に、以上の実施の形態の接合装置41における下チャック141の他の実施の形態について説明する。
【0112】
図16及び
図17に示すように下チャック141の本体部190は、ピン191の配置の疎密に基づいて、第1のピン領域200と第2のピン領域201に区画されていてもよい。第1のピン領域200は、本体部190の中心部に円形状に設けられる。第2のピン領域201は、第1のピン領域200の外側において当該第1のピン領域200と同心円状に環状に設けられる。そして、第1のピン領域200に設けられたピン191の間隔は、第2のピン領域201に設けられたピン191の間隔よりも小さい。
【0113】
上述したように工程S12では、押動部材180によって、上ウェハW
Uの中心部と下ウェハW
Lの中心部(第1のピン領域200)が押圧される。そうすると、この押圧荷重によって、下ウェハW
Lの中心部が鉛直下方に歪むおそれがある。そこで、
図16に示すように第1のピン領域200におけるピン191の間隔を小さくすることで、かかる下ウェハW
Lの中心部の鉛直方向の歪みを抑制することができる。
【0114】
また、
図18に示すように下チャック141の本体部190は、ピン191の配置の疎密に基づいて、第1のピン領域210、第2のピン領域211、第3のピン領域212の3つに区画されていてもよい。第1のピン領域210、第2のピン領域211、第3のピン領域212は、同心円状に中心部から外周部に向けてこの順で配置される。そして、第1のピン領域210に設けられたピン191の間隔は、第2のピン領域211に設けられたピン191の間隔よりも小さい。さらに第2のピン領域211に設けられたピン191の間隔は、第3のピン領域212に設けられたピン191の間隔よりも小さい。このように中心部から外周部に向けて、ピン191の間隔を段階的に大きくすることで、下チャック141に支持される下ウェハW
Lの接触面積を滑らかに変動させることができ、下ウェハW
Lの中心部の鉛直方向の歪みを抑制して、下チャック141で下ウェハW
Lをより適切に保持することができる。なお、ピン領域の数は本実施の形態に限定されず、任意に設定することができる。区画する数が多い方が、上記効果をより顕著に享受できる。
【0115】
また、
図19に示すように下チャック141は、当該下チャック141に保持された下ウェハW
Lの温度を調節する温度調節機構220を有していてもよい。温度調節機構220は、例えば本体部190に内蔵される。また、温度調節機構220には、例えばヒータが用いられる。かかる場合、温度調節機構220によって下ウェハW
Lを所定の温度、例えば常温(23℃)〜100℃に加熱することにより、上述した工程S13を行う際、ウェハW
U、W
L間の空気を消滅させることができる。したがって、重合ウェハW
Tのボイドの発生をより確実に抑制することができる。
【0116】
また、以上の実施の形態の下チャック141の複数のピン191は、中心部から外周部に向けて、その高さが徐々に低くなるように設けられていたが、その高さの変化はこれに限定されない。以下の説明においては、複数のピン191の先端位置が下チャック141の径方向外側に向かって低くなる際に、下チャック141の径方向距離に対する複数のピン191の先端位置の変化を「高さ変化」という。
【0117】
例えば
図20に示すように、下チャック141の本体部190は、ピン191の高さ変化に基づいて、内側領域230と外側領域231に区画されていてもよい。内側領域230は、本体部190の中心部に円形状に設けられる。外側領域231は、内側領域230の外側において当該内側領域230と同心円状に環状に設けられる。そして、内側領域230に設けられたピン191の高さ変化は、外側領域231に設けられたピン191の高さ変化よりも小さい。
【0118】
かかる場合、例えば風船が膨らむように、内側領域230に保持された下ウェハW
Lに作用する力と、外側領域231に保持された下ウェハW
Lに作用する力を同じにできる。すなわち、下ウェハW
Lの面内に作用する力を均一にできる。したがって、下チャック141で下ウェハW
Lをより適切に保持することができる。
【0119】
以上の実施の形態の下チャック141では、下ウェハW
Lの外周部まで真空引きするため、下ウェハW
Lの外周部を支持する環状のリブ192を設けていたが、下ウェハW
Lの外周部を真空引きする構成はこれに限定されない。例えば下チャック141は、いわゆる静圧シールを用いて、下ウェハW
Lの外周部まで真空引きしてもよい。具体的には、本体部190の外周部において、リブ192に代えて下ウェハW
Lと非接触のリブ(図)を設けてもよいし、或いはリブ192を省略してピン191を下ウェハW
Lの外周部まで設けてもよい。そして、第2の真空ポンプ197bによる吸引圧力を調節して、下ウェハW
Lの外周部まで真空引きする。
【0120】
また、上述した
図16〜
図19に示した下チャック141の変形例は、上チャック140にも適用することができる。さらに、上チャック140はピンチャック方式でなくてもよく、例えば平板状のチャックによる真空チャック方式や、静電チャック方式など、種々の方式を取り得る。
【0121】
以上の実施の形態の接合装置41では、上チャック140を処理容器100に固定し、且つ下チャック141を水平方向及び鉛直方向に移動させていたが、反対に上チャック140を水平方向及び鉛直方向に移動させ、且つ下チャック141を処理容器100に固定してもよい。但し、上チャック140を移動させる方が、移動機構が大掛かりになるため、上記実施の形態のように上チャック140を処理容器100に固定する方が好ましい。
【0122】
以上の実施の形態の接合システム1において、接合装置41でウェハW
U、W
Lを接合した後、さらに接合された重合ウェハW
Tを所定の温度で加熱(アニール処理)してもよい。重合ウェハW
Tにかかる加熱処理を行うことで、接合界面をより強固に結合させることができる。
【0123】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。